説明

ホースクリップの取付構造

【課題】ホースの外周面に取り付けられるホースクリップの取付構造において、ホースクリップの内周面とホースの外周面との間の接着剤の位置を所望の位置にする。
【解決手段】ホースクリップ2に、その径方向に貫通する接着剤注入路26を形成する。ホースクリップ2の内周面に、接着剤注入路26と連通する少なくとも1つの窪み部27を形成する。接着剤注入路26から窪み部27に注入された接着剤によって、ホースクリップ2の内周面とホースの外周面とを接着している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースの外周面に取り付けられるホースクリップの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホースの外周面に取り付けられるホースクリップの取付構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この取付構造では、ホースクリップがホースに対して回転することを防止するため、ホースクリップとホースとの間の摩擦力を高めるべく、ホースクリップの内周面に突起を設けている。
【特許文献1】特開2004−360795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ホースクリップがホースに対して回転することを確実に防止し、かつ取付構造の低コスト化を図るため、接着剤によってホースクリップの内周面とホースの外周面とを接着することにより、ホースの外周面にホースクリップを取り付けることが考えられる。
【0004】
このように接着剤によってホースクリップの内周面とホースの外周面とを接着する場合、ホースクリップをホースに取り付けた後、ホースクリップの軸方向端部からホースクリップとホースとの間に接着剤を流し込むことが考えられる。
【0005】
しかしながら、このようにホースクリップの軸方向端部から接着剤を流し込むと、接着剤の広がりを思い通りに制御することは困難であり、この結果、ホースクリップの内周面とホースの外周面との間の接着剤の位置を所望の位置にすることができないという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ホースの外周面に取り付けられるホースクリップの取付構造において、ホースクリップの内周面とホースの外周面との間の接着剤の位置を所望の位置にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、ホースの外周面に取り付けられるホースクリップの取付構造であって、前記ホースクリップには、その径方向に貫通する接着剤注入路が形成されており、前記ホースクリップの内周面には、前記接着剤注入路と連通する少なくとも1つの窪み部が形成されており、前記接着剤注入路から前記窪み部に注入された接着剤によって、前記ホースクリップの内周面と前記ホースの外周面とが接着されていることを特徴とするものである。
【0008】
これにより、ホースクリップの径方向に貫通する接着剤注入路から、この接着剤注入路と連通する、ホースクリップの内周面の少なくとも1つの窪み部に注入された接着剤によって、ホースクリップの内周面とホースの外周面とが接着されているので、接着剤注入路や窪み部の位置を、ホースクリップの内周面とホースの外周面との接着剤の位置が所望の位置になるように設定すれば、その位置を所望の位置にすることができる。
【0009】
第2の発明は、前記第1の発明において、前記窪み部は、上流端部が前記接着剤注入路と連通する接着剤通路と、該接着剤通路に沿って延びるとともに幅方向の前記接着剤通路側の端部が該接着剤通路と連通し、かつ深さが前記接着剤通路よりも浅い接着部とを有しており、前記接着剤注入路から前記接着剤通路を介して前記接着部に注入された接着剤によって、前記ホースクリップの内周面と前記ホースの外周面とが接着されていることを特徴とするものである。
【0010】
これにより、接着剤注入路から、上流端部が接着剤注入路と連通する接着剤通路を介して、この接着剤通路に沿って延びて幅方向の接着剤通路側の端部がこの接着剤通路と連通する、深さが接着剤通路よりも浅い接着部に注入された接着剤によって、ホースクリップの内周面とホースの外周面とが接着されているので、接着剤注入路や接着剤通路、接着部の位置を、ホースクリップの内周面とホースの外周面との接着剤の位置が所望の位置になるように設定すれば、その位置を所望の位置にすることができる。
【0011】
第3の発明は、前記第2の発明において、前記接着剤通路は、前記接着部の幅方向両側にそれぞれ形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
これにより、接着剤通路を接着部の幅方向両側にそれぞれ形成しているので、接着剤通路を接着部の幅方向一方側にのみ形成している場合と比較して、接着剤を接着部に満遍なく行き渡らせることができる。このため、ホースクリップの内周面とホースの外周面とを確実に接着することができる。
【0013】
第4の発明は、前記第2又は3の発明において、前記接着剤通路と前記接着部との連通部の内面は、断面形状が湾曲形状に形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
これにより、接着剤通路と接着部との連通部の内面の断面形状を湾曲形状に形成しているので、接着剤が接着剤通路から接着部に流入しやすくなり、接着剤を接着部に満遍なく行き渡らせることができる。このため、ホースクリップの内周面とホースの外周面とを確実に接着することができる。尚、湾曲形状にはR形状が含まれる。
【0015】
第5の発明は、前記第2〜4のいずれか1つの発明において、前記接着剤通路の下流端部には、空間部が形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
これにより、接着剤通路の下流端部に空間部を形成しているので、接着剤が接着剤通路をその下流端部側に進みやすくなり、接着剤を接着部に満遍なく行き渡らせることができる。このため、ホースクリップの内周面とホースの外周面とを確実に接着することができる。
【0017】
第6の発明は、前記第1〜5のいずれか1つの発明において、前記窪み部は、複数形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
これにより、窪み部を複数形成しているので、窪み部を単数形成している場合と比較して、ホースクリップの内周面とホースの外周面とを確実に接着することができる。
【0019】
また、第5の発明においては、接着剤通路の下流端部に空間部を形成しているので、接着剤通路のうち接着剤が行き渡っていない接着剤通路がある場合、接着剤を接着剤注入路から注入し続けても、その接着剤が行き渡っていない接着剤通路以外の接着剤通路については、その空間部によって接着剤を堰き止めることができる。このため、接着剤が接着剤通路の下流端部よりも向こう側に行くことを抑制することができる。
【0020】
第7の発明は、前記第1〜6のいずれか1つの発明において、前記窪み部は、クリップ軸方向又はクリップ周方向に延びていることを特徴とするものである。
【0021】
これにより、窪み部をクリップ軸方向又はクリップ周方向に延ばしているので、窪み部をクリップ軸方向及びクリップ周方向以外の方向に延ばしている場合と比較して、その断面形状を一定の形状にしやすい。
【0022】
第8の発明は、前記第1〜7のいずれか1つの発明において、前記接着剤注入路は、前記ホースクリップの軸方向中央部に形成されていることを特徴とするものである。
【0023】
これにより、接着剤注入路をホースクリップの軸方向中央部に形成しているので、窪み部をあらゆる方向に延ばすことができる。
【0024】
また、第6の発明においては、窪み部をあらゆる方向に延ばすことができるので、窪み部の位置の設定次第で、接着剤をホースクリップの内周面とホースの外周面との間に満遍なく行き渡らせることができ、ホースクリップの内周面とホースの外周面とを確実に接着することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ホースクリップの径方向に貫通する接着剤注入路から、この接着剤注入路と連通する、ホースクリップの内周面の少なくとも1つの窪み部に注入された接着剤によって、ホースクリップの内周面とホースの外周面とが接着されているので、接着剤注入路や窪み部の位置を、ホースクリップの内周面とホースの外周面との接着剤の位置が所望の位置になるように設定すれば、その位置を所望の位置にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る取付構造によるホース及びホースクリップ(ホースクランプ)の組立体A(ホースアセンブリ)の一例を示し、このホースアセンブリAは、例えば自動車のエンジンルームにおいてラジエータへのエンジン冷却水供給に用いられるもので、ラジエータホース1(以下、ホースという)とその外周面に取り付けられたホースクリップ2とを備え、このホースクリップ2によってホース1が図示しない固定部材に固定される。このようにホース1を固定部材に固定することによって、ホース1が撓むことやホース1が他の車両用部材と干渉することを抑制している。
【0028】
ホース1は、2層構造の円筒チューブ状のもので、その内層及び外層をEPDMで形成することができる。
【0029】
ホースクリップ2は、図1〜図3に示すように、モールド成形によって成形された略円筒状の樹脂製のもので、略半円弧形状をした第1及び第2半筒体20,21を備えている。これらの第1及び第2半筒体20,21は、相隣り合う周方向一端部で互いに連結部22を介して連結されていて、それぞれ、この連結部22を中心として相隣り合う周方向他端部が離れる方向に回動可能になっている。
【0030】
第1半筒体20の周方向他端部には、第2半筒体21の周方向他端部側に突出する係合爪部23aが突設された係合部23が形成されている。第2半筒体21の周方向他端部には、係合爪部23aが係合される被係合孔部24aが穿設された被係合部24が形成されている。係合爪部23aは、ホースクリップ2をホース1に取り付ける際、第1半筒体20を第2半筒体21に対して相対的に回動させることによって、被係合孔部24aに嵌合される。
【0031】
第2半筒体21の外周面の周方向中央部には、その径方向外側に突出する差し込み部25が形成され、この差し込み部25は、前記の固定部材に形成された差し込み孔に着脱可能に差し込まれる。このことで、ホース1が固定部材に固定される。
【0032】
第1半筒体20の内周面とホース1の外周面とは略密着している一方、第2半筒体21の内周面とホース1の外周面との間には隙間が空いている。このように隙間を設けているのは、ホース1の大きさや形状等のばらつきを吸収するためである。尚、図1〜図3では、図を見やすくするため、この隙間は明示されていない。
【0033】
ホースクリップ2のホース1への固定は、ホース1の外周面にホースクリップ2を接着剤B(図5(b)、図6(b)に図示)で接着することによって行われる。具体的に接着剤Bとしては、シアノアクリレート系の所謂瞬間接着剤(一例として田岡化学株式会社製のシアノボンドRP−X等が好ましい)を用いることができる。この接着は、第1半筒体20の係合部23を第2半筒体21の被係合部24に係合した後に行われる。以下、この接着構造について説明する。
【0034】
図4〜図6に示すように、第1半筒体20の周方向中央部には、その軸方向中央部にホースクリップ2の径方向(ホースクリップ2の厚み方向)に貫通する接着剤注入路26が形成されている。この接着剤注入路26は、通路断面が円状で、通路径が一定のものである。
【0035】
ホースクリップ2の内周面には、それぞれ接着剤注入路26と連通する第1〜第4窪み部27a〜27dが形成されている。これらの窪み部27a〜27dは、接着剤注入路26とともにホースクリップ2のモールド成形時に形作られる。
【0036】
第1窪み部27aは、接着剤注入路26からホースクリップ2の軸方向(以下、クリップ軸方向という)の一方側に、第2窪み部27bは、接着剤注入路26からホースクリップ2の周方向(以下、クリップ周方向という)の一方側に、第3窪み部27cは、接着剤注入路26からクリップ軸方向の他方側に、第4窪み部27dは、接着剤注入路26からクリップ周方向の他方側に、それぞれ延びている。つまり、第1〜第4窪み部27a〜27dは、十字型に配置されている。
【0037】
各窪み部27a〜27dは、それぞれ互いに間隔を開けて形成されかつ上流端部が接着剤注入路26と連通する溝状の第1及び第2接着剤通路28a,28bと、これらの第1及び第2接着剤通路28a,28bの間で両者に沿って延びるとともに幅方向両端部が第1及び第2接着剤通路28a,28bの幅方向内側端部とそれぞれ連通し、かつ深さが第1及び第2接着剤通路28a,28bよりも浅い溝状の接着部29とを有している。つまり、第1及び第2接着剤通路28a,28bは、接着部29の幅方向両側にそれぞれ形成されている。
【0038】
第1窪み部27aの第1接着剤通路28a及び第4窪み部27dの第2接着剤通路28bの上流端部は、共通のものである。第1窪み部27aの第2接着剤通路28b及び第2窪み部27bの第1接着剤通路28aの上流端部、第2窪み部27bの第2接着剤通路28b及び第3窪み部27cの第1接着剤通路28aの上流端部、並びに第3窪み部27cの第2接着剤通路28b及び第4窪み部27dの第1接着剤通路28aの上流端部も、それぞれ、共通のものである。
【0039】
各窪み部27a〜27dの第1及び第2接着剤通路28a,28bは、上流端部が接着剤注入路26から互いに離れる方向に斜めに延びた後、互いに平行に延びている。各接着剤通路28a,28bは、上流端部がそれ以外の部分よりも幅が広い。各接着剤通路28a,28bは、断面形状が略矩形状に形成されている。各接着剤通路28a,28bと接着部29との連通部の内面30は、断面形状がホースクリップ2の内周面側に湾曲する湾曲形状(この湾曲形状にはR形状が含まれる)に形成されている。このことで、接着剤Bが各接着剤通路28a,28bから接着部29に流入しやすくなる。
【0040】
各接着剤通路28a,28bの下流端部には、通路断面積が接着剤通路28a,28bよりも広い空間部31が形成されている。つまり、この空間部31は、接着剤通路28a,28bよりも幅が広く、深さが深い。空間部31は、接着部29における接着剤注入路26とは反対側の端部よりも接着剤注入路26から遠くに配置されている。このように接着剤通路28の下流端部に空間部31を設けることによって、接着剤Bが接着剤通路28をその下流端部側に進みやすくなる。また、各窪み部27a〜27dの接着剤通路28のうち、接着剤Bが行き渡っていない接着剤通路28がある場合、接着剤Bを接着剤注入路26から注入し続けても、その接着剤Bが行き渡っていない接着剤通路28以外の接着剤通路28については、その空間部31によって接着剤Bを堰き止めることができる。
【0041】
接着部29における接着剤注入路26側の端部は、接着剤注入路26から離れるに従って幅が広くなる一方、その端部以外の部分は、幅が一定である。
【0042】
以下、接着剤Bの注入工程について説明する。図示しない接着剤注入ノズルから接着剤Bを接着剤注入路26に注入すると、接着剤Bが接着剤注入路26をその上流端側から下流端側へ流通し、各窪み部27a〜27dの第1及び第2接着剤通路28a,28bに流入する。各窪み部27a〜27dの第1及び第2接着剤通路28a,28bに流入した接着剤Bは、その接着剤通路28a,28bをその上流端側から下流端側へ流通する。各窪み部27a〜27dの第1及び第2接着剤通路28a,28bを流通した接着剤Bは、その接着剤通路28a,28bにおける幅方向の接着部29側の端部から接着部29に流入する。そして、各窪み部27a〜27dの接着部29が接着剤Bによって充填される。以上のようにして、接着剤注入路26から各窪み部27a〜27dの接着剤通路28a,28bを介して各窪み部27a〜27dの接着部29に注入充填された接着剤Bによって、ホースクリップ2の内周面とホース1の外周面とが接着されている。
【0043】
尚、接着剤Bの注入量や接着剤Bの注入方法等によっては、接着剤Bが窪み部27の接着剤通路28に残ったり、接着剤Bが窪み部27からはみ出してホースクリップ2の内周面とホース1の外周面との間における窪み部27近傍に流出したりするので、各窪み部27a〜27dの接着部29に注入充填された接着剤Bに加えて、それらの接着剤Bによって、ホースクリップ2の内周面とホース1の外周面とが接着されることがある。
【0044】
−効果−
以上により、本実施形態によれば、ホースクリップ2の径方向に貫通する接着剤注入路26から、この接着剤注入路26と連通する、ホースクリップ2の内周面の4つの窪み部27a〜27dに注入された接着剤Bによって、ホースクリップ2の内周面とホース1の外周面とが接着されているので、接着剤注入路26や窪み部27a〜27dの位置を、ホースクリップ2の内周面とホース1の外周面との接着剤Bの位置が所望の位置になるように設定すれば、その位置を所望の位置にすることができる。
【0045】
また、接着剤注入路26から、上流端部が接着剤注入路26と連通する接着剤通路28を介して、この接着剤通路28に沿って延びて幅方向の接着剤通路28側の端部がこの接着剤通路28と連通する、深さが接着剤通路28よりも浅い接着部29に注入された接着剤Bによって、ホースクリップ2の内周面とホース1の外周面とが接着されているので、接着剤注入路26や接着剤通路28、接着部29の位置を、ホースクリップ2の内周面とホース1の外周面との接着剤Bの位置が所望の位置になるように設定すれば、その位置を所望の位置にすることができる。
【0046】
さらに、接着剤通路28を接着部29の幅方向両側にそれぞれ形成しているので、接着剤通路28を接着部29の幅方向一方側にのみ形成している場合と比較して、接着剤Bを接着部29に満遍なく行き渡らせることができる。このため、ホースクリップ2の内周面とホース1の外周面とを確実に接着することができる。
【0047】
さらにまた、接着剤通路28と接着部29との連通部の内面30の断面形状を湾曲形状に形成しているので、接着剤Bが接着剤通路28から接着部29に流入しやすくなり、接着剤Bを接着部29に満遍なく行き渡らせることができる。このため、ホースクリップ2の内周面とホース1の外周面とを確実に接着することができる。
【0048】
また、接着剤通路28の下流端部に空間部31を形成しているので、接着剤Bが接着剤通路28をその下流端部側に進みやすくなり、接着剤Bを接着部29に満遍なく行き渡らせることができる。このため、ホースクリップ2の内周面とホース1の外周面とを確実に接着することができる。
【0049】
さらに、窪み部27を4つ形成しているので、窪み部27を単数形成している場合と比較して、ホースクリップ2の内周面とホース1の外周面とを確実に接着することができる。
【0050】
さらにまた、接着剤通路28の下流端部に空間部31を形成しているので、接着剤通路28のうち接着剤Bが行き渡っていない接着剤通路28がある場合、接着剤Bを接着剤注入路26から注入し続けても、その接着剤Bが行き渡っていない接着剤通路28以外の接着剤通路28については、その空間部31によって接着剤Bを堰き止めることができる。このため、接着剤Bが接着剤通路28の下流端部よりも向こう側に行くことを抑制することができる。
【0051】
また、窪み部27をクリップ軸方向又はクリップ周方向に延ばしているので、窪み部27をクリップ軸方向及びクリップ周方向以外の方向に延ばしている場合と比較して、その断面形状を一定の形状にしやすい。
【0052】
さらに、接着剤注入路26をホースクリップ2の軸方向中央部に形成しているので、窪み部27をあらゆる方向に延ばすことができる。
【0053】
さらにまた、窪み部27をあらゆる方向に延ばすことができるので、窪み部27の位置の設定次第で、接着剤Bをホースクリップ2の内周面とホース1の外周面との間に満遍なく行き渡らせることができ、ホースクリップ2の内周面とホース1の外周面とを確実に接着することができる。
【0054】
以上により、ホースクリップ2の内周面とホース1の外周面との接着面積や接着強度を安定化させることができるとともに、その接着作業を簡易化することができる。
【0055】
(その他の実施形態)
ホース1の材質や構造、用途は、前記のものに限定されない。例えば、その内層をNBRで、外層をCRで、或いは、内層及び外層をACMで、或いは、内層及び外層をECOで、或いは、内層をNBRで、外層をECOで、或いは、内層をFKMで、外層をECOで、或いは、内層をFKMで、外層をFKMで形成してもよい。また、ホース1を1層構造或いは3層構造のものにしてもよい。この1層構造のものは、EPDMやNBR+PVC、ACM、ECO、FKMで形成することができる。3層構造のものは、その内層及び外層の材質を前記の2層構造と同じ材質にすることができる。3層構造の中間層は、糸を編み込んでなる内層補強用のものにすることができる。さらに、ホース1を自動車のエンジンルームにおいてエンジンへの燃料供給等に用いられるものにしてもよい。
【0056】
ホースクリップ2の材質や構造は、前記のものに限定されない。
【0057】
接着剤注入路26の構造は、前記のものに限定されない。例えば、ホースクリップ2の軸方向端部に形成してもよい。また、接着剤注入路26の上流端部を軸方向内側から外側に行くに従って広がる漏斗状に形成してもよい。このことで、接着剤注入ノズルから接着剤Bを接着剤注入路26に注入しやすくなる。さらに、接着剤注入路26の下流端部を軸方向内側から外側に行くに従って広がる漏斗状に形成してもよい。このことで、接着剤Bが接着剤注入路26から各接着剤通路28a,28bに流入しやすくなる。
【0058】
窪み部27の構造は、前記のものに限定されない。例えば、窪み部27を1〜3つ、又は5つ以上形成してもよい。また、窪み部27をクリップ軸方向及びクリップ周方向以外の方向に延ばしてもよい。但し、その断面形状を一定の形状にする観点からは、クリップ軸方向又はクリップ周方向に延ばすことが好ましい。
【0059】
接着剤通路28の構造は、前記のものに限定されない。例えば、接着剤通路28を接着部29の幅方向一方側にのみ形成してもよい。但し、接着剤Bを接着部29に満遍なく行き渡らせる観点からは、接着部29の幅方向両側に形成することが好ましい。
【0060】
前記実施形態では、接着剤注入路26及びこれに対応する窪み部27をホースクリップ2の第1半筒体20に1組形成しているが、これに限らず、第2半筒体21に形成したり、第1及び第2半筒体20,21の両方に形成してもよく、また、2組以上形成してもよい。但し、ホースクリップ2の内周面とホース1の外周面とが略密着している部分に形成する必要がある。
【0061】
前記実施形態では、ホースクリップ2とホース1との接着は、第1半筒体20の係合部23を第2半筒体21の被係合部24に係合した後に行われるが、その係合前に行ってもよい。
【0062】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0063】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、本発明にかかるホースクリップの取付構造は、ホースクリップの内周面とホースの外周面との間の接着剤の位置を所望の位置にすることが必要な用途等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態に係るホースアセンブリの斜視図である。
【図2】ホースアセンブリの要部の拡大斜視図である。
【図3】ホースアセンブリをその延長方向と直角をなす平面に沿って切った部分断面図である。
【図4】接着剤注入路及び窪み部をホースクリップの内周面側から見た図である。
【図5】図4のV−V線断面図であり、(a)は、接着剤を接着部に注入する前の状態を示す図であり、(b)は、接着剤を接着部に注入した後の状態を示す図である。
【図6】ホースアセンブリをその延長方向と直角をなす平面に沿って切った断面図であり、(a)は、接着剤を接着部に注入する前の状態を示す図であり、(b)は、接着剤を接着部に注入した後の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 ラジエータホース
2 ホースクリップ
26 接着剤注入路
27 窪み部
28 接着剤通路
29 接着部
31 空間部
A ホースアセンブリ
B 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホースの外周面に取り付けられるホースクリップの取付構造であって、
前記ホースクリップには、その径方向に貫通する接着剤注入路が形成されており、
前記ホースクリップの内周面には、前記接着剤注入路と連通する少なくとも1つの窪み部が形成されており、
前記接着剤注入路から前記窪み部に注入された接着剤によって、前記ホースクリップの内周面と前記ホースの外周面とが接着されていることを特徴とするホースクリップの取付構造。
【請求項2】
請求項1記載のホースクリップの取付構造において、
前記窪み部は、上流端部が前記接着剤注入路と連通する接着剤通路と、該接着剤通路に沿って延びるとともに幅方向の前記接着剤通路側の端部が該接着剤通路と連通し、かつ深さが前記接着剤通路よりも浅い接着部とを有しており、
前記接着剤注入路から前記接着剤通路を介して前記接着部に注入された接着剤によって、前記ホースクリップの内周面と前記ホースの外周面とが接着されていることを特徴とするホースクリップの取付構造。
【請求項3】
請求項2記載のホースクリップの取付構造において、
前記接着剤通路は、前記接着部の幅方向両側にそれぞれ形成されていることを特徴とするホースクリップの取付構造。
【請求項4】
請求項2又は3記載のホースクリップの取付構造において、
前記接着剤通路と前記接着部との連通部の内面は、断面形状が湾曲形状に形成されていることを特徴とするホースクリップの取付構造。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1つに記載のホースクリップの取付構造において、
前記接着剤通路の下流端部には、空間部が形成されていることを特徴とするホースクリップの取付構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のホースクリップの取付構造において、
前記窪み部は、複数形成されていることを特徴とするホースクリップの取付構造。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載のホースクリップの取付構造において、
前記窪み部は、クリップ軸方向又はクリップ周方向に延びていることを特徴とするホースクリップの取付構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載のホースクリップの取付構造において、
前記接着剤注入路は、前記ホースクリップの軸方向中央部に形成されていることを特徴とするホースクリップの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−138995(P2010−138995A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315761(P2008−315761)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000201869)倉敷化工株式会社 (282)