説明

ポリアルファオレフィンの合成のための方法

粗製ポリオレフィン生成物から1種又は複数種の1−ハロ−2−メチルプロパンと第13族金属触媒とを含む残留触媒のレベルを低減するための方法であって、粗製有機生成物を吸着剤系中の固体吸着剤と接触させるステップを含む方法。アルファオレフィンを重合させるための共触媒系も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についてのクロス・リファレンス
本出願は、2009年10月12日に出願された米国出願第12/577,580号に基づく優先権を主張するものであり、その開示の全体は参照により本明細書の記載の一部とする。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、概して言えば、第13族金属触媒及び1−ハロ−2−メチルプロパン触媒系の存在下でポリアルファオレフィンを合成するための方法に関する。本発明は、粗製ポリアルファオレフィン生成物から残留触媒成分、即ち、金属及びハロゲン化物を除去するための方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
有機合成では、触媒は、生成した粗製有機生成物中に可溶性である場合が非常に多く、単純なろ過によって除去することができない。こうした触媒及び共触媒は、単独又は任意の組合せで使用される少なくとも1種のハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルコキシ、ハロゲン化金属、オキシハロゲン化金属、アルキル金属、アルコキシ金属、ホウ素化合物及び配位金属化合物、フリーデルクラフト触媒、並びに担持又は非担持メタロセン触媒を含む。米国特許第4,469,910号に記載の慣用の一触媒系は、2,3−ジブロモブタンとトリエチルアルミニウム(TEA)とを含む。この触媒系は、比較的高濃度の臭素を含むので、生成した粗製ポリアルファオレフィン(PAO)生成物中のハロゲン含量が増加する。
【0004】
アルファオレフィンを重合した後、粗製PAO生成物は、溶解した触媒(触媒のハロゲン化物及び金属を含む)を含むことになり、その溶解した触媒は、仕上げ工程(例えば水素化)の前に除去する必要がある。したがって、PAOを仕上げるに際しては、水素化触媒及び水素の使用に多額の金銭が浪費される。この費用の多くは、仕上げ前又は粗製の生成物中に残存する残留重合触媒が高レベルであることの直接的な結果である。その理由は、重合触媒由来の残留金属及びハロゲンは、水素化触媒がハロゲンによって被毒するので、粗製PAO生成物の水素化の間により多くの水素化触媒を使用することが必要になるからである。
【0005】
触媒、例えば、オレフィン重合触媒、具体的には、それらの金属及びハロゲン成分が、液体オレフィンポリマーなどの液体有機生成物から十分に除去されないことからも、別の望ましくない問題が生ずる。例えば、触媒残渣の存在は、生成した重合生成物の変色、触媒の熱分解によるハロゲン化水素ガスの発生、続く蒸留中の構造変化による有機化合物の劣化又は分解、続くポリマー処理中の水素化触媒のハロゲン汚染物による被毒、取扱いが困難である水酸化アルミニウムスライムの形成などを引き起こす恐れがある。
【0006】
液体オレフィンポリマーからオレフィン重合触媒を除去しようとする努力が行われてきた。例えば、米国特許第4,028,485号には、水素化オレフィン又はそれらを含むオレフィンポリマーの溶液を非水性の酸で処理した後に無水塩基で中和し、ろ過するステップを含む、水素化オレフィン又はそれらを含むオレフィンポリマーの溶液から水素化触媒残渣を除去するための方法が開示されている。米国特許第4,122,126号には、生成物中に存在する触媒中のハロゲン化アルミニウム1モル当り1乃至6モルの量の非プロトン性極性溶媒を重合生成物に添加し、これらを70℃乃至150℃の温度で十分混合するステップ、及び次いで70℃乃至150℃の温度で混合物をろ過するステップを含む、重合生成物からハロゲン化アルミニウム又はその複合触媒を除去するための方法が開示されている。非プロトン性極性溶媒を添加すると、重合生成物からの触媒の分離が容易になる。
【0007】
米国特許第4,476,297号には、6乃至10個の炭素原子を有する、好ましくは分枝した、高級脂肪族モノカルボン酸で処理することによって触媒系から生成するポリオレフィン中のチタンハロゲン化物、軽金属ハロゲン化物及びアルミニウム化合物の含有量を大きく低減できることが開示されている。
【0008】
米国特許第4,642,408号には、ニッケル、アルミニウム及び塩素誘導体を含む触媒の存在下でオリゴマー化した後のオレフィンオリゴマー中に溶解して残存しているニッケル、アルミニウム及び塩素誘導体を、酸素又は酸素を含むガス、無水アンモニア及びアルカリ金属水酸化物溶液で処理することによって除去することが開示されている。
【0009】
米国特許第4,701,489号には、意図的に生成された非晶質ポリアルファオレフィン中に存在する触媒残渣を、少なくとも3:1の水/Alモル比になるのに十分な水と溶融ポリマーを接触させることによって不活化し、次いで、ポリマーをヒンダードフェノール系抗酸化剤で安定化させることが開示されている。
【0010】
米国特許第7,473,815号には、ハロゲンと第IIIb族金属とを含む触媒の存在下での粗製PAO生成物中の残留ハロゲン及び第IIIb族金属のレベルを低減するための方法であって、(a)粗製ポリ(アルファ−オレフィン)を水で洗浄するステップ、(b)水性相と有機相を分離するステップ、(c)ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム及び粘土からなる群より選択される吸着剤を有機相に添加することによってスラリーを形成するステップ、(d)少なくとも約30分間少なくとも約180℃の温度で減圧下でスラリーを加熱するステップ、及び次いで(e)スラリーから吸着剤を分離するステップを含む方法が開示されている。しかし、この水洗浄法は過度に複雑であり、追加のステップ、例えば、デカンテーション、ろ過及び乾燥を用い、大量の水性廃棄物を生成する。連続的に運転することも困難である。
【0011】
ポリアルファオレフィンを合成し、かかる生成物のその後の処理及び/又は使用に先立ち、可能な限り十分にポリアルファオレフィンから触媒残渣を除去するための改善された方法を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の概要
本発明の一実施形態に従うと、本発明は、重合条件下で共触媒系の存在下でアルファオレフィンモノマーを重合させるステップを含むポリアルファオレフィンを合成するための方法であって、その共触媒系が第13族金属触媒と1−ハロ−2−メチルプロパンとを含む方法に関する。好ましくは、1−ハロ−2−メチルプロパンは、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−ブロモ−2−メチルプロパン又は1−ヨード−2−メチルプロパンからなる群より選択される。一実施形態では、第13族金属触媒は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジエチル(プロピル)アルミニウム、ジエチル(ブチル)アルミニウム、エチル(ジプロピル)アルミニウム、エチル(ジブチル)アルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム及びトリブチルアルミニウムからなる群より選択されるアルキルアルミニウム化合物である。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ナトリウム及びカリウムの酸化物又は水酸化物からなる群より選択される固体吸着剤を含む処理剤とポリアルファオレフィンを接触させることによって、ポリアルファオレフィンからポリアルファオレフィンの形成に使用された共触媒系の残留レベルを低減させるステップ、及びポリアルファオレフィンをろ過することによって共触媒系の金属を除去するステップを含む方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、概して言えば、共触媒系を使用してポリアルファオレフィン(PAO)を合成することに関する。共触媒系は、第13族金属触媒と1−ハロ−2−メチルプロパンとを含む。驚くべきことに、そして予想外にも、この共触媒系はアルファオレフィンモノマーを重合して、他のハロゲン化アルキルに比べてより低いハロゲンレベルでより高い粘度を有するPAOを形成する。これによってPAOの生成を向上しつつ、触媒の使用量を比較的少なくすることが可能になる。加えて、触媒の使用量が少なくなることによって、粗製PAO生成物から除去すべき残留触媒の量が低減される。
【0015】
一実施形態では、PAOは、95cStより大きい、例えば、100cStより大きい、又は120cStより大きい100℃における動粘度を有する。範囲で言えば、100℃における動粘度は、95乃至3,000cSt、例えば、100乃至1500cSt又は120乃至600cStである。例示的な一実施形態で、100cStのPAOを生成することが望ましい場合、本発明の触媒系によって生成するPAO生成物が100cStを超えるかもしれない。このPAO生成物を、次いで、100cSt未満の粘度を有する別のPAOとブレンドすればよい。
【0016】
一実施形態では、1−ハロ−2−メチルプロパン中のハロゲン化物対第13族金属触媒中の金属のモル比は、2:1乃至16:1、例えば、2.5:1乃至5:1又は3:1乃至4.5:1である。重合中に存在する第13族金属触媒の濃度は、反応物の全重量に対して0.1乃至10.0重量%、例えば、0.8乃至2.5重量%又は0.9乃至2.3重量%である。第13族金属触媒についての濃度は、純触媒についてのものである。第13族金属触媒が、10乃至90重量%、例えば、15乃至80重量%又は25乃至75重量%のアルファオレフィンモノマーで希釈される実施形態もある。重合中に存在する1−ハロ−2−メチルプロパンの濃度は、反応物の全重量に対して0.5乃至6.0重量%、例えば、1.5乃至4.0重量%又は2.6乃至2.9重量%である。一実施形態では、共触媒の全濃度は、存在するアルファオレフィンの重量に対して0.15乃至10重量%、例えば、0.25乃至6重量%又は0.35乃至2重量%である。一実施形態では、触媒のハロゲン化物即ち臭化物の対応するレベルは、2.3重量%未満、例えば、1.9重量%未満又は1.7重量%未満である。
【0017】
それぞれの化合物は、重合反応器に別々に添加することができ、共触媒系は、その場(in situ)で形成することができる。
【0018】
第13族金属触媒には、以下の構造を有するものが含まれる:
【化1】


[式中、Mは、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム及びタリウムからなる群より選択される第13族金属であり、R、R及びRは、独立に、水素、直鎖及び分枝のC−C10アルキル基、直鎖又は分枝のC−C10アルケニル基、並びに置換又は無置換C−C10シクロアルキル基からなる群より選択され、但し、R、R及びRのうちの少なくとも1つは、水素ではなく、より好ましくは、R、R及びRのいずれもが水素ではない。]。一実施形態では、R、R及びRは、独立に、直鎖及び分枝のC−C10アルキル基、例えば、直鎖及び分枝のC−Cアルキル基又は直鎖及び分枝のC−Cアルキル基からなる群より選択される。好ましい第13族金属触媒には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジエチル(プロピル)アルミニウム、ジエチル(ブチル)アルミニウム、エチル(ジプロピル)アルミニウム、エチル(ジブチル)アルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム及びトリブチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウム化合物が含まれる。最も好ましくは、トリエチルアルミニウム(TEA)が、本発明の共触媒系で使用される。
【0019】
1−ハロ−2−メチルプロパンは、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、又は1−ヨード−2−メチルプロパンからなる群より選択される。最も好ましくは、1−ハロ−2−メチルプロパンは、1−ブロモ−2−メチルプロパンであり、これは臭化イソブチル(IBB)とも呼ばれる。好ましくは、本発明の共触媒系は、いかなるその他のハロゲン化アルキル又はハロゲン化化合物も含まない。
【0020】
一実施形態では、共触媒系は、いかなる他のアルカリ金属、アルカリ性金属又はクロムなどの第3乃至12族金属も実質的に含まず、より好ましくは、いかなる他のアルカリ金属、アルカリ性金属又はクロムなどの第3乃至12族金属も含まない。
【0021】
本明細書で使用するアルファオレフィンモノマー又はアルファオレフィンという用語は、その二重結合がモノオレフィンの炭素鎖のα位にある直鎖又は分枝モノオレフィンを意味する。本明細書に記載のポリアルファオレフィン重合生成物の調製で使用するのに適したアルファオレフィンは、2乃至20個の炭素原子、例えば、3乃至12個の炭素原子又は6乃至10個の炭素原子を含むことができる。かかるアルファオレフィンの例として、限定されるものではないが、エチレン、プロピレン、2−メチルプロペン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセンなど、及びスチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族モノマー、並びにその混合物が挙げられる。本発明の方法のポリアルファオレフィン重合生成物の製造で使用されるアルファオレフィンは、実質的に、1種類の、即ち、分子当りの炭素原子数が1種類のアルファオレフィンを含んでもよく、2種類以上のアルファオレフィンの混合物であってもよい。
【0022】
アルファオレフィンは、好ましくは、0乃至200℃、例えば、30乃至180℃又は25乃至45℃の温度、約1気圧の圧力下で、本発明の共触媒の存在下で重合する。重合は、窒素雰囲気などの不活性雰囲気で実施することができる。好ましくは、重合反応は、実質的に水分及び/又は空気の不存在下に実施される。重合は、例えば、0.1乃至20時間、例えば、0.5乃至10時間又は1乃至10時間の滞留時間を有する連続式反応器で実施することができる。PAOの工業生産ではより大きい滞留時間が好ましいかもしれない。こうした重合条件を変更すると、生成ポリマーの粘度が変化させることができる。滞留時間が増加すると粘度が増加する傾向にあるが、一実施形態では、PAOの生成を増加させるために滞留時間を低減することが望ましい。
【0023】
本発明の系及び方法によって形成される例示的なPAO生成物は、ホモポリマーであり、それには、限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(2−メチルプロペン)、ポリブテン、ポリ(3−メチル−1−ブテン)、ポリペンテン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリヘキセン、ポリヘプテン、ポリオクテン、ポリノネン、ポリ(3−メチル−1−ノネン)、ポリデセン、ポリウンデセン、ポリドデセン、ポリトリデセン、ポリテトラデセン、ポリペンタデセン、ポリヘキサデセン、ポリヘプタデセン、ポリオクタデセン、ポリノナデセン、及びポリエイコセンが挙げられる。コポリマーも、例えば、コモノマーを反応系に一緒に供給すれば本発明の方法によって形成することができる。
【0024】
加えて、本発明は、アルファオレフィンの重合で用いた残留触媒のレベルを低減するための方法を対象とする。好ましくは、残留第13族金属は、100重量ppm未満、例えば、25重量ppm未満又は10重量ppm未満の量まで低減される。好ましくは、残留ハロゲン化物は、3000重量ppm未満、例えば、1500重量ppm未満又は500重量ppm未満の量まで低減される。
【0025】
一実施形態では、残留触媒を含む粗製PAO生成物を吸着剤系中で固体吸着剤と接触させて残留触媒のレベルを低減する。好ましくは、粗製PAO生成物を固体吸着剤に接触させるステップの後には洗浄ステップを設けない。適切な吸着剤として、限定されるものではないが、塩基性材料、例えば、アルカリ土類金属の塩基性化合物、酸性材料、例えば、シリカゲルなど、及びその混合物が挙げられる。アルカリ土類金属の有用な塩基性化合物として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム又はバリウム、最も好ましくは、カルシウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩又はその混合物が挙げられる。好ましい塩基性化合物として、酸化カルシウム又は水酸化カルシウム(例えば、生石灰又は消化石灰)が挙げられる。
【0026】
吸着は、液体の粗製PAO生成物を吸着剤と一定の比率で混合し、次いで、分離(例えば、ろ過、遠心分離又は沈降)によって吸着剤を除去することによって、又は吸着剤を含む固定床、例えば、充填カラム中を液体の粗製PAO生成物を通過させることによって実施することができる。適切なフィルターは、吸着剤を分離するのに適した空隙率を有する任意の加圧フィルター又は真空フィルターとすることができる。適切なカラムは、吸着剤が充填され、吸着を行なうのに適当な滞留時間及び速度が得られるような大きさのカラムとすることができる。所望であれば、フィルターを使用する場合、ろ過助剤、例えば、珪藻土を用いて粗製PAO生成物のろ過を促進することができる。一般には、吸着剤系で使用される吸着剤の量は、工程で使用される液体の粗製有機生成物の量に応じて大きく変更が可能であり、当業者なら容易に決定することができる。吸着の温度は、好ましくは、室温から約150℃までであり、好ましくは、約40℃乃至約60℃である;滞留時間は、好ましくは、約1分乃至約60分、より好ましくは、約15分乃至約30分である。吸着剤の量は、触媒約1モルに対して少なくとも約1.1モルとすればよい。
【0027】
一実施形態では、残留触媒を除去するために水又は低分子量アルコールを用いた重合停止を行わない。本発明の方法は、更なる洗浄、ろ過又は蒸留を行うことなく低レベルの残留触媒を達成することができる。
【0028】
残留触媒を除去するための本発明の方法は、水洗浄ステップ、デカンテーションステップ及び乾燥ステップの使用を避けることにより時間短縮がなされる点で有利である。更に、本発明の方法は連続的に実施することが可能であり、比較的無害である固体廃棄物しか生成しない。
【0029】
以下の非限定的実施例は、本発明を説明するためのものである。
【実施例】
【0030】
(例1)
1−デセンを連続式反応器内で重合させた。反応温度は40℃、滞留時間は2.8時間であった。デセン中に予備希釈されたTEAとデセン中に予備希釈されたハロゲン化アルキルの合計供給速度は6.0g/分である。用いたTEAは、25重量%のTEAと75%のデセンを含む溶液である。表1に示す重量を用いた表1のラン1乃至37の各々について、臭化物対アルミニウムのモル比は3.3:1であった。表1のグラム数は、デセン100gに対するものである。表1は、得られたPAO生成物の粘度を報告する。
【表1】

【0031】
ラン1乃至6は、本発明の実施例に対応する。ラン6からラン7、8、9、24、25、27、30、32、34及び36までの臭化物の等量で比較すると、ラン6は、驚くべきことに、そして予想外にも、ラン7、8、9、24、25、27、30、32、34及び36における他のハロゲン化アルキルを使用した場合の粘度のいずれよりも大きい粘度をもたらした。このように、1−ブロモ−2−メチル−プロパン(IBB)などの1−ハロ−2−メチルプロパンは、少なくとも100cStの粘度を有するポリマーを生成するのに、ハロゲン化物レベルを基準にして他のハロゲン化アルキルより少ない触媒量で足りる。
【0032】
(例2)
ラン5によって生成した粗製ポリデセン材料150gをデセン50gで希釈し、50℃で15分間磁気攪拌器を備えたビーカー中でCaO(20メッシュ)を5g用いて処理する。次いで、粗製材料を20乃至80psi窒素圧を使用して10ミクロンアスベスト加圧フィルターでろ過し、ポリデセン材料中のアルミニウム及び臭素レベルを低減する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合条件下、触媒系の存在下でアルファオレフィンモノマーを重合させるステップを含むポリアルファオレフィンを合成するための方法であって、触媒系が第13族金属触媒と1−ハロ−2−メチルプロパンとを含み、重合中に存在する第13族金属触媒の濃度が反応物の全重量に対して0.1乃至4.0重量%であり、重合中に存在するハロゲン化アルキルの濃度が反応物の全重量に対して0.5乃至6.0重量%である、上記方法。
【請求項2】
1−ハロ−2−メチルプロパンが、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−ブロモ−2−メチルプロパン又は1−ヨード−2−メチルプロパンからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第13族金属触媒が、アルキルアルミニウム化合物であり、好ましくは、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジエチル(プロピル)アルミニウム、ジエチル(ブチル)アルミニウム、エチル(ジプロピル)アルミニウム、エチル(ジブチル)アルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム及びトリブチルアルミニウムからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第13族金属触媒中の金属対ハロゲン化アルキル中のハロゲン化物のモル比が1:2乃至1:16である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
アルファオレフィンモノマーが1−デセンである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ポリアルファオレフィンが90乃至2000cStの100℃における動粘度を有する、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2013−506751(P2013−506751A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533221(P2012−533221)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/051035
【国際公開番号】WO2011/046759
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(508201282)ケムチュア コーポレイション (69)
【Fターム(参考)】