説明

ポール取付け金具

【課題】初期費用を低減すると共に、小ロット生産に対して容易に対応可能なポール取付け金具を提供する。
【解決手段】被取付け部材をポールに取付けるポール取付け金具1であって、上端部及び下端部が屈曲され第1屈曲部13が形成されると共に、該第1屈曲部13の中央に所要の角度を有し、前記ポールが嵌合するV字状の第1切欠き部14が形成された第1板金部材11と、上端部及び下端部が屈曲され第2屈曲部17が形成されると共に、該第2屈曲部17の中央に前記第1切欠き部14とは異なる角度を有し、前記ポールが嵌合するV字状の第2切欠き部18が形成された第2板金部材12とを具備し、前記第1板金部材11と前記第2板金部材12とを貼合せて一体化した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナや携帯電話の中継器等の部材をポールに取付ける際に用いるポール取付け金具、特に異なる径のポールに取付け可能なポール取付け金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
先ず、図4に於いて、従来のポール取付け金具について説明する。尚、図4中、1はポール取付け金具を示し、2はアンテナや携帯電話の中継器等の部材のポール取付け部を示している。
【0003】
前記ポール取付け金具1は、金型に溶融金属を流込んで成形する鋳造品であり、1面には円筒状の曲面を有する大径用凹部3が上下方向に延在する様形成され、該大径用凹部3の裏面には、該大径用凹部3よりも径の小さい円筒状の曲面を有する小径用凹部4が上下方向に延在する様形成されている。
【0004】
又、前記ポール取付け金具1の上端部及び下端部には、前記大径用凹部3の両端部からそれぞれ水平方向に延出するフランジ部5が計4箇所に形成され、該フランジ部5には図示しないボルトが挿通可能な孔6が穿設されている。
【0005】
前記ポール取付け部2には、円筒状の曲面を有するポール取付け凹部7が上下方向に延在する様形成されると共に、前記ポール取付け部2の上端部及び下端部には、前記ポール取付け凹部7の両端部からそれぞれ水平方向に延出するフランジ部8が計4箇所に形成され、該フランジ部8にはネジ孔9が穿設されている。
【0006】
前記ポール取付け部2に図示しないポールを取付ける際には、前記ポール取付け凹部7に前記ポールを嵌込む。ポールの径が大きい場合は、前記ポール取付け部2と対向する様に前記ポール取付け金具1の前記大径用凹部3を前記ポールに嵌込んだ後、図示しないボルトを前記孔6に挿して前記ネジ孔9に螺入させ、締込むことで、前記ポール取付け金具1と前記ポール取付け部2とによってポールが挟込まれ、前記ポール取付け部2にポールが取付けられる様になっている。又、ポールが小径の場合は、同様にして前記小径用凹部4をポールに嵌込み、ボルトを介してポールを前記ポール取付け金具1と前記ポール取付け部2とで挟込む。
【0007】
然し乍ら、従来の前記ポール取付け金具1は鋳造にて成形しているので、金型代等の多額の初期費用が発生し、コストが嵩むという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−217130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は斯かる実情に鑑み、初期費用を低減すると共に、小ロット生産に対して容易に対応可能なポール取付け金具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、被取付け部材をポールに取付けるポール取付け金具であって、上端部及び下端部が屈曲され第1屈曲部が形成されると共に、該第1屈曲部の中央に所要の角度を有し、前記ポールが嵌合するV字状の第1切欠き部が形成された第1板金部材と、上端部及び下端部が屈曲され第2屈曲部が形成されると共に、該第2屈曲部の中央に前記第1切欠き部とは異なる角度を有し、前記ポールが嵌合するV字状の第2切欠き部が形成された第2板金部材とを具備し、前記第1板金部材と前記第2板金部材とを貼合せて一体化したポール取付け金具に係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被取付け部材をポールに取付けるポール取付け金具であって、上端部及び下端部が屈曲され第1屈曲部が形成されると共に、該第1屈曲部の中央に所要の角度を有し、前記ポールが嵌合するV字状の第1切欠き部が形成された第1板金部材と、上端部及び下端部が屈曲され第2屈曲部が形成されると共に、該第2屈曲部の中央に前記第1切欠き部とは異なる角度を有し、前記ポールが嵌合するV字状の第2切欠き部が形成された第2板金部材とを具備し、前記第1板金部材と前記第2板金部材とを貼合せて一体化したので、前記ポールの径が異なる場合であっても前記被取付け部材を前記ポールに取付けることができ、更に成形時の初期費用を低減できると共に、小ロット生産に対して容易に対応可能であるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に於けるポール取付け金具を示す斜視図である。
【図2】本発明のポール取付け金具を用い、径の大きいポールに被取付け部材を取付けた場合を示す斜視図である。
【図3】本発明のポール取付け金具を用い、径の小さいポールに被取付け部材を取付けた場合を示す斜視図である。
【図4】従来のポール取付け金具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0014】
図1〜図3に於いて、本発明のポール取付け金具及び、該ポール取付け金具を用いた被取付け部材のポールへの取付け方法について説明する。尚、図1〜図3中、図4中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0015】
先ず、本発明に於けるポール取付け金具1の構造について説明する。
【0016】
該ポール取付け金具1は、第1板金部材11と第2板金部材12から構成されている。前記第1板金部材11は、上端部及び下端部が前記第2板金部材12とは逆側方向に直角に屈曲されることで水平方向に延びる第1屈曲部13,13が形成されている。
【0017】
又、該第1屈曲部13,13の中央には、中心角が鈍角となっているV字状の第1切欠き部である大径ポール用切欠き部14,14が形成され、該大径ポール用切欠き部14,14に臨む前記第1屈曲部13,13の板端面にはポール15に取付けた際に滑止めとなる様凹凸部16,16が形成されている。
【0018】
前記第2板金部材12も、前記第1板金部材11と同様、上端部及び下端部が前記第1板金部材11とは逆側方向に直角に屈曲されることで水平方向に延びる第2屈曲部17,17が形成されている。該第2屈曲部17,17の中央には、中心角が鈍角となっているV字状の第2切欠き部である小径ポール用切欠き部18,18が形成され、該小径ポール用切欠き部18,18の中心角は前記大径ポール用切欠き部14,14の中心角より小さい鈍角となっている。又、前記小径ポール用切欠き部18,18に臨む前記第2屈曲部17,17の板端面には、前記ポール15を取付けた際に滑止めとなる様、凹凸部19,19が形成されている。
【0019】
上記した前記第1板金部材11と前記第2板金部材12とはスポット溶接等所要の手段で貼合され、前記第1板金部材11と前記第2板金部材12とを貼合せることで、前記ポール取付け金具1が一体化される。尚、前記第1板金部材11と前記第2板金部材12とを貼合せた状態では、前記第1屈曲部13,13と前記第2屈曲部17,17とがそれぞれ同一平面上となる様になっている。
【0020】
又、前記ポール取付け金具1の両側端部且つ上下方向の中央には、前記ポール15に取付ける為のボルトを挿通する大径ポール用孔21,21が前記第1板金部材11と前記第2板金部材12を貫通して穿設され、前記大径ポール用孔21,21の内側にはボルトを挿通可能な小径ポール用孔22,22が前記第1板金部材11と前記第2板金部材12を貫通して穿設されている。
【0021】
次に、前記ポール取付け金具1を用い、アンテナや携帯電話の中継器等の被取付け部材23のポール取付け部2に前記ポール15を取付ける場合について説明する。
【0022】
該ポール取付け部2は前記被取付け部材23の背面に設けられ、前記ポール取付け部2には円筒状の曲面を有するポール取付け凹部7が上下方向に延在する様形成されると共に、大径ポール用ネジ孔24,24及び小径ポール用ネジ孔25,25が、それぞれ前記ポール取付け凹部7に対して対称となる様穿設されている。尚、前記大径ポール用ネジ孔24,24及び前記小径ポール用ネジ孔25,25は、前記ポール15に前記被取付け部材23を取付ける際にそれぞれ前記ポール取付け金具1の前記大径ポール用孔21,21及び前記小径ポール用孔22,22と対向する様になっている。
【0023】
図2に示される様に、前記被取付け部材23に径の大きい大径ポール15aを取付ける場合には、先ず前記ポール取付け部2の前記ポール取付け凹部7に前記大径ポール15aを嵌込む。
【0024】
次に、前記ポール取付け金具1を前記大径ポール用切欠き部14,14が前記ポール取付け凹部7に対向する様に配置し、前記第1板金部材11の前記大径ポール用切欠き部14,14を前記大径ポール15aに嵌込み、該大径ポール15aを前記ポール取付け部2と前記ポール取付け金具1とで挟込む。この状態では、前記大径ポール用孔21,21と前記大径ポール用ネジ孔24,24とが対向している。
【0025】
最後に、前記ボルト26,26を前記大径ポール用孔21,21に挿通し、前記大径ポール用ネジ孔24,24に螺入し、締込むことで、前記大径ポール15aが前記ポール取付け金具1と前記被取付け部材23に挟込まれて取付けられる。
【0026】
又、図3に示される様に、前記被取付け部材23に径の小さい小径ポール15bを取付ける場合には、先ず前記ポール取付け部2の前記ポール取付け凹部7に前記小径ポール15bを嵌込む。
【0027】
次に、前記ポール取付け金具1を前記小径ポール用切欠き部18,18が前記ポール取付け凹部7に対向する様に配置し、前記第2板金部材12の前記小径ポール用切欠き部18,18を前記小径ポール15bに嵌込み、該小径ポール15bを前記ポール取付け部2と前記ポール取付け金具1とで挟み込む。この状態では、前記小径ポール用孔22,22と前記小径ポール用ネジ孔25,25とが対向している。
【0028】
最後に、ボルト26,26を前記小径ポール用孔22,22に挿通し、前記小径ポール用ネジ孔25,25に螺入し、締込むことで、前記小径ポール15bが前記ポール取付け金具1と前記被取付け部材23に挟込まれて取付けられる。
【0029】
而して、前記ポール15の径が大きい場合であっても、小さい場合であっても、同一の前記ポール取付け金具1を用いて前記被取付け部材23に前記ポール15を取付けることができる。
【0030】
上述の様に、本発明に於ける前記ポール取付け金具1は、前記第1板金部材11と前記第2板金部材12の上端部及び下端部をそれぞれ屈曲させ、前記第1屈曲部13,13及び前記第2屈曲部17,17に角度の異なる前記大径ポール用切欠き部14,14及び前記小径ポール用切欠き部18,18をそれぞれ形成し、更に前記第1板金部材11と前記第2板金部材12とを貼合せることで構成されるので、前記ポール取付け金具1を成形する際に、鋳造用の金型を用意する必要がなく、成形時に於ける金型作成等の初期費用を低減できると共に、小ロット生産時に於ける生産単価を抑えることができ、小ロット生産への対応が容易となる。
【0031】
更に、前記大径ポール用切欠き部14,14及び前記小径ポール用切欠き部18,18に臨む、前記第1屈曲部13,13及び前記第2屈曲部17,17の板端面に、それぞれ前記凹凸部16,16及び前記凹凸部19,19を形成したので、前記ポール取付け金具1と前記ポール15との接触面積が減少し、それに伴い接触圧力が増加し、前記ポール取付け金具1の前記ポール15への固定能力を向上させることができる。
【0032】
(付記)
又、本発明は以下の実施の態様を含む。
【0033】
(付記1)被取付け部材をポールに取付けるポール取付け金具であって、上端部及び下端部が屈曲され第1屈曲部が形成されると共に、該第1屈曲部の中央に所要の角度を有し、前記ポールが嵌合するV字状の第1切欠き部が形成された第1板金部材と、上端部及び下端部が屈曲され第2屈曲部が形成されると共に、該第2屈曲部の中央に前記第1切欠き部とは異なる角度を有し、前記ポールが嵌合するV字状の第2切欠き部が形成された第2板金部材とを具備し、前記第1板金部材と前記第2板金部材とを貼合せて一体化したことを特徴とするポール取付け金具。
【0034】
(付記2)前記第1切欠き部及び前記第2切欠き部に臨む前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部の板端面には、それぞれ凹凸部が形成された付記1のポール取付け金具。
【符号の説明】
【0035】
1 ポール取付け金具
2 ポール取付け部
11 第1板金部材
12 第2板金部材
14 大径ポール用切欠き部
15 ポール
16 凹凸部
18 小径ポール用切欠き部
19 凹凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付け部材をポールに取付けるポール取付け金具であって、上端部及び下端部が屈曲され第1屈曲部が形成されると共に、該第1屈曲部の中央に所要の角度を有し、前記ポールが嵌合するV字状の第1切欠き部が形成された第1板金部材と、上端部及び下端部が屈曲され第2屈曲部が形成されると共に、該第2屈曲部の中央に前記第1切欠き部とは異なる角度を有し、前記ポールが嵌合するV字状の第2切欠き部が形成された第2板金部材とを具備し、前記第1板金部材と前記第2板金部材とを貼合せて一体化したことを特徴とするポール取付け金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−229088(P2011−229088A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99175(P2010−99175)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】