説明

ポリエステル樹脂の製造方法

【課題】乳化凝集トナーの形成に用いることのできるポリエステル樹脂の合成方法が影響される。
【解決手段】第1の成分を触媒に接触させる工程;前記第1の成分を重合して、コポリエステル樹脂の第1のブロックを形成する工程;前記第1のブロックを第2の成分と接触させる工程;前記第2の成分を重合して、前記第1のブロックに結合した前記コポリエステル樹脂の第2のブロックを形成する工程;および前記第1のブロックおよび前記第2のブロックを含む前記コポリエステル樹脂を回収する工程を含むコポリエステル樹脂の製造方法であって、前記第1のブロックが結晶性ブロックおよび非晶性ブロックのいずれか一方であり、前記第2のブロックが他方である、製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、ポリエステル合成方法に関する。より具体的には、本発明は、乳化凝集トナーの形成に用いることのできるポリエステル樹脂の合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真印刷では、種々の方法により作製され得るトナー粒子が用いられる。そのような方法の1つとして、トナー粒子を形成する乳化凝集(EA:Emulsion Aggregation)法が挙げられ、この方法では、界面活性剤を用いてラテックスエマルションを形成する(例えば、文献1参照)。
【0003】
乳化凝集法では、非晶性ポリエステルと結晶性ポリエステルとを組合せて用いることができる。この樹脂の組合せにより、高光沢性および比較的低い溶融点特性(低溶融、又は超低溶融(ULM:Ultra Low Melt)ということもある)がトナーに与えられ、これにより、よりエネルギー効率が高く、かつより高速な印刷が可能となる。結晶性−非晶性ポリマーの組合せが悪いとトナーが低溶融の挙動を示さないか、又は許容できない熱接着特性を示すことがあるため、結晶性ポリマーの選択は重要となり得る。
【0004】
特に粒子表面上に結晶性ポリエステルが存在すると帯電不良につながり得る帯電領域で、最適なトナー特性を達成するためには、ポリエステルEAトナー粒子内の結晶性成分の分布制御が重要となり得る。例えば、結晶性ポリエステルがトナー粒子表面に移動するのを制限するために非晶性ポリエステルのシェルを用いたEA ULM(EA超低溶融)トナーが開発されている。結晶性成分は、非晶性樹脂シェルに被覆されて、コア−シェルナノ粒子の内部に隔離され得る。したがって、分子レベルの封じ込めにより結晶性材料のトナー粒子表面への移動が防止され、それにより所望の帯電特性を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,120,967号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
EA ULMトナーの形成におけるポリエステルの使用及びポリエステル樹脂合成の改善が未だ求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、トナーの製造における使用に適したブロックコポリマーポリエステル樹脂の製造方法、および上記コポリマーを含む組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
或る実施形態では、本発明の方法は、必要に応じて溶液中で、第1の成分を触媒と接触させる工程;上記第1の成分を重合して、コポリエステル樹脂の第1のブロックを形成する工程;必要に応じて溶液中で、上記第1のブロックを第2の成分と接触させる工程;上記第2の成分を重合して、上記第1のブロックに結合した上記コポリエステル樹脂の第2のブロックを形成する工程;並びに上記第1のブロックと上記第2のブロックとを含む、得られたコポリエステル樹脂を回収する工程、を含み得、ここで、上記第1のブロックは結晶性ブロックおよび非晶性ブロックのいずれか一方であり、上記第2のブロックは他方である。
【0009】
別の実施形態では、本発明の方法は、4−tert−ブチルカプロラクトン、4−フェニルカプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5−ジメチルカプロラクトン、3−イソクロマノン、4−(スルホナトフェニル)カプロラクトン、ラクチド、グリコリド、環状無水物、環状カーボネート、エポキシド、およびこれらの組合せ等のラクトン類を含む少なくとも1つの非晶性ブロック前駆物質を、必要に応じて溶液中で、触媒と接触させる工程;上記少なくとも1つの非晶性ブロック前駆物質を重合して、非晶性ブロックを形成する工程;上記非晶性ブロックを、カプロラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、バレロラクトン、およびこれらの組合せ等のラクトン類を含む少なくとも1つの結晶性ブロック前駆物質と、必要に応じて触媒と一緒に、必要に応じて溶液中で、接触させる工程;上記少なくとも1つの結晶性ブロック前駆物質を重合して、上記非晶性ブロックに結合した結晶性ブロックを形成する工程;並びに上記非晶性ブロックおよび上記結晶性ブロックを含むコポリエステル樹脂を回収する工程、を含み得る。
【0010】
これらのコポリマーを含む組成物も提供される。本発明の或る実施形態に係る組成物は、コアとしての結晶性ブロックと、シェルとしての非晶性ブロックとの組合せを含むコア−シェル粒子を含むコポリエステル樹脂(ここで、上記結晶性ブロックは、カプロラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、バレロラクトン、およびこれらの組合せ等のラクトンの重合により得られる結晶性ブロックであり、上記非晶性ブロックは、4−tert−ブチルカプロラクトン、4−フェニルカプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5−ジメチルカプロラクトン、3−イソクロマノン、ラクチド、グリコリド、4−(スルホナトフェニル)カプロラクトン、およびこれらの組合せ等のラクトンの重合により得られる非晶性ブロックである);及び少なくとも1種の着色剤を含み;必要に応じてワックス;および必要に応じて界面活性剤、を含む。ここで、上記コポリエステル樹脂の上記結晶性ブロックが、上記コポリエステル樹脂の約1〜約90重量%の量で存在し、かつ融点が約20〜約200℃であり、上記コポリエステル樹脂の上記非晶性ブロックが、上記コポリエステル樹脂の約10〜約99重量%の量で存在し、かつガラス転移温度が約0〜約200℃である。
【0011】
本発明はさらに、トナー形成における使用に適した樹脂を作製する重合方法に関する。或る実施形態では、本発明の方法は、個別の結晶性ポリエステルブロックおよび個別の非晶性ポリエステルブロックを含むブロックコポリマーの作製に用いてもよい。これらのコポリマーは、水または同様な溶媒中で自己組織化して、トナー組成物の形成に適したナノ粒子を形成し得る。実施形態によっては、ナノ粒子は、結晶性ブロックがコアを形成し、非晶性ブロックがシェルを形成している、コア−シェル形態を有し得る。
【0012】
或る実施形態では、コアーシェルポリエステルナノ粒子は、ラクトンの開環重合化(ROP:ring−opening polymerization)を介して形成されてもよい。ROP触媒および/または開始剤を用いてこれらのブロックコポリマーの形成を促進してもよい。ラクトンモノマーおよびブロックサイズを好適に選択することで、1または複数の結晶性ブロックに結合した1または複数の非晶性ブロックを含むポリエステルを製造し得る。
【0013】
実施形態によっては、ラクトン以外のその他の出発物質を用いて所望のブロックコポリマーを形成してもよい。例えば、本発明のコポリマーを形成するために、必要に応じてラクトンと組み合わせて、環状無水物、環状カーボネート、エポキシド、およびこれらの組合せの開環共重合を用いてもよい。
【0014】
トナーにおいて使用するための樹脂の作製に適した任意のモノマーまたは出発物質を用いてよい。本発明の或る実施形態では、樹脂は、ラクトン、環状無水物、環状カーボネート、および/またはエポキシドの開環重合化により形成された、少なくとも1種の非晶性ポリエステルブロックおよび少なくとも1種の別個の結晶性ポリエステルブロックを含むブロックコポリマーであってよい。或る実施形態では、ポリエステルコポリマーは、ラクトン類、環状無水物類、環状カーボネート類、および/またはエポキシド類の少なくとも2種の開環重合により得られ得る。出発物質は、得られるポリエステルコポリマーにおいて、出発モノマーの少なくとも1つが結晶性ブロックを形成し、少なくとも1つの別の出発モノマーが非晶性ブロックを形成するように選択され得る。
【0015】
別の実施形態では、ブロックコポリマーの結晶性成分は、環状無水物、環状カーボネート、エポキシド、及びこれらの組合せ等の開環重合化により得られてもよい。好適な環状無水物の例としては、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、およびこれらの組合せ等の脂肪族ジカルボン酸無水物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適な環状カーボネートの例としては、トリメチレンカーボネート、カルボキシ−トリメチレンカーボネート、およびこれらのエステル類、並びにこれらの組合せ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
上記のように、或る実施形態では、ラクトン等の出発物質は、形成されるブロックの一方は元々(in nature)非晶性であり、他方は結晶性であるように選択することができる。
【0017】
実施形態によっては、上記の開環重合は触媒存在下で行ってもよい。本発明のブロックコポリマーの形成に使用し得る触媒としては、アルミニウムイソプロポキシド(Al(OiPr))、イットリウムイソプロポキシド(Y(OiPr))、オクチル酸第一錫(stannous octoate:Sn(Oct))、スカンジウムトリフルオロメタンスルホネート(Sc(OTf))、トリフルオロメタンスルホネート第一錫(Sn(OTf))、およびこれらの組合せ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
別の実施形態では、本発明のコポリマーは酵素重合により作製されてもよい。上記ポリエステルを形成するのに好適な酵素の例としては、Pseudomonas科の微生物に由来するリパーゼ類(例えば、Pseudomonas aeruginosa(リパーゼPA)、Pseudomonas cepacia(リパーゼPC)、Pseudomonas fluorescens(リパーゼPF))、Aspergillus niger由来のリパーゼ(リパーゼA)、Candida antarctica由来のリパーゼ(リパーゼCA又はリパーゼB)、Candida cylindracea由来のリパーゼ(リパーゼCC)、Klebsiella oxytoca由来のリパーゼ(リパーゼK)、Mucor meihei由来のリパーゼ(リパーゼMM)、Humicola insolens由来のクチナーゼ等のクチナーゼ類、並びにこれらの組合せが挙げられる。
【0019】
当業者に公知の方法を用いて上記微生物からリパーゼまたはその他の酵素を得てもよい。実施形態では、インキュベーション容器中で栄養素および糖(例えば、グルコース)を与えて生物を成長させてもよい。適切な成長および処理条件を選択することでその生物からリパーゼを得ることができる。
【0020】
本発明のポリエステルコポリマーの形成に用いられる触媒は約10〜約100℃、或る実施形態では約20〜約90℃、別の実施形態では約45〜約75℃で作用可能であるべきであるが、これらの範囲外の温度を用いてもよい。
【0021】
少なくとも1種の結晶性ブロック及び少なくとも1種の非晶性ブロックの形成には同じ触媒を用いてもよく、異なる触媒を用いてもよい。
【0022】
或る実施形態では、反応を触媒するために用いる触媒の量は、コポリマーポリエステル樹脂の作製に用いられる出発物質を基準にして約0.01〜約10重量%であり、実施形態によっては、コポリマーポリエステル樹脂の作製に用いられる出発物質を基準にして約0.1〜約6重量%であってよいが、この範囲外の量を用いてもよい。
【0023】
本発明のコポリマーポリエステル樹脂の形成に用いられる出発物質、例えば上記のラクトン、環状無水物、および/または環状カーボネートを上記触媒と組み合わせてポリエステルを形成してもよい。重合は、溶媒の存在下で行っても、非存在下で行ってもよい。
【0024】
重合プロセス中、反応物質は、混合容器等の好適な反応器中に添加してよい。適切な量の出発物質を必要に応じて溶媒に溶解してよく、この溶液に触媒を添加してもよく、その後、形成されたポリエステルコポリマーをトナーの作製に用いてもよい。別の実施形態では、出発物質を溶媒を用いずに触媒と組み合わせてポリエステルを形成してもよい。
【0025】
ブロックの形成は、同時であってもよく、順次行ってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、複数のブロックのうちの1つの形成に用いられる触媒および出発物質を用いて溶液中でブロックを形成させ、その後、必要に応じて溶液中で、第2のブロックの形成に用いられる出発物質を添加してもよい。その場合、複数のブロックのうちの1つの出発物質(本明細書では「第1の成分」ともいう)を、必要に応じて溶液中で、触媒と接触させ、その後、第1の成分を重合して、コポリエステル樹脂の第1のブロックを形成してよい。次いで、溶液中の第1のブロックを、コポリエステルの第2のブロックを形成するために用いられる出発物質(本明細書では「第2の成分」ともいう)と接触させ、その後、第2の成分を重合化して、第1のブロックに結合したコポリエステル樹脂の第2のブロックを形成してもよい。次いで、結晶性ブロックと非晶性ブロックとを含む、得られたコポリエステル樹脂を回収してよい。
【0026】
したがって、例えば或る実施形態では、結晶性ブロックを形成するための出発物質(本明細書では「結晶性ブロック前駆物質」ともいう)を、必要に応じて溶液中で、まず触媒と接触させて、結晶性ブロックを形成し、その後、必要に応じて更なる触媒と共に、必要に応じて溶液中の、非晶性ブロックを形成するための出発物質(本明細書では「非晶性ブロック前駆物質」ともいう)を添加し、非晶性ブロックを形成してもよい。別の実施形態では、ブロックの形成順序は逆であってもよい。すなわち、出発物質/前駆物質を、必要に応じて溶液中で、触媒と混合することにより非晶性ブロックを形成させ、その後、必要に応じて更なる触媒と一緒に、必要に応じて溶液中で、適切な出発物質/前駆物質を添加して結晶性ブロックを形成してよい。
【0027】
出発物質が溶液中に含まれる場合、出発物質の濃度は約10〜約90重量%であり、或る実施形態では約30〜約60重量%であり得るが、この範囲外の量であってもよい。
【0028】
上記のように、或る実施形態では、得られるコポリマー中の結晶性ブロックの形成にラクトン類、環状無水物類、環状カーボネート類、および/またはエポキシド類から選ばれる複数種を用いてもよく、得られるコポリマー中の非晶性ブロックの形成に少なくとも1種の別のラクトンを用いてもよい。
【0029】
反応時間は、使用する出発物質の種類および量、使用する触媒の量、反応温度等に依存し得る。或る実施形態では、温度を使用されている触媒の作用温度内、例えば、或る実施形態では約10〜約100℃、別の実施形態では約20〜約90℃、さらに別の実施形態では約45〜約75℃(ただし、これらの範囲外の温度を用いてもよい)に保ちつつ、反応混合物を約1分〜約72時間、或る実施形態では約4〜約24時間混合してもよく、この範囲外の時間行ってもよい。
【0030】
種々の分子量のポリエステルを作製するために最適な反応条件、温度、および触媒添加量の最適化は異なること、並びに同様の技術を用いて構造的に関連する出発物質を重合してもよいこと、は当業者に理解されるであろう。
【0031】
このようにして作製された樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が約−60〜約200℃、或る実施形態では約−50〜約20℃であり、融解温度が約20〜約200℃、或る実施形態では約55〜約95℃である結晶性ブロックを含み得る。また、このようにして作製された樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が約0〜約200℃、或る実施形態では約5〜約60℃の非晶性ブロックを含み得る。
【0032】
このコポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定される数平均分子量(M)が、例えば約2,000〜約200,000、或る実施形態では約10,000〜約100,000であり、ポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィーで求められる重量平均分子量(M)が、例えば約2,000〜約200,000、或る実施形態では約10,000〜約100,000であり得る。コポリマーの分子量分布(M/M)は、例えば約1.01〜約4.0、或る実施形態では約1.1〜約2.0であり得る。
【0033】
得られるコポリマーは、該ブロックコポリマーの約1〜約90重量%、或る実施形態では該ブロックコポリマーの約5〜約30重量%の量の結晶性ブロックと、該ブロックコポリマーの約10〜約99重量%、或る実施形態では該ブロックコポリマーの約70〜約95重量%の量の非晶性ブロックとを有し得る。
【0034】
得られるポリマーの重量は、使用されている出発物質、反応条件、および触媒に依存し得る。より高い温度(或る実施形態では約60℃以上)および約48時間以上の長い反応時間により、より分子量の大きいポリマーを生成し得る。
【0035】
或る実施形態では、最終的なコポリマーポリエステルを用いてトナー粒子を形成してもよい。或る実施形態において、ポリエステルの粒子サイズが大きすぎる場合、該粒子に均質化処理又は超音波処理を施すことにより、ナノ粒子をさらに分散させ、凝集体または緩く結合した粒子をばらばらにしてもよい。ホモジナイザー(すなわち、高剪断デバイス)を用いる場合、ホモジナイザーは約6,000〜約10,000rpm、或る実施形態では約7,000〜約9,750rpmの速度で、約0.5〜約60分、或る実施形態では約5〜約30分間作動され得るが、この範囲外の速度および時間を用いてもよい。
【0036】
或る実施形態では、モノマーの組合せおよびブロックの長さを好適に選択することにより、水中、または水とアルコールとの混合物、水とテトラヒドロフランの混合物と等の同様の溶媒中に入れられた時にコアーシェルナノ粒子へと自然に自己組織化するポリマーが生成される。
【0037】
別の実施形態では、本発明の各コポリマーポリエステルの一端または両端に架橋性ビニル基が存在してもよい。
【0038】
したがって、これらのブロックコポリマーから形成されたコア−シェル粒子は、メタクリレート基のラジカル重合化により架橋されたこれらのビニル基または標準的な方法を用いて架橋されたその他のビニル基を含むシェル形成成分を有し、粒子のシェルの剛性を向上し、かつ/またはガラス転移温度を上昇させる方法が提供される。
【0039】
同様に、別の実施形態では、これらのブロックコポリマーから形成されたコアーシェル粒子はメタクリレート基のラジカル重合化により架橋されたこれらのビニル基または標準的な方法を用いて架橋されたその他のビニル基を内部に含むコア形成成分を有し、これにより粒子の安定性、溶融粘度、および/または粒子のガラス転移温度等の特性が改変し得る。
【0040】
コポリマー樹脂の結晶性ブロックは、例えばトナー成分の約5〜約30重量%、或る実施形態ではトナー成分の約10〜約20重量%の量で存在し得る。コポリマー樹脂の非晶性ブロックは、例えばトナー成分の約5〜約75重量%、実施形態ではトナー成分の約20〜約60重量%の量で存在し得る。
【0041】
上記コポリエステル樹脂を用いてトナー組成物を形成してよい。本発明のトナー組成物は、必要に応じて着色剤、およびその他の添加剤を含んでいてもよい。トナーは当業者に公知の任意の方法を用いて形成してよい。
【0042】
或る実施形態では、トナー組成物の形成に用いられる着色剤、ワックス、およびその他の添加剤は、界面活性剤を含む分散液の形態であってよい。また、トナー粒子は、上記コポリマー樹脂とトナーのその他の成分とを1種以上の界面活性剤中に入れてエマルションを形成し、トナー粒子を凝集、合一(Coalesced)させ、必要に応じて洗浄および乾燥し、回収する、乳化凝集法で形成されてもよい。
【0043】
1種類、2種類、またはそれ以上の界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤は、イオン界面活性剤および非イオン界面活性剤から選択され得る。「イオン界面活性剤」という用語には、陰イオン界面活性剤および陽イオン界面活性剤が包含される。或る実施形態では、界面活性剤の量は、トナー組成物の約0.01〜約5重量%、例えばトナー組成物の約0.75〜約4重量%であり、実施形態によってはトナー組成物の約1〜約3重量%であり得るが、上記範囲以外の量を用いてもよい。
【0044】
添加する着色剤としては、染料、顔料、染料混合物、顔料混合物、染料と顔料との混合物等の種々の公知の好適な着色剤をトナー中に含めてよい。トナー中の着色剤の量は、例えばトナーの約0.1〜約35重量パーセント、トナーの約1〜約15重量パーセント、またはトナーの約3〜約10重量パーセントであり得るが、上記範囲以外の量を用いてもよい。
【0045】
必要に応じて、トナー粒子の形成において上記樹脂及び着色剤と組み合わせてワックスを用いてもよい。ワックスが含まれる場合、ワックスの量は、例えばトナー粒子の約1〜約25重量パーセントであり、或る実施形態ではトナー粒子の約5〜約20重量パーセントであり得るが、上記範囲以外の量を用いてもよい。
【0046】
選択することができるワックスとしては、例えば重量平均分子量が約500〜約20,000のワックスであり、或る実施形態では約1,000〜約10,000のワックスが挙げられるが、上記範囲以外の分子量であってもよい。
【0047】
トナー粒子は、当業者に公知の任意の方法で作製してよい。後述するトナー粒子の作製に関する実施形態では乳化凝集法に関して記載されているが、米国特許第5,290,654号および同第5,302,486号に開示されている懸濁・封入法等の化学的プロセスを含む任意の好適なトナー粒子作製方法を用いてよい。或る実施形態では、トナー組成物およびトナー粒子は、サイズの小さい樹脂粒子を適切なトナー粒子サイズまで凝集させた後、合一させて最終的なトナー粒子の形状および形態(morphology)を得る、凝集・合一法で作製してもよい。
【0048】
或る実施形態では、トナー組成物は乳化凝集法で作製してよく、例えば、上記のように必要に応じて界面活性剤中で、必要に応じて採用してもよい着色剤と、必要に応じて採用してもよいワックスと、任意のその他の所望のまたは必要な添加剤と、上記コポリエステル樹脂を含むエマルションと、の混合物を凝集させる工程、およびその後、この凝集混合物を合一させる工程を含む方法により作製され得る。混合物は、着色剤および必要に応じて使用されるワックスまたはその他の材料(これらは必要に応じて、界面活性剤を含む分散液の形態であってもよい)をエマルション(樹脂を含む2種類以上のエマルションの混合物であってもよい)に添加することにより調製してよい。得られた混合物のpHは、例えば酢酸、硝酸等の酸で調整することができる。或る実施形態では、混合物のpHは約4〜約5に調整してよいが、上記範囲以外のpHでもよい。更に、或る実施形態では上記混合物を均質化(homogenize)してもよい。混合物を均質化する場合、均質化は約600〜約4,000回転毎分で混合することで達成され得るが、上記範囲以外の速度を用いてもよい。均質化は、例えばIKA社製のウルトラタラックスT50プローブホモジナイザー等の任意の好適な手段で行われる。
【0049】
上記混合物の調製後、混合物に凝集剤を添加してもよい。任意の好適な凝集剤をトナー形成に用いてよい。好適な凝集剤としては、例えば二価カチオンの水溶液または多価カチオン材料の水溶液が挙げられる。
【0050】
トナー形成に用いられる混合物に添加される凝集剤の量は、例えば、混合物中の樹脂の、約0.1〜約8重量%であり、或る実施形態では約0.2〜約5重量%であり、別の実施形態では約0.5〜約5重量%であり得るが、上記範囲以外の量を用いてもよい。これにより、凝集させるに十分な量の凝集剤が導入される。
【0051】
粒子の凝集および合一を制御するために、或る実施形態では、時間をかけて凝集剤を混合物中に計量添加してよい。例えば、凝集剤は約5〜約240分、或る実施形態では約30〜約200分の時間をかけて混合物中に計量添加され得るが、所望により又は必要な場合はより短時間又は長時間でもよい。凝集剤の添加は、混合物を、或る実施形態では約50〜約1,000rpm、別の実施形態では約100〜約500rpmの撹拌条件下(上記範囲以外の攪拌速度を用いてもよい)で、上記樹脂のガラス転移温度より低い温度、すなわち、或る実施形態では約30〜約90℃、別の実施形態では約35〜約70℃に維持しながら行ってよい(上記範囲以外のガラス温度でもよい)。
【0052】
粒子は所定の所望の粒子サイズに達するまで凝集及び/又は合一させてよい。所定の所望サイズとは、形成前に決定される、得るべき所望の粒子サイズを意味し、成長プロセス中、そのような粒子サイズに達するまで粒子サイズをモニタリングする。成長プロセス中にサンプルを採取し、例えばコールターカウンターを用いて、平均粒子サイズを分析してもよい。したがって、撹拌しながら、高温を維持するか、または徐々に、例えば約40〜約100℃に昇温し(上記範囲以外の温度を用いてもよい)、混合物をこの温度で約0.5〜約6時間、或る実施形態では約1〜約5時間(上記範囲以外の時間を用いてもよい)保持することで凝集/合一を進行させることにより、凝集粒子を得てもよい。所定の所望サイズに達した後、成長プロセスを停止させる。或る実施形態では、所定の所望サイズは前述のトナー粒子サイズの範囲内である。
【0053】
凝集剤添加後の粒子の成長および成形(shaping)は、任意の好適な条件下で達成され得る。例えば、成長および成形は、凝集と合一が別々に起こる条件下で行われてもよい。凝集段階と合一段階とを別々にするためには、凝集プロセスを、上記の樹脂のガラス転移温度よりは低い高温、例えば約40〜約90℃、或る実施形態では約45〜約80℃の剪断条件下で行ってもよい。
【0054】
所望の粒子サイズまで凝集させた後、粒子を所望の最終形状へと合一することができる。合一は、例えば、混合物を、上記樹脂のガラス転移温度以上の温度であり得る約65〜約105℃、或る実施形態では約70〜約95℃(この範囲外の温度を用いてもよい)に加熱し、かつ/または撹拌速度を、例えば約400〜約1,000rpm、或る実施形態では約500〜約800rpm(この範囲外の速度を用いてもよい)に増加することにより達成され得る。より高いまたは低い温度を用いてもよく、この温度はバインダーに使用される樹脂によって異なると理解される。合一は、約0.1〜約9時間、或る実施形態では約0.5〜約4時間かけて達成され得るが、この範囲外の時間を用いてもよい。
【0055】
凝集および/または合一後、混合物を室温、例えば約20〜約25℃に冷却してよい。冷却は、所望により急速であってもよく、ゆっくりであってもよい。好適な冷却方法としては、反応器を囲むジャケットへの冷水導入が挙げられる。冷却後、トナー粒子を必要に応じて水で洗浄して、その後乾燥させてもよい。乾燥は、凍結乾燥等の任意の好適な乾燥方法により達成してよい。
【0056】
凝集の後であって合一の前に、トナー粒子の所望の最終サイズが得られたら、混合物のpHを塩基で約3〜約10、或る実施形態では約5〜約9に調整してよく、この範囲外のpHを用いてもよい。pH調整を用いることにより、トナー成長を凍結、すなわち停止し得る。トナー成長を停止させるために用いる塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化アンモニウム等のアルカリ金属水酸化物、並びにこれらの組合せ等の任意の好適な塩基が挙げられる。或る実施形態では、上記所望の値へのpH調整を補助するために、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を添加してもよい。
【0057】
或る実施形態では、トナー粒子は、所望によりまたは必要に応じて、その他の必要に応じて採用してもよい添加剤を含んでもよい。例えば、トナーは、正または負の帯電制御剤を、例えばトナー粒子の約0.1〜約10重量%、或る実施形態ではトナー粒子の約1〜約3重量%の量で含んでもよく、この範囲外の量を用いてもよい。
【0058】
トナー粒子を、流動助剤等の外添剤粒子とブレンドしてもよく、このような添加剤はトナー粒子の表面に存在し得る。このような添加剤の例としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化スズ、およびこれらの混合物等の金属酸化物;AEROSIL(登録商標)等のコロイダルシリカおよび非晶質シリカ;並びにステアリン酸亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、およびこれらの混合物等の金属塩および脂肪酸金属塩が挙げられる。これらの外添剤のそれぞれは、トナーの約0.1〜約5重量%、或る実施形態ではトナーの約0.25〜約3重量%の量で存在し得るが、この範囲外の量を用いてもよい。好適な添加剤としては、米国特許第3,590,000号、同第3,800,588号、および同第6,214,507号(これらの開示全体は参照により本明細書に取り込まれる。)に記載のものが含まれる。
【0059】
或る実施形態では、本発明のトナーは、低溶融ポリエステルトナーとして用いてもよい。或る実施形態では、外部表面添加剤を含まない乾燥トナー粒子は以下の特性を有し得る:
【0060】
(1)体積平均直径(「体積平均粒径」ともいう)は約3〜約25μm(或る実施形態では約4〜約15μm、別の実施形態では約5〜約12μm)であるが、上記範囲外の体積平均粒径を用いてもよい。
【0061】
(2)数平均粒度分布指標(GSDn)および/または体積平均粒度分布指標(GSDv)は約1.05〜約1.55(或る実施形態では約1.1〜約1.4)であるが、上記範囲外の値を用いてもよい。
【0062】
(3)真円度(例えばシスメックス株式会社(Sysmex)製FPIA2100分析装置で測定)は約0.9〜約0.99であるが、上記範囲外の真円度を用いてもよい。
【0063】
トナー粒子の上記特性は、任意の好適な技術および装置で測定することができる。体積平均粒径D50v、GSDv、およびGSDnは、ベックマンコールター社製マルチサイザー3等の測定機器をメーカーの取扱説明書に従って用いて測定することができる。代表的なサンプリングは以下のように行われ得る:少量のトナーサンプル(約1グラム)をとり、200mlの水に分散させ、25マイクロメートルの篩でろ過した後、等張液に入れて約10%の濃度にし、その後、サンプルをベックマンコールター社製マルチサイザー3にかける。
【0064】
本発明の方法に従って作製されたトナーは、極端な相対湿度(RH)条件に曝されたときに優れた帯電特性を有し得る。低湿度ゾーン(Cゾーン)は約10℃/15%RHであり、高湿度ゾーン(Aゾーン)は約28℃/85%RHである。また本発明のトナーは、母体トナーの帯電量と質量の比(Q/M)が約−3〜−35μC/gであり、表面添加剤ブレンド後の最終トナー帯電量が約−5〜約−50μC/gであり得るが、この範囲外の値が得られてもよい。
【0065】
本発明によれば、トナー粒子の帯電量が増加し、必要な表面添加剤が減少し、それにより最終トナーの帯電量がより高くなり、機械的帯電要件が満たされ得る。
【0066】
本発明に係る重合合成は、溶媒の存在下または非存在下での乳化凝集トナーの合成においてその後使用される樹脂の作製に用いてもよい。結晶性ブロックおよび非晶性ブロックの両方を有するコポリマーを作製してもよい。本明細書に記載の合成では、別々の結晶性ポリエステルおよび非晶性ポリエステルを使用する代わりに、1つのコポリマーをトナー作製に用いるため、反応時間およびエネルギーコストの低減にもつながる。
【0067】
更に、重合に適したラクトン類は入手が容易であり、ラクトン類は他の分野、例えば香料、食品添加物等の分野でも広く使用されているため、出発物質が比較的安価になる。
【0068】
トナー粒子を現像剤組成物中に配合してもよい。トナー粒子をキャリア粒子と混合して二成分系現像剤組成物にしてもよい。現像剤中のトナー濃度は、現像剤の全重量の約1〜約25重量%、或る実施形態では現像剤の全重量の約2〜約15重量%であり得るが、この範囲外の量を用いてもよい。
【0069】
選択されたキャリア粒子はコーティング(coating)を有していてもよく、コーティングを有さなくてもよい。或る実施形態では、キャリア粒子は、摩擦帯電列(triboelectric series)が近接していないポリマーの混合物から形成され得るコーティングで被覆されたコアを含んでもよい。このコーティングには、ポリフッ化ビニリデン樹脂等のフルオロポリマー、スチレンのターポリマー、メチルメタクリレート、および/またはトリエトキシシラン等のシラン、テトラフルオロエチレン、その他の公知のコーティング等が含まれ得る。
【0070】
或る実施形態では、得られるコポリマーが好適な粒子サイズを維持していれば、必要に応じてPMMAを任意の所望のコモノマーと共重合してもよい。好適なコモノマーとしては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジイソプロピルアミノエチルメタクリレート、またはt−ブチルアミノエチルメタクリレート等のモノアルキルアミン類またはジアルキルアミン類が挙げられる。キャリア粒子は、キャリアコアと、コーティングされたキャリア粒子の重量に対して約0.05〜約10重量パーセント、或る実施形態では約0.01〜約3重量パーセントの量のポリマー(上記範囲外の量を用いてもよい)とを、機械的衝突(mechanical impaction)および/または静電引力によりポリマーがキャリアコアに接着するまで混合することにより調製することができる。
【0071】
上記ポリマーをキャリアコア粒子の表面に付与するために、種々の効果的かつ好適な手段、例えばカスケードロール混合(cascade roll mixing)、タンブリング(tumbling)、ミリング、振盪、静電パウダークラウド噴霧(electrostatic powder cloud spraying)、流動床、静電ディスク処理(electrostatic disc processing)、静電カーテン、およびその組合せ等を用いることができる。次いで、キャリアコア粒子とポリマーとの混合物を加熱して、ポリマーが溶融してキャリアコア粒子に融着できるようにしてもよい。次いで、コーティングされたキャリア粒子を冷却した後、所望の粒子サイズに分粒してもよい。
【0072】
或る実施形態では、好適なキャリアとしては、例えば米国特許第5,236,629号および同第5,330,874号に記載の方法を用いて、例えばメチルアクリレートおよびカーボンブラックを含む導電性ポリマー混合物約0.5〜約10重量%、別の実施形態では約0.7〜約5重量%(上記範囲外のサイズを用いてもよい)でコーティングされた、例えばサイズが約25〜約100μm、別の実施形態では約50〜約75μm(上記範囲外のサイズを用いてもよい)の鋼コアが含まれ得る。
【0073】
キャリア粒子はトナー粒子と種々の好適な組合せで混合することができる。濃度はトナー組成物の約1〜約20重量%であってよい。しかし、所望の特性を有する現像剤組成物を得るために、異なるトナーおよびキャリアの比率を用いてもよい。
【0074】
トナーは、静電複写法またはゼログラフィー法に用いることができる。或る実施形態では、画像現像デバイスに任意の公知の種類の画像現像系を用いてよく、例えば磁気ブラシ現像、一成分ジャンピング現像、ハイブリッドスカベンジレス現像(HSD:Hybrid Scavengeless Development)等が含まれる。これらおよび類似の現像系は当業者に公知である。
【0075】
画像形成プロセスは、例えば、帯電要素、画像形成要素、光導電性要素、現像要素、転写要素、および定着要素を備えたゼログラフィー装置による画像形成を含む。或る実施形態では、現像要素は、キャリアを本明細書に記載のトナー組成物と混合することで作製される現像剤を含み得る。ゼログラフィー装置としては、高速プリンター、モノクロ高速プリンター、カラープリンター等を含み得る。
【0076】
上述の方法のいずれか1つ等の好適な画像現像方法でトナー/現像剤により画像が形成された後、この画像は紙等の画像受容媒体に転写され得る。或る実施形態では、定着ロール部材を用いた画像現像デバイスでの画像の現像にトナーを用いてもよい。定着ロール部材は、当業者に公知の接触型定着デバイスであり、定着ロールからの熱および圧力によりトナーが画像受容媒体に定着され得る。実施形態によって、定着部材は、画像受容基材上での溶融の後または最中に、トナーの定着温度より高い温度、例えば約70〜約160℃、或る実施形態では約80〜約150℃、別の実施形態では約90〜約140℃(上記範囲外の温度を用いてもよい)に加熱され得る。
【0077】
本発明の例示的実施形態を以下に記載する。
(1) 必要に応じて溶液中で、第1の成分を触媒に接触させる工程;
前記第1の成分を重合して、コポリエステル樹脂の第1のブロックを形成する工程;
必要に応じて溶液中で、前記第1のブロックを第2の成分と接触させる工程;
前記第2の成分を重合して、前記第1のブロックに結合した前記コポリエステル樹脂の第2のブロックを形成する工程;および
前記第1のブロックおよび前記第2のブロックを含む前記コポリエステル樹脂を回収する工程
を含むコポリエステル樹脂の製造方法であって、
前記第1のブロックが結晶性ブロックおよび非晶性ブロックのいずれか一方であり、前記第2のブロックが他方である、製造方法。
(2) 前記コポリエステル樹脂の前記結晶性ブロックが、前記コポリエステル樹脂の約1〜約90重量%の量で存在し、かつ約20〜約200℃の融解温度を有し、
前記コポリエステル樹脂の前記非晶性ブロックが、前記コポリエステル樹脂の約10〜約99重量%の量で存在し、かつ約0〜約200℃のガラス転移温度を有し;
前記コポリエステル樹脂を水と接触させてコアーシェル粒子を形成する工程であって、ここで、前記コア−シェル粒子がコアとしての前記結晶性ブロックと、シェルとしての前記非晶性ブロックと、を有する工程;
前記結晶性ブロックの一端、前記非晶性ブロックの一端、または両者の一端(すなわち、前記結晶性ブロックの一端および前記非晶性ブロックの一端)に架橋性ビニル基を導入する工程;並びに
前記ビニル基を架橋する工程
を更に含む、(1)に記載の方法。
(3) 4−tert−ブチルカプロラクトン、4−フェニルカプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5−ジメチルカプロラクトン、3−イソクロマノン、4−(スルホナトフェニル)カプロラクトン、ラクチド、グリコリド、環状無水物、環状カーボネート、エポキシド、およびこれらの組合せからなる群から選択されるラクトンを含む少なくとも1つの非晶性ブロック前駆物質を、必要に応じて溶液中で、触媒と接触させる工程;
前記少なくとも1つの非晶性ブロック前駆物質を重合して非晶性ブロックを形成する工程;
前記非晶性ブロックを、カプロラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、バレロラクトン、およびこれらの組合せからなる群から選択されるラクトンを含む少なくとも1つの結晶性ブロック前駆物質と、必要に応じて触媒と一緒に、必要に応じて溶液中で、接触させる工程;
前記少なくとも1つの結晶性ブロック前駆物質を重合して、前記非晶性ブロックに結合した前記結晶性ブロックを形成する工程;並びに
前記非晶性ブロックおよび前記結晶性ブロックを含むコポリエステル樹脂を回収する工程
を含むコポリエステル樹脂の製造方法。
(4) 前記コポリエステル樹脂を水と接触させてコア−シェル粒子を形成する工程を更に含み、前記コア−シェル粒子がコアとしての前記結晶性ブロックと、シェルとしての前記非晶性ブロックとを含む、(3)に記載の方法。
【実施例】
【0078】
<実施例1>
−ポリ(カプロラクトン−ブロック−ラクチド)の合成−
室温、窒素雰囲気下で、約20部のカプロラクトンを約200部のトルエンに溶かした。アルミニウムイソプロポキシド(1部)を添加し、反応混合物中から未反応のカプロラクトンが無くなるまで反応混合物を撹拌した。次いで、約200部のトルエン中に80部のD,L−ラクチドが含まれる溶液を反応混合物に添加し、未反応のD,L−ラクチドが無くなるまで撹拌した。その後、10部のトルエン中に2部のスルホン化4−フェニルカプロラクトンが含まれる溶液を反応混合物に添加し、未反応のスルホン化4−フェニルカプロラクトンが無くなるまで撹拌した。この反応混合物をメタノールに添加してブロックコポリマー生成物を単離し、メタノールで洗浄した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の成分を触媒に接触させる工程;
前記第1の成分を重合して、コポリエステル樹脂の第1のブロックを形成する工程;
前記第1のブロックを第2の成分と接触させる工程;
前記第2の成分を重合して、前記第1のブロックに結合した前記コポリエステル樹脂の第2のブロックを形成する工程;および
前記第1のブロックおよび前記第2のブロックを含む前記コポリエステル樹脂を回収する工程
を含むコポリエステル樹脂の製造方法であって、
前記第1のブロックが結晶性ブロックおよび非晶性ブロックのいずれか一方であり、前記第2のブロックが他方である、製造方法。
【請求項2】
前記コポリエステル樹脂の前記結晶性ブロックが、前記コポリエステル樹脂の1〜90重量%の量で存在し、かつ20〜200℃の融解温度を有し、
前記コポリエステル樹脂の前記非晶性ブロックが、前記コポリエステル樹脂の10〜99重量%の量で存在し、かつ0〜200℃のガラス転移温度を有し;
前記コポリエステル樹脂を水と接触させてコアーシェル粒子を形成する工程であって、ここで、前記コア−シェル粒子がコアとしての前記結晶性ブロックと、シェルとしての前記非晶性ブロックと、を有する工程;
前記結晶性ブロックの一端、前記非晶性ブロックの一端、または両者の一端に架橋性ビニル基を導入する工程;並びに
前記ビニル基を架橋する工程
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
4−tert−ブチルカプロラクトン、4−フェニルカプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5−ジメチルカプロラクトン、3−イソクロマノン、4−(スルホナトフェニル)カプロラクトン、ラクチド、グリコリド、環状無水物、環状カーボネート、エポキシド、およびこれらの組合せからなる群から選択されるラクトンを含む少なくとも1つの非晶性ブロック前駆物質を、触媒と接触させる工程;
前記少なくとも1つの非晶性ブロック前駆物質を重合して非晶性ブロックを形成する工程;
前記非晶性ブロックを、カプロラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、バレロラクトン、およびこれらの組合せからなる群から選択されるラクトンを含む少なくとも1つの結晶性ブロック前駆物質と、接触させる工程;
前記少なくとも1つの結晶性ブロック前駆物質を重合して、前記非晶性ブロックに結合した前記結晶性ブロックを形成する工程;並びに
前記非晶性ブロックおよび前記結晶性ブロックを含むコポリエステル樹脂を回収する工程
を含むコポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記コポリエステル樹脂を水と接触させてコア−シェル粒子を形成する工程を更に含み、前記コア−シェル粒子がコアとしての前記結晶性ブロックと、シェルとしての前記非晶性ブロックとを含む、請求項3に記載の方法。

【公開番号】特開2010−275549(P2010−275549A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119602(P2010−119602)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】