マグネシウム合金上にクロム化成皮膜を調製する方法
【課題】
室温以上の温度(例えば室温から約120°F(48.9℃))において、マグネシウム合金上にジルコニウム−クロム化成皮膜を調製する方法を提供する。
【解決手段】
耐食性および接着結合性を改善するためのマグネシウム合金上に皮膜を形成する方法は、pHが約3.7〜4.0である酸性水溶液で前記マグネシウム合金を処理することを含み、前記酸性水溶液が、1リットル当たり、約1.0〜5.0グラムの3価クロム塩、約1.0〜5.0グラムのアルキル金属ヘキサフルオロジルコン酸塩、約0.0〜5.0グラムの、アルキル金属テトラフルオロホウ酸塩、アルキル金属ヘキサフルオロケイ酸塩およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのフルオロ化合物、約0.0〜10グラムの少なくとも1つの2価亜鉛化合物、約0.0〜10グラムの水溶性界面活性剤、約0.0〜10グラムの増粘剤および界面活性剤の混合物を含む。
室温以上の温度(例えば室温から約120°F(48.9℃))において、マグネシウム合金上にジルコニウム−クロム化成皮膜を調製する方法を提供する。
【解決手段】
耐食性および接着結合性を改善するためのマグネシウム合金上に皮膜を形成する方法は、pHが約3.7〜4.0である酸性水溶液で前記マグネシウム合金を処理することを含み、前記酸性水溶液が、1リットル当たり、約1.0〜5.0グラムの3価クロム塩、約1.0〜5.0グラムのアルキル金属ヘキサフルオロジルコン酸塩、約0.0〜5.0グラムの、アルキル金属テトラフルオロホウ酸塩、アルキル金属ヘキサフルオロケイ酸塩およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのフルオロ化合物、約0.0〜10グラムの少なくとも1つの2価亜鉛化合物、約0.0〜10グラムの水溶性界面活性剤、約0.0〜10グラムの増粘剤および界面活性剤の混合物を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に記載されている本発明は、アメリカ合衆国政府に従事する者によってなされたものであり、特許権使用料を支払うことなく、政府によって、または、政府のために、若しくは、政府目的のために製造および使用することができる。
【0002】
本発明は、マグネシウム合金上にジルコニウム−クロム化成皮膜を調製する方法に関する。この方法は、前記合金を、3価クロム化合物、ヘキサフルオロジルコン酸塩、並びに場合によってはテトラフルオロホウ酸塩および/またはヘキサフルオロケイ酸塩、亜鉛化合物、界面活性剤、湿潤剤および/または増粘剤を含む有効量の酸性水溶液で処理する工程を有する。現在行われているマグネシウム合金の表面処理または前処理は、主に化成皮膜と陽極酸化処理という2つの技術に基づいている。本発明は、SAE AMS 3171(マグネシウム合金、前処理および防食方法)に詳述されているものに代わるマグネシウム合金の化成皮膜に関する。従前の方法および組成物を用いる化成皮膜技術は、主に、発ガン物質であることが知られており、米国国防省はもとより、商業部門においても全世界的に代替対象物質とされている6価クロムの使用に基づいている。しかし、マグネシウム合金用の新たな化成皮膜の開発に焦点を当てた研究開発は、これまでにごく僅かしかなされていない。本発明の酸性溶液を用いることにより、例えば、最短で1〜10分の待ち時間で、水溶液の組成および処理対象となるマグネシウム合金に応じて、皮膜の形成を示す青〜青灰色へのはっきりとした色の変化が得られる。未反応の溶液は、処理済の合金から、水道水または脱イオン水を用いて完全に洗い流される。使用に先立ち、更に後処理を行う必要はない。皮膜が完全に乾燥した後、塗装等の次の皮膜が塗布される。
【0003】
より具体的には、本発明は、接着結合性および耐食性を改善するために、マグネシウム合金を前処理する方法または皮膜を形成する方法に関する。この方法は、対象となるマグネシウム合金を、少なくとも1種類の水溶性の3価クロム化合物、水溶性のヘキサフルオロジルコン酸、並びに場合によっては、水溶性のテトラフルオロホウ酸塩および/またはヘキサフルオロケイ酸塩、少なくとも1種類の水溶性の2価亜鉛化合物、および水溶性の増粘剤および/または水溶性の界面活性剤を含む有効量の酸性水溶液で処理する工程を有する。
【背景技術】
【0004】
より具体的には、マグネシウム合金は、通常種々の方法および組成物を用いて処理することができる。現在行われているマグネシウム合金の高性能な処理は、6価クロムの化学的性質に基づいている。しかし、6価クロムは毒性が高く、発ガン性を有することが知られている。そのため、これらの保護皮膜の堆積に使用した溶液および皮膜それ自身も有毒である。しかし、これらの6価クロムの薄膜または皮膜は接着結合性に優れ、未処理のマグネシウム合金と比べて高い耐食性を有する。
【0005】
これらの理由により、環境法令、大統領令、および地方の職場安全衛生(OSH)規則は、軍および企業のユーザーに、6価クロムを用いない処理の研究を促進している。マグネシウム合金の場合、基材の金属は比較的無毒である。しかし、6価クロムを添加するとあらゆる成分が有毒になる。皮膜および処理方法にも6価クロムを用いないものが存在するが、それらの技術的性能は、6価クロムを用いた皮膜に比べ劣っている。更に、規則の厳格化に伴い6価クロムによる処理はより高価になりつつある。更に、これらのクロム皮膜は、環境保護庁の規制によって将来的には禁止される可能性がある。このように、既存の6価クロムによる処理は、低い塗布コストで、より高い耐食性、および塗膜や他の皮膜等に対する密着強度をもたらす点において技術的性能に優れているが、ライフサイクルコスト、環境、およびOSHの観点からは、6価クロム皮膜は人体および環境に有害であると考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、室温以上の温度(例えば室温から約120°F(48.9℃))において、マグネシウム合金上にジルコニウム−クロム化成皮膜を調製する方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、耐食性および接着結合性を改善するためにマグネシウム合金上にジルコニウム−クロム化成皮膜を調製する方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の3価クロム化成処理(TCP)は、pHが約2.5〜5.5、好ましくは3.7〜4.0である酸性水溶液、酸性水溶液1リットル当たり、約0.01〜10グラムの水溶性3価クロム化合物、約0.01〜10グラムのヘキサフルオロジルコン酸塩、0.0〜5.0グラムの、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロケイ酸塩およびそれらの様々な組合せまたは混合物からからなる群から選択される少なくとも1つのフルオロ化合物、0.0〜5.0グラムの少なくとも1つの水溶性2価亜鉛化合物、0.0〜10グラム、好ましくは0.5〜1.5グラムの水溶性増粘剤および/または0.0〜10、好ましくは0.5〜1.5グラムの少なくとも1つの水溶性の非イオン系、陽イオン系、および陰イオン系界面活性剤または湿潤剤を含む。
【0008】
従って、本発明の目的は、マグネシウム合金を処理するために、3価クロム化合物と、ヘキサフルオロジルコン酸塩と、テトラフルオロホウ酸塩および/またはヘキサフルオロケイ酸塩とを含み、耐食性および接着結合性を改善する酸性水溶液を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、pHが約2.5〜5.5の安定な酸性水溶液であって、マグネシウム合金を調製するために、3価クロム塩およびヘキサフルオロジルコン酸塩を含む酸性水溶液を提供することである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、pHが約3.7〜4.0の安定な酸性水溶液であって、常温以上でマグネシウム合金を処理するために3価クロムを含み、酸性水溶液は、実質的に6価クロムを含有しない酸性水溶液を提供することである。
【0011】
本発明のこれらの目的および他の目的は、付随する図1〜図5(写真)と合わせて考慮される際の詳述記載を参照して明らかとなる。
【0012】
図1および図2は、2つの異なる処理によるAZ91 Cマグネシウム合金上のTCP処理の能力を示す写真(各々が4つのパネルを示す)である。第1の処理では、クロム酸塩系「ピクリング」または脱酸素剤が用いられる。第2の処理では、非クロム酸塩系「ピクリング」が用いられる。
【0013】
図1および図2(写真)から、TCPにおける浸漬時間に関わらず、非クロム酸塩ピクリングを用いてTCPが形成される皮膜が優れている。図3および図4は、上記図1および図2と同じ処理であるが、ZE41 Aマグネシウム合金が用いられる。図1〜図4から明らかであるとおり、浸漬時間にかかわらず、非クロム酸ピクリングを用いてTCPが形成される皮膜の性能が最良である。
【0014】
図5は、Dow−7処理(処理工程および洗浄において6価クロム化学物質に基づく)を用い、マグネシウム合金上の6価クロム酸化成皮膜が得られるZE41 A合金皮膜のパネルを示す。図5(写真)から、本願に記載のZE41 A上にTCPが形成される皮膜は、標準Dow−7による6価クロム酸化成皮膜より優れている。さらに、TCP処理は、室温の溶液に5〜20分浸漬するだけでよいが、Dow−7処理は、化成膜沸騰溶液に30分間浸漬する必要がある。TCP処理は、6価クロムを用いない処理および皮膜によって、耐食性が改善されるのみならず、所要時間を短縮し、高温加熱処理に必要性を排除することから、低コストである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、接着結合性および耐食性を改善するためにマグネシウム合金に化成皮膜を形成するために、約2.5〜5.5、好ましくは約2.5〜4.5または3.7〜4.0の範囲内のpHを有する酸性水溶液を用いる方法に関する。この方法は、約120°F(48.9℃)以下の温度で、約0.01〜10グラム、好ましくは約1.0〜5.0グラム(例えば3.0グラム)の、硫酸クロム等の少なくとも1種類の水溶性の3価クロム化合物と、約0.01〜10グラム、好ましくは約1.0〜5.0グラム(例えば4.0グラム)の、少なくとも1種類のアルカリ金属ヘキサフルオロジルコン酸と、約0.0〜5.0グラム、好ましくは約0.12〜1.2グラム(例えば、約0.12〜2.4グラム)の、アルカリ金属テトラフルオロホウ酸塩、アルカリ金属ヘキサフルオロケイ酸塩、およびそれらの任意の割合での種々の混合物または組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類のフッ素化合物と、約0.0〜5.0グラム、好ましくは約1.0〜2.0グラムまたは0.05〜2.0グラムの、硫酸亜鉛等の少なくとも1種類の2価亜鉛化合物とを含む酸性水溶液を用いて皮膜を形成する工程を有する。
【0016】
ある方法において、新たな特徴は、物理的な大きさのマグネシウム基材のようなマグネシウム基材の物理的性質に応じて、溶液の蒸発を遅らせて、噴霧および塗り広げによる塗布の際に最適な皮膜の形成を助けるための増粘剤の添加である。これにより、塗料の付着を妨げる粉末状の堆積物の形成も緩和される。更に、増粘剤の添加により、大面積上に塗布する場合にも適切な皮膜の形成が容易になり、処理中の前工程から基材上に残存する洗浄水による希釈効果が緩和される。この特徴より、むらがなく、着色および耐食性に優れた皮膜が得られる。セルロース化合物等の水溶性の増粘剤は、酸性水溶液中に、1リットル当たり約0.0〜10グラム、好ましくは約0.0〜2.0グラム、より好ましくは0.5〜1.5グラム、または例えば、水溶液1リットル中に約1.0グラム存在する。
【0017】
マグネシウム合金の性質に応じて、有効量の、しかし少量の、少なくとも1種類の水溶性の界面活性剤または湿潤剤を、酸性溶液中に、1リットル当たり約0.0〜10グラム、好ましくは約0.0〜2.0グラム、より好ましくは0.5〜1.5グラム、例えば、酸性溶液1リットル中に1.0グラムの量で加えてもよい。約0.0〜10グラムの量の増粘剤および界面活性剤の混合物を、任意の割合で加えてもよい。公知の水溶性の界面活性剤は多数存在するので、本発明の目的のために、界面活性剤は、非イオン系、陽イオン系、および陰イオン系界面活性剤よりなる群から選択される。
【0018】
3価クロムは、水溶性の3価クロム化合物、好ましくは3価クロム塩として溶液に添加される。特に、本発明の酸性水溶液の調製において、クロム塩は、クロムの価数が+3であれば、都合よく水溶性の塩として溶液に添加してもよい。例えば、数種の好ましいクロム化合物は、Cr2(SO4)3、(NH4)Cr(SO4)2、またはKCr(SO4)2およびこれらの化合物の混合物として溶液中に含まれる。3価クロム塩の好ましい濃度は、水溶液1リットル当たり約1.0〜5.0グラムの範囲内または3.0グラムである。溶液中の3価クロム塩の濃度が好ましい範囲内にあるとき、これらの方法により特に好結果が得られることがわかった。溶液に添加されたフルオロジルコン酸金属塩の好ましい濃度は、溶液1リットル当たり約1.0〜5.0グラムの範囲内または約4.0グラムである。
【0019】
処理によっては、1リットル当たり0.01グラム以上かつ化合物の溶解度の上限までの量のテトラフルオロホウ酸アルカリ金属塩および/またはヘキサフルオロケイ酸アルカリ金属塩を、酸性溶液に添加してもよい。例えば、フルオロジルコン酸塩の重量に対して約50重量%のフルオロケイ酸塩を添加する。換言すると、1リットル当たり8.0グラムのフルオロジルコン酸塩に対し、1リットル当たり約4.0グラムのフルオロケイ酸を溶液に添加する。或いは、フルオロジルコン酸塩の重量に対して約0.01〜100重量%のフルオロホウ酸塩を添加する。例えば、フルオロジルコン酸塩の重量に対して約1.0〜10重量%のフルオロホウ酸塩を添加してもよい。特別な例では、約4.0グラム/リットルのヘキサフルオロジルコン酸カリウム、約3.0グラム/リットルの硫酸クロム(III)、約1.0〜2.0グラム/リットルの硫酸亜鉛(II)、および約0.12〜0.24グラム/リットルのテトラフルオロホウ酸カリウムを含む。安定剤であるフルオロホウ酸塩および/またはフルオロケイ酸塩の添加による重要な結果は、pHが約2.5〜5.5に保たれると共に溶液が安定化することである。しかし、場合によっては、pHを約2.5〜5.5、好ましくは2.5〜4.5または3.7〜4.0に保つために、有効量の希釈した酸または塩基を加えて多少pHを調節する必要がある。
【0020】
皮膜の色および耐食性を、亜鉛を含まない組成物よりも向上させるために、溶液は少なくとも1種類の2価亜鉛化合物を含んでいてもよい。溶液の成分を水中で混合し、他の化学的処理を行うことなく用いることができる。皮膜に付与される色を調節するために、Zn2+陽イオンの量が約0.001グラム/リットル〜5.0グラム/リットル、例えば、1.0〜2.0、または0.05〜2.0グラムとなるよう亜鉛化合物の量を変化させてもよい。2価亜鉛は、水溶性を有し、水溶液中の他の成分に適合性を有する塩である任意の化合物として供給することができる。所望の濃度範囲で水溶性を有する2価化合物としては、好ましくは、酢酸亜鉛、テルル酸亜鉛、テトラフルオロホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛等、またはこれらの任意の割合での組み合わせが挙げられる。
【0021】
マグネシウム合金への皮膜の形成は、溶液温度が大気温度(例えば、常温付近)以上かつ約120°F(48.9℃)以下、または約200°F(93.3℃)以下等の種々の温度で行うことができる。しかしながら、加熱装置が不要になる点において常温が好ましい。皮膜は、オーブン乾燥、強制風乾、赤外線ランプの照射等の任意の公知の方法を用いて空気乾燥することができる。本発明で用いられる場合において、「マグネシウム合金」という用語には、有効量の他の金属を含む任意の公知のマグネシウム合金が含まれるものとする。
【0022】
以下の実施例を用いて、本発明の安定な皮膜形成溶液、およびこの溶液を用いて、マグネシウム合金に対し、色の認識が可能で、接着結合性が向上し、耐食性を有する皮膜を形成する方法について説明する。
【実施例1】
【0023】
約3.4〜4.0のpHを有し、マグネシウムを処理して色識別性を有する皮膜を形成するための安定な酸性水溶液は、溶液1リットル当たり約3.0グラムの塩基性硫酸クロム(III)、約4.0グラムのヘキサフルオロジルコン酸カリウム、および約1.0グラムの硫酸亜鉛(II)を含んでいる。
【実施例2】
【0024】
マグネシウム合金を処理して接着結合性および耐食性を向上させるための安定な酸性水溶液は、溶液1リットル当たり約3.0グラムの塩基性硫酸クロム(III)、および約4.0グラムのヘキサフルオロジルコン酸カリウムを含んでいる。
【実施例3】
【0025】
更に約0.12グラムのテトラフルオロホウ酸カリウムを含む実施例2の組成物。
【実施例4】
【0026】
マグネシウム合金を処理して耐食性および色識別性を有する皮膜を形成するための安定な酸性水溶液は、溶液1リットル当たり約3.0グラムの塩基性硫酸クロム(III)、約4.0グラムのヘキサフルオロジルコン酸カリウム、約0.12グラムのテトラフルオロホウ酸カリウム、および約2.0グラムの硫酸亜鉛(II)を含んでいる。
【0027】
本発明の皮膜は、SAE AMS−M−3171(その開示内容は、参照として本明細書に追加される)に開示された任意のピクリングおよび活性化処理を経て、TCPまたはTCP着色溶液中に、常温から120°F(48.9℃)で約3〜25分間浸漬することにより形成することができる。最適な耐食性および接着結合性は、常温(21.1〜26.7℃)で約5〜15分間浸漬することにより達成できる。この方法によれば、6価クロム法であるDow 7(商標)により、同一の洗浄、ピクリングおよび活性化物質を用いて処理を行った場合に比べ、塗料等の、上に形成される皮膜との接着性に優れた耐食性薄膜または皮膜が得られる。形成直後の薄膜または皮膜は、マグネシウム合金の表面に、目視で確認できる色の変化をもたらす。
【0028】
合金に対するピクリングおよび活性化の方法は、第1の方法は6価クロムを用いる通常のクロム酸ピクリングによる第1の方法、および全ての工程において6価クロムを用いない第2の方法の2種類の方法により行われる。マグネシウム合金は、アルカリ性非エッチング洗浄液を用いて、140°F(60℃)で約10分間清浄処理後洗浄される。180g/LのCrO3(クロム酸)を用いて、180〜200°F(82.2〜93.3℃)で約10分間ピクリングされる。50g/LのNH4F−HF(重フッ化アンモニウム)を用いて、常温で約5分間活性化される。洗浄後、TCP酸性溶液(実施例1〜3)に約5分間浸漬し、洗浄を行う。
【0029】
或いは、上述と同様の洗浄工程の後に、マグネシウム合金を、フルオロケイ酸、硫酸、またはテトラフルオロホウ酸の希薄溶液を用いて、常温で約10分間ピクリング処理した。これらの酸の種々の混合物、特にフルオロケイ酸および硫酸の3/1混合物の希薄溶液を用いることができる。合金を、第1の方法と同様に活性化後、第1の方法と同様にTCP(実施例1〜4)に浸漬する。第2の方法は、マグネシウム合金の前処理方法で一切6価クロムを用いないだけではなく、クロム酸ピクリングを用いて製造した皮膜に比べて高い耐食性を有するTCP薄膜または皮膜を製造することもできる。
【0030】
例えば、本発明のTCP処理に対する接着剥離試験の結果を、Dow(商標)6価クロム法の結果と比較した。3インチ×5インチのMg ZE41 A−T5パネルは全て、SAE−AMS−M−3171 Ty IIIに準拠して、Turco HTCアルカリ洗浄液中140°F(60℃)で10分間、150g/Lクロム酸ピクリング液中190°F(87.8℃)で10分間、50g/L重フッ化アンモニウム中常温(72°F(22.2℃))で5分間処理した。対照群パネルは、その後、180g/Lの重クロム酸カリウム、約3.0g/Lのフッ化カルシウムを含む溶液中に、沸騰温度(210°F(98.9℃)以上)で約30分間浸漬した。6価クロム非含有TCP処理パネルは、4g/Lのヘキサフルオロジルコン酸および約3.0g/Lの塩基性硫酸クロムを含む溶液中、常温(72°F(22.2℃))で5分間前処理した。パネルを24時間風乾後、プライマーおよび塗料を塗布した。塗装系を14日間硬化させた後、接着試験を開始した。接着剥離試験は、ASTM D 4541−95に準拠して行った。パネルの処理方法を表1に示す。
【0031】
【表1】
接着試験の結果を表2に示す。報告された数値は、5枚のパネルのそれぞれについて各6回の剥離試験を行った30回の測定の平均値である。
【0032】
【表2】
【0033】
表2は、本発明のTCP皮膜を用いた接着剥離試験の結果が、ZE41 A合金上に形成されたDow−7クロム酸化成皮膜に比べて、2〜2.5倍改善されていることを示している。このように接着性が向上することによって、例えば、塗装されたマグネシウム基材等におけるマグネシウム合金成分の耐食性が向上する。
【0034】
本発明の目的において、水溶性の界面活性剤が、3価クロム溶液に、1リットル当たり約0〜10グラム、好ましくは0.5〜約1.5グラム添加されていてもよい。界面活性剤は、表面張力を低下させることによって濡れ性を向上させ、それによりマグネシウム基材の表面を完全に被覆し、より均一な薄膜を形成するために水溶液に添加される。界面活性剤としては、非イオン性、陰イオン性、および陽イオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種類の水溶性の界面活性剤が挙げられる。よく知られている数種類の水溶性の界面活性剤としては、モノカルボキシルイミダゾリン、アルキル硫酸ナトリウム塩(DUPONOL(登録商標))、トリデシルオキシポリ(アルキレンオキシエタノール)、エトキシル化またはプロポキシル化アルキルフェノール(IGEPAL(登録商標))、アルキルスルホンアミド、硫酸アルカリール、パルミチン酸アルカノールアミド(CENTROL(登録商標))、オクチルフェニルポリエトキシエタノール(TRITON(登録商標))、モノパルミチン酸ソルビタン(SPAN(登録商標))、ドデシルフェニルポリエチレングリコールエーテル(例えば、TERGITROL(登録商標))、アルキルピロリドン、脂肪酸ポリアルコキシル化エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、およびこれらの混合物が挙げられる。他の公知の水溶性の界面活性剤としては、アルキルフェノールアルコキシレート、好ましくはノニルフェノールエトキシレート、陰イオン性界面活性剤、およびエチレンオキシドと脂肪アミンの付加物が挙げられるが、John Wiley & Sons社刊行の、“Kirk−Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology”第3版の、“Surfactants and Detersive Systems”も参照のこと。
【0035】
表面が大きいため浸漬が不可能な場合、または垂直な表面に噴霧する場合には、水溶液が表面上で十分な接触時間を保持するために増粘剤が添加される。増粘剤は、既知の無機および好ましくは有機の水溶性の増粘剤であり、3価クロム溶液に、有効量、例えば酸性溶液1リットル当たり約0〜10グラム、好ましくは0.5〜1.5グラムの適当な濃度となるように添加される。いくつかの好ましい増粘剤の具体例としては、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel等)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースまたはメチルセルロースおよびこれらの混合物等のセルロース化合物が挙げられる。他の水溶性の増粘剤としては、コロイド状シリカ、ベントナイト等の粘土、デンプン、アラビアゴム、トラガカントゴム、寒天および種々の混合物が挙げられる。
【0036】
皮膜が形成されるマグネシウム合金を常法により処理した後、浸漬、噴霧、または塗り広げ法により溶液を塗布する。TCP溶液は、皮膜の耐食性を更に向上させるために、65℃以下に昇温し、場合によっては浸漬によって塗布してもよい。溶液の滞留時間は、溶液の温度にもよるが、80°F(26.7℃)で約1〜60分間、好ましくは5〜15分間である。滞留後、残留した溶液を、水道水または脱イオン水によりマグネシウム基材から完全に洗浄除去される。優れた性能を得るために、堆積した薄膜に対して更に化学的操作を行う必要はない。しかし、強い酸化剤の溶液を塗布すると、更に耐食性が向上した薄膜が得られる。耐食性の向上は、フィルム中で3価クロムから6価クロムが形成されることによると考えられる。水溶液を、浸漬タンクの代替品として設計された噴霧タンク装置から噴霧してもよい。この概念により、活性試薬の量を、約1000ガロンから約30〜50ガロンに低減することができる。
【0037】
いくつかの具体的な実施例によって本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載された発明の本質および範囲を逸脱することのない種々の変形例および改造例が存在することは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】クロム酸ピクリングを用い、周囲TCPにおいて、右下から右回りの順で5、10、15および25分間浸漬したMg AZ91C−T6の写真である。
【図2】フルオロケイ酸/硫酸ピクリングを用い、周囲TCPにおいて、右下から右回りの順で5、10、15および25分間浸漬したMg AZ91C−T6の写真である。
【図3】クロム酸ピクリングを用い、周囲TCPにおいて、右下から右回りの順で5、10、15および25分間浸漬したMg ZE41 A−T5の写真である。
【図4】フルオロケイ酸/硫酸ピクリングを用い、周囲TCPにおいて、右下から右回りの順で5、10、15および25分間浸漬したMg ZE41A−T5の写真である。
【図5】クロム酸ピクリングを用い、二クロム酸カリウムおよびフッ化カルシウムの沸騰溶液に30分浸漬した、Mg ZE41 A−T5 − ASTM Bl 17 − 3時間Dow(商標) 7処理の写真である。
【技術分野】
【0001】
本願明細書に記載されている本発明は、アメリカ合衆国政府に従事する者によってなされたものであり、特許権使用料を支払うことなく、政府によって、または、政府のために、若しくは、政府目的のために製造および使用することができる。
【0002】
本発明は、マグネシウム合金上にジルコニウム−クロム化成皮膜を調製する方法に関する。この方法は、前記合金を、3価クロム化合物、ヘキサフルオロジルコン酸塩、並びに場合によってはテトラフルオロホウ酸塩および/またはヘキサフルオロケイ酸塩、亜鉛化合物、界面活性剤、湿潤剤および/または増粘剤を含む有効量の酸性水溶液で処理する工程を有する。現在行われているマグネシウム合金の表面処理または前処理は、主に化成皮膜と陽極酸化処理という2つの技術に基づいている。本発明は、SAE AMS 3171(マグネシウム合金、前処理および防食方法)に詳述されているものに代わるマグネシウム合金の化成皮膜に関する。従前の方法および組成物を用いる化成皮膜技術は、主に、発ガン物質であることが知られており、米国国防省はもとより、商業部門においても全世界的に代替対象物質とされている6価クロムの使用に基づいている。しかし、マグネシウム合金用の新たな化成皮膜の開発に焦点を当てた研究開発は、これまでにごく僅かしかなされていない。本発明の酸性溶液を用いることにより、例えば、最短で1〜10分の待ち時間で、水溶液の組成および処理対象となるマグネシウム合金に応じて、皮膜の形成を示す青〜青灰色へのはっきりとした色の変化が得られる。未反応の溶液は、処理済の合金から、水道水または脱イオン水を用いて完全に洗い流される。使用に先立ち、更に後処理を行う必要はない。皮膜が完全に乾燥した後、塗装等の次の皮膜が塗布される。
【0003】
より具体的には、本発明は、接着結合性および耐食性を改善するために、マグネシウム合金を前処理する方法または皮膜を形成する方法に関する。この方法は、対象となるマグネシウム合金を、少なくとも1種類の水溶性の3価クロム化合物、水溶性のヘキサフルオロジルコン酸、並びに場合によっては、水溶性のテトラフルオロホウ酸塩および/またはヘキサフルオロケイ酸塩、少なくとも1種類の水溶性の2価亜鉛化合物、および水溶性の増粘剤および/または水溶性の界面活性剤を含む有効量の酸性水溶液で処理する工程を有する。
【背景技術】
【0004】
より具体的には、マグネシウム合金は、通常種々の方法および組成物を用いて処理することができる。現在行われているマグネシウム合金の高性能な処理は、6価クロムの化学的性質に基づいている。しかし、6価クロムは毒性が高く、発ガン性を有することが知られている。そのため、これらの保護皮膜の堆積に使用した溶液および皮膜それ自身も有毒である。しかし、これらの6価クロムの薄膜または皮膜は接着結合性に優れ、未処理のマグネシウム合金と比べて高い耐食性を有する。
【0005】
これらの理由により、環境法令、大統領令、および地方の職場安全衛生(OSH)規則は、軍および企業のユーザーに、6価クロムを用いない処理の研究を促進している。マグネシウム合金の場合、基材の金属は比較的無毒である。しかし、6価クロムを添加するとあらゆる成分が有毒になる。皮膜および処理方法にも6価クロムを用いないものが存在するが、それらの技術的性能は、6価クロムを用いた皮膜に比べ劣っている。更に、規則の厳格化に伴い6価クロムによる処理はより高価になりつつある。更に、これらのクロム皮膜は、環境保護庁の規制によって将来的には禁止される可能性がある。このように、既存の6価クロムによる処理は、低い塗布コストで、より高い耐食性、および塗膜や他の皮膜等に対する密着強度をもたらす点において技術的性能に優れているが、ライフサイクルコスト、環境、およびOSHの観点からは、6価クロム皮膜は人体および環境に有害であると考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、室温以上の温度(例えば室温から約120°F(48.9℃))において、マグネシウム合金上にジルコニウム−クロム化成皮膜を調製する方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、耐食性および接着結合性を改善するためにマグネシウム合金上にジルコニウム−クロム化成皮膜を調製する方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の3価クロム化成処理(TCP)は、pHが約2.5〜5.5、好ましくは3.7〜4.0である酸性水溶液、酸性水溶液1リットル当たり、約0.01〜10グラムの水溶性3価クロム化合物、約0.01〜10グラムのヘキサフルオロジルコン酸塩、0.0〜5.0グラムの、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロケイ酸塩およびそれらの様々な組合せまたは混合物からからなる群から選択される少なくとも1つのフルオロ化合物、0.0〜5.0グラムの少なくとも1つの水溶性2価亜鉛化合物、0.0〜10グラム、好ましくは0.5〜1.5グラムの水溶性増粘剤および/または0.0〜10、好ましくは0.5〜1.5グラムの少なくとも1つの水溶性の非イオン系、陽イオン系、および陰イオン系界面活性剤または湿潤剤を含む。
【0008】
従って、本発明の目的は、マグネシウム合金を処理するために、3価クロム化合物と、ヘキサフルオロジルコン酸塩と、テトラフルオロホウ酸塩および/またはヘキサフルオロケイ酸塩とを含み、耐食性および接着結合性を改善する酸性水溶液を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、pHが約2.5〜5.5の安定な酸性水溶液であって、マグネシウム合金を調製するために、3価クロム塩およびヘキサフルオロジルコン酸塩を含む酸性水溶液を提供することである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、pHが約3.7〜4.0の安定な酸性水溶液であって、常温以上でマグネシウム合金を処理するために3価クロムを含み、酸性水溶液は、実質的に6価クロムを含有しない酸性水溶液を提供することである。
【0011】
本発明のこれらの目的および他の目的は、付随する図1〜図5(写真)と合わせて考慮される際の詳述記載を参照して明らかとなる。
【0012】
図1および図2は、2つの異なる処理によるAZ91 Cマグネシウム合金上のTCP処理の能力を示す写真(各々が4つのパネルを示す)である。第1の処理では、クロム酸塩系「ピクリング」または脱酸素剤が用いられる。第2の処理では、非クロム酸塩系「ピクリング」が用いられる。
【0013】
図1および図2(写真)から、TCPにおける浸漬時間に関わらず、非クロム酸塩ピクリングを用いてTCPが形成される皮膜が優れている。図3および図4は、上記図1および図2と同じ処理であるが、ZE41 Aマグネシウム合金が用いられる。図1〜図4から明らかであるとおり、浸漬時間にかかわらず、非クロム酸ピクリングを用いてTCPが形成される皮膜の性能が最良である。
【0014】
図5は、Dow−7処理(処理工程および洗浄において6価クロム化学物質に基づく)を用い、マグネシウム合金上の6価クロム酸化成皮膜が得られるZE41 A合金皮膜のパネルを示す。図5(写真)から、本願に記載のZE41 A上にTCPが形成される皮膜は、標準Dow−7による6価クロム酸化成皮膜より優れている。さらに、TCP処理は、室温の溶液に5〜20分浸漬するだけでよいが、Dow−7処理は、化成膜沸騰溶液に30分間浸漬する必要がある。TCP処理は、6価クロムを用いない処理および皮膜によって、耐食性が改善されるのみならず、所要時間を短縮し、高温加熱処理に必要性を排除することから、低コストである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、接着結合性および耐食性を改善するためにマグネシウム合金に化成皮膜を形成するために、約2.5〜5.5、好ましくは約2.5〜4.5または3.7〜4.0の範囲内のpHを有する酸性水溶液を用いる方法に関する。この方法は、約120°F(48.9℃)以下の温度で、約0.01〜10グラム、好ましくは約1.0〜5.0グラム(例えば3.0グラム)の、硫酸クロム等の少なくとも1種類の水溶性の3価クロム化合物と、約0.01〜10グラム、好ましくは約1.0〜5.0グラム(例えば4.0グラム)の、少なくとも1種類のアルカリ金属ヘキサフルオロジルコン酸と、約0.0〜5.0グラム、好ましくは約0.12〜1.2グラム(例えば、約0.12〜2.4グラム)の、アルカリ金属テトラフルオロホウ酸塩、アルカリ金属ヘキサフルオロケイ酸塩、およびそれらの任意の割合での種々の混合物または組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類のフッ素化合物と、約0.0〜5.0グラム、好ましくは約1.0〜2.0グラムまたは0.05〜2.0グラムの、硫酸亜鉛等の少なくとも1種類の2価亜鉛化合物とを含む酸性水溶液を用いて皮膜を形成する工程を有する。
【0016】
ある方法において、新たな特徴は、物理的な大きさのマグネシウム基材のようなマグネシウム基材の物理的性質に応じて、溶液の蒸発を遅らせて、噴霧および塗り広げによる塗布の際に最適な皮膜の形成を助けるための増粘剤の添加である。これにより、塗料の付着を妨げる粉末状の堆積物の形成も緩和される。更に、増粘剤の添加により、大面積上に塗布する場合にも適切な皮膜の形成が容易になり、処理中の前工程から基材上に残存する洗浄水による希釈効果が緩和される。この特徴より、むらがなく、着色および耐食性に優れた皮膜が得られる。セルロース化合物等の水溶性の増粘剤は、酸性水溶液中に、1リットル当たり約0.0〜10グラム、好ましくは約0.0〜2.0グラム、より好ましくは0.5〜1.5グラム、または例えば、水溶液1リットル中に約1.0グラム存在する。
【0017】
マグネシウム合金の性質に応じて、有効量の、しかし少量の、少なくとも1種類の水溶性の界面活性剤または湿潤剤を、酸性溶液中に、1リットル当たり約0.0〜10グラム、好ましくは約0.0〜2.0グラム、より好ましくは0.5〜1.5グラム、例えば、酸性溶液1リットル中に1.0グラムの量で加えてもよい。約0.0〜10グラムの量の増粘剤および界面活性剤の混合物を、任意の割合で加えてもよい。公知の水溶性の界面活性剤は多数存在するので、本発明の目的のために、界面活性剤は、非イオン系、陽イオン系、および陰イオン系界面活性剤よりなる群から選択される。
【0018】
3価クロムは、水溶性の3価クロム化合物、好ましくは3価クロム塩として溶液に添加される。特に、本発明の酸性水溶液の調製において、クロム塩は、クロムの価数が+3であれば、都合よく水溶性の塩として溶液に添加してもよい。例えば、数種の好ましいクロム化合物は、Cr2(SO4)3、(NH4)Cr(SO4)2、またはKCr(SO4)2およびこれらの化合物の混合物として溶液中に含まれる。3価クロム塩の好ましい濃度は、水溶液1リットル当たり約1.0〜5.0グラムの範囲内または3.0グラムである。溶液中の3価クロム塩の濃度が好ましい範囲内にあるとき、これらの方法により特に好結果が得られることがわかった。溶液に添加されたフルオロジルコン酸金属塩の好ましい濃度は、溶液1リットル当たり約1.0〜5.0グラムの範囲内または約4.0グラムである。
【0019】
処理によっては、1リットル当たり0.01グラム以上かつ化合物の溶解度の上限までの量のテトラフルオロホウ酸アルカリ金属塩および/またはヘキサフルオロケイ酸アルカリ金属塩を、酸性溶液に添加してもよい。例えば、フルオロジルコン酸塩の重量に対して約50重量%のフルオロケイ酸塩を添加する。換言すると、1リットル当たり8.0グラムのフルオロジルコン酸塩に対し、1リットル当たり約4.0グラムのフルオロケイ酸を溶液に添加する。或いは、フルオロジルコン酸塩の重量に対して約0.01〜100重量%のフルオロホウ酸塩を添加する。例えば、フルオロジルコン酸塩の重量に対して約1.0〜10重量%のフルオロホウ酸塩を添加してもよい。特別な例では、約4.0グラム/リットルのヘキサフルオロジルコン酸カリウム、約3.0グラム/リットルの硫酸クロム(III)、約1.0〜2.0グラム/リットルの硫酸亜鉛(II)、および約0.12〜0.24グラム/リットルのテトラフルオロホウ酸カリウムを含む。安定剤であるフルオロホウ酸塩および/またはフルオロケイ酸塩の添加による重要な結果は、pHが約2.5〜5.5に保たれると共に溶液が安定化することである。しかし、場合によっては、pHを約2.5〜5.5、好ましくは2.5〜4.5または3.7〜4.0に保つために、有効量の希釈した酸または塩基を加えて多少pHを調節する必要がある。
【0020】
皮膜の色および耐食性を、亜鉛を含まない組成物よりも向上させるために、溶液は少なくとも1種類の2価亜鉛化合物を含んでいてもよい。溶液の成分を水中で混合し、他の化学的処理を行うことなく用いることができる。皮膜に付与される色を調節するために、Zn2+陽イオンの量が約0.001グラム/リットル〜5.0グラム/リットル、例えば、1.0〜2.0、または0.05〜2.0グラムとなるよう亜鉛化合物の量を変化させてもよい。2価亜鉛は、水溶性を有し、水溶液中の他の成分に適合性を有する塩である任意の化合物として供給することができる。所望の濃度範囲で水溶性を有する2価化合物としては、好ましくは、酢酸亜鉛、テルル酸亜鉛、テトラフルオロホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛等、またはこれらの任意の割合での組み合わせが挙げられる。
【0021】
マグネシウム合金への皮膜の形成は、溶液温度が大気温度(例えば、常温付近)以上かつ約120°F(48.9℃)以下、または約200°F(93.3℃)以下等の種々の温度で行うことができる。しかしながら、加熱装置が不要になる点において常温が好ましい。皮膜は、オーブン乾燥、強制風乾、赤外線ランプの照射等の任意の公知の方法を用いて空気乾燥することができる。本発明で用いられる場合において、「マグネシウム合金」という用語には、有効量の他の金属を含む任意の公知のマグネシウム合金が含まれるものとする。
【0022】
以下の実施例を用いて、本発明の安定な皮膜形成溶液、およびこの溶液を用いて、マグネシウム合金に対し、色の認識が可能で、接着結合性が向上し、耐食性を有する皮膜を形成する方法について説明する。
【実施例1】
【0023】
約3.4〜4.0のpHを有し、マグネシウムを処理して色識別性を有する皮膜を形成するための安定な酸性水溶液は、溶液1リットル当たり約3.0グラムの塩基性硫酸クロム(III)、約4.0グラムのヘキサフルオロジルコン酸カリウム、および約1.0グラムの硫酸亜鉛(II)を含んでいる。
【実施例2】
【0024】
マグネシウム合金を処理して接着結合性および耐食性を向上させるための安定な酸性水溶液は、溶液1リットル当たり約3.0グラムの塩基性硫酸クロム(III)、および約4.0グラムのヘキサフルオロジルコン酸カリウムを含んでいる。
【実施例3】
【0025】
更に約0.12グラムのテトラフルオロホウ酸カリウムを含む実施例2の組成物。
【実施例4】
【0026】
マグネシウム合金を処理して耐食性および色識別性を有する皮膜を形成するための安定な酸性水溶液は、溶液1リットル当たり約3.0グラムの塩基性硫酸クロム(III)、約4.0グラムのヘキサフルオロジルコン酸カリウム、約0.12グラムのテトラフルオロホウ酸カリウム、および約2.0グラムの硫酸亜鉛(II)を含んでいる。
【0027】
本発明の皮膜は、SAE AMS−M−3171(その開示内容は、参照として本明細書に追加される)に開示された任意のピクリングおよび活性化処理を経て、TCPまたはTCP着色溶液中に、常温から120°F(48.9℃)で約3〜25分間浸漬することにより形成することができる。最適な耐食性および接着結合性は、常温(21.1〜26.7℃)で約5〜15分間浸漬することにより達成できる。この方法によれば、6価クロム法であるDow 7(商標)により、同一の洗浄、ピクリングおよび活性化物質を用いて処理を行った場合に比べ、塗料等の、上に形成される皮膜との接着性に優れた耐食性薄膜または皮膜が得られる。形成直後の薄膜または皮膜は、マグネシウム合金の表面に、目視で確認できる色の変化をもたらす。
【0028】
合金に対するピクリングおよび活性化の方法は、第1の方法は6価クロムを用いる通常のクロム酸ピクリングによる第1の方法、および全ての工程において6価クロムを用いない第2の方法の2種類の方法により行われる。マグネシウム合金は、アルカリ性非エッチング洗浄液を用いて、140°F(60℃)で約10分間清浄処理後洗浄される。180g/LのCrO3(クロム酸)を用いて、180〜200°F(82.2〜93.3℃)で約10分間ピクリングされる。50g/LのNH4F−HF(重フッ化アンモニウム)を用いて、常温で約5分間活性化される。洗浄後、TCP酸性溶液(実施例1〜3)に約5分間浸漬し、洗浄を行う。
【0029】
或いは、上述と同様の洗浄工程の後に、マグネシウム合金を、フルオロケイ酸、硫酸、またはテトラフルオロホウ酸の希薄溶液を用いて、常温で約10分間ピクリング処理した。これらの酸の種々の混合物、特にフルオロケイ酸および硫酸の3/1混合物の希薄溶液を用いることができる。合金を、第1の方法と同様に活性化後、第1の方法と同様にTCP(実施例1〜4)に浸漬する。第2の方法は、マグネシウム合金の前処理方法で一切6価クロムを用いないだけではなく、クロム酸ピクリングを用いて製造した皮膜に比べて高い耐食性を有するTCP薄膜または皮膜を製造することもできる。
【0030】
例えば、本発明のTCP処理に対する接着剥離試験の結果を、Dow(商標)6価クロム法の結果と比較した。3インチ×5インチのMg ZE41 A−T5パネルは全て、SAE−AMS−M−3171 Ty IIIに準拠して、Turco HTCアルカリ洗浄液中140°F(60℃)で10分間、150g/Lクロム酸ピクリング液中190°F(87.8℃)で10分間、50g/L重フッ化アンモニウム中常温(72°F(22.2℃))で5分間処理した。対照群パネルは、その後、180g/Lの重クロム酸カリウム、約3.0g/Lのフッ化カルシウムを含む溶液中に、沸騰温度(210°F(98.9℃)以上)で約30分間浸漬した。6価クロム非含有TCP処理パネルは、4g/Lのヘキサフルオロジルコン酸および約3.0g/Lの塩基性硫酸クロムを含む溶液中、常温(72°F(22.2℃))で5分間前処理した。パネルを24時間風乾後、プライマーおよび塗料を塗布した。塗装系を14日間硬化させた後、接着試験を開始した。接着剥離試験は、ASTM D 4541−95に準拠して行った。パネルの処理方法を表1に示す。
【0031】
【表1】
接着試験の結果を表2に示す。報告された数値は、5枚のパネルのそれぞれについて各6回の剥離試験を行った30回の測定の平均値である。
【0032】
【表2】
【0033】
表2は、本発明のTCP皮膜を用いた接着剥離試験の結果が、ZE41 A合金上に形成されたDow−7クロム酸化成皮膜に比べて、2〜2.5倍改善されていることを示している。このように接着性が向上することによって、例えば、塗装されたマグネシウム基材等におけるマグネシウム合金成分の耐食性が向上する。
【0034】
本発明の目的において、水溶性の界面活性剤が、3価クロム溶液に、1リットル当たり約0〜10グラム、好ましくは0.5〜約1.5グラム添加されていてもよい。界面活性剤は、表面張力を低下させることによって濡れ性を向上させ、それによりマグネシウム基材の表面を完全に被覆し、より均一な薄膜を形成するために水溶液に添加される。界面活性剤としては、非イオン性、陰イオン性、および陽イオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種類の水溶性の界面活性剤が挙げられる。よく知られている数種類の水溶性の界面活性剤としては、モノカルボキシルイミダゾリン、アルキル硫酸ナトリウム塩(DUPONOL(登録商標))、トリデシルオキシポリ(アルキレンオキシエタノール)、エトキシル化またはプロポキシル化アルキルフェノール(IGEPAL(登録商標))、アルキルスルホンアミド、硫酸アルカリール、パルミチン酸アルカノールアミド(CENTROL(登録商標))、オクチルフェニルポリエトキシエタノール(TRITON(登録商標))、モノパルミチン酸ソルビタン(SPAN(登録商標))、ドデシルフェニルポリエチレングリコールエーテル(例えば、TERGITROL(登録商標))、アルキルピロリドン、脂肪酸ポリアルコキシル化エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、およびこれらの混合物が挙げられる。他の公知の水溶性の界面活性剤としては、アルキルフェノールアルコキシレート、好ましくはノニルフェノールエトキシレート、陰イオン性界面活性剤、およびエチレンオキシドと脂肪アミンの付加物が挙げられるが、John Wiley & Sons社刊行の、“Kirk−Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology”第3版の、“Surfactants and Detersive Systems”も参照のこと。
【0035】
表面が大きいため浸漬が不可能な場合、または垂直な表面に噴霧する場合には、水溶液が表面上で十分な接触時間を保持するために増粘剤が添加される。増粘剤は、既知の無機および好ましくは有機の水溶性の増粘剤であり、3価クロム溶液に、有効量、例えば酸性溶液1リットル当たり約0〜10グラム、好ましくは0.5〜1.5グラムの適当な濃度となるように添加される。いくつかの好ましい増粘剤の具体例としては、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel等)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースまたはメチルセルロースおよびこれらの混合物等のセルロース化合物が挙げられる。他の水溶性の増粘剤としては、コロイド状シリカ、ベントナイト等の粘土、デンプン、アラビアゴム、トラガカントゴム、寒天および種々の混合物が挙げられる。
【0036】
皮膜が形成されるマグネシウム合金を常法により処理した後、浸漬、噴霧、または塗り広げ法により溶液を塗布する。TCP溶液は、皮膜の耐食性を更に向上させるために、65℃以下に昇温し、場合によっては浸漬によって塗布してもよい。溶液の滞留時間は、溶液の温度にもよるが、80°F(26.7℃)で約1〜60分間、好ましくは5〜15分間である。滞留後、残留した溶液を、水道水または脱イオン水によりマグネシウム基材から完全に洗浄除去される。優れた性能を得るために、堆積した薄膜に対して更に化学的操作を行う必要はない。しかし、強い酸化剤の溶液を塗布すると、更に耐食性が向上した薄膜が得られる。耐食性の向上は、フィルム中で3価クロムから6価クロムが形成されることによると考えられる。水溶液を、浸漬タンクの代替品として設計された噴霧タンク装置から噴霧してもよい。この概念により、活性試薬の量を、約1000ガロンから約30〜50ガロンに低減することができる。
【0037】
いくつかの具体的な実施例によって本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載された発明の本質および範囲を逸脱することのない種々の変形例および改造例が存在することは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】クロム酸ピクリングを用い、周囲TCPにおいて、右下から右回りの順で5、10、15および25分間浸漬したMg AZ91C−T6の写真である。
【図2】フルオロケイ酸/硫酸ピクリングを用い、周囲TCPにおいて、右下から右回りの順で5、10、15および25分間浸漬したMg AZ91C−T6の写真である。
【図3】クロム酸ピクリングを用い、周囲TCPにおいて、右下から右回りの順で5、10、15および25分間浸漬したMg ZE41 A−T5の写真である。
【図4】フルオロケイ酸/硫酸ピクリングを用い、周囲TCPにおいて、右下から右回りの順で5、10、15および25分間浸漬したMg ZE41A−T5の写真である。
【図5】クロム酸ピクリングを用い、二クロム酸カリウムおよびフッ化カルシウムの沸騰溶液に30分浸漬した、Mg ZE41 A−T5 − ASTM Bl 17 − 3時間Dow(商標) 7処理の写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐食性および接着結合性を改善するためのマグネシウム合金上にジルコニウム−クロム化成皮膜を調製する方法であって、マグネシウム合金をpHが約2.5〜5.5である酸性水溶液で処理することを含み、前記酸性水溶液が、1リットル当たり、約0.01〜10グラムの3価クロム化合物、約0.01〜10グラムのヘキサフルオロジルコン酸塩、約0.0〜5.0グラムの、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロケイ酸塩およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのフルオロ化合物、約0.0〜5.0グラムの少なくとも1つの2価亜鉛化合物、約0.0〜10グラムの水溶性増粘剤および約0.0〜10グラムの少なくとも1つの水溶性界面活性剤を含む方法。
【請求項2】
前記水溶液のpHが約3.7〜4.0であり、前記水溶液の温度が約室温から120°F(48.9℃)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記3価クロムが約1.0〜5.0グラムの水溶性化合物であり、前記フルオロジルコン酸塩が約1.0〜5.0グラムの水溶性化合物であり、前記フッ素化合物が、約0.12〜1.2グラムの水溶性化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記増粘剤が約0.5〜1.5グラムであり、前記界面活性剤が約0.5〜1.5グラムである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
耐食性および接着結合性を改善するためのマグネシウム合金上に皮膜を形成する方法であって、pHが約3.7〜4.0である酸性水溶液で前記マグネシウム合金を処理することを含み、前記酸性水溶液が、1リットル当たり、約1.0〜5.0グラムの3価クロム塩、約1.0〜5.0グラムのアルキル金属ヘキサフルオロジルコン酸塩、約0.0〜5.0グラムの、アルキル金属テトラフルオロホウ酸塩、アルキル金属ヘキサフルオロケイ酸塩およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのフルオロ化合物、約0.0〜10グラムの少なくとも1つの2価亜鉛化合物、約0.0〜10グラムの水溶性界面活性剤、約0.0〜10グラムの増粘剤および界面活性剤の混合物を含む方法。
【請求項6】
前記フッ素化合物の混合物が、約0.12〜1.2グラムの量で前記溶液に存在する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記増粘剤が、1リットル当たり約0.5〜1.5グラムで前記酸性水溶液中に存在する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記クロム塩が、塩基性硫酸クロム(III)である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記アルキル金属ジルコン酸塩が、ヘキサフルオロジルコン酸カリウムである、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記3価クロム化合物が約1.0〜5.0グラムであり、前記ヘキサフルオロジルコン酸塩が約1.0〜5.0グラムであり、前記テトラフルオロホウ酸塩が約0.12〜1.2グラムである、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記クロム酸塩が硫酸クロム(III)であり、前記2価亜鉛化合物が硫酸亜鉛である、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記増粘剤が、約0.5〜1.5グラムの水溶性セルロース化合物である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記亜鉛化合物が酢酸亜鉛である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記界面活性剤が、水溶性の非イオン性、陰イオン性および陽イオン性界面活性剤からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記亜鉛化合物が、約0.001〜5.0グラムの硫酸亜鉛(II)である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記硫酸亜鉛が、約0.05〜2.0グラムの量で前記水溶液に存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記クロム塩が、1.0〜5.0グラムの量で前記水溶液に存在し、前記アルカリ金属テトラフルオロホウ酸塩および前記アルカリ金属ヘキサフルオロケイ酸塩の混合物が、約0.12〜0.24グラムの量で前記水溶液に存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記硫酸亜鉛が、約0.05〜2.0グラムの量で前記水溶液に存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の皮膜形成されたマグネシウム合金。
【請求項20】
請求項5に記載の皮膜形成されたマグネシウム合金。
【請求項1】
耐食性および接着結合性を改善するためのマグネシウム合金上にジルコニウム−クロム化成皮膜を調製する方法であって、マグネシウム合金をpHが約2.5〜5.5である酸性水溶液で処理することを含み、前記酸性水溶液が、1リットル当たり、約0.01〜10グラムの3価クロム化合物、約0.01〜10グラムのヘキサフルオロジルコン酸塩、約0.0〜5.0グラムの、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロケイ酸塩およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのフルオロ化合物、約0.0〜5.0グラムの少なくとも1つの2価亜鉛化合物、約0.0〜10グラムの水溶性増粘剤および約0.0〜10グラムの少なくとも1つの水溶性界面活性剤を含む方法。
【請求項2】
前記水溶液のpHが約3.7〜4.0であり、前記水溶液の温度が約室温から120°F(48.9℃)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記3価クロムが約1.0〜5.0グラムの水溶性化合物であり、前記フルオロジルコン酸塩が約1.0〜5.0グラムの水溶性化合物であり、前記フッ素化合物が、約0.12〜1.2グラムの水溶性化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記増粘剤が約0.5〜1.5グラムであり、前記界面活性剤が約0.5〜1.5グラムである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
耐食性および接着結合性を改善するためのマグネシウム合金上に皮膜を形成する方法であって、pHが約3.7〜4.0である酸性水溶液で前記マグネシウム合金を処理することを含み、前記酸性水溶液が、1リットル当たり、約1.0〜5.0グラムの3価クロム塩、約1.0〜5.0グラムのアルキル金属ヘキサフルオロジルコン酸塩、約0.0〜5.0グラムの、アルキル金属テトラフルオロホウ酸塩、アルキル金属ヘキサフルオロケイ酸塩およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのフルオロ化合物、約0.0〜10グラムの少なくとも1つの2価亜鉛化合物、約0.0〜10グラムの水溶性界面活性剤、約0.0〜10グラムの増粘剤および界面活性剤の混合物を含む方法。
【請求項6】
前記フッ素化合物の混合物が、約0.12〜1.2グラムの量で前記溶液に存在する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記増粘剤が、1リットル当たり約0.5〜1.5グラムで前記酸性水溶液中に存在する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記クロム塩が、塩基性硫酸クロム(III)である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記アルキル金属ジルコン酸塩が、ヘキサフルオロジルコン酸カリウムである、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記3価クロム化合物が約1.0〜5.0グラムであり、前記ヘキサフルオロジルコン酸塩が約1.0〜5.0グラムであり、前記テトラフルオロホウ酸塩が約0.12〜1.2グラムである、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記クロム酸塩が硫酸クロム(III)であり、前記2価亜鉛化合物が硫酸亜鉛である、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記増粘剤が、約0.5〜1.5グラムの水溶性セルロース化合物である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記亜鉛化合物が酢酸亜鉛である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記界面活性剤が、水溶性の非イオン性、陰イオン性および陽イオン性界面活性剤からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記亜鉛化合物が、約0.001〜5.0グラムの硫酸亜鉛(II)である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記硫酸亜鉛が、約0.05〜2.0グラムの量で前記水溶液に存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記クロム塩が、1.0〜5.0グラムの量で前記水溶液に存在し、前記アルカリ金属テトラフルオロホウ酸塩および前記アルカリ金属ヘキサフルオロケイ酸塩の混合物が、約0.12〜0.24グラムの量で前記水溶液に存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記硫酸亜鉛が、約0.05〜2.0グラムの量で前記水溶液に存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の皮膜形成されたマグネシウム合金。
【請求項20】
請求項5に記載の皮膜形成されたマグネシウム合金。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公表番号】特表2008−530363(P2008−530363A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555081(P2007−555081)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/041588
【国際公開番号】WO2006/088522
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(505277484)ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ アズ レプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー オブ ザ ネイビー エト アル. (7)
【氏名又は名称原語表記】THE UNITED STATES OF AMERICA,as represented by THE SECRETARY OF THE NAVY,et al.
【住所又は居所原語表記】Building 435,Suite A,Naval Air Warfare Center Aircraft Division,47076 Liljencrantz Road,Patuxent River,MD,U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/041588
【国際公開番号】WO2006/088522
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(505277484)ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ アズ レプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー オブ ザ ネイビー エト アル. (7)
【氏名又は名称原語表記】THE UNITED STATES OF AMERICA,as represented by THE SECRETARY OF THE NAVY,et al.
【住所又は居所原語表記】Building 435,Suite A,Naval Air Warfare Center Aircraft Division,47076 Liljencrantz Road,Patuxent River,MD,U.S.A.
【Fターム(参考)】
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