説明

ポケット構造およびこれを有するズボン

【課題】 ポケットに収納されたコインなどの物品がポケットから脱落しにくく、ポケットへの物品の出し入れが容易であり、しかも簡単に製造可能なポケット構造およびこれを有するズボンを提供すること。
【解決手段】 物品を収納する袋体35と、前記袋体35の入り口部に縫着または接着して設けられている前記物品の脱落防止手段とを備えるポケット構造であって、前記脱落防止手段が、布製のテーパー状のリング11から構成され、前記布製のテーパー状のリング11が、前記袋体35の入り口部の外径に一致する開口部Aと、前記袋体35に縫着または接着されていない、前記開口部Aよりも小さい外径を有する自由端部からなる開口部Bとを有するポケット構造およびこれを備えたズボン10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポケット構造およびこれを有するズボンに関するものであり、詳しくは、ポケットに収納されたコインなどの物品がポケットから脱落しにくく、ポケットへの物品の出し入れが容易であり、しかも簡単に製造可能なポケット構造およびこれを有するズボンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来のポケット構造を有するズボンを説明するための図である。図3において、ズボン30は、前身頃31および後身頃32から主に構成され、前身頃31には脇ポケット33が、後身頃32には後ポケット34が設けられている。脇ポケット33は、物品を収納する袋体35がポケットの切り開き部36に縫着されている。なお図示していないが、後ポケット34も同様の構造を有する。
しかしながら、このような従来のズボンを着用して着座した場合、ポケットに収納されたコインなどの物品がそこから外部に脱落してしまうことがある。これは脇ポケット33および後ポケット34が着座によって横向きになることにより、コインなどの物品が袋体35からこぼれ落ちるためである。
なお、ポケットに収納された物品の脱落を防止する手段を講じた衣類については、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−146607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の目的は、ポケットに収納されたコインなどの物品がポケットから脱落しにくく、ポケットへの物品の出し入れが容易であり、しかも簡単に製造可能なポケット構造およびこれを有するズボンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、物品を収納する袋体と、前記袋体の入り口部に縫着または接着して設けられている前記物品の脱落防止手段とを備えるポケット構造であって、
前記脱落防止手段が、布製のテーパー状のリングから構成され、
前記布製のテーパー状のリングが、前記袋体の入り口部の外径に一致する開口部Aと、前記袋体に縫着または接着されていない、前記開口部Aよりも小さい外径を有する自由端部からなる開口部Bとを有することを特徴とするポケット構造である。
請求項2の発明は、前身頃に設けられた脇ポケットおよび/または後身頃に設けられた後ポケットを有するズボンにおいて、前記脇ポケットおよび/または後ポケットが、請求項1に記載のポケット構造を有することを特徴とするズボンである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のポケット構造は、布製のテーパー状のリングからなる脱落防止手段を備えているため、ポケットに収納されたコインなどの物品がポケットから脱落しにくく、ポケットへの物品の出し入れが容易であり、しかも簡単に製造可能である。また、該ポケット構造を備えたズボンは、上記と同様の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明をさらに説明する。
図1は、本発明のポケット構造を有するズボンを説明するための図である。図1において、ズボン10は、前身頃31および後身頃32から主に構成され、前身頃31には脇ポケット33が、後身頃32には後ポケット34が設けられている。脇ポケット33は、物品を収納する袋体35がポケットの切り開き部36に縫着されている。なお図示していないが、後ポケット34も同様の構造を有する。ここまでの構造は、図3で例示した従来のズボンと同様である。本発明のポケット構造を有するズボンは、脱落防止手段として布製のテーパー状のリング11を備えていることに特徴を有する。
【0008】
図2は、布製のテーパー状のリングおよびこれを備えたポケット構造を説明するための図である。
図2(a)において、布製のテーパー状のリング11は、袋体35の入り口部(ポケットの切り開き部36に縫着されている部分)の外径に一致する開口部Aと、前記開口部Aよりも小さい外径を有する開口部Bとを有する。そしてこの開口部Aが、袋体35の入り口部に縫着または接着され、開口部Bが袋体35の内部に存在するように配置される。開口部Bは、袋体35に縫着または接着されておらず、自由端部を有する。
本発明のポケット構造を有するズボンを着用して着座した場合、例えば脇ポケット33が図2(b)に示すように横向きになったとしても、袋体35と開口部Bの自由端部との間にコインなどの物品21が挟まって入り込み、袋体35からこぼれ落ちることがない。
また、袋体35の入り口部にファスナー等を設ける手段と比べ、リング11は布製であり手のポケットへの出し入れに悪影響を与えず、物品の出し入れが容易である。また、本発明のポケット構造では布製のテーパー状のリング11を作成しこれを袋体35の入り口部に開口部Aを縫着または接着するだけで効果を奏するため、製造が容易である。
【0009】
前記では、ズボンの脇ポケットを例にとり説明したが、ズボンの後ポケットでも本発明のポケット構造を採用することにより同様の効果を奏する。しかし、着座した場合は、脇ポケットの横向きが顕著となるため、脇ポケットに本発明のポケット構造を採用した場合に、とくに有利な効果を奏する。また、本発明のポケット構造は、シャツなどの上着のポケットにも好適に採用できる。
【0010】
開口部Aと開口部Bの直径の比率はとくに制限されないが、開口部Aに対し開口部Bの直径を10%〜30%減じるのが好ましい。また、リング11の袋体35の奥行き方向に伸びる長さも特に制限するものではないが、例えば袋体35の奥行き方向に対し、10%〜50%程度が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明のポケット構造は、布製のテーパー状のリングからなる脱落防止手段を備えているため、ポケットに収納されたコインなどの物品がポケットから脱落しにくく、ポケットへの物品の出し入れが容易であり、しかも簡単に製造可能である。また、該ポケット構造を備えたズボンは、上記と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のポケット構造を有するズボンを説明するための図である。
【図2】布製のテーパー状のリングおよびこれを備えたポケット構造を説明するための図である。
【図3】従来のポケット構造を有するズボンを説明するための図である。
【符号の説明】
【0013】
10 ズボン
11 布製のテーパー状のリング
31 前身頃
32 後身頃
33 脇ポケット
34 後ポケット
35 袋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する袋体と、前記袋体の入り口部に縫着または接着して設けられている前記物品の脱落防止手段とを備えるポケット構造であって、
前記脱落防止手段が、布製のテーパー状のリングから構成され、
前記布製のテーパー状のリングが、前記袋体の入り口部の外径に一致する開口部Aと、前記袋体に縫着または接着されていない、前記開口部Aよりも小さい外径を有する自由端部からなる開口部Bとを有することを特徴とするポケット構造。
【請求項2】
前身頃に設けられた脇ポケットおよび/または後身頃に設けられた後ポケットを有するズボンにおいて、前記脇ポケットおよび/または後ポケットが、請求項1に記載のポケット構造を有することを特徴とするズボン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−16323(P2007−16323A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195706(P2005−195706)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(505254164)株式会社三和テック (2)
【Fターム(参考)】