説明

ポリマーコート顔料およびその製造方法

【課題】 有機溶媒でも良好な分散安定性を示すポリマーコート顔料、及び、汎用の顔料に適用でき有機溶媒でも良好な分散安定性を示すポリマーコート顔料を得る製造方法を提供する。
【解決手段】 顔料(A)表面に、非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1)と非水溶媒に可溶でありかつ重合後に不溶もしくは難溶になる少なくとも1種の重合性不飽和単量体(B−2)とを共重合することにより得られるポリマー(B)を有するポリマーコート顔料、及び、顔料(A)、非水溶媒及び該非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1)の存在下で、該非水溶媒に可溶でありかつ重合後に不溶もしくは難溶になる少なくとも1種の重合性不飽和単量体(B−2)を重合させるポリマーコート顔料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料表面にポリマーを有するポリマーコート顔料に関し、さらに詳細には、塗料、プラスチック、印刷インキ、ゴム、レザー、捺染、カラーフィルター、ジェットインキ、熱転写インキなどの色材として使用可能なポリマーコート顔料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顔料は一般に不溶性の色材であるため、塗料、印刷インキ、カラーフィルター等の製造やプラスチックの着色において、溶剤や樹脂等の媒体中に顔料粒子を均一に分散させる事が重要な課題になっている。
顔料の分散性は顔料粒子の表面の性質に大きく依存することから、様々な表面処理による分散性の向上が試みられている。これらの処理方法としては、ロジン処理やカチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の各種界面活性剤処理、顔料誘導体処理、ポリマー処理がある。
【0003】
これらの処理方法のうち、顔料表面にポリマーをコートさせることで分散性の向上を図るポリマー処理法には、in−situ重合法、相分離(コアセルベーション)法、液中乾燥法等がある。
その中で、in−situ重合法は従来より行われている方法であり、特許文献1〜7に記載されている。これらの方法は全て水系条件下で行われている。例えば特許文献1および2に記載の方法では、顔料を界面活性剤や水溶性ポリマーを用いて水系媒体に安定分散後、単量体を重合することでポリマーコート顔料を得ている。また特許文献3および4に記載の方法では、重合性界面活性剤を使用してポリマーコート顔料を得ている。また特許文献5に記載の方法では、重合性官能基を有するアルキレンオキサイド鎖含有化合物を使用し、顔料を分散した系で単量体を重合しポリマーコート顔料を得ている。
しかし、いずれの方法も、顔料が水系媒体に安定に分散できる状態が必須であるため使用できる顔料が特定されてしまうことや、得られるポリマーコート顔料の分散安定性は、水系媒体でないと得られず、有機溶媒では分散安定性が得られないといった問題があった。
特許文献6に記載の方法は、顔料とモノマーとを混合後、分散安定剤を用いた懸濁重合によりポリマーコート顔料を得る方法であるが、該方法では微細なポリマーコート顔料は得られない。
また、特許文献7に記載の方法は、親水性の有機溶剤および水の共存媒体中、予めシランカップリング剤で表面を覆った顔料の存在下で単量体を重合してポリマーコート顔料を得る方法である。しかしシランカップリング剤となじみにくい有機顔料には適用できない。
【0004】
溶媒として水を使用しないin−situ重合法としては、例えば特許文献8〜13に記載されている。これらはいずれも、誘電率1.5〜20および表面張力15〜60mN/mの非水溶媒中でin−situ重合法を行っている。しかし該文献に記載の方法はいずれも、表面処理された顔料を使用し、特定の分散安定剤で顔料を安定に分散させる事が必須条件であるため、汎用的ではない。
【特許文献1】特開2004−189928号公報
【特許文献2】特開2004−189929号公報
【特許文献3】特開2005−097517号公報
【特許文献4】特開平10−316909号公報
【特許文献5】特開2004−155818号公報
【特許文献6】特開平13−72887号公報
【特許文献7】特開2005−120365号公報
【特許文献8】特開2004−2501号公報
【特許文献9】特開2004−18736号公報
【特許文献10】特開2004−35592号公報
【特許文献11】特開2004−083660号公報、
【特許文献12】特開2004−107523号公報、
【特許文献13】特開2004−107524号公報
【0005】
このように、in−situ重合法は様々な手法がなされているが、汎用の顔料に適用でき、更に、有機溶媒でも良好な分散安定性を示すポリマーコート顔料を得る手法は未だ得られていないのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、有機溶媒でも良好な分散安定性を示すポリマーコート顔料、及び、汎用の顔料に適用でき有機溶媒でも良好な分散安定性を示すポリマーコート顔料を得る製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、顔料(A)表面に、非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1)と非水溶媒に可溶でありかつ重合後に不溶もしくは難溶になる少なくとも1種の重合性不飽和単量体(B−2)とを共重合することにより得られるポリマー(B)を有することを特徴とするポリマーコート顔料が、良好な顔料分散性を示す事を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明のポリマーコート顔料は、顔料(A)、非水溶媒、及び該非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1)の存在下で、該非水溶媒に可溶でありかつ重合後に不溶もしくは難溶になる少なくとも1種の重合性不飽和単量体(B−2)を重合させる、いわゆるin−situ重合により得ることができる。
従来、in−situ重合法は顔料が分散安定剤に微細かつ安定に分散された重合の場を必要とすると考えられていたが、本発明では非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1)で顔料(A)の表面が濡らされる事により形成される顔料(A)と非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1)の界面が重合の場になると考えられ、顔料が分散安定剤に微細かつ安定に分散された場は必須ではないため、微細に分散された状態を形成するための顔料の表面処理等は必ずしも必要ではなく、広範囲の種類の顔料に適用できるものである。
【0009】
即ち、本発明は、顔料(A)表面に、非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1)と非水溶媒に可溶でありかつ重合後に不溶もしくは難溶になる少なくとも1種の重合性不飽和単量体(B−2)とを共重合することにより得られるポリマー(B)を有するポリマーコート顔料を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、顔料(A)、非水溶媒、及び該非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1)の存在下で、該非水溶媒に可溶でありかつ重合後に不溶もしくは難溶になる少なくとも1種の重合性不飽和単量体(B−2)を重合させて得るポリマーコート顔料を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、顔料(A)、非水溶媒、及び該非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1)の存在下で、該非水溶媒に可溶でありかつ重合後に不溶もしくは難溶になる少なくとも1種の重合性不飽和単量体(B−2)を重合させるポリマーコート顔料の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のポリマーコート顔料は有機溶媒でも良好な分散安定性を示すので、塗料、プラスチック、印刷インキ、ゴム、レザー、捺染、カラーフィルター、ジェットインキ、熱転写インキなどの有機溶剤を溶媒としたときの色材として非常に有用である。
また、本発明のポリマーコート顔料の製造方法は、未処理顔料、処理顔料、有機無機問わず、汎用の顔料に適用することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(顔料(A))
本発明で使用する顔料(A)は、公知慣用の有機顔料あるいは無機顔料の中から選ばれる少なくとも一種の顔料である。また、本発明は未処理顔料、処理顔料のいずれでも適用することができる。
【0014】
有機顔料としては、例えば、ペリレン・ペリノン系化合物顔料、キナクリドン系化合物顔料、フタロシアニン系化合物顔料、アントラキノン系化合物顔料、フタロン系化合物顔料、ジオキサジン系化合物顔料、イソインドリノン系化合物顔料、メチン・アゾメチン系化合物顔料、ジケトピロロピロール系化合物顔料、不溶性アゾ系化合物顔料、縮合アゾ系化合物顔料等が挙げられる。有機顔料の具体例を挙げると、例えば次の通りである。
ペリレン・ペリノン系化合物顔料としては、例えばC.I.PigmentViolet 29、C.I.Pigment Red 123、同149、同178、同179、C.I.Pigment Black 31、同32、C.I.Pigment Orange 43等の顔料が挙げられる。
キナクリドン系化合物顔料としては、例えばC.I.Pigment Violet 19、同42、C.I.Pigment Red 122、同202、同206、同207、同209、C.I.Pigment Orange 48、同49等の顔料が挙げられる。
フタロシアニン系化合物顔料としては、例えばC.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、C.I.Pigment Green 7、同36等の顔料が挙げられる。
アントラキノン系化合物顔料としては、例えばC.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Yellow 24、同108、C.I.Pigment Red 168、同177、C.I.Pigment Orange 40等の顔料が挙げられる。
フタロン系化合物顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 138等の顔料が挙げられる。
ジオキサジン系化合物顔料としては、例えばC.I.Pigment Violet 23、同37等の顔料が挙げられる。
イソインドリノン系化合物顔料としては、例えばC.I.Pigment Yellow 109、同110、同173、C.I.Pigment Orange 61等の顔料が挙げられる。
メチン・アゾメチン系化合物顔料としては、例えばC.I.PigmentYellow 139、同185、C.I.Pigment Orange 66、C.I.Pigment Brown 38等の顔料が挙げられる。
ジケトピロロピロール系化合物顔料としては、例えばC.I.PigmentRed 254、同255等の顔料がある。
不溶性アゾ系化合物顔料としては、例えば C.I.Pigment Yellow 1、同3、同12、同13、同14、同17、同55、同73、同74、同81、同83、同97、同130、同151、同152、同154、同156、同165、同166、同167、同170、同171、同172、同174、同175、同176、同180、同181、同188、C.I.Pigment Orange 16、同36、同60、C.I.Pigment Red5、同22、同31、同112、同146、同150、同171、同175、同176、同183、同185、同208、同213、C.I.PigmentViolet 43、同44、C.I.Pigment Blue 25、同26等の顔料が挙げられる。
縮合アゾ系化合物顔料としては、例えば C.I.Pigment Yellow 93、同94、同95、同128、同166、C.I.PigmentOrange 31C.I.Pigment Red 144、同166、同214、同220、同221、同242、同248、同262、C.I.Pigment Brown 41、同42等の顔料がある。
【0015】
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、硫化亜鉛、鉛白、亜鉛華、リトボン、アンチモンホワイト、塩基性硫酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、シリカ、カーボンブラック、鉄黒、コバルトバイオレット、バーミリオン、モリブデンオレンジ、鉛丹、ベンガラ、黄鉛、カドミウムイエロー、ジンククロメート、イエローオーカー、酸化クロム、群青、紺青、コバルトブルー等が挙げられる。
【0016】
本発明においては特に有機顔料であると、本発明の効果をより発揮することができ好ましく、前記キナクリドン系化合物顔料、前記フタロシアニン系化合物顔料、前記不溶性アゾ系化合物顔料、前記縮合アゾ系化合物顔料を使用することが特に好ましい。
【0017】
(非水溶媒)
本発明で使用する非水溶媒は、脂肪族および/または脂環式炭化水素系溶剤を必須とする有機溶剤である。脂肪族および/または脂環式炭化水素系溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シェルケミカルズ社製品の「ロウス」もしくは「ミネラルスプリットEC」、エクソンモービルケミカル社製品の「アイソパーC」、「アイソパーE」、「アイソパーG」、「アイソパーH」、「アイソパーL」、「アイソパーM」、「ナフサ3号」、「ナフサ5号」もしくは「ナフサ6号」、出光石油化学株式会社製品の「ソルベント7号」、「IPソルベント1016」、「IPソルベント1620」、「IPソルベント2028」もしくは「IPソルベント2835」、株式会社ジャパンエナジー製品の「ホワイトゾール」等が挙げられる。
【0018】
また、本発明の効果を損なわない範囲において、他の有機溶剤を混合して使用してもよい。このような有機溶剤としては、具体的には例えば、丸善石油株式会社製品の「スワゾール100ないしは150」、トルエンもしくはキシレンの等の芳香族炭化水素系溶剤類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−ブチルもしくは酢酸アミルの等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンもしくはシクロヘキサノンの等のケトン類;またはメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノールもしくはn−ブタノールの等のアルコール類が挙げられる。
混合して使用する際には、前記脂肪族および/または脂環式炭化水素系溶剤の使用量を、50質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは60質量%以上である。
【0019】
(非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1))
本発明で使用する非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1)とは、具体的には、
炭素原子数4個以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする重合性不飽和単量体の共重合体に重合性不飽和基を導入したポリマー、
あるいは、炭素原子数4個以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする重合性不飽和単量体の共重合体からなるマクロモノマー
などを指称するものである。
【0020】
炭素原子数4個以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
また、アルキル(メタ)アクリレート以外の使用が可能な重合性不飽和単量体として、スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンもしくはビニルトルエンの等の芳香族系ビニル系モノマー、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート、ジブロモプロピル(メタ)アクリレートもしくはトリブロモフェニル(メタ)アクリレートの等の(メタ)アクリレート類、マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸の等の不飽和ジカルボン酸と1価アルコールとのジエステル類、安息香酸ビニル、「ベオバ」(オランダ国シェル社製のビニルエステル)の等のビニルエステル類等が挙げられ、前記のアルキル(メタ)アクリレート類とともに共重合して使用することができる。
これらのアルキル(メタ)アクリレート以外の使用が可能な重合性不飽和基含有単量体の単独の重合体は該非水媒体での溶解性が低いため、アルキル(メタ)アクリレートとランダム重合体として使用されることが好ましい。ブロック状あるいはグラフト状に共重合を行った場合は、該非水媒体での溶解性を著しく低下させるため、あまり好ましくない。
【0021】
これらの重合性不飽和単量体は単独で使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリルメタクリレート等の炭素数4個から12個のアルキル基を持つ直鎖あるいは分岐のアルキル(メタ)アクリレートの使用が特に好ましい。
【0022】
炭素原子数4個以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする重合性不飽和単量体の共重合体は、前記重合性不飽和単量体を常法により重合することで得られる。
【0023】
前記炭素原子数4個以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする重合性不飽和単量体の共重合体へ、重合性不飽和基を導入する事により、重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1)が得られる。
重合性不飽和基の導入方法としては、例えば、予め前記共重合成分としてアクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有重合性単量体や、ジメチルアミノエチルメタクリレートやジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ基含有重合性単量体を配合し共重合させ、カルボキシル基やアミノ基を有する前記共重合体を得、次に該カルボキシル基やアミノ基と、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基及び重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、
予め前記共重合成分として2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有単量体を配合し共重合させ、水酸基を有する前記共重合体を得、次に該水酸基と、イソシアネートエチルメタクリレートの等のイソシアネート基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、
重合の際にチオグリコール酸を連鎖移動剤として使用して共重合体末端にカルボキシル基を導入し、該カルボキシル基に、グリシジルメタクリレートの等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、
重合開始剤として、アゾビスシアノペンタン酸の等のカルボキシル基含有アゾ開始剤を使用して共重合体にカルボキシル基を導入し、該カルボキシル基にグリシジルメタクリレートの等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法等が挙げられる。中でも、アクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有単量体あるいはジメチルアミノエチルメタクリレートやジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ基含有単量体を共重合しておき、そのカルボキシル基あるいはアミノ基とグリシジルメタクリレートの等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法が最も簡便であり好ましい。
【0024】
(非水溶媒に可溶でありかつ重合後に不溶もしくは難溶になる重合性不飽和単量体(B−2))
本発明で使用する、該非水溶媒に可溶でありかつ重合後に不溶もしくは難溶になる重合性不飽和単量体(B−2)とは、具体的には例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレートもしくはi−プロピル(メタ)アクリレート、または(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルもしくはフッ化ビニリデンのようなオレフィン類などの、いわゆる反応性極性基(官能基)をもたないビニル系モノマー類;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドもしくはアルコキシ化N−メチロール化(メタ)アクリルアミド類などのアミド結合含有ビニル系モノマー類;ジアルキル〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕ホスフェート類もしくは(メタ)アクリロイロキシアルキルアシッドホスフェート類、またはジアルキル〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕ホスファイト類もしくは(メタ)アクリロイロキシアルキルアシッドホスファイト類;上記(メタ)アクリロイロキシアルキルアシッドホスフェート類ないしはアシッドホスファイト類のアルキレンオキシド付加物やグリシジル(メタ)アクリレートやメチルグリシジル(メタ)アクリレートなどエポキシ基含有ビニル系モノマーとリン酸または亜リン酸あるいはこれらの酸性エステル類とのエステル化合物をはじめ、3−クロロ−2−アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレートなどのリン原子含有ビニル系モノマー類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ−2−ヒドロキシエチルフマレートもしくはモノ−2−ヒドロキシエチルモノブチルフマレートまたは、ポリプロピレングリコールもしくは、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、あるいは「プラクセルFM、FAモノマー」(ダイセル化学株式会社製のカプロラクトン付加モノマー)の等の重合性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類またはこれらとε−カプロラクトンとの付加物などをはじめ、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸もしくはシトラコン酸の等の不飽和モノ−ないしはジカルボン酸をはじめ、これらのジカルボン酸と1価のアルコールとのモノエステル類などの重合性不飽和カルボン酸類、または前記の重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル類とマレイン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘンゼントリカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸、「ハイミック酸」、テトラクロルフタル酸もしくはドデシニルコハク酸の等のポリカルボン酸の無水物との付加物のような各種の不飽和カルボン酸類と「カージュラE」、やし油脂肪酸グリシジルエステルもしくはオクチル酸グリシジルエステルの等の1価のカルボン酸のモノグリシジルエステルまたはブチルグリシジルエーテル、エチレンオキシド、もしくはプロピレンオキシドの等のモノエポキシ化合物との付加物またはこれらとε−カプロラクトンとの付加物あるいはヒドロキシビニルエーテルのような水酸基含有重合性不飽和単量体類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類;グリシジル(メタ)アクリレート、(β−メチル)グルシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグルシジルエーテルもしくは重合性不飽和カルボン酸類またはモノ−2−(メタ)アクリロイルオキシモノエチルフタレートの等の水酸基含有ビニルモノマーと前記ポリカルボン酸無水物との等モル付加物の等の各種の不飽和カルボン酸に、「エピクロン200」、「エピクロン400」、「エピクロン441」、「エピクロン850」もしくは「エピクロン1050」(大日本インキ化学工業(株)製のエポキシ樹脂〕、または「エピコート828」、「エピコート1001」もしくは「エピコート1004」(ジャパンエポキシレジン株式会社製エポキシ樹脂)、「アラルダイト6071」もしくは「アラルダイト6084」(スイス国チバ・ガイギー社製のエポキシ樹脂)、さらには「チッソノックス221」〔チッソ株式会社製のエポキシ化合物〕、または「デナコールEX−611」〔長瀬化成株式会社製のエポキシ化合物の等の、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する各種のポリエポキシ化合物を等モル比で付加反応させて得られるエポキシ基含有重合性化合物などのエポキシ基含有重合性不飽和単量体類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−ヘキサメチレンジイソシアネート等モル付加物や、イソシアネートエチル(メタ)アクリレートの等のイソシアネート基とビニル基とを有するモノマーなどのイソシアネート基含有α,β−エチレン性不飽和単量体類;ビニルエトキシシラン、α−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、「KR−215、X−22−5002」(信越化学工業株式会社製品)等のシリコン系モノマー類などのアルコキシシリル基含有重合性不飽和単量体類;そして、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸もしくはシトラコン酸の等の不飽和モノ−もしくはジカルボン酸をはじめ、これらのジカルボン酸と1価アルコールとのモノエステル類などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸類、または2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、モノ−2−ヒドロキシエチル−モノブチルフマレートもしくはポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートの等のα,β−不飽和カルボン酸ヒドロアルキルエステル類とマレイン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ベンゼントリカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸、「ハイミック酸」、テトラクロルフタル酸もしくはドデシニルコハク酸の等のポリカルボン酸の無水物との付加物などのカルボキシル基含有α,β−エチレン性不飽和単量体類などがある。
中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等のC3以下のアルキル(メタ)アクリレート類の使用が好ましい。さらに、顔料表面の表面特性を変化させ、顔料分散剤あるいは顔料分散樹脂との相互作用を高めるために、少なくとも1種のカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシル基、ジメチルアミノ基等の官能基を含有する重合性不飽和単量体を、共重合する事が好ましい。
【0025】
また、ポリマーコート顔料の使用時に顔料からポリマーを溶出させないために、該ポリマーは架橋していると尚好ましい。架橋成分として使用するの多官能重合性不飽和単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、またはアリルメタクリレート等が挙げられる。
【0026】
また、少なくとも1種の該非水溶媒に可溶でありかつ重合後に不溶もしくは難溶になる重合性不飽和単量体(B−2)を必須成分とするポリマーが該非水溶媒系で溶解しない使用範囲において、その他の重合性不飽和単量体を使用してもよい。その他の重合性不飽和単量体としては、例えば前述の炭素原子数4個以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートや前記のアルキル(メタ)アクリレート以外の使用が可能な重合性不飽和単量体が挙げられる。
【0027】
本発明のポリマーコート顔料は、顔料(A)、非水溶媒、及び該非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1)の存在下で、該非水溶媒に可溶でありかつ重合後に不溶もしくは難溶になる少なくとも1種の重合性不飽和単量体(B−2)を重合させることで得られる。
顔料(A)と非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1)は、重合を行う前に混合することが好ましい。混合方法としては、例えば、ホモジナイザー、ディスパー、ビーズミル、ペイントシェーカー、ニーダー、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等を使用することが可能である。本発明においては、使用する顔料の形態は問わず、スラリー、ウエットケーキ、粉体のいずれの形態でもかまわない。即ち、本発明の製造方法においては、ウエットケーキのような水を含む顔料であっても使用可能である。
前記顔料(A)と前記ポリマー(B−1)の混合後に、重合性不飽和単量体(B−2)および後述の重合開始剤をさらに混合し、重合を行う事でポリマーコート顔料が得られる。
その際、前記ポリマー(B−1)の使用量は目的に応じて適宜最適化されるので特に限定はないが、通常は顔料(A)100部に対して1〜200部を使用し、より好ましくは5〜50部、さらに好ましくは5〜30部である。
また、前記重合性不飽和単量体(B−2)の使用量も、目的に応じて適宜最適化されるので特に限定はないが、通常は顔料(A)100部に対して1〜200部を使用し、より好ましくは5〜50部、さらに好ましくは5〜30部である。
【0028】
最終的に顔料にコートされる前記ポリマー(B)の量は、顔料(A)100部に対して、2〜400部が好ましく使用され、より好ましくは10〜100部、さらに好ましくは10〜60部である。その際、前記ポリマー(B−1)の100部に対して、少なくとも1種の前記重合性不飽和単量体(B−2)は通常10〜400部の割合で使用することが好ましく、好ましくは30〜400部、さらに好ましくは50〜200部である。
【0029】
前記顔料(A)、前記非水溶媒、及び前記ポリマー(B−1)の存在下で、前記重合性不飽和単量体(B−2)を重合させる方法は、公知慣用の重合方法によって行えばよいが、通常は重合開始剤の存在下で行う。かかる重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチル−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルハイドロパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、またはクメンハイドロパーオキシドなどのラジカル発生重合触媒が単独で、あるいは2種以上の併用の形で用いられる。
重合開始剤は該非水溶媒系に溶解し難いものもあるため、前記重合性不飽和単量体(B−2)に溶解し、顔料(A)と前記ポリマー(B−1)の混合系に加える方法が好ましい。
また、前記重合性不飽和単量体(B−2)あるいは重合開始剤を溶解した前記重合性不飽和単量体(B−2)は、重合温度に達した状態で滴下法により加えることもできるが、昇温前の常温の状態で加え、充分に混合された後に昇温し、重合させる方法が安定であり好ましい。
重合温度は通常60℃〜130℃の範囲である。また顔料(A)が有機顔料の場合、重合温度があまり高温では該顔料の変質や結晶成長などの形態変化が著しい場合があるため、その場合は70〜100℃で重合することが好ましい。
【0030】
重合後、ろ過により重合に使用した非水溶媒等を除去し、さらに乾燥、粉砕を行う事で粉体のポリマーコート顔料として得ることができる。ろ過方法には、ヌッチェ、フィルタープレス等を使用できる。また乾燥には、箱型乾燥機、真空乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライヤー等の公知の乾燥装置により乾燥することができる。また粉砕には、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等の公知の粉砕装置を使用することができる。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例により説明する。特に断りのない限り、「部」および「%」は質量基準である。
【0032】
<参考例1 非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1−1)の合成>
温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ヘプタンの800部、酢酸ブチルの170部を仕込んで90℃に昇温し、同温度に達したところで、アクリル酸ブチルの985部、メタクリル酸の15部、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の7部からなる混合物を5時間かけて滴下し、滴下終了後も、同温度に10時間保持して反応を続行した。
反応液の温度を50℃に下げ、t−ブチルピロカテコールの0.2部を酢酸ブチルの15部に溶解した溶液を加え、さらにグリシジルメタクリレートの15部、ジメチルアミノエタノールの30部を加えた後に、80℃まで昇温し、同温度で10時間反応を行う事で、非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1−1)の溶液を得た。配合比を表1に示す。
【0033】
<参考例2〜7 非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1−2)〜(B−1−7)の合成>
配合比を表1に記載の配合比とする以外は、参考例1と同様の方法により重合性不飽和基含有ポリマー(B−1−2)〜(B−1−7)を得た。
【0034】
【表1】

表1中、
重合開始剤1:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
重合開始剤2:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
−Ac:アクリレートの略称である。
−MAc:メタアクリレートの略称である。
【0035】
<比較参考例1>
温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、酢酸ブチルの800部を仕込んで90℃に昇温し、同温度に達したところで、2−エチルヘキシルメタクリレートの500部、マクロモノマー AS−6(東亜合成株式会社製ポリスチレンマクロモノマー、分子量6000)の500部、酢酸ブチルの200部、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の10部からなる混合物を5時間かけて滴下し、滴下終了後も、同温度に12時間保持して反応を続行することで、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリレート)−ポリスチレングラフト共重合体を得た。
【0036】
<比較参考例2>
温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ヘプタンの900部、酢酸ブチルの100部を仕込んで90℃に昇温し、同温度に達したところで、アクリル酸ブチルの1000部、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の10部からなる混合物を5時間かけて滴下し、滴下終了後も、同温度に10時間保持して反応を続行する事で、アクリル酸ブチルのホモポリマーを得た。
【0037】
<実施例1 ポリマーコート顔料(1)の合成>
ファーストゲンブルーFGF(大日本インキ化学工業株式会社のブルー顔料)のウェットケーキ(顔料分48%)の208部、参考例1で得られたポリマー(B−1−1)の20部、1.25mmのジルコニアビーズの600部、ヘプタンの300部をポリエチレン広口瓶に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機株式会社)で60分間混合を行った。ヘプタンの200部で希釈した後、ジルコニアビーズを除去し、顔料混合液を作成した。
得られた顔料混合液の400部を温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに仕込んだ後、重合性単量体(B−2−2)としてt−ブチルアクリルアミドスルホン酸の1.6部を20部のイオン交換水に溶解したものを加え、さらにメタクリル酸メチルの5部およびエチレングリコールジメタクリレートの5部の重合性単量体組成物に2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の2部を溶解したものおよびヘプタンの200部を加えた。室温で30分間攪拌を続けた後、80℃に昇温し、同温度で15時間反応を続けた。降温後、濾過を行う事で、ポリマー処理顔料と重合溶剤を分離した。得られたポリマー顔料を熱風乾燥機により100℃で5時間乾燥後、粉砕機にて粉砕を行う事で、ポリマーコート顔料(1)を得た。
【0038】
<実施例2〜11 ポリマーコート顔料(2)〜(6)の合成>
使用する顔料(A)、ポリマー(B−1−1)、非水溶媒を表2及び表3に記載の顔料、及びポリマー(B−1)に変更する以外は実施例1と同様にして、顔料混合液を作成した。
得られた顔料混合液の400部を使用し、重合性単量体(B−2)を表2、及び表3に記載の重合性単量体に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマーコート顔料(2)〜(6)を得た。
【0039】
【表2】

表2中、
AB−6は、マクロモノマー (東亜合成株式会社製ポリブチルアクリレートマクロモノマー)
ファーストゲンブルーFGF(ウェットケーキ) C.I.Pigment Blue 15:3は、(大日本インキ化学工業株式会社製ブルー顔料) 顔料成分48.0%
ファーストゲンブルーFGF(粉体) C.I.Pigment Blue 15:3は、(大日本インキ化学工業株式会社製ブルー顔料)
シムラーファーストレッド4590(粉体) C.I.Pigment Red 146は、(大日本インキ化学工業株式会社製レッド顔料)
ファーストゲングリーンS(ウエットケーキ) C.I.Pigment Green 7は、(大日本インキ化学工業株式会社製グリーン顔料) 顔料成分 46%
ファーストゲングリーン2YK(粉体) C.I.Pigment Green 36は、(大日本インキ化学工業株式会社製グリーン顔料)
シムラーファーストイエロー4400T(粉体) C.I.Pigment Yellow 14は、(大日本インキ化学工業株式会社製イエロー顔料)
タイペーク CR−93(粉体)酸化チタンは、(石原産業株式会社製ルチル型酸化チタン顔料)
重合開始剤1:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
重合開始剤2:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
−Ac:アクリレートの略称である。
−MAc:メタアクリレートの略称である。
【0040】
【表3】

表3中、
AB−6は、マクロモノマー (東亜合成株式会社製ポリブチルアクリレートマクロモノマー)
ファーストゲンブルーFGF(ウェットケーキ) C.I.Pigment Blue 15:3は、(大日本インキ化学工業株式会社製ブルー顔料) 顔料成分48.0%
ファーストゲンブルーFGF(粉体) C.I.Pigment Blue 15:3は、(大日本インキ化学工業株式会社製ブルー顔料)
シムラーファーストレッド4590(粉体) C.I.Pigment Red 146は、(大日本インキ化学工業株式会社製レッド顔料)
ファーストゲングリーンS(ウエットケーキ) C.I.Pigment Green 7は、(大日本インキ化学工業株式会社製グリーン顔料) 顔料成分 46%
ファーストゲングリーン2YK(粉体) C.I.Pigment Green 36は、(大日本インキ化学工業株式会社製グリーン顔料)
シムラーファーストイエロー4400T(粉体) C.I.Pigment Yellow 14は、(大日本インキ化学工業株式会社製イエロー顔料)
タイペーク CR−93(粉体)酸化チタンは、(石原産業株式会社製ルチル型酸化チタン顔料)
重合開始剤1:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
重合開始剤2:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
−Ac:アクリレートの略称である。
−MAc:メタアクリレートの略称である。
【0041】
<比較実施例1>
ファーストゲンブルーFGF(大日本インキ化学工業株式会社のブルー顔料)の粉体(顔料分100%)の100部、比較参考例1で得られたグラフト共重合体の20部、1.25mmのジルコニアビーズの600部、ヘプタンの400部をポリエチレン広口瓶に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機株式会社)で60分間混合を行った。ヘプタンの200部で希釈した後、ジルコニアビーズを除去した。得られた顔料混合液の400部およびヘプタンの200部を温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに仕込んだ後、攪拌しながら、メタクリル酸メチルの8部に2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の2部を溶解したものを加えた。室温で30分間攪拌を続けた後、80℃に昇温し、同温度で15時間反応を続けた。降温後、濾過を行ったがろ紙が目詰まりを起こし、ろ過に長時間を要した。また、ろ過液に多くのポリマー成分の析出が見られた。
【0042】
<比較実施例2>
ファーストゲングリーン2YK(大日本インキ化学工業株式会社のグリーン顔料)の粉体(顔料分100%)の100部、比較参考例2で得られたブチルアクリレートホモポリマーの30部、1.25mmのジルコニアビーズの600部、ヘプタンの400部をポリエチレン広口瓶に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機株式会社)で60分間混合を行った。ヘプタンの200部で希釈した後、ジルコニアビーズを除去した。得られた顔料混合液の400部およびヘプタンの200部を温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに仕込んだ後、攪拌しながら、メタクリル酸メチルの4部およびエチレングリコールジメタクリレートの4部に2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の2部を溶解したものを加えた。室温で30分間攪拌を続けた後、80℃に昇温し、同温度で15時間反応を続けた。降温後、濾過を行ったが、ろ紙が目詰まりを起こし、ろ過に長時間を要した。また、ろ過液に多くのポリマー成分の析出が見られた。
【0043】
<応用例1>
実施例1で得られたポリマーコート顔料(1)の5部およびアジスパーPB−821(味の素ファインテクノ株式会社製顔料分散剤)の2.1部を酢酸エチルの21.4部に溶解した溶液、1.25mmのジルコニアビーズの125部をポリエチレン広口瓶に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機株式会社)で2時間分散を行った。酢酸エチルの7.1部を加え、ジルコニアビーズを除去した後、バーコーターNo.6によりガラス板に塗装した。室温にて、10時間乾燥後、ヘイズグロス計(BYKガードナー製品)にて、60°光沢を測定した結果、95あった。また、スペクトロアイ(SpectroEye)(GretagMacbeth社製品)により、シアンの濃度(OD値)を測定した結果、1.9であり、さらに塗装フィルムは良好な透明性を示しており、良好な顔料分散性を示す事が確認された。
【0044】
<応用例2〜11>
ポリマーコート顔料(1)、顔料分散剤、および溶剤を表4および表5の様に変更する以外は、応用例1と同様の方法にて、顔料分散、塗装、および評価を行った。
【0045】
<比較応用例1〜4>
顔料、顔料分散剤、および溶剤を表4および表5の様に変更する以外は、応用例1と同様の方法にて、顔料分散、塗装、および評価を行った。
【0046】
【表4】

表4中、
アジスパーPB−821 味の素ファインテクノ株式会社製顔料分散剤 有効成分100%
顔料分散剤2:ディスパーBYK2050 BYK社製顔料分散剤 有効成分52%
【0047】
【表5】

表5中、
顔料分散剤1:アジスパーPB−821 味の素ファインテクノ株式会社製顔料分散剤 有効成分100%
顔料分散剤2:ディスパーBYK2050 BYK社製顔料分散剤 有効成分52%
G−36:ファーストゲングリーン2YK(粉体) C.I.Pigment Green 36 (大日本インキ化学工業株式会社製グリーン顔料)
Y−14:シムラーファーストイエロー4400T(粉体) C.I.Pigment Yellow 14 (大日本インキ化学工業株式会社製イエロー顔料)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料(A)表面に、非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1)と非水溶媒に可溶でありかつ重合後に不溶もしくは難溶になる少なくとも1種の重合性不飽和単量体(B−2)とを共重合することにより得られるポリマー(B)を有することを特徴とするポリマーコート顔料。
【請求項2】
顔料(A)、非水溶媒及び該非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1)の存在下で、該非水溶媒に可溶でありかつ重合後に不溶もしくは難溶になる少なくとも1種の重合性不飽和単量体(B−2)を重合させて得ることを特徴とするポリマーコート顔料。
【請求項3】
前記非水溶媒が脂肪族炭化水素系溶剤及び/又は脂環式炭化水素系溶剤を含む、請求項1または2に記載のポリマーコート顔料。
【請求項4】
顔料(A)、非水溶媒及び該非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−1)の存在下で、該非水溶媒に可溶でありかつ重合後に不溶もしくは難溶になる少なくとも1種の重合性不飽和単量体(B−2)を重合させることを特徴とするポリマーコート顔料の製造方法。
【請求項5】
前記非水溶媒が脂肪族炭化水素系溶剤及び/又は脂環式炭化水素系溶剤を含む、請求項4に記載のポリマーコート顔料の製造方法。