ポストパレット
【課題】芯に巻回されたロール状の製品を、コストをかけずに容易に搬送することが可能なポストパレットを提供する。
【解決手段】芯に巻回されたロールを搬送するためのポストパレットであって、少なくとも、矩形状のパレットと、該パレットの4隅に、各々、直立するポストを備えるとともに、前記ロールの芯の両端を支持する少なくとも1組の芯支持台と、該芯支持台により支持された前記ロールの芯の方向に沿って配置されたレールをさらに備えており、前記芯支持台は前記レールに沿ってスライド自在なものであり、該芯支持台の配置位置が前記ロールの芯の長さに合わせて調整可能なものであるポストパレット。
【解決手段】芯に巻回されたロールを搬送するためのポストパレットであって、少なくとも、矩形状のパレットと、該パレットの4隅に、各々、直立するポストを備えるとともに、前記ロールの芯の両端を支持する少なくとも1組の芯支持台と、該芯支持台により支持された前記ロールの芯の方向に沿って配置されたレールをさらに備えており、前記芯支持台は前記レールに沿ってスライド自在なものであり、該芯支持台の配置位置が前記ロールの芯の長さに合わせて調整可能なものであるポストパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットの4隅にポストを有するポストパレットに関し、特には、芯に巻回されたロールを搬送するためのポストパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の国内や海外の流通の発展に伴い、例えば太陽電池用のフィルムやTV用の光学フィルム等の荷物の搬送にあたっては、パレットの4隅に直立するポストを設けた、いわゆるポストパレットが多用されてきた。このようなポストパレットとしては、例えば特許文献1に開示されたものが挙げられる。
【0003】
搬送物がこのような太陽電池用のフィルム等の場合、芯に該フィルムを巻回してロール状にした上で、パレット上で、芯の両端を支持しつつ宙吊りにすることによって搬送を行っていた。
しかしながら、このようなポストパレットを用いたロール状の製品の搬送は、コストが高くかかってしまい問題となっていた。また、製品の幅、従って芯の長さや、ロール径など様々なものがあり、搬送するのに適切なポストパレットの用意に手間やコストがかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−526579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、芯に巻回された種々のロール状の製品を、コストをかけずに容易に搬送することが可能なポストパレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、芯に巻回されたロールを搬送するためのポストパレットであって、少なくとも、矩形状のパレットと、該パレットの4隅に、各々、直立するポストを備えるとともに、前記ロールの芯の両端を支持する少なくとも1組の芯支持台と、該芯支持台により支持された前記ロールの芯の方向に沿って配置されたレールをさらに備えており、前記芯支持台は前記レールに沿ってスライド自在なものであり、該芯支持台の配置位置が前記ロールの芯の長さに合わせて調整可能なものであることを特徴とするポストパレットを提供する。
【0007】
このように、少なくとも1組の芯支持台がレールに沿ってスライド自在で、該芯支持台の配置位置がロールの芯の長さに合わせて調整可能なものであるので、種々の芯の長さを有するロールに簡単に対応させることができる。したがって、1つのポストパレットで、種々の長さの芯を有するロールを1つ以上搬送することができるものとなる。このため、わざわざロールの芯の長さに応じて別個ポストパレットを用意する必要がなく、コストの低減を図ることができるし、環境にも優しい。
【0008】
また、前記芯支持台は、前記ロールの芯を受け支える溝を有する芯受け具と、該芯受け具が着脱可能に装着されるとともに前記芯支持台に着脱可能に装着される芯受け位置調整部材とを介して前記ロールの芯を支持するものであり、前記芯受け具は、前記ロールの芯の径に応じたサイズの溝を有するものが選択されて装着可能なものであり、前記芯受け位置調整部材は、前記ロールの径に応じた高さを有するものが選択されて装着可能なものとすることができる。
【0009】
このようなものであれば、種々のロールの芯の長さに対応可能であるとともに、種々のロールの芯の径やロール自体の径にも対応することができるものとなる。しかも、芯受け具は芯受け位置調整部材に、芯受け位置調整部材は芯支持台に着脱可能に装着できるので、ロールの芯の径やロールの径に応じた調整を容易に行うことが可能である。
【0010】
前記少なくとも1組の芯支持台および前記4本のポストは、各々、内側に折り畳み自在なものであり、前記少なくとも1組の芯支持台が折り畳まれることで、前記ロールの芯を収納可能なスペースが形成されるものとすることができる。
【0011】
このようなものであれば、ロールを載せていない場合には芯支持台やポストを折り畳んでコンパクトにすることができる。そのため、コンテナ等に一度に大量に積み込むことができてコストの低減を図ることができることから、ロールの搬送先から返却して再度利用可能なリターナブルパレットとして用いることができる。送ったきりのワンウェイパレットに比べて環境面においても優れる。
しかも、単にポストパレットをコンパクト化するだけでなく、同時にロールの芯を収納可能なため、搬送先からロールの芯も同時に返却可能であり、ロールの芯の再使用や、ロールの芯を別個返却する際の手間やコストを削減することができる。
【0012】
また、前記ポストパレットの底板と、天板と、側板のうち、少なくとも1つをさらに具備するものとすることができる。
【0013】
このようなものであれば、底板、天板、側板によって載上したロールを外部と遮断することができ、外部からのごみが製品であるロールに付着して汚れたり、外部と直接接触してロールに傷がつくのを防ぐことができる。
【0014】
また、前記パレット、ポスト、芯支持台およびレールがスチール製のものとすることができる。
【0015】
このようなものであれば、パレット、ポスト、芯支持台およびレールが比較的安価なスチール製であるため、例えば樹脂製やアルミ製のものに比べて十分強度が高い上にコストも抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
ロール状の製品はその幅が様々であり、芯の長さおよびロール径も様々であるが、本発明のポストパレットであれば、それらの種々の芯の長さや径を有するロールに簡単に対応することができる。さらには、ポストパレットをロールの芯の長さごとに用意する必要をなくすことができ、コスト面、環境面において優れている。しかも、スチール製とすることも可能であり、十分な強度を有するものとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のポストパレット全体の一例を示す概略図である。
【図2】芯に巻回されたロールが本発明のポストパレットに載上されたときの様子を示す説明図である。
【図3】ポストの一例を示す概略図である。
【図4】隅柱の一例を示す概略図である。
【図5】ポストが直立して固定されている状態を説明する説明図である。
【図6】ポストが回動している状態を説明する説明図である。
【図7】前面側と後面側のポストが折り畳まれている状態の一例を示す説明図である。
【図8】レールの一例を示す概略図である。
【図9】(A)レールの別の一例を示す概略図である。(B)別の角度から見た芯支持台とレールの関係を示す説明図である。(C)レール凸部に嵌合部材凹部が嵌合している状態を示す説明図である。(D)レール凸部から嵌合部材凹部がはずれている状態を示す説明図である。
【図10】芯の長さに応じた芯支持台の位置調整を示す説明図である。
【図11】芯支持台とスライド補助部材の関係の一例を示す説明図である。
【図12】ロールの芯を直接的に支持する芯支持台の一例を示す説明図である。
【図13】ロールの芯を間接的に支持する芯支持台の一例を示す説明図である。
【図14】芯受け具の一例を示す概略図である。
【図15】芯受け位置調整部材の一例を示す概略図である。
【図16】芯支持台の一例を示す概略図である。
【図17】芯の径に応じて溝のサイズが異なる芯受け具を装着する場合の一例を示す説明図である。
【図18】ロールの径に応じて高さが異なる芯受け位置調整部材を装着する場合の一例を示す説明図である。
【図19】1つの芯支持台に2つの芯受け位置調整部材を装着した場合の一例を示す説明図である。
【図20】ポストおよび芯支持台を折り畳んだ状態の一例を示す概略図である。
【図21】底板の一例を示す概略図である。
【図22】側板および天板の一例を示す概略図である。
【図23】ロールを搬送するときにポストパレットを積み重ねた状態を示す概略図である。
【図24】折り畳んだポストパレットを積み重ねた状態を示す概略図である。
【図25】レールの別の一例を示す概略図である。(A)前面側の芯支持台4およびレール5を右側面側から見た斜視図である。(B)後面側から見た斜視図である。
【図26】突起付板の一例を示す概略図である。
【図27】誘導板の一例を示す概略図である。
【図28】(A)レバーの一例を示す概略図である。(B)レバーを垂直に立てたときのA矢視図である。(C)レバーを水平に寝かせたときのA矢視図である。
【図29】(A)芯支持台の位置を固定したときの状態を示す説明図である。(B)芯支持台をスライドさせるときの状態を示す説明図である。
【図30】補助的な固定機構を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
太陽電池用のフィルム等を芯に巻回してロール状とした製品を搬送する際にはコストがかかっており問題となっていた。
本発明者らが、このようなロールを搬送するためのポストパレットについて鋭意研究を行ったところ、コストがかかることの原因の一つに、ロールの幅は様々であること、つまりはロールの芯の長さや径が様々であることがわかった。搬送の際、ロールの芯の両端を支持することによってロールを固定しているが、各々のロールの芯の長さや径に合わせてポストパレットを製造して用意するのでは当然コストがかかる。そこで本発明者らは、種々のロールの芯の長さや径に対応可能なポストパレットであれば、ロールの芯の長さや径ごとに別個のポストパレットを製造して用意する必要もなく、コストの低減を図ることができることを見出した。さらには、ポストパレットを必要以上に製造することもなく、環境面でも優れる。
【0019】
また、ロールの芯の方向に沿って備えたレールを利用し、芯を支持する芯支持台をスライド自在なものとすれば、簡単に芯支持台の配置位置を調整してロールの芯の長さに対応することができる。
本発明者らはこれらのことを見出し、本発明を完成させた。
【0020】
また、例えば太陽電池用のフィルムなどでは、ロール状にしたその製品は1ロールあたりで200〜300kg程度もある。このような重いロールを1つ、あるいはそれ以上の数をポストパレットに載せる場合、また、位置調整によって芯支持台がどのような位置に配置されたとしても、より安定してロールを支持できるように強度の高いものとするのが好ましい。したがって、強度の低い樹脂製やアルミ製ではなく、高い強度が望めるスチール製とすればコストも比較的かからず強度の面でも優れたものとすることができることを本発明者らはさらに見出した。上記のように芯支持台の位置調整が可能になったとしても、実際にロールをより確実に支持できるものとすることができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<ポストパレット全体について>
図1に本発明のポストパレットの全体の一例の概略を示す。
なお、便宜上、図1に示すように、手前側をポストパレットの「前面」、奥側を「後面」、左側を「左側面」、右側を「右側面」として説明する。
【0022】
本発明のポストパレット1は、矩形状のパレット2を備えており、その4隅にはポスト3がそれぞれ直立している。また、荷物であるロールの芯の両端を支持するための1組の芯支持台4が備えられており、前面側に1つ、対向して後面側に1つ配置されている。そして、該芯支持台4を前後にスライドさせるためのレール5が前面側から後面側にかけてパレット2内に設けられている。これらのパレット2、ポスト3、芯支持台4、レール5は特に限定されないが、例えばスチール製とすれば、強度も十分である。
また、芯支持台4には、上部に芯受け位置調整部材6が装着されており、さらには該芯受け位置調整部材6には芯受け具7が装着されている。これらの芯受け位置調整部材6、芯受け具7の材質は特に限定されず、樹脂製、アルミ製、木製、スチール製等、その都度決定することができる。少なくとも、ロールを支持できる程度の強度を有し、加工し易い材質のものであるのが好ましい。ここでは、木製のものを例に挙げて説明する。
【0023】
なお、図2に、芯8に巻回されたロール9がポストパレット1に載上されたときの様子を示す。
図1、2に示すように、ロール9の芯8の方向に沿ってレール5が設けられていることがわかる。また、芯受け具7と芯受け位置調整部材6を介して芯支持台4によってロール9の芯8が支持されており、ロール9は宙吊りの状態でポストパレット1上に固定される。
【0024】
以下、上記の各構成部品についてさらに詳しく述べる。
<パレットについて>
まず、パレット2には、角パイプやL字のアングルなどの部材を用い、これらを溶接等して、図1に示すように格子状のものとなっている。
また、その他、必要に応じて補強部材を設けることができる。例えば、図1に示すように、角柱形状の補強部材をパレット2の中央に、左側面側から右側面側にかけて設けても良い。
パレット2は特には限定されず、従来と同様のものとすることができる。
【0025】
<ポストについて>
次にポスト3について述べる。
ポスト3は例えば角柱状のものとすることができる。
パレットの4隅に直立させることができれば良く、例えば、パレットに溶接等によって固定されたものとすることができる。この他、ポストの下端部はポストパレットが安定するように台状になっているが、ポストパレットを安定させることができる形状であれば良い。
【0026】
また、ポスト3に関して上記態様とは別の態様とすることができる。例えば図1に示すように、直立時にポスト3を囲んで支持する隅柱10をさらに設けることができる。この場合、隅柱10がパレット2の4隅に溶接等によって固定されている。
【0027】
図3にポスト3の概略を、図4に隅柱10の概略を示す。
ポスト3では、側面に長穴13がポスト3の長さ方向に沿って形成されている。このポスト3は、隅柱10によって起立して直立した状態で固定、支持される一方で、パレット2上に折り畳むことが可能である。ポスト3の形状は特に限定されないが、角柱状であれば、折り畳んだ時に安定し易い。
【0028】
そして、4本の隅柱4は上端部にコの字型の形状(コの字部)11を有しており、これにより、直立したポスト3を隅柱から引き抜いた時に、コの字の開口部15の方にポスト3を倒すことが出来るようになっている。
さらに、隅柱10の下方は筒状部12で中空になっており、この中空部にポスト3の下端部を挿入することができ、これによってポスト3を起立させた状態で安定して固定して支持できるようになっている。
【0029】
なお、隅柱10の下端部はポストパレット1が安定するように台状になっているが、ポストパレット1を安定させることができる形状であれば良い。
そして、隅柱10には、隅柱10の側面から上記ポスト3の長穴13に嵌入する回動用軸棒14が挿入されている。なお、図3、4では、ポスト3と隅柱10を別個に図示しているため、ポスト3の長穴13と隅柱10の回動用軸棒14が係合していないが、実際には、後述の図5、6に示すように、これらは互いに係合して一体となっている。
【0030】
ここで、ポスト3における上下動および回動と、隅柱10の関係についてさらに詳述する。
図5にポスト3の下端部が隅柱10の筒状部12の中空部に挿入され、直立して固定されている状態を示す。また、図6にポスト3の下端部が隅柱10の筒状部12の中空部からコの字部11まで引抜かれ、回動している状態を示す。
ポスト3を直立させる場合は、図5に示すように、ポスト3が隅柱10の中空部に挿入され、このとき隅柱10の回動用軸棒14はポスト3の長穴13の上方(あるいは上端)に位置することになる。
一方、ポスト3を折り畳む場合は、図6に示すように、まず、ポスト3は、隅柱10の中空部からコの字部11まで引抜かれ、これによりポスト3の長穴13の下端にまで相対的に移動した隅柱10の回動用軸棒14を軸とし、ポスト3を回動することができる。このような構造により、ポスト3を、パレット2から分離することなく隅柱10のコの字部11の開口部15の方向に回動させることができる。なお、長穴13は、図3のような形状とすることもできるし、図5、6のように、例えば先端が切り欠き加工され、くの字に形成されたものとすることもできる。このようなくの字のものであれば、ポスト3を回動させるときに、ポスト3が隅柱10の内面と干渉するのを防ぐことが可能である。
【0031】
このように、パレット2の4隅に位置するポスト3、隅柱10は、それぞれ上記のような共通する特徴を有している。
図7は、ポストパレット1の右側面図である。ただし、分かり易いように、右側面側のポスト3(左が3FR、右が3RR)、隅柱10(左が10FR、右が10RR)とパレット2のみを示している。
図7に示すように、ポストパレット1の前面側に位置する隅柱10FRと後面側に位置する隅柱10RRにおいては、各々開口部15が内側を向いて対向している。このため、各々のポスト3FR、3RRが折り畳まれる場合、開口部15の方向、すなわち、いずれもポストパレット1の内側に向かって(ポスト3FRは後面側に向かって、ポスト3RRは前面側に向かって)回動し、パレット2上に折り畳むことができる。
【0032】
なお、ポスト3が回動する軸となる隅柱10の回動用軸棒14の高さ位置は特に限定されないが、例えば、前面側においては、図7に示すように前面側の隅柱10FRにおける回動用軸棒14の高さ位置が、後面側の隅柱10RRにおける回動用軸棒14の高さ位置よりも高くなるようにして設けることができる。このようなものであれば、折り畳んだ時に各々のポスト3FR、10RRが平行に積み重なり、よりコンパクトに折り畳むことが可能であるため好ましい。
【0033】
また、上記態様では、ポスト3FR、3RR、隅柱10FR、10RRについて説明したが、左側面側におけるポスト3FL、3RL、隅柱10FL、10RLについても同様の構成とすることができる。
【0034】
さらには、上記態様では、前面側のポスト3FR(3FL)が後面側に向かって、後面側のポスト3RR(3RL)が前面側に向かって回動して折り畳み可能な例について説明したが、これとは別に、右側面側のポスト3FR(3RR)が左側面側に向かって、左側面側のポスト3FL(3RL)が右側面側に向かって回動して折り畳み可能な構造とすることもできる。この場合は、ロールを載上する芯の方向を、前後方向から左右方向に変更すれば良い。
【0035】
<レールについて>
次に、レール5について述べる。
レール5は、上述したように前面側から後面側にかけてパレット2内に設けられている。スムーズに芯支持台4をスライドさせて、ロール9の芯8の長さに合わせて位置を調整できるものであれば良い。レール5の本数は特に限定されず、ここでは、図1のように2本有する例について説明する。また、芯支持台4の位置を調整するための具体的な機構も特に限定されないが、以下に3つ例(孔利用型、凸部利用型、誘導板利用型)を挙げて説明する。
【0036】
(孔利用型)
図8にレールの一例を示す。前面側の芯支持台4およびレール5を右側面側から見た斜視図である。
角柱形状のレール5には側面にレール孔16が複数並んで形成されている。該レール孔16の径の大きさ、深さ、数や、レール孔同士の間隔等は適宜決定することができる。例えば、レール孔同士の間隔を小さくとれば、芯支持台4の位置調整を細かく行うことが可能になる。
【0037】
また、該レール5はスライド補助部材17を介して芯支持台4と接続されている。例えばスライド補助部材17は筒18を有し、レール5を囲っており、レール5に沿って移動させることができる。筒18の側面には貫通孔19が形成されており、該貫通孔19を通してレール孔16に固定ピン20を挿入することで、筒18の位置を調整し、固定することができる。
一方、筒18は、上面で芯支持台4と溶接等により固定されており、スライド補助部材17と芯支持台4は一体化されている。
したがって、レール5に沿って筒18を移動させることで芯支持台4をスライドさせることができ、また、固定ピン20により筒18の位置を固定させることで、芯支持台4の位置を固定することが可能である。
【0038】
(凸部利用型)
図9(A)にレールの別態様の一例を示す。
レール5には上面に凸部(レール凸部21)が複数並んで形成されている。該レール凸部21の幅、高さ、数や、レール凸部同士の間隔等は適宜決定することができる。例えば、レール凸部同士の間隔を小さくとれば、芯支持台4の位置調整を細かく行うことが可能になる。
【0039】
また、図9(B)に、前面側の芯支持台4およびレール5を前面側から見た側面図を示す。芯支持台4とレール5を接続するスライド補助部材17は、レールの5のレール凸部21と嵌合可能な凹部(嵌合部材凹部22)が形成された嵌合部材23、該嵌合部材23を水平方向に移動させてレール凸部21に嵌合部材凹部22を嵌めたり、はずしたりするためのスプリング24、該スプリング24と芯支持台4をつなぐ接合部材25を有している。嵌合部材凹部22に関して、数等は特に限定されないが、レール凸部21と安定して嵌合できるよう適宜決定することができる。また、接合部材25に関して、形状等は特に限定されず、溶接等により、スプリング24を介して嵌合部材23と芯支持台4を安定してつなぐことができるものであれば良い。
【0040】
図9(B)は嵌合部材凹部22がレール凸部21と嵌合している状態である。スプリング24によって、通常、嵌合部材23は左側面側に向かって押圧されており、嵌合部材凹部22がレール凸部21と嵌合することで嵌合部材23の位置が固定されている。嵌合部材23の位置が固定されることで、芯支持台4の位置も固定される。このときの嵌合部材23とレール5の様子を右側面側から見た斜視図を図9(C)に示す。
【0041】
一方、嵌合部材23をレール5に沿って移動させる場合について図9(D)に示す。このとき、スプリング24を縮めることにより、嵌合部材23を水平方向に移動させることで、嵌合しているレール5から嵌合部材23をはずす。そして、そのままレール5に沿ってスライド補助部材17を移動させることによって、併せて芯支持台4をレール5に沿ってスライドさせて位置調整を行うことができる。位置が決まれば、スプリング24を戻して嵌合部材23を水平移動させ、レール凸部21と嵌合部材凹部22を再度嵌合させることにより、嵌合部材23および芯支持台4の位置を固定することができる。
このように、図1や図8の態様は、レール5上を芯支持台4がスライドするタイプのものであるが、図9の態様は、レール5の横で平行してスライドするタイプのものである。
【0042】
(誘導板利用型)
図25にレールの別態様の一例を示す。
図25(A)は前面側の芯支持台4およびレール5を右側面側から見た斜視図であり、図25(B)は後面側から見た斜視図である。
この態様においては、レール自体は角柱形状で特に加工はされていないものの、スライド補助部材17として、主に、カバー40、L字板41、突起付板42、誘導板43、レバー44を備えている。なお、図25においてはレバー44は省略している。
まず、芯支持台4には、その端部を覆うカバー40が溶接等されて固定されている。該カバー40はレール5の上部から被せることができ、芯支持台4は、カバー40を介してレール5に沿ってスライド可能になっている。
カバー40にはL字板41が溶接等されて固定されている。このため、芯支持台4、カバー40、L字板41は一体になっている。また、L字板41には孔(L字板孔45)が形成されている。
【0043】
また、図26に突起付板42の一例を示す。突起付板42は例えば図26に示すように円板に円柱状の突起が形成されたものとすることができる。
また、図27に誘導板43の一例を示す。誘導板43はレール5に沿って並んで配設されており、パレット2に固定されている。また、誘導板43の内側には孔(誘導板孔46)が形成されている。
なお、突起付板42は、図25に示すように、誘導板43およびL字板41の下側から、誘導板孔46およびL字板孔45に突起を挿入し、該突起の一部が誘導板43およびL字板41の上側に突き出た状態で配設されている。この突起付板42は誘導板孔46に沿ってスライド可能であり、併せて、L字板41、カバー40を介して芯支持台4をスライドさせることができる。しかも、誘導板孔46に沿ってスライド可能であるため無段階でスライドさせることができ、任意の箇所に突起付板42および芯支持台4を位置調整することができる。
【0044】
また、図28にレバー44の一例を示す。
図28(A)はレバー44の全体を表すとともに、L字板41と突起付板42との位置関係を示している。レバー44は端部が二叉になっており、突起付板42の突起に備えられた回転軸47を介して、二叉が突起をはさむようにして取付けられている。レバー44は回転軸47周りに回転可能である。
図28(B)は、図28(A)において矢印Aに沿って見たレバー44の端部の矢視図である。レバー44を垂直に立てているときの状態を示している。
一方、図28(C)では、レバー44を回転させて水平に寝かせたときの状態を示している。
【0045】
図28(B)(C)に示すように、レバー44の二叉の端部は丸みを帯びているが、回転軸47の中心から二叉の外縁への距離は方向によって異なる。このため、レバー44を垂直に立てたときと水平に寝かせたときとでは、回転軸47の中心からL字板41への距離Lが変化する。ここでは、図28(B)のようにレバー44を垂直に立てたときよりも、図28(C)のように水平に寝かせたときのほうが距離Lが長くなるように、端部の形状(あるいは回転軸47の位置)が調整されているものを例に挙げているが、これとは逆の形態とすることもできる。
【0046】
図29(A)に芯支持台4の位置を固定したときの状態を示す。
レバー44は水平に寝かせた状態になっており、該レバー44によってL字板41が上方から押し下げられている。一方、その下に配置されている誘導板43はパレット2に固定されていて垂直方向の位置は変化しないため、押し下げられたL字板41はレバー44と誘導板43との間に挟まれることで垂直方向・水平方向において位置が固定される。なお、強固に固定しやすいように、必要に応じてパッキン等を用いてもよい。図29(A)に示すように、レバー44、L字板41、パッキン、誘導板43、突起付板42の円板は密着した状態になり、位置が固定される。
また、上述したようにL字板41、カバー40、芯支持台4は一体であるので、同時に芯支持台4の位置も固定することができる。
【0047】
図29(B)に芯支持台4をスライドさせるときの状態を示す。
レバー44を垂直に立てる。このとき、図28(B)に示すように、図28(C)のようにレバー44を寝かせたときよりも距離Lは短くなる。このため、図29(A)のようにレバー44、L字板41、パッキン、誘導板43、突起付板42の円板が密着して位置が固定された状態ではなく、距離Lが短くなる分だけ、それらの間に隙間が生じる。したがって、突起付板42やL字板41を誘導板43から離し、誘導板孔46に沿って自在にスライドすることができる。同時に、L字板41と一体の芯支持台4もレール5に沿ってスライドさせることが可能である。
【0048】
なお、この態様では上記のように芯支持台4の両端が無段階でスライドして任意の位置に固定できるが、より強固にその位置に固定させるために、補助的な固定機能をさらに設けても良い。
例えば、図27に示すように、パレット2の中央に補助固定板48を別途配設することができる。該補助固定板48の内側には孔(補助固定板孔49)が形成されている。このとき、芯支持台4の両端における無段階の位置調整可能な機能を阻害することなく、細かく位置調整できるように、補助固定孔51は円形の孔がつながって形成されたものとすることができる。なお、当然、各孔が分離して形成されたものとすることもできる。
そして、図30に示すように、芯支持台4を固定する際には、例えば、芯支持台4に備えられたバネ仕掛けのピン50を補助固定板孔49に差し込むことによって補助的に固定し、また、芯支持台4をスライドさせる際には、バネ仕掛けのピン50を補助固定板孔49から抜き、スライドの邪魔にならないようにすることができる。
【0049】
以上のようなレール5を備えることで、芯支持台4を自在にスライドさせることができる。図10にロール9の芯8の長さに応じて芯支持台4の位置を調整する場合の一例を示す。例えば図10のように、パレット上の端にある前面側と後面側の芯支持台4の間隔が、芯8の長さに比べて広い場合、前面側や後面側の芯支持台4をレール5に沿ってスライドさせ、各々の芯支持台4が芯8の両端を支持できる位置まで狭くなるように調整し、固定することができる。
【0050】
<芯支持台について>
次に、芯支持台4について詳述する。
芯支持台4は、レール5に沿ってスライド自在で、ロール9の芯8を支持できるものであれば良く、形状等、特に限定されない。芯支持台4の下部について、例えば、以下のような、スライド補助部材17に直接的に固定された直接固定型や、間接的に固定された間接固定型のものとすることができる。
(直接固定型)
芯支持台4の下部は、スライドさせるための機構と関連して、例えば図8のようなスライド補助部材17を有する場合、該スライド補助部材17と芯支持台4を溶接等により直接接合したものとすることができる。
【0051】
(間接固定型)
また、他の態様を図11に示す。前面側の芯支持台4を右側面側から見た図である。図11に示すように、スライド補助部材17に筒状の脚台26が溶接等により固定されており、該脚台26内に芯支持台4の脚部27を挿入することで、芯支持台4を安定して支持することができる。
この脚台26と芯支持台4の関係は、図3−7の隅柱10とポスト3との関係と同様の機構とすることができる。すなわち、コの字部11’、長穴13’、回動用軸棒14’、開口部15’を有しており、脚部27を脚台26の内側に沿って上下動させることで芯支持台4を脚台26から抜き差ししたり、回動させて折り畳むことが可能である。なお、当然、これ以外の機構により芯支持台4を折り畳み可能なものとすることもできる。
【0052】
また、芯支持台の上部について、例えば以下のように芯支持台4が直接的に芯8を支持する直接支持型や、間接的に支持する間接支持型のものとすることができる。
(直接支持型)
芯支持台4の上部は、ロール9の芯8を支持するための機構と関連して、例えば、図12のような形態とすることができる。図12は前面側の芯支持台4を前面側から見た図である。
図12に示すように、芯支持台4が直接ロール9の芯8を支持する形態である。
芯支持台4の上端には溝28が形成されている。該溝28のサイズ等は特に限定されないが、少なくともロール9の芯8の径に合わせて形成されている。ロール9をポストパレット1に載上するときは、芯8の両端が、前面側および後面側の芯支持台4の溝28に嵌合されて支持されることによってロール9を宙吊りの状態で支持することができる。なお、溝28に緩衝材30等を設けることができる。
【0053】
(間接支持型)
また、他の形態の一例を図13に示す。図1の前面側の芯支持台4を前面側から見た図である。
この形態では、芯支持台4は芯受け位置調整部材6、芯受け具7を介してロール9の芯8を支持している。
ここで、まず、芯受け具7について説明する。図14に芯受け具の一例を示す。
芯受け具4は、例えば板状のものとすることができ、上端に溝29が形成されている。該溝29のサイズ等は特に限定されないが、少なくともロール9の芯8の径に合わせて形成されている。また、該溝29には緩衝材30を設けることができる。緩衝材30を設けることで、芯8を傷つけることなく溝29に嵌合して支持することができる。溝29があればよく、その他の形状等、特に限定されない。
【0054】
次に、芯受け位置調整部材6について説明する。図15に芯受け位置調整部材の一例を示す。
芯受け位置調整部材6は、芯受け具7を差し込むための差込口31を上部に有する枠32からなっている。差込口31から芯受け具7を差し込むことで枠32内に芯受け具7を固定することができる。また、芯受け位置調整部材6から芯受け具7を抜き出すことができる。このように、芯受け位置調整部材6に芯受け具7を着脱可能に装着することができる。
また、必要に応じて、図15に示すように、緩衝材30を備えた上蓋33をさらに備えていても良い。この上蓋33はロール9の芯8を上方から押さえて固定するためのものである。
ここでは枠状のものを例に挙げたが、この形態に限定されるものではない。
【0055】
また、この場合、芯支持台4は、例えば図16に示すように、2本の脚部27とこれらをつなぐ胴部34からなっており、脚部27で挟まれた、芯受け位置調整部材6を差し込むための差込口31’を有している。この差込口31’から芯受け位置調整部材6を差し込むことで芯支持台4内に芯受け位置調整部材6を固定することができる。また、芯支持台4から芯受け位置調整部材6を抜き出すことができる。このように、芯支持台4に芯受け位置調整部材6を着脱可能に装着することができる。
【0056】
なお、ボルトやナット等を用いることにより、芯受け位置調整部材6に芯受け具7を、芯支持台4に芯受け位置調整部材6を、より一層強固に固定することもできる。
あるいは、例えば、芯受け具7に凸部を設けると同時に、芯受け位置調整部材6に、上記芯受け具7の凸部に嵌合する凹部を設けることもできる。芯受け具7を差し込んだ際に、これらの芯受け具7の凸部と芯受け位置調整部材6の凹部を嵌合させることにより、強固に固定することが可能である。芯受け位置調整部材6と芯支持台4の関係においても同様である。
固定手段は特に限定されず、その都度適切な手段を設ければ良い。
【0057】
また、芯受け具7として、予め、溝29のサイズが異なるものを複数用意しておくと良い。このように複数用意しておけば、ポストパレット1に載上するロール9の芯8の径によって、該芯8の径に応じて、適切なサイズの溝29を有する芯受け具7を選択して芯受け位置調整部材6に装着することができる。これにより、種々の径の芯8に簡単に対応させることができ、簡便である。図17に、芯8の径に応じて溝29のサイズが異なる芯受け具7を装着した場合の一例を示す。
【0058】
また、芯受け位置調整部材6として、予め、該芯受け位置調整部材6の高さが異なるものを複数用意しておくと良い。このように複数用意しておけば、ポストパレット1に載上するロール9の径によって、該ロール9の径に応じて、適切な高さを有する芯受け位置調整部材6を選択して芯支持台4に装着することができる。これにより、種々の径のロール9に簡単に対応させることができ、簡便である。図18に、ロール9の径に応じて高さが異なる芯受け位置調整部材6を装着した場合の一例を示す。
【0059】
垂直方向の高さ位置において、芯受け位置調整部材6の高さが低いと芯受け具7の溝29の高さ位置も低く、ロール9が低い高さ位置で支持されることになる。この場合、ロール9の径が大きいと宙吊り状態で支持することができず、パレット2と接触してしまう。しかしながら、上記のように、ロール9の径に応じて、適切な高さを有する芯受け位置調整部材6を選択して芯支持台4に装着することができるのであれば、例えばロール9が大径の場合は、高い芯受け位置調整部材6を装着すればロール9がパレット2と接触することもなく、確実に宙吊り状態で支持することが可能である。
【0060】
なお、図18のように芯受け具7の形状も併せて代えることもできるし、芯受け具7は特に代えず、芯受け位置調整部材6の形状だけ変えることもできる。
【0061】
また、図2、13に示す例では1つの芯支持台4に、1つの芯受け位置調整部材6が装着されているが、図19に示すように、1つの芯支持台4に2つ、あるいはそれ以上の芯受け位置調整部材6を装着することもできる。このようにすることで、1つの芯支持台4で2つ以上のロール9を支持することができる。芯支持台4をスライドさせるためのレール5等の機構の数が増加するのを防ぐことができ、軽量化や、コストの低減につなげることができる。
【0062】
なお、芯支持台4の幅と、芯受け位置調整部材6の幅の関係上、各芯受け位置調整部材6間に空隙が生じる場合は、該空隙を埋めるための幅調整部材35を設けることにより、各芯受け位置調整部材6を安定して装着することが可能である。
もちろん、芯支持台4自体を2組以上備えるようにしても良い。
【0063】
また、同様に、芯受け位置調整部材6と芯受け具7の数も、1対1の関係である必要はなく、その都度、コストや強度等の面から決定することができる。
【0064】
<ポストおよび芯支持台の折り畳みについて>
以上のようにポスト3や芯支持台4について説明してきたが、特には、例えば図3−7のような折り畳み可能なポスト3と、図11のような折り畳み可能な芯支持台4を備えたポストパレットについてさらに詳述する。
図20にポスト3および芯支持台4を折り畳んだ状態の一例を示す。図20(A)が右側面側から見た図であり、図20(B)が前面側から見た図である。
この例では、ポスト3に関しては、ポスト3RR(3RL)がまず前面側に向かって回動して折り畳まれており、その上に重なるようにしてポスト3FR(3FL)が後面側に向かって回動して折り畳まれている。
また、芯支持台4に関しては、例えば孔利用型とすることができ、前面側および後面側の両方の芯支持台4が回動してレール5上に、互いに重なり合うことなく折り畳まれている。
【0065】
このとき、パレット2上において、折り畳まれた前面側の芯支持台4の2つの脚部27の間にスペース36が形成されている。同様に、後面側の芯支持台の2つの脚部の間にもスペースが形成されている。該スペース36には、例えば、ロール9を搬送後、余った芯8を収納することができる。芯8は、スペース36に収納し、ゴムや紐等によってポストパレット1の構成部品とくくりつけて固定することができる。
【0066】
このように、ポスト3と芯支持台4が内側に折り畳み可能なものであれば、搬送先から単にポストパレット1自体を返却するときのようにロール9を載せていない場合、折り畳んでコンパクトにすることができ、コンテナ等に一度に積み込む量を増やすことが可能である。したがって、ロール9を載せていない場合でも全体の形状が固定されていてコンテナへの積み込み量を増やすことができないものではなく、搬送先からの返却に伴うコストを著しく低減することができる。この結果、コスト面からも、特に、搬送先が海外であっても、送ったきりのワンウェイパレットとしてではなく、返却して再度利用するリターナブルパレットとすることができる。このため、最近の環境問題の解決方法の一つであるリユースが可能なものとなる。
【0067】
しかも、折り畳んだ状態においてロール9の芯8を収納可能であるので、搬送先から芯8を簡単に回収することができる。芯8を搬送先で捨てることなく回収できて再使用することができるし、芯8を別個に返却する際の手間やコストを削減することができる。
【0068】
<底板、天板、側板について>
また、本発明のポストパレット1は、底板と、天板と、側板をさらに備えることができる。
図21に底板37を配置した場合の一例を示す。平面図であり、わかりやすいように、底板の他は、パレット2、レール5、角柱形状の補強部材のみ示してある。
このような底板37の形状、大きさ等は特に限定されず、適宜決定することができる。図21のように、補強部材の位置に合わせて2枚配置することもできるし、あるいはそれ以上、また1枚のみ配置することも可能である。
また、底板37のパレット2への取付け手段は特に限定されない。例えば、パレット2に溝を設け、該溝に底板37の端部を差し込むことで固定することができる。
【0069】
また、図22に側板38および天板39を配置した場合の一例を示す。
この例では、4枚の側板38がポストパレット1の前面、後面、左側面、右側面に各々取付けられてある。この側板38ではポスト3の上端を覆いきれていないが、必要であれば、それらを覆うものとすることができる。
側板38の取付け手段は特に限定されないが、例えば、側板38の内側面に突起を設けておき、一方で、ポスト3の側面に差込穴を設けておき、側板38の突起をポスト3の差込穴に嵌めることでポスト3に固定することが可能である。
【0070】
また、天板39は端が折り曲げられており、4枚の側板38に上方からかぶさって、上記折れの部分が側板38の上端にひっかけられることで固定されている。必要に応じて、さらにテープ等を用いて側板38へより確実に取付けることができる。
【0071】
これらの底板37、側板38、天板39によって、内部に載上したロール9を外部と遮断することができ、外部からのごみがロール9に付着するのを防止することができる。また、搬送等の際に、外部と直接接触してロール9に傷がつくのを防ぐことができる。
【0072】
<ロールの載上、搬送までの手順について>
以下では、上記のような本発明のポストパレット1にロール9を載上する手順について述べる。
まず、搬送するロール9の径、芯8の径と長さを測定する。
そして、測定した芯8の径に応じて、芯8を支持するのに適切なサイズの溝29を有する芯受け具7を選択する。
また、測定したロール9の径に応じて、ロール9が宙吊りの状態になるような高さ位置で支持されるように、適切な高さを有する芯受け位置調整部材6を選択する。そして、選択した芯受け位置調整部材6を芯支持台4に装着するとともに、選択した芯受け具7を芯受け位置調整部材6に装着する。
底板37もパレット2上に取り付けておく。
【0073】
次に、測定した芯8の長さに応じ、レール5に沿って芯支持台4をスライドさせ、位置を調整して固定する。固定した前面側および後面側の芯支持台4上の芯受け具8の溝29に芯8の両端を載せ、ロール9を宙吊りで支持する。
なお、さらには、側板38を取り付けるとともに天板39を取り付け、コンテナ等の内部に積み込み、海外等へ搬送する。コンテナ内では、図23のように上下に積み重ねることができる。3段積み重ねた例を示す。
【0074】
<ロール搬送後のポストパレットの返却手順について>
ロール9を搬送後、その搬送先から返却する場合、ロール9は載上されていないのでポスト3と芯支持台4を折り畳むことによりコンパクト化しておく。その際、不要となった芯8を回収しておき、スペース36に収納することでポストパレット1と共に返却する。コンテナ内では、図24のように上下に積み重ねることができる。
図24のような積み重ね方であれば、返却時はポストパレット1の高さを例えば半分以下にすることができ、コンテナに一度に積み込む量を著しく増やすことができる。これによって、返却にかかるコストを低減することができる。
【0075】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0076】
1…本発明のポストパレット、 2…パレット、 3…ポスト、
4…芯支持台、 5…レール、 6…芯受け位置調整部材、 7…芯受け具、
8…芯、 9…ロール、 10…隅柱、 11、11’…コの字部、
12…筒状部、 13、13’…長穴、 14、14’…回動用軸棒、
15、15’…開口部、 16…レール孔、 17…スライド補助部材、
18…筒、 19…貫通孔、 20…固定ピン、 21…レール凸部、
22…嵌合部材凹部、 23…嵌合部材、 24…スプリング、
25…接合部材、 26…脚台、 27…脚部、 28…芯支持台の溝、
29…芯受け具の溝、 30…緩衝材、 31、31’…差込口、 32…枠、
33…上蓋、 34…胴部、 35…幅調整部材、 36…スペース、
37…底板、 38…側板、 39…天板、 40…カバー、
41…L字板、 42…突起付板、 43…誘導板、 44…レバー、
45…L字板孔、 46…誘導板孔、 47…回転軸、
48…補助固定板、 49…補助固定板孔、 50…バネ仕掛けのピン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットの4隅にポストを有するポストパレットに関し、特には、芯に巻回されたロールを搬送するためのポストパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の国内や海外の流通の発展に伴い、例えば太陽電池用のフィルムやTV用の光学フィルム等の荷物の搬送にあたっては、パレットの4隅に直立するポストを設けた、いわゆるポストパレットが多用されてきた。このようなポストパレットとしては、例えば特許文献1に開示されたものが挙げられる。
【0003】
搬送物がこのような太陽電池用のフィルム等の場合、芯に該フィルムを巻回してロール状にした上で、パレット上で、芯の両端を支持しつつ宙吊りにすることによって搬送を行っていた。
しかしながら、このようなポストパレットを用いたロール状の製品の搬送は、コストが高くかかってしまい問題となっていた。また、製品の幅、従って芯の長さや、ロール径など様々なものがあり、搬送するのに適切なポストパレットの用意に手間やコストがかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−526579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、芯に巻回された種々のロール状の製品を、コストをかけずに容易に搬送することが可能なポストパレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、芯に巻回されたロールを搬送するためのポストパレットであって、少なくとも、矩形状のパレットと、該パレットの4隅に、各々、直立するポストを備えるとともに、前記ロールの芯の両端を支持する少なくとも1組の芯支持台と、該芯支持台により支持された前記ロールの芯の方向に沿って配置されたレールをさらに備えており、前記芯支持台は前記レールに沿ってスライド自在なものであり、該芯支持台の配置位置が前記ロールの芯の長さに合わせて調整可能なものであることを特徴とするポストパレットを提供する。
【0007】
このように、少なくとも1組の芯支持台がレールに沿ってスライド自在で、該芯支持台の配置位置がロールの芯の長さに合わせて調整可能なものであるので、種々の芯の長さを有するロールに簡単に対応させることができる。したがって、1つのポストパレットで、種々の長さの芯を有するロールを1つ以上搬送することができるものとなる。このため、わざわざロールの芯の長さに応じて別個ポストパレットを用意する必要がなく、コストの低減を図ることができるし、環境にも優しい。
【0008】
また、前記芯支持台は、前記ロールの芯を受け支える溝を有する芯受け具と、該芯受け具が着脱可能に装着されるとともに前記芯支持台に着脱可能に装着される芯受け位置調整部材とを介して前記ロールの芯を支持するものであり、前記芯受け具は、前記ロールの芯の径に応じたサイズの溝を有するものが選択されて装着可能なものであり、前記芯受け位置調整部材は、前記ロールの径に応じた高さを有するものが選択されて装着可能なものとすることができる。
【0009】
このようなものであれば、種々のロールの芯の長さに対応可能であるとともに、種々のロールの芯の径やロール自体の径にも対応することができるものとなる。しかも、芯受け具は芯受け位置調整部材に、芯受け位置調整部材は芯支持台に着脱可能に装着できるので、ロールの芯の径やロールの径に応じた調整を容易に行うことが可能である。
【0010】
前記少なくとも1組の芯支持台および前記4本のポストは、各々、内側に折り畳み自在なものであり、前記少なくとも1組の芯支持台が折り畳まれることで、前記ロールの芯を収納可能なスペースが形成されるものとすることができる。
【0011】
このようなものであれば、ロールを載せていない場合には芯支持台やポストを折り畳んでコンパクトにすることができる。そのため、コンテナ等に一度に大量に積み込むことができてコストの低減を図ることができることから、ロールの搬送先から返却して再度利用可能なリターナブルパレットとして用いることができる。送ったきりのワンウェイパレットに比べて環境面においても優れる。
しかも、単にポストパレットをコンパクト化するだけでなく、同時にロールの芯を収納可能なため、搬送先からロールの芯も同時に返却可能であり、ロールの芯の再使用や、ロールの芯を別個返却する際の手間やコストを削減することができる。
【0012】
また、前記ポストパレットの底板と、天板と、側板のうち、少なくとも1つをさらに具備するものとすることができる。
【0013】
このようなものであれば、底板、天板、側板によって載上したロールを外部と遮断することができ、外部からのごみが製品であるロールに付着して汚れたり、外部と直接接触してロールに傷がつくのを防ぐことができる。
【0014】
また、前記パレット、ポスト、芯支持台およびレールがスチール製のものとすることができる。
【0015】
このようなものであれば、パレット、ポスト、芯支持台およびレールが比較的安価なスチール製であるため、例えば樹脂製やアルミ製のものに比べて十分強度が高い上にコストも抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
ロール状の製品はその幅が様々であり、芯の長さおよびロール径も様々であるが、本発明のポストパレットであれば、それらの種々の芯の長さや径を有するロールに簡単に対応することができる。さらには、ポストパレットをロールの芯の長さごとに用意する必要をなくすことができ、コスト面、環境面において優れている。しかも、スチール製とすることも可能であり、十分な強度を有するものとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のポストパレット全体の一例を示す概略図である。
【図2】芯に巻回されたロールが本発明のポストパレットに載上されたときの様子を示す説明図である。
【図3】ポストの一例を示す概略図である。
【図4】隅柱の一例を示す概略図である。
【図5】ポストが直立して固定されている状態を説明する説明図である。
【図6】ポストが回動している状態を説明する説明図である。
【図7】前面側と後面側のポストが折り畳まれている状態の一例を示す説明図である。
【図8】レールの一例を示す概略図である。
【図9】(A)レールの別の一例を示す概略図である。(B)別の角度から見た芯支持台とレールの関係を示す説明図である。(C)レール凸部に嵌合部材凹部が嵌合している状態を示す説明図である。(D)レール凸部から嵌合部材凹部がはずれている状態を示す説明図である。
【図10】芯の長さに応じた芯支持台の位置調整を示す説明図である。
【図11】芯支持台とスライド補助部材の関係の一例を示す説明図である。
【図12】ロールの芯を直接的に支持する芯支持台の一例を示す説明図である。
【図13】ロールの芯を間接的に支持する芯支持台の一例を示す説明図である。
【図14】芯受け具の一例を示す概略図である。
【図15】芯受け位置調整部材の一例を示す概略図である。
【図16】芯支持台の一例を示す概略図である。
【図17】芯の径に応じて溝のサイズが異なる芯受け具を装着する場合の一例を示す説明図である。
【図18】ロールの径に応じて高さが異なる芯受け位置調整部材を装着する場合の一例を示す説明図である。
【図19】1つの芯支持台に2つの芯受け位置調整部材を装着した場合の一例を示す説明図である。
【図20】ポストおよび芯支持台を折り畳んだ状態の一例を示す概略図である。
【図21】底板の一例を示す概略図である。
【図22】側板および天板の一例を示す概略図である。
【図23】ロールを搬送するときにポストパレットを積み重ねた状態を示す概略図である。
【図24】折り畳んだポストパレットを積み重ねた状態を示す概略図である。
【図25】レールの別の一例を示す概略図である。(A)前面側の芯支持台4およびレール5を右側面側から見た斜視図である。(B)後面側から見た斜視図である。
【図26】突起付板の一例を示す概略図である。
【図27】誘導板の一例を示す概略図である。
【図28】(A)レバーの一例を示す概略図である。(B)レバーを垂直に立てたときのA矢視図である。(C)レバーを水平に寝かせたときのA矢視図である。
【図29】(A)芯支持台の位置を固定したときの状態を示す説明図である。(B)芯支持台をスライドさせるときの状態を示す説明図である。
【図30】補助的な固定機構を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
太陽電池用のフィルム等を芯に巻回してロール状とした製品を搬送する際にはコストがかかっており問題となっていた。
本発明者らが、このようなロールを搬送するためのポストパレットについて鋭意研究を行ったところ、コストがかかることの原因の一つに、ロールの幅は様々であること、つまりはロールの芯の長さや径が様々であることがわかった。搬送の際、ロールの芯の両端を支持することによってロールを固定しているが、各々のロールの芯の長さや径に合わせてポストパレットを製造して用意するのでは当然コストがかかる。そこで本発明者らは、種々のロールの芯の長さや径に対応可能なポストパレットであれば、ロールの芯の長さや径ごとに別個のポストパレットを製造して用意する必要もなく、コストの低減を図ることができることを見出した。さらには、ポストパレットを必要以上に製造することもなく、環境面でも優れる。
【0019】
また、ロールの芯の方向に沿って備えたレールを利用し、芯を支持する芯支持台をスライド自在なものとすれば、簡単に芯支持台の配置位置を調整してロールの芯の長さに対応することができる。
本発明者らはこれらのことを見出し、本発明を完成させた。
【0020】
また、例えば太陽電池用のフィルムなどでは、ロール状にしたその製品は1ロールあたりで200〜300kg程度もある。このような重いロールを1つ、あるいはそれ以上の数をポストパレットに載せる場合、また、位置調整によって芯支持台がどのような位置に配置されたとしても、より安定してロールを支持できるように強度の高いものとするのが好ましい。したがって、強度の低い樹脂製やアルミ製ではなく、高い強度が望めるスチール製とすればコストも比較的かからず強度の面でも優れたものとすることができることを本発明者らはさらに見出した。上記のように芯支持台の位置調整が可能になったとしても、実際にロールをより確実に支持できるものとすることができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<ポストパレット全体について>
図1に本発明のポストパレットの全体の一例の概略を示す。
なお、便宜上、図1に示すように、手前側をポストパレットの「前面」、奥側を「後面」、左側を「左側面」、右側を「右側面」として説明する。
【0022】
本発明のポストパレット1は、矩形状のパレット2を備えており、その4隅にはポスト3がそれぞれ直立している。また、荷物であるロールの芯の両端を支持するための1組の芯支持台4が備えられており、前面側に1つ、対向して後面側に1つ配置されている。そして、該芯支持台4を前後にスライドさせるためのレール5が前面側から後面側にかけてパレット2内に設けられている。これらのパレット2、ポスト3、芯支持台4、レール5は特に限定されないが、例えばスチール製とすれば、強度も十分である。
また、芯支持台4には、上部に芯受け位置調整部材6が装着されており、さらには該芯受け位置調整部材6には芯受け具7が装着されている。これらの芯受け位置調整部材6、芯受け具7の材質は特に限定されず、樹脂製、アルミ製、木製、スチール製等、その都度決定することができる。少なくとも、ロールを支持できる程度の強度を有し、加工し易い材質のものであるのが好ましい。ここでは、木製のものを例に挙げて説明する。
【0023】
なお、図2に、芯8に巻回されたロール9がポストパレット1に載上されたときの様子を示す。
図1、2に示すように、ロール9の芯8の方向に沿ってレール5が設けられていることがわかる。また、芯受け具7と芯受け位置調整部材6を介して芯支持台4によってロール9の芯8が支持されており、ロール9は宙吊りの状態でポストパレット1上に固定される。
【0024】
以下、上記の各構成部品についてさらに詳しく述べる。
<パレットについて>
まず、パレット2には、角パイプやL字のアングルなどの部材を用い、これらを溶接等して、図1に示すように格子状のものとなっている。
また、その他、必要に応じて補強部材を設けることができる。例えば、図1に示すように、角柱形状の補強部材をパレット2の中央に、左側面側から右側面側にかけて設けても良い。
パレット2は特には限定されず、従来と同様のものとすることができる。
【0025】
<ポストについて>
次にポスト3について述べる。
ポスト3は例えば角柱状のものとすることができる。
パレットの4隅に直立させることができれば良く、例えば、パレットに溶接等によって固定されたものとすることができる。この他、ポストの下端部はポストパレットが安定するように台状になっているが、ポストパレットを安定させることができる形状であれば良い。
【0026】
また、ポスト3に関して上記態様とは別の態様とすることができる。例えば図1に示すように、直立時にポスト3を囲んで支持する隅柱10をさらに設けることができる。この場合、隅柱10がパレット2の4隅に溶接等によって固定されている。
【0027】
図3にポスト3の概略を、図4に隅柱10の概略を示す。
ポスト3では、側面に長穴13がポスト3の長さ方向に沿って形成されている。このポスト3は、隅柱10によって起立して直立した状態で固定、支持される一方で、パレット2上に折り畳むことが可能である。ポスト3の形状は特に限定されないが、角柱状であれば、折り畳んだ時に安定し易い。
【0028】
そして、4本の隅柱4は上端部にコの字型の形状(コの字部)11を有しており、これにより、直立したポスト3を隅柱から引き抜いた時に、コの字の開口部15の方にポスト3を倒すことが出来るようになっている。
さらに、隅柱10の下方は筒状部12で中空になっており、この中空部にポスト3の下端部を挿入することができ、これによってポスト3を起立させた状態で安定して固定して支持できるようになっている。
【0029】
なお、隅柱10の下端部はポストパレット1が安定するように台状になっているが、ポストパレット1を安定させることができる形状であれば良い。
そして、隅柱10には、隅柱10の側面から上記ポスト3の長穴13に嵌入する回動用軸棒14が挿入されている。なお、図3、4では、ポスト3と隅柱10を別個に図示しているため、ポスト3の長穴13と隅柱10の回動用軸棒14が係合していないが、実際には、後述の図5、6に示すように、これらは互いに係合して一体となっている。
【0030】
ここで、ポスト3における上下動および回動と、隅柱10の関係についてさらに詳述する。
図5にポスト3の下端部が隅柱10の筒状部12の中空部に挿入され、直立して固定されている状態を示す。また、図6にポスト3の下端部が隅柱10の筒状部12の中空部からコの字部11まで引抜かれ、回動している状態を示す。
ポスト3を直立させる場合は、図5に示すように、ポスト3が隅柱10の中空部に挿入され、このとき隅柱10の回動用軸棒14はポスト3の長穴13の上方(あるいは上端)に位置することになる。
一方、ポスト3を折り畳む場合は、図6に示すように、まず、ポスト3は、隅柱10の中空部からコの字部11まで引抜かれ、これによりポスト3の長穴13の下端にまで相対的に移動した隅柱10の回動用軸棒14を軸とし、ポスト3を回動することができる。このような構造により、ポスト3を、パレット2から分離することなく隅柱10のコの字部11の開口部15の方向に回動させることができる。なお、長穴13は、図3のような形状とすることもできるし、図5、6のように、例えば先端が切り欠き加工され、くの字に形成されたものとすることもできる。このようなくの字のものであれば、ポスト3を回動させるときに、ポスト3が隅柱10の内面と干渉するのを防ぐことが可能である。
【0031】
このように、パレット2の4隅に位置するポスト3、隅柱10は、それぞれ上記のような共通する特徴を有している。
図7は、ポストパレット1の右側面図である。ただし、分かり易いように、右側面側のポスト3(左が3FR、右が3RR)、隅柱10(左が10FR、右が10RR)とパレット2のみを示している。
図7に示すように、ポストパレット1の前面側に位置する隅柱10FRと後面側に位置する隅柱10RRにおいては、各々開口部15が内側を向いて対向している。このため、各々のポスト3FR、3RRが折り畳まれる場合、開口部15の方向、すなわち、いずれもポストパレット1の内側に向かって(ポスト3FRは後面側に向かって、ポスト3RRは前面側に向かって)回動し、パレット2上に折り畳むことができる。
【0032】
なお、ポスト3が回動する軸となる隅柱10の回動用軸棒14の高さ位置は特に限定されないが、例えば、前面側においては、図7に示すように前面側の隅柱10FRにおける回動用軸棒14の高さ位置が、後面側の隅柱10RRにおける回動用軸棒14の高さ位置よりも高くなるようにして設けることができる。このようなものであれば、折り畳んだ時に各々のポスト3FR、10RRが平行に積み重なり、よりコンパクトに折り畳むことが可能であるため好ましい。
【0033】
また、上記態様では、ポスト3FR、3RR、隅柱10FR、10RRについて説明したが、左側面側におけるポスト3FL、3RL、隅柱10FL、10RLについても同様の構成とすることができる。
【0034】
さらには、上記態様では、前面側のポスト3FR(3FL)が後面側に向かって、後面側のポスト3RR(3RL)が前面側に向かって回動して折り畳み可能な例について説明したが、これとは別に、右側面側のポスト3FR(3RR)が左側面側に向かって、左側面側のポスト3FL(3RL)が右側面側に向かって回動して折り畳み可能な構造とすることもできる。この場合は、ロールを載上する芯の方向を、前後方向から左右方向に変更すれば良い。
【0035】
<レールについて>
次に、レール5について述べる。
レール5は、上述したように前面側から後面側にかけてパレット2内に設けられている。スムーズに芯支持台4をスライドさせて、ロール9の芯8の長さに合わせて位置を調整できるものであれば良い。レール5の本数は特に限定されず、ここでは、図1のように2本有する例について説明する。また、芯支持台4の位置を調整するための具体的な機構も特に限定されないが、以下に3つ例(孔利用型、凸部利用型、誘導板利用型)を挙げて説明する。
【0036】
(孔利用型)
図8にレールの一例を示す。前面側の芯支持台4およびレール5を右側面側から見た斜視図である。
角柱形状のレール5には側面にレール孔16が複数並んで形成されている。該レール孔16の径の大きさ、深さ、数や、レール孔同士の間隔等は適宜決定することができる。例えば、レール孔同士の間隔を小さくとれば、芯支持台4の位置調整を細かく行うことが可能になる。
【0037】
また、該レール5はスライド補助部材17を介して芯支持台4と接続されている。例えばスライド補助部材17は筒18を有し、レール5を囲っており、レール5に沿って移動させることができる。筒18の側面には貫通孔19が形成されており、該貫通孔19を通してレール孔16に固定ピン20を挿入することで、筒18の位置を調整し、固定することができる。
一方、筒18は、上面で芯支持台4と溶接等により固定されており、スライド補助部材17と芯支持台4は一体化されている。
したがって、レール5に沿って筒18を移動させることで芯支持台4をスライドさせることができ、また、固定ピン20により筒18の位置を固定させることで、芯支持台4の位置を固定することが可能である。
【0038】
(凸部利用型)
図9(A)にレールの別態様の一例を示す。
レール5には上面に凸部(レール凸部21)が複数並んで形成されている。該レール凸部21の幅、高さ、数や、レール凸部同士の間隔等は適宜決定することができる。例えば、レール凸部同士の間隔を小さくとれば、芯支持台4の位置調整を細かく行うことが可能になる。
【0039】
また、図9(B)に、前面側の芯支持台4およびレール5を前面側から見た側面図を示す。芯支持台4とレール5を接続するスライド補助部材17は、レールの5のレール凸部21と嵌合可能な凹部(嵌合部材凹部22)が形成された嵌合部材23、該嵌合部材23を水平方向に移動させてレール凸部21に嵌合部材凹部22を嵌めたり、はずしたりするためのスプリング24、該スプリング24と芯支持台4をつなぐ接合部材25を有している。嵌合部材凹部22に関して、数等は特に限定されないが、レール凸部21と安定して嵌合できるよう適宜決定することができる。また、接合部材25に関して、形状等は特に限定されず、溶接等により、スプリング24を介して嵌合部材23と芯支持台4を安定してつなぐことができるものであれば良い。
【0040】
図9(B)は嵌合部材凹部22がレール凸部21と嵌合している状態である。スプリング24によって、通常、嵌合部材23は左側面側に向かって押圧されており、嵌合部材凹部22がレール凸部21と嵌合することで嵌合部材23の位置が固定されている。嵌合部材23の位置が固定されることで、芯支持台4の位置も固定される。このときの嵌合部材23とレール5の様子を右側面側から見た斜視図を図9(C)に示す。
【0041】
一方、嵌合部材23をレール5に沿って移動させる場合について図9(D)に示す。このとき、スプリング24を縮めることにより、嵌合部材23を水平方向に移動させることで、嵌合しているレール5から嵌合部材23をはずす。そして、そのままレール5に沿ってスライド補助部材17を移動させることによって、併せて芯支持台4をレール5に沿ってスライドさせて位置調整を行うことができる。位置が決まれば、スプリング24を戻して嵌合部材23を水平移動させ、レール凸部21と嵌合部材凹部22を再度嵌合させることにより、嵌合部材23および芯支持台4の位置を固定することができる。
このように、図1や図8の態様は、レール5上を芯支持台4がスライドするタイプのものであるが、図9の態様は、レール5の横で平行してスライドするタイプのものである。
【0042】
(誘導板利用型)
図25にレールの別態様の一例を示す。
図25(A)は前面側の芯支持台4およびレール5を右側面側から見た斜視図であり、図25(B)は後面側から見た斜視図である。
この態様においては、レール自体は角柱形状で特に加工はされていないものの、スライド補助部材17として、主に、カバー40、L字板41、突起付板42、誘導板43、レバー44を備えている。なお、図25においてはレバー44は省略している。
まず、芯支持台4には、その端部を覆うカバー40が溶接等されて固定されている。該カバー40はレール5の上部から被せることができ、芯支持台4は、カバー40を介してレール5に沿ってスライド可能になっている。
カバー40にはL字板41が溶接等されて固定されている。このため、芯支持台4、カバー40、L字板41は一体になっている。また、L字板41には孔(L字板孔45)が形成されている。
【0043】
また、図26に突起付板42の一例を示す。突起付板42は例えば図26に示すように円板に円柱状の突起が形成されたものとすることができる。
また、図27に誘導板43の一例を示す。誘導板43はレール5に沿って並んで配設されており、パレット2に固定されている。また、誘導板43の内側には孔(誘導板孔46)が形成されている。
なお、突起付板42は、図25に示すように、誘導板43およびL字板41の下側から、誘導板孔46およびL字板孔45に突起を挿入し、該突起の一部が誘導板43およびL字板41の上側に突き出た状態で配設されている。この突起付板42は誘導板孔46に沿ってスライド可能であり、併せて、L字板41、カバー40を介して芯支持台4をスライドさせることができる。しかも、誘導板孔46に沿ってスライド可能であるため無段階でスライドさせることができ、任意の箇所に突起付板42および芯支持台4を位置調整することができる。
【0044】
また、図28にレバー44の一例を示す。
図28(A)はレバー44の全体を表すとともに、L字板41と突起付板42との位置関係を示している。レバー44は端部が二叉になっており、突起付板42の突起に備えられた回転軸47を介して、二叉が突起をはさむようにして取付けられている。レバー44は回転軸47周りに回転可能である。
図28(B)は、図28(A)において矢印Aに沿って見たレバー44の端部の矢視図である。レバー44を垂直に立てているときの状態を示している。
一方、図28(C)では、レバー44を回転させて水平に寝かせたときの状態を示している。
【0045】
図28(B)(C)に示すように、レバー44の二叉の端部は丸みを帯びているが、回転軸47の中心から二叉の外縁への距離は方向によって異なる。このため、レバー44を垂直に立てたときと水平に寝かせたときとでは、回転軸47の中心からL字板41への距離Lが変化する。ここでは、図28(B)のようにレバー44を垂直に立てたときよりも、図28(C)のように水平に寝かせたときのほうが距離Lが長くなるように、端部の形状(あるいは回転軸47の位置)が調整されているものを例に挙げているが、これとは逆の形態とすることもできる。
【0046】
図29(A)に芯支持台4の位置を固定したときの状態を示す。
レバー44は水平に寝かせた状態になっており、該レバー44によってL字板41が上方から押し下げられている。一方、その下に配置されている誘導板43はパレット2に固定されていて垂直方向の位置は変化しないため、押し下げられたL字板41はレバー44と誘導板43との間に挟まれることで垂直方向・水平方向において位置が固定される。なお、強固に固定しやすいように、必要に応じてパッキン等を用いてもよい。図29(A)に示すように、レバー44、L字板41、パッキン、誘導板43、突起付板42の円板は密着した状態になり、位置が固定される。
また、上述したようにL字板41、カバー40、芯支持台4は一体であるので、同時に芯支持台4の位置も固定することができる。
【0047】
図29(B)に芯支持台4をスライドさせるときの状態を示す。
レバー44を垂直に立てる。このとき、図28(B)に示すように、図28(C)のようにレバー44を寝かせたときよりも距離Lは短くなる。このため、図29(A)のようにレバー44、L字板41、パッキン、誘導板43、突起付板42の円板が密着して位置が固定された状態ではなく、距離Lが短くなる分だけ、それらの間に隙間が生じる。したがって、突起付板42やL字板41を誘導板43から離し、誘導板孔46に沿って自在にスライドすることができる。同時に、L字板41と一体の芯支持台4もレール5に沿ってスライドさせることが可能である。
【0048】
なお、この態様では上記のように芯支持台4の両端が無段階でスライドして任意の位置に固定できるが、より強固にその位置に固定させるために、補助的な固定機能をさらに設けても良い。
例えば、図27に示すように、パレット2の中央に補助固定板48を別途配設することができる。該補助固定板48の内側には孔(補助固定板孔49)が形成されている。このとき、芯支持台4の両端における無段階の位置調整可能な機能を阻害することなく、細かく位置調整できるように、補助固定孔51は円形の孔がつながって形成されたものとすることができる。なお、当然、各孔が分離して形成されたものとすることもできる。
そして、図30に示すように、芯支持台4を固定する際には、例えば、芯支持台4に備えられたバネ仕掛けのピン50を補助固定板孔49に差し込むことによって補助的に固定し、また、芯支持台4をスライドさせる際には、バネ仕掛けのピン50を補助固定板孔49から抜き、スライドの邪魔にならないようにすることができる。
【0049】
以上のようなレール5を備えることで、芯支持台4を自在にスライドさせることができる。図10にロール9の芯8の長さに応じて芯支持台4の位置を調整する場合の一例を示す。例えば図10のように、パレット上の端にある前面側と後面側の芯支持台4の間隔が、芯8の長さに比べて広い場合、前面側や後面側の芯支持台4をレール5に沿ってスライドさせ、各々の芯支持台4が芯8の両端を支持できる位置まで狭くなるように調整し、固定することができる。
【0050】
<芯支持台について>
次に、芯支持台4について詳述する。
芯支持台4は、レール5に沿ってスライド自在で、ロール9の芯8を支持できるものであれば良く、形状等、特に限定されない。芯支持台4の下部について、例えば、以下のような、スライド補助部材17に直接的に固定された直接固定型や、間接的に固定された間接固定型のものとすることができる。
(直接固定型)
芯支持台4の下部は、スライドさせるための機構と関連して、例えば図8のようなスライド補助部材17を有する場合、該スライド補助部材17と芯支持台4を溶接等により直接接合したものとすることができる。
【0051】
(間接固定型)
また、他の態様を図11に示す。前面側の芯支持台4を右側面側から見た図である。図11に示すように、スライド補助部材17に筒状の脚台26が溶接等により固定されており、該脚台26内に芯支持台4の脚部27を挿入することで、芯支持台4を安定して支持することができる。
この脚台26と芯支持台4の関係は、図3−7の隅柱10とポスト3との関係と同様の機構とすることができる。すなわち、コの字部11’、長穴13’、回動用軸棒14’、開口部15’を有しており、脚部27を脚台26の内側に沿って上下動させることで芯支持台4を脚台26から抜き差ししたり、回動させて折り畳むことが可能である。なお、当然、これ以外の機構により芯支持台4を折り畳み可能なものとすることもできる。
【0052】
また、芯支持台の上部について、例えば以下のように芯支持台4が直接的に芯8を支持する直接支持型や、間接的に支持する間接支持型のものとすることができる。
(直接支持型)
芯支持台4の上部は、ロール9の芯8を支持するための機構と関連して、例えば、図12のような形態とすることができる。図12は前面側の芯支持台4を前面側から見た図である。
図12に示すように、芯支持台4が直接ロール9の芯8を支持する形態である。
芯支持台4の上端には溝28が形成されている。該溝28のサイズ等は特に限定されないが、少なくともロール9の芯8の径に合わせて形成されている。ロール9をポストパレット1に載上するときは、芯8の両端が、前面側および後面側の芯支持台4の溝28に嵌合されて支持されることによってロール9を宙吊りの状態で支持することができる。なお、溝28に緩衝材30等を設けることができる。
【0053】
(間接支持型)
また、他の形態の一例を図13に示す。図1の前面側の芯支持台4を前面側から見た図である。
この形態では、芯支持台4は芯受け位置調整部材6、芯受け具7を介してロール9の芯8を支持している。
ここで、まず、芯受け具7について説明する。図14に芯受け具の一例を示す。
芯受け具4は、例えば板状のものとすることができ、上端に溝29が形成されている。該溝29のサイズ等は特に限定されないが、少なくともロール9の芯8の径に合わせて形成されている。また、該溝29には緩衝材30を設けることができる。緩衝材30を設けることで、芯8を傷つけることなく溝29に嵌合して支持することができる。溝29があればよく、その他の形状等、特に限定されない。
【0054】
次に、芯受け位置調整部材6について説明する。図15に芯受け位置調整部材の一例を示す。
芯受け位置調整部材6は、芯受け具7を差し込むための差込口31を上部に有する枠32からなっている。差込口31から芯受け具7を差し込むことで枠32内に芯受け具7を固定することができる。また、芯受け位置調整部材6から芯受け具7を抜き出すことができる。このように、芯受け位置調整部材6に芯受け具7を着脱可能に装着することができる。
また、必要に応じて、図15に示すように、緩衝材30を備えた上蓋33をさらに備えていても良い。この上蓋33はロール9の芯8を上方から押さえて固定するためのものである。
ここでは枠状のものを例に挙げたが、この形態に限定されるものではない。
【0055】
また、この場合、芯支持台4は、例えば図16に示すように、2本の脚部27とこれらをつなぐ胴部34からなっており、脚部27で挟まれた、芯受け位置調整部材6を差し込むための差込口31’を有している。この差込口31’から芯受け位置調整部材6を差し込むことで芯支持台4内に芯受け位置調整部材6を固定することができる。また、芯支持台4から芯受け位置調整部材6を抜き出すことができる。このように、芯支持台4に芯受け位置調整部材6を着脱可能に装着することができる。
【0056】
なお、ボルトやナット等を用いることにより、芯受け位置調整部材6に芯受け具7を、芯支持台4に芯受け位置調整部材6を、より一層強固に固定することもできる。
あるいは、例えば、芯受け具7に凸部を設けると同時に、芯受け位置調整部材6に、上記芯受け具7の凸部に嵌合する凹部を設けることもできる。芯受け具7を差し込んだ際に、これらの芯受け具7の凸部と芯受け位置調整部材6の凹部を嵌合させることにより、強固に固定することが可能である。芯受け位置調整部材6と芯支持台4の関係においても同様である。
固定手段は特に限定されず、その都度適切な手段を設ければ良い。
【0057】
また、芯受け具7として、予め、溝29のサイズが異なるものを複数用意しておくと良い。このように複数用意しておけば、ポストパレット1に載上するロール9の芯8の径によって、該芯8の径に応じて、適切なサイズの溝29を有する芯受け具7を選択して芯受け位置調整部材6に装着することができる。これにより、種々の径の芯8に簡単に対応させることができ、簡便である。図17に、芯8の径に応じて溝29のサイズが異なる芯受け具7を装着した場合の一例を示す。
【0058】
また、芯受け位置調整部材6として、予め、該芯受け位置調整部材6の高さが異なるものを複数用意しておくと良い。このように複数用意しておけば、ポストパレット1に載上するロール9の径によって、該ロール9の径に応じて、適切な高さを有する芯受け位置調整部材6を選択して芯支持台4に装着することができる。これにより、種々の径のロール9に簡単に対応させることができ、簡便である。図18に、ロール9の径に応じて高さが異なる芯受け位置調整部材6を装着した場合の一例を示す。
【0059】
垂直方向の高さ位置において、芯受け位置調整部材6の高さが低いと芯受け具7の溝29の高さ位置も低く、ロール9が低い高さ位置で支持されることになる。この場合、ロール9の径が大きいと宙吊り状態で支持することができず、パレット2と接触してしまう。しかしながら、上記のように、ロール9の径に応じて、適切な高さを有する芯受け位置調整部材6を選択して芯支持台4に装着することができるのであれば、例えばロール9が大径の場合は、高い芯受け位置調整部材6を装着すればロール9がパレット2と接触することもなく、確実に宙吊り状態で支持することが可能である。
【0060】
なお、図18のように芯受け具7の形状も併せて代えることもできるし、芯受け具7は特に代えず、芯受け位置調整部材6の形状だけ変えることもできる。
【0061】
また、図2、13に示す例では1つの芯支持台4に、1つの芯受け位置調整部材6が装着されているが、図19に示すように、1つの芯支持台4に2つ、あるいはそれ以上の芯受け位置調整部材6を装着することもできる。このようにすることで、1つの芯支持台4で2つ以上のロール9を支持することができる。芯支持台4をスライドさせるためのレール5等の機構の数が増加するのを防ぐことができ、軽量化や、コストの低減につなげることができる。
【0062】
なお、芯支持台4の幅と、芯受け位置調整部材6の幅の関係上、各芯受け位置調整部材6間に空隙が生じる場合は、該空隙を埋めるための幅調整部材35を設けることにより、各芯受け位置調整部材6を安定して装着することが可能である。
もちろん、芯支持台4自体を2組以上備えるようにしても良い。
【0063】
また、同様に、芯受け位置調整部材6と芯受け具7の数も、1対1の関係である必要はなく、その都度、コストや強度等の面から決定することができる。
【0064】
<ポストおよび芯支持台の折り畳みについて>
以上のようにポスト3や芯支持台4について説明してきたが、特には、例えば図3−7のような折り畳み可能なポスト3と、図11のような折り畳み可能な芯支持台4を備えたポストパレットについてさらに詳述する。
図20にポスト3および芯支持台4を折り畳んだ状態の一例を示す。図20(A)が右側面側から見た図であり、図20(B)が前面側から見た図である。
この例では、ポスト3に関しては、ポスト3RR(3RL)がまず前面側に向かって回動して折り畳まれており、その上に重なるようにしてポスト3FR(3FL)が後面側に向かって回動して折り畳まれている。
また、芯支持台4に関しては、例えば孔利用型とすることができ、前面側および後面側の両方の芯支持台4が回動してレール5上に、互いに重なり合うことなく折り畳まれている。
【0065】
このとき、パレット2上において、折り畳まれた前面側の芯支持台4の2つの脚部27の間にスペース36が形成されている。同様に、後面側の芯支持台の2つの脚部の間にもスペースが形成されている。該スペース36には、例えば、ロール9を搬送後、余った芯8を収納することができる。芯8は、スペース36に収納し、ゴムや紐等によってポストパレット1の構成部品とくくりつけて固定することができる。
【0066】
このように、ポスト3と芯支持台4が内側に折り畳み可能なものであれば、搬送先から単にポストパレット1自体を返却するときのようにロール9を載せていない場合、折り畳んでコンパクトにすることができ、コンテナ等に一度に積み込む量を増やすことが可能である。したがって、ロール9を載せていない場合でも全体の形状が固定されていてコンテナへの積み込み量を増やすことができないものではなく、搬送先からの返却に伴うコストを著しく低減することができる。この結果、コスト面からも、特に、搬送先が海外であっても、送ったきりのワンウェイパレットとしてではなく、返却して再度利用するリターナブルパレットとすることができる。このため、最近の環境問題の解決方法の一つであるリユースが可能なものとなる。
【0067】
しかも、折り畳んだ状態においてロール9の芯8を収納可能であるので、搬送先から芯8を簡単に回収することができる。芯8を搬送先で捨てることなく回収できて再使用することができるし、芯8を別個に返却する際の手間やコストを削減することができる。
【0068】
<底板、天板、側板について>
また、本発明のポストパレット1は、底板と、天板と、側板をさらに備えることができる。
図21に底板37を配置した場合の一例を示す。平面図であり、わかりやすいように、底板の他は、パレット2、レール5、角柱形状の補強部材のみ示してある。
このような底板37の形状、大きさ等は特に限定されず、適宜決定することができる。図21のように、補強部材の位置に合わせて2枚配置することもできるし、あるいはそれ以上、また1枚のみ配置することも可能である。
また、底板37のパレット2への取付け手段は特に限定されない。例えば、パレット2に溝を設け、該溝に底板37の端部を差し込むことで固定することができる。
【0069】
また、図22に側板38および天板39を配置した場合の一例を示す。
この例では、4枚の側板38がポストパレット1の前面、後面、左側面、右側面に各々取付けられてある。この側板38ではポスト3の上端を覆いきれていないが、必要であれば、それらを覆うものとすることができる。
側板38の取付け手段は特に限定されないが、例えば、側板38の内側面に突起を設けておき、一方で、ポスト3の側面に差込穴を設けておき、側板38の突起をポスト3の差込穴に嵌めることでポスト3に固定することが可能である。
【0070】
また、天板39は端が折り曲げられており、4枚の側板38に上方からかぶさって、上記折れの部分が側板38の上端にひっかけられることで固定されている。必要に応じて、さらにテープ等を用いて側板38へより確実に取付けることができる。
【0071】
これらの底板37、側板38、天板39によって、内部に載上したロール9を外部と遮断することができ、外部からのごみがロール9に付着するのを防止することができる。また、搬送等の際に、外部と直接接触してロール9に傷がつくのを防ぐことができる。
【0072】
<ロールの載上、搬送までの手順について>
以下では、上記のような本発明のポストパレット1にロール9を載上する手順について述べる。
まず、搬送するロール9の径、芯8の径と長さを測定する。
そして、測定した芯8の径に応じて、芯8を支持するのに適切なサイズの溝29を有する芯受け具7を選択する。
また、測定したロール9の径に応じて、ロール9が宙吊りの状態になるような高さ位置で支持されるように、適切な高さを有する芯受け位置調整部材6を選択する。そして、選択した芯受け位置調整部材6を芯支持台4に装着するとともに、選択した芯受け具7を芯受け位置調整部材6に装着する。
底板37もパレット2上に取り付けておく。
【0073】
次に、測定した芯8の長さに応じ、レール5に沿って芯支持台4をスライドさせ、位置を調整して固定する。固定した前面側および後面側の芯支持台4上の芯受け具8の溝29に芯8の両端を載せ、ロール9を宙吊りで支持する。
なお、さらには、側板38を取り付けるとともに天板39を取り付け、コンテナ等の内部に積み込み、海外等へ搬送する。コンテナ内では、図23のように上下に積み重ねることができる。3段積み重ねた例を示す。
【0074】
<ロール搬送後のポストパレットの返却手順について>
ロール9を搬送後、その搬送先から返却する場合、ロール9は載上されていないのでポスト3と芯支持台4を折り畳むことによりコンパクト化しておく。その際、不要となった芯8を回収しておき、スペース36に収納することでポストパレット1と共に返却する。コンテナ内では、図24のように上下に積み重ねることができる。
図24のような積み重ね方であれば、返却時はポストパレット1の高さを例えば半分以下にすることができ、コンテナに一度に積み込む量を著しく増やすことができる。これによって、返却にかかるコストを低減することができる。
【0075】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0076】
1…本発明のポストパレット、 2…パレット、 3…ポスト、
4…芯支持台、 5…レール、 6…芯受け位置調整部材、 7…芯受け具、
8…芯、 9…ロール、 10…隅柱、 11、11’…コの字部、
12…筒状部、 13、13’…長穴、 14、14’…回動用軸棒、
15、15’…開口部、 16…レール孔、 17…スライド補助部材、
18…筒、 19…貫通孔、 20…固定ピン、 21…レール凸部、
22…嵌合部材凹部、 23…嵌合部材、 24…スプリング、
25…接合部材、 26…脚台、 27…脚部、 28…芯支持台の溝、
29…芯受け具の溝、 30…緩衝材、 31、31’…差込口、 32…枠、
33…上蓋、 34…胴部、 35…幅調整部材、 36…スペース、
37…底板、 38…側板、 39…天板、 40…カバー、
41…L字板、 42…突起付板、 43…誘導板、 44…レバー、
45…L字板孔、 46…誘導板孔、 47…回転軸、
48…補助固定板、 49…補助固定板孔、 50…バネ仕掛けのピン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯に巻回されたロールを搬送するためのポストパレットであって、
少なくとも、矩形状のパレットと、該パレットの4隅に、各々、直立するポストを備えるとともに、
前記ロールの芯の両端を支持する少なくとも1組の芯支持台と、該芯支持台により支持された前記ロールの芯の方向に沿って配置されたレールをさらに備えており、
前記芯支持台は前記レールに沿ってスライド自在なものであり、該芯支持台の配置位置が前記ロールの芯の長さに合わせて調整可能なものであることを特徴とするポストパレット。
【請求項2】
前記芯支持台は、前記ロールの芯を受け支える溝を有する芯受け具と、該芯受け具が着脱可能に装着されるとともに前記芯支持台に着脱可能に装着される芯受け位置調整部材とを介して前記ロールの芯を支持するものであり、
前記芯受け具は、前記ロールの芯の径に応じたサイズの溝を有するものが選択されて装着可能なものであり、
前記芯受け位置調整部材は、前記ロールの径に応じた高さを有するものが選択されて装着可能なものであることを特徴とする請求項1に記載のポストパレット。
【請求項3】
前記少なくとも1組の芯支持台および前記4本のポストは、各々、内側に折り畳み自在なものであり、
前記少なくとも1組の芯支持台が折り畳まれることで、前記ロールの芯を収納可能なスペースが形成されるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポストパレット。
【請求項4】
前記ポストパレットの底板と、天板と、側板のうち、少なくとも1つをさらに具備するものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項5】
前記パレット、ポスト、芯支持台およびレールがスチール製のものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項1】
芯に巻回されたロールを搬送するためのポストパレットであって、
少なくとも、矩形状のパレットと、該パレットの4隅に、各々、直立するポストを備えるとともに、
前記ロールの芯の両端を支持する少なくとも1組の芯支持台と、該芯支持台により支持された前記ロールの芯の方向に沿って配置されたレールをさらに備えており、
前記芯支持台は前記レールに沿ってスライド自在なものであり、該芯支持台の配置位置が前記ロールの芯の長さに合わせて調整可能なものであることを特徴とするポストパレット。
【請求項2】
前記芯支持台は、前記ロールの芯を受け支える溝を有する芯受け具と、該芯受け具が着脱可能に装着されるとともに前記芯支持台に着脱可能に装着される芯受け位置調整部材とを介して前記ロールの芯を支持するものであり、
前記芯受け具は、前記ロールの芯の径に応じたサイズの溝を有するものが選択されて装着可能なものであり、
前記芯受け位置調整部材は、前記ロールの径に応じた高さを有するものが選択されて装着可能なものであることを特徴とする請求項1に記載のポストパレット。
【請求項3】
前記少なくとも1組の芯支持台および前記4本のポストは、各々、内側に折り畳み自在なものであり、
前記少なくとも1組の芯支持台が折り畳まれることで、前記ロールの芯を収納可能なスペースが形成されるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポストパレット。
【請求項4】
前記ポストパレットの底板と、天板と、側板のうち、少なくとも1つをさらに具備するものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項5】
前記パレット、ポスト、芯支持台およびレールがスチール製のものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のポストパレット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2013−14333(P2013−14333A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146223(P2011−146223)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(593145766)美浜株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(593145766)美浜株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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