説明

ポリカーボネート成形組成物

芳香族ポリカーボネートおよび/またはポリエステルカーボネート、そして、バルク、溶液またはバルク-懸濁重合プロセスによって調製されたゴム変性グラフトポリマー 、を含む、耐衝撃性が改質された熱可塑性成形組成物を開示する。この組成物は、リチウムイオンの含量が低く、そしてナトリウムおよび/またはカリウムイオンの含量が最低レベルを超える量であって、好ましくは改善された耐加水分解性を発揮する最大レベルを超えない量であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性成形組成物に関し、特に、耐衝撃性が改質され、耐加水分解性である、ポリカーボネート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネートおよびABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)を含む熱可塑性成形組成物は、以前から知られている。例えば、US 3130177は、ポリカーボネートと、アクリロニトリルおよび芳香族ビニル炭化水素のモノマー混合物の、ポリブタジエンに対するグラフトポリマーとを含む、容易に加工可能な成形組成物について記載している。
【0003】
WO91/18052は、高い熱安定性を有するPC/ABS組成物であって、グラフトポリマーが、ナトリウムイオンおよびカリウムイオン含有量1,500ppm未満、好ましくは800ppm未満であり、そして特定量の抗酸化剤を含むことを特徴とするものが記載されている。組成物またはグラフトポリマーのリチウムイオン含有量については記載されていない。
【0004】
WO99/11713は、耐湿気性が改善され、同時に高度な機械的特性を有する、難燃化PC/ABS組成物について記載しており、そしてグラフトポリマーが、アルカリ金属の含有量が1ppm未満であることを特徴とする。特に、グラフトポリマーのナトリウムイオンおよびカリウムイオン含有量が1ppm未満であるのがよい。組成物またはグラフトポリマーのリチウムイオン含有量については記載していない。
【0005】
WO00/39210は、耐湿気性が改善され、同時に高度な機械的特性を有する、補強基材を含む、耐衝撃性が改質され、難燃化されたPC組成物について記載しており、ここでスチレン樹脂がアルカリ金属含有量1ppm未満であることを特徴とする。特に、スチレン樹脂のナトリウムイオンおよびカリウムイオン含有量は1ppm未満であるのがよい。組成物またはスチレン樹脂のリチウムイオン含有量は記載されていない。この発明の目的は、複合成型物の製造における加水分解安定性が改善された、PC/ABS成形組成物を提供することである。
【0006】
WO2007/009622は、ポリカーボネートおよびABSを含み、そしてリチウム不純物含有量が少ない、改善された耐加水分解性を有する、耐衝撃性が改質された成形組成物について記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開WO91/18052号明細書
【特許文献2】国際公開WO99/11713号明細書
【特許文献3】国際公開WO00/39210号明細書
【特許文献4】国際公開WO2007/009622号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
芳香族ポリカーボネートおよび/またはポリエステルカーボネートと、バルク、溶液またはバルク懸濁重合プロセスによって調製された、ゴム変性グラフトポリマーと、を含む、耐衝撃性が改質された熱可塑性成形組成物を開示する。この組成物は、リチウムイオンの含有量が低いことを特徴とし、さらに、ナトリウムおよび/またはカリウムイオンの量が特定量であり、耐加水分解性が改善されていることを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
リチウムイオンの含有量が少ない、耐衝撃性が改質されたポリカーボネート組成物は、アルカリの総含有量が比較的高いにもかかわらず、リチウムイオンの含有量が比較的高い比較組成物と比べて、耐加水分解性が有意に優れることを見出した。先行技術の観点からは、これは驚くべきことであり、特に、組成物におけるナトリウムおよび/またはカリウムの含有量がある特定の最小限度を超える場合であっても、組成物の耐加水分解性の点において利点がある。
【0010】
従って本発明は、
A)芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートを、A)およびB)の総量に対して52〜95重量部、好ましくは53〜85重量部、最も好ましくは55〜75重量部、および
B)バルク、溶液またはバルク懸濁重合プロセスによって調製された、ゴム変性グラフトポリマーを、A)およびB)の総量に対して5〜48重量部、好ましくは15〜47重量部、最も好ましくは25〜45重量部、
0を超えそして4ppm以下、好ましくは0.2〜3.6ppm、特に好ましくは0.3〜3.2ppmおよび最も好ましくは0.4〜2.5ppmの量のリチウム、および
それぞれ1.5ppmを超える、好ましくは2ppmを超える量の、ナトリウムおよび/またはカリウム、
を含む、熱可塑性成形組成物を提供する。
【0011】
本発明の好ましい実施態様においては、ナトリウムおよびカリウム両方の含有量が、それぞれ100ppmを超えず、より好ましくは50ppmを超えず、特に好ましくは20ppmを超えず、最も好ましくは10ppmを超えない。
【0012】
本発明の特に好ましい実施態様においては、組成物のリチウム含有量が0.2〜3.6ppmであり、組成物のナトリウムおよび/またはカリウムのそれぞれの含有量が1.5 ppmを超え、そして、ナトリウムおよびカリウム両方の含有量がそれぞれ20ppmを超えない。最も好ましくは、組成物のリチウム含有量が0.3〜3.2ppmであり、ナトリウムおよび/またはカリウムのそれぞれの含有量が2ppmを超え、そして、ナトリウムおよびカリウム両方の含有量がそれぞれ10ppmを超えない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
成分A
本発明において好適に用いられる成分Aの芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートは、下記文献公知のものであるか、または下記文献により知られた工程によって調製することができる(芳香族ポリカーボネートの調製については、例えば、Schnell, "Chemistry and Physics of Polycarbonates"、Interscience Publishers, 1964、および、ドイツ特許出願1495626号明細書、ドイツ特許出願2232877号明細書、ドイツ特許出願2703376号明細書、ドイツ特許出願2714544号明細書、ドイツ特許出願3000610号明細書、ドイツ特許出願3832396号明細書参照;芳香族ポリエステルカーボネートの調製については、例えばドイツ特許出願3077934号明細書参照)。
【0014】
芳香族ポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物(好ましくはジフェノール)と、炭酸ハライド(好ましくはホスゲン)との、および/または芳香族ジカルボン酸ジハライド(好ましくはベンゼンジカルボン酸ジハライド)との反応であって、相界面プロセスによって、必要に応じて連鎖停止剤(例えばモノフェノール類)を用いて、そして必要に応じて3以上の官能基を有する枝分かれ剤(例えばトリフェノール類またはテトラフェノール類)を用いて、調製することができる。同様に、ジフェノールと例えばジフェニルカーボネートとの反応による、熔融重合プロセスによる調製も可能である。
【0015】
芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートの調製におけるジフェノールは、好ましくは式(I)
【化1】

式中、
Aは、単結合、C〜C−アルキレン、C〜C−アルキリデン、C〜C−シクロアルキリデン、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−SO−またはC〜C12−アリーレンであり、これらは必要に応じてヘテロ原子を有する他の芳香族環と縮合していてもよく、または、下記式(II)または(III)の構造を有する基を示し、
【化2】

Bは、それぞれ独立して、C〜C12−アルキル、好ましくはメチル、またはハロゲン、好ましくは塩素および/または臭素、であり、
xは、それぞれ独立して0、1または2を示し、
pは1または0を示し、および
およびRは、それぞれXから独立して選択でき、そして、互いに独立して、水素またはC〜C−アルキルであり、好ましくは水素、メチルまたはエチルであり、
は炭素であり、および
mは4〜7の整数、好ましくは4または5であり、
但し、少なくとも1種の原子X、RおよびRが同時にアルキルであることを条件とする。
【0016】
好ましいジフェノール類は、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシジフェノール、ビス−(ヒドロキシフェニル)−C〜C−アルカン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−C〜C−シクロアルカン、ビス−(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス−(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス−(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルホンおよびα,α−ビス−(ヒドロキシフェニル)−ジイソプロピルベンゼン、および核上が臭素化されたおよび/または核上が塩素化されたこれらの誘導体である。
【0017】
特に好ましいジフェノール類は、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、並びにそれらのジ−およびテトラ−臭素化または塩素化誘導体(例えば、2,2−ビス−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンまたは2,2−ビス−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンなど)である。2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA)が特に好ましい。
【0018】
これらのジフェノール類は単独で用いてもよく、任意の所望の混合で用いてもよい。これらのジフェノール類は文献公知であるか、または公知のプロセスによって得ることができる。
【0019】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートの調製に適した連鎖停止剤は、例えば、フェノール、p−クロロフェノール、p−tert−ブチルフェノールまたは2,4,6−トリブロモフェノール、および、長鎖アルキルフェノール、例えば、ドイツ特許出願2842005号明細書による4−[2−(2,4,4−トリメチルペンチル)]−フェノール、またはアルキル置換基中の総炭素数8〜20を有するモノアルキルフェノール類またはジアルキルフェノール類、例えば3,5−ジ−tert−ブチルフェノール、p−イソオクチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−ドデシルフェノールおよび2−(3,5−ジメチルヘプチル)−フェノールおよび4−(3,5−ジメチルヘプチル)−フェノール、である。用いられる連鎖停止剤の量は、一般に、用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物の総モル量に対して0.5〜10%である。
【0020】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートは、重量平均分子量(Mw、例えば超遠心分離または散乱光測定方法によって測定)10,000〜200,000g/mol、好ましくは15,000〜80,000g/mol、特に好ましくは24,000〜32,000g/molを有する。
【0021】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートは、公知の手法によって枝分かれさせてもよく、特に好ましくは用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物の総量に対して0.05〜2.0mol%の、3またはそれ以上の官能基、例えば3またはそれ以上のフェノール性基、を有する化合物を導入して行ってもよい。
【0022】
ホモポリカーボネートおよびコポリカーボネートの両方共、適している。本発明における成分Aのコポリカーボネートの調製において、用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物の総量に対して1〜25重量%、好ましくは2.5〜25重量%の、ヒドロキシアリールオキシ末端基を有するポリジオルガノシロキサン(polydiorgano-siloxanes)を用いてもよい。これらは公知であり(米国特許3419634号明細書)、そして文献公知のプロセスによって調製してもよい。ポリジオルガノシロキサンを含むコポリカーボネートの調製は、ドイツ特許出願3334782号明細書に記載されている。
【0023】
ビスフェノールAホモポリカーボネートに加えるのに好ましいポリカーボネートは、ビスフェノールAと、芳香族ジヒドロキシ化合物の総モルに対して15mol%までの、好ましいまたは特に好ましいものとして記載した他の芳香族ジヒドロキシ化合物、特に2,2−ビス−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとの、コポリカーボネートである。
【0024】
芳香族ポリエステルカーボネートの調製における芳香族ジカルボン酸ジハライドは、好ましくは、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸およびナフタレン−2,6−ジカルボン酸の二酸ジクロライドである。
【0025】
イソフタル酸およびテレフタル酸の二酸ジクロライド混合物における比率は、1:20〜20:1の間であるのが特に好ましい。
【0026】
炭酸ハライド、好ましくはホスゲン、は、ポリエステルカーボネートの調製において、二官能酸誘導体として、追加的に用いてもよい。
【0027】
芳香族ポリエステルカーボネートの調製において適した連鎖停止剤は、モノフェノールの部分において既に挙げたものに加えて、それらのクロロ炭酸エステルおよび芳香族モノカルボン酸類の酸クロライドが挙げられ、これらは必要に応じてC〜C22−アルキル基またはハロゲン原子によって置換されていてもよく、同様に脂肪族C〜C22−モノカルボン酸クロライドであってもよい。
【0028】
連鎖停止剤の量は、フェノール性連鎖停止剤である場合は芳香族ジヒドロキシ化合物のモル数に対して、そしてモノカルボン酸クロライド連鎖停止剤である場合はジカルボン酸ジクロライドのモル数に対して、それぞれ0.1〜10mol%である。
【0029】
芳香族ポリエステルカーボネートは、導入された芳香族ヒドロキシカルボン酸類を含んでもよい。
【0030】
芳香族ポリエステルカーボネート類は、直鎖状であってもよく既知の手法による分枝状であってもよい(この点について、ドイツ特許出願2940024号明細書およびドイツ特許出願3007934号明細書参照)。
【0031】
用いることができる枝分かれ剤は、例えば、3またはそれ以上の官能基を有するカルボン酸クロライド、例えばトリメシン酸トリクロライド、シアヌル酸トリクロライド、3,3’,4,4’−ベンゾフェノン−テトラカルボン酸テトラクロライド、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸テトラクロライドまたはピロメリット酸テトラクロライドを、0.01〜1.0mol%の量(用いるジカルボン酸ジクロライドに対して)、または3またはそれ以上の官能基を有するフェノール類、例えばフロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプト−2−エン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、2,2−ビス−[4,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシル]−プロパン、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル)−フェノール、テトラ−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、2,6−ビス−(2−ヒドロキシ−5−メチル−ベンジル)−4−メチル−フェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−プロパン、テトラ−(4−[4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル]−フェノキシ)−メタン、または1,4−ビス−[4,4’−ジヒドロキシトリフェニル)−メチル]−ベンゼンを、用いる芳香族ジヒドロキシ化合物に対して0.01〜1.0mol%の量で用いることができる。フェノール性枝分かれ剤を、はじめに、芳香族ジヒドロキシ化合物の反応混合物中に導入してもよく、酸クロライド枝分かれ剤を、酸ジクロライドと共に導入してもよい。
【0032】
熱可塑性芳香族ポリエステルカーボネート中におけるカーボネート構造ユニットの含量は、所望に応じて変えることができる。好ましくは、カーボネート基の含量は、エステル基およびカーボネート基の総量に対して、好ましくは100mol%以下であり、特に80mol%以下であり、特に好ましくは50mol%以下である。芳香族ポリエステルカーボネート中に含まれるエステルおよびカーボネートの両方は、ブロック形態のまたはランダム分散型の重縮合物として存在してもよい。
【0033】
芳香族ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートの相対溶液粘度(ηrel)は、例えば1.18〜1.4であり、好ましくは1.20〜1.32である(100mlメチレンクロライド溶液中、ポリカーボネートまたはポリエステルカーボネート0.5gの溶液で、25℃で測定)。
【0034】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートは、それぞれで、または所望の混合で、用いることができる。
【0035】
成分B
ゴム変性グラフトポリマーBは、
B.1 B)に対して50〜97重量%、好ましくは65〜95重量%、特に好ましくは80〜90重量%である、1種またはそれ以上のビニルモノマーの、
B.2 B)に対して3〜50重量%、好ましくは5〜35重量%、特に好ましくは10〜20重量%である、ガラス転移温度10℃未満、好ましくは−10℃未満、特に好ましくは−30℃未満、とりわけ−50℃未満である、1種またはそれ以上のグラフトベース、
への、ランダムコポリマーであって、
B)の調製は、例えば米国特許3243481号明細書、米国特許3509237号明細書、米国特許3660535号明細書、米国特許4221833号明細書および米国特許4239863号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような、バルク、溶液またはバルク懸濁重合プロセスによる公知の手法によって行われたもの、
を含む。
【0036】
モノマーB.1は、好ましくは、
B.1.1 ビニル芳香族および環置換ビニル芳香族からなる群から選択される少なくとも1種のモノマー(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンまたはp−クロロスチレンなど)を、B.1)に対して50〜99重量%、好ましくは65〜85重量%、および
B.1.2 シアン化ビニル(不飽和ニトリル類、例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなど)、(メタ)アクリル酸(C−C)アルキルエステル類(例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸tert−ブチルなど)および不飽和カルボン酸類の誘導体(無水物およびイミドなど、例えば無水マレイン酸およびN−フェニル−マレイミドなど)からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーを、B.1)に対して1〜50重量%、好ましくは15〜35重量%、
の混合物である。
【0037】
好ましいモノマーB.1.1は、スチレンおよびα−メチルスチレンからなる群から選択されるものであり、そして好ましいモノマーB.1.2は、アクリロニトリル、アクリル酸ブチル、アクリル酸tert-ブチル、無水マレイン酸およびメタクリル酸メチルからなる群から選択されるものである。
【0038】
特に好ましいB.1.1はスチレンであり、好ましいB.1.2はアクリロニトリルである。他の態様では、スチレンをモノマーB.1.1)として用いて、そしてB.1.2)に対して少なくとも70重量%、特に80重量%以上、特に好ましくは85重量%以上のアクリロニトリルと、B.1.2)に対して最大30重量%、特に最大20重量%、特に好ましくは最大15重量%の、アクリル酸ブチル、アクリル酸tert-ブチル、無水マレイン酸およびメタクリル酸メチルからなる群から選択される、さらなるモノマー、との混合物、をモノマーB.1.2)として用いることができる。
【0039】
ゴム変性グラフトポリマーBにおいて好適なゴムB.2は、例えば、ジエンゴム、スチレン/ブタジエン(SBR)ゴム、EP(D)Mゴム、いわゆるエチレン/プロピレンおよび必要に応じたジエンベースのもの、およびアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、クロロプレンおよびエチレン/ビニルアセテートゴムおよび上記ゴムの混合物である。
【0040】
好ましいゴムB.2は、ジエンゴム(例えば、ブタジエン、イソプレンベースのものなど)、またはジエンゴムの混合物、またはジエンゴムのコポリマー、またはこれらとさらなる共重合性モノマー(例えばB.1.1およびB.1.2によるものなど)との混合物があるが、但し、成分B.2のガラス転移温度は、10℃未満、好ましくは−10℃未満であることを条件とする。
【0041】
好ましくは、グラフトベースB.2は直鎖または分枝状のジエンゴムである。特に好ましくは、グラフトベースB.2は直鎖または分枝状ポリブタジエンゴム、ポリブタジエン/スチレンゴムまたはこれらの混合物である。
【0042】
必要であればそして成分B.2のゴム特性が損なわれない限りであれば、成分Bは、少量の、一般的にはB.2に対して5重量%未満の、好ましくは2重量%未満の、エチレン性不飽和架橋モノマーを更に含んでもよい。このようなモノマーの例として、アルキレンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、アリル(メタ)アクリレート、マレイン酸ジアリルおよびフマル酸ジアリルなどが挙げられる。
【0043】
ゴム変性グラフトポリマーBは、B.1のB.2へのグラフト重合によって調製することができ、そしてこのグラフト重合は、バルク、溶液またはバルク懸濁重合プロセスによって行われる。
【0044】
ゴム変性グラフトポリマーBの調製において、ゴム成分B.2は、グラフト重合の前に、モノマーB.1.1および/またはB.1.2の混合物中において溶解した状態で存在することが重要である。この目的のために、さらなる有機溶媒を必要に応じて加えてもよく、例えば、メチルエチルケトン、トルエンまたはエチルベンゼン、または通常の有機溶媒の混合物などが挙げられる。従って、ゴム成分B.2は、高度に架橋されていなくてもよく(高度に架橋されている場合はB.1.1および/またはB.1.2の溶液中への溶解が、必要に応じてさらなる溶媒を用いても、困難となる)、また、B.2は、グラフト重合の前に、既に、個別の粒子の形態となっていなくてもよい。B.2が粒子形態および高度に架橋されている場合は、Bにおける重要な特性が、グラフト重合経過中のみにおいて発展する(この点については、例えば、Ullmann, Encyclopadie der technischen Chemie, volume 19, p. 284 et seq., 4th edition 1980参照(参照より本明細書に組み込まれる))。さらなる添加剤、例えば重合開始剤、安定剤、調整剤、架橋剤および後架橋(post-crosslinking)防止添加剤、特にオイル(例えばシリコーンオイル、合成機械油または植物油)を、グラフト重合反応において反応混合物中に加えてもよい。
【0045】
B.1.1およびB.1.2のコポリマーは、通常は、ポリマーB中において、一部がゴムB.2へのまたは中へグラフトした状態で存在し、このグラフトコポリマーは、ポリマーB中において、別の粒子を形成する。B.1.1およびB.1.2の全コポリマーにおける、B.1.1およびB.1.2のコポリマーのグラフト含量、すなわちグラフト率(用いたグラフトモノマーの総量に対する、実際にグラフトしたグラフトモノマーの重量割合 ×100、%で示す)は、好ましくは2〜40%、より好ましくは3〜30%、特に好ましくは4〜20%である。
【0046】
得られたグラフトゴム粒子の平均粒径(電子顕微鏡写真を用いて測定)は、0.3〜5μm、好ましくは0.4〜2.5μm、特に0.5〜1.5μmの範囲である。
【0047】
好ましくは、ゴム変性グラフトポリマーBは、リチウムを、0以上そして10ppm以下で、特に好ましくは0.5ppm〜9ppm、好ましくは0.8ppm〜8ppmの量で含む。
【0048】
組成物はさらなる添加剤を含んでもよい。例えば、重合成分および官能性添加剤を組成物中にさらに加えてもよい。
【0049】
特に、ビニル芳香族、シアン化ビニル類(不飽和ニトリル類)、(メタ)アクリル酸(C〜C)アルキルエステル類、不飽和カルボン酸類および不飽和カルボン酸誘導体(例えば無水物およびイミド)からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーの(コ)ポリマーを、成分Cとして加えてもよい。
【0050】
特に適したコポリマーCは、樹脂状の、熱可塑性そしてラバーフリーのものであり、そして
C.1 ビニル芳香族(例えばスチレンおよびα−メチルスチレンなど)、環置換ビニル芳香族(例えばp−メチルスチレンまたはp−クロロスチレンなど)および(メタ)アクリル酸(C−C)アルキルエステル(例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸tert-ブチルなど)からなる群から選択される少なくとも1種を、(コ)ポリマーに対して50〜99重量%、好ましくは65〜90重量%、および
C.2 シアン化ビニル(例えば不飽和ニトリル、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなど)、(メタ)アクリル酸(C−C)アルキルエステル(例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸tert-ブチルなど)、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体(例えば無水マレイン酸およびN−フェニル−マレイミド)からなる群から選択される、少なくとも1種モノマーを、(コ)ポリマーに対して1〜50重量%、好ましくは10〜35重量%、
である。
【0051】
C.1スチレンおよびC.2アクリロニトリルのコポリマーが特に好ましい。
同様に、(メタ)アクリル酸(C−C)アルキルエステル(メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸tert-ブチルなど)のホモポリマーも、成分C)として好ましいものである。
【0052】
このような(コ)ポリマーC)は、公知であり、フリーラジカル重合によって、特に、エマルション、懸濁、溶液またはバルク重合によって、調製することができる。(コ)ポリマーC)は、好ましくは、分子量Mw(重量平均、光散乱法または沈降法によって測定)が15,000〜200,000の間である。
【0053】
エマルション重合プロセスによって調製されたゴム変性コポリマー(成分D)もまた、さらなるポリマー添加剤として用いてもよい。このような市販のグラフトポリマー(通常は衝撃改質剤として提供されている)は、好ましくはアクリロニトリル/スチレン/ブタジエン(ABS)および/またはメタクリル酸メチル/スチレン/ブタジエン(MBS)である。
また同様に、下記のグラフトポリマーD)もまた好ましい:
D.1 D)に対して5〜95重量%である、以下のグラフトシェル
D.1.1 ビニル芳香族(例えばスチレンおよびα−メチルスチレンなど)、環置換ビニル芳香族(例えばp−メチルスチレンまたはp−クロロスチレンなど)および(メタ)アクリル酸(C−C)アルキルエステル(例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸tert-ブチルなど)からなる群から選択される少なくとも1種を、グラフトシェルD.1に対して50〜99重量%、好ましくは65〜90重量%、
D.1.2 シアン化ビニル(例えば不飽和ニトリル類、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなど)、(メタ)アクリル酸(C−C)アルキルエステル(例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸tert-ブチルなど)、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体(例えば無水マレイン酸およびN−フェニル−マレイミドなど)からなる群から選択される少なくとも1種を、グラフトシェルD.1に対して1〜50重量%、好ましくは10〜35重量%
の、
D.2 D)に対して95〜5重量%である、ジエンゴム、シリコーンゴム、アクリレートゴムおよびシリコーン/アクリレート複合ゴムからなる群から選択されるグラフトベース、
への、グラフト物。
【0054】
好ましい態様においては、乳化重合プロセスによって調製されたゴム変性コポリマーが、コアシェル構造を示す。
【0055】
上記組成物はさらに、通常のポリマー添加剤(成分E)を含んでもよく、このような添加剤として、例えば、防炎剤、タレ防止剤(例えばフッ素化ポリオレフィン、シリコーンおよびアラミド繊維など)、潤滑剤および離型剤(例えばペンタエリスリトールテトラステアレートなど)、核形成剤、帯電防止剤、安定剤、ファイバーおよび補強物質(例えばグラスファイバー、カーボンファイバー、マイカ、カオリン、タルク、CaCOおよびグラスフレーク)、同様に染料および顔料など、が挙げられる。
【0056】
好ましくは、上記組成物は、リン酸の有機エステルからなる群から選択される防炎剤を含まない態様であり、より好ましくは上記組成物は防炎剤を含まない態様である。
【0057】
成形組成物および成形品の調製
本発明にかかる熱可塑性成形組成物は、特定の構成要素を公知の手法で混合し、そして得られた混合物を、通常のユニット(例えば内部ニーダー、押出機および2軸押出機など)を用いて、200℃〜300℃の温度で、溶融コンパウンディングおよび/または溶融押出することによって調製できる。
【0058】
個々の構成要素の混合は、連続的にまたは同時に、特に約20℃(室温)またはより高い温度で、公知の手法で行ってよい。
【0059】
本発明にかかる成形組成物は、様々なタイプの造形品の製造に用いることができる。これらは、射出成形、押出およびブロー成形プロセスによって製造することができる。加工のさらなる態様は、事前に製造したシートまたはフィルムからの、造形品の製造である。
【0060】
このような造形品の例として、フィルム、プロファイル、各種ケーシング部分(例えばジューサー、コーヒーメーカー、ミキサーなどの家庭用器具など、そしてモニター、フラットスクリーン、ノート型パソコン、プリンター、コピー機などのオフィス機器など)、また、シート、チューブ、電気設備用コンジット、窓、ドア、建築セクター用のプロファイル(室内フィッティングおよび外部用途物);電気および電子部品(スイッチ、プラグおよびプラグソケットなど)、さらに、市販車用、特に自動車用部品など、がある。
【0061】
特に、本発明における成形組成物は、例えば以下の成形物の製造に用いることができる:
鉄道車両、船、飛行機、バスおよび自動車などのインテリア仕上げ用の部品;小さな変圧器を有する電気装置のケーシング;情報普及および送信用のデバイスのケーシング;医療用途品のケーシングおよびカバーリング;マッサージ装置およびそれのケーシング;子供用おもちゃ;プレハブ壁パネル;セキュリティー機器用ケーシング;熱絶縁輸送用コンテナー;サニタリーおよび浴室備品用成形物;換気穴用のカバーグリッド;庭設備のケーシングなど。
【実施例】
【0062】
成分A
ビスフェノールAベースの直鎖状ポリカーボネート、重量平均分子量(Mw)28Kg/mol(GPCで測定)
【0063】
成分B−1〜B−10
バルク重合によって調製された、A:B:S比率が20:15:65であるABSポリマー。種々のABSポリマーB−1〜B−10は、それぞれに含まれる、リチウム、ナトリウムおよびカリウムの不純物の量の点のみが異なる。
【0064】
本発明における成形組成物の調製および試験
成分AおよびBを、1.31内部ニーダーで混合した。
示されたPC/ABS組成物の耐加水分解性を評価するため、溶融体積流量率(MVR)を、コンパウンド直後のサンプル、そして、95℃および相対湿度100%における、7日間の加水分解エージング後のサンプルを用いて、ISO 1133に準拠して、260℃で、サンプルに対して5kgピストン荷重をかけて、測定した。得られた、MVR変化は、加水分解に対する組成物の抵抗性の尺度であり、下記式により算出する:

MVR変化=[MVR(貯蔵後)−MVR(貯蔵前)]/[MVR(貯蔵前)]×100%
【0065】
優れた耐加水分解性を有する組成物は、一般的にはそして好ましくは本試験におけるMVR変化が50%未満であり、好ましくは30%未満であり、最も好ましくは20%未満であることを特徴とする。
【0066】
組成物中におけるアルカリおよびアルカリ金属含有量は、それぞれ、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP−AES)によって測定した。
【0067】
成分AおよびB.1〜B.10からなる群から選択されるABSグラフトポリマーを含む幾つかの組成物を調製し、試験を行った。
【0068】
試験結果から、リチウムイオンの含量が4ppm未満である組成物は、ナトリウムおよびカリウムの含量レベルが、組成物(V10)と比較して極めて高いにもかかわらず、耐加水分解性が優れていた。ここで組成物(V10)は、リチウムの含有量は4ppmを超え、そしてナトリウムおよびカリウムの含量レベルは非常に低い。
【0069】
試験結果は特に、リチウムイオン含量が4ppm未満である組成物は、ナトリウム含量および/またはカリウム含量がそれぞれ1.5ppmを超え、そしてナトリウムおよびカリウム両方の含有量が100ppmを超えない場合であっても、耐加水分解性がかなり改善されたことを示す(本出願における実施例2および3と、比較実施例V1および実施例4との対比、また、本出願における実施例5および7と、比較実施例V1および実施例6との対比)。
試験結果はまた、優れた加水分解安定性を有する組成物は、組成物のリチウムイオン含量が4ppm未満である場合のみにおいて得られたことを示す(本出願における実施例2、8および9と、比較実施例V10との対比)。
データはまた、組成物のリチウムの含有量の4ppmを超える増加は、ナトリウムおよび/またはカリウム含量それぞれが、ここで記載される100ppm限度を超える増加と比較して、組成物の加水分解安定性に対してより重大な欠陥を与えたことを示す(リチウム含量が低くナトリウム/カリウム含量が極めて高い実施例4および6と、リチウム含量が比較的高いものの、アルカリ金属の総含量は非常に低い比較実施例V10との対比)。
これらは、従来技術において考えられてきたような、組成物の加水分解安定性はアルカリ金属の総含量に左右されるものではないことを意味する。
正しくは、今回思いがけなく見出されたように、リチウムの含有量が極めて低く、そしてナトリウムおよび/またはカリウムの含量が定義内である組み合わせにおいて、最高クラスの耐加水分解性能を有する組成物が提供される。
【0070】
本発明は、説明のために詳細にそして上述のように記載しているが、このような詳細な説明は単にこれらの目的のためであり、そして、請求の範囲によって限定される事項を除いて、本発明の精神および範囲から離れることなく、当業者による変更を加えることができる。
【0071】
表1:成形組成物およびそれらの性能
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートを、A)およびB)の総量に対して52〜95重量部、および
B)バルク、溶液またはバルク懸濁重合プロセスによって調製された、ゴム変性グラフトポリマーを、A)およびB)の総量に対して5〜48重量部、
0を超えそして4ppm以下の量のリチウム、および
それぞれ1.5ppmを超える量のナトリウムおよび/またはカリウム、
を含む、熱可塑性成形組成物。
【請求項2】
リチウムの量が、0を超えそして4ppm以下であり、および
ナトリウムおよび/またはカリウムの量が、それぞれ1.5ppmを超え、
但し、ナトリウムおよびカリウム両方の含有量が、それぞれ100ppmを超えないことを条件とする、
請求項1記載の熱可塑性成形組成物。
【請求項3】
ナトリウムの含有量および/またはカリウムの含有量が、それぞれ2.0ppmを超える、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
リチウムの含有量が、0.2ppm〜3.6ppmである、請求項1〜3いずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、リン酸エステルからなる群から選択される防炎剤を含まない、請求項1〜4いずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記ゴム変性グラフトポリマーが、
B.1 B)に対して65〜95重量%である、下記混合重合物
B.1.1 ビニル芳香族および環置換ビニル芳香族からなる群から選択される少なくとも1種を、B.1)に対して50〜99重量%
B.1.2 シアン化ビニル、(メタ)アクリル酸(C−C)アルキルエステルおよび不飽和カルボン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を、B.1)に対して1〜50重量%、
の、
B.2 B)に対して5〜35重量%である、ガラス転移温度−10℃未満である1種またはそれ以上のグラフトベース、
への、グラフト物、
を含む、
請求項1〜5いずれかに記載の組成物。
【請求項7】
B.1.1)がスチレンであり、B.1.2)がアクリロニトリルである、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
B.1.1)がスチレンであり、および
B.1.2)が、B.1.2)に対して少なくとも70重量%のアクリロニトリルと、B.1.2)に対して30重量%未満の、アクリル酸ブチル、アクリル酸tert−ブチル、無水マレイン酸およびメタクリル酸メチルからなる群から選択される少なくとも1種、との混合物である、
請求項6記載の組成物。
【請求項9】
B.2)が、ポリブタジエンゴムおよびポリブタジエン/スチレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項6〜8いずれかに記載の組成物。
【請求項10】
C.1 ビニル芳香族、環置換ビニル芳香族および(メタ)アクリル酸(C−C)アルキルエステルからなる群から選択される少なくとも1種を、(コ)ポリマーに対して50〜99重量%、および
C.2 シアン化ビニル、(メタ)アクリル酸(C−C)アルキルエステル、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群から選択される、少なくとも1種モノマーを、(コ)ポリマーに対して1〜50重量%、
のラバーフリー(コ)ポリマーをさらに含む、
請求項1または2記載の組成物。
【請求項11】
エマルション重合によって調製されたグラフトポリマーDをさらに含む、請求項1または2記載の組成物。
【請求項12】
前記D)が、
D.1 D)に対して5〜95重量%である、下記からなる共重合グラフトシェル
D.1.1 ビニル芳香族、環置換ビニル芳香族および(メタ)アクリル酸(C−C)アルキルエステルからなる群から選択される少なくとも1種を、グラフトシェルD.1に対して50〜99重量%
D.1.2 シアン化ビニル、(メタ)アクリル酸(C−C)アルキルエステル、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を、グラフトシェルD.1に対して1〜50重量%、
の、
D.2 D)に対して5〜95重量%である、ジエンゴム、シリコーンゴム、アクリレートゴムおよびシリコーン/アクリレート複合ゴムからなる群から選択されるグラフトベース、
への、グラフト物、
を含む、
請求項11記載の組成物。
【請求項13】
成形組成物中における前記リチウムの含有量が、0.3〜3.2ppmであり
成形組成物中における前記ナトリウムおよび/またはカリウムの含有量が、それぞれ2ppmを超える量であり、および
ナトリウムおよびカリウム両方の含有量が、それぞれ10ppmを超えない量である、
請求項1記載の組成物。
【請求項14】
配合直後のサンプルおよび、95℃および相対湿度100%での7日間における加水分解エージング後のサンプルに対する、5kgピストン荷重を用いた、260℃における、ISO1133に準拠したMVR変化が、50%未満である、請求項1〜13いずれかに記載の組成物。
【請求項15】
請求項1〜14いずれかに記載の組成物を含む成形品。

【公表番号】特表2012−515816(P2012−515816A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546674(P2011−546674)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000263
【国際公開番号】WO2010/083974
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】