説明

ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーの製造方法

【課題】ポリアミドブロックとびポリエーテルブロックとを有するコポリマーの縮合重合法。
【解決方法】ジカルボン酸鎖末端を有するポリアミドブロックを2つのOH鎖末端を有するポリエーテル(ポリエーテルジオール)と少なくとも3つのOH官能基を有するポリオールと、必要に応じて触媒の存在下で、混合する。上記ポリアミドブロックは鎖制限剤のジカルボン酸の存在下でポリアミド前駆体の縮合で作り、縮合と同時に製造できる。コポリマーは分子量が大きく、機械性質に優れ(衝撃、加工、成膜性等)、分岐が少ない。ポリオールの多官能性は反応速度の面でのみ使われる。反応時間が短く、触媒および真空条件が容易で、着色安定性が向上する。ポリアミド合成の通常装置で実行できる。本発明コポリマーは3つのOH官能基を有するポリオールの残基を鎖中に含み、この残基はエステル結合でポリアミドブロックに結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーの製造方法に関するものである。
ポリアミドブロックとポリエーテルブロックを有するコポリマー(PEBA)は、反応性末端基を有するポリエーテルブロックと反応性末端基を有するポリアミドブロックとの共重縮合で得られるが、本発明はこの重縮合時にポリオール、例えばペンタエリトリトールを用いるものである。
【背景技術】
【0002】
PEBAの製造方法は下記文献に記載させている。
【特許文献1】欧州特許第EP 1 500 684号公報
【特許文献2】欧州特許第EP 1 560 872号公報
【特許文献3】欧州特許第EP 1 262527号公報
【0003】
このPEBAはポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを結合できる任意の手段で製造できる。実際には基本的に2つのプロセスが使われており、その一つは2段プロセスとよばれているものであり、他の一つは1段プロセスとよばれるものである。
【0004】
2段プロセスでは、先ず最初にジカルボン酸鎖末端を有するポリアミドブロックを作り、第2段でこのポリアミドブロックをポリエーテルブロックに結合する。ジカルボン酸鎖末端を有するポリアミドブロックは例えば連鎖停止剤のジカルボン酸の存在下でポリアミド前駆体を縮合させて作られる。
【0005】
1段プロセスでは、ポリアミド前駆体と連鎖停止剤とポリエーテルとを一緒に混合する。得られるものは主として種々の長さのポリエーテルブロックとポリアミドブロックとを有するポリマーであるが、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布したランダムに反応した種々の反応物も含んでいる。
【0006】
1段プロセスでも2段プロセスでも反応は触媒の存在下かつ減圧下に実行するのが有利である。使用可能な触媒は下記文献に記載されている。
【特許文献4】米国特許第4 331 786号明細書
【特許文献5】米国特許第4 115 475号明細書
【特許文献6】米国特許第4 195 015号明細書
【特許文献7】米国特許第4 839 441号明細書
【特許文献8】米国特許第4 864 014号明細書
【特許文献9】米国特許第4 230 838号明細書
【特許文献10】米国特許第4 332 920号明細書
【0007】
上記でPEBAはポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを結合できる任意の手段で製造できると記載したとおり、一段プロセスではポリアミドブロックも作られる。
【0008】
高分子量のPEBAを合成するには下記のようないくつかのパラメータが関係する:
(1)OH基とCOOH基との間の特定の化学量論量バランス(ポリエーテルのMnが変動するので調整が難しい)
(2)触媒効率((BuO)4Zr >> アセテートZr)
(3)減圧の程度(少なくとも10絶対mbar、好ましくは5mbar)
【0009】
このパラメターの一つでも特定範囲から外れた場合には合成結果の分子量が不充分になり、サイクル時間が極端になり、多くの場合、生成物が着色(劣化)する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者はこの問題を解決する方法を見出した。
すなわち、本発明では、少なくとも一種の三官能アルコール(以下、ポリオールという)の少量をカップリング剤として合成時に直接加える。この少量のポリオール分子はPEBA合成でクリティカルな上記3つの全ての点でポジティブな効果を発揮する。すなわち、化学量論量に欠陥が生じたときにそれをバランスさせる追加のOH基を提供し、極性触媒AcZr(Zrアセテート)に適した十分な親水性を有し、反応速度に良い影響を与え、50mbarの中程度の減圧で必要な分子量を得ることができる。
【0011】
本発明方法を記載した従来技術はない。
下記文献には一つまたは複数のポリオキシエチレンブロックと一つまたは複数のポリオキシ(高級アルキレン)ブロックとを有し、ブロックの少なくともいくつかがオキシメチレン基を介して互いに結合したブロック共重合体が記載されている。
【特許文献11】米国特許第5 936 030号明細書
【0012】
このブロック共重合体は、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(高級アルキレングリコール)およびそのブロック共重合体の中から選択される一つまたは複数のジヒドロキシ基末端を有するポリマーを塩基の存在下でジハロメタンと溶液中で反応させて得られる。このコポリマーは界面活性剤および界面改質剤として使用できる。この反応は室温で実施でき、追加の熱を必要としない。また、この反応は他の反応物のため溶剤として過剰のジハロメタンを使用して実行できる。反応は室温で進むので加熱は不用である。この方法では他のプロセスを使用して製造したものより高級分子量のポリオキシアルキレンブロック共重合体が得られる。メチレンオキサイド結合基はポリマーブロックを形成している他の基の化学構造に似ている。
【0013】
下記文献にはポリアミド骨格鎖に機能性化学基を組み込むための方法が記載されている:
【特許文献12】米国特許第2002-0007041号明細書
【0014】
この方法では反応物質のポリアミドと下記の(i)または(ii)を液相で接触させる:(i) ビス-N-アシルビスラクタム化合物およびその混合物および機能性ジアミンまたはトリアミン化合物の中から選択される鎖エキステンダー(延長剤)または(ii)官能化されたビス-Nアシルビスラクタム化合物と、任意成分の機能性ジアミンまたはトリアミン化合物の中から選択される官能性鎖エキステンダー。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、ポリアミドブロックとびポリエーテルブロックとを有するコポリマーを縮合によって製造する方法において、ジカルボン酸鎖末端を有するポリアミドブロックを、必要に応じて触媒の存在下で、2つのOH鎖末端を有するポリエーテル(ポリエーテルジオール)および少なくとも3つのOH官能基を有するポリオールと混合することを特徴とする方法にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ジカルボン酸鎖末端を有するポリアミドブロックは鎖制限剤のジカルボン酸の存在下でポリアミド前駆体を縮合して製造できる。
【0017】
本発明の実施例ではジカルボン酸鎖末端を有するポリアミドブロックは縮合と同時に製造できる。従って、本発明は、ポリアミド前駆体と、鎖制限剤のジカルボン酸と、2つのOH鎖末端を有するポリエーテル(ポリエーテルジオール)と、少なくとも3つのOH官能基を有するポリオールとを、必要に応じて触媒の存在下に、混合する、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーの縮合方法に関するものであるともいえる。こうして得たポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーを回収する。
【0018】
本発明方法は多くの効果を有する。すなわち、コポリマーは分子量が高く、機械特性(耐衝撃性、加工性、フィルム化特性、その他)に優れ、直鎖を維持し、分岐が少ない。ポリオールの多官能性(multifunctionality)は反応速度の面のためにのみ使われる。プロセスの面ではサイクル時間が短くなり、触媒および真空系の条件が緩くなり、劣化が減り、着色がなく、安定性が良くなるという利点がある。本発明方法はポリアミド合成の通常の装置で実行できる。
【0019】
本発明はさらに、鎖中に少なくとも3つのOH官能基を有するポリオールの残基を含むポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーに関するものである。このポリオールの残基はエステル結合でポリアミドブロックに結合される。
【0020】
ジカルボン酸鎖末端を有するポリアミドブロックは、連鎖停止剤の二酸の存在下で得られる。前駆体が二酸を既に含む場合には、例えばそれを過剰に使用すれば充分である。
脂肪族α、ω−アミノカルボン酸の例としては、アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸および12-アミノドデカン酸を挙げることができる。ラクタムの例としてはカプロラクタム、エナントラクタムおよびラウリルラクタムを挙げることができる。脂肪族ジアミンの例としはヘキサメチレンジアミン、C9〜C25ジアミン(すなわち9〜25の炭素原子を有するもの)、例えばドデカメチレンジアミンおよびトリメチルヘキサメチレンジアミンを挙げることができる。脂環式二酸の例としては1,4-シクロヘキシルジカルボン酸を挙げることができる。脂肪族二酸はC6〜C25酸(すなわち6〜25の炭素原子を有するもの)にすることができる。脂肪族二酸の例としてはブタン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、コルク酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー化した脂肪酸(このダイマー化した脂肪酸は少なくとも98%の二量体含有量を有し、好ましくは水素化されているのが好ましく、ユニケマ社(Unichema)から商標名PRIPOLまたはヘンケル社(Henkel)から商標名EMPOLで市販されている)、α、ω−ポリオキシアルキレン二酸を挙げることができる。
【0021】
芳香剤二酸の例としてはテレフタル酸(TA)およびイソフタル酸(IA)を挙げることができる。脂環式ジアミンはビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)−メタン(BMACM)2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)およびパラ−アミノジシクロヘキシルメタン(PACM)の異性体でもよい。一般に使用されている他のジアミンにはイソホロンジアミン(IPDA)、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン(BAMN)およびピペラジンがある。
【0022】
3種類のポリアミドブロックが好ましく使用される。
第1のタイプのポリアミドブロックは、例えば4〜12の炭素原子を有するジカルボン酸の存在下で、一つまたは複数のα、ω-アミノカルボン酸および/または6〜12の炭素原子を有する一つまたは複数のラクタムを縮合して得られる。
【0023】
第2のタイプのポリアミドブロックは、少なくとも一種のα、ω-アミノカルボン酸(またはラクタム)と、少なくとも一種のジアミンと、少なくとも一種のジカルボン酸との縮合で得られる。この第2のタイプの変形例では、ポリアミドブロックが、連鎖停止剤の存在下で、少なくとも二種のα、ω-アミノカルボン酸または6〜12の炭素原子を有する少なくとも2種のラクタムまたは一つのラクタムと炭素原子数が異なるアミノカルボン酸の縮合で得られる。
【0024】
第2のタイプのポリアミドブロックおよびその比率は融点が60〜150℃の間にくるように選択できる。低融点コポリアミドは下記文献に記載されている。
【特許文献13】米国特許第4 483 975号明細書
【特許文献14】独国特許第DE 3 730 504号明細書
【特許文献15】米国特許第5 459 230号明細書
【0025】
各成分の同じ比率をポリアミドブロックで使用することができる。
第3のタイプのポリアミドブロックは二酸とジアミンとの縮合で得られる。二酸は過剰に使用する。
【0026】
ポリエーテルジオールのポリエーテルブロックはポリアミドとポリエーテルブロックから成るコポリマーの重量の5〜85重量%にすることができる。ポリエーテルブロックはアルキレンオキシド単位から成り、この単位は例えばエチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位またはテトラヒドロフラン単位(ポリテトラメチレングリコール結合になる)にすることができる。すなわち、PEG(すなわちエチレンオキシド単位から成る)ブロック、PPG(すなわちプロピレンオキシド単位から成る)ブロック、PTMG(すなわちテトラメチレングリコール単位から成る)ブロック(ポリテトラヒドロフランブロックとしもよばれる)が使用さわれる。また、オキシビスフェノールのエチル化で得られるブロック、例えばビスフェノールAを使うこともできる。この化合物は下記文献に記載されている。
【特許文献16】欧州特許第EP 613 919号公報
【0027】
ポリエーテルジオールはポリトリメチレンエーテルグリコール(PO3Gともよばれる)にすることができる。これは1,3-プロパンジオールから作ることができる。ジカルボン酸鎖末端を有するポリアミドブロックとポリトリメチレンエーテルグリコールとから成るポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーは下記文献に記載されている。
【特許文献17】米国特許第6 590 065号明細書
【0028】
ポリエーテルブロックはエトキシ化した第一アミンから作ることもできる。
【0029】
ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーのポリエーテルブロックの量はコポリマーの重量の10〜70重量%、好ましくは35〜60重量%にするのが好ましい。
ポリアミドブロックの数平均分子量は400〜10000、好ましくは400〜4000にする。ポリエーテルブロックの分子量は100〜6000、好ましくは200〜3000にする。
【0030】
少なくとも3つのOH官能基を有するポリオールの分子量は1000以下、好ましくは50〜500、より好ましくは50〜200である。ペンタエリトリット(pentaerythritol)が好ましい。ポリオールの比率はコポリマーの0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜1%にする。
【0031】
本発明方法を2段プロセスで行なう場合には、先ず最初に連鎖停止剤のジカルボン酸の存在下でポリアミド前駆体を縮合して、カルボン酸末端基を有するポリアミドブロックを作り、次に、ポリエーテル、ポリオールおよび触媒を加える。ポリアミド前駆体がラクタムのみまたはα、ω-アミノカルボン酸のみの場合にはジカルボン酸を加える。前駆体が既にジカルボン酸を含む場合にはジアミンの化学量論に対してそれを過剰に使用する。反応は一般に180〜300℃、好ましくは200〜290℃で行ない、反応器中の圧力を5〜30バールにし、約2〜3時間維持する。反応器内の圧力をゆっくり大気圧に下げ、過剰な水を例えば1〜2時間留出する。
【0032】
得られたカルボキシル酸末端基を有するポリアミドにポリエーテル、ポリオールおよび触媒を加える。ポリエーテルは1回または数回にわけて加えることができ、触媒も同じである。張の一実施例ではポリエーテルを最初に加え、ポリエーテルおよびポリオールのOH末端基とポリアミドのCOOH末端基との反応を開始し、エステル結合を形成し、水を除去する。蒸留で反応混合物から水はできるだけ除去する。その後、触媒を導入してポリエーテルブロックとポリアミドブロックとの結合を完了する。この第2のステップは撹拌下で行ない、好ましくは少なくとも50mバール(5000Pa)の減圧下で一般には反応物と得られるコポリマーが溶融状態となる温度で行なう。この温度は例えば100〜400℃、一般には200〜250℃である。反応は攪拌機に溶融したポリマーが加えるトルクを測定するか、攪拌機が消費する電位を測定してモニターする。
【0033】
反応の終点はトルク値または目標電力で決定する。触媒とはエステル化によるポリエーテルブロックにポリアミドブロックへの結合を促進する任意の化合物と定義できる。触媒はチタン、ジルコニウムおよびハフニウムにより成る群の中から選択される金属(M)の誘導体にするのが好ましい。この誘導体の例としては一般式:M(OR)4を満たすテトラアルコキシドを挙げることができる。ここで、Mはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、Rは1〜24の炭素原子数を有する直鎖または分枝アルキル基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。他の誘導体の例としては金属(M)の塩、特に有機酸の金属塩、金属(M)の酸化物および/または金属(M)の水酸化物と有機酸との錯塩が挙げられる。この有機酸は蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、オクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、安息香酸、サリチル酸、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、マイレン酸、フマル酸、フタル酸およびクロトン酸にするのが好ましい。特に好ましいのは酢酸とプロピオン酸であり、金属(M)はジルコニウムである。これらの塩はジルコニル塩とよばれる。これらのジルコニウムおよび有機酸の塩または上記錯塩はプロセス中にZrO++を放出すると考えるが、この説明に拘束されるものではない。酢酸ジルコニルの名称で市販の化合物を使用できる。
【0034】
触媒の比率はジカルボン酸とポリアミドとポリエーテルジオールとの混合物の重量の0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%である。
プロセスおよび触媒は下記文献に記載されている。
【特許文献18】米国特許第4,332,920号明細書
【特許文献19】米国特許第4,230,838号明細書
【特許文献20】米国特許第4,331,786号明細書
【特許文献21】米国特許第4,252,920号明細書
【特許文献22】日本特許公開第07145368A 号公報
【特許文献23】日本特許公開第06287547A 号公報
【特許文献24】欧州特許第EP 613919号明細書
【0035】
一段プロセスでは2段プロセスで使用した全ての反応物質すなわちポリアミド前駆体、連鎖停止剤のジカルボン酸、ポリエーテル、ポリオールおよび触媒を一緒に混合する。これらは上記2段プロセスと同じ反応物および同じ触媒である。ポリアミド前駆体がラクタムだけの場合には少量の水を加えるのが有利である。
【0036】
コポリマーは基本的に同じポリエーテルブロックと同じポリアミドブロックとを有するが、ランダムに反応した各種の反応物も少量含み、それらはポリマー鎖に沿ってランダムに分布する。
【0037】
上記2段プロセスの最初のステップのように、反応器を閉じ、撹拌下に加熱する。圧力は5〜30バールである。圧力が変わらなくなった時に溶融した反応物を撹拌下に維持したまま反応器を減圧下に置く。反応は上記2段プロセスの場合と同様にモニターする。
【0038】
本発明のポリアミドブロックポリエーテルブロックとを有するコポリマーは新規である。このコポリマーの相対溶液粘度は0.8〜1.75dl/gである。この相対粘度はメタクレゾールの0.5%溶液でオストワルト粘度計を使用して測定する。本発明のコポリマーは少なくとも3つのOH官能基を有するポリオールの残基をその鎖中に含む。このポリオール残基はエステル結合でポリアミドブロックに結合されている。このコポリマーの多分散性指数Ipは2〜5、好ましくは2〜3であるのが好ましく、溶液粘度は1以上、好ましくは1.2以上であるのが好ましい。多分散性指数IpはMw/Mn比である。
【0039】
ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有する上記の新規なコポリマーは枝分れ係数g'(Long Chain Branching)が1〜0.7であることで特徴付けることができる。この枝分れ係数はSEC(立体障害クロマトグラフ、Exclusion Chromatography)で測定できる。これは粘性検出を利用した150℃でのベンジルアルコール中でのゲル透過クロマトグラフ(Gel Permeation Chromatography)としても知られている。枝分れ係数g'は直鎖の化合物の粘度を分岐した化合物の粘度で割った比で定義される。この枝分れ係数g'が> 0.7であれば直鎖ポリマーと考えられる。
【実施例】
【0040】
実施例1
CoPA6.10/11/PEG600
ポリアミドブロックは下記から作る:
化学量論量のヘキサメチレンジアミン(2.3kg)とセバシン酸(9kg、連鎖停止剤を含む)、
アミノウンデカン酸COOH-(CH2)10-HN2(9.8kg)、
連鎖停止剤としてのセバシン酸。
Mnが600のPEG(14.14kg)。
合成は0.5%のペンタエリトリトット(175g)を加えない場合と、加えた場合で行なった。
【0041】
【表1】

【0042】
結果は[図1]のグラフに示してある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】は実施例1の結果を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミドブロックとびポリエーテルブロックとを有するコポリマーを縮合によって製造する方法において、
ジカルボン酸鎖末端を有するポリアミドブロックを、必要に応じて触媒の存在下で、2つのOH鎖末端を有するポリエーテル(ポリエーテルジオール)および少なくとも3つのOH官能基を有するポリオールと混合することを特徴とする方法。
【請求項2】
ジカルボン酸鎖末端を有するポリアミドブロックを鎖制限剤のジカルボン酸の存在下でポリアミド前駆体の縮合で予め作る請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリアミド前駆体、鎖制限剤のジカルボン酸、2つのOH鎖末端を有するポリエーテル(ポリエーテルジオール)および少なくとも3つのOH官能基を有するポリオールを、必要に応じて触媒の存在下に、混合する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ポリオールの分子量が1000以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ポリオールの分子量が50〜500の間にある請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ポリオールがペンタエリスリトールである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ポリオールの比率がコポリマーの重量の0.01〜5重量%である請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ポリオールの比率がコポリマーの重量の0.1〜1重量%である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも3つのOH官能基を有するポリオールの残基を鎖中に含むことを特徴とするポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマー。
【請求項10】
上記のポリオールの残基がエステル結合でポリアミドブロックに結合している請求項9に記載のコポリマー。
【請求項11】
多分散性指数Ipが2〜3である請求項9または10に記載のコポリマー。
【請求項12】
相対溶液粘度が1以上、好ましくは1.2以上である請求項9〜11に記載のコポリマー。
【請求項13】
枝分れ係数g'(LCB)が >0.7である請求項9に記載のコポリマー。

【図1】
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