説明

ポップアップ型ワイパー収納ストッカー

【課題】ポップアップ型ワイパー収納ストッカーにおいて、ウェット型のワイパーの薬効の減少を回避し、ワイパー収納容器の気密を保持する。
【解決手段】ワイパー容器本体1を覆う蓋体部2の一側縁近傍にピン孔4を形成し、他方、先割れピン状の固着部材、回動ヒンジ部7及び平板部8を順次一体に成形した開閉蓋5の前記先割れピン状の固着部材を、前記ピン孔4に挿入して蓋体部2に配備し、前記蓋体部2にワイパー取出し口たる長楕円孔3を開穿すると共に、該ワイパー取出し用長楕円孔3の周囲の平面部に方形の立設部を形成し、前記平板部8の裏面に該立設部に内接嵌合せしめるための環状突起部を形成し、該環状突起部外周に気密性保持部を形成すると共に、容器本体1は有底の下方閉鎖型に形成してドライのワイパーに薬液を含浸させてウェット型ワイパーとして使用に供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポップアップ型ワイパー収納ストッカーに関するものであり、特に、
ワイパーを収納する容器本体内でウェット型にすると共に、ワイパー取出し用孔の気密性を保持するストッカーを簡易に提供することを特徴とするポップアップ型ワイパー収納ストッカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品業界、医療業界等産業界各般においてワイピングの用に供するためにウェットティッシュ等を収納するウェット型ワイパー収納ストッカーが提唱されている。
【0003】
而して、従来のウェット型ワイパー収納ストッカー、即ち、ウェットティッシュ収納容器は、予め、ワイパー製品として市場に供給する以前にウェット型ワイパーという形式で供給されるもので、ストッカーを構成するワイパー収納容器は下部開放に形成されており、別途底部を溶着する手法を採用している(後掲「特許文献1」段落0014,0015)。
【0004】
また、ウェット型ワイパーでありながらワイパー取出し口を遮蔽する開閉蓋は単純な線接触となっている(同特許文献1請求項4、図4に開示の態様)。
【特許文献1】特開2001−245816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のウェット型ワイパー収容ストッカーにおいては予め製造ラインでウェット型のワイパーをストッカーに収容するものであるところ、ストッカー内で直接薬液を浸潤せしめることを想定してはおらず、ストッカー底部の水密性の要請がなく、ストッカーを収容する容器は下部開放型に形成し、後で底部を取り付けたりしていた。斯くして、従来型のワイパー収納ストッカーに係るワイパーを入れる容器本体においては、ウェット型ワイパーの薬液が使用時までの経時変化に伴い薬効が低下していくという危惧の念が存するとともに、下方開放型容器本体を覆蓋する蓋体部のワイパー取出し口を覆う開閉蓋は、線接触で開口を閉塞していたので気密性能を十分高めることができないという欠陥があり、殺菌効果、消毒効果、除菌効果、洗浄効果等を十分維持することを期待することができなかった。
【0006】
斯かる状況を反映して、産業用ウェット型ワイパー収納ストッカーにおいて、簡単な機構で、ウェット型ワイパーに含浸させた殺菌効果、消毒効果、除菌効果、洗浄効果等を可及的に低下することなくワイパーを供するためのワイパー収納ストッカーを得るために解決するべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は、該課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、ドライ若しくはウェット型の方形のポップアップタイプのワイパーを収納する方形に成形された容器本体と該容器本体の上部を覆う蓋体部からなる合成樹脂製のポップアップ型ワイパー収納ストッカーに於いて、
前記蓋体部の一側縁近傍にピン孔を形成し、他方、先割れピン状の固着部材、回動ヒンジ部及び平板部を順次一体に成形した開閉蓋の前記先割れピン状の固着部材を、前記ピン孔に挿入して蓋体部に配備してなり、前記蓋体部の略中央部にワイパー取出し用の長楕円
孔を開穿すると共に、該ワイパー取出し用の長楕円孔の周囲の平面部に方形の立設部を形成すると共に該立設部上縁に段部を形成し、且つ、前記小開閉蓋の裏面には環状突起部と該環状突起部から外周に延びる気密性保持部が形成され、前記環状突起部と前記気密性保持部を前記立設部及び段部に密接に嵌合せしめ、更に、前記容器本体は下方閉鎖型に形成してドライのワイパーに薬液を含浸させてウェット型ワイパーとして使用に供する構成としたポップアップ型ワイパー収納ストッカーを提供するものである。
【0008】
この構成によれば、収納容器本体内でドライのワイパーに薬液を浸漬することにより、新しい状態でウェット型ワイパーを形成することができ、該ワイパーの劣化を来たすことなく供給することができる。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、上記容器本体及び/又は蓋体部並びに開閉蓋は、透明若しくは半透明のポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性合成樹脂で成形された請求項1記載のポップアップ型ワイパー収納ストッカーを提供するものである。
【0010】
この発明の構成によれば、容器本体内に存在するワイパー等が外から視認することがきて使い勝手が良好となるものである。
【0011】
更に、請求項3記載の発明は、上記容器本体は、側壁の内周によって囲繞される平面積が収容するワイパーの占有面積に可及的に近い、該占有面積よりも大きいサイズに形成されている請求項1又は2記載のポップアップ型ワイパー収納ストッカーを提供するものである。
【0012】
この発明の構成によれば、ワイパー収納容器の大きさをワイパーに薬液を浸潤させるために必要な最小限のスペースに抑え、かくして、薬液の無用な消費を抑制することができる。
【0013】
そして、請求項4記載の発明は、上記蓋体部略中央部に開穿された長楕円孔は、短軸の長さが15〜25mmであり、長軸の長さが80〜110mmである請求項1,2又は3記載のポップアップ型ワイパー収納ストッカーを提供するものである。
【0014】
この発明の構成によれば、ポップアップ型ワイパーを該ワイパー収納ストッカーから取出す便宜とポップアップ途上中のワイパーがストッカー内に落下すことを防止する均衡を保持することができる。
【0015】
そして又、請求項5記載の発明は、上記蓋体部の略中央部に開穿されたワイパー取出し用の長楕円孔は、該長楕円孔の周縁に上向き突条を突設した請求項1,2,3又は4記載のポップアップ型ワイパー収納ストッカーを提供するものである。
【0016】
この発明の構成によれば、長楕円孔の周縁に上向き突条を突設したので、該突条がポップアップ途上のワイパーの周面に歯止め作用を呈して、ワイパーの落下を抑制する。
【0017】
更に又、請求項6記載の発明は、上記蓋体部の略中央部に開穿されたワイパー取出し用の長楕円孔の周縁に突設された上向き突条の高さよりも、前記蓋体部の長楕円孔の周囲の平面部に形成された立設部の上縁の高さの方が高く形成されてなる請求項1,2,3,4又は5記載のポップアップ型ワイパー収納ストッカーを提供するものである。
【0018】
この発明の構成によれば、長楕円孔たるワイパー取出し口の周縁の上向き突条よりも上記立設部の上縁が高いので、ワイピング途中で、開閉蓋でワイパー取出し口を閉蓋するに際して、該立設部の上縁に規制された上記開閉蓋の平板部の裏面が上記上向き突条上部にポップアップ途上のワイパーを皺寄せ状に押圧して、ワイパーを開閉蓋の平板部下に気密に保持することができる。このようにして、不使用時において、ウェット型ワイパーの湿潤性とフレッシュな性状を維持することができる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明は、先割れピン状の固着部材、回動ヒンジ部及び開閉ウィングを順
次一体に成形した開閉蓋の前記先割れピン状の固着部材を、前記ピン孔に挿入して蓋体部に配備したから、開閉蓋の蓋体部への取付けは、上記先割れピン状の固着部を上記ピン孔に挿入するだけで簡易迅速に、且つ安全堅固に固着がなされ、気密性も維持される。
【0020】
又、蓋体部にワイパー取出し用の長楕円孔を開穿すると共に、該ワイパー取出し用の長楕円孔の周囲の平面部に方形の立設部を形成し、且つ、前記開閉ウィングの裏面には前記立設部に内接嵌合せしめるための環状突起部を形成し、該突起部外周に樹脂材にて気密性保持部を形成したので、ワイパー取出し用孔の周囲における前記立設部の垂直壁面と前記環状突起部の垂直壁面による面接触並びに前記立設部の上縁の段部と平板部裏面の環状突起部外周の気密性保持部との面接触により、高い気密性が保たれ、ワイパーに浸潤された薬液の揮発性分の散逸減少を防ぐことができる。
【0021】
更に、収納容器本体は下方閉鎖型に形成してドライのワイパーに薬液を含浸させてウェット型ワイパーとして使用に供する構成としたので、ワイパーを使用の直前に当該ワイパー収納容器本体内で薬液を含浸させるものであるところ、アルコール類等の殺菌材、消毒剤、除菌剤、洗浄剤等の揮発性成分の蒸発を防止することができ、ワイピング作業の効率を極めて向上させることが可能となる。
【0022】
そして、請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の発明の効果に加えて、収納容器本体は透明若しくは半透明のポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性合成樹脂で成形されているので、収納されたワイパーの残量を外から視認することができるのみならず、異物の混入等も未然に検知することができ、不慮の障害の発生を防止するという効果を奏する。
【0023】
その上、上記の如き熱可塑性合成樹脂は、塑性加工技術を駆使して各種の成形加工ができるものであり、とりわけ、インジェクションモールディングにより容器本体と蓋体部と同時に一体的に成形することが容易に可能であると共に、各種の耐性をも具有するものである。
【0024】
そして更に、請求項3記載の発明は、前記請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、容器本体は側壁の内周によって囲繞される平面積は収容するワイパーの占有面積に可及的に近い、該占有面積よりも大きいサイズに形成されているので、ワイパーに薬液を浸漬させるに当たり、必要最小限度の量の殺菌剤、消毒剤、除菌剤、洗浄剤等の湿潤液を以って万遍なくワイパーに含浸させることが可能であり、薬剤を無駄にすることがない。
【0025】
又、請求項4記載の発明によれば、前記請求項1,2又は3記載の発明の効果に加えて、蓋体部略中央部に開穿された長楕円孔は、短軸の長さが15〜25mmであり、長軸の長さが80〜110mmであるので、ポップアップ型ワイパーの取出しを許容しつつ、取出し口たる長楕円孔に半身を突き出したポップアップ途中のワイパーが下方に落下することを防止することができる均衡のとれた適切な寸法を提供することができる。
【0026】
更に又、請求項5記載の発明によれば、上記蓋体部の略中央部に開穿されたワイパー取出し用の長楕円孔は、該長楕円孔の周縁に上向き突条を突設したから、前記請求項1,2,3又は4記載の発明の効果に加えて、上記上向き突条がポップアップ途中の起立状況のワイパーの周面に歯止め状に抑制を加えるので、ワイパーが下方に逆戻りすることを回避することができる。また、上記上向き突条は、ワイパー取出し口の周縁を補強するリブ効果を有し、更に、該上向き突条は開穿した長楕円孔の周縁に玉縁様のアクセント効果をもたらすものである。
【0027】
そして更に、請求項6記載の発明によれば、蓋体部の略中央部に開穿されたワイパー取出し用の長楕円孔の周縁に突設された上向き突条の高さよりも、前記蓋体部の長楕円孔の周囲の平面部に形成された立設部の上縁の高さの方が高く形成されているので、前記請求項1,2,3,4又は5記載の発明の効果に加えて、ワイピング作業の途中でポップアッ
プ型ワイパーの取出し口を上記開閉蓋の平板部を以って覆蓋した場合に、上記上向き突条と開閉蓋の平板部の裏面とで、ポップアップ途上のウェット型ワイパーを余裕をもって気密に閉蓋することができる。
【0028】
斯様にして、この発明の構成によれば、ウェット型のワイパーが気密且つ安定した状態で保持され、作業途上の不使用時においても、ウェット型ワイパーの湿潤性とフレッシュな性状を維持存続させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は産業用ウェット型ワイパー収納ストッカーにおいて、簡単な機構で、ウェット型ワイパーに含浸させた殺菌、消毒、除菌、洗浄の各効果を可及的に低下することなくワイパーを供するためのワイパー収納ストッカーを得ることを目的として、前記蓋体部の一側縁近傍にピン孔を形成し、他方、先割れピン状の固着部材、回動ヒンジ部及び平板部を順次一体に成形した開閉蓋の前記先割れピン状の固着部材を、前記ピン孔に挿入して蓋体部に配備してなり、前記蓋体部にはワイパー取出し用の長楕円孔を開穿すると共に、該ワイパー取出し用の長楕円孔の周囲の平面部に方形の立設部を形成し、且つ、前記小開閉蓋の裏面には前記立設部に内接嵌合せしめるための環状突起部を形成し、該突起部外周に気密性保持部を形成してなり、前記容器本体は下方閉鎖型に形成してドライのワイパーに薬液を含浸させてウェット型ワイパーとして使用に供する構成を採用して、有用性あるポップアップ型ワイパー収納ストッカーを実現した。
【実施例1】
【0030】
以下、本発明の好適な実施例を図1(a)〜図5(c)に従って詳述する。図1(a)は、本発明の一実施例を示すもので、ワイパー収納ストッカーの容器本体と蓋体部を、該蓋体部を容器本体に載置することなく横方向に開いた状態の上面図を示し、図1(b)は、同1(a)のA−A線断面図を示す。図中、1はワイパーを収容するための容器本体であり、2は該容器本体1の上部を覆う蓋体部であって、これ等は、薄肉ヒンジ部Pを介して一体に連接されているが、別体に成形されてもよい。前記容器本体1と蓋体部2は、容器本体1の4周の側壁1aの上縁の係合突部1bへ蓋体部2の下向きフランジ2aの係合凹部2bが密接に係合して容器本体1の気密性を保持している。図中、1cは容器本体1の底部を示すものであり、該容器本体1は、有底の下部密封型の気密性容器の構造を採用するものである。
【0031】
本発明において、ワイピングを実践する作業用に供するのはウェット型のワイパーであるが、予めウェット型のワイパーとして容器本体1に収納するのではない。最初は、ドライのポップアップタイプのワイパー(図示省略)を容器本体1内に収納し、然る後に、該ワイパーに所望の殺菌剤、消毒剤、除菌剤、洗浄剤等を含んだ湿潤剤液を含浸させて使用時に合わせてウェット化を実践することを特徴とするものである。その際、本発明の容器本体1の外周側壁1aによって囲まれる平面積はワイパーの占有面積に可及的に近く、且つ、該占有面積よりも大きいサイズに形成されている。従って、殺菌や消毒や除菌又は洗浄に資するための湿潤薬液を無駄に消費することがなくコストダウンを図ることができる。
【0032】
図中、3は容器本体1に収容したワイパーを取出すための長楕円孔であり、蓋体部2の略中心に該長楕円孔3の中心を合わせて穿設されている。又、3aは、前記長楕円孔3の周縁に形成された上向き突条である。該上向き突条の存在により、ポップアップ型ワイパーがポップアップの途中で取出し孔縁からドロップバック(逆戻り)することが防止されるのみならず、突条のリブ効果によって孔縁の強度を高めるのみならず、上記上向き突条が玉縁様のアクセント効果を誘うことができる。
【0033】
ワイパーの取出し口を長楕円孔としたのは、薄いワイパーが連続的に取出されるように、ポップアップ型にして順次後続のワイパーを取出すためには楕円の短径をなす短軸によ
る幅の狭小さがポップアップ型ワイパーの上方起立を誘導することとなるからである。本発明の一実施の形態においては、長楕円孔の長軸が、80〜110mm,短軸が、15〜25mmの寸法のものを採用する。これらの寸法は、ポップアップ型ワイパーの取出しを許容し乍ら、他方において、寸法の過度の長さにより、ポップアップ型ワイパーがワイピング作業の途中において、ワイパーがドロップバックすることの無いような適切な寸法を採用したものである。勿論、これに限定するというものではない。
【0034】
これ等容器本体1及び蓋体部2並びに後述する開閉蓋は、透明若しくは半透明のポリスチレン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の熱可塑性合成樹脂を用いて、成形することができる。斯くすることによって、容器本体1内に存在するワイパーの残存量が外部から視認可能であるとともに、異物の混入も容易に検知可能であり、不慮の障害を未然に防止することができる。また、上掲の熱可塑性合成樹脂は、各種の塑性加工技術を駆使して成形が可能であり、容器本体1と蓋体部2を同時に成形する場合、インジェクションモールディング等の塑性加工技術で一体成形する素材として適切であると共に、これ等の素材は耐蝕性、耐酸性、耐候性等諸種の耐性も具えている。
【0035】
図中、4,4は蓋体部2の一側縁近傍に形成されたピン孔であり、開閉蓋5(詳細は後述)を取付けるため該開閉蓋5の先割れピン状の固着部材6(詳細は後述)を挿入するための開閉蓋取付け挿入孔となるものである。
【0036】
次に、図2は蓋体部2を容器本体1に覆蓋した上で、更に該蓋体部2に前述した開閉蓋5を配置した状態の上面図であり、更に、図3(a)は、開閉蓋を、蓋体部に装着する以前の状態であって、先割れピン状の固着部材6の先割れピン6a,6a,…(4つ割れ弾性ピン)を上方に向けた状態の上面図であり、同図(b)は、前記図3(a)のD−D線断面図を示す。図中、7は、回動ヒンジ部であり、前記先割れピン状の固着部材6の水平片部6bと接続されており、更に、該回動ヒンジ部7は、平板部8へと接続している。換言すると、前記開閉蓋5は、4つ割れピンを擁するところの先割れピン状の固着部材6、回動ヒンジ部7、平板部8を順次一体に接続成形したものである。
【0037】
該開閉蓋5を容器本体1に覆蓋した蓋体部2に装着するには、図3(b)に示される如く、前記先割れピン状の固着部材6の先割れピン部6a,6a,…(4つ割れ弾性ピン)を容器本体1に覆蓋した蓋体部2の前記ピン孔4,4に挿入し、然る後に、前記回動ヒンジ部7と先割れピン状の固着部材6の水平片部6bとの境界線7aを折曲線として長楕円孔3側に折り曲-げて、前記回動ヒンジ部7が該水平片部6bの上方を揺動して最終的にはカバーする如く、前記長楕円孔3を平板部8が覆うという形態を採用する。
【0038】
即ち、前記開閉蓋5の蓋体部2への装着に際しては、前記先割れピン状の固着部材6の水平片部6bと回動ヒンジ部7との境界線7aが主としてヒンジ回動の要となるという機能を担う。つまり、先割れピン状の固着部材6の先割れピン6a,6a,…(4つ割れ弾性ピン)を前記ピン孔4,4への挿入に当っては、該4つ割れピン状の割れピンの弾性により容易にピン孔へ挿入することができる。而して、該先割れピン状固着部材6をピン孔4,4に取付けた後、前記境界線7aを折返し点として、開閉蓋の回動ヒンジ部7を介して、前記長楕円孔3を閉塞するために同じく開閉蓋の前記平板部8が反転回動され、蓋体部2の長楕円孔を気密に閉蓋することとなる。
【0039】
尚、この閉蓋に際し、開閉蓋の平板部8が直接前記長楕円孔を気密に閉塞するのではなく、後述する如く、蓋体部2の長楕円孔の周囲の平面部(詳細後記)に形成された気密受け部(後記立設部と該立設部の段部よりなる)に上記平板部8の裏面に形成された環状突起部とこの突起部から外周に延びる気密保持部が嵌合することで気密保持が完成される。
【0040】
本実施例においては、前記先割れピン状の固着部材6の蓋体部2への取付け時、前記ピン孔4,4に先割れピン状の固着部材6の先割れピン部6a,6a…(4つ割れ弾性ピン
)をその優れた弾性を利用して挿入が便宜になされ、先割れピン部6a,6a…の先端に設けられた係止部6c,6c…が前記ピン孔4,4の下端に係合して確実に固定されるものであり、前記係止部6c,6c,…は、前記ピン孔4,4の下端から外れるという危惧は無い。このようにして、蓋体部に対する開閉蓋の装着は、前記先割れピン状の固着部材6,6をワンタッチでピン孔4,4に挿入するのみで、安定的確実に、且つ迅速に開閉蓋5の装着を完成することができる。
【0041】
前記平板部8は、その裏面に環状突起部8aが形成されており、該突起部8aの外周には気密性保持部8bが形成されている。図中、8cは該平板部8を開閉操作するときに指を掛ける把持部を示す。
【0042】
図4(a)は、本発明のワイパーを収納するための容器本体1に蓋体部2を覆蓋し、更に、その蓋体部2の上に開閉蓋5を載置させた状態の図2のB−B線断面図である。前記平板部8の裏面には環状突起部8aが垂下形成されており、更に、該環状突起部8aの外周には気密性保持部8bが形成されている。
【0043】
他方、上記蓋体部2の長楕円孔3の周辺の平面部9から上方に所望の高さで立設部10が立上げ形成されており、該立設部10の上縁には段部11が形成されている。上記開閉蓋5によるワイパーの取出し口の閉蓋に際し、該立設部10の内周壁に、前記平板部8の環状突起部8aの外周が嵌合して気密保持を誘導する。更に、上記平板部8の該環状突起部8aの外周に形成された気密性保持部8bが前記立設部10の上縁に形成された段部11と面接触して更に気密性能を高めている。斯様に、本発明は、二重の面接触により、ウェットタイプのワイパーから殺菌液、消毒液、除菌液、洗浄液等の揮発性成分が放散することを防止することができる。
【0044】
同図(b)は、(a)の開閉蓋5の平板部8の環状突起部8aと気密性保持部8bを、上記蓋体部2に形成された立設部10と段部11とによって構成される気密受け部に嵌合、密着させた部分を拡大した部分断面図である。図示のとおり、上向き突条3aの高さは、立設部10の高さより低く形成されている。従って、前記立設部10の上縁によって規制される平板部8の裏面と、前記上向き突条の上縁との間に若干の間隙が存在し、この間隙部にポップアップ途中のワイパーが上記平板部8の裏面によって押圧され、上記開閉蓋を閉蓋することにより、ウェット型のワイパーが空気にさらされることが防止され、ウェット型ワイパーがフレッシュで安定した状態で維持保存されることとなる。
【0045】
図5(a)は、本発明のワイパーを収納するための容器本体1に蓋体部2を覆蓋し、更に、その蓋体部2の上に開閉蓋5を載置させた状態である図2のC−C線断面図を示す。
【0046】
前記図4に関する説明と、単に90度角度を変えた方向からみた状況を示すものである。
【0047】
図5(b)は、同図(a)の平板部8の把持部8cの近傍を拡大した断面図であり、容器本体1の側壁1aの上部に形成した係合突部1bと蓋体部2の下向きフランジ2aに形成された係合凹部2bとの係合の態様を拡大して示す断面も示されている。
【0048】
図5(c)は、図5(a)の回動ヒンジ部7近傍の拡大断面図を示すものであって、ヒンジ回動の機能を実践する部分においても、蓋体部2の気密受け部(10,11)と開閉蓋8の環状突起部8a及び気密性保持部8bとで、気密に覆蓋されている態様を具に示している。
【0049】
尚本発明は、上記実施例に限らず、本発明の基本精神を逸脱しない限り諸種の改変をなすことが可能であり、そして、本発明は該諸種の改変されたものに対しても及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】(a)は本発明の一実施例を示し、ポップアップ型ワイパー収納ストッカーの容器本体と蓋体部を、該蓋体部を容器本体に載置することなく横方向に開いた状態の上面図、(b)は(a)のA−A線断面図。
【図2】本発明のポップアップ型ワイパー収納ストッカーの容器本体に蓋体部を覆蓋し更に蓋体部に開閉蓋を装着した上面図。
【図3】(a)は本発明の一実施例を示し、開閉蓋の先割れピン状の固着部材を上方に向けた上面図、(b)は前記(a)のD−D線断面図。
【図4】(a)は本発明の一実施例を示し、図2のB−B線断面図、(b)は(a)の立設部、段部と環状突起部、気密保持部の嵌合を示す拡大断面図。
【図5】(a)は本発明の一実施例を示し、図2のC−C線断面図、(b)は(a)の把持部近傍の拡大断面図、(c)は同じく回動ヒンジ部近傍の拡大断面図。
【符号の説明】
【0051】
1 容器本体
1a 側壁
1b 係合突部
1c 底部
2 蓋体部
2a 下向きフランジ
2b 係合凹部
3 長楕円孔(ワイパー取出し口)
3a 上向き突条
4 ピン孔
5 開閉蓋
6 先割れピン状の固着部材
6a,6a… 先割れピン部(4つ割れ弾性ピン)
6b 水平片部
6c 係止部
7 回動ヒンジ部
7a 水平片部6bと回動ヒンジ部7との境界線(ヒンジ回動の要)
8 平板部
8a 環状突起部
8b 気密性保持部
8c 把持部
9 平面部
10 立設部(気密受け部)
11 立設部の段部(気密受け部)
P ヒンジ部(容器本体と蓋体部の薄肉回動部)





【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライ若しくはウェット型の方形のポップアップタイプのワイパーを収納する方形に成形された容器本体と該容器本体の上部を覆う蓋体部からなる合成樹脂製のポップアップ型ワイパー収納ストッカーに於いて、
前記蓋体部の一側縁近傍にピン孔を形成し、他方、先割れピン状の固着部材、回動ヒンジ部及び平板部を順次一体に成形した開閉蓋の前記先割れピン状の固着部材を、前記ピン孔に挿入して蓋体部に配備してなり、前記蓋体部の略中央部にワイパー取出し用の長楕円孔を開穿すると共に、該ワイパー取出し用の長楕円孔の周囲の平面部に方形の立設部を形成すると共に該立設部上縁に段部を形成し、且つ、前記小開閉蓋の裏面には環状突起部と該環状突起部から外周に延びる気密性保持部が形成され、前記環状突起部と前記気密性保持部を前記立設部及び段部に密接に嵌合せしめ、更に、前記容器本体は下方閉鎖型に形成してドライのワイパーに薬液を含浸させてウェット型ワイパーとして使用に供する構成としたことを特徴とするポップアップ型ワイパー収納ストッカー。
【請求項2】
上記容器本体及び/又は蓋体部並びに開閉蓋は、透明若しくは半透明のポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性合成樹脂で成形されたことを特徴とする請求項1記載のポップアップ型ワイパー収納ストッカー。
【請求項3】
上記容器本体は、側壁の内周によって囲繞される平面積が収容するワイパーの占有面積に可及的に近く、且つ、該占有面積よりも大きいサイズに形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のポップアップ型ワイパー収納ストッカー。
【請求項4】
上記蓋体部略中央部に開穿された長楕円孔は、短軸の長さが15〜25mmであり、長軸の長さが80〜110mmであることを特徴とする請求項1,2又は3記載のポップアップ型ワイパー収納ストッカー。
【請求項5】
上記蓋体部の略中央部に開穿されたワイパー取出し用の長楕円孔は、該長楕円孔の周縁に上向き突条を突設したことを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のポップアップ型ワイパー収納ストッカー。
【請求項6】
上記蓋体部の略中央部に開穿されたワイパー取出し用の長楕円孔の周縁に突設された上向き突条の高さよりも、前記蓋体部の長楕円孔の周囲の平面部に形成された立設部の上縁の高さの方が高く形成されてなることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載のポップアップ型ワイパー収納ストッカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−162638(P2008−162638A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353477(P2006−353477)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000183462)日本製紙クレシア株式会社 (112)
【Fターム(参考)】