説明

ポリエステル組成物

【課題】内部ヘーズが小さく、かつ溶融熱安定性を向上させたポリエステル組成物およびそれを用いたポリエステルフィルムの提供。
【解決手段】繰返し単位の95モル%以上がエチレンテレフタレートで、固有粘度が0.45〜0.65dl/gの範囲にあるポリエステル(S)と、繰返し単位の95モル%以上がエチレンテレフタレートで、固有粘度がポリエステル(S)よりも0.32〜0.55dl/g高いポリエステル(G)とからなり、ポリエステル(S)とポリエステル(G)とを重量比10:90〜90:10の範囲で溶融混練したポリエステル組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル組成物に関し、特に透明性と耐熱性に優れたフィルムに適したポリエステル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルは、繊維、フィルム、ボトルなどに使用されている。特に光学用部材などのフィルムに用いる場合、透明性の向上が求められている。
そこで、特許文献1(特開2007−138156号公報)や特許文献2(特開2007−138159号公報)では、固有粘度の異なる樹脂をブレンドし、かつそれらの固有粘度の差を0.05〜0.3にすることで透明性が向上することが提案されている。また、ここでは、IV差が大きくなりすぎるとヘーズが悪化するため、0.3以下にすることも教示されている。
しかしながら、近年の市場の要求は、透明性だけでなく、さらに溶融熱安定性の向上も求められ、これら特許文献で提案された樹脂組成物でも、不十分となってきていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−138156号公報
【特許文献2】特開2007−138159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的はかかる従来技術の問題点を解消し、内部ヘーズが小さく、かつ溶融熱安定性を向上させたポリエステル組成物およびそれを用いたポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ポリエステルフィルムを作製するにあたり、特許文献1および2で提案されているポリエステル樹脂のブレンドに際して、特定のポリエステルを用いることで、固有粘度差をさらに高くしても内部ヘーズを低減でき、しかも、驚くべきことに溶融熱安定性も向上できることを見出し、本発明に到達した。
【0006】
かくして本発明によれば、本発明の目的は、繰返し単位の95モル%以上がエチレンテレフタレートで、固有粘度が0.45〜0.65dl/gの範囲にあるポリエステル(S)と、繰返し単位の95モル%以上がエチレンテレフタレートで、固有粘度がポリエステル(S)よりも0.32〜0.55dl/g高いポリエステル(G)とからなり、ポリエステル(S)とポリエステル(G)とを重量比10:90〜90:10の範囲で溶融混練して得たポリエステル組成物によって達成される。
【0007】
また、本発明によれば、本発明の好ましい態様として、ポリエステル組成物が、その重量を基準として、下記式(1)〜(3)
40≦Sb≦140 …(1)
5≦P≦80 …(2)
0.50≦Sb/P≦25…(3)
(式中、Sbはアンチモン元素、Pはリン元素のポリエステル中の重量[ppm]を示す。)
を同時に満足する範囲でアンチモン元素およびリン元素を含有するポリエステル組成物も提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、内部ヘーズが低く、溶融熱安定性にも優れたポリエステル樹脂組成物を得ることができ、本発明のポリエステル樹脂組成物をフィルムにすることで、透明性と耐熱性を高度に具備するポリエステルフィルムを得ることができ、その工業的価値は極めて高い。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のポリエステル組成物は、固有粘度の異なるポリエステル(S)とポリエステル(G)とを溶融混練したものであり、ポリエステル(G)はポリエステル(S)よりも高い固有粘度を有する。
【0010】
本発明におけるポリエステル(S)は、固有粘度が0.45〜0.65dl/gの範囲にあることが必要である。ポリエステル(S)の固有粘度が下限未満では、得られるポリエステル組成物の機械的特性や溶融製膜性などが損なわれやすくなる。他方ポリエステル(S)の固有粘度の上限は、後述のポリエステル(G)との固有粘度差をつけやすくする観点から、0.65dl/g以下である。
【0011】
また、本発明におけるポリエステル(G)は、ポリエステル(S)の固有粘度に対して、0.32〜0.55dl/g高いことが必要である。好ましいポリエステル(G)とポリエステル(S)の固有粘度の差は0.40〜0.55dl/gである。ポリエステル(G)とポリエステル(S)の固有粘度の差が上記範囲にあることにより、内部ヘーズを抑えつつ耐熱性を向上させることができる。この理由としては、固有粘度の差が上記下限以上になると、分子量分布が非常にいびつなものとなるために、ポリエステルの溶融時に熱分解反応よりも再分配反応のほうが優先して進行するためではないかと考えられる。また、固有粘度の差の上限は、ポリエステル(G)の固有粘度を過度に高くしない点から0.55dl/g以下である。
【0012】
ところで、本発明におけるポリエステル(S)および(G)は、全繰り返し単位の95モル%以上がエチレンテレフタレート単位からなるポリエステルである。好ましくは、全繰返し単位の97モル%以上がエチレンテレフタレートである。全繰返し単位に占めるエチレンテレフタレート単位の割合が、上記下限未満であると、前述のような大きな固有粘度の差を設けたときに、特許文献1や2に記載されているように内部ヘーズが悪化し、さらに溶融熱安定性も悪化しやすい。
【0013】
本発明のポリエステル組成物は、前述のポリエステル(S)と(G)とからなり、それらを重量比で10:90〜90:10、好ましくは30:70〜70:30の割合で溶融混練したものである。重量比が上記範囲外であると、固有粘度差を有するポリエステル(S)と(G)とを用いたことによる内部ヘーズの低減効果や溶融熱安定性の向上効果が乏しくなる。なお、本発明の効果を損なわない範囲で、たとえば10重量%以下、さらに5重量%以下の範囲で、他のポリエステルなどを含有させても良い。
【0014】
ところで、本発明のポリエステル組成物は、その製造に用いる触媒および安定剤を特に制限するものではないが、内部ヘーズを抑えつつ溶融熱安定性を向上させやすいことから、アンチモン化合物を重縮合反応触媒として用い、かつポリエステル組成物の重量を基準として、アンチモン元素およびリン元素の量が下記式(1)〜(3)を同時に満足する範囲で含有することが好ましい。
40≦Sb≦140 …(1)
5≦P≦80 …(2)
0.50≦Sb/P≦25…(3)
(式中、Sbはアンチモン元素、Pはリン元素のポリエステル中の量[ppm]を示す。)
【0015】
好ましいアンチモン元素量(Sb)は120ppm以下である。アンチモン元素の含有量が上限以上である場合は、フィルムの透明性の指標である内部ヘーズを悪化させ、かつポリエステル組成物の溶融熱安定性を悪化させてしまう。他方Sbが下限未満では、十分に反応を促進することが難しくなる。一方、リン元素の含有量(P)については、上記の通り5<P≦80の範囲が好ましく、より好ましい範囲は15<P≦60である。リン元素の含有量が上記範囲を外れると溶融熱安定性が損なわれやすい。
【0016】
本発明のポリエステル組成物の固有粘度は、機械的特性と成形性とを高度に具備させる観点から、0.40〜0.90dl/gの範囲にあることが好ましい。なお、本発明の目的を阻害しない範囲内で、従来公知の各種添加剤を含有していてもよく、例えば帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、潤滑剤充填材などをあげることができる。
【0017】
本発明のポリエステル組成物は、それ自体公知の方法で前述のポリエステル(S)とポリエステル(G)とを製造し、それらを上述の割合で溶融混練することで製造できる。好ましくは、ポリエステル(S)は溶融重合で製造し、ポリエステル(G)は溶融重合後にさら固相重合によって所望の固有粘度とするのが好ましい。溶融重合としては、エステル化反応とエステル交換反応のいずれを経由しても良く、それらを所望の固有粘度になるまで重縮合反応を行えばよい。このとき、触媒はそれ自体公知のものを使用できるが、前述のとおり、アンチモン化合物を重縮合反応触媒として用いていることが好ましい。
【0018】
つぎに、本発明のポリエステル組成物を製造するためのポリエステル(S)と(G)との溶融混練は、成形前であればいつでもよく、例えばフィルムに製膜するための溶融押出工程でも良いし、事前に溶融混練してペレットにしてもよい。溶融混練の条件については、温度はポリエステル(S)と(G)の融点(Tm)以上Tm+40℃以下の範囲が、均一に混練させつつ、過度に熱劣化を促進させない点から好ましい。また、溶融混練を行う装置は、一軸でも二軸混練機でもよく、混練時の固有粘度の低下を抑えるために真空にするためのベントを備えたものであっても良い。溶融混練の時間は、用いる装置と処理量によるが、未溶融物が残らない範囲で、できる限り短いことが、好ましい。
【0019】
このようにして得られる本発明のポリエステル組成物は、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、発泡成形、紡糸成形、フィルム製膜などにより、板状、シート状、フィルム状、糸状等の任意の形状に成形することができ、特に内部ヘーズが極めて小さいことから、フィルムに好適に使用できる。得られた成形品は、工業機材、自動車・車両、電気・電子部品等の各種分野に使用することができる。
【0020】
これらの成形で用いられる成形機は特に限定されないが、例えば、通常の射出成形機や、いわゆる射出圧縮成形機、二軸スクリュー押出機、一軸スクリュー押出機、ベント付き二軸スクリュー押出機、ベント付き一軸スクリュー押出機などが好ましく用いられる。
【0021】
本発明のポリエステル組成物から、フィルムは、例えば以下のような方法に準じて製造することができる。先ず、本発明のポリエステル組成物のペレットと、必要に応じてその他のポリエステル組成物のペレットとを所定の割合で混合し、乾燥後、例えば、溶融温度260℃〜310℃で押出機よりTダイを経てフィルム状に押出し、冷却ドラム上に流延し冷却固化させて未延伸フィルムを作成する。この未延伸フィルムを縦方向に60〜140℃の温度で3〜8倍の倍率で延伸し、次いで横方向に70〜180℃の温度で3〜7倍の倍率で延伸して二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。なお、必要に応じて縦方向および/または横方向の延伸を2段階以上に分割実施してもよい(縦多段延伸、縦−横−縦の3段延伸、縦−横−縦−横の4段延伸等)。また同時二軸延伸にて実施してもよい。二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の全延伸倍率は、面積延伸倍率として9〜35倍、更には10〜30倍が好ましい。また二軸配向ポリエステルフィルムは二軸延伸後、更に140〜250℃の温度で熱固定することが好ましく、特に180〜230℃で熱固定するのが好ましい。熱固定時間は1〜60秒が好ましい。
このようにして得られるポリエステルフィルムは、特に内部ヘーズが極めて小さいことから、光学用の透明フィルムに好適に使用できる。
【実施例】
【0022】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、本発明における各種特性は、以下の測定方法にしたがった。
【0023】
(1)固有粘度
p−クロロフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの混合溶媒(p−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=40重量%:60重量%)を溶媒に用いて、35℃の恒温下オストワルト型粘度計を用いて測定した。
【0024】
(2)COOH量(eq/Ton)
ポリエテステルチップをベンジルアルコール中で加熱溶解し、フェノールレッドおよびNaOH水溶液を滴下した。溶液が黄色から赤色に変色する中間点におけるNaOH水溶液量からカルボキシル基濃度を算出した。測定は室温で行い、1トン当りの当量として、eq/tで示した。
【0025】
(3)金属元素量およびリン元素量の測定
ポリエステル(S)、(G)およびポリエステル組成物について、それぞれ加熱溶融して、円形ディスクを作成し、リガク製蛍光X線装置3270型を用いて、含有する金属元素量とリン元素量を測定した。
【0026】
(4)ポリエステル組成物の溶融熱安定性
得られたポリエステル組成物をチップ化し、140℃で6時間乾燥した後、大気圧下にて300℃の温度で溶融させた。溶融直後に各水準のポリマーを回収し、アルミニウム板上で厚さ3.0±1.0mmのプレートに成形後、ただちに氷水中で急冷し、これを溶融状態で20分間保持する前のサンプルとし、固有粘度を測定した。一方、同様にして溶融した後、さらに溶融状態で20分間攪拌をつづけたのち、同様にしてプレートを成形し、これを溶融状態で20分間保持した後のサンプルとした。そして、これらの溶融状態で20分間保持した後のサンプルの固有粘度とCOOH量を測定した。そして、20分間保持した前後の固有粘度の差、および20分間保持した後のCOOH量が小さい物を溶融熱安定性に優れると評価した。
【0027】
(5)内部ヘーズ
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムを、JIS K7361に準じ、ヘーズ測定器(日本電色工業社製の商品名「NDH―2000」)を用いて、任意の3点について全光線透過率(%)と散乱光透過率(%)を求めた。これら3点の平均値をそれぞれ全光線透過率Tt(%)と散乱光透過率Td(%)とし、これらの数値から、へーズ(Td/Tt×100(%))を算出した。
【0028】
[ポリエステルの製法]
(ポリエステル1)
テレフタル酸ジメチルエステル(DMT)100モルとエチレングリコール(EG)200モル、酢酸マンガン四水和物0.03モルとをエステル交換反応槽に仕込み、190℃まで昇温した。その後、240℃に昇温しながらメタノールを除去しエステル交換反応を終了した。
続いて、三酸化二アンチモン0.01モルとトリエチルホスホノアセテートの10重量%エチレングリコール溶液を、トリエチルホスホノアセテートを基準として0.038モル添加し、反応生成物を重合反応槽へと移行した。重縮合反応槽内では昇温しつつ、圧力をゆっくりと減圧し、最終的に重縮合温度290℃、50Paの真空下で重縮合を行い、固有粘度0.62のポリエステル1を得た。このポリエステルの特性を表1に示す。
【0029】
(ポリエステル2)
目標の固有粘度を0.62から0.57に変更するほかはポリエステル1と同様な操作を繰り返した。このポリエステルの特性を表1に示す。
【0030】
(ポリエステル3、4)
ポリエステル2のチップを、140℃で3時間加熱により乾燥させた後、220℃の真空条件下にて表1に示す固有粘度になるまで固相重合反応を行い、ポリエステル3および4を得た。得られたポリエステルの特性を表1に示す。
【0031】
(ポリエステル5)
三酸化二アンチモンの添加量を0.005モルに変更し、かつ目標の固有粘度を0.54に変更した以外は、ポリエステル1と同様な操作を繰り返した。得られたポリエステルの特性を表1に示す。
【0032】
(ポリエステル6)
テレフタル酸ジメチルエステル(DMT)の代わりにテレフタル酸(TA)を100モルとエチレングリコール(EG)200モルをエステル化反応槽に仕込み、190℃まで昇温した。その後、240℃に昇温しながら水を除去しエステル化反応を終了した。エステル化反応以降については、リン化合物をジメチルホスフェートに変更し、添加量をジメチルホスフェートを基準として0.015モルに変更した。それ以外はポリエステル1と同様な操作を繰り返し、固有粘度が0.62のポリエステル6を得た。得られたポリエステルの特性を表1に示す。
【0033】
(ポリエステル7)
ポリエステル6において、目標の固有粘度を0.63から0.54に変更したほかは同様な操作を繰り返して、ポリエステル7を得た。得られたポリエステルの特性を表1に示す。
【0034】
(ポリエステル8、9)
ポリエステル7のチップを、140℃で3時間加熱により乾燥させた後、220℃の真空条件下にて表1に示す固有粘度になるまで固相重合反応を行い、ポリエステル8および9を得た。得られたポリエステルの特性を表1に示す。
【0035】
(ポリエステル10)
ポリエステル9において、テレフタル酸(TA)100モルを、テレフタル酸(TA)97.7モルとイソフタル酸(IA)2.3モルに変更し、添加するアンチモン化合物とリン化合物の含有量が表1に示す量となるように変更したほかは同様な操作を繰り返して、ポリエステル10を得た。得られたポリエステルの特性を表1に示す。
【0036】
(ポリエステル11)
ポリエステル10において、テレフタル酸(TA)97.7モルを89.2モルに、イソフタル酸(IA)2.3モルを10.8モルに変更したほかは同様な操作を繰り返して、ポリエステル11を得た。得られたポリエステルの特性を表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
表1中のMn、SbおよびPは、それぞれポリエステルの重量を基準としたときの、含有するマンガン元素、アンチモン元素およびリン元素量を示し、イソフタル酸は、全酸成分を基準としたときの、イソフタル酸成分の割合を示し、固有粘度およびCOOH量は、それぞれ前記(1)と(2)の測定で求められた固有粘度とカルボキシル末端基数を示す。
【0039】
[実施例1]
ポリエステル1とポリエステル2のペレットとを重量比7:3の割合でブレンドし、160℃で2時間乾燥した後、290℃で溶融混練してポリエステル組成物を得た。
また、上記のようにして得られたポリエステル組成物を、一旦冷却することなくそのまま、シート状に溶融押出し、次いで表面温度30℃の回転冷却ドラム上に密着固化させることにより未延伸フィルムを得て、この未延伸フィルムを120℃で縦方向に3.5倍、横方向に3.5倍に延伸し、180℃で熱固定し、厚さ50μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル組成物と二軸延伸フィルムの特性を表2に示す。
【0040】
[実施例2〜9、比較例1〜7]
表2に示すように、用いる参考例のポリエステルおよびその量を変更するほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステル組成物と二軸延伸フィルムの特性を表2に示す。
【0041】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、内部ヘーズが低く、かつ溶融熱安定性の向上したポリエステル組成物を製造することができ、それをフィルムに用いた場合、高い透明性と耐熱性を具備したフィルムとすることができる。そのため、高い透明性・耐熱性が求められる、例えば光学用途のベースフィルムなどに好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰返し単位の95モル%以上がエチレンテレフタレートで、固有粘度が0.45〜0.65dl/gの範囲にあるポリエステル(S)と、繰返し単位の95モル%以上がエチレンテレフタレートで、固有粘度がポリエステル(S)よりも0.32〜0.55dl/g高いポリエステル(G)とからなり、ポリエステル(S)とポリエステル(G)とを重量比10:90〜90:10の範囲で溶融混練したことを特徴とするポリエステル組成物。
【請求項2】
下記式(1)〜(3)を同時に満足する量のアンチモン元素およびリン元素を含有する請求項1記載のポリエステル組成物。
40≦Sb≦140 …(1)
5≦P≦80 …(2)
0.50≦Sb/P≦25…(3)
(式中、Sbはアンチモン元素、Pはリン元素のポリエステル中の量[ppm]を示す。)