説明

マイクロポンプを有する創傷ドレッシング

複合創傷ドレッシング装置は、マイクロポンプシステムの使用によって創傷の治癒を促進する。マイクロポンプシステムは、嵩高な外部圧力(例えば、真空)供給源を必要とせずに、効果的に創傷流体又は滲出物を創傷床から引き出すか、又は創傷床に流体を供給するために、大気圧未満の圧力を創傷に適用する、マイクロポンプを含む。したがって、創傷ドレッシング及びマイクロポンプシステムは、可搬性があり、これは外部真空源が使用されている場合には不可能である、患者の可動性を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、開放創を治療するための装置並びに特に、創傷治癒プロセスを促進するために創傷への流体の導入及び創傷からの流体の排出の両方に構成されたマイクロポンプを有する創傷ドレッシングに関連する。
【背景技術】
【0002】
創傷閉鎖は、創傷が閉鎖するまでの、創傷に隣接する上皮、及び皮下組織の創傷の中心部に向う移動を伴う。残念ながら、閉鎖は大きな創傷、又は感染した創傷においては困難である。このような創傷では、鬱血領域(すなわち、組織の局所的な膨張が組織への血流を阻害する)が、創傷の表面付近に形成される。十分な血流がないと、創傷を囲む上皮及び皮下組織は受け取る酸素及び栄養素が減るだけではなく、また微生物感染に打ち勝つことができ難くなり、したがって自然に閉鎖しにくくなる。このような創傷は長年にわたり、医療関係者に困難をもたらしてきた。
【0003】
例えば、皮膚潰瘍は多くの糖尿病患者において一般的な問題であり、多くの場合血行不足、並びに糖尿病、及び/又は欠陥疾患に伴う神経損傷によってもたらされる。このような潰瘍の治療は多くの場合、比較的健康な供給者部位から、潰瘍創傷部位への皮膚の移植を伴う。分層植皮術を利用して供給者部位から皮膚移植片を得ることができ、これはその後自然に治癒することができる。全層植皮術は他方で、一般的に供給者部位の閉鎖を必要とする。更に、多くの創傷が「慢性状態」で停滞する場合があり、更なる治癒が生じず、それどころか創傷が実際に寸法、及び深さを増すことがある。
【0004】
創傷ドレッシングは、解放創の治癒を保護し、及び/又は促進するために医療産業において使用されてきた。様々な種類のドレッシング材料が良好に利用されてきたが、患者の快適性を向上させ、感染の危険性を低下させることができるために、半透過性材料を含む膜が多くの場合好ましい。半透膜は一般的に水蒸気を通過させるが、液体に対しては一般的に不透過性である。したがって、これらは創傷部位を「通気」させることによって治癒を促進することができる。業界標準は、3M社,St,Paul,MNによって販売されるTegaderm(商標)である。透明ドレッシングは「通気」することができるが、これらは多くの場合、過剰な創傷流体滲出物を蒸発させるための十分な湿気透過速度(MVTR)を有さない創傷に蓄積、及び/又は停滞されてしまう場合、最適な創傷治癒は生じない。
【0005】
手術創傷においては、真空の適用(減圧)を使用して遠隔の容器に過剰な流体を取り出す創傷排液を使用することによって、これは緩和される。創傷排液の使用は、多くの場合排出管を導入するための別個の切開を使用する。慢性の創傷のための多くのドレッシングは過剰な創傷流体を吸収する。例としては、ヒドロコロイド接着性ドレッシング、吸収性発泡体ドレッシング、アルギネートドレッシング、ヒドロゲルドレッシングなどが挙げられる。これらのドレッシングは過剰な創傷流体を吸収するが、これらは飽和して滲出の多い創傷内に流体を蓄積させる場合がある。更にこれらは、乾燥状態にある傾向を有する創傷の、創傷治癒環境を最適化しない。これらの乾燥創傷は、創傷床への不十分な血流によって特徴付けられ得る。
【0006】
別の技法は負圧療法の使用であり、これはまた吸引、又は真空療法としても知られる。これらの装置はフィルムドレッシングの下の創傷床に真空を作用させる。過剰な創傷流体の除去に加え、真空は間質液を創傷床に流入させ、治癒を促進するものと考えられる。市販の装置は、KCIによって「Wound Vac」の商標名で、及びSmith and Nephew(以前のBluesky Medical)によって「VISTA」の商標名で販売されている。これらの装置は、モーター駆動電気真空ポンプ、創傷ドレッシング、及び創傷流体捕捉器を含む。創傷ポンプは再利用可能であり、他の患者の汚染を極小化するために、真空ポンプと創傷ドレッシングとの間に流体捕捉器が配置される。したがって、捕捉器が充填された際に捕捉器を換えるために治療が中断されなくてはならない。最後に、全体的なシステムが減圧下で動作することから、分析のための創傷流体サンプルを治療を中断せずに取り出すことが、不可能でないにしても困難になる。これらのシステムは一般的に大きく、容易に持ち運べないことがある。
【0007】
より小さなシステムが例えば、米国特許出願公開第2007/0078366 A1号において提示され、これは多層創傷ドレッシング、及びマイクロポンプからなる複合創傷ドレッシングを開示する。創傷ドレッシングは、基部層、包装層、吸収性層、及びトップシートを有するものとして記載される。トップシートは、創傷ドレッシングを封止するために封止されるものとしている(段落0032)。段落0034は、「マイクロポンプ120は吸収性層106内に埋め込まれるか、吸収層106に取り付けられるか、又は別の方法として創傷ドレッシング100の領域内に結合されてもよい」と述べている。したがって、米国特許出願公開第2007/0078366号の図1、2、4、及び6に例示されるように、動作中、マイクロポンプは創傷ドレッシング、及び創傷によって形成される空洞内に封止される。マイクロポンプは、創傷床上に真空をもたらすものとされている(例えば、段落0034を参照)。これは、開示される構成では基本的に不可能であるように見える。マイクロポンプはドレッシングからの出口を有さない封止された空洞内に位置するため、創傷の空洞から流体(空気又は液体)を排出せずに真空を生成することはできない。記載され例示されるように、マイクロポンプの入口及び出口は共に創傷の空洞区画内にある。
【0008】
米国特許公開第2007/0078366号に開示される複合ドレッシング設計の更なる問題は、真空治療を必要とする創傷の多く(又は恐らくは殆ど)が大量の流体を生成し得るということである。開示は、アクセスドアを開け(段落0033参照)、飽和した吸収性層を取り出すことによって、ドレッシングからの流体の除去が行われることを提示する。多くの創傷に関してこれは頻繁な取替えを必要とし、これは不便であり、医療労働者を不必要に体液に曝露し、かつカニスターに滲出物を回収する現在のシステムよりも遥かに多くの労働力を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
使用の容易さ、創傷治癒の効率性、及び一定の負圧の供給源が、創傷治療の継続的な改善によって対処される必要のある、現在焦点となる問題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の創傷ドレッシングマイクロポンプシステムは、創傷ドレッシング、マイクロポンプ、及び流体貯蔵装置を含む。創傷ドレッシングは、任意により弁、又は他のマイクロポンプ取り付け手段を備える、任意により接着剤コーティングされた、薄いフィルムドレッシングを含む。マイクロポンプは、ドレッシングと、流体貯蔵装置との間に配置され、それによって流体が創傷ドレッシングからマイクロポンプの入口側に入り、正圧下で流体貯蔵装置に出る。好ましい実施形態では、マイクロポンプは、ドレッシングと一体であり、小さい電池電源によって駆動される。流体貯蔵装置は、バッグ、又はカニスターなどのように単純であってよく、任意により、超吸収剤などの吸収剤を組み込むことができ、かつ任意により通気孔を含み得る。
【0011】
1つの好ましい実施形態では、創傷ドレッシング装置は、創傷床、及びマイクロポンプシステムに対する位置決めのための寸法を有する創傷ドレッシングを含む。マイクロポンプシステムは、創傷床からの流体の除去を促進し、かつ間質液の創傷床への流れを促進するために、少なくとも創傷ドレッシングに大気圧未満の圧力を作用させるためのマイクロポンプを含む。マイクロポンプは好ましくは、これが創傷ドレッシングと一体となるように創傷ドレッシングに取り付けられる。別の好ましい実施形態では、マイクロポンプは創傷ドレッシングと流体連通している。好ましいマイクロポンプは、約0.7kPa(5mmHg)〜約66.7kPa(500mmHg)、及び好ましくは約3.3kPa(25mmHg)〜約33.3kPa(250mmHg)の範囲の圧力だけ大気圧を下回る圧力を生成するように構成される。
【0012】
好ましいマイクロポンプは、電気モーターなしに(すなわち、回転部を有さない)動作する。好ましいマイクロポンプは、エラストマーの隔膜を利用して空気及び創傷流体を移動させる。本明細書で使用するとき、「マイクロポンプ」とは、約20cm未満、好ましくは10cm未満、及び最も好ましくは約8cm未満である作動装置寸法を有するマイクロポンプを意味する。複数の作動装置を備えるマイクロポンプの場合は、作動装置寸法面積が合計して算出される。
【0013】
好ましい実施形態では、マイクロポンプは低費用及び使い捨てであり、これは感染症の伝播を抑えることができる。更に、好ましいマイクロポンプドレッシングシステムは、減圧(大気圧より低い、すなわち真空)を使用して創傷から流体を除去することができるが、また正圧(大気圧より高い)でマイクロポンプにより流体を貯蔵装置に移すこともできる。
【0014】
本発明は、電気反応性(例えば、圧電、又は電歪)隔膜を使用して作製される創傷マイクロポンプを開示する。隔膜は、好ましくは、印加された電界に反応して機械的変形を提供し、したがって作動装置として機能する電気反応性フィルムから、少なくとも部分的に構成される。
【0015】
他の種類の創傷真空システムとは異なり、開示されるシステムの構成は、充填されて、それと関連する再利用可能なモーター駆動マイクロポンプを汚染する恐れのある「流体補足器」の使用を排除する。このようなシステムはまた、捕捉器から排液するために中断しなくてはならない。本発明の正圧創傷流体貯蔵装置は、創傷治療を中断することなく取り替えることができる。最後に、マイクロポンプドレッシングシステムは、先行技術の負圧治療装置よりもはるかに小さく、複雑でなく、かつ静かである。これは、より高い患者の快適性、及び歩行できる患者の容易な歩行を可能にする。
【0016】
好ましい創傷ドレッシングは、外辺部に囲われた内部を有する裏材層を含む。裏材は、接着剤コーティングを有する皮膚接触表面を含む。接着剤コーティングは、創傷ドレッシングの全部又は一部に適用されてよいが、少なくとも皮膚接触外辺部に適用される。接着剤は、内部創傷接触部分にわたって適用されても、されなくてもよい。裏材層は以下で更に記載され、好ましくは通気性半透過性材料フィルムを含み、これは水蒸気を通過させることができるが、液体に対してほぼ不透過性であり、細菌感染を防ぎ、かつ十分な真空が治療領域に適用され得ることを確実にする。接着剤コーティングは同様に半透過性であり、連続的、又は非連続的パターンであり得る。非連続的なパターンは印刷又はコーティングされた設計形状であってもよく、又は無作為なパターンであってもよい。非連続的な無作為パターンは、例えば、ブローンマイクロファイバー(BMF)感圧接着剤の使用によってつくられてもよい。好ましい実施形態は接着剤を使用して封止を形成するが、例えば、手足又は腹部周囲の周辺被覆など、接着剤コーティング及び創傷を覆う封止を有さないドレッシングもまた想到される。
【0017】
創傷ドレッシングは任意により、例えば、薬剤、抗感染剤、抗菌剤、防腐剤(例えば、ポリヘキサメチレンビグアニド(以降「PHMB」)、クロルヘキシジン、銀、ヨード、ヨードフォア、塩化ベンザルコニウム、過酸化水素、加えて以下の同時係属出願、米国特許第2005/0089539号、同第2006/0051385号、同第2006/0052452号、及び同第2006/0051384号(これらは参照として本明細書に組み込まれる)に開示される防腐剤、抗生物質、鎮痛剤、局所麻酔、抗炎症剤、回復因子、ビタミン、成長因子、例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤などの酵素阻害剤、及び栄養素を含む多くの活性剤の少なくとも1つ、並びに/又はマイクロビーズ充填剤、及び/又は吸収性発泡体の1つを含み得る。このような活性剤は、裏材、接着剤、及び多孔質フィルターを含む創傷ドレッシングのいずれかの部分での溶出により、又は減圧環境による創傷空間への薬剤の制御された導入を可能にする別個の貯蔵チャンバから組み込まれてもよい。あるいは、薬剤は米国特許第6,867,342号に教示されるように、又はドレッシングを通じて薬剤を直接注入することによって組み込まれ得る。
【0018】
創傷ドレッシングはまた、多孔質フィルター構成要素を含んでもよく、これはマイクロポンプを詰まらせることのある大きな断片を濾過するように機能する。一実施形態では、多孔質フィルターは創傷部位とカバードレッシングとの間に配置される創傷包装材料の中間層を含む。中間層は、例えば、吸収性、ウィッキング又は毛管作用、及び表面接触作用などの様々な特性を有する様々な創傷包装材料を含み得る。中間材料層は主に、創傷(治療領域)とドレッシングとの間に形成されるチャンバー内に位置する。
【0019】
以下の定義された用語に関して、別の定義が特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所において示されない限り、これらの定義が適用される。
【0020】
用語「電気反応性」とは、電荷を蓄えるか、生成するか、受容する要素を指す。これらの要素は典型的には導電性材料及び非導電性材料の交互層を含む。
【0021】
用語「切断面」(すなわち、切断位置)とは、三次元の物体に関する仮想的な平面を指す。例えば、y−z平面内に向けられる切断面は、個別の電気反応性要素を分離するために有用である。要素を分割するため、切断面又は切断位置はx寸法に垂直であり、導電層の交互配置された導電性区域の面は、分離後に要素2面の一方に曝露され、一致する。
【0022】
用語「ユニットセル」とは、分割可能な寸法方向に沿って反復するか、又は延びる要素を指す。例えば、電気反応性要素のためのユニットセルは、少なくとも1つの非導電層、及び少なくとも2つの導電層を含む。非導電層は、導電層の間に位置する。ユニットセルは、y−z切断面においてx寸法方向に延びる複数のユニットセルから分離可能である。
【0023】
用語「隙間」とは、物体、又は部分の間の空間を指す。例えば、導電層の導電性区域の間の隙間とは、x寸法方向に延びる区域の間の空間を指す。電気反応性要素の隙間は、高分子非導電性材料を含み得る。隙間はまた、非導電性区域とも称され得る。
【0024】
用語「基準面」とは、三次元の物体に関連する仮想的な平面を指す。例えば、y−z平面内に向けられる基準面は、導電層の導電性区域の表面、又は物品、若しくは電気反応性要素の面と一致し、平行である。基準面はx寸法と垂直であり、切断面と平行である。基準面はまた切断面でもある。
【0025】
用語「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の状況下で、特定の利点をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下において、他の実施形態もまた好ましいことがある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0026】
本明細書で使用するとき、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、同じ意味で使用される。用語「及び/又は(使用される場合)は、1つ又は全ての特定した要素/特性、若しくは任意の2つ以上の特定した要素/特性の組み合わせを意味する。
【0027】
用語「及び/又は」は、1つ又は全ての記載した要素/特性、若しくは任意の2つ以上の記載した要素/特性の組み合わせを意味する。
【0028】
上記概要は、本発明の各実施形態又は全ての実装形態を記載するものではない。むしろ本発明に対する一層の理解は、添付図面と共に以下の実施形態の詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することによって明らかとなり、かつ認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
対象の創傷ドレッシングの様々な実施形態が、図面を参照にして記載される。
【図1】本発明による創傷ドレッシングの一実施形態の平面図。
【図2】図1の線2−2に沿ってとった図1の創傷ドレッシングの断面図。
【図3】創傷Wを覆うように位置する、図1及び2の創傷ドレッシングの断面図。
【図4】隔離要素及び弁を含む代表的な医療用ドレッシングの内部表面の平面図。
【図5】少なくとも2つの電気反応性要素を有する電気反応性作動装置の略図。
【図6】ユニットセルの略図。
【図7】両面に導電性コーティングを有する第1装置の略図。
【図8】絶縁層でコーティングされた第2装置の略図。
【図9】x寸法で反復する電気反応性要素を含む物品の略図。
【図10】x、y、及びz寸法で表される少なくとも2つの電気反応性要素を有する物品の略図。
【図11】z寸法で反復する電気反応性要素を含む物品の略図。
【図12】面120に沿った、y−z平面内に見られるユニットセルの略図。
【図13】面130に沿った、y−z平面内に見られるユニットセルの略図。
【図14】x−y平面に見られる2つの電気反応性要素を有する物品の平面図。
【図15】マイクロポンプが創傷ドレッシングに取り付けられている、創傷ドレッシング、及びマイクロポンプシステムの概略図。
【図16】マイクロポンプが創傷ドレッシングと流体連通している、創傷ドレッシング及びマイクロポンプシステムを例示する、図3の図と同様の図。
【図17】創傷ドレッシングキットの1つの代表的な実施形態内に提供され得る構成要素のブロック図。
【図18】管状マイクロポンプの代表的な実施形態の図。
【図19】管状マイクロポンプの代表的な実施形態の図。
【図20】隔膜マイクロポンプの代表的な実施形態の図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の本発明の好ましい実施形態の記載において、本発明の一部を形成し、そして本発明が実行されうる具体的な実施形態が例示される添付の図面が参照される。本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態が利用されてもよく、並びに構造的変更が行われてもよいことは理解されるであろう。
【0031】
本開示の複合創傷ドレッシング装置は、マイクロポンプシステムの使用によって創傷の治癒を促進する。創傷ドレッシングから取り除かれた流体は気体、及び/又は液体(これは、壊死組織、血栓などの、分散した固体粒子を含み得る)を含み得る。流体の除去は、医療用ドレッシングを取り除くか、ないしは別の方法で阻害することなく行うことができる。本発明の有用な用途の一般性を制限することなく、ドレッシングは、手術創傷、美容整形手術手順、火傷、切り傷、擦り傷、及び様々な種類の潰瘍、例えば、糖尿病、蓐瘡、末梢血管疾患、静脈鬱血、及び外傷性潰瘍などに適用され得る。
【0032】
本明細書において使用される際、用語「封止環境」とは、創傷を覆って取り付けられた医療用ドレッシングの外部を囲む周囲雰囲気からの流体(及び固体)が封止された環境に自由に入り込めないことを意味する。封止環境は好ましくは、負圧が封止環境内に維持され得るような、医療用ドレッシングと、創傷を囲む表面との間の密封封止を含む。例えば、医療用ドレッシングが13.3kPaの真空(100mmHg)(すなわち、大気圧よりも13.3kPa(100mmHg)低い圧力)、場合により26.7kPa(200mmHg)もの真空を保持することができる(本明細書において記載されるように少なくとも一時的に)のが好ましいことがある。いくつかの従来的な医療用ドレッシングは、このような封止環境を提供し得るが、本発明の医療用ドレッシングはその一方でまた、医療用ドレッシングの一部として提供される少なくとも1つの開口部を通じて封止環境に流体(液体及び/又は気体)を取り込み、取り出す可能性を提供する。
【0033】
封止環境からの流体の除去は、医療用ドレッシングがそれを覆うように位置する創傷へと負圧又は減圧療法を提供するために有用であり得る。好ましい実施形態では、本発明の医療用ドレッシングによってつくられる封止環境は、好ましくは、封止環境と流体連通する活動的真空供給源の不在下で負圧(すなわち、大気圧よりも低い圧力)に維持され得る。換言すると、本発明の医療用ドレッシングは、封止環境からの能動的な流体除去の間の期間に、負圧、又は減圧による封止環境を維持するために使用され得る。結果として、医療用ドレッシングは断続的又は周期的な流体除去のみによって負圧又は減圧環境を提供することができる。
【0034】
医療用ドレッシングによる、封止環境内に維持される負圧の規模は、典型的には時間と共に低下するが(封止環境からの流体のこの能動的な除去の間に最高に達したあと)、医療用ドレッシングがいくらかの有意な時間にわたって負圧を維持し得ることが好ましい場合がある。いくつかの実施形態では、封止環境(能動的な流体除去の不在下で)において、1分間以上、5分間以上、10分間以上、15分間以上、30分間以上、又は更に60分間以上の期間にわたり、少なくとも一定の水準の負圧を維持し得ることが望ましい場合がある。
【0035】
医療用ドレッシングによって画定される封止環境内の負圧の低下は、様々な要因によって生じ得る。例えば、低下のいくらかは医療用ドレッシングの裏材、及び/又は医療用ドレッシングを対象に取り付ける接着剤を通じた封止環境内への気体の拡散によることがある。封止環境内の負圧低下の別の要因は、対象から封止環境へと入る(すなわち、創傷自体及び/又は創傷を囲む組織を通じて)気体及び/又は液体によって生じることがある。
【0036】
本発明の医療用ドレッシングは負圧創傷治療を提供するために使用され得るが、場合によっては、流体又は他の物質がマイクロポンプによって医療用ドレッシングを通じて封止環境内に潜在的に供給され得る。マイクロポンプによる医療用ドレッシングを通じた封止環境への物質の供給が、本明細書において記載される医療用ドレッシングの封止環境を画定する能力を機能的に損なわないことが好ましい場合がある。
【0037】
封止環境内の負圧を維持するために、医療用ドレッシングの開口部は一方向弁であることが好ましい場合がある。換言すれば、弁が一方向での流体の流れ(封止環境から出る)を可能にし、反対方向の流れ(封止環境に入る)を制限、又は阻止することが好ましい場合がある。あるいは、弁が一方向での流体の流れ(封止環境に入る)を可能にし、反対方向の流れ(封止環境から出る)を制限、又は阻止することが好ましい場合がある。
【0038】
様々な実施形態において、医療用ドレッシングは、弁への開いた流体経路を提供するための離隔支持要素(封止環境内の負圧下で閉鎖することに抵抗する)、バリア要素(弁の目詰まりを制限する)、隔膜要素、及び/又は密閉要素を含んでもよい。密閉要素は、場合によっては、弁を覆うように提供されてもよく、それによって密閉要素が取り除かれるまで弁は封止閉鎖される。
【0039】
本発明による創傷ドレッシングの1つの代表的な実施形態が、図1、2、及び3に表される。創傷ドレッシング12は裏材21(本明細書において記載されるように、これは、好ましくは柔軟性がある)を含む。裏材21は、2つの対抗した主表面、内表面22及び外表面24を含む。使用中、内表面22は、ドレッシングがそれを覆うようにして配置される創傷(又は他の身体部位)に面し、一方で外表面24は創傷(又は他の身体部位)と反対側を向く。
【0040】
創傷裏材21のために潜在的に好適な材料は、以下でより詳細に記載されるが、機能的に、裏材21は好ましくは、液体、及び気体の迅速な拡散の両方に対するバリアとして機能する材料から作製される。裏材21のバリア特性は絶対的であってもなくてもよく、例えば、裏材21は気体の限定的な通過を可能にし得るが、裏材21(及び、ドレッシング12の他の構成要素)は、好ましくは気体の通過に対して十分なバリア特性を提供し、それによって創傷を覆うように配置されたときに、治療領域に対して十分な真空環境が少なくとも一時的に適用され得る。例えば、裏材は好ましくは比較的高い湿気透過速度を有するが、液体に対して実質的に不透過性であってもよい。
【0041】
ドレッシングはまた、裏材層の内表面に接着剤を含み、それによってドレッシングは、内表面が創傷に面するように、創傷を覆って対象に接着されてもよい。接着剤39は、連続的な及び/又はパターンを有するコーティング方法で内表面22の全部又は一部を被覆してもよい。図2に表される接着剤39は、裏材21の外辺部又は境界部周辺にのみ提供され、それによって接着剤39は裏材21の内表面22の中央部周辺にフレームを形成する。他の多くの構成が可能である。図3に一構成が表され、ここでドレッシング12は創傷Wを覆うように位置し、一方で接着剤39は創傷Wを囲む組織(例えば、皮膚)に取り付けられる。ドレッシング12は、創傷W及び創傷を囲む組織と共に、好ましくは封止環境を画定し、ここで創傷Wは周辺環境から隔離される。裏材21の内表面22は、創傷が内部に位置する封止環境に面し、一方で裏材21の外表面24は創傷Wと反対側を向く。
【0042】
図1及び2に表される接着剤39は、好ましくは裏材21の内表面22の一部のみに曝露され得る。図1及び2に表される実施形態では、接着剤39は内表面22の一部にのみ提供される(すなわち、内表面22の中央部は接着剤39を含まない)。しかしながら、他の実施形態では、接着剤は内表面22の実質的に全体にわたって提供され、接着剤の一部が別の要素によって被覆されてもよく、それによって接着剤の一部のみが対象への取り付けのために曝露されたままとなる。
【0043】
しかしながら、いずれの実施形態においても、接着剤39が裏材21の外辺部全体の周囲に連続的に延び、それによってドレッシング12が、対象に取り付けられたときに創傷にわたって封止環境を形成することができ、封止環境の境界が、接着剤39によって創傷を覆うようにして対象に接着されるときに裏材21の内表面22によって画定されることが好ましいことがある。
【0044】
好ましい実施形態では、ドレッシングは創傷への容易な供給のために構成される。これは、例えば、米国特許第6,742,522号及び同第5,979,450号(参考として本明細書に組み込まれる)に開示されるハンドル及び任意により補強ストリップを使用して、又は米国特許第6,169,224号、同第5,088,483号、及び同第4,598,004号(やはり参照として本明細書に組み込まれる)に記載される、いわゆる「フレーム供給」を使用して行われ得る。
【0045】
接着剤は典型的にはライナーによって保護される。本発明の接着剤複合体に使用するために好適なライナーは、クラフト紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、又はこれらの材料のいずれかの複合体から作製することができる。ライナーは、好ましくは、フッ素性化学物質又はシリコーンなどの剥離剤でコーティングされる。例えば、その開示が参照として本明細書に組み込まれる米国特許第4,472,480号は、低表面エネルギーのペルフルオロ化合物ライナーを記載している。好ましいライナーは、シリコーンの剥離材料でコーティングした、紙、ポリオレフィンフィルム、又はポリエステルフィルムである。市販のシリコーンコーティングされた剥離紙の例はJames River Co.,H,P,Smith Division(Bedford Park,Ill.)から入手可能なPOLYSLIK(商標)シリコーン剥離紙、及びDaubert Chemical Co.(Dixon,Ill.)から供給されるシリコーン剥離紙である。最も好ましいライナーはDaubertから入手可能な1−60BKG−157であり、これは水性シリコーン剥離表面を有するスーパーカレンダークラフト紙である。あるいは、創傷ドレッシングは、例えば、米国特許第5,803,086号に記載されるように、ライナーがなく、ロールの形態で供給されてもよい。
【0046】
創傷ドレッシングは好ましくは、単一片であるが、米国特許第4,969,880号(参考として本明細書に組み込まれる)に教示されるように互いに組み合わされてシームを形成する2つ以上の断片から形成されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、医療用ドレッシングが、封止環境に入る流体(例えば、液体)を吸収するために創傷包装材料などの吸収性材料を含むことが好ましい場合がある。潜在的に好適な吸収性材料の例としては、親水性発泡体、織布材料、不織布材料など、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。吸収性材料は、吸収性であり、かつ弁を通じて封止環境に真空が作用した際にいずれかの吸収された流体の少なくともいくらか(好ましくは大部分)を放出することができることが好ましい場合がある。封止環境からの流体の除去の間に吸収された流体を放出することにより、吸収性材料の流体を吸収する能力が再生されてもよく、これは医療用ドレッシングの耐用寿命を延ばすことある。
【0048】
創傷ドレッシング12は更に、裏材21を通じて形成される1つ以上の通路を覆う、裏材21に取り付けられる通常は閉じている弁30を更に含んでもよい。弁は創傷ドレッシングによって画定される封止環境から流体を取り除くことを可能にする。裏材21の1つ以上の通路を通る流体の流れは、弁30によって制御される。弁30(好ましくは一方向弁)は、マイクロポンプと接続されているか、又はマイクロポンプと流体連通していてもよい。マイクロポンプが、創傷ドレッシングの裏材の外表面に対して封止することのできる座部を含み、液密封止することが好ましい場合がある。弁は次に、本明細書において記載されるようにドレッシング12がそれを覆って配置される創傷に、真空環境を提供するために使用され得る。図1及び図2に表される創傷ドレッシングは1つの弁30のみを含むが、本発明の創傷ドレッシングは、ドレッシングによって画定される封止環境への追加的なアクセスが所望される場合は、2つ以上の弁を含んでもよい。この目的のための代表的な弁は、2008年4月4日に出願され、参照としてその全体が組み込まれる、出願者の同時係属出願米国特許番号第61/042,338号に、より完全に記載される。
【0049】
本発明の医療用ドレッシングのいくつかの実施形態に含まれ得る別の任意の機構は、封止環境からの流体の除去を補助するために、裏材の内表面上の弁付近に位置し得る隔離要素である。図4は、医療用ドレッシング410の裏材420の内表面422の平面図である。医療用ドレッシング410は、隔離要素450が占める領域を除く、内表面422全体にわたって曝露される接着剤を含み得る。接着剤は連続的に、又はパターンでコーティングされ得るが、コーティングとは無関係に、接着剤が、封止環境内に負圧が得られるように密封封止することができることが好ましい場合がある。パターンコーティングされた接着剤の潜在的に好適なパターンの一例は、格子パターンであり得る。弁430は、隔離要素450が占める裏材420の領域内に位置することが好ましい場合があるが、いくつかの実施形態では、弁430は隔離要素450の外辺部に近接配置してもよい。
【0050】
隔離要素450は、1つ以上の表面上に、開いた流体通路を提供する何らかの形態の構造体を含み、これによって医療用ドレッシング410によって画定される封止環境内部の流体が弁430を通じて取り除かれ得る。例えば、隔離要素450が提供されず、ドレッシング410の内表面422が創傷、又は創傷を囲む皮膚に対して封止する場合、マイクロポンプによる封止環境からの流体の除去は阻害され得る。しかしながら隔離要素450は、封止環境が雰囲気に対して負圧である場合でも弁430を通じた流体除去を促進する、開いた流体経路を維持することができ、すなわち、流体通路は好ましくは、負圧下であっても閉塞に抵抗する。
【0051】
図4に表される衣料用ドレッシングは1つの隔離要素450、及び1つの弁430のみを含むが、本発明の医療用ドレッシングは、例えば、この同じ隔離要素と関連する2つ以上の弁を含んでもよい。例えば、弁の1つが封止環境に対して不適切に配置されている場合、機能不全である場合、詰まる場合などにおいては、複数の弁の使用が有益であり得る。別の変形形態においては、本発明の医療用ドレッシングは2つ以上の隔離要素を含んでもよく、各隔離要素は潜在的に1つ以上の弁と関連して封止環境からの流体の除去を促進する。1つの医療用ドレッシングと関連する2つ以上の隔離要素の使用は、例えば、隔離要素の1つが封止環境に対して不適切に配置されている、目詰まりしている場合などにおいて有益であり得る。
【0052】
本発明の医療用ドレッシングにおいて使用される隔離要素は、多様な形態をとり得る。いくつかの実施形態では、隔離要素は裏材の内表面に直接形成されてもよい(例えば、エンボス加工、研磨、成形、切断などによる)。他の実施形態では、隔離要素は、エンボス加工されるか、研磨されるか、成形されるか、切断されるか、ないしは別の方法で内部に形成されるチャネル又は他の構造体を有する別個の物品(例えば、フィルムなど)の形態をとる。隔離要素を形成する別個の物品は、好ましくは、任意の好適な技術又は技術の組み合わせ(例えば、接着剤、ヒートシール、熱溶接など)によって裏材に取り付けられてもよい。
【0053】
隔離要素のチャネルは、例えば、ハニカムパターンのチャネル、格子、若しくは部分格子、一連の溝(これらは、例えば、平行、放射状などである)、支柱、又は他の区別可能な構造体(例えば、角錐など)などの任意のパターン又は形状であるが、これらに限定されない。隔離要素が、医療用ドレッシングの裏材とは別個の物品として提供されるいくつかの場合では、物品には隔離要素の両主要面上に、流路を形成する構造体が挙げられる。いくつかの潜在的に好適な隔離要素の例は、米国特許出願公開第US2007/0172157号(Buchman)、米国特許番号第6,420,622号(Joshnstonら)などに更に記載され得る。
【0054】
医療用ドレッシングを通じて封止環境に供給される流体は、気体(例えば、酸素、酸化窒素、オゾンなど)及び/又は液体(例えば、生理食塩水、水など)を含み得る。微粒子も場合によってまた、例えば、これらが封止環境内に供給される流体内に取り込まれる場合に、封止環境に供給され得る。
【0055】
場合によっては、封止環境(及び、したがって、ドレッシングによって被覆される創傷)に1つ以上の活性薬剤を供給することが望ましい場合がある。活性薬剤は、流体として提供し得、及び/又は内部容積部に送達される流体内で保有され得る。いくつかの潜在的に適切な活性薬剤は、例えば、抗菌生物材、抗菌剤、鎮痛剤、ビタミンなどの回復因子、成長因子、栄養素などを含み得る。他の潜在的に好適な薬剤の例は、米国特許第6,867,342号に記載され得る。
【0056】
供給される場合、活性薬剤は連続的に、又は断続的に封止環境に供給され得る。例えば、活性薬剤は、封止環境に供給されて、選択される期間にわたって(例えば、数時間)適所に留まらされ(すなわち定置され)、続いて、例えば、第2活性薬剤の供給、負圧治療の供給などが行われる。最初の活性薬剤は、第2の薬剤の送達前に取り出すことが可能であるか、又は定置に残留することが可能である。
【0057】
あるいは、封止環境は、封止環境を負圧条件下に置く前、第2薬剤の供給前などに、例えば生理食塩水又は別の洗浄溶液で洗浄され得る。本明細書において説明されるように、本発明の医療用ドレッシングは、それを通じて医療用ドレッシングによって画定される封止環境から流体を取り除くことができるマイクロポンプを医療用ドレッシングに提供することによって負圧創傷治療に使用されてもよい。流体は、好ましくは医療用ドレッシングに取り付けられ得るマイクロポンプを使用して封止環境から取り除かれる。マイクロポンプは、液密封止するために、医療用ドレッシングの裏材の外表面に対して封止することができる座部又は弁を含むことが好ましい場合がある。
【0058】
封止環境から流体を取り除くために、弁を開き、弁を通じて封止環境から流体を取り除くために、弁の外部周囲の圧力が十分に低減され得る。弁は通常は閉じている一方向弁であることが好ましい場合があり、それにより、減圧環境が弁の外部周囲にもはや存在しないとき(すなわち、弁内外の圧力差が弁を開放状態に維持するために必要な水準を下回る)に弁が再閉鎖する。本明細書において説明されるように、好ましくは負圧が医療用ドレッシングによって画定される封止環境内部に維持され得る。
【0059】
好ましい実施形態では、本発明の創傷ドレッシング及びマイクロポンプシステムは、創傷ドレッシングによって画定される封止環境からの流体の除去の間に、迅速に互いに接続して液密封止を形成することができる。創傷ドレッシング自体は好ましくは機構を有さないことがあるが(例えば、裏材の平滑な外表面のみを提示する)、一方でポンプは機構のない裏材に対して封止し、必要な液密封止を形成することができる表面を提供する座部を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、創傷ドレッシング及びマイクロポンプはより従来的な接続部/取り付け部を含み、マイクロポンプと創傷ドレッシングとの間の液密接続を提供してもよい。このような実施形態では、創傷ドレッシングキットは、例えば、感圧接着剤などを使用して裏材の外表面に取り付けられる取り付け部を含んでもよい。取り付け部は、例えば、マイクロポンプへの接続のために設計された、管コネクタ、ルアロック取り付け部(Luer lock fitting)などを含んでもよい。取り付け部を創傷ドレッシングに取り付けるために使用される接着剤は、解放可能であってもよく、すなわち、取り付け部は潜在的にドレッシングから取り除くことができる一方でドレッシングは創傷を覆うように適所に留まり、それによって創傷ドレッシングによって画定されるあらゆる封止環境は、取り付け部の除去の間、完全なままである。
【0061】
創傷ドレッシングマイクロポンプシステムは大気圧未満の圧力を創傷に適用して創傷流体又は滲出物を創傷床から効果的に引き出し、間質液が周辺の組織から創傷床に流入することを促進する。創傷ドレッシング、及びマイクロポンプシステムの形態の創傷ドレッシング装置は、非常に可搬性があり、これは外部真空源が使用される場合に得られるものよりも、高い患者の可動性を可能にする。本発明のマイクロポンプは、他の準可搬性の状態(例えば、米国特許出願公開第2007/0055209号において開示されるように、患者はマイクロポンプをサポートバッグに入れて持ち運ばなくてはならない)よりも更に高い可動性を可能にするために十分に小さい。患者は、創傷が治療される間のいかなる期間においても制限される必要がない。
【0062】
既知の負圧治療システムとは対照的に、本発明は創傷流体に直接接触するマイクロポンプを利用する。過剰な創傷流体は、マイクロポンプを通過する。したがって、マイクロポンプは好ましくは自吸式であり、封止されたドレッシングと、創傷床との間に捉われた空気をポンプで排出することができるが、創傷ドレッシング、及び/又はマイクロポンプの操作による、手動の空気除去もまた想到される。操作中、マイクロポンプを作動させ、空気がポンプで排出されて真空をつくる。本明細書で使用するとき、用語「真空」とは、周囲大気圧よりも低い圧力を指す。好ましくは、圧力は5〜250mm水銀柱(Hg)(例えば、66.7〜98.7kPa(500〜740mm)の絶対圧力まで、しかしながら、これは大気圧による)だけ低減される。圧力が33.3kPa(250mmHg)超低減した場合、患者は痛みを感じ得る。したがって、好ましくは圧力の低減は26.7kPa(200mmHg)以下であり、より好ましくは23.3Kpa(175mmHg)以下である。好ましくは、十分に間質液を取り除くために、圧力は少なくとも0.7kPa(5mmHg)、3.3kPa(25mmHg)、より好ましくは少なくとも6.7kPa(50mmHg)、及び最も好ましくは少なくとも10.0kPa(75mmHg)低減される。
【0063】
好ましくは、マイクロポンプは、使い捨てであるように設計された安価なマイクロポンプである。ドレッシングを換えるごとにマイクロポンプを廃棄することは、創傷の細菌汚染、及び他の患者への移転の危険性を低減する。好ましいマイクロポンプは、これらが迅速であり、好ましくは自吸式であることを確実にするために、容積流量式マイクロポンプである。小型電気モーターによって駆動するものを含むもの、例えば、マイクロギア、ローブ、ピストン、スクリュー、蠕動、遠心、及び隔膜ポンプなどを含む、多くのマイクロポンプ設計が好適である。以下に更に記載されるような、モーターを必要としない隔膜ポンプ及び電気反応性マイクロポンプが最も好ましい。これらのマイクロポンプは本質的に僅かな可動部分を有し、したがって、より信頼性が高く、非常に迅速に動作することができる。
【0064】
本発明のマイクロポンプは、好ましくは、大気圧を少なくとも13.3kPa(100mmHg)上回る出力圧力(ゲージ圧力)を達成することができる。好ましくはマイクロポンプは、大気圧を少なくとも26.7kPa(200mmH)上回る出力圧力を可能にする。マイクロポンプは、少なくとも毎時約1mLの流量を可能にするべきである。より好ましくはマイクロポンプは、毎時少なくとも約3mLの流量を可能にする。
【0065】
1つのこのようなマイクロポンプは、電気活性材料を使用して作製されてもよく、以下に、及び出願者の同時係属出願米国特許番号第11/684,700号(2007年3月12日に出願され、参考としてその全体が組み込まれる)に記載される作動装置を形成する。マイクロポンプは、少なくとも1つの表面上に電気活性作動装置を有するポンプチャンバ、ポンプチャンバから流体(気体、又は創傷流体などの拡散した固体を含有する液体を含む液体)を出し入れする手段、チャンバを充填する際に流体の外側への移動を制限する手段、及びチャンバを空にする際に流体の内側への移動を制限する手段、並びに適切な電圧、周波数、及び電流で電気活性作動装置に電力を供給する手段を含む。
【0066】
一実施形態では、マイクロポンプは少なくとも3つの要素、電気反応性要素、電気反応性要素の少なくとも一部の厚さにわたって電位差を適用することができる一組の電極、必要な圧縮を得るために適切な電圧降下を適用することができる電源を含む。好ましくは電力(電圧降下)は、例えば、ポテンショメーターの導入などにより、断続的又は可変の圧力を作用させるように調節可能であってもよい。電気反応性要素は、好ましくは、電圧を印加された際に0.01%歪み、好ましくは、0.1%歪み、より好ましくは1%歪み、更により好ましくは3%歪み、及び最も好ましくは5%超の歪みを生じることができる。最も好ましい電気反応性要素は、以下に更に記載されるように、例えば、エラストマー(ポリウレタン、シリコーンゴム、Zetpole、VHB)、粘弾性ポリマー、及びコポリマー又はターポリマー(PVDF、PVDF−TrFE、PVDF−HFP、PVDF−TrFE−HFPなど)などの電気反応性ポリマーである。電気反応性要素はまた、ポリマーセラミックスなどの高分子複合フィルムであってもよく、セラミック要素はPZT、PZN−PT、ポリマーカーボンナノチューブ、炭素繊維、ポリアミドPZT繊維などであってよい。
【0067】
電気活性材料は、2007年3月12日出願、出願者の同時係属出願米国特許番号第11/684,700号(参照としてその全体が組み込まれる)に開示される多層フィルムであり得る。多層フィルム構成は、駆動電圧を著しく低減し、駆動力をより良好に制御することを助ける。この多層構成では、電圧が個別の層に印加され、これらの全体的な移動を生じる。作動装置のフィルム厚さを低減させることは、駆動電圧を著しく低減させる。この多層構成では、同じ駆動電圧を維持しつつ、層の数によって隔膜の剛性を容易に制御することができる。
【0068】
別の方法として、又は本明細書に記載される電気活性ポリマーに加えて、電機反応性要素は磁気制限材料であってもよい。本明細書において使用するとき、磁気制限材料とは、磁場の適用によって寸法が変化するものである。好ましい磁気制限材料は、Terfenol−Dである。例えば、好適な磁気制限材料は、磁気性形状記憶合金材料(FSMA)であり、これはNiTi及びCuZnなどの従来的な形状記憶合金材料に見られるものと同様の双晶機構を呈する。FSMAでは、磁場の適用を使用して形状変化が開始され得る。研究されている別の材料は、Naval Surface Warfare Center(Clarkら)の、Galfenolと称される鉄/ガリウム合金である。Clark,A.E.,「Magnetostrictive rare earth−FeCompounds,」in Ferromagnetic Materials:A Handbook on the Properties of Magnetically Ordered Substances Vol.1,Wolfarth,E.P.,ed.,531〜589,1980.参照。これらの用途では、磁気性原材料を含む作動装置の変位を生じさせるために、電圧ではなく電流が使用され得る。
【0069】
図5に例示されるように、典型的な電気反応性作動装置5は、第1電気反応性要素100及び第2電気反応性要素105を含む。電気反応性要素100は、米国特許番号第4,627,138号(lm)、同第5,997,880号(Friedlら)、同第5,153,859号(Chatignyら)、及び国際出願番号第WO 02/096647A1号(Hilmasら)に更に記載される。電気反応性作動装置5は、第1電気反応性要素100、及び第2電気反応性要素105を含み、これらは非極化されており、x寸法方向に沿って延びる。各電気反応性要素100、105は、3つの相互に垂直な寸法x、y、及びz寸法を有する。要素100、105は、交互配置された導電層40、41、及び非導電層42を含む。導電層40、41は、高分子導電性材料49の区域43、53、44、54、及び高分子非導電性材料47の区域48を含み、かつ非導電層42は高分子非導電性材料47を含む。電気反応性作動装置5は更に切断面20を含み、これは、第1要素100及び第2要素105を分離するために有用である。切断面20はx寸法と垂直であり、かつy−z平面に平行である。
【0070】
第1導電層40及び第2導電層41は、それぞれ導電性区域43、53、44、54を有する。第1導電層40は、第1導電性区域43及び第2導電性区域53を有し、第2導電層41は第3導電性区域44及び第4導電性区域54を有する。導電性区域43、53、44、54は図5に例示されるように配置され、これによって第1導電層40の第1導電性区域43及び第2導電性区域53の第1表面43a、53a、並びに、第2導電層41の第3導電性区域44及び第4導電性区域54の第2表面44b、54bが、要素100、105の対向する面120、130の一方に交互に曝露される。第1面120及び第2面130は、各反応性導電性区域43、53及び44、54の第1表面43a、53a、及び第2表面44b、54bと一致する。更に、対向する第1面120及び第2面130は、切断面20、24及び基準面10と平行である。1つ以上の切断面20で、又は基準面10及び切断面20での分離の後に、2つの面120、130が曝露されて単一の電気反応性要素100を回復する。
【0071】
x寸法は幅、又はクロスウェブ寸法を指し、y寸法は深さ、又はダウンウェブ寸法を指し、z寸法は少なくとも2つの反応性要素100、105を有する電気反応性作動装置5の厚さ又は高さを指す。同様に、y−z平面は、y寸法及びz寸法を有する平面に対応し、x−z平面はx及びz寸法を有する平面に対応する。x−y平面は、x及びy寸法を有する平面に対応する。
【0072】
少なくとも2つの要素100、105を含む、電気反応性作動装置5のx寸法は、電気反応性作動装置5、及び切断面20での分離の後に電気反応性作動装置5から生じる後の電気反応性要素100、105の幅又はクロスウェブ寸法を指す。要素100のx寸法は、0.01マイクロメートル〜1センチメートルの範囲であり得る。好ましくは、x寸法は1マイクロメートル〜0.1センチメートルの範囲、より好ましくはx寸法は、10マイクロメートル〜0.01センチメートルの範囲である。
【0073】
y寸法は、少なくとも2つの要素100、105を含む物品の長さ又はダウンウェブ寸法に関連する。y寸法はまた、切断面20による電気反応性作動装置5からの分離の後の要素100、105にも関連する。要素100、105はそれぞれ、所定の用途によって決定される特定のy寸法を有し得る。要素100は、y寸法と垂直であるx−z平面内の電気反応性作動装置5から分離され得る。要素100のy寸法は、0.01マイクロメートル〜1センチメートルの範囲であり得る。好ましくは、y寸法は1マイクロメートル〜0.1センチメートルの範囲、より好ましくはy寸法は、10マイクロメートル〜0.01センチメートルの範囲である。
【0074】
z寸法は、少なくとも2つの電気反応性要素100、105を含む電気反応性作動装置5の厚さ及び高さに関連する。z寸法は、材料が押出成形装置のダイ開口部を通じて押し出される際の導電性材料及び非導電性材料の交互層の数、並びに共押出成形の複数の層のドローダウンの程度に関連して変化し得る。各要素100、105のz寸法は、3マイクロメートル〜3ミリメートルの範囲であり得る。ダイ開口部を出た後の電気反応性作動装置5のz寸法は、ドローダウンの後の電気反応性作動装置5のz寸法に対して異なる場合がある。好ましくは、z寸法は10マイクロメートル〜0.5ミリメートルの範囲、より好ましくはz寸法は25マイクロメートル〜0.05ミリメートルの範囲である。
【0075】
図5では、電気反応性作動装置5の第1電気反応性要素100及び第2電気反応性要素105は、第1切断面20及び第2切断面24、並びに基準面10を有する。物品の基準面10はまた、切断面20、24の1つとしても機能し得る。基準面10、及び切断面20、24はそれぞれ、yz平面において互いに対して、及び同様に要素100、105の面120、130に対して平行である。基準面10、及び切断面20、24は要素100、105を互いに分離し、導電層40、41の導電性材料49の交互層を、2つの面120、130の一方に曝露する。要素100、105の分離は、打ち抜き、レーザー切断、剪断スリッティング、スコアスリッティング、熱線係合スリッティング、及びこれらの組み合わせを含む技術によって達成され得る。面120、130のいずれかから、x方向に離れて延びる電気反応性作動装置5の縁部又は動作不能要素が、基準面10又は切断面20、24での要素100、105の分離の後に生じ得る。縁部又は動作不能要素は、電気反応性作動装置5のダイ開口部を通じた押出成形及びドローダウンの間に形成される、不規則な形状の表面又は面を含み得る。縁部は、他の用途のために再利用され得る。
【0076】
図5に例示されるように、電気反応性作動装置5は、z方向に延びる、交互配置された導電層40、41、及び非導電層42を含む。交互配置された導電層40、41、非導電層42は、y寸法方向に連続的である。導電層40、41は、x寸法方向に非連続的であり、高分子導電性材料49を含む。非導電層42は、非導電性高分子材料47を含み、これはx寸法方向に連続的である。
【0077】
図5の第1導電層40及び第2導電層41は、それぞれ、少なくとも2つの導電性区域を含む。第1導電層41は、第1導電性区域43及び第2導電性区域53を含み、第2導電層41は第3導電性区域44及び第4導電性区域54を含む。導電性区域43、53及び44、54は、x寸法方向に非連続的であり、y寸法方向に連続的である。第1導電層40の第1導電性区域43は、第1表面43a、第2表面43b、第3表面43c、及び第4表面43dを有する。第1導電層40の第2導電性区域53は、第1表面53a、第2表面53b、第3表面53c、及び第4表面53dを有する。導電性区域43、53はx寸法方向で非連続的であり、非導電性材料47を含有する隙間25を有する。同様に、第2導電層41の導電性区域44は、第1表面44a、第2表面44b、第3表面44c、及び第4表面44dを有する。第2導電層41の第4導電性区域54は、第1表面54a、第2表面54b、第3表面54c、及び第4表面54dを有する。第3及び第4導電性区域44、54はまた、x寸法方向で非連続的であり、非導電性材料47を含有する隙間25を有する。非導電層42は、x及びy寸法方向で連続的に延びる非導電性材料47を含む。
【0078】
図5に例示される電気反応性作動装置5の断面図は、x−z平面における少なくとも2つの電気反応性要素100、105を有する。断面図は、第3表面42c及び第4表面42dを有する非導電層42を示す。非導電層42は、第1導電層40と、第2導電層41との間に位置する。第1導電層40は、非導電層42の第3表面42cに隣接し、第2導電層41は、非導電層42の第4表面42dに隣接する。第1導電層40は、少なくとも第1導電性区域43及び第2導電性区域53を有し、第2導電層41は、少なくとも第3導電性区域44及び第4導電性区域54を有し、導電性区域43、53、44、54の間の隙間25は、高分子非導電性材料47を含有してもよい。導電層40及び41の導電性区域43、53及び44、54は、それぞれ、x寸法方向に反復する。
【0079】
図6は、電気反応性作動装置5の電気反応性要素100、105を例示し、ここで各要素100、105はユニットセル15から作製される。ユニットセル15は、非導電性材料47を含む少なくとも1つの非導電層42を含み、これは2つの実質垂直な軸、x及びy寸法に沿って連続的である第3表面42c及び第4表面42dを有する。ユニットセル15は、少なくとも、更にx寸法方向に非連続的である導電性材料49を含む第1導電層40及び第2導電層41を含み、第1導電層40は第1導電性区域43を含み、第2導電層41は第3導電性区域44を含む。第1導電性区域43は第1表面43a、第2表面43b、第3表面43c、及び第4表面43dを有する。第3導電性区域44は第1表面44a、第2表面44b、第3表面44c、及び第4表面44dを有する。第1導電層40の第1導電性区域43の第1表面43aは、基準面10と一致し、第1導電性区域43の第2表面43bは切断面20まで延びない。第2導電層41の第3導電性区域44の第2表面44bは切断面20と一致し、第3導電性区域44の第1表面44aは基準面10まで延びない。基準面10及び切断面20は、y−z平面において平行である。ユニットセル15は、第1導電層40と第2導電層41との間の非導電層42を有する交互層を含む。
【0080】
図6のユニットセル15は、対向する第1面120及び第2面130を含む。第1面120は基準面10と平行であり、第2面130は切断面20と平行である。基準面10及び切断面20は、y−z面内で平行である。電気反応性要素100、105は、切断面20、及び/又は基準面10で分離可能であり、第1導電性区域43の第1表面43a及び第3導電性区域44の第2表面44bは、それぞれ対向する第1面120、及び第2面130に曝露される。
【0081】
図6のユニットセル15は、第1導電層40の第1導電性区域43の第4表面43dと隣接する第3表面42cを有する非導電層42を例示する。非導電層42の第4表面42dは、第2導電層41の第3導電性区域44の第3表面44cと隣接する。隙間25は、高分子非導電性材料47を含有し得る。
【0082】
図5の電気反応性作動装置5の電気反応性要素100、105は、作動装置、センサー、焦電装置、コンデンサ、及び圧電装置から選択される群の構成要素として使用するために、分極されていない。これらの要素100、105は典型的には導電性材料及び非導電性材料の交互層を含む。要素100の層の数は適切な押出成形装置と共に使用される層化アセンブリの設計、又は他のプロセス検討によって規定され得る。同様に、要素100の寸法は特定の構成の設計及び定義されるユーザー用途に従う場合がある。
【0083】
一実施形態では、図5の要素100の導電層40、41及び非導電層42は、制御された厚さを有する。層の厚さは、層化アセンブリ400の設計に基づき、下流押出成形装置に対応する。要素100は好ましくは導電層40、41を有し、これらは導電性を失うことなく装置内で後に使用するために、可能な限り薄い。非導電層42及び導電層40、41は、典型的には対称であり、好ましくは装置内での要素の導電性を極大化するために可能な限り薄い。対向する第1面120及び第2面130は、切断面20、24及び/又は基準面10で第1要素100及び第2要素105を分離するために使用される。図6に例示されるように、切断面20、24及び/又は基準面10は、第1導電性区域43の第1表面43a及び第3導電性区域44の第2表面44bを、要素100、105の対向する第1面120及び第2面130に曝露する。
【0084】
一実施形態では、図6のユニットセル15は、図7に例示される第1装置600の構成要素として使用され得る。第1装置600は、対向する第1面120及び第2面130上で第2導電性材料510でコーティングされてもよい。第1導電性区域43の第1表面43a、第3導電性区域の第2表面44bが、それぞれ図6の第1面120及び第2面130で曝露される。第1装置600は、z方向に延びる、追加の交互配置された導電層40、41及び非導電層42を含み得る。
【0085】
図7の導電性区域43、44の曝露表面43a、44bを電気的に相互接続するために使用される、面120、130上の第2導電性材料510は、多くの種類であり得る。例としては、はんだ、銀、他の導電性金属、導電性ポリマー、及び導電性充填剤を含有するポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。第2導電性材料510は、好ましくは、導電性区域43、44の曝露表面43a、44bの全てを、面120、130のいずれかに電気的に相互接続するために、対向する面120、130それぞれにわたって適用される。導線が更に第2導電材料510に取り付けられ、続いて第1装置600がポーリングされてもよい。
【0086】
図8は、絶縁コーティング又は層520を有する第2装置610を例示する。装置610は、面120、130及びx−y並びにx−z平面内のいずれかの残りの面上で絶縁層520で更にコーティングされてもよい。第2装置610の絶縁層520は、第1導電層40及び第2導電層41の水分及び水蒸気透過の低減を補助し、加えて第2装置610の電気的切断の可能性を低減する。
【0087】
薄い層厚さを有する要素100を含む装置610は、典型的に10ボルト未満の電圧レベルを有する。層の厚さが低減すると、所定の用途に必要とされる、印加される駆動電圧は低くなる。装置610はまた、0.1MPa〜10GPaの範囲の弾性率を有し得る。
【0088】
図9は、少なくとも第1電気反応性要素100及び第2電気反応性要素105を有する物品180を例示し、要素100、105はx寸法で反復している。要素100、105は1つ以上の切断面20、24によって分離可能である。要素100、105の曝露された対向する第1面120及び第2面130は、切断面20、24及び/又は基準面10での要素100、105の分離から生じる。第1導電層40は、x寸法方向で非連続的である第1導電性区域43及び第2導電性区域53を含む。同様に、第2導電層41の第3導電性区域44及び第4導電性区域54は、x寸法方向で非連続的である。図6に例示されるように、要素100、105はユニットセル15から作製される。
【0089】
一実施形態では、図5の電気反応性作動装置5は、複数の電気反応性要素100、105を含み、要素はn−1切断面20、24によって分離可能である。切断面20、24は、物品のx寸法に垂直である。複数の要素100、105は、n−1個の切断面20、24を有するn個のユニットセル15を含み、ここでnは少なくとも3である。
【0090】
一実施形態では、物品180は、図9のx寸法で反復する第1電気反応性要素100及び第2電気反応性要素105を含む。要素は、好ましくは対称な非導電層42及び導電層40、41を含む。好ましくは、電気反応性要素100、105は、x寸法で、2〜1000個のユニットセル15の範囲で反復する。より好ましくは、要素100、105は、5〜500個のユニットセル15の範囲及びより好ましくは25〜250個のユニットセル15の範囲で反復する。更に、要素100、105は図10に例示されるように、y寸法方向で連続的に延びる。ユニットセル15は、選択される非導電層42及び導電層40、41の数、加えて、押出成形ダイを通じて非導電層42及び導電層40、41を対称にドローダウンした後の個別の層の厚さによって生じるz寸法方向で延びる。
【0091】
図10は、切断線20、24及び基準面10で分離可能な少なくとも2つの電気反応性要素100、105を有する電気反応性作動装置5の三次元透視図を例示する。導電層40、41はy寸法方向で連続的であり、x寸法方向で非連続的である。非導電層42は導電層40、41と交互であり、非導電層42は、x及びy寸法方向で連続的である。非導電性材料47は第1導電層40の導電性区域43、53と第2導電層41の非導電性区域44、54との間の隙間25を占める。
【0092】
図11は、少なくとも第1電気反応性要素100及び第2電気反応性要素105を有する物品190を例示し、要素100、105は、z寸法で反復する交互配置された導電層40、41及び非導電層42を有する。要素100、105は、切断面20、24で分離可能である。図5に同様に例示されるように、第1導電層40は第1導電性区域43及び第2導電性区域53を含み、第2導電層41は第3導電性区域44及び第4導電性区域54を含み、x寸法で反復する。要素100、105を分離するための切断面20、24は、x寸法に垂直である。物品190の切断面20、24に沿った要素100、105の分離は、特定の用途のための多層要素を生じ得る。
【0093】
図12は、要素100のy−z平面での断面図を例示する。要素100の第1面120は、交互配置された導電層40及び非導電層42を示す。y−z平面において、層は第1導電体層40及び非導電体層42を含む。z寸法では、図5に例示されるように、要素100は第1導電層40、非導電層42、第2導電層41の非導電性区域48の非導電性材料47を含み、非導電層42が続く。非導電性材料47は、第1導電層40の導電性区域の間に位置する隙間25又は非導電性区域48を充填してもよく、導電性区域は第1面120の基準面10まで延びない。導電層40は、y方向で連続的である第1導電性区域43の高分子導電性材料49を含む。複数の交互配置された導電層40及び非導電層42が、図11のz寸法方向に延びる多層要素190を形成するために共押し出しされてもよい。
【0094】
図13は、要素100のy−z平面での断面図を例示する。要素100の第2面130は、交互配置された導電層41及び非導電層42を示す。y−z平面では、層は、図5に例示される第1導電層40の非導電性区域48の非導電性材料47、非導電層42、及び第2導電層41を含み、非導電層42が続く。非導電性材料47は、図12の第1導電層40の導電性区域の間の隙間25又は非導電性区域48を充填する。第2導電層41は、y寸法方向で連続的な、第3導電性区域44の高分子導電性材料49を含む。
【0095】
図14は、切断面20、24及び/又は基準面10で分離可能な、少なくとも第1電気反応性要素100及び第2電気反応性要素105を含む、電気反応性作動装置5のx−y平面での断面図を例示する。非導電性材料47で充填された隙間25を有する第1導電層40の第1導電性区域43及び第2導電性区域53を有する、要素100、105が示される。第1導電性区域43の第1表面43aは基準面10と一致し、第2表面43dは、第1切断面20まで延びない。同様に、第1導電層40の第2導電性区域53の第1表面53aは切断面20と一致し、第2表面53bは、第2切断面24まで延びない。第1導電性区域43の第3表面43c及び第2導電性区域53の第3表面53cは、図14に例示されるx−y平面の最上面である。
【0096】
交互配置された導電層40、41はそれぞれ、導電性のための粒子又は充填剤を更に含み得る異なる材料、又は材料の組み合わせから作製されてもよい。同様に、非導電層42はそれぞれ、導電層40、41に使用される、同様の材料又は材料の組み合わせを含み得るが、各個別の非導電層42は、他の非導電層とは異なる材料又は材料の組み合わせを含み得る。非導電層42は、装置の要素100の導電性を高めるために粒子を更に含んでもよい。
【0097】
一実施形態では、第1高分子材料及び有機粒子が導電層40、41の高分子導電性材料49を形成する。
【0098】
一実施形態では、第1高分子材料はエラストマーある。
【0099】
エラストマー特性を有する熱可塑性材料は、典型的には、熱可塑性エラストマー材料と呼ばれる。熱可塑性エラストマー材料は一般的に、周囲温度において共有結合で架橋されているかのように高い弾性及び低いクリープを呈するが、熱可塑性非エラストマーと同様に処理され、その軟化点を超えて加熱された際に流れる材料として定義される。第1高分子材料、または高分子材料のブレンドの1つとして導電層及び/又は非導電層において有用な熱可塑性エラストマー材料としては、例えば、以下に記載されるものなどの、線状、放射状、星形、及びテーパ状ブロックコポリマーが挙げられる。
【0100】
第1高分子材料の例としては、シリコーンエラストマー、アクリルエラストマー、ポリウレタン、ポリブタジエン、熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0101】
一実施形態では、第1高分子材料は熱可塑性である。
【0102】
熱可塑性第1高分子材料の例としては、感圧接着剤、フルオロポリマー、並びにシリコーン及びアクリル部分を含むポリマーなどが挙げられる。フルオロポリマーの例としては、例えば、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)などのホモポリマー、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレンP(VDF−TrFE)、ポリビニリデンフルオライド−クロロフルオロエチレンP(VDF−CFE)、ポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレンP(VDF−HEP)、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレン−クロロフルオロエチレンP(VDF−TrFE−CFE)、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレンP(VDF−TrFE−CTFE)、ポリビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレン−テトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレン−ビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレン−ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ポリビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレン−ブロモトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ブロモトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−クロロフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレン−塩化ビニリデン、及びポリビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−塩化ビニリデンなどのコポリマー、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0103】
有機導電性粒子又は充填剤の例としては、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの材料は、導電層40、41のための高分子導電性材料49を形成するために第1高分子材料に加えられてもよい。第1高分子材料は、有機材料又は充填剤と、混合されるか、ブレンドされるか、合成されるか又は他の手段で行われて、導電層40、41を形成するために好適な材料の均一な混合物を達成してもよい。
【0104】
一実施形態では、第1高分子材料は無機粒子とブレンド、又は混合されて、導電層40、41を形成してもよい。無機粒子又は充填剤の例としては、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、プラチナ、パラジウム、これらの誘導体、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの材料は、導電層40、41を形成するために好適な不規則な形状又は画成された構成を有してもよい。
【0105】
一実施形態では、第1高分子材料は無機コーティングされた粒子とブレンド又は混合されて、導電層40、41を形成してもよい。コーティング粒子のために使用される無機材料の例としては、金、銀、パラジウム、プラチナ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0106】
一実施形態では、第1高分子材料が、導電層40、41の高分子導電性材料49を形成してもよい。導電性である第1高分子材料の例としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリジアセチレン、ポリアセチレン、ポリイソチアナフテン、ポリヘテロアリーレン−ビニレン(ヘテロアリーレン基は、例えば、チオフェン、フラン、又はピロールであり得る)、ポリ−p−フェニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリペリナフタレン、ポリフタロキシアニン、これらのコポリマー、及び物理的混合物であり得る。第1高分子材料は、任意の粒子又は充填剤を含み、導電性であり得る。
【0107】
導電性第1高分子材料と結合するための任意の添加物には更に、ドーパント、ドープ剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ドープ剤は、酸化によるドーピングのための、ヨード、ペルオキシド、ルイス酸、及びプロトン酸、還元によるドーピングのためのナトリウム、カリウム、及びカルシウムを含む。
【0108】
非導電層42は、高分子非導電性材料47を含む。高分子非導電性材料47は、上記の第1高分子材料を含み得る。非導電層42を形成するために、第1高分子材料と、他の高分子材料との混合物、又はブレンドが利用されてもよい。誘電率を増加させるための添加物が、非導電層42の第1高分子材料に加えられるか、これと混合されてもよい。添加物の例としては、BaTiO、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、PT(チタン酸鉛)複合体、PTCa、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの添加物は、第1高分子材料と合成されてもよい。
【0109】
導電性高分子材料49及び非導電性高分子材料47は、電気反応性作動装置5の隣接する層上に押し出されるか、又はコーティングされるために十分な粘性を有する。導電性高分子材料49のブレンドの押出可能な配合物、加えて導電性高分子材料49と非導電性材料47とのブレンドが利用されてもよい。
【0110】
導電層40、41の第1高分子材料は、導電性ポリマー、導電性にされた高分子材料、又は高分子材料のブレンドを含み得る。場合によっては、第1高分子材料は、有機材料と混合されて導電層を生成する。
【0111】
y寸法方向又はダウンウェブ寸法方向で連続的である非導電層42及び導電層40、41は、厚さが実質的に均一(±10%以内)である。同様に、薄い導電層を有することが望ましく、これらの層の厚さは、第1高分子材料とブレンドされる粒子の平均直径又は大きさによって規定される。
【0112】
多層構成は、米国特許第4,627,138号に記載される多層押出成形プロセスによって得ることができる。別の多層押出成形プロセスでは、導電層(また電極とも称される)は、出願者の同時係属出願米国特許番号第11/684,700号(2007年3月12日に出願され、参考としてその全体を組み込まれる)に更に記載されるようにパターン化され得る。このプロセスは、上記の特許に記載されるように、ダイリップに依存して全幅を有するのではなく、作動装置の所望の大きさを制御することを助ける。多層ウェブの共押し出しの方法及び関連する装置は、米国特許番号第6,949,283号(Kollajaら)、同第5,825,543号(Ouderkirkら)、及び同第5,783,120号(Ouderkirkら)に記載される。
【0113】
多層構成はまた、上部及び下部に電極層を有する各電気反応性層を積層することによって達成され得る。積層プロセスは、多くの方法、例えば、接着剤の使用、加熱積層、溶媒の使用(例えば、米国特許番号第5,997,800号に記載される)によって行うことができ、上面を軟化させる。
【0114】
マイクロポンプ
本発明の医療用ドレッシングに関連して使用されるマイクロポンプは、任意の好適な形態をとり得る。いくつかの実施形態では、マイクロポンプは可搬性があり、内蔵型装置であり得るが、他の実施形態ではマイクロポンプは固定された、静的装置であり得る。いくつかの実施形態では、流体は更に、人の口を使用して行う吸引を使用して、医療用ドレッシングによって画定される封止環境から取り除かれ得る(例えば、戦場又は他の遠隔地において)。
【0115】
本発明の医療用ドレッシングと共に使用され及び/又はキットで提供され得るいくつかの潜在的に好適なマイクロポンプの例としては、米国特許出願公開第2007/0209326号(Tretina)に記載されるポンプを含み得るが、他の多くのポンプがこれに開示されるポンプの代わりに使用され得る。上記で特定された文献に記載されるポンプは電源(例えば、電池)を含むが、本発明に関連して使用されるマイクロポンプは手動で駆動されてもよい。他のいくつかの潜在的に好適な、手動で駆動されるポンプの例としては、例えば、圧縮され、その圧縮前の状態に戻ったときにポンプ(例えば、バルブ又は携帯吸引装置(hemovacs)など)の入口で真空力を提供することができる弾力的な空洞を含む装置が挙げられる。
【0116】
いくつかの実施形態では、本発明の創傷ドレッシング及びマイクロポンプシステムは、好ましくは、医療用ドレッシングによって画定される封止環境から取り出される液体(及び、いくつかの実施形態では気体)を収集及び保持することができる、1つ以上の捕捉器又は流体収集構成要素を含む。捕捉器は、いくつかの実施形態では、マイクロポンプと一体であってよいが、他の実施形態では、捕捉器はマイクロポンプと別個であってもよく、それによって捕捉器はマイクロポンプ及び捕捉器の両方を取り替えることを必要とせずに、取り替えることができる。取り出された流体から液体を分離するように設計された、いくつかの潜在的に好適な捕捉器の例は、例えば、米国特許出願公開番号第US2007/0209326号(Tretina)及び同第US2007/0172157号(Buchman)に記載され得る。
【0117】
本発明の医療用ドレッシング及び封止環境から流体を取り除くためにこれと共に使用されるいずれかのマイクロポンプは、迅速に互いに接続して、医療用ドレッシングによって画定される封止環境からの液体の除去の間に液密封止を形成できることが好ましいことがある。医療用ドレッシング自体は、好ましくは機構を有さなくてもよいが(例えば、裏材の平滑な外表面のみを呈する)、マイクロポンプは機構を有さない裏材に対して封止して必要な液密封止を形成することができる表面を提供する座部を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、医療用ドレッシング及びマイクロポンプは、より多くの従来的な接続部/取り付け部を含み、マイクロポンプと医療用ドレッシングとの間の液密接続を提供してもよい。このような取り付け部は、例えば、マイクロポンプが医療用ドレッシングに長期間、例えば、2分超にわたって接続される場合に有用であり得る。このような実施形態では、創傷ドレッシングは、例えば、感圧接着剤などを使用して裏材の外表面に取り付けられる取り付け部を含んでもよい。取り付け部は、例えば、マイクロポンプへの接続のために設計された、管コネクタ、ルアーロック取り付け部(Luer lock fitting)などを含んでもよい。取り付け部を医療用ドレッシングに取り付けるために使用される接着剤は、解放可能であってもよく、すなわち、取り付け部は潜在的にドレッシングから取り除くことができる一方でドレッシングは創傷を覆うように適所に留まり、それによって医療用ドレッシングによって画定されるあらゆる封止環境は、取り付け部の除去の間、完全なままである。
【0119】
好ましいポンプはマイクロポンプである。好ましいマイクロポンプは、少なくとも1つの変形可能要素を有する隔膜ポンプである。これらのマイクロポンプは、電気反応性ポリマー(EAP)、PZTなどのセラミック圧電素子を使用する圧電ポンプ、イオンポリマー金属複合体(IMPC)、加えてカーボンナノチューブを組み込む複合体又は電気反応性反応を高める他の導電素子を含む、多くの手段によって作動され得る。
【0120】
他の好ましいポンプとしては、米国特許第2004/0234401号、国際公開特許WO2006/065884号、及び米国特許第2005/045210号に開示されるデジタルパルス活性化セルシステムポンプ、例えば、好ましくは、米国特許第4,627,138号に教示されるように作製される多層EAP素子を含む、本明細書において開示されるEAPマイクロポンプ、加えて「Dielectric Elastomer Laminates for Active Membrane Pump Applications」(Popeら)Proc.Of SPIE Vol.5385,2004,pp 60〜67に開示されるEAPポンプ、米国特許第5,961,298号に記載される進行波ポンプが挙げられる。好適なEAP材料としては、米国特許第5,977,685号に開示されるものなどのポリウレタン、3M社VHB接着剤#4905などのポリアクリレート、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニリデン/トリフルオロエチレン(VDF−TrFE)、及びNusil CF19−2186などのシリコーンが挙げられる。
【0121】
マイクロポンプは、入口、出口、及び任意により圧力調節のための手段を含む。マイクロポンプは、ドレッシングに直接取り付けられても又はドレッシングと離れていてもよいが、管などの好適な手段によってドレッシングと流体連通してもよい。マイクロポンプは好ましくは一方向性の入口弁及び一方向性の出口弁を含み、流体が排出されて、かつ創傷床に流れて戻らせないことを確実にする。弁は、従来的なボール弁などの、任意の設計であってよい。好ましくは、弁はエラストマー要素を含んでもよい(本明細書において記載されるように)。例えば、好ましい弁は、Yellow Springs,OhioのVernay Laboratoriesから入手可能なものなどの、アンブレラ式弁又はダックビル式弁である。
【0122】
特に、大気圧よりも13.3kPa(100mmHg)超低い真空をつくることができるポンプでは、圧力を調節するために逆止弁又は他の手段が必要とされることがある。これは、規定の圧力降下において開き、空気を創傷床に入らせる逆止弁によって達成され得る。逆止弁が使用される場合、これは、好ましくは微生物を濾過し、これらが創傷床に入ることを防ぐ膜要素を有する。あるいは及び好ましくはマイクロポンプは圧力センサ及び規定の圧力設定点でポンプ速度を低減させる制御回路を備える。この設定点は好ましくは可変であり、臨床医によって容易に設定される。圧力の読み取りが所望され得る。あるいは、マイクロポンプは自己制御式であり、望ましい最大真空を超える、例えば、約20.0kPa(150mmHg)を超える真空をつくることができない。
【0123】
マイクロポンプは、導線又は電源から得られる交流又は直流電力によって駆動され得る。好ましくはマイクロポンプは、小さな使い捨て電源によって駆動される。電源は、マイクロポンプと共にパッケージ内に位置してもよく、又はこれは遠隔地にあってマイクロポンプと接続されてもよい。好ましくは、電池はマイクロポンプを、少なくとも2時間の連続稼動で駆動することができる。より好ましくは、電池はマイクロポンプを、少なくとも8時間、更により好ましくは少なくとも1日、より好ましくは更に複数日の連続稼動で駆動することができる。したがって、マイクロポンプはよりエネルギー効率が高く、大きな電池を必要としない。
【0124】
マイクロポンプは、好ましくは、連続的な、断続的な、又は可変の真空をつくるようにプログラム可能である。例えば、マイクロポンプは、13.3kPa(100mmHG)の真空をつくり、かつ維持するようにプログラムされるか、又は一定期間にわたり20.0kPa(150mmHg)の真空を、その後大気圧を3.3kPa(25mmHg)下回る真空を一定期間、振動方式でつくるようにプログラムされ得る。
【0125】
好ましい実施形態では、マイクロポンプはドレッシングの内部又は周辺部のいずれかを通じて、創傷ドレッシングに直接固定される。いずれの場合においても入口管は不要であり得る。マイクロポンプはまた、ドレッシングと離れており、入口管を通じて取り付けられてもよい。このような場合、マイクロポンプは複数の入口及び出口ポートを有してもよく、複数のマイクロポンプが単一のドレッシング上に利用されてもよい。このような入口手段は、流体を創傷床からマイクロポンプへと通過させる単純な管であってよい。入口管の入口はこの際、多孔性フィルター要素によって保護される必要がある。入口手段は、単純な可撓性管又は米国特許番号第6,420,622号に記載される流体制御物品又は米国特許第4,398,910号に記載される排液管などの他の手段であり得る。
【0126】
マイクロポンプがドレッシングに直接接続されていないとき、これは、好ましくは図18及び20に示されるマイクロポンプの実施形態などの管状構成であり、これはドレッシングと皮膚表面との間で封止され、創傷(入口)と外部との間を通過し得る。
【0127】
マイクロポンプの出口は、以下で更に記載されるリザーバと流体連通し、過剰な創傷流体を収集するように設計される。流体リザーバは通気孔付き合成容器、可撓性容器、又は通気孔付き可撓性容器であり得る。剛性容器では、容器内に生成される圧力を低減又は排除するために、通気孔が必要とされる。容器は、手術において通常使用されるカニスターなどの、単純な真空カニスターであってもよく、又はこれは過剰な創傷流体で最大容量まで充填する、単純な収縮した可撓性パウチであってもよい。リザーバは空であってもよく、又は流体が吸収されるとこれを固化する吸収剤を充填されていてもよい。好ましくは、リザーバは造孔術装具に使用されるものと同様であり、これは水に流すことができる場合がある。一般的に剛性捕捉器を必要とする真空システムとは対照的に剛性捕捉器が必要とされないことは、リザーバが正圧下で充填される本発明の重要な利点である。したがって本発明は、創傷ドレッシング、マイクロポンプ、及び互換可能な小さな流体リザーバ収集パウチの区別可能なシステムを供給することによって、外来患者に適合することができる。収集パウチは、任意の好適な高分子材料によって構成され得るが、好ましくは米国特許第7,270,860号に記載されるような、悪臭バリアである。更に、収集リザーバは、患者又は介護人にこれが取り替えられるべきであることを喚起するための手段を有してもよい。この喚起は、電気的手段又は受動手段であり得る。
【0128】
好ましい流体リザーバは、米国特許第7,214,217号に記載されるものなどの、造孔術装具に使用されるものと同様の可撓性パウチであり得る。パウチは更に、米国特許第7,179,245号に開示されるように水に流すことが可能であってもよい。しかしながら、流体リザーバは手術で通常使用される真空カニスター、米国特許第4,569,674号に記載されるようなカニスターと同じように単純であってよい。
【0129】
分析のためのサンプルを容易に得るために、サンプルポートが、マイクロポンプと流体リザーバとの間又はリザーバ自体の上に提供されてもよい。例えば、「T」形管が出口線に提供されてもよく、又は注射器を取り付けるためのルアロックを備える流体リザーバ上の単純な弁を有するポートが使用されてもよい。サンプルは、治癒を評価するための創傷流体の化学的又は物理的特性の分析のため、又は更なる治療手段のために使用され得る。
【0130】
創傷ドレッシングキット
本発明の創傷ドレッシングは潜在的に、1つ以上の任意の構成要素を有するキットの形態で提供されてもよい。図17は、1つのキット800の概略図である。キット800は、好ましくは封止されたパッケージで提供される(例えば、袋、パウチ、トレーなど)。キット800は、本発明の1つ以上の創傷ドレッシング810を含む。
【0131】
1つ以上のマイクロポンプ850もまた、キット800内に提供されてマイクロポンプ850が創傷ドレッシング810に取り付けられてもよく、及び/又はユーザーがその裁量で取り付ける別個の物品として提供され、及び/又は1つ以上の取り付け部884が本明細書において記載されるドレッシング810の外表面への取り付けに適合され、取り付け部884は、創傷ドレッシング、及び/又はドレッシング810の弁とマイクロポンプ850との間の接続を提供するために使用され得る。キット800はまた、本明細書において記載される中間創傷包装材料870を含んでもよい。
【0132】
キット800はまた、1つ以上の流体収集バッグ又はカニスター882を含んでもよく、これは1つ以上のマイクロポンプ850と共に使用されて、これは創傷を覆うドレッシング810によって画定される封止環境から取り除かれ得る流体(例えば、液体)を収集し得る。
【0133】
以下の説明は、本発明の実施形態において提供され得る様々な機構に関するいくつかの非限定的な例を提供する。
【0134】
電気反応性高分子フィルム
電気反応性作動装置の変位は、作動装置の構成を修正することによって更に増加させることができる。例えば、変位を向上させる機械的構造としては、電気反応性材料の多層積層体、ユニモルフ(例えば、薄い金属ディスクに固定された圧電ディスク)、バイモルフ(例えば、2つの活性層からなるカンチレバー。例えば、圧電バイモフの電気的活性により一方の層が延びて、他方の層が収縮する)、湾曲ベンダー、波形ベンダー、らせん状、又は渦巻状設計が挙げられる。例えば、IEEE/ASME TRANSACTIONS ON MECHATRONICS,VOL.3,NO.4,DECEMBER 1998,293,James D.Ervin及びDiann BreiのRecurve Piezoelectric−Strain−Amplifying Actuator Architectureを参照。非導電性高分子材料は、米国特許第6,605,246号、同第6,343,129号、及び同第5,977,585号に記載される。
【0135】
非導電性高分子作動装置材料としては、フルオロポリマー、並びにシリコーン及びアクリル部分を含むポリマーなどが挙げられる。フルオロポリマーの例としては、例えば、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)などのホモポリマー、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレンP(VDF−TrFE)、ポリビニリデンフルオライド−クロロフルオロエチレンP(VDF−CFE)、ポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレンP(VDF−HEP)、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレン−クロロフルオロエチレンP(VDF−TrFE−CFE)、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレンP(VDF−TrFE−CTFE)、ポリビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレン−テトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレン−ビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレン−ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ポリビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレン−ブロモトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ブロモトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−クロロフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレン−塩化ビニリデン、及びポリビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−塩化ビニリデンなどのコポリマーが挙げられる。他のポリマーとしては、ポリウレタン、シリコーン、フルオロシリコーン、天然ゴム、ポリブタジン、ニトリルゴム、イソプレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0136】
他の好適な電気反応性材料としては、(a)鉛を含むセラミック作動装置材料、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ニオブジルコン酸鉛:チタン酸鉛(PZN:PT)、マグネシウムニオブ酸鉛:チタン酸鉛(PMN:PT)、チタン酸バリウム(BaTiO)、(b)導電性ポリマー、例えば、ポリアニリン、トランスポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチルジオキシチオフェン、カーボンナノチューブなど、(c)イオンポリマー金属複合体(IPMC)フィルム、例えば、Nafion(商標)、及びFlemion(商標)、又はスチレン/ジビニルベンゼン、Pt(NHHClなどの金属イオンでドープしたペルフルオロ化アルカン系ポリマー、(d)ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸ゲル、ポリアクリル酸ポリビニルアルコールを含むポリマーゲル作動装置、及びこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0137】
裏材
本発明の創傷ドレッシングは、液体及び少なくともいくらかの気体の通路に十分に不透過性のバリアを提供する、任意の柔軟な裏材との関連において有用である。典型的な裏材としては、不織布及び織布繊維性ウェブ、ニット、フィルム、発泡体高分子フィルム、及び他の一般的な裏材材料が挙げられる。好ましい裏材材料としては、薄いエラストマー裏材を含む。これらの種類の裏材は柔軟性及び創傷部位周辺での高い接着性を確実にすることを助ける。好ましい裏材材料は、ポリウレタン(例えば、ESTANE)、ポリエーテルポリエステル(例えば、HHTREL)、ポリエーテルアミド(例えば、PEGAX)加えて、ポリオレフィン(例えば、ENGAGE)を含む、半透明又は透明の高分子フィルムであり得る。
【0138】
本発明と関連して使用する裏材が、高透湿性フィルム裏材であることが好ましい場合がある。発行された米国特許第3,645,835号及び同第4,595,001号は、そのようなフィルムを作製する方法及びそれらの透過性を試験する方法を記載する。フィルム(及び、本明細書に記載する、そこに使用される任意の接着剤)が、ヒトの皮膚と同等以上の速度で水蒸気を透過し得る。接着剤でコーティングされたフィルムは、米国特許第4,595,001号に記載される逆カップ法を使用して、少なくとも300g/m/24時間/37℃/100〜10%RH、より好ましくは少なくとも700g/m/24時間/37℃/100〜10%RH、及び最も好ましくは少なくとも2000g/m/24時間/37℃/100〜10%RHの速度で、水蒸気を透過させ得る。
【0139】
また、好ましくは、裏材は、解剖学的表面に適合し得る。そのため、裏材が解剖学的表面に適用されたとき、その表面が動いたときであっても、その表面に適合する。また、裏材は、動物の解剖学的関節にも適合し得る。関節が屈曲した後に非屈曲位置に戻るとき、裏材は、伸張して関節の屈曲に対応し得るが、関節が非屈曲状態に戻ると関節へ適合し続けるのに十分な弾力性がある。裏材のこの特徴の説明は、発行された米国特許第5,088,483号、及び同第5,160,315号に見出すことができる。いくつかの潜在的に好適な裏材の例としては、エラストマーポリウレタン、ポリエステル、又はポリエーテルブロックアミドフィルムが挙げられる。これらのフィルムは、弾力性、高い水蒸気透過性、及び透明性の望ましい性質を組み合わせる。
【0140】
市販の潜在的に適切な裏材の例としては、TEGADERM(3M社)、BIOSITE(Johnson & Johnson社)、OPSITE(Smith & Nephew)等の商標名で販売されている、薄い高分子フィルム裏材が挙げられ得る。外科用切開ドレープ(例えば、STERIDRAPE及びIOBANの商標名で、3M社によって製造される切開ドレープ)等の製造に一般的に使用されるもの等を含む、他の多くの裏材も使用し得る。
【0141】
流体は、本発明の創傷ドレッシングによって画定される封止環境から能動的に取り除かれ得るため、比較的高い透湿性の裏材は必要とされない場合がある。結果として、他のいくつかの潜在的に有用な裏材材料としては、例えば、メタロセンポリオレフィンが挙げられ、SBS及びSISブロックコポリマー(例えば、KRATONの種類)材料が使用され得る。
【0142】
しかしながら、これとは関係なく、例えば、柔軟性を改善するために裏材が比較的薄く維持されることが好ましい場合がある。例えば、裏材は、200マイクロメートル以下又は100マイクロメートル以下、潜在的に50マイクロメートル以下又は更に25マイクロメートル以下の厚さの高分子フィルムから形成される(例えば、これから本質的になる)ことが好ましい場合がある。
【0143】
創傷包装材料
いくつかの実施形態では、創傷ドレッシングは中間層としての包装材料を内部に提供されてもよい。創傷包装材料はまた、いくつかの実施形態では、本明細書において記載されるフィルター要素として機能する(しかしながら、この機能は必要ではない)。いくつかの実施形態では、創傷包装材料は弾性的に圧縮可能であってよく、それによって創傷包装材料はまた、任意によりバラス要素として機能し、本明細書において記載される封止環境内の負圧の維持を補助することができる。例えば、真空が作用すると弾性の包装は圧縮される。真空が形成され、弁が閉じて創傷の空洞を封止する場合、包装は依然として、その非圧縮状態に戻るように膨張力を提供する。この膨張は、一定期間にわたって真空をつくり、維持することを助けるように機能する。創傷包装材料は、例えば、封止環境の内部に収容される創傷が慢性的創傷であり、これが顕著な陥没の形態にある場合(これは、場合によっては周囲の皮膚の下にトンネルを形成し得る)に有用であり得る。このような創傷を治療する際、創傷を覆う封止環境をつくるために創傷ドレッシングを適用する前に、創傷に創傷包装材料を提供することが望ましい場合がある。
【0144】
創傷包装材料は、好ましくは可撓性であり、それによってこれは、創傷の形状を充填するか、及び/又はこれに一致する。創傷包装は、吸収剤又は非吸収剤であってよい。創傷包装は、好ましくは流体が通過することができる通路を提供することができる場合がある。創傷包装材料のいくつかの潜在的に好適な例としては、内部容積部を充填する創傷内に配置され得る、完全な又は部分的な網状発泡体(例えば、開放気泡ポリウレタン発泡体など)、繊維(例えば、ガーゼ、メッシュ、織布、ニット、又は不織布材料)、粒子状材料、ビーズなどが挙げられる。粒子又はビーズの形態で提供される場合、粒子又はビーズは、いくつかの実施形態では、可撓性バッグ又は他の構成体の内部に収容されて、創傷包装の除去を促進し得る(例えば、創傷包装材料が生体吸収可能及び/又は生分解性でない限り)。例えば、WILSOEB発泡体(Illbruckから入手可能)など、好ましいポリウレタン発泡体は親水性であってよく、脱イオン水を自然に吸収することができる。好ましい親水性包装要素は、発泡体に接触させて静かに配置した場合に、脱イオン水の100マイクロリットルの液滴を、60秒未満、好ましくは30秒未満で吸収する。
【0145】
ポリビニルアルコール(PVA)開放気泡発泡体もまた使用され得る。好ましい布地は、不織布及びより好ましくは弾性を有するロフト付き不織布であり、それによってその厚さの50%まで圧縮された際に、10秒未満、より好ましくは1秒未満で、元の厚さの90%以上まで回復する。好ましいロフト付き弾性不織布は、3M Buff Puff(商標)Facial Spongeと同様の物性を有する。これらの構造は、親水性であり、自然に水で濡れるように処理されてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、中間材料が、流体を吸収するためのいくつかの親水性コロイド材料を含んでもよい。他の実施形態では、中間層は、組織の内部成長を遅らせるために好ましくは疎水性である。当業者は、上記の材料の組み合わせ及び他の材料を含む組み合わせを含む、様々な目的を達成するために中間層に好適な多くの材料が存在し得ることを理解するだろう。
【0146】
中間層は、ドレッシングに直接固定することができる。例えば、中間層は、感圧接着剤コーティングによって固定することができる。この実施形態では、中間層はマイクロポンプ入口導管が位置するであろう、ドレッシングの部分を少なくとも覆うように配置される。これはドレッシングの内部であってもよく、周辺に位置してもよい。
【0147】
中間層が、創傷ドレッシングに取り付けられないような形で提供される場合、創傷ドレッシングは、創傷ドレッシング、並びに別個のバリア要素及び/又は創傷包装を含むキットの形態で提供されてもよい。このようなキットを使用して、バリア要素及び/又は創傷包装は、創傷ドレッシングが患者の供給される前に創傷ドレッシングに取り付けられてもよい。あるいは、中間層は、創傷の上又は中に配置されてもよく、ドレッシングは創傷包装材料が適所に配置された後に創傷を覆うように展開される。創傷ドレッシング210は他の創傷ドレッシングと共に使用する方法に従って使用され、創傷部位の少なくとも一部を覆うように中間材料層を配置する追加的な工程を含んでもよい。
【0148】
感圧接着剤
本発明の創傷ドレッシング物品における使用のための好適な接着剤としては、皮膚に許容可能な接着を提供、皮膚上での使用のために許容可能な(例えば、接着剤は、好ましくは刺激が無く、増感作用を有さないべきである)いずれかの接着剤が挙げられる好ましい接着剤は、感圧接着剤であり、いくつかの実施形態では、水分の蒸発を可能にするために、比較的高い湿気透過速度を有する。好適な感圧接着剤としては、アクリル酸、ポリウレタン、KRATON、及び他のブロックコポリマーに基づくもの、シリコーン、ゴム系接着剤(天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴムなど)、加えてこれらの接着剤の組み合わせが挙げられる。接着剤成分は、粘着付与剤、可塑剤、レオロジー変性剤、加えて、例えば抗菌剤を含む活性成分を含み得る。
【0149】
好ましくは、本発明の創傷ドレッシングに使用され得る感圧接着剤は、米国特許第RE24,906号に記載されるアクリル酸コポリマー、具体的には、97:3のイソオクチルアクリレート:アクリルアミドコポリマー等の、典型的に皮膚に適用される接着剤を含み得る。別の例としては、米国特許第4,737,410号(実施例31)に記載するとおり、70:15:15のイソオクチルアクリレート:エチレンオキシドアクリレート:アクリル酸ターポリマーが挙げられる。他の潜在的に有用な接着剤は、米国特許第3,389,827号、同第4,112,213号、同第4,310,509号、及び同第4,323,557号に記載されている。米国特許第4,310,509号及び同第4,323,557号に記載されているように、薬剤又は抗微生物剤が接着剤に包含されることも想到される。
【0150】
いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、人間の皮膚と同等以上の速度で水蒸気を透過させる。そのような特徴は、適切な接着剤を選択することで達成することができる一方、米国特許第4,595,001号に記載されるとおり、裏材上の接着剤を被覆するパターン等の、高い相対速度の水蒸気透過を達成する他の方法を使用し得ることも、本発明において想到される。他の潜在的に好適な感圧接着剤としては、ブローンマイクロファイバー(BMF)接着剤、例えば、米国特許第6,994,904号に記載されるものが挙げられる。創傷ドレッシングに使用される感圧接着剤はまた、接着剤自体が、例えば、米国特許第6,893,655号に記載されるミクロ複製された構造などの、構造を含む1つ以上の領域を含み得る。
【0151】
剥離ライナー
ドレッシングを患者に取り付け、封止環境をつくるために使用される感圧接着剤を保護するために、本発明の創傷ドレッシングに剥離ライナーが提供されてもよい。本発明の創傷ドレッシングの使用に適切であり得る剥離ライナーは、スーパーカレンダー仕上げのクラフト紙、グラシン紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、又は任意の材料のいずれかの複合物から作製され得る。ライナーは、好ましくは、フッ素性化学物質又はシリコーンなどの剥離剤でコーティングされる。例えば、米国特許第4,472,480号は、低表面エネルギーペルフルオロ化合物ライナーを記載する。好ましくは、ライナーは、紙、ポリオレフィンフィルム、ポリオレフィン被覆紙、又はシリコーン剥離材で被覆されたポリエステルフィルムの形状であり得る。市販のシリコーン被覆の剥離ライナーの例は、ポリオレフィン被覆紙上のシリコーン剥離である、POLY SLIK(商標)、フィルム上のシリコーン剥離である、FL2000(商標)、及びスーパーカレンダー仕上げのクラフト紙上のシリコーン剥離である、STICK−NOT(商標)、(全ては、Loparex社(Willowbrook,Ill.)から入手可能)、Akrosil社(Menasha,Wis.))のシリコーン被覆のスーパーカレンダー仕上げのクラフト紙、及びHuhtamaki Florchheim社(Florchheim,Germany)のシリコーン剥離フィルムである。別の潜在的なライナーは、Huhtamaki社から入手可能なシリコーン被覆(1630)低密度ポリエチレンである。
【0152】
特定の剥離ライナーの選択は、感圧接着剤の選択に関連して行い得る。当業者は、最終製品において望ましい質の組み合わせに到達するように、異なるライナーに対して新たな接着剤を、又は異なる接着剤に対して新たなライナーを試験するプロセスを熟知しているであろう。シリコーン剥離ライナーの選択に適切な考察は、「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」、Van Nostrand−Reinhold,1982、pp.384〜403の18章で確認することができる。米国特許第4,472,480号はまた、ペルフルオロポリエーテル剥離ライナーの選択に適切な考察を記載する。
【0153】
担体/供給システム
いくつかの例では、本発明の創傷ドレッシングで使用される裏材は、非常に可撓性、かつ柔軟である場合があり、それによって、剥離ライナーが裏材から除去されるときに裏材が褶曲してそれ自体に接着する傾向を有し、ドレッシングの患者の皮膚への円滑、かつ無菌の適用に干渉し得る。
【0154】
この問題に対処するために、様々な送達システム(米国特許第4,485,809号、米国特許第4,600,001号、及びEPO公報第0 051 935号に開示されるもの等)が提案されている。担体型送達システム(米国特許第6,685,682号に記載されるもの等)は、適合する裏材とともに使用するための代替的送達システムを提供する。
【0155】
別のキャリア及び/又は供給システムとしては、発行された米国特許番号第6,742,522号、同第5,979,450号、同第6,169,224号、同第5,088,483号、同第4,598,004号、同第D 493,230号などに記載されるフレーム、ハンドル、硬化ストリップなどが挙げられる。更に別の潜在的に好適な供給システムは、米国特許出願公開第2007/0156075 A1号に記載され得る。いくつかの例では、例えば、米国特許第5,803,086号に記載されるとおり、裏材は、ライナー無しで送り出すことが可能である。
【実施例】
【0156】
本発明の例示的実施形態は、本発明の範囲内で実行可能な変更に関して記述する。本発明内のこれら及び他の変形及び修正は、本発明の範囲から逸脱することなく当業者に明らかであり、本発明は本明細書に説明される代表的な実施形態に限られないということは理解されるべきである。したがって、本発明は、以下に提供されている請求項及びその同等物によってのみ制限されるべきである。
【0157】
以下の実施例によって、本発明は更に明確にされるが、これらの実施例は代表的なものであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0158】
(実施例1)
図15は、この実施例の断面概略図である。Tegaderm(商標)(3M社,Maplewood MN)創傷ドレッシング102は、創傷床「WB」及び創傷ドレッシングによって画定される創傷の空洞を封止するために使用される。創傷の空洞は、創傷包装110で充填される。隔膜マイクロポンプは、創傷ドレッシング裏材の外表面に固定される。マイクロポンプは流体(空気及び創傷滲出物)を抽出し、この流体を滲出物収集線を通じて、可撓性収集パウチ150へと移動する。単一のマイクロポンプが示されているが、複数のマイクロポンプが単一の創傷部位を覆うように使用され得る。収集パウチは、造孔術バッグと非常に似た設計であり、同様の方法で使用され得る。収集パウチは封止されて、通気孔を開けられてよい。好ましい実施形態では、これは通気孔を有さない。通気孔を有する場合、これは、創傷流体から生じ得る悪臭を低減させるための通気孔フィルターを含み得る。弁は、分析のための創傷流体のサンプルを参照するために使用され得る滲出物収集線140に配置される。
【0159】
図15及び16を参照すると、創傷排出システム100は、創傷ドレッシング102、基層108、創傷包装110、マイクロポンプ120、排出線140、及び創傷流体収集パウチ150を含む。創傷ドレッシング102は、米国特許第5,088,483号及び同第5,738,642号に記載されるエラストマーポリウレタンフィルム及び接着剤を含む。供給される際、ドレッシングは、感圧接着剤(PSA)106を保護する使い捨て剥離線(図示されない)を更に含む。PSA106は、創傷ドレッシング裏材104の全体表面にわたって連続的にコーティングされる。開口部126がドレッシングを通じて作製され、これはポンプ入口開口部125と連通する。マイクロポンプのポンプ入口125は、自己封止エラストマー一方向性の入口弁122を有する、チャンバー123に通じる。流体は、入口チャンバに入り、ポンプチャンバ129に通過し、出口チャンバ127を通じて出る。出口弁124は、出口チャンバの入口に配置される。一方向性の入口弁及び出口弁は、Yellow Springs,OHのVernay Laboratoriesから得られるエラストマー傘状弁として示される。双方の傘状弁は通常は閉鎖弁である。単一の入口弁及び出口弁が示されているが、複数の入口弁及び複数の出口弁が使用されてもよい。重要なこととして、入口弁及び出口弁は、「クラッキング圧力」を有する必要があることが見出された。すなわち、弁を開かせる、有限の最小圧力である。これは、良好な封止を確実にする。良好で緊密な密封封止がないと、マイクロポンプは低い流量で動作しない。したがって、傘状弁のエラストマー茎部は、伸張されて、弁を通常閉鎖状態に傾かせるために十分な歪み力を提供するように設計される。あるいは、規定のクラッキング圧力を有するダックビル弁が使用されてもよい。ダックビル弁はまた、Vernay Laboratoriesから入手可能である。マイクロポンプはまた隔膜130を含み、これは流体を移動させるために十分な変位が可能である。隔膜は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、セラミック、金属、又はこれらの組み合わせ(積層体など)から作製される。隔膜は弾性である必要があり、いずれかの誘起された歪みから完全、かつ迅速に回復する。歪み(変位)は、作動装置の使用によって誘起される。作動装置は、ソレノイド、圧電セラミック、例えばPZT、ボイスコイル、又は「内部作動装置」であり得る。内部作動装置とは、隔膜自体の少なくとも一部が、作動装置として機能し得ることを意味する。一実施形態では、内部作動装置は米国特許第5,977,685号に開示されるポリウレタン材料である。別の好ましい実施形態では、内部作動装置は本明細書において記載される多層電気反応性高分子膜(EPM)である。あるいは、弁(122及び124)及び隔膜128は排除され、かつデジタルパルスによって作動する作動ポンプシステム(米国特許出願公開第2004/0234401号に記載)と換えられてもよく、複数の作動装置が流体と直接接触する。好ましい圧電マイクロポンプは、MEDO USAから入手可能な、1/10の規模のモデルBPH−414D圧電ポンプである。
【0160】
このマイクロポンプは、プライミングを必要とせずに、大気圧を21.5kPa(161mmHg)下回る真空の生成が可能である。自吸型(すなわち、プライミングが必要でない)であることが、マイクロポンプの望ましい特性である。
【0161】
あるいは、創傷マイクロポンプは、国際公開特許第WO2005/042974(A1)号及び日本国特許第04015832号に記載の導電性高分子隔膜内部作動装置を使用して作製することができる。この設計では、導電性ポリマーは、低い電圧(例えば、5ボルトの直流電圧及び典型的には1〜2ボルトの直流電圧)を必要とする化学電解メカニズムによって伸張及び収縮するように駆動されるEAP及びデジタルパルス作動ポンプと同様に、この種類の作動装置は静かであり、これによりマイクロポンプは、もしあったとして極僅かな騒音のみを生じる。
【0162】
より小さい隔膜を有する複数のセルはまた、より高い入口の真空及びより高い出口の圧力を生成するために使用され得る。
【0163】
動作中、電池は作動装置に電流を送り、これによって隔膜が上、下、又は上下両方に変位する。この運動はポンプチャンバ内の流体を変位させ、出口弁において正圧を、かつ入口弁において負圧をつくる。一実施形態では、最大真空(すなわち、大気圧より小さい圧力)は作動装置パラメーター及び弁パラメーターによって決定されて、自己制限式であり、臨床医がそれについて煩う必要がないように予め設定されている。あるいは、コントローラが提供されてもよく、これは臨床医が流量及び/又はつくられる真空を調節することを可能にする。電池は、使い捨て電池、例えば、一般的な時計(common watch)、AAA、AA、アルカリ電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルアドミウム電池、ニッケル水素電池などであり得る。これは、使い捨て又は充電可能であってよい。1つ以上の電池が、直列又は並列で使用、及び配置されてもよい。直流(DC)又は交流(AC)作動装置を駆動するために、変圧器又は変換器が使用されてもよい。電池は、好ましくは患者がその上に体重をかけて潜在的な圧点を生じない場所で患者に固定される。一度マイクロポンプが作動されるとこれは自吸式となり、真空が創傷の空洞に作用する。図15及び16に示されるドレッシングは、創傷内に吸引される傾向にある。これは、創傷包装材料110によって支持される。好ましい創傷包装材料としては、疎水性開放気泡ポリウレタン発泡体、開放気泡親水性ポリウレタン発泡体、例えば、Linwood,PAのFoamex Internationalから入手可能なAquazone発泡体などが挙げられる。発泡体は、1センチメートルあたり12〜79孔の孔径(1インチ当たり30〜200孔)、好ましくは1センチメートル当たり20〜59孔(50〜150PPI)の孔径を有し得る。密度は、1〜5lb/ft(16〜80kg/M)、好ましくは1.5〜3lb/ft(25〜50kg/M)であり得る。十分な流体が創傷包装を充填した場合、これはマイクロポンプに入り始め、その後排出線140を通じて創傷流体収集パウチ150へと供給される。あるいは、創傷包装材料は、弾性不織布、例えば、3M Buff Puff(商標)(3M社,Maplewood,MN)である。パウチが一杯になると、新しいパウチと一体の排出線が、マイクロポンプに取り付けられる。あるいは、パウチは排出線の除去及び取り付けを可能にするように構成され得る。好ましくは、パウチは容易に中身をトイレに排出されるか、又は他の方法で安全に処理される。収集パウチはまた、創傷流体がパウチに入る際にこれをゲル化させる超吸収性ポリマーを組み込んでもよい。この方法では、パウチは、漏出の恐れなく、普通ゴミに捨てることができる。パウチはまた、いずれかの細菌を殺し、悪臭を防ぐためにより多くの抗菌剤を含んでもよい。同様に、創傷包装材料は抗菌剤又は創傷を治療するために好適な他の薬剤を含んでもよい。
【0164】
創傷ドレッシングシステムはまた、創傷接触層108を含んでもよい。創傷接触層は、別個の構成要素であってよいが、好ましくは創傷包装材料に結合される。結合は、熱的又は接着剤による方法で達成されてもよい。図5は、別個の構成要素として創傷接触層を示す。好適な創傷接触層としては、Tegapore(商標)(3M社,Maplewood,MN)又はXEROFLO(商標)(Covidienの一課であるKendall Corp.,Mansfield,MA)が挙げられる。他の好適な創傷接触層としては、例えば、アルギネートゲル、及びアルギネート繊維、例えば、Tegaderm(商標)アルギネート(3M社,Maplewood,MN)、又はカルボキシメチルセルロース不織布、例えば、Aquacel Ag(E.R.Squibb&Sons,LLCの一課であるConvatec,UK)が挙げられる。
【0165】
(実施例2):
実施例1の創傷ドレッシング排出システムが利用されるが、ただしマイクロポンプは、創傷ドレッシングとのキットで、別個に提供される。キットは、マイクロポンプ、創傷ドレッシング、創傷包装材料と一体の(結合された)創傷接触層、排出線、及び創傷流体滲出物収集パウチを含む。実施例1におけるように、創傷包装/接触層は、創傷の大きさに切断されてそこに配置される。ドレッシングは、創傷全体を覆うように配置されて、周囲の組織を良好に封止し、密封封止を形成することを確実にする。マイクロポンプは、その基部上に感圧接着剤を含む。マイクロポンプは、ドレッシングに事前に形成された開口部(126)を覆うように位置付けられる。この実施形態では、マイクロポンプは再利用可能であり(しかしながら、好ましくは単一の患者にのみ)、必要に応じていくつかのドレッシングに連続して作用し得る。
【0166】
(実施例3):
実施例2の創傷ドレッシング排出システムが利用されるが、ただしドレッシングは開口部を提供されない。代わりに、手持ち式紙孔パンチと同様に動作し得る、供給されるパンチを使用して、臨床医によって開口部がつくられる。開口部は、臨床医が所望するドレッシングのいずれかの場所、例えば、中央又は外辺部に沿って設置され得る。複数の開口部及び複数のマイクロポンプが利用される。
【0167】
(実施例4):
実施例1の創傷ドレッシング排出システムが利用される。マイクロポンプのハウジングは、動作中にこれが閉塞することを防ぐために十分に剛性でなくてはならない。したがって、これは圧点をつくる場合がある。創傷に体重をかけることのある患者の、更なる組織損傷を防ぐために、マイクロポンプは柔軟性のあるエラストマー内に封止され、これは緩衝装置として機能し、鋭い圧点を防ぐ。
【0168】
(実施例5):
実施例2の創傷ドレッシング排出システムが利用されるが、ただし創傷ドレッシングは開口部を覆うようにして真空弁を提供される。出願者の同時係属特許出願米国特許番号第61/042,338号(2008年4月4日に出願され、その全体が参照として組み込まれる)に記載されるものなどの、フィルム積層体真空弁が使用される。好ましい弁は、Reynolds Handi−Vac真空冷凍バッグ(Alcoa Inc.,Richmond,VA)で商業的に使用されるものである。
【0169】
(実施例6):
実施例1の創傷ドレッシング排出システムが使用されるが、創傷ドレッシングは、親水性発泡体充填剤と組み合わせた吸収性層で更に増加される。吸収性層は、米国特許第7,005,143号のドレッシングにおいて使用されるものなどの、ヒドロゲルである。
【0170】
(実施例7):
実施例2の創傷ドレッシング排出システムが利用されるが、ただしマイクロポンプはドレッシングの外に配置され、皮膚又は別個の固定装置に接着される。マイクロポンプは、入口線(管)及びポートを通じて創傷ドレッシングに接続され、これは、例えば、接着剤、ヒートシール、又は溶剤接着で開口部を覆うようにしてドレッシングに固定される。
【0171】
(実施例8):
実施例1の創傷ドレッシング排出システムが利用されるが、ただし、創傷ドレッシングは、米国特許第5,088,483号及び同5,738,642号(これらは参照として本明細書に組み込まれる)に記載されるように、供給を促進するために上面の外辺部のフレームを更に含む。
【0172】
(実施例9):
実施例1の創傷ドレッシング排出システムが利用されるが、ただし、創傷ドレッシングは、過剰な流体のマイクロポンプへの輸送を促進するために内部(創傷に面する)表面上に、微小複製された流体制御機構を更に含む。微小複製された流体制御機構を組み込むドレッシングは、米国特許第6,420,622号に記載され、これは参照として本明細書に組み込まれる。
【0173】
(実施例10):
実施例7の創傷ドレッシング排出システムが利用されるが、ただし、管状マイクロポンプ180が利用される。管状マイクロポンプは、一方向性の入口弁(例えば、ダックビル弁)184及び一方向性の出口弁186によって分離される、エラストマー管の区分182を含む。管区分に沿った1つ以上の点で壁を共に、部分的に又は完全に閉塞させるために管を圧迫又は圧搾する、1つ以上の手段188が管区分に沿って存在する。これは、実施例1に記載される作動装置のいずれかを使用して達成され得る。これは、回転する一連のローラーを使用し、弁無しに管に沿って流体を連続的に圧迫し、かつ移動させる蠕動ポンプとは区別可能である。管状マイクロポンプの実施例が、図18〜20に示される。
【0174】
実施例11:エラストマー電気反応性ポリマーポンプ210
3M社(Maplewood MN)から市販のVHB−4910、及び4905テープが作動フィルム(ポンプ隔膜)212として使用された。作動フィルムは、フィルムの平面において、400%伸張された(XY方向)。
【0175】
フィルムは、ガラスリングにわたって伸張させ、これに固定することにより、予備伸張された状態に維持された。VHBテープの粘着特性のために、VHBをガラスリングに粘着させ、また多層作動フィルムを作製するために、他のテープは使用されない。Pelco SC−6スパッタコーターを使用し、金の電極を、予備伸張されたフィルムの両面上にコーティングした。紙の円形マスクを使用して、望ましい形状(2.5cm及び4cm直径)の金の電極を得た。3M 1181銅製導電性テープの2.0mm×20mmのストリップを使用して、各金コーティングの端部に接続部を作製した。
【0176】
多層作動フィルムの場合は、第1作動装置フィルムが上記のようにコーティングされた。第2作動フィルムは、両方向に400%伸張され、次に注意深く第1層に積層された。第1層の上部電極は、第2層の下部電極として使用される。銅テープのストリップは、別の層を積層する前に金電極に取り付けられた。
【0177】
望ましい多層作動装置を生成した後、ポリウレタン(Tegaderm 1621)が、作動装置積み重ね体の上部に積層された。ポリウレタンフィルム214は上部にいずれの電極も有さなかった。このフィルムはガラスリングから取り除かれ、ポンプハウジングの上部カバーに積層された。上部カバー214は、ポリウレタン層を下にしてポンプハウジングの底部に配置された。
【0178】
多層作動隔膜が、関数発生器HP 3314Aと接続されたTrek model#610E電圧増幅器を使用して、交流電圧を印加することによって作動された(Z軸の動きを誘起された)1.3kPa(10mmHg)圧力VHBの5層及びポリウレタンフィルムの1層を使用して達成された。
【0179】
生成される構成は以下に示される。
【数1】

【0180】
実施例12及び13:代替的ポンプ設計
実施例12:導電性ポリマーポンプ
本発明において有用な導電性ポリマーマイクロポンプは、Osaka JapanのEAMEX Corporationから市販されており、変性されたポリピロールポリマー−(PPy−CFSO)を含む作動装置を有する。これらのマイクロポンプのいくつかの、マイクロポンプ仕様が以下に記載される。
【0181】
【表1】

【0182】
実施例13:圧電セラミックポンプ
圧電マイクロポンプをBIMOR Pumpから購入し、モデル#BPH−414D serial#30805146をHanover Park,ILのMEDO USA Inc,60103(http://www.nitto−europe.com/german/pumps/bimor/index.html)から購入した。21.5kPaの入口圧力(161mmHg)が測定された。このマイクロポンプは、直径がおよそ7.5×6.8×2.5cmであったしたがって、1/3〜1/10の規模のモデルのより小さなマイクロポンプが、本発明において特に有用である。
【0183】
別の圧電マイクロポンプモデル# DTI−200−12.5Pを、Brooklyn,NYのDEAK Technologies Inc.から購入した。両方の圧電マイクロポンプに使用される圧電材料はPZTである。このマイクロポンプは、以下の寸法を有する。
【0184】
ポンプ:4.25cm直径、取り付けフランジ6.25cm直径、高さ2.5cm。より小さい1/2〜1/5の規模のこのマイクロポンプが、本発明のために好ましい。
【0185】
本明細書に引用する特許、特許文献、及び出版物の完全な開示は、それぞれが、独立して組み込まれるかのように(本明細書において、明確に提供される、任意のそのような開示と説明との間の矛盾は、本文書を支持して解決されるべきであるが)、参照することにより、その全体に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷ドレッシング装置であって、
創傷床に対する位置決めのための寸法を有する創傷ドレッシング部材と、
前記創傷床からの流体の除去を促進するために、少なくとも前記創傷ドレッシング部材に大気圧未満の圧力を作用させるためのマイクロポンプを含むマイクロポンプシステムと、を含み、前記マイクロポンプは創傷内に配置されるか、又は前記創傷ドレッシング部材に取り付けられる、
創傷ドレッシング装置。
【請求項2】
前記マイクロポンプが、約2.7kPa(20mmHg)から約66.7kPa(500mmHg)の範囲の圧力だけ大気圧を下回る圧力を生成するように構成される、請求項1に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項3】
前記マイクロポンプシステムが、前記マイクロポンプの動作を制御する制御手段を含む、請求項1に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項4】
前記マイクロポンプシステムが、前記マイクロポンプを作動させるための電池を含み、前記電池が前記創傷ドレッシング部材、前記マイクロポンプ、又は周囲の皮膚に固定されるように構成される、請求項1に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項5】
前記創傷ドレッシング部材が、裏材、前記裏材にコーティングされた接着剤、及び創傷包装層を含む、請求項1に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項6】
創傷接触層を更に含む、請求項1に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項7】
前記接着剤でコーティングされた裏材が、前記創傷の周辺部の周囲に固定されて、前記創傷ドレッシング部材と前記創傷床を囲む組織との間を封止する、請求項5に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項8】
前記裏材、接着剤、吸収剤、又は接触層の少なくとも1つが、抗感染剤、抗菌剤、ポリヘキサメチレンビグアニド、クロルヘキシジン、銀、ヨード、ヨードフォア、塩化ベンザルコニウム、過酸化水素水、抗生物質、創面清掃剤、鎮痛剤、回復因子、一酸化窒素生成物質、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、ビタミン、成長因子、及び栄養素を含む少なくとも1つの薬剤を含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項9】
前記創傷包装層が、発泡体又は弾性不織布包装材を含む、請求項5に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項10】
前記創傷ドレッシング装置が、滲出物収集線及び滲出物収集装置を更に含む、請求項1に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項11】
前記滲出物収集装置が、可撓性使い捨てパウチである、請求項10に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項12】
前記滲出物収集パウチが、空にするか、又は取り替えるために取り除かれ得る、請求項11に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項13】
前記滲出物収集パウチが、吸収剤を更に含む、請求項11に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項14】
前記マイクロポンプによって作用する真空が、自己制御式であり、大気圧を26.7kPa(200mmHg)超下回る真空をつくることができない、請求項1に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項15】
前記滲出物収集パウチが、水に流すことができる(flushable)、請求項11に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項16】
前記マイクロポンプが電気反応性作動装置部材を含む、請求項1に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項17】
創傷ドレッシング装置であって、
創傷床に対して位置決め可能な吸収性部材を含む創傷ドレッシング部材と、
前記創傷ドレッシング部材の内部に収容され又は前記創傷ドレッシング部材に隣接するマイクロポンプシステムと、を含み、前記マイクロポンプシステムは前記創傷床からの流体の除去を促進するために、前記創傷床に大気圧未満の圧力を作用させるためのマイクロポンプを含む、創傷ドレッシング装置。
【請求項18】
前記マイクロポンプシステムが、前記マイクロポンプに電力を供給するための電池を含む、請求項17に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項19】
前記マイクロポンプシステムが、前記マイクロポンプの動作を制御するための制御手段を含む、請求項17に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項20】
前記マイクロポンプが、電気反応性作動装置部材を含む、請求項17に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項21】
前記マイクロポンプシステムが、自己制御式であり、大気圧を約6.7〜26.7kPa(50〜200mmHg)下回る真空のみをつくることができる、請求項17に記載の創傷ドレッシング装置。
【請求項22】
前記マイクロポンプが、圧電作動装置又は電気反応性高分子作動装置を含む、請求項17に記載の創傷ドレッシング。
【請求項23】
前記マイクロポンプが、管状要素を含む、請求項17に記載の創傷ドレッシング。
【請求項24】
前記マイクロポンプが、エラストマーからなる、一方向性の入口弁及び出口弁を含む、請求項17に記載の創傷ドレッシング。
【請求項25】
医療用ドレッシングであって、
内表面及び外表面を含む裏材と、
前記内表面の少なくとも一部の上に配置され、前記裏材の前記内表面の外辺部の周囲に延びて、前記医療用ドレッシングを対象に対して創傷を覆うように接着する接着剤と、
前記裏材に近接配置された、回転部を有さないマイクロポンプと、を含む医療用ドレッシングであって、
前記医療用ドレッシングが前記創傷を覆って取り付けられると、前記医療用ドレッシングが前記創傷を覆って封止環境を画定し、更に前記マイクロポンプの動作によって、前記封止環境内の流体が、前記裏材の少なくとも1つの開口部を通じて移動する、医療用ドレッシング。
【請求項26】
前記マイクロポンプが自吸式である、請求項25に記載の医療用ドレッシング。
【請求項27】
創傷マイクロポンプであって、
電気反応性隔膜を含む作動装置と、
前記電気反応性隔膜と接触する少なくとも2つの電極と、
電位差を生成することができる電源と、を含む創傷マイクロポンプであって、
前記電極に電力を与えることにより、前記電気反応性隔膜の少なくとも一部の変位が誘起される、創傷マイクロポンプ。
【請求項28】
前記電気反応性隔膜が、前記電力が与えられたときに0.01%超の歪みを生じる、請求項27に記載の創傷マイクロポンプ。
【請求項29】
前記電気反応性隔膜が、前記電力が与えられたときに0.1%超の歪みを生じる、請求項27又は28に記載の創傷マイクロポンプ。
【請求項30】
前記電気反応性隔膜が、非導電性フィルム、導電性フィルム、イオンポリマーフィルム、高分子複合体、セラミック膜、セラミック繊維フィルム、圧電材料、形状記憶合金、ヒドロゲル、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項27〜29のいずれか一項に記載の創傷マイクロポンプ。
【請求項31】
前記電気反応性隔膜が、圧電有機高分子フィルム又は圧電材料である、請求項27〜30のいずれか一項に記載の創傷マイクロポンプ。
【請求項32】
前記電気反応性隔膜が、ポリウレタン、ポリアクリレート、シリコーンゴム、Zetpole粘弾性ポリマー、並びにPVDF、PVDF−TrFE、PVDF−HFP、及びPVDF−TrFE−HEPを含むフッ素化ポリマー、からなる群から選択される、電気反応性ポリマーである、請求項27〜31のいずれか一項に記載の創傷マイクロポンプ。
【請求項33】
前記電気反応性隔膜が、電気反応性ポリマーセラミック複合体である、請求項27〜31のいずれか一項に記載の創傷マイクロポンプ。
【請求項34】
前記圧電材料が、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ニオブ酸塩ジルコン酸鉛:チタン酸鉛(PZN:PT)、マグネシウムニオブ酸鉛:チタン酸鉛(PMN:PT)、チタン酸バリウム(BaTiO)からなる群から選択されるセラミックである、請求項27〜31のいずれか一項に記載の創傷マイクロポンプ。
【請求項35】
前記電気反応性隔膜が、単一層フィルムである、請求項27〜34のいずれか一項に記載の創傷マイクロポンプ。
【請求項36】
前記電気反応性隔膜が、電気反応性膜及び電極の交互層を含む多層積層体である、請求項27〜35のいずれか一項に記載の創傷マイクロポンプ。
【請求項37】
流体収集装置を更に含む、請求項25に記載の医療用ドレッシング。
【請求項38】
前記流体収集装置が、入口ポートを除いて封止されている、請求項37に記載の医療用ドレッシング。
【請求項39】
前記流体収集装置が可撓性である、請求項37に記載の医療用ドレッシング。
【請求項40】
前記流体収集装置が取り外し可能である、請求項37に記載の医療用ドレッシング。
【請求項41】
前記ドレッシングが、前記裏材を通じて形成される開口部を覆うように前記裏材に取り付けられた、通常は閉じている弁を更に含み、前記開口部を通じた流体の流れが前記弁によって制御され、前記通常は閉じている弁と前記裏材との間の死容積は10mm以下である、請求項25に記載の医療用ドレッシング。
【請求項42】
前記弁が一方向弁を含み、前記一方向弁は、開放状態にあるときに前記封止環境の外への流体の流れを可能にし、閉鎖状態にあるときに前記封止環境内への流体の流れを制限する、請求項41に記載の医療用ドレッシング。
【請求項43】
前記弁が、前記裏材と位置合わせされた複数の高分子フィルム層を含み、前記複数の高分子フィルム層が、内部に形成されるフラップを含むフラップ層を含む、請求項41に記載の医療用ドレッシング。
【請求項44】
前記裏材の内表面及び外表面に垂直に測定した前記弁の最大厚さが、1センチメートル以下である、請求項41に記載の医療用ドレッシング。
【請求項45】
前記弁が可撓性であり、医療労働者の親指と人差し指との間で少なくとも一方向に容易に折り畳むことができる、請求項41に記載の医療用ドレッシング。
【請求項46】
前記医療用ドレッシングが隔離要素(stand-off element)を更に含み、前記隔離要素は、前記隔離要素が前記封止環境内の前記裏材の前記内表面に近接配置されたときに、前記裏材の前記内表面の前記開口部への複数の流体通路を画定する、請求項25に記載の医療用ドレッシング。
【請求項47】
前記隔離要素が、前記裏材の前記内表面に直接形成される構造体を含む、請求項46に記載の医療用ドレッシング。
【請求項48】
前記隔離要素が、前記裏材の前記内表面に取り付けられる別個の物品を含む、請求項46に記載の医療用ドレッシング。
【請求項49】
前記隔離要素が、前記裏材の前記内表面に取り付けられる別個の物品を含み、更に前記隔離要素が前記別個の物品の2つの主表面上に、流路を形成する構造体を含む、請求項46に記載の医療用ドレッシング。
【請求項50】
前記医療用ドレッシングが、前記医療用ドレッシングに取り付けられた密閉要素を含む、請求項25に記載の医療用ドレッシング。
【請求項51】
前記医療用ドレッシングが、前記弁を覆うようにして前記医療用ドレッシングに取り付けられた密閉要素を含み、前記密閉要素が前記弁を封止閉鎖する、請求項41に記載の医療用ドレッシング。
【請求項52】
前記医療用ドレッシングが、前記裏材に取り付けられた隔膜要素を更に含む、請求項25に記載の医療用ドレッシング。
【請求項53】
前記医療用ドレッシングが、前記裏材の前記内表面に近接して前記医療用ドレッシングに取り付けられたバリア要素を更に含む、請求項25に記載の医療用ドレッシング。
【請求項54】
請求項25、26、37〜53のいずれか一項に記載の医療用ドレッシングと、
任意により、前記封止環境内の前記裏材の前記内表面に近接配置されたときに、前記裏材の前記内表面に前記開口部への複数の流体通路を画定する隔離要素と、
任意により、隔膜要素と、
任意により、密閉要素と、
任意により、バリア要素と、
任意により、創傷包装材料と、
任意により、弁と、
任意により、滲出流体収集装置と、
任意により、前記弁を覆うようにして前記裏材の前記外表面に取り付けられるように構成された取り付け部と、を含む、
医療用ドレッシングキット。
【請求項55】
前記隔膜要素が、前記医療用ドレッシングに予め取り付けられている、請求項54に記載の医療用ドレッシングキット。
【請求項56】
前記隔膜要素が、前記医療用ドレッシングに取り付けられていない、請求項54に記載の医療用ドレッシングキット。
【請求項57】
前記密閉要素が、前記医療用ドレッシングに予め取り付けられている、請求項54に記載の医療用ドレッシングキット。
【請求項58】
前記密閉要素が、前記医療用ドレッシングに取り付けられていない、請求項54に記載の医療用ドレッシングキット。
【請求項59】
前記医療用ドレッシングが、前記弁を覆うようにして前記医療用ドレッシングに取り付けられた密閉要素を含み、前記密閉要素が前記弁を封止閉鎖する、請求項54に記載の医療用ドレッシングキット。
【請求項60】
創傷を治療する方法であって、
創傷を覆うように、請求項25、26、37〜53のいずれか一項に記載の医療用ドレッシングを適用する工程と、
前記創傷マイクロポンプを操作する工程と、
前記医療用ドレッシングの開口部を通じて前記封止環境内へ、又は前記封止環境外へ流体を動かす工程と、を含む、
方法。
【請求項61】
前記創傷マイクロポンプの操作により、前記創傷の空洞に断続的に真空が形成される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記流体が内部容積部から取り出され、前記流体が空気を含み、それによって前記封止環境内の圧力が大気圧を下回る、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
内部容積部から取り出された前記流体が、前記創傷からの創傷滲出物を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記流体が、前記封止環境内の圧力が大気圧を上回るように内部容積部内に供給される、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
内部容積部に供給された前記流体が、洗浄用流体、抗菌剤、ビタミン、成長因子、MMP阻害剤、一酸化窒素、一酸化窒素生成物質、医薬品、酸素、及びこれらの2つ以上の組み合わせを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
前記電気反応性隔膜が、第1及び第2電気反応性要素を含み、各要素が3つの相互に垂直な寸法を有し、前記寸法が、x寸法、y寸法、及びz寸法であり、
各要素はy−z平面と一致する2つの対向する面を有し、各要素は、前記z寸法方向に交互配置された少なくとも2つの導電層及び少なくとも1つの非導電層を別々に有し、
前記少なくとも2つの導電層は、x寸法方向に延びかつ交互配置された導電性区域及び非導電性区域を含み、
第1導電層が、第1及び第2導電性区域を有し、前記第1及び第2導電性区域がそれぞれ第1表面を有し、
前記第2導電層が、第3及び第4導電性区域を有し、前記第3及び第4導電性区域がそれぞれ第2表面を有し、
前記導電性区域の前記第1及び第2表面が、前記2つの対向する面の一方に交互に曝露され、前記2つの対向する面が、前記第1又は第2表面と一致し、
前記第1及び第2電気反応性要素を分離するための切断面は、前記x寸法と垂直である、請求項27〜36のいずれか一項に記載のマイクロポンプ。
【請求項67】
前記電気反応性要素の各々がユニットセルから作製され、各ユニットセルは、
a)2つの実質垂直な寸法であるx寸法及びy寸法に沿って連続的である第3及び第4表面を有する高分子非導電性材料を含む少なくとも1つの非導電層と、
b)高分子導電性材料を含む少なくとも第1及び第2導電層と、を独立して含み、
前記導電層の各々は、第1表面及び第2表面を含む第1及び第3導電性区域を有し、
前記導電性区域と非導電性区域は交互配置されてx寸法方向に延び、前記第1導電層の前記第1導電性区域の前記第1表面は基準面と一致し、前記第1導電層の前記第1導電性区域の前記第2表面は切断面まで延びず、前記第2導電層の前記第3導電性区域の前記第2表面は前記切断面と一致し、前記基準面まで延びない前記第2導電層の前記第3導電性区域の前記第1表面を有し、前記基準面及び切断面は面と一致して、y−z平面にある、請求項66に記載のマイクロポンプ。
【請求項68】
前記導電層の前記導電性区域の間の隙間が、高分子非導電性材料を含む、請求項66に記載の物品。
【請求項69】
前記高分子導電性材料が、高分子材料及び有機充填剤を含む、請求項66に記載の物品。
【請求項70】
前記高分子材料が、ポリウレタン、ポリオレフィン、フッ素化ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル−ブチルゴムコポリマー、ポリメチルメタクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項66に記載の物品。
【請求項71】
前記有機充填剤が、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項69に記載の物品。
【請求項72】
前記高分子非導電性材料が、ポリウレタン、ポリオレフィン、フッ素化ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル−ブチルゴムコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項66に記載の物品。
【請求項73】
前記作動装置が、第1及び第2電気反応性要素を含む多層フィルムを含み、各要素が、ダウンウェブ方向に向けられかつウェブとほぼ垂直な複数の平面内の2つの対向する面を有し、かつ
y方向又はダウンウェブ寸法方向に延び、x方向又はクロスウェブ寸法方向に非連続的である導電性区域を有する少なくとも2つの層であって、前記導電性区域が前記要素の前記2つの対向する面と一致する第1及び第2表面を有する、少なくとも2つの層と、
ダウンウェブ寸法方向及びx寸法方向に延びる非導電性区域を有する少なくとも1つの層であって、1つの非導電層が導電性区域を有する前記2つの層の間にあり、前記導電性区域が、前記要素のz寸法方向に、1つの層から別の層へ互いに位置合わせされていない、少なくとも1つの層と、を含み、
前記第1及び第2電気反応性要素は、前記多層フィルムのダウンウェブを切断するように向けられた切断面で分離可能である、請求項27〜36、66〜72のいずれか一項に記載のマイクロポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2011−516167(P2011−516167A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503122(P2011−503122)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/039058
【国際公開番号】WO2009/124100
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)