説明

ポリアミド樹脂組成物およびポリアミドフィルム

【課題】本発明は、必要な透明性を維持しながら滑り性に優れたフィルムを製造するために好適なポリアミド樹脂組成物、ならびに当該組成物を溶融押出してなる滑り性と透明性に優れたポリアミドフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】下記成分(A)〜(D)を配合してなるポリアミド樹脂組成物。
(A)ポリアミド樹脂 100重量部
(B)シリカ粒子 0.05〜1重量部
(C)下記一般式で表されるビスアミド化合物 0.01〜1.0重量部
−CONH(CHNHCO−R
(ただし、R、Rは炭素数12〜32の炭化水素基を表し、RとRは同一であっても異なっていても良い。)
(D)アルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物 0.01〜0.12重量部

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規フィルム用ポリアミド樹脂組成物およびそれを溶融押出してなるポリアミドフィルムに関する。更に詳しくは、滑り性を維持しながら特に透明性を向上せしめたポリアミドフィルムの製造に好適なポリアミド樹脂組成物と、当該組成物を溶融押出してなる滑り性と透明性に優れたポリアミドフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂は、その優れた特性を活かして衣料用繊維,産業用繊維に使われ、さらに、自動車分野,電気・電子分野などにおいて射出成形品として、また、押出フィルム,延伸フィルムとしても広く使われている。押出フィルム、延伸フィルムは、ガスバリア性や機械的特性に優れるため、食品包装用途、工業用途など広範な用途に使用されている。
【0003】
しかしながら、ポリアミドフィルムは滑り性に乏しく、その改良のために従来から無機粒子の配合がしばしば行われている。すなわち、無機粒子を配合することでフィルム表面に突起を形成させ、フィルムどうしの間に隙間を作るというものである。
【0004】
だが、無機粒子の配合はポリアミドフィルムの透明性を損ねるため、従来より滑り性と透明性のバランスを保つために種々の方法が提案されて来た。
【0005】
例えば、特許文献1に記載されるようにポリアミド樹脂に微細シリカとシランカップリング剤を配合する方法、特許文献2に記載されるようにポリアミド樹脂にビスアミド化合物、3〜6価アルコールの部分エステル、無機フィラーを配合する方法、特許文献3に記載されるように末端封鎖したポリアミド樹脂にビスアミド化合物、無機フィラー粒子を配合する方法、特許文献4に記載されるようにポリアミド樹脂に無機フィラー、炭素数12〜30のヒドロキシ脂肪酸のマグネシウム塩を配合する方法、特許文献5に記載されるようにポリアミド樹脂にエチレンビスベヘニルアミド、不定形シリカを配合する方法が知られている。また最近では、特許文献6のように、ポリアミド樹脂に無機粒子、ビスアミド化合物、ステアリン酸カルシウム及び/又はステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコールを配合する方法が知られている。
【0006】
しかしながら、特許文献1〜6に記載されている方法では、滑り性と透明性のバランスはまだ満足できるレベルでは無く、必要な滑り性を確保しつつ、更に透明性を向上する方法が求められている。
【特許文献1】特開昭63−251460号公報
【特許文献2】特開平5−59274号公報
【特許文献3】特開平5−59275号公報
【特許文献4】特開平6−179813号公報
【特許文献5】特開平9−67515号公報
【特許文献6】2005−105167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、必要な透明性を維持しながら滑り性に優れたフィルムを製造するために好適なポリアミド樹脂組成物、ならびに当該組成物を溶融押出してなる滑り性と透明性に優れたポリアミドフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、
(1)下記成分(A)〜(D)を配合してなるポリアミド樹脂組成物。
(A)ポリアミド樹脂 100重量部
(B)シリカ粒子 0.05〜1重量部
(C)下記一般式で表されるビスアミド化合物 0.01〜1.0重量部
−CONH(CHNHCO−R
(ただし、R、Rは炭素数12〜32の炭化水素基を表し、RとRは同一であっても異なっていても良い。)
(D)アルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物 0.01〜0.12重量部
(2)アルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物が酸化マグネシウムである、請求項1記載のポリアミド樹脂組成物、
(3)アルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物の比表面積が20〜500μm/g、平均粒径が0.1〜5μmである、請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物、
(4)請求項1から3のいずれかのポリアミド樹脂組成物を溶融押出してなる、ポリアミドフィルム、を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリアミド樹脂組成物を用いることにより、滑り性、透明性に優れたフィルムを提供することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物を用いて得られたフィルムやシートは食品包装用途、ガスバリア性が必要な用途に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で用いられるポリアミド樹脂としては、3員環以上のラクタム、重合可能なアミノ酸、二塩基酸とジアミン、あるいはこれらの混合物の重縮合によって得られるポリアミド樹脂が挙げられる。
【0011】
具体的には、ε−カプロラクタム、ウンデカラクタム、ドデカラクタムなどのラクタムから得られるポリアミド樹脂、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノ酸から得られるポリアミド樹脂、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ジミノペンタン、3−メチル−1,5−ジミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサンなどのジアミンとコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、1,7−ヘプタンジカルボン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸から得られるポリアミド樹脂、あるいはこれらのポリアミド樹脂の任意の共重合体が挙げられる。これらの中でも製膜性、コスト、得られるフィルムの特性の観点からナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂、ナイロン6/ナイロン66共重合体、ナイロン6・10樹脂、ナイロン11樹脂、ナイロン12樹脂、ナイロン6/ナイロン12共重合体、ナイロン6/6T共重合体(6T:ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸からなるポリアミド単位)、ナイロン6/6I共重合体(6I:ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸からなるポリアミド単位)、ナイロン6/6T/6I共重合体、ナイロン6/6I/66共重合体、ナイロンMXD・6(m−キシリレンジアミンとアジピン酸から得られるポリアミド樹脂)、ナイロンMXD・6/66共重合体が好ましく、ナイロン6樹脂、ナイロン6/ナイロン66共重合体、ナイロン6・10樹脂、ナイロン11樹脂、ナイロン12樹脂、ナイロン6/ナイロン12共重合体が特に好ましい。とりわけ好ましくはナイロン6、ナイロン6/ナイロン66共重合体である。
【0012】
本発明で用いられるポリアミド樹脂の重合度には特に制限はないが、フィルムやシートに成形する時の成形性や得られるフィルムやシートの機械特性の面から、1gを98%硫酸100mLに室温で溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した相対粘度(ηr)が2.7〜6.0であることが好ましく、特に3.0〜5.0であることが好ましい。
【0013】
本発明で用いられるシリカ粒子の平均粒径については特に制限はないが、その値は、コールターカウンター法により測定した平均粒径が、0.5μm〜10μmであることが好ましい。0.5μmより小さいと分散性が悪くなり、また得られたフィルムの摩擦係数が大きいので使用できない。また10μmより大きいと異物となり、衝撃特性や透明性、外観が低下するので使用できない。ここで、コールターカウンター法とは、サンプル粒子を懸濁させた電解液を細孔チューブに通過させ、そのときに粒子の体積に比例して発生する電圧パルスを読み取って粒子径を定量する方法である。
【0014】
また、シリカ粒子の添加量はポリアミド樹脂100重量部に対して0.05〜1重量部であり、0.07〜0.7重量部の範囲が好ましく、0.1〜0.5重量部の範囲がより好ましい。0.05重量部より少ないと得られたフィルムの摩擦係数が大きいので使用できない。また1重量部より多いと衝撃特性や透明性、外観が低下するので使用できない。
【0015】
シリカ粒子をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、およびエポキシ化合物などのカップリング剤で同時にもしくは予備的に処理して使用することは、より優れた機械的特性や外観を得る意味において好ましい。
【0016】
本発明で使用されるビスアミド化合物は下記一般式で表される化合物である。
−CONH(CHNHCO−R
ただし、ここでR、Rは炭素数12〜32の炭化水素基を表し、RとRは同一であっても異なっていても良い。
【0017】
具体的には、エチレンジアミンとラウリル酸、n−トリデカン酸、ミリスチン酸、n−ペンタデカン酸、パルミチン酸、n−ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、n−ノナデカン酸、アラキドン酸、メリシン酸などとの縮合物があげられるが、分散性、コスト、得られるフィルムの機械物性、透明性などの観点からエチレンビスステアロアミド、エチレンビスオレイルアミドが好ましく、エチレンビスステアロアミドが特に好ましい。
【0018】
本発明で使用されるビスアミド化合物の添加量はポリアミド樹脂100重量部に対して0.01〜3重量部であり、0.015〜1重量部の範囲が好ましく、0.02〜0.5重量部の範囲がより好ましい。0.01重量部より少ないと得られたフィルムの摩擦係数が大きく、使用できない。また3重量部より多いと衝撃特性や透明性、外観が低下するので使用できない。
【0019】
本発明で用いるアルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物に特に制限はないが、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの酸化物もしくは水酸化物が挙げられる。これら酸化物もしくは水酸化物は、複数種類併用することも可能であるし、同じ種類のもので、平均粒径・比表面積が異なる粒子を複数併用してもかまわない。
【0020】
これらの中でも、滑り性と透明性など得られるフィルムの特性の観点からマグネシウム、カルシウムの酸化物もしくは水酸化物が好ましく、マグネシウムの酸化物もしくは水酸化物が特に好ましく、酸化マグネシウムが最も好ましい。
【0021】
本発明で用いるアルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物の添加量はポリアミド樹脂100重量部に対して0.01〜0.12重量部であり、0.02〜0.1重量部の範囲が好ましく、0.03〜0.09重量部の範囲がより好ましい。0.01重量部より少ないと透明性の向上効果が得られず、また0.12重量部より多いと衝撃特性や透明性、外観が低下するので使用できない。
【0022】
本発明で用いるアルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物の比表面積に特に制限はないが、BET法で求めた比表面積にして、20μm/g以上が好ましく、50μm/g以上がより好ましく、100μm/g以上がさらに好ましい。ただし、500m/gを超えると、急速な吸湿が起こることがあり、製造時の取り扱いが困難になることがある。
【0023】
本発明で用いるアルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物の平均粒径に特に制限はないが、5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。ただし、0.1μm以下では、滑り性向上の効果がほとんど見られなくなる。
【0024】
さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、要求される特性に応じて他のポリマー類、添加剤、結晶核剤、耐熱剤や紫外線吸収剤などの安定剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、およびカップリング剤などを添加することも可能である。
【0025】
本発明のポリアミド樹脂組成物とは、それぞれの成分を溶融混錬してなるものでも良いし、それぞれの成分をドライブレンドしてなる樹脂混合体であってもよい。
【0026】
また、本発明のポリアミド樹脂組成物を製造する方法としては通常公知の方法を採用することができる。例えば、ポリアミド樹脂のペレットにシリカ、アルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物を所定の割合でドライブレンドしても良いし、溶融混練機を用いて溶融混練してもかまわない。また、ポリアミド樹脂に上記各成分を高濃度に溶融混練した材料(マスターペレット)を予め製造しておき、これとポリアミド樹脂ペレットとをドライブレンドしたり、溶融混練しても良い。また、ポリアミド樹脂を重合する際に重合成分中に上記添加剤を配合しておく方法も採用可能である。
【0027】
本発明のポリアミド樹脂組成物をフィルムやシートに成形する方法としては従来公知の方法を採用することができる。例えばT−ダイ法、インフレーション法、射出成形法、プレス成形法などを使用することができる。
【0028】
フィルムやシートは用途に応じて単層、他の樹脂との多層、同一樹脂との多層、紙や金属などの他の素材との積層などにすることができる。また得られるフィルムやシートの厚みには特に制限がない。更にガスバリヤー性および水分バリア性をさらに向上させるために、フィルムの片面に金属および/または金属化合物の蒸着を行っても良い。蒸着層を施す方法としては特に制限はないが、真空蒸着、EB蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティング、プラズマCVD等の公知の方法を用いることができる。フィルムと蒸着金属および/または金属酸化物等の蒸着皮膜との密着性を向上させるためには、フィルムの表面をあらかじめコロナ放電処理やアンカーコート剤を塗布するなどの方法により前処理しておくことが好ましい方法である。フィルムに蒸着させる金属および/または金属酸化物としては、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられ、アルミニウムが最も好ましい。得られる蒸着層の膜厚には特に制限はない。
【実施例】
【0029】
以下本発明を、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0030】
[フィルムの製造方法]
(1)フィルムの製造方法
以下の条件で未延伸チューブラーフィルムを溶融押出し、製膜した。
押出機:30mm単軸押出機、L/D=22、
スクリュー:フルフライトコンスタントピッチ(3ゾーン型)、圧縮比3.1
ダイズ:70mmφリングダイス
シリンダー温度:230〜245℃
冷却水温度:20℃。
【0031】
(2)フィルム特性の評価方法
(A)引張特性
東洋精機製作所製の引張試験機オートグラフ、幅10mm×長さ150mmの試験片を用いて、試験速度1mm/minで引張弾性率を測定した。また、試験速度200mm/minで引張強度および引張破断伸度を測定した。
【0032】
(B)摩擦係数
東洋精機製作所製摩擦測定機TR−2を用い、テーブル側に幅80mm×長さ170mm、スレッド側に幅75mm×長さ90mmの試験片を貼り付けて、摩擦係数を測定した。
【0033】
(C)ヘイズ
東洋精機製作所製の直読ヘイズメーター、50mm×50mmの試験片を用いてヘイズを測定した。
【0034】
(D)フィッシュアイ
前記のフィルム製造法で得られたフィルムを用い、1200cm内のフィッシュアイの個数を大蔵省印刷局製造のきょう雑物測定図表と対比して目視で観察した。
【0035】
(E)表面外観
前記のフィルム製造法で得られたフィルムを用い、フィルム表面の透明性・平滑性に着目して目視で観察した。
【0036】
実施例および比較例で使用した原料は以下のとおりである。
【0037】
[ポリアミド樹脂]
ナイロン6樹脂CM1021(東レ(株)製,相対粘度(ηr)=3.4)
【0038】
[シリカ]
コールターカウンター法により測定した平均粒径が3.0μmのシリカ粒子
(デグサジャパン(株)製カープレックスCS−7)
【0039】
[アルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物]
MgO−1:コールターカウンター法により測定した平均粒径が0.8μm、BET法により測定した比表面積が27m/gである酸化マグネシウム
協和化学(株)“キョーワマグ” MF−30
MgO−2:コールターカウンター法により測定した平均粒径が0.8μm、BET法により測定した比表面積が121m/gである酸化マグネシウム
協和化学(株)“キョーワマグ” MF−150
その他の添加剤としてエチレンビスステアロアミドを使用した。
【0040】
[シリカマスターペレットの製造]
ナイロン6樹脂CM1021の粉砕品(メッシュ)100重量部に対して上記のシリカ(10重量部)をドライブレンドし、これを2軸押出機に供給して樹脂温255℃で溶融混練した。得られた溶融混練物をストランドで押出し、ペレタイザーでカットしてマスターペレットとした。
【0041】
実施例1
ナイロン6樹脂ペレット100重量部に、シリカマスターペレット4.2重量部、MgO−1を0.05重量部(ナイロン6樹脂ペレット1kgに対して12.4mmol/kg)、エチレンビスステアロアミド0.08重量部、をヘンシェルミキサー内に添加して混合した。得られたポリアミド樹脂組成物を上記した製膜条件で製膜し、80μmの未延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0042】
各種フィルム特性・外観ともに優れていることがわかる。
【0043】
実施例2
MgO−1の代わりにMgO−2を使用し、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を調製し、未延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。実施例1よりヘイズ値低くフィッシュアイも少なく良好である。
【0044】
実施例3〜5
表1に記載された処方にて、実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物を調製し、未延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。本出願の請求項1記載の範囲でMgO−2の添加量を変えてフィルムを得たが、いずれもフィルム物性は良好であった。
【0045】
比較例1
ナイロン6樹脂ペレット100重量部に、シリカマスターペレット4.2重量部、エチレンビスステアロアミド0.08重量部、をヘンシェルミキサー内に添加して混合した。実施例1と同様に、未延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。ヘイズ以外のフィルム特性には問題は見られなかったが、MgOを添加しなかったためヘイズは劣るものであった。
【0046】
比較例2
MgO−2の使用を0.005重量部とする以外は、比較例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を調製し、未延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。比較例1同様に、ヘイズ以外のフィルム特性には問題は見られなかったが、ヘイズは劣るものであった。
【0047】
比較例3
MgO−2の使用を0.15重量部とする以外は、比較例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を調製し、未延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。ヘイズ値が増加して透明性に劣り、またフィッシュアイも多数見られた。
【0048】
比較例4
エチレンビスステアロアミドを0.002重量部まで低減する以外は、実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物を調製し、未延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。摩擦係数が増加、すなわち滑り性が低下し、ヘイズ値が増加して透明性に劣る上、目視でフィルムが白濁していることが確認できるなど、満足のいくレベルのフィルムが得られなかった。
【0049】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)〜(D)を配合してなるポリアミド樹脂組成物。
(A)ポリアミド樹脂 100重量部
(B)シリカ粒子 0.05〜1重量部
(C)下記一般式で表されるビスアミド化合物 0.01〜1.0重量部
−CONH(CHNHCO−R
(ただし、R、Rは炭素数12〜32の炭化水素基を表し、RとRは同一であっても異なっていても良い。)
(D)アルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物 0.01〜0.12重量部
【請求項2】
アルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物が酸化マグネシウムである請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
アルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物の比表面積が20〜500μm/g、平均粒径が0.1〜5μmである請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかのポリアミド樹脂組成物を溶融押出してなるポリアミドフィルム。

【公開番号】特開2009−286921(P2009−286921A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141876(P2008−141876)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】