説明

ボール浮上装置及びボール浮上方法

【課題】ボールを所定の高さに安定して浮上静止させるボール浮上装置を提供すること。
【解決手段】気体の吹き出し口を上方に向けて配置されたノズルと、上記ノズルの吹き出し口から上方に向かって気体が吹き出されるよう当該ノズルに所定の圧力の気体を供給する気体供給手段と、上記ノズルの吹き出し口から吹き出された上記気体の圧力を下方から受けたボールが上記ノズルの吹き出し口の上方に浮上するよう、上記ボールを上記ノズルの吹き出し口の上方に配置するボール配置手段と、上記ボールが上記ノズルの吹き出し口の上方に浮上した後に、上記ボール配置手段を上記ノズルの上方位置から離間するよう可動させる可動手段と、を備える。そして、上記ボール配置手段は、上記ノズルの上方であり鉛直方向に上記ボールが移動するよう導くガイドを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール浮上装置及びボール浮上方法にかかり、特に、ボールを所定の高さに浮上静止させるボール浮上装置及びボール浮上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
野球やソフトボールなどバットでボールを打つスポーツにおけるバッティング練習では、近くでトスされたボールを打者が打つ、という練習が行われる。そして、通常は、打者に対して斜め前方から、山なりにボールがトスされることとなる。
【0003】
一方で、打者としては、ボールをバットで打つポイントを確認しながらバッティングを行うべく、所定の高さで静止したボールを打ちたい、という要求がある。このような要求に対して、特許文献1には、ボールをロープで吊り下げて所定の高さで維持する装置が開示されている。また、特許文献2には、ブロアにて圧力空気を下方から上方に吹き出して、これによりボールを所定の高さに浮上させる、という装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3152743号公報
【特許文献2】特開2005−143995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示の装置では、打者がバットにてボールを打つ際に、当該ボールがロープに吊り下げられた状態にあるため、スイングによりボールの位置よりも上側をバットが通過すると、当該バットがロープに引っ掛かる、という問題が生じる。そして、仮にバットがボールに当たったとしても、ボールにロープが結ばれているため、当該ボールの飛ぶ方向が実際の場合と異なり、また、打者による打ったときの感触も実際の状況とは異なる。その結果、バッティングの適切さを確認することが困難となる、という問題が生じる。
【0006】
また、上記特許文献2に開示の装置は、当該特許文献2の図1に示すように、球体を空中に浮上させるバッティング練習装置であって、球体が載置される開口部を有する中空形状の球体支持部材(12B)と、この球体支持部材の内部に圧力空気を供給し、上記開口部より圧力空気を上方に吹き出させることにより球体をほぼ一定の高さまで浮上させる圧力空気供給手段(16)と、この圧力空気供給手段により供給する圧力空気の供給量を制御する空気供給制御手段(図示せず)と、を備えている。具体的には、球体が球体支持部材の開口部上に載置され(この載置のときには、開口部からは空気が吹き出していない)、その後、球体支持部材の開口部より空気が吹き出し、この空気の吹き出しにより球体をほぼ一定の位置(バッティング練習に適する位置)に浮上させ、この状態で、球体が空気中に浮いた状態(周囲にはバッティング練習者のバッティング練習を妨げるようなものはない状態)となり、バッティング練習を可能としている。しかしながら、現実には、浮上時にボールが大きく上下動したり揺れるなど、ボールの姿勢が安定しないという問題が生じ、バッティング練習が困難となる。従って、上述した装置は、実用化には至っていない。
【0007】
ここで、日本プロ野球で使用する硬式ボールは、コルクやゴムなどを芯にして糸を巻きつけ、それを牛皮や馬皮で覆い、縫い合わせて作られている。そして、硬式ボールの1球あたりの縫い目は、原則として、108個とされている。また、その質量は141.7〜148.8g、円周は22.9〜23.5cm、反発係数は0.41〜0.44と、公認野球規則により定められている。一方、野球の軟式ボールは、公認野球規則書によれば、素材はゴム製で、直径、質量、反発の違いにより、A号、B号、C号、D号、H号の5種類に区分されている。そして、各区分(各号)のボールは、直径が64.0〜72.5mm、質量が105.0〜144.8g、反発(150cmの高さから大理石板に落として跳ね返った高さ)が50.0〜105.0cmであり、それぞれ幅がある。また、ソフトボールにおいても、公認球には上述同様に基準に幅がある。しかも、練習のためのボールは、全て新しいとは限らず、使い古したもの、中には糸が切れたもの、土汚れのもの、濡れたもの等、多種のものが使用されることとなる。このようなことから、全てのボールに対して共用できるボール浮上装置の出現が待望されている。
【0008】
このため、本発明の目的は、ボールを所定の高さに安定して浮上静止させることができるボール浮上装置及びボール浮上方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため本発明の一形態であるボール浮上装置は、
気体の吹き出し口を上方に向けて配置されたノズルと、
上記ノズルの吹き出し口から上方に向かって気体が吹き出されるよう当該ノズルに所定の圧力の気体を供給する気体供給手段と、
上記ノズルの吹き出し口から吹き出された上記気体の圧力を下方から受けたボールが上記ノズルの吹き出し口の上方に浮上するよう、上記ボールを上記ノズルの吹き出し口の上方に配置するボール配置手段と、
上記ボールが上記ノズルの吹き出し口の上方に浮上した後に、上記ボール配置手段を上記ノズルの上方位置から離間するよう可動させる可動手段と、を備える。
そして、上記ボール配置手段は、上記ノズルの上方であり鉛直方向に上記ボールが移動するよう導くガイドを備えた、という構成をとる。
【0010】
また、本発明の他の形態であるボール浮上方法は、
ボール収容手段に収容されたボールの1つを、ボール配置手段のボール載置箇所に配置し、
上記ボール配置手段を、気体の吹き出し口が上方に向けて配置されたノズルの上方に移動し、
上記ボール配置手段のボール載置箇所に載置された上記ボールに対して当該ボールの下方から、上記ノズルの吹き出し口から上方に向かって吹き出された所定の圧力の気体を吹き付けて、上記ボールを上記ノズルの吹き出し口の上方に浮上させ、
上記ボールが所定の高さまで浮上するときに、ガイドにより上記ボールを鉛直方向に移動するように導き、当該ボールが揺れることを抑制し、
その後、上記ボール配置手段を、上記ノズルの上方位置から離間するよう可動させる、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以上のように構成されることにより、ボールを所定の高さに安定して浮上静止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ボール浮上装置の正面図である。
【図2】図1に開示したボール浮上装置を左側方から見た図であり、一部の構成を削除した図である。
【図3】図1に開示したボール浮上装置を上方から見た図であり、一部の構成を削除した図である。
【図4】ノズルの構成を示す図である。
【図5】ボール配置機構の構成を示す図である。
【図6】ボール配置機構の構成を示す図である。
【図7】ボールの浮上の様子を示す図である。
【図8】ボールの浮上の様子を示す図である。
【図9】落下係止機構の構成を示す図である。
【図10】落下係止機構の構成を示す図である。
【図11】落下係止機構の機能を示す図である。
【図12】落下係止機構の機能を示す図である。
【図13】落下係止機構の機能を示す図である。
【図14】ボール浮上装置の動作を示す図である。
【図15】ボール浮上装置の動作を示す図である。
【図16】ボール浮上装置の動作を示す図である。
【図17】ボール浮上装置の動作を示す図である。
【図18】ボール浮上装置の動作を示す図である。
【図19】ボール浮上装置の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、図1乃至図19を参照して説明する。図1乃至図3は、ボール浮上装置の構成を示す図である。図4は、ノズルの構成を示す図である。図5乃至図13は、ボール浮上装置の各構成を示す図である。図14乃至図19は、ボール浮上装置の動作を示す図である。
【0014】
なお、実施形態におけるボール浮上装置は、硬式あるいは軟式の野球のボールを浮上させる装置であり、バッティング練習に利用可能なものである。但し、本発明におけるボール浮上装置は、野球のボールを浮上させることに限定されず、いかなるボールを浮上させるために利用してもよく、これに応じて、バッティング練習に利用するものに限定されない。例えば、ボール浮上装置は、テニスボールを浮上させて、テニスの練習に利用してもよい。但し、以下においては、硬式あるいは軟式の野球のボールを浮上させる装置を具体例として説明する。
【0015】
[構成]
図1は、ボール浮上装置の正面図である。そして、図2は、図1のボール浮上装置を左側方から見た図であり、図3は、図1のボール浮上装置を上方から見た図である。なお、図2,3では、ボール浮上装置の構成の一部(例えば、ボール収容部70など)の構成を省略して図示している。
【0016】
図1乃至図3に示すように、ボール浮上装置は、地面などに載置される第一筐体10及び第二筐体20を備えている。そして、第一筐体10の内部には、所定の圧力の空気を出力するブロア11(気体供給手段)と、装置全体の動作を制御する制御部14(制御手段)と、が装備されている。また、第二筐体20の内部には、上記ブロア11の空気出力口(図示せず)に連結され、当該ブロア11から出力された空気が流通する配管21が装備されている。なお、上記ブロア11の動作は、制御部14によって制御される。
【0017】
また、第二筐体20の上面には、相互に径の異なる複数の筒状部材が挿入連結した筒状部22を備えており、上下に伸縮可能なように構成されている。そして、筒状部22の内部空間には、上記配管21が連結しているため、当該内部空間はブロア11からの空気が流通する配管21として機能する。つまり、配管21は、ブロア11から水平に延び、ほぼ直角に曲折して鉛直方向(上方)に延びて構成されている。
【0018】
また、筒状部22の上端には、直角に曲折された連結部材23の一端が固定されている。そして、この連結部材23の他端は、後述する第二基台13に固定されている。従って、後述するように、第二基台13が上下動することによって、連結部材23が上下動し、当該連結部材23の一端に連結された筒状部22の上端も上下動する。これにより、筒状部22が伸縮し、その上端の位置を可変可能なよう構成されている。
【0019】
そして、上記筒状部22の先端(上端)には、筒状のノズル30が設けられている。ここで、図4に、ノズル30の構成を示す。図4(A)の上面図、図4(B)の正面図に示すように、ノズル30は、径の異なる円柱部材が高さ方向に連結された外形となっており、その内部に、高さ方向に貫通した空気が流通する空気孔31が形成されている。この空気孔31は、断面円形の孔であり、図4(B)において下端側から上端側に向かうにつれて、徐々に径が小さくなるよう形成されている。具体的に、空気孔31は、下端から上端側の所定の箇所まで、円錐側面形状、つまり、徐々に断面形状が狭くなるようテーパー状に形成されており、上端付近では、下端側よりも小さい一定の径となり、円柱状に形成されている。
【0020】
そして、ノズル30の空気孔31の下端には、上述したように配管21として機能する筒状部22が連結され、ノズル30自体は、空気孔31の上端である吹き出し口32が上方を向いて配置される。これにより、ブロア11からの圧力空気が配管21(筒状部22)を介してノズル30の空気孔31に下端から流入し、当該空気孔31の上端の吹き出し口32から、圧力空気が上方に向かって吹き出されることとなる。
【0021】
なお、ブロア11にて供給され、ノズル30から上方に向かって吹き出される気体は、空気であることに限定されず、他の気体であってもよい。また、ノズル30の空気孔31の形状は、上述した形状であることに限定されず、また、空気孔31の数も1つであることに限定されない。さらには、空気等の気体をノズル30に供給する装置は、ブロア11であることにも限定されない。
【0022】
また、図1乃至図3に示すように、上記第一筐体10上には、板状の第一基台12と第二基台13とが配置され、2段構造となっている。第一基台12は、柱部材12aを介して、第一筐体10から所定の距離だけ上方に位置して支持されている。そして、第一基台12は、当該第一筐体10内に収容された図示しない上下可動機構によって、ハンドル12bを回転させることで上下可動するよう構成されている。また、第二基台13は、柱部材13aを介して、第一筐体10から所定の距離だけ上方であり、かつ、第一基台12よりもさらに上方に位置して、当該第一基台12にて支持されている。そして、第二基台13は、第一基台12上に装備された上下可動機構13cによって、ハンドル13bを回転させることで第一基台12に対して上下可動するよう構成されている。
【0023】
以上のように構成されているため、上述した第一基台12及び/あるいは第二基台13を上下動させることで、第二基台13の高さを変更することができる。そして、第二基台13の高さを変更することで、これに連動して、上述したノズル30及び後述するボール配置機構40の高さを変更することができ、ボールの浮上高さを変更することができる。これにより、打者所望のボールの高さを維持することができる。
【0024】
また、第二基台13上には、ボールBを収容するボール収容部70(ボール収容手段)が備えられている。このボール収容部70は、複数本の棒状部材が、間にボールが収まるよう所定の間隔をあけて平行に組み付けられており、螺旋状に湾曲して形成されている。これにより、ボール収容部70の上端71から棒状部材間にボールを入れることで、ボールは棒状部材間を下方に向かって転がり、下端72まで移動する。
【0025】
なお、ボール収容部70の下端72は、下方を向いて直線状に形成されており、この側方には、後述するように、ボール収容部70内のボールを1つずつボール配置機構40に供給する落下係止機構60が配置されている。なお、この落下係止機構60の構成については後述する。
【0026】
また、上記第二基台13には、上述したノズル30の上方にボールBを配置するボール配置機構40(ボール配置手段)と、このボール配置機構40を可動する可動機構50と、が設けられている。そして、上記可動機構50は、先端にボール配置機構40が連結され第二基台13に対してほぼ水平にスライド可動されるアーム51と、可動機構50自体を駆動するモータ52と、を備えている。可動機構50は、例えば、モータ52の回転駆動によって第二基台13に平行つまり可動機構50自体の長手方向に可動するボールねじを装備しており、このボールねじの可動によって、図1の矢印Y1に示すように、アーム51を可動機構50自体の延長線方向に可動させることができる。これにより、アーム51の先端に連結されたボール配置機構40を、ノズル30とボール収容部70の下端72との間で、移動させることができる。
【0027】
なお、上記モータ52つまり可動機構50の動作は、第一筐体10内部に収容された制御部14によって制御される。例えば、制御部14は、後述するボール配置機構40がノズル30の上方に位置するようアーム51を可動し、予め設定された一定時間経過後に、ボール配置機構40がノズル30上方位置から離間してボール収容部70の下端72の下方に位置するようアーム51を可動して制御する。但し、制御部14による可動機構50の制御方法は、上述したものに限定されない。
【0028】
次に、上記ボール配置機構40の構成について、図5及び図8を参照して説明する。ここで、図5(B)は、図1に示したボール配置機構40の正面図であり、図5(A)は、当該ボール配置機構40を上方から見た図である。また、図6は、図5(B)を側方から見た図であり、ノズル30の上方に位置している時の様子を示している。
【0029】
図5、図6に示すように、ボール配置機構40は、アーム51の先端に連結され当該アーム51からノズル30配置側に延びるボール支持部材41を有する。具体的に、ボール支持部材41は、板状の部材が2か所で直角に曲折してクランク状に形成されており、アーム51との連結端とは反対側の端部は、リング状のボール載置箇所42が形成されている。そして、リング状であるボール載置箇所42の中心に形成された空洞部分である開口部は、ボール配置機構40がノズル30の上方に移動されたときに当該ノズル30の吹き出し口32の真上に位置することとなる。つまり、ノズル30の吹き出し口32から吹き出された空気は、開口部を下方から上方に通過することとなる。
【0030】
そして、上述した一連の動きに対応するために、浮上させるボールが硬式ボールである場合、ボール載置箇所42の形状を、例えば、内径が61mm、外径が65mm、厚みが5mm程度のリング状とすることで、全体の動きがスムーズとなり望ましい。これにより、ボール載置箇所42がノズル30の吹き出し口32から吹き出された空気の流れの中にあっても、ボール配置機構40がノズル30の上方に移動されたときに、ボール載置箇所42に載置されたボールに悪影響を与えることがない。
【0031】
また、ボール配置機構40は、ボール載置箇所42に隣接して、鉛直方向に、相互に平行に延びる2本の棒状部材からなるガイド43を備えている。ガイド43は、図6に示すように、その下端部分は、鉛直方向に沿って延びて形成されており、ボール載置箇所42に載置されたボールBの鉛直方向の接線と同一箇所あるいはボールBからやや離れて位置している。そして、ガイド43の上端部分は、下端側である開口部から所定の長さの位置で、ボール載置箇所42側つまり開口部の上方側に向かって徐々に緩やかに湾曲した形状となっている。この湾曲箇所(浮上抑制手段)は、後述するように、所定の高さ以上にボールが浮上することを抑制する機能を有している。
【0032】
ここで、上述したボール配置機構40に装備されたガイド43の機能について、図7及び図8を参照して説明する。まず、図7に示すように、ボール載置箇所42にボールBaが載置された状態のボール配置機構40がノズル30の上方に配置されると、矢印Y2に示すように、ノズル30の吹き出し口から吹き出された空気がボール載置箇所42の中心に形成された開口部を通過し、ボールBaの下部に当たる。これにより、ボールBaは、下方から吹き付けられた空気の圧力を受け、かかる圧力により上方に浮上する。
【0033】
このとき、ボールBaは、ボール載置箇所42に形成された開口部に隣接して上方に向かって延びるガイド43に沿って浮上することとなる。すると、ボールBaが浮上するときには、符号Bbに示すように、開口部に隣接するガイド43に沿って、場合によってはガイド43に接触して、上方に浮上することとなる。このガイドの存在により、ボールBbが水平方向にぶれることが抑制されて、あるいは、水平方向及び鉛直方向にぶれることが抑制されて浮上し、浮上動作が安定する。
【0034】
そして、ボールBbがさらに浮上すると、符号Bcに示すように、ボールBcがガイド43の上端部分の湾曲箇所に接触し、上方から抑えつけられた状態となり、これ以上の浮上が抑制される。これにより、ボールが上下方向に揺れ動くことを抑制されながら下降し、所定の高さ、例えば、符号Bbの高さで安定して浮上静止した状態となる。そして、その後、制御部14が可動機構50を可動制御することで、ボール配置機構40をノズル30の上方位置から離間させて、ボール収容部70側に移動させる。すると、図8に示すように、ボールBの周囲には何も存在せずに、当該ボールBがノズル30上方に安定して浮上した状態となる。
【0035】
なお、上述したガイド43は、必ずしも2本であることに限定されないが、ボールの浮上を制御するという機能から1本では足らず、3本以上では機能を満たすことはできず、2本であることが好ましい。また、ガイド43の棒の直径を5mmとした場合、2本のガイドの下端部の相互間の間隔は2cm程度であることが好ましく、上端部はさらに若干1〜2mm程度広めとするのが好ましい。また、図7において、ボールが安定的に浮上しうる符号Bbに示す高さに位置するガイド43の部分は、ボールの位置に対して反対側に若干湾曲する形状としておくよい。これにより、ボール配置機構40がボール収容部70側に移動するときに、ガイド43がボールに接触することを避けることができ、ボールに回転力を付勢することがない。
【0036】
また、ボールの浮上を抑制する機能を有するガイド43の先端部分の湾曲箇所は、上述した形状に限定されない。また、ボールの浮上を抑制する機能を有する構造は、必ずしもガイド43の先端部分に設けられていることに限定されない。例えば、アーム51の先端から開口部の上方に延び、ボールが所定の高さまで浮上したときに接触する部材を装備してもよい。さらに、上記ガイド43に湾曲箇所を形成せずに、鉛直方向に延びる部分、つまり、鉛直方向にボールが移動するよう導く部材のみを設けてもよい。かかる構成にしてボールが浮上する際に水平方向へのぶれを抑制するだけでも、浮上動作が安定するため、所定の高さで浮上静止したときの状態も安定させることができる。そして、上述したようにガイド43に湾曲箇所を設けることにより、ボール配置機構40の高さ方向をコンパクトにまとめることができる。また、湾曲箇所があると、軽いボールの場合、浮上しすぎることを抑制でき、特に有効である。
【0037】
次に、上述したボール収容部70の下端72の側方であり、第二基台13の下面側に固定装備された落下係止機構60(落下係止手段)について、図9乃至図12を参照して説明する。図9に示すように、落下係止機構60は、係止本体部61と、この係止本体部61に固定された軸部材64と、この軸部材64から突出して固定装備されたレバー部材65と、係止本体部61の背面側に連結する引っ張りコイルばね66と、を備えて構成されている。
【0038】
具体的に、係止本体部61は、所定の幅を有する板状の部材の両端がそれぞれ直角に曲折され、略コの字型に形成されている。そして、両端に位置する曲折箇所62,63が、後述するようにボールBに接触して当該ボールBの落下を係止するよう機能する。また、軸部材64は、係止本体部61の背面側つまり曲折箇所62,63側とは反対側の面に、係止本体部61の幅方向に沿って、かつ、各曲折箇所62,63間の中央に位置して固定装備されている。これにより、図9(B)の矢印Y3に示すように、軸部材64が回動すると、各曲折箇所62,63が回動端となるよう係止本体部61も回動する。なお、図示しないが、軸部材64は、第二基台13に軸支されている。
【0039】
また、上記レバー部材65は、上記軸部材64から係止本体部61の曲折箇所62,63の曲折方向と同じ方向に突出し、下方側に湾曲して形成されている。さらに、引っ張りコイルばね66は、一端が係止本体部61の背面の上端側(曲折箇所62側)に連結し、他端が第二基台13の下面側に連結している。
【0040】
ここで、上述した落下係止機構60の機能について、図10乃至図12を参照して説明する。まず、落下係止機構60は、図10(A)に示すように、引っ張りコイルばね66が係止本体部61の上端側を裏面側に引っ張っている状態であるため、係止本体部61は軸部材64を中心に時計回りに所定の角度だけ回転した状態となる(矢印Y4)。一方で、図10(B)に示すように、レバー部材65に、当該レバー部材65が矢印Y5方向に押される力が付勢されると、軸部材64が反時計回りに回転し、係止本体部61も反時計回りに回転する(矢印Y5)。そして、レバー部材65に対する矢印Y5方向の力が解除されると、上述したように、引っ張りコイルばね66による引っ張り力により、係止本体部61は図10(A)に示すように時計回りに所定の角度だけ回転した状態となる。
【0041】
ここで、上記落下係止機構60の機能とボールとの関係について、図11乃至図13を参照して説明する。まず、通常時は、上述したように引っ張りコイルばね66の引っ張り力により、図11に示すように、係止本体部61が回転した状態となり、下側の曲折箇所63が上側の曲折箇所62よりも突出した状態にある。すると、ボール収容部70の下端72に位置するボールのうち最下部に位置するボールB1の下部が、下側の曲折箇所63に接触し、当該ボールB1が下方から支持された状態となる。これにより、最下部に位置するボールB1は、ボール収容部70内から落下せずに当該ボール収容部70内に係止される。
【0042】
一方で、図11の矢印Y6に示すように、ボール配置機構40がボール収容部70の下端72側に移動すると、図12に示すように、ボール配置機構40の側部が落下係止機構60のレバー部材65に接触し、矢印Y7方向に押す力を付勢する。すると、落下係止機構60は、上述したように矢印Y8方向に回転する。このとき、係止本体部61の下側の曲折箇所63は、ボール収容部70内部から遠ざかる方向に移動するため、当該ボール収容部70内の最下部に位置するボールB1の支持が解除され、当該ボールB1が落下する(矢印Y9)。この落下したボールB1は、ボール配置機構40のボール載置箇所に載置され供給される。
【0043】
これと同時に、落下係止機構60が矢印Y8方向に回転することにより、係止本体部61の上側の曲折箇所62は、ボール収容部70内部側に移動する。これにより、係止本体部61の上側の曲折箇所62は、先ほど落下したボールB1の上に位置するボールB2の下部に接触し、当該ボールB2が下方から支持された状態となる。これにより、ボールB2は、ボール収容部70内から落下せずに当該ボール収容部70内に係止される。
【0044】
その後、図13の矢印Y10に示すように、ボールB1が載置されたボール配置機構40がボール収容部70の下端72側から離間するよう移動すると、落下係止機構60のレバー部材65を押す力が解除される。従って、引っ張りコイルばね66の引っ張り力により、図13の矢印Y11に示すように、係止本体部61が時計回り方向に回転した状態となり、上側の曲折箇所62がボール収容部70内部から遠ざかる方向に移動し、同時に、下側の曲折箇所63が上側の曲折箇所62よりも突出した状態となる。すると、先ほどまで上側の曲折箇所62にて支持されていたボールB2が落下するが、その下方で、今度は下側の曲折箇所63にて下方から支持されることとなる。これにより、上述したように、後にボール配置機構40がボール収容部70側に移動してくるまで、当該ボール収容部70内で、現在最下部に位置するボールB2が落下しないよう支持状態が継続される。
【0045】
[動作]
次に、上述したボール浮上装置の動作を、図14乃至図19を参照して説明する。まず、制御部14の指令により、モータ52が回転して可動機構50が駆動し、図14の矢印Y21に示すように、ボールを載置していないボール配置機構40が、ノズル30側からボール収容部70の下端72側へと移動する。
【0046】
そして、図15に示すように、ボール配置機構40がボール収容部70の下端72の下方に位置すると、上述したように、ボール配置機構40の側部が落下係止機構60のレバー部材65を押すこととなり、当該落下係止機構60が回転する。これにより、ボール収容部70の最下部に位置する1つのボールB1が落下し(矢印Y22)、ボール配置機構40のボール載置箇所に載置されることとなる。なお、落下したボールB1の上に位置していたボールB2は、落下係止機構60にてそのままボール収容部70内に係止される。
【0047】
続いて、予め設定された一定時間が経過すると、制御部14の指令により、可動機構50が駆動して、図16の矢印Y23に示すように、ボールを載置したボール配置機構40が、落下係止機構60及びボール収容部70から離間して、ノズル30の上方に位置するよう移動する。具体的には、ボール配置機構40のボール載置箇所に形成された開口部が、ノズル30の吹き出し口32の上方に位置するよう移動する。このとき、ボール収容部70内には、上述したように落下係止機構60にて、ボールB2が落下せずに支持された状態のままとなる。
【0048】
そして、ノズル30の吹き出し口32からは、図17の矢印24に示すように、ブロア11から供給された空気が上方に吹き出されているため、この空気の圧力を受けて、ボール配置機構40に載置されたボールB1が浮上する。このとき、ボールB1は、上述したように、ボール配置機構40に装備されたガイド43に沿って上方に浮上したのち若干下降し、所定の高さ位置でボールB1の左右への揺れや上下動が小さくなり、軟式ボールであれば4秒ほどで、硬式ボールであれば2秒ほどで、安定して浮上静止する。
【0049】
その後、予め設定された一定時間が経過すると、制御部14の指令により、可動機構50が駆動して、図17の矢印Y25に示すように、ボール配置機構40が、落下係止機構60及びボール収容部70側に移動する。これにより、図18に示すように、ノズル30の吹き出し口の上方に浮上したボールB1の周囲には、ボール配置機構40が存在しない状態となる。従って、このボールB1の上下左右の側部あるいは芯部を定めてバットで打つなどの練習を行い、打撃感触を得ることができる。
【0050】
そして、ボール配置機構40がボール収容部70の下端72の下方に移動すると、図18の矢印Y26に示すように、当該ボール収容部70内の最下部に位置する次のボールB2が落下して(矢印)、ボール配置機構40に供給される。また、その上に位置するボールB3は、落下係止機構60にてボール収容部70内に係止される。なお、次にボール配置機構40がノズル30の上方に移動するタイミングは、例えば、ユーザから所定のボタンが押下されたときや、一定の時間が経過したときであり、ボタンの押下や一定時間の経過を検出制御部14が可動機構50を駆動する。
【0051】
ここで、ボールの浮上高さを変えるときの動作を、図19を参照して説明する。まず、第一基台12のハンドル12bを回すことで、矢印Y31に示すように、当該第一基台12を上方に可動させることができる。このように、第一基台12を上方に可動することで、当該第一基台12上に搭載された第二基台13の位置も上方に可動させることができる。また、第二基台13のハンドル13bを回すことで、矢印Y32に示すように、第一基台12に対する第二基台13の位置を上方に可動させることができる。以上のように、いずれかのハンドル12b,13bを回すことで、第二基台13の位置を上方に可動させることができる。なお、第二基台13の位置を下げる場合は、各ハンドル12b,13bを逆方向に回せばよい。
【0052】
そして、上述したように第二基台13の位置を上方に移動すると、当該第二基台13に一端が固定された連結部材23の位置も上方に移動する。すると、この連結部材23の他端に固定された筒状部22の上端も上方に移動し、これにより、矢印Y33に示すように筒状部22が伸張してノズル30の吹き出し口32の高さも高く設定される。同時に、第二基台13に装備された可動機構50及びアーム51の位置も上方に移動するため、当該アーム51の先端に装備されたボール配置機構40の位置も上方に移動する。また、第二基台13に装備されたボール収納部70も同期して上方に移動する。なお、第二基台13の位置を下方に移動した場合には、ノズル30及びボール配置機構40の位置が下方に移動する。
【0053】
このように、ノズル30とボール配置機構40とは第二基台13に連結しているため、当該第二基台13の高さを変更することで、ノズル30とボール配置機構40との相対的な距離を変えずに、高さ方向に同じ距離だけそれぞれの高さを変更することができる。従って、上述同様に、ボールの浮上を実現できると共に、ボールの浮上高さを変更することができる。
【0054】
ここで、ノズル30とボール配置機構40との距離は、使用するボールB、ブロア11から供給された空気の圧力、ノズル30の形状によって定められる。例えば、ブロア11として富士電機システムズ社製のVFZ501A、インバーターとして富士電機機器制御社製のMulti単相200Vを用い、また、ノズルの形状として、図4に示すa、b、c、d、e、fをそれぞれ16.6mm、37.1mm、57.1mm、16.0mm、37.1mm、66.0mmとした場合に、硬式ボール、軟式ボールの新旧ボールであっても、ノズル30とボール配置機構40との距離は、12.5〜13cmの範囲であることが好ましい。
【0055】
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態では、上述したボール浮上装置の構成の概要を説明する。
【0056】
本発明の一形態であるボール浮上装置は、
気体の吹き出し口を上方に向けて配置されたノズルと、
上記ノズルの吹き出し口から上方に向かって気体が吹き出されるよう当該ノズルに所定の圧力の気体を供給する気体供給手段と、
上記ノズルの吹き出し口から吹き出された上記気体の圧力を下方から受けたボールが上記ノズルの吹き出し口の上方に浮上するよう、上記ボールを上記ノズルの吹き出し口の上方に配置するボール配置手段と、
上記ボールが上記ノズルの吹き出し口の上方に浮上した後に、上記ボール配置手段を上記ノズルの上方位置から離間するよう可動させる可動手段と、を備えている。
そして、上記ボール配置手段は、上記ノズルの上方であり鉛直方向に上記ボールが移動するよう導くガイドを備えた、
という構成をとる。
【0057】
上記発明によると、まず、気体供給手段からノズルに気体が供給され、当該ノズルの吹き出し口から所定の圧力の気体が吹き出される。そして、ボール配置手段にてノズルの吹き出し口上方にボールが配置されると、当該ノズルの吹き出し口から吹き出された空気によりボールの下方に気体の圧力がかかり、この気体の圧力により、ボールがノズルの吹き出し口上方であり鉛直方向に、ガイドに沿って浮上する。このとき、ガイドの存在により、ボールが揺れ動くことが抑制されて浮上することとなり、浮上動作が安定する。そして、ボールがある高さまで浮上すると一旦少々下降し、所定の高さで浮上静止することとなる。そして、その後、ボール配置手段をノズルの上方位置から離間するよう移動させることで、ボールの周囲に何も存在することなく、ボールがノズル上方に安定して浮上した状態となる。これにより、浮上したボールをバットで打つといったバッティング練習などに利用することができる。
【0058】
また、上記ボール浮上装置では、
上記ボール配置手段は、上記ノズルの吹き出し口の上方に位置し、上記ボールが所定の高さまで浮上したときに接触して、当該ボールが所定の高さ以上に浮上することを抑制する浮上抑制手段を備えた、
という構成をとる。
【0059】
また、上記ボール浮上装置では、
上記ボール配置手段は、上記ボールが載置される箇所に上記ノズルから吹き出された上記空気が下方から上方に向かって流通する開口部を有し、
上記ガイドを、上記開口部に隣接して設け、鉛直方向に延びるよう形成し、当該ガイドを上方に上記浮上抑制手段を設けた、
という構成をとる。
【0060】
また、上記ボール浮上装置では、
上記ガイドに設けられた上記浮上抑制手段は、上記ガイド自体が上記開口部側から所定の長さの位置で当該開口部上方側に向かって湾曲して形成されている、
という構成をとる。
【0061】
また、上記ボール浮上装置では、
上記ガイドは、鉛直方向に平行に延びる2本の棒状部材である、
という構成をとる。
【0062】
これにより、ボールは、ある高さまで浮上したときに浮上抑制手段に接触して、必要により、それ以上の高さに浮上することが抑制される。これにより、ボールが上下方向に揺れ動くことを抑制でき、当該ボールがある高さから一旦少々下降し、上記浮上抑制手段の存在とノズルからの空気の圧力との相関関係により、ボールを所定の高さで安定して浮上静止させることができる。このとき、特に、ガイドを開口部に隣接することで、ボールは、浮上開始からすぐに隣接したガイドに沿って、安定して上方に導かれる。また、上方に延びるガイドの上端部分をノズルの吹き出し口上方側に湾曲させて浮上抑制手段を形成することで、特に軽いボールの浮上を安定させる構造を容易かつ低コストにて実現可能である。
【0063】
また、ボール浮上装置では、
上記可動手段の動作を制御する制御手段を備え、
上記制御手段は、上記ボール配置手段を上記ノズルの上方位置に移動させ、予め設定された一定時間が経過したのちに、上記ボール配置手段を上記ノズルの上方位置から離間させるよう上記可動手段の動作を制御する、
という構成をとる。
【0064】
また、上記ボール浮上装置では、
上記ボールを収容するボール収容手段を備え、
上記ボール収容手段は、上記ボール配置手段が上記ノズルの上方から離間して上記ボール収容手段の下方位置に移動したときに、当該ボール配置手段の移動動作に連動して、当該ボール配置手段の上記ボールが載置される箇所に、収容された上記ボールを落下させて載置するよう供給する、
という構成をとる。
【0065】
さらに、上記ボール浮上装置では、
上記ボール収容手段に、上記ボールが落下することを係止する落下係止手段を設け、
上記落下係止手段は、上記ボール配置手段が上記ボール収容手段の下方位置に移動したときに、上記ボール収容手段内に収容されたボールのうち最下部に位置する1つのボールを上記ボール配置手段のボール載置箇所に落下させると共に、当該落下させたボールの上に位置する他のボールの落下を係止するよう可動し、上記ボール配置手段が上記ボール収容手段の下方位置から離間しているときに上記他のボールの落下の係止を継続する、
という構成をとる。
【0066】
上記構成にすることにより、ボールを1つずつノズルの上方に供給して浮上させることができ、バッティング練習などの利用に好適である。
【0067】
また、本発明の他の形態であるボール浮上装置は、
気体の吹き出し口を上方に向けて配置されたノズルと、
上記ノズルの吹き出し口から上方に向かって気体が吹き出されるよう当該ノズルに所定の圧力の気体を供給する気体供給手段と、
上記ノズルの吹き出し口から吹き出された上記気体の圧力を下方から受けたボールが上記ノズルの吹き出し口の上方に浮上するよう、上記ボールを上記ノズルの吹き出し口の上方に配置するボール配置手段と、
上記ボールが上記ノズルの吹き出し口の上方に浮上した後に、上記ボール配置手段を上記ノズルの上方位置から離間するよう可動させる可動手段と、を備える。
そして、上記ボール配置手段は、上記ノズルの吹き出し口の上方に位置し、上記ボールが所定の高さまで浮上したときに接触して、当該ボールが所定の高さ以上に浮上することを抑制する浮上抑制手段を備えた、
という構成をとる。
【0068】
上記構成のように、ガイドを設けることなく、浮上抑制手段を設けただけであっても、ボールが所定の高さ以上に浮上することを抑制することができ、浮上動作が安定するため、所定の高さで安定して浮上静止させることができる。
【0069】
また、本発明の他の形態であるボール浮上方法は、
ボール収容手段に収容されたボールの1つを、ボール配置手段のボール載置箇所に配置し、
上記ボール配置手段を、気体の吹き出し口が上方に向けて配置されたノズルの上方に移動し、
上記ボール配置手段のボール載置箇所に載置された上記ボールに対して当該ボールの下方から、上記ノズルの吹き出し口から上方に向かって吹き出された所定の圧力の気体を吹き付けて、上記ボールを上記ノズルの吹き出し口の上方に浮上させ、
上記ボールが所定の高さまで浮上するときに、ガイドにより上記ボールを鉛直方向に移動するように導くと共に、当該ボールが揺れることを抑制し、
その後、上記ボール配置手段を、上記ノズルの上方位置から離間するよう可動させる、
という構成をとる。
【0070】
上述した構成を有する、ボール浮上方法の発明であっても、上記ボール浮上装置と同様の作用を有するために、上述した本発明の目的を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、例えば、野球のボールを浮上させて当該ボールをバットで打つことによりバッティング練習に利用することができ、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0072】
10 第一筐体
11 ブロア
12 第一基台
12a,13a 柱部材
12b,13b ハンドル
13 第二基台
13c 上下可動機構
14 制御部
20 第二筐体
21 配管
22 筒状部
23 連結部材
30 ノズル
31 空気孔
32 吹き出し口
40 ボール配置機構
41 ボール支持部材
42 ボール載置箇所
43 ガイド
50 可動機構
51 アーム
52 モータ
60 落下係止機構
61 係止本体部
62,63 曲折箇所
64 軸部材
65 レバー部材
70 ボール収容部
B ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体の吹き出し口を上方に向けて配置されたノズルと、
前記ノズルの吹き出し口から上方に向かって気体が吹き出されるよう当該ノズルに所定の圧力の気体を供給する気体供給手段と、
前記ノズルの吹き出し口から吹き出された前記気体の圧力を下方から受けたボールが前記ノズルの吹き出し口の上方に浮上するよう、前記ボールを前記ノズルの吹き出し口の上方に配置するボール配置手段と、
前記ボールが前記ノズルの吹き出し口の上方に浮上した後に、前記ボール配置手段を前記ノズルの上方位置から離間するよう可動させる可動手段と、を備え、
前記ボール配置手段は、前記ノズルの上方であり鉛直方向に前記ボールが移動するよう導くガイドを備えた、
ボール浮上装置。
【請求項2】
請求項1に記載のボール浮上装置であって、
前記ボール配置手段は、前記ノズルの吹き出し口の上方に位置し、前記ボールが所定の高さまで浮上したときに接触して、当該ボールが所定の高さ以上に浮上することを抑制する浮上抑制手段を備えた、
ボール浮上装置。
【請求項3】
請求項2に記載のボール浮上装置であって、
前記ボール配置手段は、前記ボールが載置される箇所に前記ノズルから吹き出された前記空気が下方から上方に向かって流通する開口部を有し、
前記ガイドを、前記開口部に隣接して設け、鉛直方向に延びるよう形成し、当該ガイドを上方に前記浮上抑制手段を設けた、
ボール浮上装置。
【請求項4】
請求項3に記載のボール浮上装置であって、
前記ガイドに設けられた前記浮上抑制手段は、前記ガイド自体が前記開口部側から所定の長さの位置で当該開口部上方側に向かって湾曲して形成されている、
ボール浮上装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のボール浮上装置であって、
前記ガイドは、鉛直方向に平行に延びる2本の棒状部材である、
ボール浮上装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のボール浮上装置であって、
前記可動手段の動作を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記ボール配置手段を前記ノズルの上方位置に移動させ、予め設定された一定時間が経過したのちに、前記ボール配置手段を前記ノズルの上方位置から離間させるよう前記可動手段の動作を制御する、
ボール浮上装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のボール浮上装置であって、
前記ボールを収容するボール収容手段を備え、
前記ボール収容手段は、前記ボール配置手段が前記ノズルの上方から離間して前記ボール収容手段の下方位置に移動したときに、当該ボール配置手段の移動動作に連動して、当該ボール配置手段の前記ボールが載置される箇所に、収容された前記ボールを落下させて載置するよう供給する、
ボール浮上装置。
【請求項8】
請求項7に記載のボール浮上装置であって、
前記ボール収容手段に、前記ボールが落下することを係止する落下係止手段を設け、
前記落下係止手段は、前記ボール配置手段が前記ボール収容手段の下方位置に移動したときに、前記ボール収容手段内に収容されたボールのうち最下部に位置する1つのボールを前記ボール配置手段のボール載置箇所に落下させると共に、当該落下させたボールの上に位置する他のボールの落下を係止するよう可動し、前記ボール配置手段が前記ボール収容手段の下方位置から離間しているときに前記他のボールの落下の係止を継続する、
ボール浮上装置。
【請求項9】
ボール収容手段に収容されたボールの1つを、ボール配置手段のボール載置箇所に配置し、
前記ボール配置手段を、気体の吹き出し口が上方に向けて配置されたノズルの上方に移動し、
前記ボール配置手段のボール載置箇所に載置された前記ボールに対して当該ボールの下方から、前記ノズルの吹き出し口から上方に向かって吹き出された所定の圧力の気体を吹き付けて、前記ボールを前記ノズルの吹き出し口の上方に浮上させ、
前記ボールが所定の高さまで浮上するときに、ガイドにより前記ボールを鉛直方向に移動するように導き、当該ボールが揺れることを抑制し、
その後、前記ボール配置手段を、前記ノズルの上方位置から離間するよう可動させる、
ボール浮上方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−104198(P2011−104198A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263823(P2009−263823)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(801000027)学校法人明治大学 (161)
【出願人】(509320689)株式会社エム・アール・コーポレーション (1)