説明

ボイラチューブの補強方法及び補強構造

【課題】ボイラチューブに発生した膨出部に対する補強手段として、簡易かつ低コストで、次回定期点検まで補強強度を持続可能な応急的補強手段を実現する。
【解決手段】ボイラチューブtの膨出部eに、耐熱性でボイラチューブtと線膨張率が同等な材質のワイヤ10をボイラチューブtに対して押圧力を付加した状態で巻回する。巻回と同時に、始端部及び巻回した領域から適宜箇所にスポット溶接を行っていく。最後にワイヤ10の終端部をボイラチューブtにスポット溶接する。その後、長辺をボイラチューブ軸方向に向けたSUS製箔12をワイヤ10及びボイラチューブ表面に、好ましくはSUS製箔12の全域で同時溶接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電所に設けられたボイラのボイラチューブ等に適用でき、ボイラチューブの膨出部を応急的に補強する補強方法及び補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所に設けられたボイラに取り付けられ、高温域に配置されるボイラチューブは、炭化した油分等の付着によって局部過熱が起こり、これが原因となって、減肉や膨出変形、あるいは圧潰やクラック等が発生する。膨出変形が認められたら、通常、膨出部を切断し、新しい管と取り替えていた。この場合、切断→開先加工→溶接→(材質によって)熱処理からなる作業工程を行う必要がある。
【0003】
即ち、図5に示すように、ボイラチューブtに膨出部eが発生した場合、膨出部eの上部部位及び下部部位に設定した切断線cでボイラチューブtを切断する。切断後、新管tnの上端及び下端を切断線cに溶接する。時間的余裕があり、新管のストックがある場合、かかる補修を行うのが最善であるが、工期や新管のストック状況等の関係から、すぐに取替え作業を実施できない場合がある。そのため、次回定期点検までの間、応急的な対策が求められる場合もある。
【0004】
特許文献1には、ボイラ、タービン等で、クリープ損傷により劣化した部位を再生する技術が開示されている。この方法は、クリープ劣化した部位を選択的に補修溶接し、その後、該劣化部位をクランプにより拘束した状態で、高周波加熱コイルを用いて加熱し、再生熱処理するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−253337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された補修手段は、従来の取替え作業と比べて、劣化部位を切断する工程を省略でき、作業工程を簡素化できる利点がある。しかし、クランプ装置や高周波加熱コイルを装備した比較的大掛かりな装置を必要とする。火力発電所に設けられたボイラは、狭い間隔で多数のボイラチューブが並んでおり、かかる狭い空間で作業するには不向きである。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、ボイラチューブに発生した膨出部に対する補強手段として、簡易かつ低コストで、次回定期点検まで補強強度を持続可能な応急的補強手段を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、本発明のボイラチューブの補強方法は、耐熱性で線膨張率がボイラチューブと同等の材質からなる金属製の巻回部材を、膨出部の外周面に膨出部を外側から押圧するように周方向に巻回する第1工程と、膨出部に巻回した巻回部材の少なくとも両端部をボイラチューブ表面又は巻回部材表面に溶接する第2工程とからなり、膨出部を巻回部材によって外側から補強するものである。
【0009】
このように、金属製の巻回部材で膨出部を外側から押圧するように巻回するので、膨出部のさらなる膨出を抑止できる。また、該巻回部材はボイラチューブと同等の線膨張率を有しているので、ボイラチューブ周囲の温度が変化しても、巻回部材の押圧力は低減しない。また、巻回部材の少なくとも両端部をボイラチューブ表面又は巻回部材表面に溶接するようにしているので、ボイラチューブに対する巻回部材の押圧力及び結合強度を保持できる。第2工程の溶接作業は、第1工程のワイヤの巻回作業を行いながら、巻回が終わったワイヤ領域から、順々に同時並行して行うことができる。
【0010】
本発明方法において、金属製の帯状体をボイラチューブの軸方向に向け、帯状体を巻き付けられた巻回部材の外側から巻回部材及びボイラチューブ表面の両方に溶接する第3工程をさらに含むようにするとよい。このように、巻回部材の上から帯状体を巻回部材及びボイラチューブ表面の両方に溶接することにより、ボイラチューブに対する巻回部材の結合強度を増大できる。なお、帯状体は部分的な領域で又は全域で巻回部材及びボイラチューブ表面に溶接する。
【0011】
なお、帯状体の長辺長さを巻回部材のボイラチューブ軸方向長さと同等以上にすれば、帯状体を巻回部材のボイラチューブ軸方向全域に溶接できるので、巻回部材のボイラチューブに対する結合強度をさらに増大できる。また、巻回部材及びボイラチューブに対して、部分的にではなく、帯状体の長辺方向全域に亘って溶接すれば、該結合強度をさらに向上できる。
【0012】
本発明方法において、並列に配置されたボイラチューブ群中のボイラチューブに発生した膨出部を補強する場合、膨出部の背面側に半円筒形のガイドを、該ガイドの内面と該膨出部との間に巻回部材が挿入可能な隙間を置いて配置し、次に、この隙間に巻回部材を挿入し、巻回部材をガイドの内面に沿わせながら膨出部の背面に巻回するようにするとよい。このように、半円筒形のガイドを用いることで、狭い間隔で配置されたボイラチューブ群の中でも、巻回部材の取り付けが容易になる。
【0013】
また、前記本発明方法の実施に直接使用可能な本発明のボイラチューブの補強構造は、耐熱性で線膨張率がボイラチューブと同等の材質からなる金属製の巻回部材を、膨出部の外周面に膨出部を外側から押圧するように周方向に巻回し、巻回部材の少なくとも両端部をボイラチューブ表面又は巻回部材表面に溶接してなるものである。巻回部材を膨出部に巻回し、膨出部を外側から補強することで、膨出部のさらなる膨出を抑止できると共に、ボイラチューブの周囲温度に変化があっても、巻回部材の押圧力を保持できる。また、巻回部材の少なくとも両端部、及び必要ならさらに中間部位を溶接することで、巻回部材をボイラチューブ表面に必要な結合強度で固定できる。
【0014】
前記構成に加えて、巻き付けられた巻回部材の外側からボイラチューブの軸方向に向けて金属製の帯状体が設けられ、該帯状体が巻回部材及びボイラチューブ表面の両方に溶接されているとよい。帯状体を巻回部材及びボイラチューブに固着することで、ボイラチューブ表面に対する巻回部材の結合強度を向上できる。
【0015】
巻回部材は、ワイヤからなり、該ワイヤが膨出部の外周面に膨出部を外側から押圧するように周方向に巻回されているとよい。これによって、入手が容易なワイヤを用いて膨出部の補強が可能になり、低コストな補強作業が可能になる。なお、隣り合うワイヤ間の間隔を空けて巻回してもよく、あるいは隣り合うワイヤ間を隙間なく巻回してもよい。隣り合うワイヤ間を隙間なく巻回することで、巻回部材を膜状に形成でき、膨出部に対する押圧力を高めることができる。
【0016】
あるいは、巻回部材は、ワイヤを網状に交差して形成された薄板状の網体からなり、該膜状体が膨出部の外周面に膨出部を外側から押圧するように周方向に巻回されているとよい。このように、予め網体を形成しておくことで、網体の膨出部への巻回が容易になる。好ましくは、膜状体を形成するワイヤは、ボイラチューブの軸方向及び周方向に向けて配置されているとよい。これによって、膜状体のボイラチューブ周方向の強度を向上でき、膜状体の膨出部に対する押圧力を高く保持できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明方法によれば、耐熱性で線膨張率がボイラチューブと同等の材質からなる金属製の巻回部材をボイラチューブの膨出部に巻回し、膨出部を外側から補強するようにしたので、補強作業が容易であり、かつボイラチューブの周囲温度が変化しても、膨出部に対して高い押圧力を維持できる。従って、簡易かつ低コストな手段で、次回定期点検までの強度保持が可能な応急的補強手段を実現できる。また、本発明の補強構造も、前記構成により、本発明方法と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の補強構造を施工した第1実施形態に係るボイラチューブの正面図である。
【図2】第1実施形態に補強構造の施工時を示し、(A)はその平面図であり、(B)は(A)中のA矢視図である。
【図3】第1実施形態の補強構造の試験結果を示す線図である。
【図4】本発明の補強構造を施工した第2実施形態に係り、(A)は施工開始時の正面図であり、(B)は施工終了時の正面図である。
【図5】従来のボイラチューブ膨出部の補修方法を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0020】
(実施形態1)
本発明の第1実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。本実施形態は、火力発電所に設けられたボイラのボイラチューブを対象とした例である。ここでは、ボイラに狭い間隔でボイラチューブ群が接続されており、そのうちのひとつのボイラチューブtに発生した膨出部eを補強する例である。図1は、本実施形態の補強構造を施工した後の状態を示す。ボイラチューブtは、外径50mmの高Cr鋼製であり、このボイラチューブtの膨出部eに、直径1.2mmのインコネル製ワイヤ10を隙間なく巻回している。ワイヤ10の巻回工程を図2により説明する。
【0021】
図2において、ボイラチューブt間の間隔は、例えば5cmほどである。まず、ボイラチューブtの背面側に半円筒形のガイド14を配置する。ガイド14は、断面が半円形をなし、長手方向両端に小径部140があり、小径部140は段差部142を介して中央の大径部144に連なっている。両端小径部140の内面が膨出部eの上方及び下方でボイラチューブ表面に接触している。大径部144の内側は、ボイラチューブ表面との間に隙間sを形成している。膨出部eの外側にワイヤ10が挿入可能なように、隙間sの大きさが設定されている。
【0022】
ガイド14を配置した後、ボイラチューブ表面と大径部144との間の隙間sにワイヤ10を挿入する。挿入開始位置は、大径部144の上端域又は下端域とする。ワイヤ10の先端を大径部144の内面に沿わせ、大径部144の内面に案内させて周方向に半回転させ、出口側の隙間sから突出させる。他方の隙間sから突出したワイヤ端に引張力を加えながら、この操作を繰り返す。大径部144の上流側から始めたときは、ワイヤ10を下方へ向けてボイラチューブ表面との間に隙間を置かず、かつ隣り合うワイヤ10との間にも隙間を置かずに、ボイラチューブtに押圧力を付与しながら巻回する。大径部144の下端域から始めたときは、同様に上方へ向けて巻回する。こうして、膨出部e及びその上下領域にワイヤ10を巻回する。
【0023】
ワイヤ10を巻回しながら、まずワイヤ10の始端部をスポット溶接すると共に、結合強度がさらに必要な場合、巻回が終わった領域に対し、適宜箇所にスポット溶接を行っていく。ボイラチューブtとインコネル製ワイヤ10の線膨張率は、常温からボイラチューブtの外側域の加熱温度上限である650℃付近までほぼ同等である。そのため、ボイラチューブ外側域の温度が前記温度域の間で変わっても、ワイヤ10の押圧力を保持できる。ワイヤ10の巻回工程が終わった時、ワイヤ10の終端部をボイラチューブ表面に溶接する。
【0024】
次に、幅5mmで、長辺がワイヤ10のボイラチューブ軸方向の巻回領域以上の長さを有する薄板状のSUS製箔12を用意する。SUS製箔12をボイラチューブtの軸方向に向け、SUS製箔12の長辺方向全長に亘り、ワイヤ10及びボイラチューブ表面の両方に同時に溶接する。溶接箇所はSUS製箔12の長辺全域を溶接している。これで本実施形態の補強作業を終了する。
【0025】
本実施形態によれば、膨出部eに押圧力を付与しながらワイヤ10を巻回することで、膨出部eがそれ以上膨出するのを抑制できる。また、ワイヤ10を巻回作業と同時に、ワイヤ10の始端部及び巻回が済んだ領域からスポット溶接を行っていくので、スポット溶接に特に時間を要しない。また、とりあえずスポット溶接でワイヤ10をボイラチューブ表面に固定するので、次のSUS製箔12の溶接作業がやりやすくなる。また、SUS製箔12をワイヤ10の巻回領域全域でワイヤ10及びボイラチューブ表面の両方に同時溶接するので、ワイヤ10のボイラチューブ表面に対する結合強度を向上できる。また、隣り合うワイヤ間を隙間なく膜状に巻回しているので、膨出部eに対する押圧力を高めることができる。
【0026】
また、従来の補修方法のように、切断、溶接、熱処理等の作業が発生しないため、短時間で行うことができ、新管tのストックが不要であるので、低コストで作業を行うことができる。また、ボイラチューブ表面に柔軟性のあるワイヤ10を巻回するので、直管部又は曲折部を問わず、あらゆる管径、形状のボイラチューブに適用できる。さらに、半円筒形のガイド14をボイラチューブtの背面側に配置して、ワイヤ10の巻回を行うので、ボイラチューブ間が狭い空間であっても、ワイヤ10の巻回をスムーズに行うことができる。なお、ワイヤ10のスポット溶接によるボイラチューブへの熱影響は、無視できるほど少ない。
【0027】
前記材質及び形状のボイラチューブに対し、前記材質及び形状のワイヤを用いて実際に行った補強作業の試験結果を図3に示す。試験条件は、ボイラチューブ周囲の温度を650℃とし、ボイラチューブの内圧を20.2MPaとした。同一材質及び同一形状のボイラチューブ2体について、1体は試験時間800hr経過時にワイヤ巻回を行い、もう一方はワイヤを巻回せずに試験を行った。ボイラチューブの試験体は、図1のような膨出部が発生していないボイラチューブを用いた。
【0028】
その結果、ワイヤ巻回なしの試験体は、800hr以降、347.5hrで破壊に至った。一方、ワイヤを巻回した試験体は、800hr経過以降、775.6hrを経過しても破壊に至らなかった。従って、ワイヤ10を巻回することで、ボイラチューブが破壊するまでの残寿命を2倍以上延命できることがわかった。
【0029】
この試験条件を実機条件に換算すると、運転温度603℃、運転圧力12.1MPaで50,000hr運転したボイラチューブにおける残寿命は、8,000hr(およそ1年)の運転時間になる。一方、ワイヤを巻回したボイラチューブは、17,600hr(2年強)の運転時間まで延命できる。こうして、簡易かつ低コストで、次回定期点検まで補強強度を持続可能な応急的補強を可能とする。なお、第1実施形態では、ワイヤ10を1層のみ巻回しているが、ボイラチューブ周囲の温度、膨出部eの状態及びボイラチューブの内圧によっては、2層以上巻回するようにしてもよい。
【0030】
(実施形態2)
本発明方法の第2実施形態を図4により説明する。本実施形態は、前記第1実施形態で用いたインコネル製ワイヤ10で構成された薄板状の網体16を巻回部材として用いている。網体16は、ワイヤ10で形成された四角状の外縁160と、直交方向に交差された網状ワイヤ162が、外縁160に結合されて構成されている。網状ワイヤ162は外縁160に対して平行又は直角な方向に向くように構成されている。
【0031】
この網体16をボイラチューブtの膨出部e及びその上側領域及び下側領域に押圧力を加えながら周方向に巻回している。網体16の外縁160をボイラチューブ軸方向に平行又は直交する方向に配置することで、網状ワイヤ162は、ボイラチューブtの軸方向又は周方向に向くように配置される。また、第1実施形態の網体16の巻回工程と同時に、始端側外縁160及び巻回が終わった領域から適宜箇所で、ボイラチューブ表面にスポット溶接していく。
【0032】
網体16をボイラチューブ表面に1周分巻回したら、網体16の終端領域を始端領域に重ね、その上からSUS製箔12を重ねる。このSUS製箔12の長辺は、第1実施形態と同様に、網体16のボイラチューブ軸方向全域に及ぶ長さをもつ。そして、SUS製箔12の全域に亘り、網体16及びボイラチューブに同時溶接を行っている。図4(A)は網体16の巻回工程開始時を示し、(B)はSUS製箔12の溶接工程終了時を示す。
【0033】
本実施形態によれば、膨出部eに押圧力を付加しながら網体16を巻回することで、膨出部eのさらなる膨出を抑制できる。また、SUS製箔12をワイヤ10の巻回領域全域でワイヤ10及びボイラチューブ表面の両方に同時溶接するので、ワイヤ10ボイラチューブ表面に対する結合強度を向上できる。また、従来のように、切断、溶接及び熱処理等の工程が不要であるので、短時間かつ低コストで行うことができる。
【0034】
また、第1実施形態のワイヤ10の巻回に比べて、網体16の巻回は1回巻きで行うことができる。そのため、巻回工程を短時間で行うことができると共に、、任意の管径に施工できる。ただし、ベンド部に対しての施工は直管部ほど容易でなく、直管部に適用して好適である。こうして、簡易かつ低コストで、次回定期点検まで補強強度を持続可能な応急的補強を可能とする。
【0035】
なお、第1実施形態のワイヤ10と第2実施形態の網体16とを組み合わせ施工してもよい。例えば、1層目に網体16を巻回し、2層目にワイヤ10を巻回するようにしてもよい。これによって、膨出部eに対して押圧力が大きく、かつ補強強度をさらに長時間持続可能な補強構造とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、ボイラチューブに発生した膨出部を、次回定期点検までの延命措置として、簡易かつ低コストな応急的補強手段を実現でき、火力発電所等に設けられたボイラのボイラチューブに適用できる。
【符号の説明】
【0037】
10 ワイヤ
12 SUS製箔
14 ガイド
140 小径部
142 段差部
144 大径部
16 網体
160 外縁
162 網状ワイヤ
c 切断線
e 膨出部
s 隙間
t ボイラチューブ
tn 新管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラチューブに発生した膨出部を補強する補強方法において、
耐熱性で線膨張率がボイラチューブと同等の材質からなる金属製の巻回部材を、前記膨出部の外周面に膨出部を外側から押圧するように周方向に巻回する第1工程と、
膨出部に巻回した前記巻回部材の少なくとも両端部をボイラチューブ表面又は該巻回部材表面に溶接する第2工程とからなり、
前記膨出部を前記巻回部材によって外側から補強するようにしたことを特徴とするボイラチューブの補強方法。
【請求項2】
金属製の帯状体をボイラチューブの軸方向に向け、該帯状体を巻き付けられた巻回部材の外側から前記巻回部材及びボイラチューブ表面の両方に溶接する第3工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のボイラチューブの補強方法。
【請求項3】
前記膨出部が並列に配置されたボイラチューブ群中のボイラチューブに発生した膨出部であり、
前記第1工程は、
前記膨出部の背面側に半円筒形のガイドを、該ガイドの内面と該膨出部との間に前記巻回部材が挿入可能な隙間を置いて配置する第1ステップと、
前記隙間に前記巻回部材を挿入し、該巻回部材を該ガイドの内面に沿わせながら膨出部の背面に巻回する第2ステップとからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のボイラチューブの補強方法。
【請求項4】
ボイラチューブに発生した膨出部を補強する補強構造において、
耐熱性で線膨張率がボイラチューブと同等の材質からなる金属製の巻回部材を、前記膨出部の外周面に膨出部を外側から押圧するように周方向に巻回し、該巻回部材の少なくとも両端部をボイラチューブ表面又は該巻回部材表面に溶接してなることを特徴とするボイラチューブの補強構造。
【請求項5】
巻き付けられた前記巻回部材の外側から前記ボイラチューブの軸方向に向けて金属製の帯状体が設けられ、該帯状体が前記巻回部材及びボイラチューブ表面の両方に溶接されてなることを特徴とする請求項4に記載のボイラチューブの補強構造。
【請求項6】
前記巻回部材はワイヤからなり、該ワイヤが前記膨出部の外周面に膨出部を外側から押圧するように周方向に巻回されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のボイラチューブの補強構造。
【請求項7】
前記巻回部材は、ワイヤを網状に交差して形成された薄板状の網体からなり、該網体が前記膨出部の外周面に膨出部を外側から押圧するように周方向に巻回されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のボイラチューブの補強構造。
【請求項8】
前記網体を形成するワイヤは、ボイラチューブの軸方向及び周方向に向けて配置されていることを特徴とする請求項7に記載のボイラチューブの補強構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−96681(P2013−96681A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242898(P2011−242898)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)