説明

ボーディングブリッジ

【課題】 乗客、例えば車椅子に乗った乗客が感じる不安を軽減し、かつ移動体にスムーズに乗降することができるボーディングブリッジを提供する。
【解決手段】 歩行通路となる傾斜床34と、平面視において傾斜床34の面内に設けられ、移動体の乗降部11Aとの接続に用いられる昇降可能な通路であって、この通路が上昇するときには、乗降部11Aとの接続側となる一端部とは離れた他端部が傾斜床34との間に実質段差がない状態を維持して一端部側が上昇することにより、一端部と他端部との間に傾斜路を含みかつ階段状の段差がない通路を形成するように構成された昇降通路21と、昇降通路21が上昇したときに、昇降通路21の側部に沿って上方へ突出するガードプレート101A,101Bとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターミナルビルと航空機または船舶(客船)との間で乗客の移動に使用されるボーディングブリッジ(搭乗橋)に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、空港のターミナルビルと航空機との間の乗客の乗降に用いる設備として、ボーディングブリッジが知られている。ボーディングブリッジが、航空機の乗降部と接続されると、ボーディングブリッジを用いて航空機への通路が形成される。これにより、ターミナルビルと航空機との間での乗客の直接の乗降ができる。
【0003】
ところで、航空機の乗降部の扉の下端部は、航空機の乗降部の床部よりも下方に位置しているので、乗降部の床部とボーディングブリッジとの間の段差を無くすと、この扉がボーディングブリッジに当たることにより、扉の開閉が困難となる。
【0004】
このため、ボーディングブリッジの位置を、乗降部の床部の位置よりも、例えば、百数十mm程度、低くする必要がある。しかし、この場合、乗降部の床部とボーディングブリッジの通路との間の段差が、乗客の乗降に障害となることがある。例えば、車椅子に乗った乗客には、このような段差の存在により、ターミナルから航空機に搭乗することが容易でない。
【0005】
そこで、ボーディングブリッジのキャブ内の先端部に、可動床を設け、この可動床を昇降できる構造がすでに提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1のボーディングブリッジでは、ボーディングブリッジの可動床が乗降部の床部よりも下方に位置した状態で、ボーディングブリッジの先端部が航空機と接続できる。これにより、航空機の乗降部の扉を開閉できる。そして、扉が完全に開いた後、ボーディングブリッジの可動床を乗降部の床部とほぼ同じ高さにまで持ち上げる。すると、乗降部の床部とボーディングブリッジの可動床との間の段差が無くなるので、乗客(例えば、車椅子に乗った乗客)が、航空機から可動床に容易に降りることができる。次いで、ボーディングブリッジの可動床をキャブの床部とほぼ同じ高さにまで下げる。すると、キャブの床部と可動床との間の段差が無くなるので、乗客が、ボーディングブリッジの通路をターミナルに向けて容易に移動できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−155257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1のボーディングブリッジでは、例えば車椅子に乗った乗客の航空機への乗降の都度、可動床の昇降が必要となるので、乗客のスムーズな乗降が阻害される。よって、特許文献1に記載の技術は、乗客のスムーズな乗降の点で未だ改善する余地がある。
【0009】
また、可動床を持ち上げたときには、その両側のキャブの床部との間に段差ができるので、車椅子に乗った乗客にとっては車椅子が脱輪しないか等の不安を感じることにもなる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、乗客、例えば車椅子に乗った乗客が感じる不安を軽減し、かつ移動体にスムーズに乗降することができるボーディングブリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のある形態(aspect)に係るボーディングブリッジは、歩行通路と、平面視において前記歩行通路の面内に設けられ、移動体の乗降部との接続に用いられる昇降可能な通路であって、この通路が上昇するときには、前記乗降部との接続側となる一端部とは離れた他端部が前記歩行通路との間に実質段差がない状態を維持して前記一端部側が上昇することにより、前記一端部と前記他端部との間に傾斜路を含みかつ階段状の段差がない通路を形成するように構成された昇降通路と、前記昇降通路が上昇したときに、前記昇降通路の側部に沿って上方へ突出する保護部材とを備えている。
【0012】
この構成によれば、他端部が歩行通路との間に実質段差がない状態を維持して一端部側が上昇することにより、一端部と他端部との間に傾斜路を含みかつ階段状の段差がない通路を形成するように構成された昇降通路を備えている。これにより、昇降通路と移動体の乗降部との接続部の段差を無くすことができ、かつ、例えば、車椅子に乗った乗客の航空機への乗降の都度、昇降通路を昇降する必要がないため、乗客が移動体にスムーズに乗降できる。
【0013】
また、昇降通路が上昇したときに、昇降通路の側部に沿って上方へ突出する保護部材を備えている。これにより、例えば、車椅子に乗った乗客に対して、車椅子が昇降通路から脱輪するかもしれないというような不安を軽減することができる。
【0014】
また、前記保護部材は、前記昇降通路が上昇するときに、前記昇降通路の通路面より上方へ進出し、前記昇降通路が下降したときに、前記昇降通路の通路面と同じか又はそれより下方へ退避するよう構成されていてもよい。
【0015】
また、前記昇降通路が上昇するときに、前記保護部材が前記昇降通路の通路面より上方へ進出し、前記昇降通路が下降したときに、前記保護部材が前記昇降通路の通路面と同じか又はそれより下方へ退避するよう、前記昇降通路の昇降に応じて前記保護部材を進退させるための前記保護部材と前記昇降通路とを連結する第1の連結機構をさらに備えていてもよい。
【0016】
この構成によれば、第1の連結機構によって保護部材が昇降通路の昇降動作に連動して動作するので、保護部材を動作させるための専用の駆動装置が不要である。
【0017】
また、前記昇降通路の側部と前記歩行通路との間に前記保護部材を配設するための隙間を有し、前記保護部材が前記昇降通路の通路面と同じか又はそれより下方へ退避しているときに前記隙間の上端を塞ぐ蓋をさらに備えていてもよい。
【0018】
この構成によれば、蓋によって隙間へゴミ等が侵入するのを防止できる。
【0019】
前記昇降通路が上昇を始めたときに、前記蓋を開けて前記隙間の上端を開放し、前記昇降通路が下降して前記保護部材が前記昇降通路の通路面と同じか又はそれより下方へ退避したときに前記蓋を閉じるよう、前記昇降通路の昇降に応じて前記蓋の開閉を行わせるための前記蓋と前記昇降通路とを連結する第2の連結機構をさらに備えていてもよい。
【0020】
この構成によれば、第2の連結機構によって蓋が昇降通路の昇降動作に連動して動作するので、蓋を開閉動作させるための専用の駆動装置が不要である。
【0021】
また、前記昇降通路は、前記移動体の乗降部と接続される前記一端部を有する昇降デッキと、前記昇降デッキを昇降する昇降機構と、その固定端部が前記昇降デッキに回動自在に取り付けられ、その自由端部が前記他端部となり前記歩行通路の主面に沿って人の通行方向に移動自在に構成され、前記昇降デッキの移動に伴い、前記自由端部が前記歩行通路の主面に沿って移動して前記昇降デッキと前記歩行通路との間で前記傾斜路を形成する従動スロープとを有し、前記保護部材は、前記昇降通路の両側に配設されていてもよい。
【0022】
この構成によれば、昇降デッキの単純な昇降運動によって、昇降デッキの高さ調整を行うことができるので、昇降デッキの床を傾斜させることなく、ほぼ水平に維持することができる。このため、昇降デッキと乗降部の床部との位置合わせを行い易いという利点がある。
【0023】
また、前記昇降デッキは、人の通行方向にスライドするスライド機構を備え、前記昇降デッキが、前記昇降機構によって前記乗降部の床部と同一高さに移動するとともに、前記スライド機構によって前記乗降部に当接するように構成されていてもよい。
【0024】
この構成によれば、昇降デッキと移動体の乗降部(外壁)との間に僅かな隙間が生じる場合でも、スライド機構によって昇降デッキが乗降部と当接する位置までスライドできるので、段差に加えてこのような隙間も無くすことができる。
【0025】
また、前記歩行通路は、前記昇降デッキおよび前記従動スロープの幅方向の傾きを調整する傾斜床と、前記傾斜床を前記幅方向に傾斜できる傾斜機構とを有し、前記傾斜床を平面視した場合、前記傾斜床の面内に前記昇降デッキおよび前記従動スロープが取り付けられていてもよい。
【0026】
この構成によれば、昇降デッキの床のエッジと、移動体の乗降部の床部のエッジとが、平行になっていない場合に、傾斜床を用いて両者間の平行を取ることができる。例えば、ボーディングブリッジのドライブコラムを動かす途中においても、傾斜床による昇降デッキおよび乗降部間の平行調整を行うことにより、昇降デッキの乗降部への接続動作を効率的に行える。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、以上に説明した構成を有し、乗客、例えば車椅子に乗った乗客が感じる不安を軽減し、かつ移動体にスムーズに乗降することができるボーディングブリッジを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態のボーディングブリッジを備えるボーディングブリッジシステムの一例を示したレイアウト図である。
【図2】本発明の実施形態のボーディングブリッジの全体構成を示した図である。
【図3】本発明の実施形態のボーディングブリッジに用いるキャブの一構成例を模式的に示した図である。
【図4】図3のY−Y線において矢視した調整通路およびその周辺構造の一構成例を示した図である。
【図5】図3の球面すべり軸受の一構成例を示した図である。
【図6】図3のX−X線において矢視した調整通路およびその周辺構造の一構成例を示した図である。
【図7】図6のZ−Z線において矢視した調整通路の周辺構造の一構成例を示した図である。
【図8】本発明の実施形態のボーディングブリッジの航空機の乗降部への接続動作例の説明に用いる図である。
【図9】本発明の実施形態のボーディングブリッジの航空機の乗降部への接続動作例の説明に用いる図である。
【図10】本発明の実施形態のボーディングブリッジの昇降通路及びその周辺部の詳細を示す平面図である。
【図11】(a)は、図10のA−A線において矢視したガードプレートの昇降機構の一構成例を示す図であり、(b)は、図11(a)のC−C線において矢視したガードプレートの昇降機構の一構成例を示す図である。
【図12】ガードプレートが最も突出したときの状態の一例を示す図である。
【図13】(a)は、図10のB−B線において矢視したガードカバーの開閉機構の一構成例を示す図であり、(b)は、図13(a)に示すガードカバーを開いた時の開閉機構の状態を示す図である。
【図14】(a)は、図13(a)のD−D線において矢視したガードカバーの開閉機構の一構成例を示す図であり、(b)は、図13(a)のE−E線において矢視したガードカバーの開閉機構の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、全ての図面を通じて、同一ないし相当する構成要素には同じ参照番号を付し、以下、このような構成要素の重複的記載を省略する場合がある。
【0030】
また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。つまり、以下の具体的な説明は、本発明の「ボーディングブリッジ」の特徴を例示しているに過ぎない。よって、本発明の「ボーディングブリッジ」を特定した構成要素に対応する用語に適宜の参照符号を付して以下の具体例を説明する場合、当該具体的な装置は、これに対応する本発明の「ボーディングブリッジ」の構成要素の一例である。
【0031】
例えば、以下に述べる「航空機11」は、本発明の構成要素である「移動体」の一例に過ぎない。このため、「移動体」の具体例は、航空機に限らず、例えば、「大型客船」でもよい。
【0032】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態のボーディングブリッジを備えるボーディングブリッジシステムの一例を示したレイアウト図である。
【0033】
図1に示すように、航空旅客用のボーディングブリッジシステム1は、空港のターミナルビル10の出入口に接続された航空旅客ボーディングブリッジ20(以下、「ボーディングブリッジ20」と略す)を備える。航空機11では、このようなボーディングブリッジ20を使用することにより、乗客の効率的な乗降が行われる場合がある。
【0034】
図2は、本発明の実施形態のボーディングブリッジの全体構成を示した図である。なお、本実施形態では、例えば図2に示すように、便宜上、ボーディングブリッジ20の航空機11側を「前」とし、ボーディングブリッジ20のターミナルビル10側を「後」としている。また、ボーディングブリッジ20の幅方向300をボーディングブリッジ20の「左」、「右」としている。また、以下の説明では、ボーディングブリッジ20の前後方向200を通行者(乗客)の「通行方向200」という場合がある。
【0035】
図2に示すように、ボーディングブリッジ20は、ターミナルビル10の出入口10Aに接続されたロタンダ(後部円形室)24と、ロタンダ24に接続されたトンネル部25と、トンネル部25の前端に配されたキャブ(前部円形室)26と、キャブ26の近傍のトンネル部25の側壁に配された補助階段23と、を備える。
【0036】
ロタンダ24は、トンネル部25が、鉛直方向(図2の紙面に鉛直方向)の軸24A(以下、このような軸を「鉛直軸」という)の周りにスイング運動できるよう、トンネル部25の後端に回転可能に配されている。これにより、ロタンダ24は、ターミナルビル10とトンネル部25との間の継ぎ目の役割を果たすことができる。
【0037】
キャブ26は、キャブ26自体が鉛直軸26Aの回りに旋回することにより、キャブ26の前端部が左右に首振り運動できるよう、トンネル部25の前端部に回転可能に配されている。
【0038】
このキャブ26内では、操作盤30(図3参照)が設置され、オペレータが、操作盤30のジョイスティック(図示せず)を用いて、ボーディングブリッジ20の様々な機器(例えば、ドライブコラム)を操作できる。
【0039】
補助階段23は、トンネル部25の内部と地上(エプロン)とを連絡するように、トンネル部25のサイドに設置されている。補助階段23は、例えば、オペレータがキャブ26に出入りするのに使用される。
【0040】
トンネル部25は、ターミナルビル10と航空機11の乗降部11Aとの間の乗客の通路を形成する箱形の通路部材に相当する。図2に示すように、トンネル部25は、入れ子状に重なる一対の(隣同士の)第1および第2トンネル25A、25B、および、入れ子状に重なる一対の(隣同士の)第2および第3トンネル25B、25Cを有する。つまり、第1トンネル25Aと、第2トンネル25Bと、第3トンネル25Cと、はそれぞれ同形の箱体(直方体)で、かつ断面の大きさが異なり、順にテレスコープ状に組み入れるように構成されている。
【0041】
以上のトンネル部25は、図示しない公知のスライド構造を内包し、これにより、トンネル部25は、第1、第2および第3トンネル25A、25B、25C同士がラップ状態を維持してトンネル部25の長手方向(前後方向)に沿って相対的にスライドすることにより、伸縮可能に構成されている。
【0042】
また、ドライブコラム27が、第3トンネル25Cを挟むように連結されている。よって、このドライブコラムの下端部の駆動輪がエプロン上を走行すると、トンネル部25に、前後方向の伸縮運動(スライド動作)および鉛直軸24A周りのスイング運動(旋回動作)の動力が伝わる。更に、このようなドライブコラムは、上下方向に伸縮可能に構成されている。すると、ドライブコラムの伸縮運動により、トンネル部25およびキャブ26が、ロタンダ24を基端として上下方向に揺動運動することができる。
【0043】
次に、本実施形態のボーディングブリッジ20のキャブ26の構成について図面を参照しながら詳しく説明する。
【0044】
図3は、本発明の実施形態のボーディングブリッジに用いるキャブの一構成例を模式的に示した図である。
【0045】
図3に示すように、キャブ26は、トンネル部25の通路とともに、乗客がターミナルビル10と航空機11との間を通行方向200に沿って移動できる歩行通路31を形成する。
【0046】
この歩行通路31には、トンネル部25の通路と一体の固定通路32と、航空機11の乗降部11Aとの接続調整に用いられる調整通路33と、がある。
【0047】
上述のとおり、固定通路32の幅方向300の略中央には、鉛直軸26Aが設けられ、これにより、鉛直軸26Aを中心とする固定通路32の旋回に伴い、キャブ26の前端部が左右に首振り運動する。
【0048】
調整通路33には、幅方向傾斜床34(以下、「傾斜床34」と略す)と、連結床39と、昇降デッキ35と、従動スロープ36と、がある。
【0049】
図3に示すように、傾斜床34の右寄りの部分には、通路方向200を長辺とする略長方形の開口部34Aが設けられ、傾斜床34を上方から見た平面視において、矩形の昇降デッキ35および従動スロープ36は、上記開口部34Aの略全域を覆うよう、傾斜床34の面内(つまり、歩行通路31の面内)に配置されている。
【0050】
そして、本実施形態のボーディングブリッジ20では、開口部34Aを介して下方から昇降デッキ35の裏面に、様々な構造体がアクセスできるので、昇降デッキ35への昇降駆動力やスライド駆動力を、昇降デッキ35に容易に与えることができるが、この詳細は後述する。
【0051】
なお、バンパー51を有する昇降デッキ35と従動スロープ36とを含んで昇降通路21が構成されている。昇降通路21及びその近傍の詳細図を図10に示す。図10に示すように、昇降通路21の両側には、昇降通路21の通路面より上へ進出可能に構成される保護部材としてのガードプレート101A,101Bが収納され、そのガードプレート101A,101Bの出入口に蓋をするためのガードカバー131A,131Bが設けられている。なお、図3では、ガードプレート101A,101B及びガードカバー131A,131B等を省略し、簡略化している。
【0052】
本実施形態では、昇降通路21の昇降デッキ35が上昇しはじめるときに、まずガードカバー131A,131Bが開き(図13(b)参照)、ガードプレート101A,101Bの上部が昇降通路21の通路面より上へ進出(突出)するように構成されている(図12参照)。また、昇降デッキ35が上昇した状態から下降する場合には、下降終了直前に、ガードプレート101A,101Bが下降し、ガードカバー131A,131Bが閉じられて昇降デッキ35が上昇する前の元の状態(図13(a)参照)に戻るように構成されている。ガードプレート101A,101B及びガードカバー131A,131Bの詳細については、図10以降の図面を用いて後述する。
【0053】
<傾斜床34の構造と傾斜機構>
まず、傾斜床34の構造および傾斜床34の傾斜機構について詳細に述べる。
【0054】
図3に示すように、略直角三角形の連結床39は、第1連結ヒンジ37を介して固定通路32に連結され、第2連結ヒンジ38を介して傾斜床34にも連結される。このため、傾斜床34も、連結床39を用いて固定通路32に連結(接続)されている。
【0055】
第2連結ヒンジ38は、球面すべり軸受42(ロッドエンド42;詳細は後述)の近傍から通行方向200に略直交する方向(幅方向300)に、キャブ26の右端まで直線状に延びている。第1連結ヒンジ37は、ロッドエンド42の近傍から通行方向200に対して、所定の鋭角θをなす方向に、キャブ26の右端まで直線状に延びている。つまり、第1連結ヒンジ37および第2連結ヒンジ38によって挟まれた領域が、上記連結床39となっている。
【0056】
また、図3に示すように、傾斜床34の右端部に、第1電動シリンダ43(ネジシリンダ)のネジ軸が固定されている。これにより、第1電動シリンダ43のネジ軸のストロークが鉛直方向に伸縮することにより、傾斜床34の右端部を上下に移動できる。
【0057】
図4は、図3のY−Y線において矢視した調整通路およびその周辺構造の一構成例を示した図である。図5は、図3の球面すべり軸受(ロッドエンド)42の一構成例を示した図である。
【0058】
図4に示すように、傾斜床34は、合成ゴム製のバンパー40を備え、バンパー40は、傾斜床34の前端部の幅方向300全域に亘り、取り付けられている。つまり、このバンパー40は、第2連結ヒンジ38と平行方向に延びている。
【0059】
以上により、バンパー40は、ボーディングブリッジ20が航空機11に接触した時の衝撃を緩和するとともに、調整通路33の前端部と航空機11の乗降部11Aとの間隔を維持する機能を有する。
【0060】
また、図4に示すように、バンパー40のハウジング40Aに支持ローラ41(カムフォロア41)が取り付けられ、カムフォロア41の頭部を上下から押さえるローラホルダ41Aが、図示しない連結部材を介して固定通路32に連結されている。これにより、傾斜床34は、カムフォロア41を用いて、固定通路32に対し傾斜床34の主面と平行に滑ることができる。
【0061】
一方、図5に示すように、ロッドエンド42のハウジングは、固定通路32のフレーム32Aに固定され、ロッドエンド42のボール42Aを貫通したロッド42Bが、図示しない板材を介して傾斜床34に連結されている。これにより、ロッド42Bは、ボール42Aの球面すべりによって様々な角度を向くことができるので、傾斜床34は、ロッドエンド42を用いて、固定通路32に対し自在に揺動できる。
【0062】
以上の構成により、傾斜床34の前端部は、第1電動シリンダ43の駆動力により傾斜床34の右端部が上下に移動すると、第1連結ヒンジ37を中心として揺動するとともに、第2連結ヒンジ38を中心としても揺動する。その結果、傾斜床34を幅方向300に傾斜できる。つまり、傾斜床34は、カムフォロア41とロッドエンド42とを結ぶ仮想の直線ライン400を中心にして、シーソー運動することができる。
【0063】
なお、このとき、傾斜床34面内でのカムフォロア41の滑り運動およびロッドエンド42の自在な揺動運動によって上記直線ライン400が平行移動するとともに、連結床39も上下に揺動する。よって、本実施形態のボーディングブリッジ20では、上記傾斜床34のシーソー運動をスムーズに行うことができる。
【0064】
以上により、傾斜床34のエッジ(つまり、後述の昇降デッキ35の床のエッジ)と、航空機11の乗降部11Aの床部11B(図8、図9参照)のエッジとが、平行になっていない場合に、傾斜床34を用いて両者間の平行を取ることができる。例えば、航空機11の乗降部11Aの高さは、航空機11の大きさによって様々に変化する。このような高さの変化に対応するために、トンネル部25は、前後においてその上下高さが異なって傾斜することがある。この状態で、固定通路32が鉛直軸26A回りに旋回すると、調整通路33も同時に左右に首振り運動するので、昇降デッキ35の床のエッジと、航空機11の乗降部11Aの床部11Bのエッジとが、平行にならない場合がある。かかる場合に、上記傾斜床34のシーソー運動が有効に機能する。
【0065】
次に、昇降デッキ35および従動スロープ36並びにその周辺構造の一例について説明する。
【0066】
図6は、図3のX−X線において矢視した調整通路およびその周辺構造の一構成例を示した図である。図7は、図6のZ−Z線において矢視した調整通路の周辺構造の一構成例を示した図である。
【0067】
図6および図7に示すように、本実施形態のボーディングブリッジ20の調整通路33では、傾斜床34の開口部34A近傍において、昇降デッキ35を昇降できる昇降機構、従動スロープ36を揺動させる揺動機構、および、昇降デッキ35を通行方向200にスライドできるスライド機構が組み込まれている。
【0068】
<昇降デッキ35の昇降機構>
以下、昇降デッキ35の昇降機構(昇降通路21の昇降機構)について詳細に述べる。
【0069】
図6に示すように、昇降デッキ35の昇降機構は、第2電動シリンダ70(ネジシリンダ)と、平面視において略C字状(正確には2つの屈曲部がある半円に近い形状)のブラケット板60と、を備える。
【0070】
第2電動シリンダ70のネジ軸70Aの先端は、ブラケット板60の一方の端部に、第1回転支点61を介して連結されている。また、第2電動シリンダ70の本体70Bは、第4回転支点72を介して支持ブラケット71に連結され、支持ブラケット71は、適宜の固定手段(支持部材およびボルトなど;図示せず)を用いて傾斜床34に固定されている。また、ブラケット板60の屈曲部60Aには、第2回転支点62を介して一対のフレーム73A、73Bが連結され(図7も参照)、このフレーム73A、73Bは、適宜の固定手段(支持部材およびボルトなど;図示せず)を用いて傾斜床34に固定されている。更に、ブラケット板60の他方の端部に、第3回転支点63を介して一対の第1および第2連結部材64A、64Bが連結され、第1連結部材64Aは、長孔に通したピン64Cを用いて第2連結部材64Bに対して揺動可能に連結されている。
【0071】
また、図6(図7も参照)に示すように、昇降デッキ35の昇降機構は、支持フレーム65と、テーブル66と上下方向に延びるレール67とからなる一対の第1および第2リニアガイド68A、68Bと、左右方向に延びる連結フレーム69と、を備える。支持フレーム65は、ここでは、左右方向に延びる一対の第1および第2フレーム65A、65Bと、上下方向に延びる一対の第3および第4フレーム65C、65Dとからなる、略矩形環状に構成されているが、これに限らない。例えば、支持フレーム65は、井桁状に形成してもよい。
【0072】
上記第2連結部材64Bは、支持フレーム65の第2フレーム65Bの左右方向の略中央部に、適宜の固定手段(例えば、ボルト)を用いて固定されている。また、上記第1および第2リニアガイド68A、68Bのレール67はそれぞれ、支持フレーム65の第3および第4フレーム65C、65Dのそれぞれに、適宜の固定手段(例えば、ボルト)を用いて固定されている。更に、第1および第2リニアガイド68A、68Bのテーブル66はそれぞれ、適宜の固定手段(支持部材およびボルトなど)を用いて連結フレーム69の左右の適所に固定されている。そして、連結フレーム69は、適宜の固定手段(支持部材およびボルトなど;図示せず)を用いて傾斜床34に固定されている。
【0073】
なお、昇降デッキ35は、スライド機構(詳細は後述)を介して、支持フレーム65の第1フレーム65Aに支持されているが、このような昇降デッキ35の支持構造の詳細については、後述する。
【0074】
以上の構成により、第2電動シリンダ70のネジ軸70Aのストロークが伸びると、略C字状のブラケット板60の一方の端部の第1回転支点61は、第2電動シリンダ70の駆動力により前方かつ斜め下方に押される(図6の点線矢印500参照)。すると、ブラケット板60全体が、ブラケット板60の屈曲部の第2回転支点62を中心に回転し(図6の点線矢印501参照)、これにより、ブラケット板60の他方の端部の第3回転支点63が上方に移動する(図6の点線矢印502参照)。
【0075】
なお、ブラケット板60全体の回転に伴い、第3回転支点63は、僅かに前方に移動するが、このような第3回転支点63の前方への移動は、ピン64Cを中心とする第1連結部材64Aの揺動によって行われる(図8参照)。
【0076】
以上により、ブラケット板60の第3回転支点63が上方に移動すると、第1および第2リニアガイド68A、68Bを介して支持フレーム65全体も上方にスライド移動するので、昇降デッキ35を持ち上げることができる(図6の二点鎖線矢印503参照)。
【0077】
なお、昇降デッキ35を持ち上げた後、第2電動シリンダ70のネジ軸70Aのストロークを縮めることにより、支持フレーム65および昇降デッキ35を下げることができるが、この場合の昇降機構の各部の動きは、上記記載の参酌により容易に理解できる。よって、ここでは、昇降デッキ35を下げる場合の昇降機構の動きの説明は省略する。
【0078】
このようにして、本実施形態のボーディングブリッジ20では、昇降デッキ35が、昇降デッキ35の昇降機構を用いて適切に昇降するように構成されている。
【0079】
<従動スロープ36の揺動機構>
次に、従動スロープ36の揺動機構について詳細に述べる。
【0080】
図3および図6に示すように、板状の従動スロープ36の前端部(固定端部)は、第3連結ヒンジ部50(連結揺動軸)を介して昇降デッキ35の後端部に揺動自在に連結されている。ここで、第3連結ヒンジ部50は、通行方向200に交差(ここでは、略直交)する方向に、昇降デッキ35(従動スロープ36)左右の両端まで直線状に延びている。
【0081】
また、従動スロープ36は、第3連結ヒンジ部50を中心に、昇降デッキ35に対して相対的に揺動できるようになっており、従動スロープ36の後端部(自由端部)は、例えば図6の部分図6Aに示すように、従動スロープ36の重力の作用(自重)により、フリーの状態で傾斜床34上に置かれていてもよい。
【0082】
以上により、昇降デッキ35が持ち上がると(図6の二点鎖線矢印503参照)、第3連結ヒンジ部50も持ち上がり、これにより、昇降デッキ35の主面と従動スロープ36の主面とのなす角に対応する従動スロープ36の傾斜角φが連続的に大きくなる。同時に、図6の部分図6Aに示すように、従動スロープ36の後端部は、傾斜床34上を滑りながら前方に移動する(部分図6A中の二点鎖線矢印504参照)。
【0083】
逆に、昇降デッキ35を持ち上げた後、昇降デッキ35を下げると、第3連結ヒンジ部50も下がり、これにより、従動スロープ36の傾斜角φが連続的に小さくなる。同時に、従動スロープ36の後端部は、傾斜床34上を滑りながら後方に移動する。
【0084】
このようにして、本実施形態のボーディングブリッジ20では、昇降デッキ35の昇降によって、従動スロープ36の傾斜角φが変わり(換言すると、従動スロープ36が昇降デッキ35に対して相対的に揺動し)、従動スロープ36の後端部が、前後方向に移動するように構成されている。これにより、従動スロープ36が、昇降デッキ35と傾斜床34(歩行通路31)との間で傾斜路を形成している。
【0085】
なお、上記では、従動スロープ36の後部の支持構造として、従動スロープ36の後端部が、フリーの状態で傾斜床34上に置かれている場合を例に挙げたが、これに限られない。例えば後述する図11(a)、(b)の場合には、従動スロープ36の後部の支持構造として他の例を用いている。いずれの場合も、従動スロープ36は、その後端部が傾斜床34の主面に沿って前後方向(通行方向200)に移動自在に構成されている。
【0086】
<昇降デッキ35のスライド機構>
次に、昇降デッキ35のスライド機構について詳細に述べる。
【0087】
図6および図7に示すように、昇降デッキ35のスライド機構は、テーブル80と、前後方向に延びるレール81とからなる第3リニアガイド83と、第3リニアガイド83のテーブル80に支持された一対の第1および第2付勢機構86A、86Bと、を備える。
【0088】
なお、テーブル80の中央の後端部には、ブラケット板60との間の接触干渉を防止する切り欠き部80A(図7参照)が設けられている。
【0089】
第3リニアガイド83のレール81は、適宜の固定手段(支持部材およびボルトなど;図示せず)を用いて、支持フレーム65の第1フレーム65Aに固定されている。
【0090】
また、第1および第2付勢機構86A、86Bはそれぞれ、前後方向に延びる円柱状のバネ軸85と、このバネ軸85に回りに嵌め込まれたバネ84(弾性体)と、このバネ84の端に当接する一対のストッパ部材87、88と、を備える。
【0091】
なお、バネ軸85の両端部にはネジ切りがなされ、当該両端部に適宜の固定手段(ナットなど)を螺着することにより、ストッパ部材87、88の前後方向の動きが規制されている。
【0092】
バネ84の後端側のストッパ部材88は、適宜の固定手段(ボルトなど)を用いて、第3リニアガイド83のテーブル80に固定されている。一方、バネ84の前端部のストッパ部材87は、適宜の固定手段(支持部材およびボルトなど)を用いて、昇降デッキ35の裏面に固定されている。
【0093】
つまり、昇降デッキ35は、第1および第2付勢機構86A、86Bを介してテーブル80上に搭載されている。これにより、昇降デッキ35(および昇降デッキ35に連結された従動スロープ36)は、テーブル80の前後方向へのスライド移動によって、同方向にスライドできるように構成されている。なお、このような第1および第2付勢機構86A、86Bの付勢作用については、後述する。
【0094】
また、昇降デッキ35のスライド機構は、テーブル80に前後方向へのスライド駆動力を与えることができる駆動機構を備える。
【0095】
具体的には、図7に示すように、当該駆動機構は、モータ89Aと、モータ89Aの回転軸に連結されたピニオンギヤ(図示せず)およびテーブル80に固定されたラック89Bからなるラック・ピニオン機構と、を備える。
【0096】
このようなラック・ピニオン機構を用いて、モータ89Aの回転力が、テーブル80の前後方向の直線運動力に変換される。その結果、テーブル80に、前後方向のスライド駆動力が付与される。
【0097】
また、図7に示すように、昇降デッキ35のスライド機構は、テーブル90と前後方向に延びるレール91とからなる一対の第4および第5リニアガイド92A、92Bを備える。
【0098】
第4リニアガイド92Aは、支持フレーム65の第3フレーム65Cの近傍に配されており、第4リニアガイド92Aのレール91が、適宜の固定手段(フレームなど)を用いて、第3フレーム65Cに固定されている。また、第5リニアガイド92Bは、支持フレーム65の第4フレーム65Dの近傍に配されており、第5リニアガイド92Bのレール91が、適宜の固定手段(フレームなど)を用いて、第4フレーム65Dに固定されている。更に、昇降デッキ35は、第4および第5リニアガイド92A、92Bのそれぞれのテーブル90に支持されている。
【0099】
以上の構成により、昇降デッキ35の前後方向のスライド運動が、昇降デッキ35を適切に支持しながら安定に行われる。
【0100】
このようにして、本実施形態のボーディングブリッジ20では、昇降デッキ35が、昇降デッキ35のスライド機構を用いて前後方向にスライドできるとともに、昇降デッキ35が、当該スライド機構を介して支持フレーム65に支持できるように構成されている。
【0101】
<ボーディングブリッジ20の航空機11の乗降部11Aへの接続動作例>
次に、本実施形態のボーディングブリッジ20の航空機11の乗降部11Aへの接続動作の一例について説明する。
【0102】
図8および図9は、本発明の実施形態によるボーディングブリッジの航空機の乗降部への接続動作例の説明に用いる図である。図8には、昇降デッキ35の航空機11の乗降部11Aへの接続途中の様子が図示され、図9には昇降デッキ35の航空機11の乗降部11Aへの接続完了時の様子が図示されている。
【0103】
本実施形態によるボーディングブリッジ20の航空機11の乗降部11Aへの接続動作は、以下のようにして行われる。
【0104】
まず、キャブ26(固定通路32)を鉛直軸26A回りに旋回させる。すると、調整通路33も同時に左右に首振り運動する。
【0105】
次いで、ボーディングブリッジ20のバンパー40を航空機11に当接させるよう、ドライブコラムを動かしてボーディングブリッジ20を航空機11に近づける。このとき、昇降デッキ35の床のエッジと、航空機11の乗降部11Aの床部11Bのエッジとが、平行になっていない場合に、傾斜床34を用いて両者間の平行を取ることができる。
【0106】
そして、この段階では、ボーディングブリッジ20の昇降デッキ35は、乗降部11Aの床部よりも下方に位置しているので、航空機11の乗降部11Aの扉を開くことができる。
【0107】
航空機11の乗降部11Aの扉を開いた後、図8および図9に示すように、昇降デッキ35を、昇降デッキ35の昇降機構によって航空機11の乗降部11Aの床部11Bと同一高さに移動(上昇)させるとともに(持ち上げるとともに)、昇降デッキ35のスライド機構によって航空機11の乗降部11Aの床部11Bに、合成ゴム製のバンパー51を当てる。
【0108】
なお、図3に示すように、昇降デッキ35は、バンパー51を備え、このバンパー51は、昇降デッキ35の前端部の幅方向300全域に亘り取り付けられている。このため、バンパー51を用いて昇降デッキ35が航空機11の乗降部11Aに接触した時の衝撃を緩和できる。このとき、昇降デッキ35の昇降に伴い、従動スロープ36の傾斜角φが自動的に変わり、従動スロープ36の後端部が傾斜床34上を移動する。また、昇降デッキ35の前後方向の移動に伴い、従動スロープ36の後端部が傾斜床34上を移動する。
【0109】
次に、昇降通路21の近傍の構造について図面を参照しながら詳しく説明する。図10は、昇降通路21及びその周辺部の詳細を示す平面図である。
【0110】
昇降通路21の左右両側には、昇降通路21の通路面より上へ進出可能に構成される板状のガードプレート(保護部材)101A,101Bが収納されており、そのガードプレート101A,101Bの出入口に蓋をするためのガードカバー131A,131Bが設けられている。昇降デッキ35が上昇をはじめるとすぐに、ガードカバー131A,131Bが上方へ開き、その開いた間からガードプレート101A,101Bが上昇するように構成されている。そしてさらに、昇降デッキ35が上昇した状態から下降するときには、下降終了直前に、ガードプレート101A,101Bが下降し、ガードカバー131A,131Bが閉じられて元の状態に戻るように構成されている。
【0111】
なお、左右2つのガードプレート101A,101B及び各々の駆動機構はそれぞれ左右対称構造であり、左右2つのガードカバー131A,131B及び各々の駆動機構はそれぞれ左右対称構造であるので、以下では、それぞれ一方のガードプレート101A及びガードカバー131Aについて説明し、他方のガードプレート101B及びガードカバー131Bについてはその説明を省略する。
【0112】
<ガードプレートの昇降機構>
次に、ガードプレートの昇降機構(第1の連結機構)について詳細に述べる。
【0113】
図11(a)は、図10のA−A線において矢視したガードプレート101Aの昇降機構の一構成例を示す図であり、図11(b)は、図11(a)のC−C線において矢視したガードプレート101Aの昇降機構の一構成例を示す図である。
【0114】
従動スロープ36の側板36Aには、支持板102が適宜の固定手段(ボルトなど;図示せず)を用いて固定されている。支持板102には、その前部および後部に、リニアガイド106、109のレール105、108が互いに平行で、かつ従動スロープ36の主面に対して垂直方向に延びるように固定されている。リニアガイド106の2つのテーブル103,104と、リニアガイド109のテーブル107とは、それぞれガードプレート101Aの適切な位置に固定されている。これにより、ガードプレート101Aは、従動スロープ36の主面に対して垂直方向にスライド可能に取り付けられている。また、ガードプレート101Aの略中央部の適切な位置に、前後方向に溝が形成された作用部110が固定されている。
【0115】
また、支持板102には、第1部材111Aに第2部材111Bが固定されてなるT字状部材111が第5回転支点113を介して連結されている。すなわち、T字状部材111は、第5回転支点113を中心に回動自在に支持板102に取付けられている。そして、T字状部材111の第1部材111Aの一方の端部が、カムフォロア112を介して作用部110の前後方向に形成された溝に摺動自在に取付けられている。また、第1部材111Aの他方の端部には、ローラ114が取付けられている。
【0116】
また、ガードプレート101Aが収納状態のときにローラ114と接する規制板118が、適宜の固定手段(支持部材およびボルトなど)を用いて連結フレーム69に固定されている。
【0117】
また、T字状部材111の第2部材111Bの先端部に、第6回転支点115を介して付勢手段117の一端が連結され、付勢手段117の他端が第7回転支点116を介して支持板102の所定箇所に連結されている。すなわち、付勢手段117の一端は第2部材111Bの先端部に回動自在に取り付けられ、付勢手段117の他端は支持板102の所定箇所に回動自在に取り付けられている。付勢手段117は、それ自体が延びる方向へ付勢するもので、例えばガススプリングで構成されている。ここで、付勢手段117は、T字状部材111に対して第5回転支点113を中心に、図11(a)において左回りに回動させようとする力を与えているが、図11(a)に示す状態のときには、規制板118によってT字状部材111の回動が阻止されている。
【0118】
以上により、昇降デッキ35が上昇しはじめ、それに伴って従動スロープ36の前方が上昇しはじめると、従動スロープ36に固定されている支持板102も上昇しはじめる。そうすると、付勢手段117によって、規制板118にローラ114を押し付けながらT字状部材111が第5回転支点113を中心に、図11(a)において左回りに回動しはじめ、T字状部材111の後端部のカムフォロア112が上方へ移動(回動)し、それによってカムフォロア112に連結されている作用部110が上方へ移動する。このとき、作用部110が固定されているガードプレート101Aが、リニアガイド106,109に案内されながら上方へ移動し、ガードプレート101Aの上部が従動スロープ36の主面よりも高くなる(突出する)。
【0119】
図12は、ガードプレート101Aが最も突出したときの状態の一例を示す図である。
【0120】
昇降デッキ35が上昇すると、それに伴って従動スロープ36の前方が上昇して、例えば、図12に示すように、従動スロープ36は傾斜する。
【0121】
前述のように、T字状部材111が第5回転支点113を中心に左回りに回動し、図12に示すように、作用部110が上方へ移動し、支持板102に当接すると、T字状部材111の回動が停止する。このとき、ガードプレート101Aの上部が従動スロープ36の主面より上へ突出した状態(完全突出状態)となる。さらに、昇降デッキ35が上昇すると、完全突出状態を維持した状態で、ローラ114が規制板118から離れて、従動スロープ36の前方がさらに持ち上げられる。このときの状態が図12に示されている。
【0122】
従動スロープ36の後部の左右両側の下面には、従動スロープ36の後部を支持する支持部材36Bが取り付けられており、支持部材36Bの後端には、レール34B上を走行するローラ36Cが回転自在に取り付けられている。レール34Bは、傾斜床34の下方において、傾斜床34の主面と平行にかつ前後方向に延びて配設されている。このレール34Bは、適宜の固定手段(支持部材およびボルトなど;図示せず)を用いて傾斜床34に固定されている。すなわち、従動スロープ36の前端は昇降デッキ35に回動自在に取り付けられ、従動スロープ36の後部はローラ36Cによってレール34B上を前後方向に移動自在に支持されている。これにより、従動スロープ36は、その後端部36eが傾斜床34の主面に沿って前後方向(通行方向200)に移動自在に構成されている。
【0123】
ここで、図11(a)において、従動スロープ36の後端縁を通り、かつ傾斜床34の主面と垂直な直線を考えた場合に、その直線より若干後方側にローラ36Cの中心が位置するように構成している。このように構成することにより、昇降デッキ35が上昇して従動スロープ36が傾斜したときに、従動スロープ36の後端縁が傾斜床34に押し付けられることがなく、従動スロープ36の後端縁と傾斜床34との間に、極めてわずかな隙間ができる。この隙間が、従動スロープ36の後端縁と傾斜床34との間に実質段差がないと言える程度の極めてわずかなものとなるように構成している。
【0124】
これにより、昇降デッキ35が昇降する際及び上昇後に前後方向に移動する際に、従動スロープ36の後端部36eは、傾斜床34の主面上をこの主面との間に極めてわずかな隙間をもって前後方向に移動する。そのため、図6の部分図6Aのように、従動スロープ36の後端部が傾斜床34上を滑りながら移動する場合と比べて、傾斜床34の主面の傷みを防止できる。
【0125】
また、図12の状態から、昇降デッキ35が前方へ移動する場合には、ガードプレート101Aは、図12のように傾斜した状態を維持して従動スロープ36とともに前方へ移動する。
【0126】
また、図12の状態から、図11(a)の状態に戻す場合には、昇降デッキ35を下降させる。このとき、ガードプレート101Aは、昇降デッキ35の下降中に、従動スロープ36とともに傾斜角が徐々に小さくなる。そして、T字状部材111に取り付けられたローラ114が規制板118と当接した後は、従動スロープ36の下降によってT字状部材111が右回りに回動し、それによってガードプレート101Aが従動スロープ36に対して下降する。そして、昇降デッキ35の下降終了時には図11(a)の状態となる。
【0127】
なお、右側のガードプレート101Bの昇降機構も同様の構成であり、左右のガードプレート101A,101Bは、同時に同じ動作を行うように構成されている。
【0128】
なお、ここでは、昇降通路21の昇降動作(従動スロープ36の動作)に連動させてガードプレート101A,101Bを動作させるように構成しているが、ガードプレート101A,101Bを独立して動作させるためのガードプレート専用の駆動装置を別途設けるように構成してもよい。しかしながら、前述の構成によれば、ガードプレート専用の駆動装置を省略できる。
【0129】
<ガードカバーの開閉機構>
次に、ガードカバー(蓋)の開閉機構(第2の連結機構)について詳細に述べる。
【0130】
図10に示すように、ガードカバー131Aは、昇降通路21の左側側部に沿って長く延びたヒンジで構成され、同様に、ガードカバー131Bは、昇降通路21の右側側部に沿って長く延びたヒンジで構成されている。
【0131】
図13(a)、(b)は、図10のB−B線において矢視したガードカバー131Aの開閉機構の一構成例を示す図であり、図13(a)はガードカバー131Aが閉じた状態を示し、図13(b)はガードカバー131Aが開いた状態を示している。また、図14(a)は、図13(a)のD−D線において矢視したガードカバー131Aの開閉機構の一構成例を示す図であり、図14(b)は、図13(a)のE−E線において矢視したガードカバー131Aの開閉機構の一構成例を示す図である。なお、図14(a)では、ローラ137の図示を省略している。
【0132】
傾斜床34に備えられたバンパー40のハウジング40Aに、取付板139が2本のボルト142で固定されている。
【0133】
ガードカバー131Aを構成するヒンジの2枚羽根のうちの一方の羽根が傾斜床34にボルトなどによって固定され、他方の羽根の裏面に小さな直方体状の連結部材132がボルトなどによって固定されている。連結部材132の裏面と連結部材134とがスプリングヒンジ133で連結されている。このスプリングヒンジ133は、ガードカバー131Aを開く方向に付勢するためのスプリングが内蔵されたヒンジである。
【0134】
連結部材134は、図14(a)に示すように、互いに直交する第1面部134a及び第2面部134bを有し、第1面部134aの上部にスプリングヒンジ133が取り付けられている。また、第2面部134bの上部にばね取付部134dが固定され、それにばね135の上端が取り付けられている。第2面部134bの下部には小さな長穴134cが設けられ、その長穴134cをL字状部材136の一端に固定されたばね取付部136aが挿通し、このばね取付部136aにばね135の下端が取り付けられている。
【0135】
L字状部材136は、そのコーナー部138が取付板139に回動自在に取り付けられている。また、L字状部材136の他端に固定されたばね取付部136bにばね140の一端が取り付けられている。ばね140の他端は、取付板139に固定されたばね取付部139aに取り付けられている。
【0136】
また、L字状部材136には、ばね取付部136aとコーナー部138との間の所定箇所にローラ137が回動自在に取り付けられている。このローラ137は、ガードカバー131Aが閉じているときには、図14(b)に示すように、昇降デッキ35のバンパー51に上から押圧されている。また、図13(b)に示すように、L字状部材136が回動してガードカバー131Aが開いたときに、それ以上のL字状部材136の回動を阻止するストッパ部材141が取付板139に取り付けられている。
【0137】
例えば図13(a)に示すように昇降デッキ35が収納状態(最も下降した状態)のときには、前述のように、ローラ137は昇降デッキ35のバンパー51によって上から押圧されているが、昇降デッキ35が上昇を始めると、バンパー51も上昇するので、ばね140の引張る力によってL字状部材136がコーナー部138を中心にローラ137が上昇する方向へ回動する。すると、連結部材134及びそれに取り付けられているスプリングヒンジ133が押し上げられるとともに、スプリングヒンジ133の付勢力によって、図13(b)のように、ガードカバー131Aが開く。さらに、昇降デッキ35が上昇しても、ガードカバー131Aは図13(b)の開いた状態が維持される。
【0138】
そして、昇降デッキ35が上昇した状態から下降する場合には、昇降デッキ35が図13(b)に示す位置まで下降したときに、昇降デッキ35のバンパー51がローラ137に当接した状態となり、さらに、昇降デッキ35の下降によってL字状部材136がローラ137が下がる方向に回動し、それによって連結部材134及びスプリングヒンジ133が下降し、昇降デッキ35の下降終了時には図13(a)の状態となる。
【0139】
なお、右側のガードカバー131Bの開閉機構も同様の構成であり、左右のガードカバー131A,131Bは、同時に同じ動作を行うように構成されている。
【0140】
すなわち、昇降デッキ35が収納状態から上昇をはじめると、左右のガードカバー131A,131Bが開きはじめるとともに、従動スロープ36の前方が持ち上がりはじめるので、左右のガードプレート101A,101Bも上昇をはじめる。このとき、左右のガードカバー131A,131Bが左右のガードプレート101A,101Bに接触しないように左右のガードカバー131A,131Bが早く開くように構成されている。
【0141】
また、昇降デッキ35が上昇した状態から下降する場合には、左右のガードプレート101A,101Bが収納されはじめた後、昇降デッキ35の下降終了直前に、左右のガードプレート101A,101Bが閉じはじめる。このとき、左右のガードカバー131A,131Bが左右のガードプレート101A,101Bに接触しないように左右のガードカバー131A,131Bが遅く閉じるように構成されている。
【0142】
以上のとおり、本実施形態のボーディングブリッジ20は、歩行通路31と、平面視において歩行通路31の面内に設けられ、航空機11の乗降部11Aとの接続に用いられる昇降可能な昇降通路21を備えている。そして、この昇降通路21が上昇するときには、乗降部11Aと接続される前端部(一端部であり、例えば昇降デッキ35の前端部)とは異なる反対側の後端部(一端部から離れた他端部であり、例えば従動スロープ36の後端部36e)が歩行通路31(傾斜床34)との間に実質段差がない状態を維持して前端部(昇降デッキ35)側が上昇することにより、前端部と後端部との間に、前部(前端部側)が後部(後端部側)より高い位置となる傾斜路を含みかつ階段状の段差がない通路を形成するように構成されている。
【0143】
ここで、昇降通路21は、その一例として、航空機11の乗降部11Aとの接続に用いられる昇降デッキ35と、昇降デッキ35を昇降する昇降機構と、その固定端部が第3連結ヒンジ50を用いて昇降デッキ35に連結され、その自由端部(後端部36e)が傾斜床34の主面に沿って通行方向200に移動自在に構成された従動スロープ36とを備える。そして、昇降デッキ35の移動に伴い、従動スロープ36が第3連結ヒンジ50の軸回りに回転するとともに、後端部36eが傾斜床34の主面に沿って通行方向200に移動することにより、従動スロープ36が昇降デッキ35と歩行通路31(傾斜床34)との間で連続的な傾斜路を形成する。
【0144】
以上の構成により、乗降部11Aの床部11Bとボーディングブリッジの昇降通路21(例えば昇降デッキ35)との間の段差が無くなるので、両者間において連続的な通路を形成できる。
【0145】
よって、本実施形態のボーディングブリッジ20では、航空機11の乗降部11Aとの段差を無くすことができ、かつ、例えば、車椅子に乗った乗客の航空機11への乗降の都度、昇降通路21(昇降デッキ35)を昇降する必要がないため、乗客が航空機11にスムーズに乗降できる。
【0146】
特に、本実施形態のボーディングブリッジ20では、昇降デッキ35の単純な昇降運動によって、昇降デッキ35の高さ調整を行うことができるので、昇降デッキ35の床を傾斜させることなく、ほぼ水平に維持することができる。このため、昇降デッキ35と乗降部11Aの床部11Bとの位置合わせを行い易いという利点がある。
【0147】
しかしながら、昇降通路21は、昇降デッキ35と従動スロープ36とを含む構成に限らず、例えば、昇降通路21が上昇するときには、乗降部11Aと接続される一端部(前端部)から離れた他端部(後端部)が歩行通路31(傾斜床34)との間に実質段差がない状態を維持して一端部側が上昇することにより、一端部と他端部との間で傾斜路を形成するように構成されていてもよい。
【0148】
また、本実施形態のボーディングブリッジ20では、昇降デッキ35は、人の通行方向にスライドするスライド機構を備える。そして、昇降デッキ35が、昇降機構によって乗降部11Aの床部11Bと同一高さに移動するとともに、スライド機構によって乗降部11Aに当接する。
【0149】
以上の構成により、昇降デッキ35と航空機11の乗降部11Aとの間に僅かな隙間が生じる場合でも、スライド機構によって昇降デッキ35が乗降部11Aと当接する位置までスライドできるので、段差に加えてこのような隙間も無くすことができる。
【0150】
また、本実施形態のボーディングブリッジ20は、昇降通路21が上昇したときに、昇降通路21の左右両側の側部に沿って昇降通路21の通路面より上方へ突出する保護部材としての板状のガードプレート101A、101Bを備えている。
【0151】
以上の構成により、例えば、車椅子に乗った乗客に対して、車椅子が昇降通路21から脱輪するかもしれないというような不安を軽減することができる。
【0152】
また、ガードプレート101A、101Bが、昇降通路21の昇降動作(昇降デッキ35の昇降動作に伴う従動スロープ36の傾斜動作)に連動して動作するように構成しているので、ガードプレート101A、101Bを動作させるための専用の駆動装置が不要である。
【0153】
また、ガードプレート101A、101Bの出入口となる昇降通路21の両側の側部と傾斜床34との間の隙間の上端の蓋をするガードカバー131A、131Bを設けているので、上記隙間へゴミ等が侵入するのを防止できる。また、ガードカバー131A、131Bも、昇降通路21の昇降動作(昇降デッキ35の昇降動作)に連動して動作するように構成しているので、ガードカバー131A、131Bを動作させるための専用の駆動装置が不要である。
【0154】
また、本実施形態のボーディングブリッジ20において、歩行通路31は、昇降デッキ35および従動スロープ36の幅方向の傾きを調整する傾斜床34と、傾斜床34を幅方向300に傾斜できる傾斜機構と、を備え、傾斜床34を平面視した場合、傾斜床34の面内に昇降デッキ35および従動スロープ36が取り付けられている。
【0155】
以上により、昇降デッキ35の床のエッジと、航空機11の乗降部11Aの床部11Bのエッジとが、平行になっていない場合に、傾斜床34を用いて両者間の平行を取ることができる。特に、本実施形態のボーディングブリッジ20では、ボーディングブリッジ20のドライブコラムを動かす途中においても、傾斜床34による昇降デッキ35および乗降部11A間の平行調整を行えるので、昇降デッキ35の乗降部11への接続動作を効率的に行える。
【0156】
また、本実施形態のボーディングブリッジ20においては、スライド機構の第1および第2付勢機構86A、86Bを用いて、昇降デッキ35のバンパー51が乗降部11Aに当接した位置から、更に、昇降デッキ35を乗降部11Aに押しつけるよう、テーブル80をスライドさせると、昇降デッキ35(バンパー51)の航空機11への付勢力が生じる。つまり、上記当接位置から昇降デッキ35を乗降部11Aに押しつけるよう、テーブル80をスライドさせると、図8および図9に示すように、ストッパ部材88が、バネ84の反力に抗してバネ軸85に沿って前方に移動する。すると、バネ84がストッパ部材87、88によって圧縮され、これによって生じるバネ84の反力に基づいて、昇降デッキ35(バンパー51)の航空機11への付勢力が生じる。
【0157】
以上の構成により、本実施形態のボーディングブリッジ20では、乗客の乗降に伴う航空機11の浮き沈みによって昇降デッキ35(バンパー51)と航空機11の乗降部11A(外壁)との間の隙間が変動する場合であっても、スライド機構の第1および第2付勢機構86A、86Bの作用によって、航空機11の浮き沈みに合わせて、昇降デッキ35(バンパー51)を前後方向に追従移動させることができるので、上記隙間の発生を適切に防止できる。
【0158】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する好適な態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明は、乗客、例えば車椅子に乗った乗客が感じる不安を軽減し、かつ移動体にスムーズに乗降することができるボーディングブリッジ等として有用である。
【符号の説明】
【0160】
1 ボーディングブリッジシステム
10 ターミナルビル
11 航空機(移動体)
20 ボーディングブリッジ
21 昇降通路
23 補助階段
24 ロタンダ
24A ロタンダの軸
25 トンネル部
25A 第1トンネル
25B 第2トンネル
25C 第3トンネル
26 キャブ
26A キャブの鉛直軸
30 操作盤
31 歩行通路
32 固定通路
32A 固定通路のフレーム
33 調整通路
34 傾斜床
35 昇降デッキ
36 従動スロープ
37 第1連結ヒンジ
38 第2連結ヒンジ
39 連結床
40、51 バンパー
40A バンパーのハウジング
41 カムフォロア
41A ローラホルダ
42 ロッドエンド
42A ボール
42B ロッド
43 第1電動シリンダ
50 第3連結ヒンジ
60 ブラケット板
60A ブラケット板の屈曲部
61 第1回転支点
62 第2回転支点
63 第3回転支点
64A 第1連結部材
64B 第2連結部材
64C ピン
65 支持フレーム
65A 第1フレーム
65B 第2フレーム
65C 第3フレーム
65D 第4フレーム
66 テーブル
67 レール
68A 第1リニアガイド
68B 第2リニアガイド
69 連結フレーム
70 第2電動シリンダ
70A 第2電動シリンダのネジ軸
70B 第2電動シリンダの本体
71 支持ブラケット
72 第4回転支点
73A、73B フレーム
80 テーブル
80A 切り欠き部
81 レール
83 第3リニアガイド
84 バネ
85 バネ軸
86A 第1付勢機構
86B 第2付勢機構
87、88 ストッパ部材
89A モータ
89B ラック
92A 第4リニアガイド
92B 第5リニアガイド
101A、101B ガードプレート(保護部材)
131A、131B ガードカバー(蓋)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行通路と、
平面視において前記歩行通路の面内に設けられ、移動体の乗降部との接続に用いられる昇降可能な通路であって、この通路が上昇するときには、前記乗降部との接続側となる一端部とは離れた他端部が前記歩行通路との間に実質段差がない状態を維持して前記一端部側が上昇することにより、前記一端部と前記他端部との間に傾斜路を含みかつ階段状の段差がない通路を形成するように構成された昇降通路と、
前記昇降通路が上昇したときに、前記昇降通路の側部に沿って上方へ突出する保護部材と
を備えたボーディングブリッジ。
【請求項2】
前記保護部材は、
前記昇降通路が上昇するときに、前記昇降通路の通路面より上方へ進出し、前記昇降通路が下降したときに、前記昇降通路の通路面と同じか又はそれより下方へ退避するよう構成された、
請求項1に記載のボーディングブリッジ。
【請求項3】
前記昇降通路が上昇するときに、前記保護部材が前記昇降通路の通路面より上方へ進出し、前記昇降通路が下降したときに、前記保護部材が前記昇降通路の通路面と同じか又はそれより下方へ退避するよう、前記昇降通路の昇降に応じて前記保護部材を進退させるための前記保護部材と前記昇降通路とを連結する第1の連結機構をさらに備えた、
請求項1に記載のボーディングブリッジ。
【請求項4】
前記昇降通路の側部と前記歩行通路との間に前記保護部材を配設するための隙間を有し、
前記保護部材が前記昇降通路の通路面と同じか又はそれより下方へ退避しているときに前記隙間の上端を塞ぐ蓋をさらに備えた、
請求項2または3に記載のボーディングブリッジ。
【請求項5】
前記昇降通路が上昇を始めたときに、前記蓋を開けて前記隙間の上端を開放し、前記昇降通路が下降して前記保護部材が前記昇降通路の通路面と同じか又はそれより下方へ退避したときに前記蓋を閉じるよう、前記昇降通路の昇降に応じて前記蓋の開閉を行わせるための前記蓋と前記昇降通路とを連結する第2の連結機構をさらに備えた、
請求項4に記載のボーディングブリッジ。
【請求項6】
前記昇降通路は、
前記移動体の乗降部と接続される前記一端部を有する昇降デッキと、
前記昇降デッキを昇降する昇降機構と、
その固定端部が前記昇降デッキに回動自在に取り付けられ、その自由端部が前記他端部となり前記歩行通路の主面に沿って人の通行方向に移動自在に構成され、前記昇降デッキの移動に伴い、前記自由端部が前記歩行通路の主面に沿って移動して前記昇降デッキと前記歩行通路との間で前記傾斜路を形成する従動スロープとを有し、
前記保護部材は、
前記昇降通路の両側に配設された、
請求項1に記載のボーディングブリッジ。
【請求項7】
前記昇降デッキは、人の通行方向にスライドするスライド機構を備え、
前記昇降デッキが、前記昇降機構によって前記乗降部の床部と同一高さに移動するとともに、前記スライド機構によって前記乗降部に当接するように構成されている、
請求項6に記載のボーディングブリッジ。
【請求項8】
前記歩行通路は、
前記昇降デッキおよび前記従動スロープの幅方向の傾きを調整する傾斜床と、
前記傾斜床を前記幅方向に傾斜できる傾斜機構とを有し、
前記傾斜床を平面視した場合、前記傾斜床の面内に前記昇降デッキおよび前記従動スロープが取り付けられている、
請求項6または7に記載のボーディングブリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−32114(P2013−32114A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169498(P2011−169498)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)