説明

マグネットクランプを備えた経皮アッセイ

経皮アッセイ装置(600)は、第1(610)、第2(650)および第3部材(640)を含む。第一部材(610)は一つ以上の試料面を有し、その各々をその上部のサンプル(630)を収容するように構成する。第2部材(650)は一つ以上の貯蔵部(654)を規定し、その各々が第2部材表面に開口を有している。各試料面が実質的に各開口と同じ大きさである。また、経皮アッセイ装置は、試料面と開口間の組織標本を締め付けるよう構成されたマグネットクランプを含む。マグネットクランプは第1部材と第2部材の間で必要とされる締付力に基づいて選択された力を備える磁石を含むことが好ましい。さらに、本発明は経皮アッセイ装置の使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、製剤および化学組成物をスクリーニングするための組織バリア・アッセイに関する。
【背景技術】
【0002】
腸管上皮または気道上皮などの上皮バリアを横切る化合物(例えば薬物)の移動のイン・ビトロでの分析は、一般的にUssing型チャンバを使用して行う。Ussing型チャンバを使用して組織バリア・アッセイを行うためには、生体から無傷のシートとして一片の組織を取りだし、内部チャンバが2房チャンバになっているような密閉式内部中空チャンバを備えるデバイス中に固定する。その後、生体に適合する溶液を両チャンバに充填し、目的の薬物を一方のチャンバ溶液に加える。次に薬物が組織バリアを横切る輸送率を決定するために、種々の時刻で反対側のチャンバ溶液からサンプルを採取する。この種の組織バリア・アッセイは手間がかかるだけでなく非効率的で、かつ組織シートの単位面積に由来する非常に限られた数の独立サンプルだけに限られる。
【0003】
薬物の経皮送達とは、薬物が経皮薬物送達デバイスから皮膚を通過して患者の血流へ輸送することを含む組織送達の型である。経皮薬物送達には、他の薬物送達の方法と比べて多くの利点がある。一つの明らかな利点は、注射針と針がもたらす痛みを回避することができる。これは、反復投与される薬物に、特に望ましい。注射針の不快が回避できれば、薬物療法への患者のコンプライアンスの向上につながる。
【0004】
経皮薬物送達の別の利点は、数日から数週間に及ぶかもしれない長期のまたは持続的送達が提供できる可能性である。経口または肺送達など他の送達方法は、一般的に体内で好適な薬物濃度を持続するため薬物を反復投与する必要がある。持続的な経皮送達を行えば、投与量の維持は長期に渡り自動的に行われる。これは体内で半減期が短い薬物、例えばペプチドまたはタンパク質などに特に有益である。
【0005】
最後の利点は、経皮投与されたとき薬物分子は血流に至るために皮膚を通過するだけでよい。経皮投与された薬物は肝臓内での初回通過代謝を回避し、また消化管内での低いpHや酵素など他の分解経路をも回避する。
【0006】
皮膚は生体の一番大きな臓器である。皮膚は不透過性が高く、水分および電解質の損失を妨げる。皮膚は主として2層、外側の表皮と内側の真皮に区分される。表皮は皮膚の外層で厚さ50〜100ミクロンである(Monteiro-Riviere,1991;Championら、1992)。真皮は皮膚の内層で厚さは1〜3mmと様々である。経皮薬物送達の目標は、薬物をこの皮膚の層へ到達させることで、その層には毛細血管が存在し、薬物が全身に送達されることを可能にする。表皮には神経終末または血管は存在しない。表皮の主たる目的は皮膚表面上に死細胞の丈夫な層を作り、それによって環境から生体を保護することである。この表皮の最外層は角質層と呼ばれ、角質層を含む死細胞は角層細胞またはケラチノサイトと呼ばれる。
【0007】
角質層は通常、れんが壁として模型化または記述される(Elias,1983;Elite,1988)。この「れんが(bricks)」は死んで、平らになった角層細胞である。一般に、角質層全体に約10〜15の角層細胞が垂直に積み重ねられている(Monteiro-Riviere,1991;Championら、1992)。角層細胞は、脂質二重層(「モルタル」)のシートに包まれている。脂質二重層のシートの間隔は50nm以下である。一般に、角層細胞の各対の間には約4個から8個の脂質二重層がある。この脂質マトリックスは、主としてセラミド類、スフィンゴ脂質類、コレステロール、脂肪酸類およびステロール類から構成され、水分は殆ど存在しない(Lampeら、1983「a」;Lampeら、1983「b」;Elias,1988)。
【0008】
角質層は皮膚の最も薄い層であるが、この角質層は皮膚を横切って侵入する分子または微生物に対する第一バリアである。多くの分子にとって、この角質層を横切ることは大変困難であり、それが経皮薬物送達手段が今日まで広く使用されなかった原因となっている。一度分子が角質層を通過すれば、表皮、真皮から血管にまで、拡散は急速に行われる。従って、経皮薬物送達研究の関心の多くは、分子や薬物を角質層を超えて輸送することに集中していた。
【0009】
経皮薬物送達デバイスの最も一般的な様式は経皮薬物「パッチ」で、薬物または医薬品は皮膚に隣接して配された貯蔵部に含まれる(SchaeferおよびRedelmeier,1996)。この薬物分子は一般に単純な拡散によって皮膚を通過する。輸送は、皮膚内と皮膚外への分子拡散の割合、そして皮膚への薬物の分配によって支配される。一般に、経皮薬物送達は小さな親油分子、例えばスコポラミン、ニトログリセリン、およびニコチンなど容易に皮膚を透過するものに限られる。送達は遅く、通常薬物が皮膚を通過するのに時間がかかり、そして、この治療生物学的影響を及ぼすために極めて少量の薬物を必要とするときにのみ効果的である。(GuyおよびHadgraft,1989)。
【0010】
経皮送達は時間がかかるので、分子輸送率を促進するために多くの物質が使用されている。これらの物質は、化学促進剤または透過促進剤として公知である。化学促進剤は、角質層中の薬物の溶解度を増加、または角質層中の薬物の透過性を増加させることより、皮膚を通過する薬物のフラックスを増加させる。可能な促進剤の数は多く、かつ促進剤の組合せは独立する各構成物質の存在によって予想を超えて薬物のフラックスを向上させることが公知であるために、その選択はさらに複雑なものになっている。
【0011】
経皮パッチなどの経皮薬物送達デバイスは一般に接着剤を含み、この接着剤はデバイスを皮膚と密接させておく役目を有するが、さらに、この接着剤は薬物が溶解または分散しているマトリックスを形成してもよい。使用可能な接着剤には多くの異なる形態があり、薬物または薬物と促進剤とを共に使用するために、どの接着剤を使用するかを選択することは、しばしば非常に難しい問題である。
【0012】
現在、適切な接着剤と促進剤との選択、さらに薬物に関するそれらの相対的比率は、安全とみなされている物、他の薬物で有効であったものからの一般的なガイドラインによってのみ決定されている。創薬の殆どが試行錯誤的実験を通して行われている。
【0013】
現在までの多くの経皮輸送実験は、比較的に大きなヒト皮膚拡散セルを使用し、その場合ソース側に添加剤を含む薬物溶液を入れ、シンク側に一般的に生理食塩水または真皮のモデルと考えられる他の溶液を入れる。皮膚膜がこのセルを2つの側に分け隔てるが、それは多くの場合、組織バンクから供給された全皮膚サンプルから注意深く剥離された角質層の死皮膚である。デバイスの容量は一般に5ccまたはそれ以上である。角質層のフィルムを通り抜ける薬物のフラックスを測定するために、定期的に細胞のシンク側からサンプルを採取する。全工程は大変手間のかかる作業であり、かつ大量の皮膚の使用が必要となるが、それを得ることは極めて難しい。したがって、多くの可能な化学物質の組合せのうち、比較的少数のものしか分析できない。また、ドナー一人の皮膚で試験することができる製剤数には限りがあり、異なるドナーの皮膚サンプルからの応答により得られる測定値にはさらなるばらつきがあるため、これら製剤の効果についての比較をさらに難しくしている。
【0014】
したがって、経皮輸送を含む、化合物や医薬品さらに他の成分の組織バリア輸送に最適な組成物または製剤を確認する装置及び方法について、当該分野には相変わらず需要がある。そのような装置は容易に組立てることができるべきである。装置は密閉されるべきであり、そこで、真皮の模型を作るために使用される薬物または医薬品、皮膚膜および食塩水または他の溶液の間で必要とされる締結力および密閉圧は同等であり、その機能を妨げない。
【発明の開示】
【0015】
発明の概要
本発明は、多数の成分の組合せを様々な濃度および独自性で同時に調製するためのハイ・スループットシステムおよび方法、ならびに経皮送達のような各組合せ中の成分の組織バリア伝達を試験するハイ・スループット法に関する。本発明の方法によって、医薬品などの活性成分が、例えば皮膚、肺組織、気管組織、鼻組織、膀胱組織、胎盤、膣組織、直腸組織、胃組織、消化管組織および眼または角膜組織などの組織を通過して輸送される時、付加的なまたは不活性な成分、例えば、賦形剤、キャリア、促進剤、接着剤および添加剤などの影響の測定が可能となる。本発明は、このように、限定されないが、経皮輸送などの組織輸送を向上するために総合的に最適な組成物または製剤を決定する目的で医薬組成物または製剤をハイ・スループット試験することを包含する。本発明の特定の実施形態を以下に詳述する。
【0016】
1つの実施形態において、本発明は、組織を通過する成分の輸送を測定するための装置に関し、この装置は支持プレート、支持プレートによって支持されるサンプルアレイ、サンプルアレイを覆う膜または組織標本、およびサンプルアレイとは反対側の膜または組織標本に固定された貯蔵プレートを備える。本発明の1つの態様において、アレイ中の各サンプルは、種々の活性成分、または活性成分の種々の物理的状態が、サンプルアレイ中の1つ以上のサンプルに存在するような成分からなる特有の組成物または製剤を含む。
【0017】
本発明の別の態様において、アレイの各サンプルは共通成分と、少なくとも1つの付加成分とを含み、各サンプルは、
(i)付加成分の同一性、
(ii)付加成分に対する共通成分の割合、または
(iii)共通成分の物理的状態
の少なくとも一つに関して他のサンプルの少なくとも一つと異なる。
【0018】
「共通成分」とは、サンプルアレイ中の全てのサンプル中に含まれる成分である。1つの実施形態において、この共通成分は活性成分であり、この活性成分は医薬品、栄養サプリメント、代替医薬品または栄養補助食品であることが好ましい。このサンプルは液体、溶液、懸濁液、エマルジョン、固体、半固体、ゲル、フォーム、ペースト、軟膏または粉体の形態を有していてもよい。
【0019】
別の実施形態において、本発明はサンプルの組織バリア輸送を測定する方法に関し、前記方法は、
(a)活性成分と少なくとも一つの付加成分とを有するサンプルアレイを準備し、各サンプルが
(i)前記活性成分の同一性
(ii)前記付加成分の同一性
(iii)前記付加成分に対する活性成分の割合、または
(iv)活性成分の物理的状態
のうち少なくとも1つに関して他のサンプルの少なくとも一つと異なり、
(b)前記サンプルアレイを組織標本で覆い、
(c)前記サンプルアレイに対応する貯蔵部アレイを備える貯蔵プレートを前記サンプルアレイとは反対側の組織標本側に固定し、
(d)前記貯蔵部のアレイに貯蔵媒体を充填し、ならびに
(e)各サンプルから組織標本を通過する前記活性成分の輸送を測定するため、1つ以上の時点で各貯蔵部の活性成分の濃度を測定することを含む。
【0020】
好ましい実施形態において、この活性成分は医薬品、栄養サプリメント、代替医薬品、または栄養補助食品である。別の実施形態においてこの組織標本は皮膚である。
【0021】
別の実施形態において、本発明は組織を通過するサンプルのフラックスを分析または測定する方法に関し、前記方法は
(a)共通成分と少なくとも一つの付加成分とを有するサンプルアレイを準備し、各サンプルが
(i)前記活性成分の同一性、
(ii)前記付加成分の同一性
(iii)前記共通成分の前記付加成分に対する割合、または
(iv)前記共通成分の物理状態、
のうち少なくとも一つに関して他のサンプルの少なくとも一つと異なり、
(b)前記サンプルアレイを組織標本で覆い、
(c)前記サンプルアレイに対応する貯蔵アレイを有する貯蔵プレートを前記サンプルアレイとは反対側の前記組織標本側に固定し、
(d)前記貯蔵アレイを貯蔵媒体で充填し、ならびに
(e)各サンプルから前記組織標本を通過する前記共通成分のフラックスを測定するため、時間の関数として各貯蔵部内の前記共通成分の濃度を測定することを含む。
【0022】
代替の実施形態において、前記方法はウェル間の側方拡散を回避するために前記組織標本を切断する付加的な工程を含む。この方法は組織標本の欠陥または不均質性を分析し、その欠陥を修正または修復する工程を含むことが好ましい。
【0023】
本発明によれば、経皮アッセイ装置が提供される。経皮アッセイ装置は少なくとも第1および第2部材を含む。第1部材は一つ以上の試料面を有し、それぞれがその上にサンプルを収容するように構成される。第2部材は一つ以上の貯蔵部を規定し、それぞれが第2部材の表面に開口部を備える。各試料面は実質的に各開口部と同じ大きさである。また、経皮アッセイ装置は、試料面と開口部との間の組織標本をクランプするように構成されたマグネットクランプを含む。そのマグネットクランプは、また、装置の各種部材を一緒に密閉する。マグネットクランプは、第一部材と第二部材との間で必要な締付力に基づいて選択された力を備えた磁石からなることが好ましい。
【0024】
また、本発明は、経皮アッセイ装置の使用方法を提供する。サンプルを第1部材の試料面上に載置する。第2部材により規定された貯蔵部を液状媒体で満たし、そこでは貯蔵部が第2部材の表面に開口部を有する。次に、サンプルと開口部との間に組織標本を載置する。その後、組織標本を開口部のサンプルと液状媒体の間でクランプする。定期的に、液状媒体内のサンプル濃度を測定するために液状媒体のサンプルを貯蔵部から取り出す。この濃度は組織標本を通過するサンプル輸送を示す。
【0025】
上述した装置および方法は、角質層を通る活性成分または薬物フラックスのハイ・スループット・スクリーニングに使用することが好ましく、そのようなフラックスが、少なくとも部分的に、促進剤の存在下において組織内の薬物透過性によって測定されることを認める。この透過性は一般に少なくとも2つの要因、即ち、角質層内での活性成分または薬物の溶解性と、角質層内での活性成分または薬物の拡散性、によって支配される。これらの2つ要因、溶解性と拡散性とは、角質層を通るフラックスを間接的に評価する方法によって個別に測定することができる。このように、活性成分と不活性化合物とからなる種々の組成物のサンプルを含むウェルのアレイが構築され、限定されないが、その組成物には、活性成分/キャリアまたは賦形剤、/活性成分/キャリアまたは賦形剤/促進剤/、活性成分/接着剤/促進剤/添加剤が含まれる。所定の量の角質層を各ウェルに加え、活性成分または薬物が組織サンプルへ取りこまれる割合を、同様に調製したウェルから種々の時点で組織を抽出して測定する。溶解量が経時変化しなくなるまで十分時間を置いた後、濃度を測定すれば、活性成分または薬物の組織内での平衡濃度を評価できる。この割合と溶解度との積は活性成分または薬物の透過性に比例する。
【0026】
本発明のハイ・スループット組合せスクリーニング・システムおよび方法は、限定されないが、経皮送達デバイスの構築を含むそのような組成物または製剤が望ましい結果を達成するために、最適な組成物または製剤を確認する。特に、本発明のシステムおよび方法は、1)組成物または製剤が望ましい特性を達成するための1つ以上の活性成分および1つ以上の不活性成分を含む最適な組成物または製剤、2)薬物との適合性に対して最適な接着剤/促進剤/添加剤の組成物、3)角質層を通る薬物のフラックスが最大となるために最適な薬物/接着剤/促進剤/添加剤の組成物、および4)細胞毒性が最小となるために最適な薬物/接着剤/促進剤/添加剤の組成物を確認するために使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の特徴および利点は、添付の図面と合わせ以下の詳細な説明によってより理解される。
【図1】本発明による経皮輸送など組織バリア輸送を測定するためのハイ・スループット装置の概略図である。
【図2A】本発明による固体源サンプルを用いて組織バリア輸送を測定するためのハイ・スループット装置の代替の実施形態の概略図である。
【図2B】本発明による固体源サンプルを用いて組織バリア輸送を測定するためのハイ・スループット装置の代替の実施形態の概略図である。
【図2C】本発明による固体源サンプルを用いて組織バリア輸送を測定するためのハイ・スループット装置の代替の実施形態の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上でサンプルを収容するように構成された試料面を有する第1部材、
表面に開口部を有する貯蔵部を規定する第2部材及び
前記試料面と前記開口部との間の組織標本を締め付けるよう構成されたマグネットクランプを含む経皮アッセイ装置。
【請求項2】
前記試料面及び前記開口部が実質的に等しい大きさである請求項1に記載の経皮アッセイ装置 。
【請求項3】
前記第1部材が複数の試料面を含み、前記第2部材が、前記第2部材表面に開口部を各々有する複数の貯蔵部を含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置
【請求項4】
使用において、前記試料面及び前記開口部が、前記試料面に実質的に垂直な線に沿って、互いに実質的に整合をする請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項5】
前記貯蔵部が、そこで少なくとも一つの液状媒体を収容するように構成された請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項6】
前記マグネットクランプが、
前記第1部材と連結する少なくとも一つの磁石及び
前記第2部材と連結する少なくとも一つの鉄インサートを含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項7】
前記マグネットクランプが、
前記第1部材と連結する少なくとも一つの磁石及び
前記第2部材と連結する少なくとも一つの磁石インサートを含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項8】
前記マグネットクランプが、
前記第1部材と連結する少なくとも一つの磁石及び
鉄材料からなる前記第2部材の少なくとも一部分を含む 請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項9】
前記マグネットクランプが、
磁性材料からなる前記第1部材の少なくとも一部分及び
鉄材料からなる前記第2部材の少なくとも一部分を含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項10】
前記マグネットクランプが、
磁性材料からなる前記第1部材の少なくとも一部分及び
磁性材料からなる前記第2部材の少なくとも一部分を含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項11】
さらに、前記第3部材及び前記第2部材間の前記第1部材を締め付けるよう構成された第3部材を含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項12】
前記マグネットクランプが、
前記第3部材と連結する少なくとも一つの磁石及び
前記第2部材と連結する少なくとも一つの鉄インサートを含む請求項11に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項13】
前記第3部材が、そこで少なくとも一つの磁石を収容するキャビティを含む請求項12に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項14】
前記マグネットクランプが、
前記第3部材と連結する少なくとも一つの磁石及び
前記第2部材と連結する少なくとも一つの磁石インサートを含む請求項11に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項15】
前記マグネットクランプが、
前記第3部材に連結する少なくとも一つの磁石及び
鉄材料からなる前記第2部材の少なくとも一部を含む請求項11に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項16】
前記マグネットクランプが、
磁性材料からなる前記第3部材の少なくとも一部及び
鉄材料からなる前記第2部材の少なくとも一部を含む請求項11に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項17】
前記マグネットクランプが、
磁性材料からなる前記第3部材の少なくとも一部及び
磁性材料からなる前記第2部材の少なくとも一部を含む請求項11に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項18】
前記第1部材が少なくとも一つの整合穴を含み、
前記第3部材が前記少なくとも一つの整合穴に咬合するように構成された少なくとも一つの整合ピンを含む請求項11に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項19】
前記第3部材 が、アルミニウム、鋼、真鍮、プラスチック、セラミック及び先に述べたものいずれかの組合せからなる群から選択された材料からなる請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項20】
前記マグネットクランプが永久磁石を含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項21】
前記マグネットクランプが電磁石を含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項22】
前記マグネットクランプが、前記第1部材及び前記第2部材間に必要とされる締付力に基づいて選択される力を有する磁石を含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項23】
前記第1及び第2部材が、ステンレス鋼、プラスチック、ポリカーボネート、ガラス及び先に述べたものいずれかの組合せからなる群から選択された材料からなる請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項24】
さらに、複数のサンプルをさらに含み、該サンプルが共通成分及び少なくとも一つの付加成分を含み、各サンプルは、
(i)付加成分の同一性
(ii)付加成分に対する共通成分の割合または
(iii)共通成分の物理的状態
の少なくとも一つに関して他のサンプルの少なくとも一つと異なる請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項25】
前記共通成分は医薬品、栄養サプリメント、代替医薬品または栄養補助食品である 請求項24に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項26】
前記付加成分が接着剤、促進剤、添加剤、溶媒、賦形剤またはそれらの組合せである請求項24に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項27】
前記促進剤が化学的促進剤、脂質透過促進剤、溶解促進剤または促進剤の組合せである請求項26に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項28】
前記接着剤がポリイソブチレン、シリコンおよびアクリル系接着剤である請求項24に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項29】
前記サンプルが固体源サンプルまたは液体源サンプルである請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項30】
前記組織標本が皮膚組織からなる請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項31】
前記皮膚組織が表皮または角質層からなる請求項30に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項32】
前記皮膚組織がヒト皮膚組織、動物皮膚組織または培養皮膚組織である請求項30に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項33】
前記組織標本が機械的切削、刻み付け、レーザー切削、切削または圧着によって複数のセグメントに分けられる請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項34】
第1部材の試料面にサンプルを載置し、
第2部材で規定する貯蔵部を液状媒体で満たし、前記貯蔵部は前記第2部材の表面に開口部を備え、
前記サンプル及び前記開口部の間に組織標本を配置し、及び
前記開口部で、前記サンプル及び前記液状媒体の間の前記組織標本を、磁気締付力によって締め付けことを含む経皮アッセイ装置の使用方法。
【請求項35】
前記締め付けは、前記第1及び第2部材が磁石及び鉄材料間の磁力を使用して互いの方向へひきつけあうことを含む請求項34に記載の経皮アッセイ装置の使用方法。
【請求項36】
前記締め付けは、互いに向かい合い対極を有する少なくとも二つの磁石間の磁力を使用して前記第1及び 第2部材を引きつけることを含む 請求項34に記載の経皮アッセイ装置の使用方法。
【請求項37】
さらに、前記液状媒体の標本を採取し、及び
前記液状媒体中の前記サンプル含有量を測定し、前記含有量が前記組織標本を通過する前記サンプルの輸送を示すことを含む請求項34に記載の経皮アッセイ装置の使用方法。
【請求項38】
サンプルを調製し、
第1部材の試料面に前記サンプルを載置し、
第2部材によって規定される貯蔵部を液状媒体で満たし、前記貯蔵部は前記第2部材の表面に開口部を備え、
前記サンプル及び前記開口部間に組織標本を配置し、
前記開口部で、前記サンプル及び前記液状媒体の間の前記組織標本を磁気締付力で締め付け、及び
前記貯蔵部の前記サンプルの存在を測定し、前記組織標本を通過する前記サンプルの輸送を決定することを含む サンプルの経皮輸送を測定する方法。
【請求項39】
前記締め付けが、磁石と鉄材料間の磁力を利用して、前記第1及び第2部材を互いの方向へ引きつけることを含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記締め付けが、互いに向かい合い対極を有する少なくとも二つの磁石間の磁力を利用して、前記第1及び 第2部材を互いの方向へ引きつけることを含む請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記測定が、
前記液状媒体の標本を採取し、及び
前記液状媒体中の前記サンプルの含有量を測定し、前記含有量が前記組織標本を通過する前記サンプルの輸送を示す請求項38に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上でサンプルを収容するように構成された試料面を有する第1部材、
表面に開口部を有する貯蔵部を規定する第2部材及び
前記試料面と前記開口部との間の組織標本を締め付けるよう構成されたマグネットクランプを含む経皮アッセイ装置。
【請求項2】
前記試料面及び前記開口部が実質的に等しい大きさである請求項1に記載の経皮アッセイ装置 。
【請求項3】
前記第1部材が複数の試料面を含み、前記第2部材が、前記第2部材表面に開口部を各々有する複数の貯蔵部を含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項4】
使用において、前記試料面及び前記開口部が、前記試料面に実質的に垂直な線に沿って、互いに実質的に整合をする請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項5】
前記貯蔵部が、そこで少なくとも一つの液状媒体を収容するように構成された請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項6】
前記マグネットクランプが、
前記第1部材と連結する少なくとも一つの磁石及び
前記第2部材と連結する少なくとも一つの鉄インサートを含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項7】
前記マグネットクランプが、
前記第1部材と連結する少なくとも一つの磁石及び
前記第2部材と連結する少なくとも一つの磁石インサートを含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項8】
前記マグネットクランプが、
前記第1部材と連結する少なくとも一つの磁石及び
鉄材料からなる前記第2部材の少なくとも一部分を含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項9】
前記マグネットクランプが、
磁性材料からなる前記第1部材の少なくとも一部分及び
鉄材料からなる前記第2部材の少なくとも一部分を含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項10】
前記マグネットクランプが、
磁性材料からなる前記第1部材の少なくとも一部分及び
磁性材料からなる前記第2部材の少なくとも一部分を含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項11】
さらに、前記第3部材及び前記第2部材間の前記第1部材を締め付けるよう構成された第3部材を含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項12】
前記マグネットクランプが、
前記第3部材と連結する少なくとも一つの磁石及び
前記第2部材と連結する少なくとも一つの鉄インサートを含む請求項11に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項13】
前記第3部材が、そこで少なくとも一つの磁石を収容するキャビティを含む請求項12に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項14】
前記マグネットクランプが、
前記第3部材と連結する少なくとも一つの磁石及び
前記第2部材と連結する少なくとも一つの磁石インサートを含む請求項11に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項15】
前記マグネットクランプが、
前記第3部材に連結する少なくとも一つの磁石及び
鉄材料からなる前記第2部材の少なくとも一部を含む請求項11に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項16】
前記マグネットクランプが、
磁性材料からなる前記第3部材の少なくとも一部及び
鉄材料からなる前記第2部材の少なくとも一部を含む請求項11に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項17】
前記マグネットクランプが、
磁性材料からなる前記第3部材の少なくとも一部及び
磁性材料からなる前記第2部材の少なくとも一部を含む請求項11に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項18】
前記第1部材が少なくとも一つの整合穴を含み、
前記第3部材が前記少なくとも一つの整合穴に咬合するように構成された少なくとも一つの整合ピンを含む請求項11に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項19】
前記第3部材 が、アルミニウム、鋼、真鍮、プラスチック、セラミック及び先に述べたものいずれかの組合せからなる群から選択された材料からなる請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項20】
前記マグネットクランプが永久磁石を含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項21】
前記マグネットクランプが電磁石を含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項22】
前記マグネットクランプが、前記第1部材及び前記第2部材間に必要とされる締付力に基づいて選択される強度を有する磁石を含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項23】
前記第1及び第2部材が、ステンレス鋼、プラスチック、ポリカーボネート、ガラス及び先に述べたものいずれかの組合せからなる群から選択された材料からなる請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項24】
さらに、複数のサンプルをさらに含み、該サンプルが共通成分及び少なくとも一つの付加成分を含み、各サンプルは、
(i)付加成分の同一性
(ii)付加成分に対する共通成分の割合または
(iii)共通成分の物理的状態
の少なくとも一つに関して他のサンプルの少なくとも一つと異なる請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項25】
前記共通成分は医薬品、栄養サプリメント、代替医薬品または栄養補助食品である 請求項24に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項26】
前記付加成分が接着剤、促進剤、添加剤、溶媒、賦形剤またはそれらの組合せである請求項24に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項27】
前記促進剤が化学的促進剤、脂質透過促進剤、溶解促進剤または促進剤の組合せである請求項26に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項28】
前記接着剤がポリイソブチレン、シリコンおよびアクリル系接着剤である請求項24に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項29】
前記サンプルが固体源サンプルまたは液体源サンプルである請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項30】
前記組織標本が皮膚組織を含む請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項31】
前記皮膚組織が表皮または角質層を含む請求項30に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項32】
前記皮膚組織がヒト皮膚組織、動物皮膚組織または培養皮膚組織である請求項30に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項33】
前記組織標本が機械的切削、刻み付け、レーザー切削、切削または圧着によって複数のセグメントに分けられる請求項1に記載の経皮アッセイ装置。
【請求項34】
第1部材の試料面にサンプルを載置し、
第2部材で規定する貯蔵部を液状媒体で満たし、前記貯蔵部は前記第2部材の表面に開口部を備え、
前記サンプル及び前記開口部の間に組織標本を配置し、及び
前記開口部で、前記サンプル及び前記液状媒体の間の前記組織標本を、磁気締付力によって締め付けことを含む経皮アッセイ装置の使用方法。
【請求項35】
前記締め付けは、前記第1及び第2部材が磁石及び鉄材料間の磁力を使用して互いの方向へひきつけあうことを含む請求項34に記載の経皮アッセイ装置の使用方法。
【請求項36】
前記締め付けは、互いに向かい合い対極を有する少なくとも二つの磁石間の磁力を使用して前記第1及び第2部材を引きつけることを含む 請求項34に記載の経皮アッセイ装置の使用方法。
【請求項37】
さらに、前記液状媒体の標本を採取し、及び
前記液状媒体中の前記サンプル含有量を測定し、前記含有量が前記組織標本を通過する前記サンプルの輸送を示すことを含む請求項34に記載の経皮アッセイ装置の使用方法。
【請求項38】
サンプルを調製し、
第1部材の試料面に前記サンプルを載置し、
第2部材によって規定される貯蔵部を液状媒体で満たし、前記貯蔵部は前記第2部材の表面に開口部を備え、
前記サンプル及び前記開口部間に組織標本を配置し、
前記開口部で、前記サンプル及び前記液状媒体の間の前記組織標本を磁気締付力で締め付け、及び
前記貯蔵部の前記サンプルの存在を測定し、前記組織標本を通過する前記サンプルの輸送を決定することを含む サンプルの経皮輸送を測定する方法。
【請求項39】
前記締め付けが、磁石と鉄材料間の磁力を利用して、前記第1及び第2部材を互いの方向へ引きつけることを含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記締め付けが、互いに向かい合い対極を有する少なくとも二つの磁石間の磁力を利用して、前記第1及び 第2部材を互いの方向へ引きつけることを含む請求項38に記載の
方法。
【請求項41】
前記測定が、
前記液状媒体の標本を採取し、及び
前記液状媒体中の前記サンプルの含有量を測定し、前記含有量が前記組織標本を通過する前記サンプルの輸送を示す請求項38に記載の方法。
【請求項42】
a)試料面上のサンプルのアレイを支持する基板表面を有する第1下部部材、
b)使用の際、前記試料面に実質的に整合され、表面に開口部を有する貯蔵部を備える第2上部部材を含み、
前記試料面が基板表面に実質的に平行であるアッセイ装置。
【請求項43】
組織標本が前記サンプルのアレイを覆う請求項42に記載のアッセイ装置 。
【請求項44】
前記試料面及び前記開口部が実質的に等しい大きさである請求項42に記載のアッセイ装置 。
【請求項45】
使用において、前記試料面及び前記開口部が、前記試料面に実質的に垂直な線に沿って、互いに実質的に整合する請求項42に記載のアッセイ装置。
【請求項46】
前記貯蔵部が、そこで少なくとも一つの液状媒体を収容するように構成される請求項42に記載のアッセイ装置。
【請求項47】
さらに、前記試料面及び開口部との間に組織標本をクランプするように構成されるマグネットクランプを含む請求項43に記載のアッセイ装置。
【請求項48】
マグネットプランプが、第1部材に連結された少なくとも1つのマグネットと、第2部材に連結された少なくとも1つの鉄インサートを含む請求項47に記載のアッセイ装置。
【請求項49】
マグネットプランプが、第1部材に連結された少なくとも1つのマグネットと、第2部材に連結された少なくとも1つの磁性インサートを含む請求項47に記載のアッセイ装置。
【請求項50】
マグネットプランプが、第1部材に連結された少なくとも1つのマグネットと、鉄材料からなる第2部材の少なくとも一部を含む請求項47に記載のアッセイ装置。
【請求項51】
マグネットプランプが、磁性材料からなる第1部材の一部と、鉄材料からなる第2部材の少なくとも一部を含む請求項47に記載のアッセイ装置。
【請求項52】
マグネットプランプが、磁性材料からなる第1部材の一部と、磁性材料からなる第2部材の少なくとも一部を含む請求項47に記載のアッセイ装置。
【請求項53】
さらに、第3部材と第2部材との間で第1部材をクランプルするように構成された第3部材を含む請求項47に記載のアッセイ装置。
【請求項54】
マグネットプランプが、第3部材に連結された少なくとも1つのマグネットと、第2部材に連結された少なくとも1つの鉄インサートを含む請求項53に記載のアッセイ装置。
【請求項55】
第3部材が、そこの少なくとも1つのマグネットを収容するのための穴を含む請求項54に記載のアッセイ装置。
【請求項56】
マグネットプランプが、第3部材に連結された少なくとも1つのマグネットと、第2部材に連結された少なくとも一つの磁性インサートを含む請求項53に記載のアッセイ装置。
【請求項57】
マグネットプランプが、第3部材に連結された少なくとも1つのマグネットと、鉄材料からなる第2部材の少なくとも一部を含む請求項53に記載のアッセイ装置。
【請求項58】
マグネットプランプが、磁性材料からなる第3部材の少なくとも一部と、鉄材料からなる第2部材の少なくとも一部を含む請求項53に記載のアッセイ装置。
【請求項59】
マグネットプランプが、磁性材料からなる第3部材の少なくとも一部と、磁性材料からなる第2部材の少なくとも一部を含む請求項53に記載のアッセイ装置。
【請求項60】
前記第1部材が少なくとも一つの整合穴を含み、
前記第3部材が前記少なくとも一つの整合穴に咬合するように構成された少なくとも一つの整合ピンを含む請求項53に記載のアッセイ装置。
【請求項61】
前記第3部材 が、アルミニウム、鋼、真鍮、プラスチック、セラミック及び先に述べたものいずれかの組合せからなる群から選択される材料からなる請求項53に記載のアッセイ装置。
【請求項62】
前記マグネットクランプが永久磁石を含む請求項47に記載のアッセイ装置。
【請求項63】
前記マグネットクランプが電磁石を含む請求項47に記載のアッセイ装置。
【請求項64】
前記マグネットクランプが、前記第1部材及び前記第2部材間に必要とされる締付力に基づいて選択される強度を有する磁石を含む請求項47に記載のアッセイ装置。
【請求項65】
前記第1及び第2部材が、ステンレス鋼、プラスチック、ポリカーボネート、ガラス、アルミニウム、真鍮及び先に述べたものいずれかの組合せからなる群から選択された材料からなる請求項42に記載のアッセイ装置。
【請求項66】
さらに、固体源サンプルを含む請求項42に記載のアッセイ装置。
【請求項67】
さらに、液体源サンプルを含む請求項42に記載のアッセイ装置。
【請求項68】
前記組織標本が皮膚組織を含む請求項43に記載のアッセイ装置。
【請求項69】
前記皮膚組織が表皮または角質層を含む請求項43に記載のアッセイ装置。
【請求項70】
前記皮膚組織が角質層を含む請求項43に記載のアッセイ装置。
【請求項71】
前記皮膚組織が角質層からなる請求項43に記載のアッセイ装置。
【請求項72】
前記皮膚組織がヒト皮膚組織、動物皮膚組織または培養皮膚組織である請求項43に記載のアッセイ装置。
【請求項73】
前記組織標本が機械的切削、刻み付け、レーザー切削、切削または圧着によって複数のセグメントに分けられる請求項82、68、69、70、72又は72に記載のアッセイ装置。
【請求項74】
前記試料面が、基板表面から実質的に垂直に延びる請求項42〜72のいずれか1つに記載のアッセイ装置。
【請求項75】
前記試料面が、基板表面から実質的に垂直に延びる請求項73に記載のアッセイ装置。

【図2A】本発明による固体源サンプルを用いて組織バリア輸送を測定するためのハイ・スループット装置の代替の実施形態の概略図である。
【図3】本発明による組織バリア輸送を測定するためのハイ・スループット装置の代替の実施形態の概略図である。
【図4A】本発明による単独またはハイ・スループット装置の一部として、組織バリア輸送を測定するために使用される拡散セルの代替の実施形態の概略図である。
【図4B】本発明による単独またはハイ・スループット装置の一部として、組織バリア輸送を測定するために使用される拡散セルの代替の実施形態の概略図である。
【図4C】本発明による単独またはハイ・スループット装置の一部として、組織バリア輸送を測定するために使用される拡散セルの代替の実施形態の概略図である。
【図5A】例えば、図1に示すハイ・スループット装置中のサンプルアレイなど、サンプルアレイ中のサンプル・ウェルを充填するための装置の概略図である。
【図5B】例えば、図1に示すハイ・スループット装置中のサンプルアレイなど、サンプルアレイ中のサンプル・ウェルを充填するための装置の概略図である。
【図6】本発明による固体源サンプルを使用して組織バリア輸送を測定または分析するためのハイ・スループット装置の代替の実施形態の概略図である。
【図7】本発明による固体源サンプルを使用して組織バリア輸送を測定または分析するためのハイ・スループット装置の代替の実施形態の概略図である。
【図8】本発明による固体源サンプルを使用して組織バリア輸送を測定または分析するためのハイ・スループット装置の代替の実施形態の概略図である。
【図9】本発明の別の実施形態による別の経皮アッセイ装置の分解図である。
【図10】本発明のさらに別の実施形態によるさらに別の経皮アッセイ装置の分解図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は、例えば、医薬品もしくは薬物、他の化合物、または化合物の組合せなどの活性化合物の組織バリア輸送を向上させるハイ・スループット組合せシステムおよび方法に関する。1つの実施形態において、本発明のシステムおよび方法は、組織輸送を介して患者へ輸送される医薬組成物または製剤用の最適な成分(例えば溶媒、キャリア、輸送促進剤、接着剤、添加剤、他の賦形剤)を確認するために使用してもよい。この医薬組成物もしくは製剤は、限定されないが、経皮的に(例えば、経皮送達デバイスの形で)、局所的に(例えば、軟膏、ローション、ゲル、および溶液の形で)および眼用に(例えば、溶液の形で)投与または送達される医薬組成物または製剤を含む。本願で使用される「ハイ・スループット」とは、本願に記載されるように生成またはスクリーンされるサンプル数を意味し、一般的には少なくとも10個、より一般的には少なくとも50〜100個、好ましくは1000個以上のサンプルをさす。
【0029】
本発明のハイ・スループット法は、各種形態のサンプルを使用して実行することができる。一般に、この方法は液体サンプルまたは固体もしくは半固体サンプルのいずれかを用いて行う。
【0030】
本願で使用される「液体源」とは、測定または分析される成分又は複数の成分
を含むサンプルが液状であることを意味し、限定されないが、液体、溶液、エマルジョン、懸濁液およびその中に分散された固体微粒子を含む前記のもの全てを含む。
【0031】
本願で使用される「固体源」とは、測定または分析される成分又は複数の成分を含むサンプルが固状または半固状であることを意味し、限定されないが、粉体、ゲル、フィルム、フォーム、ペースト、軟膏、接着剤、高粘弾性液体、そこに分散された固体微粒子を含む高粘弾性液体および経皮パッチを含む。
【0032】
本願で使用される「貯蔵媒体」または「液状媒体」とは、本発明の装置または方法に使用されるサンプルおよび組織の成分に化学的に適合性のある液体、溶液、ゲルまたはスポンジをさす。本発明の1つの実施形態において、この貯蔵媒体は組織バリアを通過する成分の輸送、フラックスまたは拡散を測定または分析するために取り出した標本の一部を含む。貯蔵媒体は液体または溶液が好ましい。
【0033】
5.1 組織バリア輸送測定装置の概要
図1は、本発明のサンプルアレイ112の組織バリア輸送測定用ハイ・スループット装置100の好ましい実施形態の概略図である。装置100は、サンプルアレイ112、組織標本120および貯蔵プレート130を支持する基質プレート114を備える。この実施形態において、サンプルアレイ112中の各サンプルはサンプル・ウェル116内に載置される。基質プレート114の底部には、各サンプル・ウェル116の底部を形成するベース118を取付ける。ベース118はサンプル充填時、空気がサンプル・ウェル116から排出されるものであればどのような様式でもよく、適当な材料から製造された膜(例えば、ゴム膜)であればよい。他方、ベース118は、硬質で取外し可能な基質プレート、例えば、固体源サンプルのアレイを支持できるプレート214(図2A〜図2Dに関して後述する)である。
【0034】
基質プレート114は、幾つかのサンプルを支持することが可能な硬質の格子またはプレートでもよい。例えば、基質プレート114は、24、36、48、72、96または384のウェル・プレートでよい。装置100は1つ以上のサンプルアレイ112を備えるのが好ましく、装置100中のサンプル・ウェル116の数は、少なくとも100、好ましくは少なくとも1000、さらに好ましくは少なくとも10,000である。サンプル・ウェル116の大きさは約1mm〜約50mmが好ましく、さらに好ましくは約2mm〜約10mm、最も好ましくは約3mm〜約7mmである。例えば、3mmウェル型であれば0.25m2の皮膚に対しておよそ30,000のサンプルのアレイが得られる。
【0035】
本願で使用される用語「アレイ」または「サンプルアレイ」(例えば、アレイ112)とは、通常の実験下で使用される複数のサンプルを意味し、各サンプルは少なくとも2つの成分を含有し、かつ成分の少なくとも1つは活性成分である。本発明の1つの実施形態において、サンプルの成分の1つは「共通成分」であり、本願で使用されるとおりこの共通成分は、ネガティブコントロールを除くアレイの全サンプルに存在する成分を意味する。
【0036】
サンプルアレイ112は、複数の異なる組成物のサンプルが得られるように設計され、そのサンプルアレイを分析することによって、組織120を通過する成分の輸送を向上させるための最適な組成物または製剤の測定が可能となる。サンプルアレイ112中の各サンプルは、必ずしもというわけではないが以下の少なくとも1つの点に関して、アレイ中の他のサンプルの全てと異なることが好ましい。
【0037】
(i)活性成分の同一性
(ii)付加成分の同一性
(iii)活性成分または共通成分の付加成分に対する割合、または
(iv)活性成分または共通成分の物理的状態
アレイは24、36、48、96、またはそれ以上の数のサンプルを備えることが可能で、好ましくは少なくとも1,000、さらに好ましくは少なくとも10,000である。アレイは、一般に1つ以上のサブ・アレイを備える。例えばサブ・アレイは、96個のサンプル・ウェルを備えるプレートとすることができる。
【0038】
基質プレート114とサンプルアレイ112を覆うものは組織標本120である。組織120は組織のシートであることが好ましく、例えば、皮膚、肺、気管、鼻、胎盤、膣、直腸、大腸、消化管、胃、膀胱、または角膜の組織である。組織120は皮膚組織または角質層であればさらに好ましい。ヒトの死皮膚を組織120として使用する場合、組織標本を調製するための公知の方法は、60℃の湯に2分間漬けた後、表皮を除去し、4℃の加湿チャンバ内で保存するヒート・ストリッピングを伴う。実験に先立って表皮の一片を加湿チャンバから取り出し、基質プレート114の上に載置する。組織がいかなる損傷も受けないようするためおよびインビボで皮膚は力学的に丈夫な真皮によって支持されているという事実を模倣するため、組織120をナイロン・メッシュ(テルコ社)で支持してもよい。あるいは、生組織外植片、動物組織(齧歯類、ウシまたはブタなど)または培養組織同等物を含む他の種類の組織を使用してもよい。適当な培養組織の例としては、DERMAGRAFT(Advanced Tissue Sciences社)および米国特許第5,266,480号に教示されるものが含まれ、これを参照としてここむ組み込む。
【0039】
本発明の代替の実施形態として、隣接するサンプル間に位置する組織標本120を通過する側方拡散を防止するため、サンプル・ウェル116間の溝122によって組織標本120を幾つかのセグメントに分割する。溝122を作成する方法は幾つかあり、機械的刻み付け又は切削、レーザー切削もしくは圧着(例えばプレート114と130間、または「ワッフル焼き器」型エンボス加工用ツールを使用して)などの方法がある。機械的圧力によって組織標本120に歪みや損傷を与え得る切削ツールの使用を避け、レーザー刻み付けを使用するのが好ましい。レーザーによる溝122は非常に小さな切り溝に行われ、それによって比較的高密度のサンプルやより効率的な組織標本が使用できるようになる。レーザー・ツールによって生成される熱影響部を最小とすることができ、それによって組織標本120への損傷を減らすことができる。
【0040】
貯蔵プレート130(例えば、底無型タイター・プレート)を組織120の上面、基質プレート114と反対側の組織の上に載置する。貯蔵プレートは、複数の中空貯蔵部132を備える。プレート130を固定する場合、組織が各ウェル116と貯蔵部132を分離するように、各貯蔵部132をサンプル・ウェル116上に整合させる。貯蔵プレート130を、クランプ、ねじ、ファスナまたは他の適当な取付け手段を使用して基質プレート114に固定する。プレート130および114は、貯蔵部132の周囲に液体密封が形成されるような十分な圧力で圧着するのが好ましい。各貯蔵部には、組織120を通過して貯蔵部132に拡散してくるサンプル成分または化合物を受容するための生理食塩水などの貯蔵物を充填する。1つの実施形態において、貯蔵媒体は約2%BSA含有PBS溶液である。
【0041】
サンプル・ウェル116から組織120を通過する成分の輸送またはフラックス(すなわち、組織バリア輸送または拡散)は、貯蔵部132から取り出したサンプルの成分濃度を測定することにより分析することができる。種々のサンプル/貯蔵部の測定を比較することは、組織輸送の向上または望ましい成分(例えば医薬品)の拡散ための、最適なサンプル組成物の決定に役立つ。
【0042】
サンプルは自動的に調製され、サンプル・ウェルへ加えられ、混合されることが好ましい。同様に輸送または拡散された成分を含有する貯蔵部132からの標本およびそれらの濃度を、自動的に測定し、処理することができる。「自動」または「自動的に」とはサンプル、成分および標本または拡散生成物を添加、混合、解析するためにコンピュータ・ソフトウエアおよびロボット工学を使用することを意味する。
【0043】
サンプルは、当業者に公知の各種の投入または材料移動の手法を使用して、例えば、図1のサンプルアレイ112など本発明のサンプルアレイのサンプル・ウェルへ加える。それらの手法は限定されないが、手作業による投入、ピペッティング、および他の手動または自動による固体または液体分配システムを含む。
【0044】
成分をサンプル・ウェルへ加え混合した後、このサンプルを加熱、ろ過および凍結乾燥など公知の手法によって処理してもよい。テストする特性に従うサンプルの処理方法は、当業者であれば承知しているであろう。サンプルは個別あるいはグループで処理してもよいが、グループで行うことが好ましい。処方する溶液または組成物の適当な自動分配サンプリング装置および方法に関する詳細はさらに、同時係属の米国特許出願番号09/540,462号に開示され、その全内容を参照としてここみ組み込む。
【0045】
簡単に言えば、複数の企業によって本願に記載するシステムでの使用に適合可能なマイクロアレイ・システムは既に開発されているが、現在それらは全て特定の所定の活性を有する化合物を同定するために、スクリーニングすることを唯一の目的として使用されており、既知の正体を有する成分または化合物をスクリーニングして、最適の成分の組合せを確認し、望ましい結果を達成することとは対照的である。このようなシステムは変更を要することもあるが、十分当業者の通常の技術範囲内での変更である。マイクロアレイ・システムを保持する企業の例としては、メリーランド州のGene Logic of Gaithersburg社(Beattieへ付与された米国特許第5,843,767号参照)、テキサス州オースチンのLuminex社、カリフォルニア州フラートンのBeckman Instruments社、テキサス州プラノのMicroFab Technologies社、カリフォルニア州サンディエゴのNanogen社、カリフォルニア州サニーベールのHyseq社がある。これらのデバイスは様々な異なるシステムに基づいてサンプルを試験する。全てのデバイスは成分をテスト・ウェルへ導く数千の微視的経路を備え、反応はテスト・ウェルで行われる。これらのシステムはコンピュータに接続され、適切なソフトウエアとデータのセットを使用してデータ分析が行われる。Beckman Instruments社のシステムは96または384アレイにナノリットルのサンプルを供給でき、ヌクレオチド分子配列のハイブリダイゼーション分析に大変適している。MicroFab Technologies社のシステムによるサンプルの供給は、インクジェット・プリンタを使用し、別々のサンプルをウェルへ等配分する。
【0046】
これらおよびその他のシステムを本願の使用に必要とされるように適合させることができる。例えば、種々の濃度および組合せでの活性成分と各種付加的なまたは不活性な成分との組合せの作製は、標準公式化(formulating)ソフトウエア(例えばマサチューセッツ州NatickのMathworks社から市販されているソフトウエアMatlab)を使用して行うことができる。従って、作製した組合せをマイクロソフト・エクセルなどのスプレッド・シートにダウンロードできる。このスプレッド・シートから、公式化ソフトウエアによって得られた各種組合せに従ってサンプルアレイを調製するため、ワーク・リストを作成して自動分配機構に指令を出すことができる。このワーク・リストの作成は、使用する自動分配機構に準じて標準的プログラミング法を使用して行うことができる。いわゆるワーク・リストを使用すればファイルを、個別にプログラムされた工程ではなく、単に処理コマンドとして使用することが可能となる。このワーク・リストは、公式化プログラムによる公式化アウトプットと、自動分配機構によって直接読み取り可能なファイル・フォーマットの中の適切なコマンドとを結びつける。
【0047】
自動分配機構は、少なくとも1つの医薬品などの活性成分と、例えば、溶媒、キャリア、賦形剤および添加剤などの各種不活性または付加的な成分とを、各サンプル・ウェルへ供給する。各成分を種々の量で供給できる自動分配機構が好ましい。1つの実施形態において、この自動分配機構は1つ以上のマイクロ・ソレノイド・バルブを使用する。
【0048】
自動液体および固体分配システムは広く知られており、ノースカロライナ州RTP(Research Triangle Park)、Tecan−US社のTecan Genesisなどが市販されている。ストック・プレートからサンプル・ウェルまたはサイトへの、活性成分及び、例えば、溶液、溶媒、キャリア、賦形剤、添加剤等の不活性成分の回収分配は、ロボット・アームが行うことができる。このプロセスはアレイが完了するまで繰り返される。次にサンプルを混合する。例えば、ロボット・アームは好適な混合を確保するため、設定された回数各ウェル・プレートで上下動する。
【0049】
図1の装置100の使用において、この装置は、組織120の上、貯蔵部132の中に貯蔵媒体および組織120の下、アレイ112のサンプル・ウェル116の中にサンプルを含むとして先に記載されている。代替の実施形態においてはこの位置が逆になり、サンプルアレイ112の貯蔵部132は組織標本120の下にあり、サンプル・ウェル116は組織標本120の上、上部プレートまたは上部膜は貯蔵部132と貯蔵プレート130の上になる。
【0050】
本発明のシステムおよび方法の別の実施形態を、特に図2〜図8について後述する。
【0051】
5.2 サンプル組成物
本発明の組織バリア輸送を評価するシステムおよび方法の補足的な詳細を述べる前に、出願人は本発明での使用に適当なサンプルの組成物について述べる。
【0052】
5.2.1 一般的な組成物用語
本願で使用される用語「成分」とは、あらゆる物質または化合物を意味する。成分は活性または不活性であってよい。本願で使用される用語「活性成分」とは、組成物または製剤をその意図する目的のために使用するとき、組成物または製剤に主たる有用性を与える物質または化合物を意味する。活性成分には医薬品、栄養サプリメント、代替医薬品、および栄養補助食品などの例がある。活性成分は、感覚性化合物(sensory compounds)、農薬、消費者製品処方薬の活性成分、または工業製品処方薬の活性成分であってよい。本願で使用される「不活性成分」とは、活性成分投与のための組成物または製剤への使用に有用または潜在的に有用であるが、活性成分の活性特性に有意な影響を与えず、さらに組成物または製剤に主たる有用性を生じさせない成分を意味する。適当な不活性成分の例には、限定されないが、促進剤、賦形剤、キャリア、溶媒、希釈液、安定剤、添加剤、接着剤およびそれらの組合せがある。
【0053】
アレイのサンプルは活性成分および不活性成分を含むことが好ましい。1つの実施形態において、アレイのサンプル中の活性成分は同一または異なっていてもよく、一方、別の実施形態において、アレイ中のサンプルは共通成分としての活性成分と不活性成分を含む。当業者であれば複数の並べ換えが可能で、例えば、活性成分が医薬品、栄養サプリメント、代替医薬品、または栄養補助食品の場合、好ましい不活性成分は賦形剤、キャリア、溶媒、希釈液、安定剤、促進剤、添加剤、接着剤およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0054】
本願で使用される「サンプル」とは、活性成分と、1つ以上の付加成分または不活性成分の混合物を意味する。好ましくは、サンプルは2つ以上の付加成分を含み、より好ましくは3つ以上の付加成分を含む。一般にサンプルは1つの活性成分を含むが、多種の活性成分を含むこともできる。さらに、サンプルアレイ中のサンプルは1以上の共通成分を含んでもよい。サンプルはどのような容器もしくはホルダの中にも、または任意の材料もしくは表面の内部もしくは上部にも存在させることができ、唯一の要件はサンプルを分離された場所に位置しなければならないことである。サンプルは、例えば、マサチューセッツ州ベッドフォードのMillipore社から市販されている容量250μlの24、36、48または96のウェル・プレート(またはフィルタ・プレート)などサンプル・ウェル内に包含されることが好ましい。サンプルは約100ミリグラム未満の活性成分を含むことができ、好ましくは約1ミリグラム未満、より好ましくは約100マイクログラム未満、さらに好ましくは100ナノグラム未満の活性成分を含む。サンプルの総容量は好ましくは約1〜200μl、より好ましくは約5〜150μl、最も好ましくは約10〜100μlである。サンプルは液体源または固体源サンプルでよく、例えば、固体、半固体、フィルム、液体、溶液、ゲル、フォーム、ペースト、軟膏、粉体、懸濁液または乳濁液の形のサンプルを含む。
【0055】
本願に記載される本発明に従って、成分の「物理的状態」とは、まず成分が液体であるかまたは固体であるかによって規定される。成分が固体の場合、その物理的状態はさらに粒子の大きさおよび成分が結晶質または非晶質であるかによって規定される。成分が結晶性の場合、物理的状態はさらに(1)その結晶性マトリックスが共付加物を含むかどうか、またはその結晶性マトリックスが本来は共付加物を含んでいたが、その共付加物が除去されて空隙が残っているのかどうか、(2)晶癖(3)形態学、すなわち晶癖および粒度分布、(4)内部構造(多形)に分けられる。共付加物においては、結晶性マトリックスは化学量論的または非化学量論的のいずれか量の付加物を含むことができ、例えば、溶媒和物または水和物など結晶溶媒または結晶水を含むことができる。非化学量論的溶媒和物および水和物は、溶媒または水が任意の間隔で、例えば、チャネルなどの結晶性マトリックス内にトラップされている含有物または包接化合物を含む。化学量論的溶媒和物または水和物とは、結晶性マトリックスが特定の部位に特定の割合で溶媒または水を含む場合である。すなわち、溶媒または水分子は、所定の位置に配された結晶性マトリックスの部分である。加えて、結晶性マトリックスの物理的状態は、本来結晶性マトリックス中に存在する共付加物を除去することによって変化し得る。例えば、溶媒和物または水和物から溶媒または水が除去されると、結晶性マトリックス内に孔が形成され、それによって新たな物理的状態が形成される。晶癖とは個々の結晶の外観のことで、例えば結晶には立方、正方、斜方、単斜、三斜、菱面、または六方の結晶形がある。加工特性は晶癖に影響される。結晶の内部構造とは結晶形または多形のことをいう。所定の化合物は異なる多形、すなわち、別個の結晶の種類として存在してもよい。一般に所定の化合物の異なる多形は、2つの異なる化合物の結晶のように構造も特性も異なる。溶解度、融点、密度、硬度、結晶形、光学的および電気的特性、蒸気圧および安定性など全てが多形の形態によって異なる。
【0056】
5.2.2.活性成分および共通成分
先に記載した通り、共通成分は、例えば医薬品、栄養サプリメント、代替医薬品もしくは栄養補助食品などの活性成分か、または不活性成分のいずれでもよい。本発明の好ましい実施形態において、共通成分は活性成分であり、より好ましくは医薬品である。本願で使用されるとおり、用語「医薬品」とは、動物またはヒトに投与された時、治療、疾病予防、診断、または予防の効果を有する物質または化合物の全てを意味する。用語「医薬品」とは処方薬および大衆薬を含む。本発明の使用に適当な医薬品とは既知のものまたは開発されるものの全てを含む。
【0057】
適当な医薬品の例には、限定されないが、例えば、ベシル酸アムロジピン、ロサルタンカリウム、イルベサルタン、塩酸ジルチアゼム、重硫酸クロピドグレル、ジゴキシン、アブシキマブ、フロセミド、塩酸アミオダロン、ベラプロスト、ニコチン酸トコフェロールなどの循環器用医薬品、例えば、アモキシシリン、クラブラン酸カリウム、アジスロマイシン、イトラコナゾール、アシクロビル、フルコナゾール、塩酸テルビナフィン、エチルコハク酸エリスロマイシンおよびアセチルスルフィキサゾールなどの抗感染成分、例えば、塩酸セルトラリン、ベンラファキシン、塩酸ビュープロピオン、オランザピン、塩酸ブスピロン、アルプラゾラム、塩酸メチルフェニデート、マレイン酸フルボキサミンおよびメシル酸エルゴロイドなどの精神治療成分、例えば、ランソプラゾール、塩酸ラニチジン、ファモチジン、塩酸オンダンセトロン、塩酸グラニセトロン、スルファサラジンおよびインフリキシマブなどの胃腸製品、例えば、ロラタジン、塩酸フェキソフェナジン、塩酸セチリジン、プロピオン酸フルチカゾン、キシナホ酸サルメテロールおよびブデソニドなどの呼吸器治療薬、例えば、アトルバスタチンカルシウム、ロバスタチン、ベザフィブラート、シプロフィブラートおよびゲムフィブロジルなどのコレステロール低下剤、例えば、パクリタキセル、カルボプラチン、クエン酸タモキシフェン、ドセタキセル、塩酸エピルビシン、酢酸ロイプロリド、ビカルタミド、酢酸ゴセレリン・インプラント、塩酸イリノテカン、塩酸ゲムシタビンおよびサルグラモスチム(sargramostim)などの癌および癌関連治療薬、例えば、エポエチンアルファ、エノキサパリンナトリウムおよび抗血友病因子などの血液調製剤、例えば、セレコキシブ、ナブメトン、ミソプロストールおよびロフェコキシブなどの抗関節炎成分、例えば、ラミブジン、硫酸インジナビル、スタブジンおよびラミブジンなどのエイズおよびエイズ関連医薬品、例えば、塩酸メトホルミン、トログリタゾンおよびアカルボースなどの糖尿病および糖尿病関連治療薬、例えば、B型肝炎ワクチンおよびA型肝炎ワクチンなどの生物薬、例えば、エストラジオール、ミコフェノール酸モフェチルおよびメチルプレドニゾロンなどのホルモン類、例えば、塩酸トラマドール、フェンタニル、メタミゾール、ケトプロフェン、硫酸モルヒネ、アセチルサリチル酸リジン、ケトロラックトロメタミン、モルヒネ、ロキソプロフェンナトリウムおよびイブプロフェンなどの鎮痛薬、例えば、イソトレチノインおよびリン酸クリンダマイシンなどの外用製品、例えば、プロポフォール、塩酸ミダゾラムおよび塩酸リドカインなどの麻酔薬、例えば、コハク酸スマトリプタン、ゾルミトリプタンおよび安息香酸リザトリプタンなどの片頭痛治療薬、例えば、ゾルピデム、酒石酸ゾルピデム、トリアゾラムおよび臭化ブチルヒコシン(hycosine)などの鎮静薬および催眠薬、例えば、イオヘキソール、テクネチウム、TC99M、セスタミビ、イオメプロール、ガドジアミド、イオベルソールおよびイオプロミドなどの画像化成分、および例えば、アルサクタイド(alsactide)、アメリシウム、ベタゾール、ヒスタミン、マンニトール、メチラポン、ペタガストリン(petagastrin)、フェントラミン、放射性B12、ガドジアミド、ガドペンテト酸、ガドテリドールおよびパーフルブロンなどの診断および造影剤成分が含まれる。本発明に使用するための医薬品は他に下表1に掲げるものを含み、それらの医薬品は本発明のシステム、アレイおよび方法を使用して、新規な組成物または製剤を開発すれば緩和できる諸問題を有する。
【0058】
【表1】
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さらに適当な医薬品の例は他に『2000 Med Ad News』の第19号56〜60頁、および『The Physicians Desk Reference』(医師用卓上参考書)第53版792〜796頁、Medical Economics社(1999)に掲げられており、双方を参照としてここに組み込む。
【0059】
適当な獣医学用医薬品の例には、限定されないが、ワクチン、抗生物質、成長促進成分および駆虫薬が含まれる。適当な獣医学用医薬品の例は他に『The Merck Veterinary Manual』(メルク獣医マニュアル)第8版、Merck社、ニュージャージー州Rahway、1998頁(1997)、『The Encyclopedia of Chemical Technology』(工業化学百科事典)第24巻、Kirk-Othomer(第4版826頁)、およびECT(工業化学百科事典)、第2版第21巻の『Veterinary Drugs』(獣医学用薬剤)、A.L.ShoreおよびR.J.Magee著、American Cyanamid社に掲載されている。
【0060】
本発明のシステムおよび方法を使用する組織(または膜貫通)輸送分析に適当な活性成分は他に、栄養サプリメント、代替医薬品、または補助栄養食品が含まれる。
【0061】
本願で使用される、用語「栄養サプリメント」とは、栄養学的効果を与えるために動物またはヒトへ投与されるノンカロリーのもしくは低カロリーの物質、または食物に耽美で舌触りのよい安定した効果もしくは栄養学的効果を与えるために、食物中に投与されるノンカロリーのもしくは低カロリーの物質を意味する。栄養サプリメントには限定されないが、例えば、カズシーン(caducean)などの脂肪結合剤、魚油、例えばニンニクおよびコショウ抽出物などの植物抽出物、ビタミンおよびミネラル類、例えば、防腐剤、酸味料、固化防止成分、消泡剤、抗酸化剤、増量剤、着色剤、硬化剤、食物繊維、乳化剤、酵素、固化剤、湿潤剤、膨脹剤、潤滑剤、非栄養甘味料、食品等級溶媒、増粘剤、代替脂肪、および風味増強料などの食物添加物、および例えば、食欲抑制剤などの補助食品が含まれる。適当な栄養サプリメントの例は『The Encyclopedia of Chemical Technology』(化学大辞典)第11巻、Kirk-Othomer(第4版805―833頁)(1994)に掲載されている。適当なビタミンの例は(1998)『The Encyclopedia of Chemical Technology』(化学大辞典)第25巻、Kirk−Othomer(第4版1頁)、『Goodman & Gilman's:The Pharmacological Basis of Therapeutics』(グッドマン・ギルマン薬理療法)第9版、Joel G.Harman、Lee E.Limbird編、McGrawHill社、1547頁(1996)に掲載され、双方をここに参照として組み込む。適当なミネラル類の例は『The Encyclopedia of Chemical Technology』(工業化学百科事典)第16巻、Kirk-Othomer(第4版746頁)、およびECT工業化学百科事典)第3版第15巻の『Mineral Nutrients』(ミネラル栄養)、570〜603頁、C.L.RollinsonおよびM.G.Enig著、メリーランド大学に掲載され、双方をここに参照として組み込む。
【0062】
本願に使用される、用語「代替医薬品」とは、疾病の治療ためまたは身体の健康もしくは厚生のために、被験者もしくは患者へ投与される物質、好ましくは例えば薬草または薬草抽出物もしくは濃縮物などの天然物質を意味し、その場合その物質はFDAの承認を必要としない。適当な代替医薬品の例には、限定されないが、イチョウ、朝鮮ニンジン、カノコソウ、オーク樹皮、カバカバ、エキナシア、デビルズ・クロー(harpagophyti radix)が含まれ、他には『The Complete German Commission E Monographs:Therapeutic Guide to Herbal Medicine』(ドイツE委員会の全研究論文:薬草剤の治療案内書)Mark Blumenthal他編、Integrative Medicine Communications社(1998)に掲載され、ここに参照として組み込む。
【0063】
本願で使用される、用語「栄養補助食品」とは、カロリー値および医薬的もしくは治療的特性の双方を有する食物もしくは食物製品を意味する。栄養補助食品の例にはニンニク、コショウ、フスマ繊維および健康飲料が含まれる。適当な栄養補助食品の例は、M.C.Linder編『Nutritional Biochemistry and Metabolism with clinical Applications』(臨床応用での栄養生化学と代謝)、Elsevier社、ニューヨーク(1985)、Pszczola他著(1998)『Food technology』(食物技術)第52巻30〜37頁、およびShukla他著(1992)『Cereal Foods World』(シリアル食品世界)第37巻665〜666頁に掲載されている。
【0064】
活性成分が医薬品、栄養サプリメント、代替医薬品、または栄養補助食品の場合、付加成分の少なくとも1つは賦形剤であることが好ましい。本願で使用される、用語「賦形剤」とは、加工または製造の結果として医薬品の調剤に使用される不活性物質、または動物もしくはヒトへ投与するための医薬品、栄養サプリメント、代替医薬品、および栄養補助食品を調剤するため当業者によって使用される不活性物質を意味する。ヒトおよび動物への投与に安全であると承認または考えられている賦形剤が好ましい。適当な添加剤の例には、限定されないが、例えば乳酸、塩酸、および酒石酸などの酸味料、例えば非イオン系、カチオンおよびアニオン界面活性剤などの可溶化剤、例えばベントナイト、セルロースおよびカオリンなどの吸収剤、例えば、ジエタノールアミン、クエン酸カリウムおよび炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ化成分、例えば、リン酸三カルシウム、三ケイ酸マグネシウムおよび滑石などの固化防止成分、例えば、安息香酸、ソルビン酸、ベンジルアルコール、塩化ベンゼトニウム、ブロノポール、アルキルパラベン類、セトリミド、フェノール、酢酸フェニル水銀、チメロサールおよびフェノキシエタノールなどの抗菌成分、例えば、アスコルビン酸、αトコフェロール、没食子酸プロピルおよびメタ重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤、例えば、アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストリン、ゼラチン、グアールガム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、マルトデキストリン、ポビドン、デンプン、植物油およびゼインなどの結合剤、例えば、リン酸ナトリウム、リンゴ酸およびクエン酸カリウムなどの緩衝化成分、例えば、EDTA、リンゴ酸およびマルトールなどのキレート化成分、例えば、
付加糖、セチルアルコール、ポリビニルアルコール、カルナバワックス、ラクトースマルチトール、二酸化チタンなどのコーティング成分、例えば、微結晶性ワックス、白色ワックスおよび黄色ワックスなどの徐放性賦形薬、例えば、硫酸カルシウムなどの乾燥剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなどの洗浄剤、例えば、リン酸カルシウム、ソルビトール、デンプン、滑石、ラクチトール、ポリメタクリレート類、塩化ナトリウムおよびパルミトステアリン酸グリセリルなどの希釈剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ポラクリリンカリウムおよびグリコールデンプンナトリウムなどの崩壊剤、例えば、ポロクサマー386およびポリオキシエチレン脂肪エステル類(ポリソルベート類)などの分散成分、例えば、セテアリルアルコール、ラノリン、鉱物油、ペトロラタム、コレステロール、ミリスチン酸イソプロピルおよびレシチンなどの軟化薬、例えば、陰イオン性乳化ワックス、モノエタノールアミンおよび中鎖トリグリセリド類などの乳化成分、例えば、エチルマルトール、エチルバニリン、フマル酸、リンゴ酸、マルトールおよびメントールなどの風味成分、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールおよびトリアセチンなどの湿潤剤、例えば、ステアリン酸カルシウム、キャノーラ油、パルミトステアリン酸グリセリル、酸化マグネシウム、ポロクサマー、安息香酸ナトリウム、ステアリン酸およびステアリン酸亜鉛などの潤滑剤、例えば、アルコール類、フェニル蟻酸ベンジル、植物油、フタル酸ジエチル、オレイン酸エチル、グリセロール、グリコフロール、インジゴカルミン用、ポリエチレングリコール、サンセット・イエロー用、タルタジン用、トリアセチンなどの溶剤、例えば、シクロデキストリン、アルブミン、キサンタンガムなどの安定化成分、例えば、リセロール、デキストロース、塩化カリウムおよび塩化ナトリウムなどの緊張化成分、およびそれらの混合物が含まれる。賦形剤には医薬品、栄養サプリメント、代替医薬品、または栄養補助食品の吸収率、生物学的利用能、または他の薬物動態学的特性を変化させるものが含まれる。例えば結合剤および充填剤など適当な賦形剤の例は他に、『Remington's Pharmaceutical Sciences』(レミントンの薬学)第18版、Alfonso Gennaro編、MackPublishing社、ペンシルバニア州Easton(1995)、および『Handbook of Pharmaceutical excipients』(医薬賦形剤のハンドブック)第3版、Arthur H.Kibbe編、米国薬剤師会、ワシントンD.C.(2000)に掲載され、双方をここに参照として組み込む。
【0065】
一般的に経皮送達デバイスの形成に使用され、従って特に本発明のサンプルの処方に有用性がある賦形剤は透過促進剤、接着剤および溶剤である。これらの各々を以下にさらに詳しく詳述する。
【0066】
5.2.3.透過促進剤
様々な種類の透過促進剤を薬物の経皮輸送の促進に使用してもよい。透過促進剤は化学的促進剤および機械的促進剤に分けることができ、その各々について以下に詳述する。
【0067】
5.2.3.1 化学的促進剤
化学的促進剤は様々な機構によって組織または膜を通過する分子の輸送率を促進する。本発明において、化学的促進剤は角質層のバリア特性を減少させるために使用されるのが好ましい。薬物相互作用は、薬物をより透過しやすい状態(プロドラッグ)に変化し、次にプロドラッグが体内で代謝されて本来の形態(6−フルオロウラシル、ヒドロコルチゾン)に戻ること(Hadgraft、1985)または、薬物溶解度(エタノール、プロピレングリコール)を増加させることを含む。多数の研究(200を超える化合物が研究された)(ChattarajおよびWalker、1995)にもかかわらず、依然として分子輸送の化学的促進についての普遍的に応用可能な力学的理論は存在しない。化学的促進剤について公にされた業績の多くは、ほとんど経験と試行錯誤(Johnson、1996)に基づいている。
【0068】
多くの異なるクラスの化学的促進剤が確認されており例えば、カチオン系、アニオン系、および非イオン系の界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオクサマー類)、脂肪酸類およびアルコール類(エタノール、オレイン酸、ラウリン酸、リポソーム)、抗コリン作用剤(臭化ベンジロニウム、臭化オキシフェノニウム)、アルカノン類(n−ヘプタン)、アミド類(尿素、NN−ジエチル−m−トルアミド)、脂肪酸エステル類(n−酪酸塩)、有機酸類(クエン酸)、ポリオール類(エチレングリコール、グリセロール)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド)およびテルペン類(シクロヘキセン)がある(HadgraftおよびGuy 1989、Walters 1989、WilliamsおよびBarry 1992、ChattarajおよびWalker1995)。これらの促進剤の多くは皮膚または薬物のいずれかと相互に作用し合う。皮膚と相互に作用し合うこれら促進剤を本願では「脂質透過促進剤」と呼び、皮膚との相互作用を有し、皮膚との相互作用には促進剤によって角質層の分配すること、脂質二重層を分裂すること(アゾン、エタノール、ラウリン酸)、角質層内タンパク質を結合および分裂すること(ドデシル硫酸ナトリウム、ジメチルスルホキシド)、または脂質二重層の水和(尿素、臭化ベンジロニウム)が含まれる。他の化学的促進剤は、媒体中で薬物溶解度(以後「溶解促進剤」と呼ぶ)を増加させて、薬物の経皮送達の増加を促進する。脂質透過促進剤、溶解促進剤、および促進剤の組合せ(同じく「バイナリー・システム」と呼ぶ)について以下にさらに詳述する。
【0069】
5.2.3.1.1.脂質透過促進剤
脂質類への透過性を促進する化学物質は公知であり市販されている。例えば、エタノールは薬物の溶解性を10,000倍まで増加させ、かつエストラジオールのフラックスを140倍増加させ、他方不飽和脂肪酸類は、脂質二重層の流動性を増加させる(BronaughおよびMaibach編『Marcel Dekker 1989』1〜12頁)。脂質二重層を分裂する脂肪酸類の例には、リノール酸、カプリル酸、ラウリン酸およびネオデカン酸が含まれ、それらをエタノールまたはプロピレングリコールなどの溶媒に混ぜてもよい。脂質二重層分裂剤を使用する公の透過データの評価は、脂肪親和性化合物の透過促進の粒径依存の観察と大変良く一致する。プロピレングリコール中の3つの二重層分裂化合物、カプリル酸、ラウリン酸、およびネオデカン酸の透過促進がAungstら著『Pharm.Res.』第7巻712〜718頁(1990)に報告されている。彼らはヒト皮膚を通過する安息香酸(122Da)、テストステロン(288Da)、ナロキソン(328Da)およびインドメタシン(359Da)の4つの親油性化合物の透過性を検証した。各薬物についての各促進剤の透過促進性を、Ec/pg=Pe/pg/Ppgに従って計算し、その場合Pe/pgは促進剤/プロピレングリコール処方による薬物透過性、Ppgはプロピレングリコール単独による透過性である。
【0070】
リノール酸など不飽和脂肪酸類が皮膚透過性を促進すると考えられる、その主たる機構は、細胞間脂質領域の秩序を乱すことによる。例えば、オレイン酸などの不飽和脂肪酸類の詳細な構造の研究が、示差走査分析を使用して(Barry J.著『Controlled Release』(徐放)第6巻85〜97頁(1987))および赤外線分光分析を使用して(Ongpipattanankulら著『Pharm.Res.』第8巻350〜354頁(1991)、Markら著『J.Control.Rd.』第12巻67〜75頁(1990)行われている。オレイン酸は、高度に秩序が維持されたSC脂質二重層の秩序を乱し、かつ細胞間領域内に分離した油様相を形成する可能性があることが発見された。不飽和脂肪酸類または他の二重層を混乱物質によって秩序を乱されたSC脂質二重層は、液相脂質二重層と本質的に類似しているかもしれない。
【0071】
分離した油相はバルク油相に似た特性を有するはずである。流体二重層およびバルク油相の輸送については多くのことが公知である。具体的には、液相の拡散係数、例えばジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)二重層についてCleggおよびVaz著『Progress in Protein-Lipid Interactions』(タンパク質−脂質相互反応の進歩)Watts編(Elsevier社ニューヨーク1985)173〜229頁、Tocanneら著、『FEB』第257巻10〜16頁(1989)、およびバルク油相についてPerryら著『Perry's Chemical Engineering Handbook』(ペリーの化学工学ハンドブック)(McGraw-Hill社、NY(1984))が、これらの拡散係数はSCの拡散係数を超え、かつさらに重要なことに、SC輸送の粒径依存性よりもかなり低い粒径依存性を示す。Kastingら著『Prodrugs:Topical and Ocular Delivery』(プロドラッグ:局所および眼送達)Sloan編(Marcel Dekker社、ニューヨーク州、1992)117〜161頁、PortsおよびGuy著『Pharm.Res.』9、663−339(1992)、Willschutら著『Chemosphere』第30巻1275〜1296頁(1995)。その結果、所定の溶質の拡散係数は、SC中よりも、DMPCなどの流体二重層またはバルク油相中の方が大きくなる。SC輸送の強力な粒径依存のために、SC脂質中での拡散は化合物が大きくなるほど非常に遅くなるが、他方流体DMPC二重層およびバルク油相中での輸送は、化合物が大きい場合でも適度に遅いのみである。SC中での拡散係数と流体DMPC二重層またはバルク油相中での拡散係数の差異は、溶質が大きい場合ほど大きく、かつ化合物が小さいほど差異も小さい。したがって、SC脂質二重層を流体二重層相へ変換できる化合物、または分離バルク油相を添加することができる化合物の秩序を乱す二重層の促進能は、小さな化合物には低い透過性促進、大きな化合物には高い透過性促進を有する粒径依存を示す。
【0072】
脂質二重層分裂剤の包括的一覧は欧州特許出願第43,738号(1982)に記載され、これをここに参照として組み込む。模範となる化合物を下式によって示す。
【0073】
R−X〔式中、Rは約7〜16の炭素原子から成る直鎖アルキル、約7〜22の炭素原子から成る非末端アルケニルまたは/および約13〜22の炭素原子からなる分岐鎖アルキルであり、かつXは−OH、−COOCH3、−COOC25、−OCOCH3、−SOCH3、−P(CH32O、COOC24OC44OH、−COOCH(CHOH)4CH3OH、−COOCH2CHOHCH3、COOCH2CH(OR”)CH2OR”、−(OCH2CH2mOH、−COOR’または−CONR’2(なお、R’はH、−CR3、−C25、−C27または−C24OHであり、R”は、−H、または約7〜22の炭素原子から成る非末端アルケニルであり、mは2〜6であり、R”がアルケニルでありかつXが−OHまたはCOOHであれば、少なくとも1つの二重結合はシス形である。)〕
5.2.3.1.2 溶解促進剤
薬物の経皮送達を増加させるための別の方法は、媒体中での薬物溶解度を増加させる化学的溶解促進剤を使用することである。これは異なる賦形剤を導入することによって薬物−媒体相互作用を変化させるか、または薬物結晶性を変化させることのいずれかによって達成することができる(FlynnおよびWeiner、1993)。
【0074】
溶解促進剤には、例えば、プロピレングリコールおよびグリセロールなどの水−ジオール類、例えば、エタノール、プロパノールおよび高級アルコール類などのモノ−アルコール類、DMSO、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドン、N−メチルピロリドン、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オンおよび他のn−置換−アルキル−アザシクロアルキル−2−オンが含まれる。
【0075】
5.2.3.1.3.促進剤の組合せ(バイナリー・システム)
Cooperへ付与された米国特許第4,537,776号には、透過促進に関する特定のバイナリー・システムの使用についての概略がある。同様に欧州特許出願第43,738号にも、親油性を有する薬理学的に活性な化合物送達に関して、細胞外膜(cell-envelope)の秩序を乱す化合物の広範なカテゴリーと共に、溶剤として選択したジオールの使用が記載されている。メタクロプラミド透過を高めるためのバイナリー・システムについては英国特許出願GB2,153,223Aに開示され、C8〜32の脂肪族モノカルボン酸(Cが18〜32の場合は不飽和および/または分枝)の一価のアルコールエステルまたはC6〜24の脂肪族モノアルコール(Cが14〜24の場合は不飽和および/または分枝)および、例えば、2−ピロリドンまたはN−メチルピロリドンなどのN−環式化合物からなる。
【0076】
例えば、プロゲストゲン類およびエストロゲン類などステロイド類の経皮送達を促進するため、ジエチレングリコールモノエチルもしくはモノメチルエーテルと、モノラウリン酸プロピレングリコールおよびラウリン酸メチルからなる促進剤の組合せが米国特許第4,973,468号に開示されている。経皮薬物送達のための、グリセロールモノラウリン酸およびエタノールからなる二重促進剤が、米国特許第4,820,720号に記載されている。米国特許第5,006,342号には経皮薬物投与のための多くの促進剤が列挙され、それらの促進剤は脂肪酸エステル類、またはC2〜C4のアルカンジオール類の脂肪族アルコールエーテル類からなり、その場合エステル/エーテルの各脂肪酸/アルコール分の炭素原子数は約8〜22である。米国特許第4,863,970号には局所使用のための透過促進組成物が開示され、この組成物は、特定量の1つ以上の細胞外膜の秩序を乱す化合物、例えばオレイン酸、オレイルアルコールおよびオレイン酸のグリセロールエステルなどを含む透過促進賦形剤に含まれる活性促進剤、C2もしくはC3のアルカノールおよび水などの不活性希釈剤を含有する。
【0077】
必ずしもバイナリー・システムに関与しないが、他の化学的促進剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)もしくはDMSOの水溶液(例えば、Herschlerへ付与された米国特許第3,551,554号、Herschlerへ付与された米国特許番号3,711,602号、およびHerschlerへ付与された米国特許第3,711,606号に記載)およびアゾン類(n置換アルキルアザシクロアルキル−2−オン)(例えば、Cooperへ賦与された米国特許番号4,557,943号に記載)を含む。マサチューセッツ工科大学によるPCT/US96/12244号には、ジラウリン酸ポリエチレングリコール200(PEG)、ミリスチン酸イソプロピル(IM)、およびトリオレイン酸グリセロール(GT)を使用しての受動的実験の結果では、PBS単独による受動的フラックスに関してコルチコステロン・フラックス促進値は2、5および0.8である。しかし、50%エタノールおよびLA/エタノールは、46および900の係数で有意にコルチコステロンの受動的フラックスを増加する。
【0078】
幾つかの化学的促進剤は毒性および皮膚炎などの副作用を有することがある。米国特許番号4,855,298号には、皮膚炎特性を有する化学的促進剤含有組成物によって生じた皮膚炎を、抗炎症効果をもたらすのに十分な量のグリセリンで軽減させるための組成物が開示されている。本発明によって、経皮輸送など化合物、医薬品、または他の成分の組織バリア輸送における多数の促進剤の効果の試験が可能となる。
【0079】
5.2.3.2.経皮送達のための機械的促進剤
便宜上、機械的促進剤は、外来の促進剤の全て含むと定義し、例えば、超音波、機械的もしくは浸透圧、電場(電気穿孔法またはイオントフォレシス)または磁場などを含む。
【0080】
経皮送達を促進するため超音波の使用(概して20kHz〜10MHzの範囲の周波数)について多くの報告がなされている。超音波は単独でおよび他の化学的および/または機械的促進剤と組合せて使用されている。例えば、マサチューセッツ工科大学によるPCT/US96/12244号に報告のある通り、治療的超音波(1MHz、1.4W/cm2)と化学的促進剤を共に使用することによって、PBS、PEG、IM、およびGTによるコルチコステロン・フラックスは、同一促進剤による受動的フラックスより、1.3〜5.0倍ほど大きいフラックスを生成する。超音波と50%エタノールを組合せることにより、コルチコステロン輸送は受動的ケースの2倍増加するが、LA/エタノールによる輸送では14倍増加し、0.16mg/cm2/時間のフラックス、PBS単独よりも13,000倍大きいフラックスが生み出される。
【0081】
また圧力勾配も皮膚を通過する流動体の輸送を促進するために使用できる。圧力は真空または陽圧デバイスによって加えることができる。他方、浸透圧を、経皮輸送を生じさせるために使用してもよい。
【0082】
同様に、電流も経皮薬物輸送および血液分析物の抽出を促進するため応用されている。このような電流は異なる機構によって輸送を促進する。例えば、電場を使用することで、皮膚を通過する電荷を帯びた分子の輸送の原動力が得られ、かつ第2に電場の使用によって、電気浸透と称される、イオンの動きが皮膚を横切る対流を誘発し得る。この機構はイオントフォレシス中に、中性分子の経皮輸送に主要な役割を果たすと考えられている。イオントフォレシスには電流の使用が必要で、好ましくはDCまたはAC、かつゼロより大きく約1mA/cm2までの電流密度が必要である。グルコースの経皮抽出を達成するため、電流を使用する皮膚透過性の促進が、Tamadaら著『Proceed Intern.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.』第22巻129〜130頁(1995)に報告されている。
【0083】
磁力活性種を皮膚に通過させて輸送するために、皮膚を前処理するかまたは他の透過促進剤と組合せて、磁場を皮膚へ使用することができる。例えば、磁気粒子を負荷したポリマー微粒子を皮膚に通過させて輸送させることができる。
【0084】
5.2.4 接着剤
組織バリアを通過する活性成分または薬物送達のためのデバイス、特に経皮パッチなどの経皮送達デバイスには、一般的に接着剤が含まれる。接着剤は、しばしば活性成分もしくは薬物が溶解もしくは分散するマトリックスを形成し、勿論デバイスは皮膚などの組織と密接させたままにしておく。活性成分もしくは薬物と接着剤の適合性は、それらの接着剤中での溶解度に影響される。保存または使用中に生じる過飽和条件は、接着剤マトリックス内での活性成分もしくは薬物の沈殿に対して全て通常非常に安定している。組織を透過するための原動力を増加させ、かつデバイスの安定性を向上させるため、接着剤は高溶解性を有していることが望ましい。
【0085】
数種のクラスの接着剤が使用され、それらの各々が多くの可能な接着剤の形態を有している。これらのクラスには、ポリイソブチレン、シリコンおよびアクリル系接着剤が含まれる。アクリル系接着剤は誘導体の形で使用されているものが多い。このように、特定の薬物および促進剤と使用するのに、最適と思われる接着剤を選択することは多くの場合難題である。一般に、デバイス中に存在させる全ての成分は溶剤中に溶解し、プラスチック性基材上に鋳込または被膜する。溶剤が気化すれば薬物含有接着フィルムが生成される。本発明によりサンプル組成物または製剤中の、様々な種類と量の接着剤の効果を迅速かつ効率的に試験することができる。
【0086】
5.2.5 溶媒
活性成分、キャリアまたは接着剤のための溶剤は、生体適合性さらには溶解される材料の溶解度および活性成分もしくは薬物と適切な相互作用が輸送される場所に基づいて選択される。例えば、溶剤中に溶解している活性成分または薬物による緩和と、輸送される活性成分または薬物への溶剤の悪影響は、溶剤を選択する上で考慮する要因である。水溶性ポリマーから形成されたマトリックスを製造するために水溶性溶剤が使用できる。有機溶剤は通常、疎水性および数種の親水性ポリマーを溶解するために使用される。好ましい有機溶剤は揮発性か、もしくは比較的沸点の低いもの、または真空下で除去できるもの、そして塩化メチレンなどヒトへの微量投与が許容されているものである。溶剤は他にも、例えば酢酸エチル、エタノール、メタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルム、およびそれらの組合せもまた使用してもよい。好ましい溶媒は『Federal Register』(連邦官報)第62巻第85号24301〜24309頁(1997年5月)に公表にされ、食品医薬品局にクラス3の残留溶剤として格付けされているものである。薬物のための溶剤は通常蒸留水、緩衝生理食塩水、乳酸リンゲル液または他の薬学的に許容可能なキャリアである。
【0087】
5.3 サンプルの調製およびスクリーニング方法
本発明のハイ・スループット・スクリーニング法は、例えば、1)このような組成物もしくは製剤として望ましい特徴の達成にとって、1つ以上の活性成分と、1つ以上の不活性成分とを含む最適な組成物もしくは製剤、2)活性成分または薬物との適合性にとって、最適の接着剤/促進剤/賦形剤組成物、2)角質層を通過する最大薬物フラックスにとって、最適の活性成分もしくは薬物/接着剤/促進剤/添加剤組成物、および3)細胞毒性を最小限に抑えるために、最適の活性成分もしくは薬物/接着剤/促進剤/添加剤組成物などを確認する。
【0088】
サンプルの調製、加工およびスクリーニングの基本的要件は、分配機構と試験すなわちスクリーニング機構である。分配機構は、アレイ・プレート上に分別されている、例えば、サンプル・ウェルなどのサイトへ成分を加える。好ましくは、この分配機構は自動化されており、コンピュータ・ソフトウエアによって制御され、かつ例えば、成分(複数でもよい)の同一性および/または成分濃度などの付加可変条件を少なくとも1つ変更することができ、さらに好ましくは2以上の可変条件を変更することができる。例えば、医薬品成分および賦形剤(促進剤や接着剤など)のサンプルを、サンプル・ウェルに充填または付加することは、医薬品プロセス製造の当業者に周知の材料操作技術およびロボット工学を含む。もちろん必要に応じて個々の成分を手動でアレイの適切なウェルへ置くことも可能である。このピック・アンド・プレイス技術も当業者には周知である。試験機構は各サンプルの1つ以上の特性、例えば、経時薬物濃度などを試験するために使用することが好ましい。試験機構はコンピュータによって自動化され、駆動されていることが好ましい。
【0089】
1つの実施形態において、このシステムはさらに成分添加後のサンプルを加工するための加工機構を含む。例えば、成分のサンプル・ウェルへの添加後に装置を組立てて、組織標本をサンプル・ウェル上の特定の位置へ置く前に、当業者には周知の方法および装置を使用してサンプルを攪拌、ミリング、ろ過、遠心分離、乳化または溶剤除去(凍結乾燥など)および再構築などによって加工することができる。サンプルは自動的におよび同時に加工することが好ましい。
【0090】
上述のように、図1の組織バリア輸送デバイスの好ましい使用法は、直接または間接的に、組織120を通過してアレイの貯蔵部132へ拡散する成分(例えば医薬品)の存在、不在または濃度の決定を伴う。このような測定は当業者に周知の様々な手段によって行ってもよい。例えば、共通成分の存在、不在または濃度を決定するために、分光学的手法が使用できることは公知である。適当な測定法には、限定されないが、分光法、赤外線分光分析法、近赤外線分光分析、ラマン分光法、NMR、X線回析、中性子回折、粉末X線回析、放射性標識および放射能が含まれる。
【0091】
1つの模範的実施形態において、限定されないが、ヒト皮膚を通過する活性成分(例えば薬物)の受動透過性は放射性標識した活性成分または薬物を微量使用して測定することができる。公知の方法に従って、化合物または薬物を輸送する溶剤の全てと、逆にその中へ移ったトリチウムの全てを除去するために、放射性標識した化合物または薬物をロータリー・エバポレータにかける。次に放射性標識した化合物または薬物を、後述する促進剤、キャリア、添加剤、接着剤および/または他の添加剤を含む各種組成製剤中に再溶解して一般的な濃度の1μChi/mlにし、例えば、図1のアレイ112のサンプル・ウェル116などのサンプル・ウェルへ加える。そして受動透過実験を行う。例えば、図1の貯蔵部132など貯蔵部区画には、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS、リン酸濃度=0.01M、NaCl濃度=0.137M)(Sigma Chemical社)などを入れるのが好ましい。受入れ溶液は他のものを使用してもよく、それは当業者であれば周知であろう。サンプルおよび貯蔵部区画中の放射性標識した成分もしくは薬物の濃度は、シンチレーション・カウンタを使用して測定する(例えば、model 2000 CA、Packaxd Instruments社)。二重製剤を幾つかのサンプルに使用してもよく、および/または測定の信頼性を最適なものにするため反復実験を行ってもよい。
【0092】
透過値は定常条件下、関係式P=(dNr/dt)/(ACd)から計算できる。式中、Aはサンプルへアクセス可能な組織の比表面積、Cdはサンプル中の成分または薬物の濃度、Nrはレセプター貯蔵部へ透過した成分または薬物の蓄積量である。Williamsら著『Int.J.Pharm.』第86巻69〜77頁(1992)にヒト皮膚透過性の被験者間変異は40%と報告されている。受動透過性促進、Epは下記の式1に従ってPBSの受動透過性との関係から計算する。
【0093】
【数1】
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式中、P(促進剤)は所定の促進剤による薬物透過性、P(PBS)はPBSによる薬物透過性である。飽和溶液からのフラックスJsatは、Jsat=PCsatから計算され、その場合Csatは処方薬の薬物溶解度である。フラックス促進、Ejは下記の式2を使用して計算する。
【0094】
【数2】
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式中、Jsat(促進剤)およびJsat(PBS)は、それぞれ促進剤およびPBSの飽和溶液からの薬物のフラックスである。
【0095】
5.4 皮膚組織サンプルの微視的欠陥の修正または修復
本発明は、皮膚などの組織標本の微視的欠陥を修復および/または修正する方法を含む。例えば、活性成分(例えば、医薬品または薬物)の経皮送達の研究に使用する装置または拡散セルには、拡散高速輸送経路として働くことのできる欠陥が皆無の皮膚サンプルが必要である。このような欠陥には数ミリメートルから数十ミクロンの大きさの数種のタイプがある。物理的裂け目と毛嚢は、輸送もしくは拡散データの解釈で妥協が許される、2つのタイプの欠陥にすぎない。不均質組織セグメント、すなわち異常な量の欠陥を含むセグメントは、特に本発明において比較的に小さな組織サンプルを使用する場合、不正確で間違った拡散測定を導く。所定の組織サンプル表面上の欠陥の位置の迅速な同定は、画像解析によって達成することができ、ビデオ顕微鏡法または顕微鏡写真法を使用して、各組織セグメントを高速マイクロ・インスペクションすることが好ましい。
【0096】
本発明の好ましい実施形態に従って、不均質組織セグメントに関する拡散データは不正確な測定を避けるため廃棄してもよい。他方、組織セグメントの欠陥の影響の特徴づけができ、および/または定量することができる場合、関連する拡散測定はその欠陥の分を数学的に調整できる。
【0097】
本発明の別の実施形態において、組織標本中の欠陥は、欠陥場所をカバーするために、ワックスをプリントするように指令されているインクジェット・プリンタに、この欠陥場所を供給することによって修復される。プリントするパターンは欠陥の無い領域の上へも多少重ね、欠陥全体をカバーするように工夫する。ワックス・プリント・ヘッドは組織と衝突した瞬間、固化する溶融ワックスをプリントする。この固形ワックスは耐水性で、かつその後の試験期間中、修復された領域が拡散フラックスに影響を与えないことを確実にするためシールのような役目を果たす。ドロップレット配置は、重なりが十分にシールを形成するのが好ましい。
【0098】
5.5 固体源サンプルのための代替の実施形態(図2A〜D)
図2A〜Dは、固体源サンプルを使用し、組織バリア輸送を測定する代替のハイ・スループット装置200および方法の概略図である。装置200は、図1の装置100に類似するが、例えば、接着剤、比較的平らな経皮パッチまたはフィルム様サンプルなどの半固形物を含有する組成物など、固体源サンプルを試験するために設計されている点で異なる。基質プレート214はプラスチックまたはガラス製プレートなど稠密なプレートで、このプレートはサンプル216のアレイ212を支持する。各サンプルは1つの活性成分(例えば、医薬品)と、少なくとも1つの不活性成分を含む成分の組合せを含有する。適当な成分の例は図1に関して先に記載してある。
【0099】
本方法の第1工程は、異なる組成物の領域(すなわち、サンプル216)のアレイ212を、稠密な基質214上に作製することを含む。このアレイを製造する方法は様々あるが、1つの簡単な方法は、簡便な溶剤中に全ての構成要素含む溶液を作成するため、コンビナトリアル分配装置を使用することである。溶液または組成物を処方する適当な分配装置および方法は先に記載され、また米国特許出願番号09/540,462号にも開示され、その全内容を本願に引用して援用する。
【0100】
好ましい実施形態において、処方された溶液は、サンプル・ウェル116から成るサンプルアレイ112を備える(図1)基質プレート114に類似するマイクロタイター・プレートのウェルと、ベース118ではなく分離可能で稠密な底部プレート214の中に含まれる。次に、この溶剤を気化させ、ウェル内の各サンプルを乾燥させると底部にフィルムが得られる。この気化方法は、経皮パッチなどの各種組織輸送デバイスの製造に使用される製造方法を模倣している。次に図2Aに示されるアレイを得るため、上部プレートを除去してもよい。サンプル216はどのような形態をしていてもよいが、図2Aに示すように一般には円形が好ましい。
【0101】
医薬品または薬物などの活性成分の析出を目的として、例えば、薬物/接着剤/促進剤溶液の組成物もしくは製剤の安定性を評価するために、この型のプレートが使用できることは注目すべきである。析出が生じているかどうかは、各フィルムの光学的検査をすれば分かる。それはサンプルに光が当った場合、析出物が光散乱の増加の原因となるからである。また、結晶化は、(複屈折の化合物の)複屈折を観察することにより視覚的に検出することができる。この散乱方法を予め排除すべき程度にフィルムが既に十分不透明な場合、代替の手段を使用してもよい。1つのこのような方法はフィルム中の結晶の存在を容易に検出する第二高調波発生法(SHG)である。また結晶の存在を検出するため微焦点X線回析を使用することも可能である。
【0102】
図2Bにおいて示すように、本発明の方法の次の工程は、研究に使用する組織標本220を調製することである。角質層の標本などの標本220は、先に述べたように一般の方法によって調製しても、または取得してもよい。ただし、どのようなプレート型を研究に使用しようとも、これをカバーするほど十分にサンプル標本220が大きければ、それが最も好都合である。例えば、96ウェルのマイクロタイター・プレートをカバーするほど十分に大きくする。従って、各々の研究プレート214のために、分離された組織サンプルを調製する。次に、図2Bに示すように、サンプル領域の各々をカバーするように、この組織をプレート214の上に置く。組織220の下にエア・ポケットが決して生じないように注意する。1つの方法は、組織220をプレート214の1つの端から初めて徐々にプレートの表面を横切って進みながら置いていく。エアは組織/プレートの接触線の先で押出される。
【0103】
図2Cに示すように、本発明の1つの実施形態において、側方拡散が隣接するサンプル間に発生しないことを確実なものにするために、今度は各サンプル領域上の組織220の領域を、近隣の領域から物理的に切断または分離してセグメント224を作成する。先に述べたように、これは例えば、機械的な刻み付けもしくは切削、レーザー切削またはカット222に沿っての圧着など、どのような方法によっても行うことができる。
【0104】
今度は、各プレート214上の組織セグメント224の各々をビデオ顕微鏡法によって結像し、特徴づけしてもよい。自動画像認識は、損傷を受けたあるいは不均質なこれらの組織セグメントを、同定し記録するために使用することができる。先に述べたように、損傷を受けたまたは不均質な組織セグメント224は置換、修復または無視してもよい。他方、損傷を受けたまたは不均質なセグメント224に関与するデータは欠陥分について調整してもよい。任意に、組織220は区分けに先んじて画像化、置換または修復してもよい。さらに他の代替の方法では、この組織220を切断および/または画像化した後、サンプル216上に組織セグメント224を置く。
【0105】
図2Dにおいて、本発明の方法の次の工程は、図1の貯蔵プレート130に類似する貯蔵プレート230または底開き型タイター・プレートを、図示するように、組織セグメント224の上に置くことである。貯蔵プレート230は、複数の中空貯蔵部232を含む。プレート230が適所に固定されるとき、組織セグメント224が、各サンプルを貯蔵部232から分離するように、各貯蔵部232はサンプルおよび組織上に並べる。貯蔵プレート230はクランプ、ねじ、ファスナ、または他の適当な取付け手段を使用して基質プレート214に固定される。プレート230および214は、貯蔵部232の周囲に液体密封が作り出されるように十分な圧力で圧着することが好ましい。組織セグメント224を横切って貯蔵部232へ拡散するサンプル化合物を収容するため、各貯蔵部を貯蔵媒体、好ましくは生理食塩水などの液体または溶液で満たす。1つの実施形態において、この貯蔵媒体は約2%BSA含有PBS溶液である。
【0106】
自動定期サンプリングを備える装置200のインキュベーションおよび貯蔵部232の溶液の調製は、コンビナトリアル研究の全サンプル用の活性成分の透過性評価を行うために使用される。
【0107】
本願に記載される本発明の実施形態は、組織を通過する化合物の輸送に焦点を当てているが、本発明のシステムおよび方法は、膜または他の全てのバリアを通過する化合物の輸送の研究にも適当である。
【0108】
5.6 間接測定を使用する代替の実施形態(図3)
図3では、本発明の代替の実施形態において、装置300は、角質層など組織標本を通る活性成分フラックスをハイ・スループット・スクリーニングする装置および方法に関し、そのようなフラックスは、少なくとも部分的に、促進剤の存在下において組織内の活性成分(医薬品または薬物)の透過性によって測定されることを認める。この透過性は一般に少なくとも2つの要因、組織内(例えば、角質層)での活性成分の溶解度および組織標本内での活性成分の拡散性によって支配される。これらの2つの要因、溶解度と拡散性は、組織標本を通過するフラックスを間接的に評価する方法で個別に測定する。
【0109】
図3において、活性成分および不活性成分(例えば、医薬品/接着剤/促進剤/添加剤)からなる異なる組成物のサンプル(例えば、溶液338)を含有するウェル316からなるアレイ312を構築する。所定量の角質層などの組織セグメント340を各ウェルへ加える。他方、各セグメントがサンプル溶液338と接触するように組織セグメントを各ウェル316の上に(図1、図2Cおよび図2Dに示す配置に似せて)置く。成分(例えば、薬物または医薬品)が組織サンプルの中へ取り込まれる割合(速度)を、同様に調製されたウェル316から異なる時間に組織340を抽出し、その成分の存在、不在、または濃度を計測することによって測定してもよい。溶解量が経時変化しないように十分に長い時間をかけた後、濃度を測定することで溶解度、すなわち組織内340での成分平衡濃度を評価できる。比率および溶解度の積は成分の透過性に比例する。
【0110】
5.7 組織バリア輸送の代替装置(図4A〜C)
図4Aに示すように、図1の装置の代替の実施形態は拡散セル400である。拡散セル400はシンク・プレート410と、ソース・プレート430と、シンク・プレート410およびソース・プレート430の間に配された組織標本420と、を備える。シンク・プレート410は図1に関して先に述べたように、貯蔵媒体を保持するためのシンク・ウェル412を備える。シンク・ウェル410は開放端を有する円筒形として図示されるが、シンク・ウェルは長方形、六方晶、球形、楕円形または他のどのような形状を有していてもよい。シンク・プレート410は、シンク・ウェル412の端に沿って、シンク・ウェル412と流動的に連通する少なくとも1つのアクセス・ポート416を備える。またシンク・プレート410はソース・プレート430と咬合するために構成された表面形態414を備えるのが好ましく、かつ組織標本420で密封を形成する。
【0111】
1つの好ましい実施形態において、組織標本420は皮膚組織であるが、図1の組織標本120に関して先に述べたように、いかなる組織または膜であってよい。組織標本420はシンク・ウェル412と表面形態414をカバーするように切断され、形成されまたは特定の寸法に切られる。組織標本420は好ましくはアクセス・ポート416を完全にはカバーしないように置く。
【0112】
図4Cにおいて示すように、ソース・プレート430は、ソース貯蔵部またはウェル432を備え、これは開放端を含み、かつソース・プレート430を組織標本420上に置いたときシンク・ウェル412と整合する。また経路436はソース・プレート430を通過し、ソース・ウェル432と連通しないが、ほぼ隣接する。経路436はアクセス・ポート416に整合するように構成され、ソース・プレート430を除去することなしに、シンク・ウェル412中の貯蔵媒体とアクセスする。
【0113】
図4Aにおいて再度示すように、また、ソース・プレート430は、シンク・プレート410の表面形態414と咬合するために構成され特定の寸法に切られ表面形態434を備えるのが好ましく、かつシンク・ウェル412およびソース・ウェル432の周囲を組織標本420と共に密封を形成する。例えば、1つの実施形態において表面形態414は、シンク・ウェル412の開放型境界の周囲で表面シンク・プレート420から延びる凸環で、かつ表面形態434は表面形態414と咬合するために構成され、ソース・プレート430中に形成された凹環である。
【0114】
本発明の別の実施形態において、幾つかの拡散セル400は第1図のアレイ112に類似する拡散セルのアレイを作製するため、集合して取り付けられるかまたは形成される。
【0115】
図4A〜Cの装置の模範的な使用は、図1に関する上記の模範的な使用と同一であるが、ソース・プレート430または組織420を除去することなしに、アクセス・ポート416および経路436によって、シンク・ウェル412から貯蔵媒体を付加または除去することが可能となる。拡散セル400に使用される貯蔵媒体は液体または溶液であることが好ましい。拡散セル400の代替の使用法において、貯蔵媒体およびサンプルの配置は図1と逆でもよい。例えば、貯蔵媒体をソース・ウェル432中の組織標本420の上に置いて、かつサンプルをシンク・ウェル412中に保持してもよい。そのような実施形態において、経路436およびアクセス・ポート416を通してサンプルを添加または除去することができる。
【0116】
5.8サンプルの充填または添加の方法(図5AおよびB)
図5AおよびBは、サンプル530を、例えば、図1に示すサンプルアレイ112などのサンプルアレイ中のサンプル・ウェル522に添加または充填するときに使用するための装置500の概略図である。その場合サンプル530および組織524の間のエア・ポケットまたは気泡の発生は避ける。サンプルアレイ中、組織524は、例えば、図1に示す基質プレート114などの基質プレート中に位置するサンプル・ウェル522と、例えば、図1に示す貯蔵プレート130などの貯蔵プレート中に位置する貯蔵部526との間に位置する。本発明の充填方法において、サンプル供給源514と排気スペース512とを備える供給カニューレ510は、サンプル530で充填するためのサンプル・ウェル522の片側をカバーする基底膜520を穿刺する。
【0117】
次に、サンプル供給源514を、組織524と接触するまでサンプル・ウェル522の中へ伸張する。次にサンプル530がサンプル供給源512に供給され、サンプル530がサンプル・ウェル522へ充填され始めると、空気が供給カニューレ510中の排気スペース512を通って、サンプル・ウェル522から強制的に排出される。望ましい量のサンプル530がサンプル・ウェル522に充填された時、サンプル供給源512と供給カニューレ510を、基底膜520およびサンプル・ウェル522から完全に引き抜く。
【0118】
本発明の充填方法の好ましい実施形態において、サンプル530をサンプル・ウェル522へ送る間、充填過程中は常に、サンプル530がサンプル・ウェル522に入る充填率と同期する率でサンプル供給源514がサンプル・ウェル522内に引き戻されて、サンプル供給源514の排出口はサンプル・ウェル522内に突出するサンプル530内部にある。望ましい量のサンプル530がサンプル・ウェル522へ充填されたとき、サンプル供給源512および供給カニューレ510の両方を完全に基底膜520およびサンプル・ウェル522から引き抜く。
【0119】
好ましい実施形態において、基底膜520はゴム膜である。
【0120】
本発明の充填方法は手動で、または自動分配手段を使用して行うことができる。その場合サンプルアレイ中のサンプル・ウェルは、同一または異なるサンプルを、高速、正確、かつ制御された方法により1つ以上のサンプルアレイ中の複数のサンプル・ウェルへ分配することが可能である自動分配装置を使用して充填される。
【0121】
本発明の充填方法に従って分配されたサンプル530は液体源サンプルであることが好ましい。
【0122】
5.9 固体源サンプルの代替の実施形態(図6〜図9)
図6は、本発明に従って固体源サンプルのアレイ630中の組織バリア輸送を測定するための、ハイ・スループット装置600の好ましい実施形態の分解概略図である。装置600はスペーサ・プレート620を支持する基底プレート610、固体源サンプルのアレイ630、組織標本640、ドナー貯蔵部654のアレイを備える貯蔵プレート650、および例えば、条662を有する段付きねじ660などの締め付け手段を備える。
【0123】
基底プレート610はアルミニウム製で、かつスペーサ・プレート620および貯蔵プレート650は、透明プラスチックまたはポリカーボネート製であることが好ましい。
【0124】
基底プレート610は段付きねじ660の条662と咬合するためドリルで穴を開けられたねじ穴612を有し、よってねじ660が装置を通り抜けてねじ穴612送られ締め付けられた時、この装置が締め合わせられる。この装置が締め合わせられる時、貯蔵プレート650および組織標本640の間は密閉される。基底プレート610の端の周辺に位置するねじ穴612の数は幾つでもよいが、ねじ穴612の数は好ましくは少なくとも4個、さらに好ましくは4から8の間である。好ましい実施形態において、基底プレート610はさらにガイド印614のアレイを含み、このガイド印は、例えば、2×2、4×4、6×6および8×l2など、どのようなアレイを形成してもよく、また組立て中、装置600の各種構成部品を並べるのを補助するために使用される。
【0125】
スペーサ・プレート620および貯蔵プレート650中の、ねじ穴622およびねじ穴652は各々、ドリルで穴を開けられ、段付きねじ660の段と条622はスムースに通過できるが(各々図7および図8の段付きねじ760および860に図示されるように)、段付きねじ660の頭は通過できない。スペーサ・プレート620および貯蔵プレート650の端の周辺に位置する、各々のねじ穴622およびねじ穴652の数は幾つでもよいが、ねじ穴622およびねじ穴652の数は、好ましくは少なくとも4個、さらに好ましくは4個から8個である。好ましい実施形態において、スペーサ・プレート620および貯蔵プレート650の双方の各角に少なくとも1個のねじ穴がある。
【0126】
代替の実施形態において、装置600はさらに貯蔵プレート650の上に位置する上部プレートを備え、この上部プレートは基底プレート610(例えばアルミニウム)と同一材料から製造され、かつ貯蔵プレート650中のねじ穴652と適合するねじ穴を含むオープン・フレームか、またはねじ穴652と貯蔵プレート650上のドナー貯蔵部654と同一のねじ穴と貯蔵部のアレイを含む固体のプレート、のいずれかである。
【0127】
装置600は、まず基底プレート610の上面にスペーサ・プレート620を置き、スペーサ・プレート620中のねじ穴622と、基底プレート610中のねじ穴612を整合させることにより組立てる。貯蔵プレート650中のドナー貯蔵部654のパターンに対応するパターンで、固体源サンプルのアレイ630をスペーサ・プレート620上に作製し、かつ基底プレート610上のガイド印614は、各サンプル630が上部プレート650中のドナー貯蔵部654と整合するように配置されるのを確実にするために使用される。サンプル630のサイズはドナー貯蔵部654のサイズと相応する。
【0128】
各サンプル630は、1つの活性成分(例えば、医薬品)と、少なくとも1つの不活性成分を含む成分の組合せを含む。適当な成分の例は、図1に関して先に記述がある。
【0129】
組織標本640とサンプル630間にエア・ポケットが形成されるのを避ける態様で、組織標本640をサンプルアレイ630上に配置する。次にドナー貯蔵部654のアレイを備える貯蔵プレート650を、上部プレート650上のねじ穴652が、対応するスペーサ・プレート620のねじ穴622に整合するように皮膚上に配置する。
【0130】
次に、得られた組立て装置600を締め合わせるが、これは条622を有する段付きねじ660を、組立てられた装置600の並んだねじ穴652にスライドさせて通し、かつ貯蔵プレート650と組織標本640の間が密着するように各段付きねじ660を締めて行う。段付きねじ660は、少なくとも組立てられた装置600の四隅の各々に使用することが好ましい。
【0131】
貯蔵媒体を組立てられた装置600のドナー貯蔵部654へ加え、適時にまたは様々な時間間隔で、サンプルをドナー貯蔵部654から採取し、かつ組織標本640を通過するサンプル630中の、例えば、活性成分および共通成分などの成分の、輸送またはフラックスの測定に使用する。複数のサンプルが採取された場合、ドナー貯蔵部654から標本の内容を除去した後、等量の貯蔵媒体を同一のドナー貯蔵部654へ加える。
【0132】
ドナー貯蔵部654のサイズは約1mm〜約50mm、より好ましくは約2mm〜約10mm、最も好ましくは約3mm〜約7mmである。
【0133】
図7は、本発明に従って固体源サンプルのアレイの組織バリア輸送を測定するための、ハイ・スループット装置700の圧縮概略図である。装置700は装置600と類似するが、ドナー貯蔵部754のアレイが8×l2の合計96のアレイである点で異なる。その場合各々の貯蔵部は直径6mmを超えない。装置700は、スペーサ・プレート720を支持する基底プレート710、固体源サンプルのアレイ(例えば、図6に示すサンプル630)と、組織標本(例えば、図6に示す組織標本640)、ドナー貯蔵部754のアレイを備える貯蔵プレート750および例えば、段付きねじ760などの締め付け手段を備える。
【0134】
図8は、本発明に従って、固体源サンプルのアレイ中の組織バリア輸送を測定するためのハイ・スループット装置800の圧縮概略図である。装置800は装置600および装置700に類似するが、ドナー貯蔵部854のアレイが、16×24の合計384のドナー貯蔵部854のアレイである点で異なる。その場合各々の貯蔵部は直径3mmを超えない。装置800は、スペーサ・プレート820を支持する基底プレート810と、固体源サンプルのアレイ(例えば、図6に示すサンプル630)、組織標本(例えば、図6に示す組織標本640)、ドナー貯蔵部854のアレイを備える貯蔵プレート850、例えば段付きねじ860などの締め付け手段を備える。
【0135】
図7と図8の装置の変形形態は、図6に記載される変形形態と同一であり、かつ図6〜図8の装置の他の変形形態および模範的な使用は、適用可能であれば図1に関して先に記載されたものと同一である。
【0136】
図9は本発明の他の実施形態による別の経皮アッセイ装置の分解図である。経皮アッセイ装置900は、上述した装置600、700および800と同様であり、装置900は、また、組織バリアまたは標本を通過するサンプル輸送を測定するために使用されるからである。このサンプルは固体源サンプルであることが好ましいが、一方、他の適切なサンプルであってもよい。
【0137】
経皮アッセイ装置900は、第1および第2部材902および904をそれぞれ含む。第1および第2部材は、ステンレス鋼からなり、所望の耐薬品性を得るために適当に被覆されていることが好ましい。また、これらの部材は、例えば、ポリカーボネート、他のプラスチックまたはガラスのような透明なプラスチックから形成されていてもよい。第1部材902は、対向する面905および902を備える。これらの対向する面は実質的に相互に平行であり、実質的に平らな表面であることが好ましい。一方の面905は、その上に一つ以上のサンプル908を収容するように構成された一つ以上の試料面906を備える。試料面906は上述したように、円形で、アレイ状に配置されていることが好ましい。
【0138】
また、第2部材904は、実質的に相互に平行であり、実質的に平らな表面であることが好ましい対向する面910および914を備える。第2部材904は、そこに一つ以上の貯蔵部912を規定する。各貯蔵部912の大きさは、図7及び図8に関連して上述したものと同様である。各貯蔵部は、第2部材904の面910に開口部934を備える。好ましい実施形態では、各開口部934は、各試料面906と実質的に同じ大きさである。
【0139】
使用時、各試料面906は、試料面906に対して実質的に垂直の方向において、対応する開口部934に実質的に整合するように構成されている。従って、使用時、複数のサンプルアレイにおける各サンプルは、開口部のアレイに対応する開口部934と実質的に整合するように構成されている。一実施形態では、上述したものと類似した態様で、貯蔵部912が表面910から対向する面914に、第2部材を貫通して伸張する。
【0140】
また、経皮アッセイ装置900は、第3部材916を備えることが好ましい。好ましくは、第3部材916は、アルミニウムからなるが、例えば、鋼、真鍮、プラスチック、セラミック等のような他の多くの材料からなっていてもよく、所望の形状および寸法安定性を与える部分に製造してもよい。また、第3部材916は、実質的に相互に平行であり、実質的に平らな表面であることが好ましい対向する面918および920を備える。第3部材916は、そこに磁石926を収容するためにキャビティ924を含むことが好ましい。別の実施形態では、磁石926は、第3部材916内に取り外せないように形成されるか、第3部材に結合しているか、第3部材916それ自体が磁石926である、すなわち、第3部材が磁性材料からなる。磁石926は、永久磁石、電磁石等であってもよい。
【0141】
磁石926は、第1部材902、第2部材904および第3部材916を一緒に締め付けるために使用される磁気クランプの一部分を形成する。磁気クランプのその他の部分は、好ましくは、第2部材904内で固定された一つ以上のインサート928を備える。好ましい実施形態では、これらのインサート928が磁石926に引きつけられる鉄材料からなる。別の実施形態では、インサート928が磁石926に引きつけられる磁石インサートである。すなわち、磁石インサートおよび磁石926が対向する他方と対極をもつように配置される。これらの磁石インサートは永久磁石であることが好ましいが、その代わりに電磁石であってもよい。好ましい実施形態では、第1および第3部材が鉄または磁性材料(例えば、ステンレス鋼)からなる。その後、これらの磁性部材は、第3部材中の磁石によって保持され、所望の締付力を確保する。
【0142】
また、第3部材は、第1部材902中で相補的な整合穴932に咬合するように構成された整合ピン30を少なくとも一つ含むことが望ましいが、好ましくは二つ以上含むことが好ましい。整合ピンは、磁石926とインサート928の間の引力を促進するため、また、キャビティ924内の適所に磁石926を保持するために鉄材料からなることが好ましい。
【0143】
他の実施形態において、マグネットクランプを種々の他の型で行ってもよいことは評価されるべきである。例えば、マグネットクランプは、第1部材902、第2部材904および/または第3部材916の中、上、または近くに配置された一つ以上の磁石および/または鉄インサートを備えることができる。さらに、これらの部材は、全体または部分的に鉄および/または磁性材料からなることができる。さらに、磁石926の磁力または磁石およびインサートまたは磁性材料の間の間隙は、部材間における所望の締付力を確保するように選択されることが好ましい。言い換えると、磁石926をより強いまたはより弱い磁石に取り替えることで、得られる締付力を変化させ、装置900について部材間の密封を最適化することができる。
【0144】
好ましい使用方法において、磁石926は第3部材916と結合している。サンプル908は、第1部材902の各試料面906上に配置され、それによって各試料面906は対応する開口部934と整合する。サンプル908の大きさは各開口部934の大きさに相応する。各サンプル908は、活性成分(例えば、医薬品)および少なくとも一つの不活性成分を含む成分の組合せを含む。 適当な成分の例は、図1に関して先に記述がある。
【0145】
整合ピン930が整合穴932に咬合するように、その後、第2部材902を第3部材916上に配置する。これにより、第3部材916上の所定の位置で第2部材902を整合する。組織標本936とサンプル908間にエア・ポケットが形成されるのを避ける態様で、組織標本936をサンプル908上に配置する。
【0146】
第2部材904を、その後、組織標本936の上に配置し、それにより組織標本936を各貯蔵部934にさらす。磁石926とインサート928間の磁力は、整合ピン930に沿って生じることが好ましいが、第2部材904と第1部材902とを整合させ、それにより各サンプル908を対応する開口部934の下で整合する。また、磁石926とインサート928間のこの磁力は、第1、第2および第3部材を一緒に締め付ける締付力を生じさせ、それにより各サンプル908と各開口部934との間の組織標本を締め付ける。
【0147】
組立てられた装置900の貯蔵部912に液状媒体を加え、適時にまたは種々の時間間隔で、液状媒体の標本を貯蔵部912から採取し、かつ、組織標本936を通過するサンプル908中の、例えば、活性成分および共通成分などの成分の、輸送またはフラックスの測定に使用する。複数の標本が採取される場合、貯蔵部912からある標本量が取り出された後、等量の液状媒体を同一の貯蔵部912へ加える。
【0148】
図10は本発明のさらに他の実施形態による経皮アッセイ装置1000の分解図である。経皮アッセイ装置1000は、上述した経皮アッセイ装置900(図9)と類似している。経皮アッセイ装置900(図9)とは異なり、経皮アッセイ装置1000は、下に詳述するようにサンプルプレートと弾性磁石を含む。さらに、そのサンプルは固体源サンプルであることが好ましいが、あるいはその他の適切なサンプルであってもよい。
【0149】
経皮アッセイ装置1000は、第1部材1010と第2部材1002とからなる。これらの部材は所望の耐薬品性を得るため適切に覆われたステンレス鋼からなることが好ましい。また、これらの部材は、ポリカーボネートのような透明なプラスチック、他のプラスチックまたはガラスからなってもよい。さらに、これらの部材は、対向する平らな表面を有していることが好ましく、実質的に相互に平行である。第2部材1002は、そこに一つ以上の貯蔵部1014を規定し、図9に関して上述したように、そのそれぞれが開口部を有している。
【0150】
使用時、第1および第2プレート間に弾性磁石1008を配置する。サンプルアレイは、サンプルプレート1006上に置くことが好ましいが、弾性磁石1008と第2プレートとの間に載置する。同様に、組織標本1004をサンプルプレート1006と第2プレート1002と間に配置する。
【0151】
サンプルプレート1006は、その上に一つ以上のサンプルを収容するように構成される一つ以上の試料面1012からなる。試料面1012は、説明したように、円形で、アレイ状に配置するのが好ましい。使用時、各試料面1012を、実質的に各貯蔵部1014に対応する開口部に整合するよう、試料面1012に対して実質的に垂直の方向に形成する。したがって、使用に際し、サンプルアレイの各サンプルを実質的にアレイの開口部に対応する開口部に整合するように構成する。一つの実施形態では、上述した態様と同様に、貯蔵部1014は第2部材1002を貫通して伸張する。
【0152】
弾性磁石1008は、第1部材1010および第2部剤1002を一緒に締め付けるために使用するマグネットクランプの一部分を形成する。第2プレート1002は弾性磁石1008に引きつけられる鉄材料からなるのが好ましい。別の実施形態では、鉄インサートを第2部材1002内に配置する。
【0153】
経皮アッセイ装置1000は上述したように使用される。
【0154】
6.実施例
以下の実施例によってさらに本発明の方法およびアレイを説明する。当然のことながら、本発明が以下の実施例の特定の詳述によって限定されない。
【0155】
実施例1:ヒトの死皮膚を通過するニコチン透過
ヒトの死皮膚表皮を分離するが、これはまず皮膚をその下層にある脂肪から分離し、次に、標準的手法を使用し、60℃で90秒間熱処理を行い、表皮を分離することによる。
【0156】
NICODERMCQ(登録商標)のニコチン・ステップ1(21mg/24時間)経皮パッチ(グラクソスミスクライン社製、米国ノース・カロライナ州リサーチ・トライアングル・パーク)に直径5/16インチの円形の孔を開けるが、得られた穿孔サンプルの上に支持体および剥離ライナーを、穿孔サンプルが試験装置中に配置されるまで保持する。
【0157】
図6に記載さるように装置を組立てた。その場合、装置中の各プレートは長方形で大きさ5.030インチ(127.76mm)×3.365インチ(85.48mm)である。第1にアルミニウム製基底プレート610の上面に、厚さ1/8インチ(3.175mm)の透明ポリカーボネート・スペーサ・プレート620を置き、次にスペーサ・プレート中のねじ穴622を、基底プレート中のねじ穴612と整合させることによって装置を組立てた。その後、4×4サンプルアレイを下表2に記載する通りにスペーサ・プレート620上に作製した。
【0158】
【表2】
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穿孔サンプルを、表2の4×4アレイのスペーサ・プレート620上に一個ずつ置き、かつ各アレイ・サンプルが貯蔵プレート650中のドナー貯蔵部654と整合するように、配置されるのを確実にするため、基底プレート610上のガイド印614を使用して、各アレイ・サンプルの位置を選択した。基底プレート610上の、深さ0.020インチ(0.508mm)を有する96個のガイド印614を、基底プレート610の長辺の端から11.24mm内側に、短辺の端から14.38mm内側に位置する12×8アレイの中に配置した。配置の時、各サンプル上の剥離ライナーを除去して、サンプルの薬物貯蔵部/接着剤を暴露させた。
【0159】
アレイ・サンプルA4およびD1中、サンプル・パッチの薬物貯蔵部は、剥離ライナーと共に支持体から剥がれた。アレイの位置B3、C1およびD3は、この装置を使っての経皮輸送測定時の、側方拡散の潜在的影響力を測定をするために、全くサンプルを含まない対照である。
【0160】
全てのサンプルをアレイ中に置いた後、このサンプルアレイより大きなサイズの熱剥離したヒト死皮膚片を、皮膚とサンプル間のエア・ポケットを避けるために、丁寧にゆっくりサンプル上に置いた。この皮膚を角質層と共にサンプルへ向けて隣接させた。次に直径1/4インチ(6.35mm)のドナー貯蔵部654の4×4アレイを備える、1/4インチ(6.35mm)厚の透明ポリカーボネート貯蔵プレート650を、貯蔵プレート650上の全てのねじ穴652が、対応するスペーサ・プレート620のねじ穴622と整合するように、皮膚の上に置いた。
【0161】
得られた組立装置600を締め合わせたが、これは条622を有する段付きねじ660を、組立てられた装置の四隅の各々で整合されたねじ穴652にスライドさせて通し、貯蔵プレート650と皮膚の間が密着するように、各段付きねじ660を締め付けることによって行った。基底プレート610上のねじ穴612は、0.250インチ(6.35mm)〜0.188(4.775mm)の範囲の10−24タップを有し、このねじが締められる時、ねじ660の条662を捕らえて装置を締め合わせる。
【0162】
75mlのダルベッコのリン酸緩衛生理食塩水(PBS)を、貯蔵媒体としてアレイ中の各ドナー貯蔵部へ加えた。
【0163】
2時間後、各ドナー貯蔵部654から貯蔵媒体の検査標本50mlを採取しその折、さらに50mlのPBSを各ドナー貯蔵部654へ加えた。2時間検査標本の各々をHPLCのバイアル中に置き、さらに450mlの50mM(リン酸でpH3.0に調整した)リン酸カリウムおよびアセトニトリル=50/50(v/v)を加えて500mlになるように希釈した。
【0164】
上述の方法を3時間後、4時間後、および5時間後に繰返した。実験のサンプリング段階の最後に、アレイ中の各ドナー貯蔵部654には、先に示されたように希釈された4つの(4)50ml検査標本が得られたが、ただB3ドナー貯蔵部用に3時間後に採取された検査標本は、500mlではなく950mlに希釈された。
【0165】
各検査標本中のニコチン含有量を、次にHPLC分析によって決定した。
【0166】
検査標本を解析するために使用したHPLCシステムの構成要素は、Waters 2790 Separations Module(登録商標)、Waters Photodiode Array Detector Model 996(登録商標)およびWaters Millennium 32v3.2 Chromatography Software(登録商標)(Waters社、マサチューセッツ州ミルフォード)であった。
【0167】
HPLC分析は大きさ250mm×4.6mm、粒子径5mmのプラチナEPSC18カラム(登録商標:Alltech Associates社、ミシガン州、Muskegan)を使用して行った。移動相は50mMリン酸カリウム(リン酸でpH3.0に調整した)/アセトニトリル=50/50(v/v)で、流量は1.0ml/分であった。検出は波長260nmで紫外線吸光度を測定して行った。実行時間は4分であった。注入量は10mlであった。カラム温度は周囲温度であった。
【0168】
各検査標本中のニコチン含有量数量化は、1セットのニコチン・スタンダード(Sigma社)を使用して得られた較正曲線に比較することによって行った。ニコチン量は、1〜100mg/mlの範囲では線形であるということが分かった。本方法を使用して皮膚中の他の成分(例えば脂肪、タンパク質)による潜在的なクロマトグラフィの干渉は、直接分析によって無視した。
【0169】
HPLC分析の結果を以下の表3および表4に示す。
【0170】
【表3】
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【0171】
【表4】
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各ドナー貯蔵部のニコチンの蓄積は、以下の式(3)〜(6)に従って計算した。
【0172】
【数3】
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アレイ中の各ドナー貯蔵部のニコチン蓄積計算の結果を、以下の表6Aおよび表6Bに示す。
【0173】
【表6A】
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【0174】
【表6B】
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先の結果から分かるように、活性成分、ニコチンはドナー貯蔵部中に検出され、したがってニコチンは皮膚バリアを通過した。またこれらの結果より、使用した検出または測定方法は、輸送されたニコチンを検出するのに十分感度が高かったことを示している。活性成分、ニコチンや多くのサンプルの経皮輸送は明らかに類似の輸送率を示した。
【0175】
さらに、隣接する「ウェル」へのニコチンの側方拡散は、直接の経皮輸送に比べ十分に遅いことを示していたが、非常に低量のニコチンがサンプル上に位置しないドナー貯蔵部に検出された。このように、この実験は明らかに組織バリアを通過する成分の輸送を測定するための、この装置の可能性を示している。
【0176】
先に詳述した本発明の特定の実施形態は、実例および説明のために挙げられた。それらは、本発明を、開示されたまさにその通りの形式に限定するためではなく、明らかに、上記技術に照らして改良および変化が可能である。当該実施例は本願発明の原理およびその実質的な適用について最良の説明を説明をするために選択され、したがって、これにより当業者は本願発明および検討した特定の使用に合うように多様な改良をして多様な実施例を最大限利用することができる。さらに、当該方法におけるの手順は必ずしも説明された順序で行う必要は無い。本発明の範囲は請求の範囲およびそれと同等のものにより定められるべきものである。なお、参照文献が幾つか述べられたが、それらの全ての内容をここに参照として組み込む。

【図1】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−516047(P2006−516047A)
【公表日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548548(P2004−548548)
【出願日】平成15年10月28日(2003.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2003/034262
【国際公開番号】WO2004/040006
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(505036065)トランスフォーム・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】TRANSFORM PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】