説明

マイクロ波治療装置

【課題】
個々の患者に応じた任意の出力値に設定変更を可能にすると共に目標とする出力値を超過した高出力値のマイクロ波を患者に照射してしまわないよう安全性を確保したマイクロ波治療装置を提供すること。
【解決手段】
所定周波数のマイクロ波を発振するマイクロ波発振部1と、マイクロ波の出力制限値を設定する出力制限値設定手段4と、マイクロ波出力を増減調整する出力調整部5と、出力制限値設定手段4及び出力調整部5からの情報を受けマイクロ波発振部1からのマイクロ波出力を制御する出力制御部7とを有し、出力制御部7はマイクロ波出力が出力制限値に到達した旨を判別した時点でマイクロ波出力の増加を制止し、以降は出力調整部5を操作してもマイクロ波出力が増加されないよう制御を行うことを特徴とするマイクロ波治療装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織にマイクロ波を照射して温熱治療を行うマイクロ波治療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に掲げたマイクロ波温熱治療装置は、絶縁トランスの二次側の出力端子を切換えスイッチによって選択することによりマイクロ波の出力量を切り換えるものであり、前記出力端子を切り換えるだけで、一意的にマイクロ波の出力量が得られ、マイクロ波の出力量を調節する操作性が向上するといった効果を奏するものである。
【0003】
しかしながら、前記技術においてはマイクロ波の発振出力量は絶縁トランスの端子電圧によって一意的に定められた出力量にしか設定できず(第1の実施例には、切換えスイッチにより92.5Vと95.0Vの出力端子のいずれかを選択し、出力量を30W或いは40Wに設定する旨が記載されている)、個々の患者毎に任意の出力量に設定を適宜変更しながら温熱治療を施すことができないといった問題点を有していた。
【0004】
又、新JIS T0601−2−6:2000の51.102によれば、マイクロ波治療装置は出力調整器を最小位置(出力零の位置)に設定した後、出力調整器を手動にて操作し出力調整を行うように設計されてなければならないという制約が課せられている。
【0005】
従って、施療者が出力調整の操作を誤り、目標とする出力値を超過した高出力値のマイクロ波を患者に照射してしまわないよう安全性を確保したマイクロ波治療装置の開発が急務とされている。
【特許文献1】特開平6−15008号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、個々の患者に応じた任意の出力値に設定変更を可能にすると共に目標とする出力値を超過した高出力値のマイクロ波を患者に照射してしまわないよう安全性を確保したマイクロ波治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現する為に本発明は、所定周波数のマイクロ波を発振するマイクロ波発振部と、マイクロ波の出力制限値を設定する出力制限値設定手段と、マイクロ波出力を増減調整する出力調整部と、前記出力制限値設定手段及び前記出力調整部からの情報を受け前記マイクロ波発振部からのマイクロ波出力を制御する出力制御部とを具備し、前記出力制御部はマイクロ波出力が前記出力制限値に到達した旨を判別した時点でマイクロ波出力の増加を制止し、以降は前記出力調整部を操作してもマイクロ波出力が増加されないよう制御を行うように構成した。
【0008】
そして、出力制限値でのマイクロ波出力の制止機能を有効と無効とに切り替え操作する切り替え手段を付設し、前記切り替え手段により前記制止機能を有効にするとマイクロ波出力の増加は前記出力制限値で制止され、前記制止機能を無効にするとマイクロ波出力は前記出力制限値を超過して増加するように構成した。又、切り替え手段をリミット釦とし、該リミット釦の非押下状態下では制止機能が有効とされ、リミット釦の押下状態下では前記制止機能が無効とされるように構成した。更に、一旦無効とされた制止機能は、出力値が出力制限値を超過するか或いは出力制限値以下に減少することによって自動的に有効となるよう復帰作動されるように構成した。
【0009】
他の実施形態として本発明は、所定周波数のマイクロ波を発振するマイクロ波発振部と、マイクロ波の出力制限値を設定する出力制限値設定手段と、マイクロ波出力値を増減調整する出力調整部と、前記出力制限値設定手段及び前記出力調整部からの情報を受け前記マイクロ波発振部からのマイクロ波出力を制御する出力制御部とを具備し、前記出力制御部は、前記出力調整部の出力増加方向への変位量が所定量以上であることを検出するとマイクロ波出力を前記出力制限値で制止する一方、出力調整部の出力増加方向への変位量が所定量未満であることを検出すると前記出力制限値を超過して出力増加を許容する構成とした。
【0010】
出力制限値は零と仕様上の最大出力値との範囲間で任意に設定可能とし、又、出力制限値は零と仕様上の最大出力値との範囲間で少なくとも一つ以上の値を設定可能とした。
【0011】
他の実施形態として本発明は、所定周波数のマイクロ波を発振するマイクロ波発振部と、マイクロ波出力を増減調整する出力調整部と、前記出力調整部からの情報を受け前記マイクロ波発振部からのマイクロ波出力を制御する出力制御部と、該出力制御部に供給する電力値を設定する電力制限値設定部と、電力値が前記電力制限値設定部にて設定された電力制限値に到達した旨を検知した時点で電力値の増加を制止する上限リミット回路部とを具備し、前記上限リミット回路部は電力値を電力制限値に制止した以降は前記出力調整部を出力増加方向へ操作しても前記電力制限値を超過した電力を前記出力制御部へ供給しない作用を奏する構成とした。
【0012】
他の実施形態として本発明は、所定周波数のマイクロ波を発振するマイクロ波発振部と、マイクロ波の出力制限値を設定する出力制限値設定手段と、マイクロ波出力を増減調整する出力調整部と、マイクロ波出力を出力制限値を超過して増加させないように前記出力調整部の出力増加方向への変位を出力制限値に対応する位置にて規制するロック機構とを具備する構成とした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、出力制御部はマイクロ波出力が出力制限値に到達した旨を判別した時点でマイクロ波出力の増加を制止し、以降は出力調整部を操作してもマイクロ波出力が増加されないよう制御を行うので、施療者が出力調整部に不用意に接触する等によって出力調整部が出力増加方向へ変位操作された場合であっても、実際の出力値は出力制限値を超過して増加はしないので著しい高出力値のマイクロ波を被治療者の患部に誤って照射してしまうことはなく、従って、患者の皮膚に火傷等の損傷を付与してしまうといった危険な事態に至ることがなく、安全に温熱治療が行える。又、出力制限値を目標出力値として予め設定すれば、施療者は出力レベル表示部に表示される出力値を都度見ながら目標出力値に一致させるという煩わしい微調整操作が不要となり、出力調整部(出力調整摘み)を大雑把に操作するだけで簡易に前記目標出力値に設定が行え、出力調整操作に要する時間を短縮化できる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、出力制限値におけるマイクロ波出力の制止機能が不要の場合は、切り替え手段を適宜活用することにより当該制止機能を簡単に解除することができ、出力制限を受けることなくの任意の出力値での温熱治療を行えることになる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、リミット釦を押下状態にすると予め設定した出力制限値でのマイクロ波出力の制止機能が無効とされ押下状態を解除すると前記制止機能が有効とされ、或いはリミット釦を押下状態にすると前記制止機能が有効となり押下状態を解除すると前記制止機能が無効とされるように構成したので、マイクロ波治療装置の操作に不慣れな施療者でもリミット釦の押下・押下解除操作により簡単に制止機能を有効と無効とに切り替え操作できる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、切り替え手段により一旦無効とされた制止機能は、出力値が出力制限値を超過するか或いは出力制限値以下に減少することによって自動的に有効となるよう復帰作動されるので、制止機能を有効側に戻し忘れ出力値を意図した値以上に増加させ患者に火傷等を負わせてしまうといった危険性を回避できる。又、出力制限値を超過した場合或いは出力制限値以下に減少した場合に都度、出力制限値での制止機能を有効側に戻すという煩わしい復帰操作を行う必要がなく、制止機能の切り替え操作に余分な気を遣わなくてよく、施療者は患者の治療に専念できる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、出力制御部は出力調整部の出力増加方向への変位量が所定量以上であることを検出するとマイクロ波出力を出力制限値で制止する構成を有するから、施療者等が無意識のうちに出力調整部に接触しマイクロ波出力が急激に増加する状況が発生した場合であっても、マイクロ波出力の急激な増加は出力制御部によって出力調整部の変位量が所定量以上に到達したと判断された段階で出力制限値を上限値として自動的に制止されるので、無意識のうちに患者の皮膚に著しい高出力値のマイクロ波を照射して火傷等の損傷を患者に負わせてしまうといった危険性を軽減でき、マイクロ波治療装置の利用時の安全性を向上できる。
【0018】
又、温熱治療の目標出力値が出力制限値と一致するような設定を予め施しておけば、出力増加方向へ所定量以上の変位量にて出力調整部を大雑把に変位させるだけの簡便な操作でマイクロ波出力を自動的に目標出力値(出力制限値)に制止できるので、施療者は出力レベル表示部等に表示される出力値を逐次見ながら出力を目標出力値に一致させるという微調整操作が不要となり、前記微調整操作に要する時間を短縮化できるというメリットも有する。更に、請求項5に記載の発明によれば、出力制御部は出力調整部の出力増加方向への変位量が所定量未満であることを検出すると出力制限値を超過して出力増加を許容する構成を有するから、出力制限値以上の出力値で温熱治療を行いたい場合は、出力調整部の出力増加方向への変位量が所定変位量未満となるように出力調整部を(緩やかに)変位させればよく、簡便な操作で出力制限値以上の出力値にも迅速に至らせることができ、患者の要望に応じた出力値に容易に設定変更が可能である。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば出力制限値が任意に設定可能であるので、個々の患者の症状或いは患部に応じて適切な出力制限値が設定でき、効率的な温熱治療が行える。請求項7に記載の発明によれば出力制限値は少なくとも一つ以上の値を設定可能であるので、例えば、二つ以上の出力制限値(第一の出力制限値及び第二の出力制限値)を設定しておくことで、万一、施療者が出力調整部の操作を誤り第一の出力制限値を超過して出力を増加操作してしまった場合でも、第二の出力制限値で自動的に出力増加が制止されるので、安全性を確保できる。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、上限リミット回路部が電力値の上昇を電力制限値設定部にて予め設定された電力制限値を上限として制止し、以降は出力調整部を出力増加方向へ変位させても出力制御部へ供給される電力値を増加させないよう制御を行う構成であるから、電力制限値設定部と上限リミット回路部の簡易且つ安価な構成を従来製品に付加するだけで安全に温熱治療が行え、又、従来製品と比して大幅なコストアップとなることも無く経済的で、出力制御部にマイクロプロセッサを搭載しない安価なマイクロ波治療器の提供が可能となる。
【0021】
請求項9に記載の発明によれば、出力制限値を超過したマイクロ波を出力させないように出力調整部の出力増加方向への変位を出力制限値に対応する位置にて規制するロック機構を有するものであるから、出力調整部の出力増加方向への変位を出力制限値で確実に規制することができ、安全性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
個々の患者に応じた任意の出力値に設定変更を可能にすると共に目標とする出力値を超過した高出力値のマイクロ波を患者に照射してしまわないよう安全性を確保したマイクロ波治療装置を提供するという目的を、所定周波数のマイクロ波を発振するマイクロ波発振部と、マイクロ波の出力制限値を設定する出力制限値設定手段と、マイクロ波出力を増減調整する出力調整部と、前記出力制限値設定手段及び前記出力調整部からの情報を受け前記マイクロ波発振部からのマイクロ波出力を制御する出力制御部とを具備し、前記出力制御部はマイクロ波出力が前記出力制限値に到達した旨を判別した時点でマイクロ波出力の増加を制止し、以降は前記出力調整部を操作してもマイクロ波出力が増加されないよう制御を行う構成となすことにより実現した。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明の実施例1を図1乃至5を参照して説明する。図1はマイクロ波治療装置の電気的構成を示す簡易ブロック図、図2は同装置の操作パネル部34を示す外観図である。マイクロ波発振部1はマグネトロン、SSRのスイッチング素子、昇圧トランス等の部材を主たる構成要素としており、該発振部1は後述する出力制御部7からの電気信号によって所定周波数(2.45GHz)のマイクロ波の発振がオンオフ制御される。又、マイクロ波発振部1はマグネトロンからの出力を逐次測定し、測定した情報信号を出力制御部7へ出力している。前記マグネトロンから発振出力されるマイクロ波は同軸ケーブル等の伝送線11を介して照射部15(アプリケータ)へ伝送供給され、該照射部15からマイクロ波が照射される。
【0024】
出力調整部5は手動にてマイクロ波出力を増減調整する部材であり、具体的には出力調整摘み6とされ、該出力調整摘み6はモーターボリューム或いはエンコーダ等によって構成され、出力調整摘み6を所定方向へ適宜手動にて変位(回転)させることにより出力が増加或いは減少するようになっている(図2参照)。尚、後述するように出力調整摘み6は出力制御部7によって電源投入直後に出力が零となる位置(以下、零位置と称呼する)に復帰作動させられる。
【0025】
出力制御部7は、前記マイクロ波発振部1から出力されるマイクロ波出力に係る信号を受信し前記出力の状況を出力レベル表示部16にリアルタイム表示し、又、電源投入直後及び温熱治療終了時に出力調整摘み6を零位置に復帰作動させる他、出力調整摘み6の位置に対応した適切な出力値となるようマイクロ波発振部1を制御する等の役割をなしている。
【0026】
図1中における出力制限値設定手段4としての出力制限値設定部2は前記マイクロ波発振部1から出力されるマイクロ波の制限値(以下、出力制限値と称呼する)を予め設定しておく部位であり、出力制限値設定部2は図2に示すように出力制限値を増加させる増加用釦2aと出力制限値を減少させる減少用釦2bの二個釦から構成される。出力制限値は零から仕様上の最大出力値(例えば、200W)の範囲間で任意の値が設定可能とされている。図2は出力制限値を只一つだけ設定可能に成したものであるが、二つ以上の出力制限値を設定及び表示可能となるように出力制限値設定部2及び出力制限値表示部19を構成してもよい。
【0027】
上述した出力制限値及び治療時間等の各種設定値は不揮発性メモリ(EEPROM)である記憶部3に格納記憶される。表示部14には、マイクロ波の出力状況をリアルタイムに表示する出力レベル表示部16及び前記治療時間をデジタル表示する治療時間表示部17の他、前記出力制限値設定部2にて設定された出力制限値を表示する出力制限値表示部19が含まれている(図1参照)。図2の操作パネル部34に示すように前記出力レベル表示部16にはLEDバーグラフが採用され(アナログメーターとしてもよい)、前記治療時間表示部17及び出力制限値表示部19はそれぞれ二桁及び三桁の七セグメント表示型LEDから構成される。図1中、10はマイクロ波発振部1及び出力制御部7に電力を供給する電源部、13は治療時間を設定するタイマー設定部、37はマイクロ波発振部1からのマイクロ波出力を停止する旨の信号を出力制御部7へ送信する停止釦である。
【0028】
図3に電源投入からマイクロ波出力の開始に至るまでの過程のフローチャートを示す。尚、図3中、Sはステップを示す。不図示の電源スイッチがオンされると、S1において出力調整摘み6が零位置であるか否かが判別される。S1でYesと判別された場合は、マイクロ波治療装置はアイドル状態となり、S3に移行する。S1にてNoと判別された場合は、出力制御部7によって出力調整摘み6が零位置に復帰作動させられた後、マイクロ波治療装置はアイドル状態に至る。
【0029】
図3中のS3では出力制御部7によって治療時間が零より大きいか否か、即ち前記タイマー設定部13にて治療時間が設定されているか否かが判別され、判別の結果、Yesの場合はS4に移行する。ここでは出力制御部7によって出力調整摘み6が零位置より大きいか否かが判別される。S4の判別において、Yesの場合は治療時間(治療残時間)が設定され(S5)、マイクロ波が継続出力されている状態である(S6)。尚、S3及びS4の判別において、Noの場合はいずれもマイクロ波治療装置はアイドル状態に維持される。
【0030】
図4にマイクロ波出力が出力制限値に到達した旨を出力制御部7が判別した時点で出力調整部5の操作によるマイクロ波出力の増加を制止する制御例のフローチャートを示す。まずS7で停止釦37が押下されているか否かが判別され、Noの場合はS8へ移行し、S8で出力調整摘み6が零位置にあるか否かが判別される。S8においてNoの場合はS9へ移行しここで治療残時間が零より大きいか否かが判別される。S9の判別において、Yesの場合は出力調整摘み6の位置に対応したマイクロ波を出力している状態であり、前記マイクロ波出力を継続すると共に治療残時間を減少させる(S12)。
【0031】
次に、S13において、出力制御部7が出力調整摘み6が出力増加方向へ変位操作されているか否かを判別する。その結果、出力調整摘み6が出力増加方向へ変位操作されていることが検知されたYesの場合にはS16に移行し、ここで今度は出力制御部7が出力値を増加すると前記出力制限値設定部2にて設定された出力制限値を超過するか否かを判別することになる。出力制御部7は記憶部3に格納記憶された出力制限値とマイクロ波発振部1から発振されるマイクロ波の出力値とを逐次比較している。
【0032】
S16の判別でYesの場合、即ち、出力値を増加させると出力制限値を超過すると判別した場合は、出力値を出力制限値に制止・維持する(S18)。出力値が出力制限値に到達した以降に施療者等が出力調整摘み6を出力増加の方向へ変位操作すると、出力調整摘み6自体は変位可能とされるが、実際の出力値の増加は出力制御部7によって不可能になされる。
【0033】
従って、出力制限値が目標出力値(温熱治療を行う出力値)となるよう予め設定をしておけば、施療者は出力レベル表示部16に表示される出力値を都度見ながら目標出力値に一致させるという煩わしい微調整操作が不要となり、出力調整摘み6を大雑把に操作するだけで簡易に前記目標出力値に設定が行えることになる。S16の判別において、Noの場合は出力調整摘み6の位置に対応した出力値にまで出力値が増加される(S17)。
【0034】
一方、S13においてNoと判別された場合はS14に移行し、ここで出力調整摘み6が出力減少方向へ変位操作されているか否かが判別されることになる。S14の判別において、Yesの場合は出力値が減少され(S15)、Noの場合は現在の出力値が維持される。又、S8にてYes、S9にてNoと判別された場合にはいずれも出力制御部7によってマイクロ波発振部1からの出力が停止され(S10)、出力調整摘み6は零位置に復帰作動される(S11)。
【0035】
尚、出力調整部5は上述した出力調整摘み6に限定されることはなく、例えば、図示は省略するが、出力調整摘み6の代替として出力増加用釦と出力減少用釦の二個釦を配設し、それぞれの釦を押下することで出力を増加及び減少させるように構成しても勿論よい。
【0036】
実施例1のマイクロ波治療装置には上述した出力制限値におけるマイクロ波出力の制止機能を有効と無効のいずれかに切り替える切り替え手段8が装備されている。切り替え手段8は具体的にはリミット釦9とされる(図1及び2参照)。リミット釦9は該釦9が施療者等によって押下状態になされると前記制止機能が無効となり、非押下状態になされると前記制止機能が有効となるように設定されるリミット解除釦であり、該リミット解除釦が押下状態になると該リミット解除釦の左側に設けられるLED表示灯24(図2参照)が点灯するように構成されている。尚、リミット解除釦は通常、制止機能が有効となるように非押下状態に設定されている。
【0037】
図5に、前記切り替え手段8による出力制限値におけるマイクロ波出力の制止機能を有効と無効のいずれかに切り替える制御例のフローチャートを示す。尚、図5中のS18乃至26については、図4中のS7乃至15と同一であるので説明を省略する。図5中のS24において、Yesと判別された場合、即ち、出力制御部7により出力調整摘み6が出力増加方向へ変位操作されている場合はS27に移行する。
【0038】
ここでリミット釦9が押下状態になされているか否かが判別される。S27でNoと判別された場合、即ち、リミット釦9の非押下状態が維持され制止機能が有効状態となっている場合には、S28に移行しここで現在の出力値が出力制限値を超過しているか否かが判別される。
【0039】
S28においてNoと判別された場合、即ち、出力値が出力制限値を超過していない場合はS29に移行し、ここで今度は出力値を増加すると出力制限値を超過するか否かが判別される。S29において、Yesの判別がされた場合、即ち、出力値を増加すると出力制限値を超過してしまうと判別された場合には、前述した態様に従って出力制限値にて出力値の増加が制止され、出力値は出力制限値に維持される(S30)。
【0040】
一方、S27にてYesと判別された場合、即ち、施療者等によってリミット釦9が操作され押下状態とされている場合は、前記制止機能は無効状態となっており、出力値が出力制限値に到達した段階であっても出力値の増加は制止されず、出力値は出力制限値を超過して増加可能とされる(S31)。S28及びS29の判別において、それぞれYes及びNoと判別された場合も出力値の増加が可能となる。
【0041】
更に、例えば、前記リミット釦9を押下状態にし制止機能を無効として出力値を出力制限値を超過して増加させた場合には、リミット釦9は出力制限値を超過した時点で自動的に非押下状態に復帰作動し前記出力制限値での制止機能が有効となり、又、出力値が出力制限値以上に増加し且つリミット釦9が押下状態になされている場合に、続いて出力調整摘み6を操作し出力値を出力制限値以下にまで減少させると、リミット釦9は自動的に非押下状態に復帰作動されるように構成されている。
【0042】
尚、リミット釦9は上述したように押下状態から非押下状態に自動的に復帰作動させる他に、図示は省略するが施療者等の意思によって手動操作でリミット釦9を押下状態から非押下状態に復帰作動させるように構成してもよい。上記実施例1においてはリミット釦9の非押下状態下で制止機能を有効とし押下状態下で制止機能を無効とするリミット解除釦としたが、前記釦構成とは逆にリミット釦9の非押下状態下で制止機能を無効とし押下状態下で制止機能を有効とするように釦構成をしてもよく、或いは、リミット釦9を手動にて押下し続けている場合にのみ制止機能が無効となり、手動によるリミット釦9の押下を止める(リミット釦9から手を放す)とリミット釦9は自動的に制止機能が有効となるように復帰する釦構成としてもよい。
【実施例2】
【0043】
次に、本発明の実施例2を図1及び6に示す。実施例2は出力制御部7が、単位時間当たりの出力調整摘み6の出力増加方向への変位量(=増加量)が所定量以上であるか否かを判別した上で、出力値を出力制限値にて制止するか否かを決定する構成としている。図1に関しては、実施例1で説明した構成及び作用と同一である箇所の説明は省略し、実施例2に特有の構成及び作用を主として説明する。
【0044】
図6は、出力調整摘み6の単位時間当たりの変位量に応じてマイクロ波出力の増加を制止する制御例を示すフローチャートである。尚、図6中のS32乃至40は図5中のS18乃至26と同一であるので説明を省略する。以下、図6を主体に実施例2を説明する。図6中のS42において、出力制御部7は現在の出力値を増加すると出力制限値を超過するか否かを判別する。判別の結果、Yesの場合はS43に移行し、ここで今度は出力調整摘み6の単位時間当たりの増加量が所定量を超過しているか否かが判別される。尚、出力値を出力制限値にて制止するか否かの判別基準となる出力調整摘み6の単位時間当たりの増加量の閾値は増加量設定部18(図1参照)にて適宜設定され、必要に応じて設定変更が可能である。
【0045】
S43において、Yes判別の場合、即ち、出力調整摘み6の単位時間当たりの増加量が所定量以上である旨が出力制御部7によって判別された場合には出力値が出力制限値に制止され維持される(S44)。一方、S43において、Noと判別された場合、即ち、所定量未満の増加量で出力調整摘み6が変位操作された場合、或いは、S41及びS42においてそれぞれYes及びNoと判別された場合には、いずれも出力値は出力制限値に制止されず当該出力制御値を超過して増加が可能となる(S45)。
【0046】
実施例1及び2では出力制限値を只一つだけ設定した例を説明したが、出力制限値を互いに異なる二つ以上の複数値として設定し、それぞれの出力制限値を閾値としマイクロ波出力を制止する制御を行う場合にも実施例1又は2で述べた技術と略同等の制御技術を適用することが可能である。
【実施例3】
【0047】
図7に実施例3に係るマイクロ波治療装置の電気的構成の簡易ブロック図を示す。尚、図7において図1と同一又は同等の構成要素については、同一符号を付記して、特に説明を要する場合を除いて構成要素の説明は省略する。実施例3は実施例1のマイクロ波治療装置に具備される出力調整部5に加えて電力制限値設定部20を別途設け、電力制限値設定部20において電源部10から供給される電圧の最大値をボリューム23で分圧し、その分圧した電圧を出力制御部7へ出力することによってマイクロ波出力を制限する構成である。
【0048】
前記電源部10は出力制御部7に供給する電圧の最大値(以下、最大電圧値と称呼する)を、上限リミット回路部22を介して出力制御部7へ出力する。前記電力制限値設定部20は電源部10から供給される最大電圧値をボリューム23で分圧し、分圧した電圧の最大値を電圧制限値として設定し出力制御部7へ出力する部位であり、電圧制限値は零乃至最大電圧値の範囲内で適宜変更が可能である。
【0049】
切り替えスイッチ21は上限リミット回路部22を介して出力制御部7に供給する電圧値を、電源部10から出力される最大電圧値とするか、或いは電力制限値設定部20にて設定され出力される電圧制限値とするかの切り替えを行うスイッチ部材であり、切り替えスイッチ21は操作パネル部34に配備される不図示の操作部材を手動操作することによって切り替え操作可能になされている。前記上限リミット回路部22は電源部10から出力される最大電圧値と電力制限値設定部20で設定され出力される電圧制限値のどちらか一方に相当する電圧を、切り替えスイッチ21の切り替えに対応して出力制御部7に供給する役割を果たす回路である。
【0050】
以下、実施例3のマイクロ波治療装置の作用について説明する。施療者等が前記操作部材によって切り替えスイッチ21を操作し、上限リミット回路部22と電源部10とが接続された場合、出力制御部7へは上限リミット回路部22を介して電源部10から最大電圧値が供給される。この場合、出力調整部5(出力調整摘み6)を出力増加方向へ変位(回転)させていくとマイクロ波出力は零から最大電圧値に相当する出力値にまで増加が可能である。(マイクロ波出力は制限されない。)尚、最大電圧値は具体的には、5Vとして設定されている。
【0051】
一方、切り替えスイッチ21が操作され上限リミット回路部22と電力制限値設定部20とが接続された場合、出力制御部7へは上限リミット回路部22を介して電力制限値設定部20にて設定された電圧制限値に対応する電圧が供給される。上限リミット回路部22は電圧制限値を超過した電圧を出力制御部7へは出力しない作用を奏する。この場合、出力調整部5(出力調整摘み6)を出力増加方向へ変位(回転)させるとマイクロ波出力は電圧制限値に相当する出力値にまでは増加するが、当該出力値に到達した以降は出力調整部5を更に出力増加方向へ変位させても出力値は増加しない。
【0052】
従って、マイクロ波出力を制限しない場合は切り替えスイッチ21を操作し電源部10と上限リミット回路部22とを接続しておけばよい。マイクロ波出力を制限する場合は、施療者は切り替えスイッチ21を操作し、電力制限値設定部20と上限リミット回路部22とを接続し、ボリューム23で電源部10から供給される最大電圧値を分圧し、電圧制限値を適宜設定する。例えば、具体例を示すと3Vを電圧制限値として設定する。出力制御部7へは上限リミット回路部22を介して電力制限値設定部20で設定された電圧制限値(3V)に相当する電圧が供給される。次に、出力調整摘み6を出力増加方向へ回転させる。出力調整部5を出力増加方向へ変位させると、マイクロ波出力は前記電圧制限値(3V)に対応する出力値にまでは増加するが、前記電圧制限値(3V)を超過しては増加せず、従って、マイクロ波出力は前記電圧制限値に対応した出力値に制限される。
【実施例4】
【0053】
図8に実施例4のマイクロ波治療装置に具備される出力制限機構の説明図を示す。図8中、(a)は出力制限機構を示す外観の斜視図であり、(b)は出力制限機構の構成及び作用を説明する断面図である。実施例4の出力制限機構は出力調整摘み6に該摘み6の出力増加方向への変位(回転)を出力制限値にて機械的にロックするロック機構32を設けた構成である。以下、ロック機構32の構成について説明する。出力調整摘み6は可変抵抗器26の主軸25と連結され、該摘み6は操作パネル部の適宜位置に回転可能に取着されている。主軸25の所定位置には該軸25の軸心線A−Aを円中心とする略ドーナツ形状の第一円盤27が固着されており、出力調整摘み6と主軸25と第一円盤27の構成部材が一体的に回転するよう構成されている。第一円盤27外周縁の一部分には矩形板状の突出部28(図8(a)参照)が形成されている。
【0054】
そして、出力調整摘み6の円筒面に出力制限値設定手段4としての出力制限値設定摘み29が出力調整摘み6とは独立して回動可能に外嵌されている。出力制限値設定摘み29の一方面29aには軸心線A−Aを円筒軸線とし主軸25に外嵌される円筒体38の一端が固着され、円筒体38の他端は出力制限値設定摘み29と第一円盤27との間において主軸25が挿通されるドーナツ形状の第二円盤31に固着されている。第一円盤27と第二円盤31とは出力制限値設定摘み29と第二円盤31と円筒体38の構成部材が図8(b)中、下方向に移動可能となるよう所定間隔を設けて配置されている。出力制限値設定摘み29と第二円盤31との間にはドーナツ形状であって第二円盤31と略同等の外寸法の第三円盤35が第二円盤31と互いの一方盤面が対向するように近接して設けられており、又、第三円盤35の他方盤面には外周面に螺子部が形成される円筒部39が円筒体38の外周面側に設けられており、第三円盤35は円筒部39を介して操作パネル部裏面の適宜箇所に固定される。
【0055】
そして、バネ30が円筒体38と円筒部39との間に位置するよう円筒体38に対して外装されている。バネ30の一端部は出力制限値設定摘み29の一方面29aに固着されると共に他端部は第三円盤35に固着されている。バネ30は出力制限値設定摘み29と第二円盤31と円筒体38の構成部材を出力調整摘み6方向(図8(b)中、上方向)に付勢する作用を果たしている。更に、前記第三円盤35には後述する第二円盤31に設けられるロックピン33の挿入を許容する少なくとも一つ以上の挿入孔36が同心円周上に沿って所定間隔をあけて穿設されている。一例を挙げると、挿入孔36は零から仕様上の最大出力値の範囲間で出力制限値を5W間隔で設定可能となるように形成される。
【0056】
挿入孔36に対応する第二円盤31の所定位置に該円盤31の両円盤面を貫通してロックピン33が固設されている。図8(a)中、第二円盤31下方に突出したロックピン33(一方部33a)は第一円盤27の突出部28に当接し、第一円盤27、即ち、出力調整摘み6の出力増加方向への回転を規制する。更に、第二円盤31上方に突出し挿入孔36に挿入されるロックピン33(他方部33b)は第二円盤31、即ち、出力制限値設定摘み29の出力制限値の増加及び減少の両方向への回動を規制する役割を果たしている。この出力制限値設定摘み29の回動が規制された位置が出力制限値として設定される。
【0057】
出力調整摘み6は第一円盤27の突出部28がロックピン33に当接した位置で出力制限値設定摘み29が指し示す出力制限値と一致したマイクロ波が出力されるようにその回転位置が調整されている。第一円盤27の径寸法は、第一円盤27外周縁がロックピン33と常時非接触状態となるように第二円盤31より小径寸法に設計されている。
【0058】
次に、実施例4のマイクロ波治療装置に具備されるロック機構32の作用について説明する。出力制限値が零となる位置に出力制限値設定摘み29が設定されている場合は、上述したロックピン33に突出部28が当接することにより出力調整摘み6(第一円盤27)の回転が規制されるので、出力値の増加は不可能になっている。出力制限値設定摘み29を利用して出力制限値を設定する場合は、最初に出力制限値設定摘み29を可変抵抗器26方向(図8(b)中、矢視B方向)へ押し込み、ロックピン33を出力制限値設定摘み29を零位置に保持する挿入孔36から抜脱する。図8(b)中の一点鎖線で示す部分は矢視B方向へ出力制限値設定摘み29を押し込んだ状態を示すものである。
【0059】
前記押し込み状態を維持しつつ出力制限値が増加する方向へ出力制限値設定摘み29を回転させる。目標とする出力制限値に至るまで出力制限値設定摘み29を回転させた時点で、出力制限値設定摘み29の押し込みを解放すると、バネ30の弾性作用によってロックピン33の一方部33aが自動的に挿入孔36に挿入され、出力制限値設定摘み29の回転が規制される。
【0060】
出力調整摘み6を掴み、該摘み6を出力増加方向へ回転させる。出力調整摘み6の回転と同期して第一円盤27が回転し、第一円盤27の突出部28がロックピン33の一方部33aに当接した時点で出力調整摘み6の出力増加方向への回転が規制される。従って、施療者が出力調整摘み6の誤操作等によってマイクロ波出力を出力制限値を超過して増加させてしまうといった不都合な事態に至ることは無く、出力調整時等の安全性を確保できる。出力制限値に到達しない範囲においては、ロック機構32による出力制限を受けることなく任意値での出力調整が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、生体組織にマイクロ波を照射して温熱治療を行うマイクロ波治療装置における出力制御の技術に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のマイクロ波治療装置の電気的構成を示す簡易ブロック図である。
【図2】本発明の実施例1に係るマイクロ波治療装置の操作パネル部を示す外観図である。
【図3】本発明のマイクロ波治療装置における電源投入からマイクロ波出力の開始に至るまでの過程を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例1に係る出力調整部によるマイクロ波出力の増加を制止する制御例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例1に係るマイクロ波出力の制止機能を有効と無効のいずれかに切り替えする制御例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例2に係る出力調整部の単位時間当たりの変位量に応じてマイクロ波出力の増加を制止する制御例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例3に係るマイクロ波治療装置の電気的構成を示す簡易ブロック図である。
【図8】本発明の実施例4に係るマイクロ波治療装置に具備される出力制限機構を説明する図で、(a)は出力制限機構を示す外観の斜視図であり、(b)は出力制限機構の構成及び作用を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 マイクロ波発振部
2 出力制限値設定部
4 出力制限値設定手段
5 出力調整部
6 出力調整摘み
7 出力制御部
8 切り替え手段
9 リミット釦
10 電源部
20 電力制限値設定部
22 上限リミット回路部
32 ロック機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周波数のマイクロ波を発振するマイクロ波発振部と、マイクロ波の出力制限値を設定する出力制限値設定手段と、マイクロ波出力を増減調整する出力調整部と、前記出力制限値設定手段及び前記出力調整部からの情報を受け前記マイクロ波発振部からのマイクロ波出力を制御する出力制御部とを具備し、前記出力制御部はマイクロ波出力が前記出力制限値に到達した旨を判別した時点でマイクロ波出力の増加を制止し、以降は前記出力調整部を操作してもマイクロ波出力が増加されないよう制御を行うことを特徴とするマイクロ波治療装置。
【請求項2】
出力制限値でのマイクロ波出力の制止機能を有効と無効とに切り替え操作する切り替え手段を付設し、前記切り替え手段により前記制止機能を有効にするとマイクロ波出力の増加は前記出力制限値で制止され、前記制止機能を無効にするとマイクロ波出力は前記出力制限値を超過して増加することを特徴とする請求項1記載のマイクロ波治療装置。
【請求項3】
切り替え手段をリミット釦とし、該リミット釦の非押下状態下で制止機能が有効とされ押下状態下で前記制止機能が無効とされるか、又は、前記リミット釦の非押下状態下で制止機能が無効とされ押下状態下で前記制止機能が有効とされることを特徴とする請求項2記載のマイクロ波治療装置。
【請求項4】
切り替え手段により一旦無効とされた制止機能は、出力値が出力制限値を超過するか或いは出力制限値以下に減少することによって自動的に有効となるよう復帰作動されることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のマイクロ波治療装置。
【請求項5】
所定周波数のマイクロ波を発振するマイクロ波発振部と、マイクロ波の出力制限値を設定する出力制限値設定手段と、マイクロ波出力値を増減調整する出力調整部と、前記出力制限値設定手段及び前記出力調整部からの情報を受け前記マイクロ波発振部からのマイクロ波出力を制御する出力制御部とを具備し、前記出力制御部は、前記出力調整部の出力増加方向への変位量が所定量以上であることを検出するとマイクロ波出力を前記出力制限値で制止する一方、前記出力調整部の出力増加方向への変位量が所定量未満であることを検出すると前記出力制限値を超過して出力増加を許容することを特徴とするマイクロ波治療装置。
【請求項6】
出力制限値は零と仕様上の最大出力値との範囲間で任意に設定可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のマイクロ波治療装置。
【請求項7】
出力制限値は零と仕様上の最大出力値との範囲間で少なくとも一つ以上の値を設定可能であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のマイクロ波治療装置。
【請求項8】
所定周波数のマイクロ波を発振するマイクロ波発振部と、マイクロ波出力を増減調整する出力調整部と、前記出力調整部からの情報を受け前記マイクロ波発振部からのマイクロ波出力を制御する出力制御部と、該出力制御部に供給する電力値を設定する電力制限値設定部と、電力値が前記電力制限値設定部にて設定された電力制限値に到達した旨を検知した時点で電力値の増加を制止する上限リミット回路部とを具備し、前記上限リミット回路部は電力値を電力制限値に制止した以降は前記出力調整部を出力増加方向へ操作しても前記電力制限値を超過した電力を前記出力制御部へ供給しない作用を奏することを特徴とするマイクロ波治療装置。
【請求項9】
所定周波数のマイクロ波を発振するマイクロ波発振部と、マイクロ波の出力制限値を設定する出力制限値設定手段と、マイクロ波出力を増減調整する出力調整部と、マイクロ波出力を出力制限値を超過して増加させないように前記出力調整部の出力増加方向への変位を出力制限値に対応する位置にて規制するロック機構とを具備することを特徴とするマイクロ波治療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−296645(P2006−296645A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121101(P2005−121101)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000103471)オージー技研株式会社 (109)
【Fターム(参考)】