説明

マグネトロン及びマイクロ波利用機器

【課題】マグネトロンの冷却媒体の流れ方向から冷却フィンを見た場合、冷却フィンが疎になる領域と密なる領域とを形成し、マグネトロンの冷却効率を向上すること。
【解決手段】本発明のマグネトロンは、少なくとも両端に永久磁石を有する陽極筒体と、前記陽極筒体の周囲に配設され、該陽極筒体の中心軸に沿って並ぶ複数の冷却フィンと、を備えるマグネトロンであって、前記陽極筒体を前記複数の冷却フィンを介して冷却する冷却媒体が流れる方向から見て、前記冷却フィンが密になる領域と、前記冷却フィンが疎になる領域とを形成するように、前記複数の冷却フィンの各々が、前記冷却フィンの一部を切り込み、かつ当該切り込み部分を互いに異なる曲げ加工して構成された少なくとも2組のフィンで、前記冷却フィンが密になる領域において冷却フィンの間隔が冷却フィンの配置間隔に対し1/2以下になるよう曲げ角度を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネトロン及びマイクロ波利用機器に関し、特に、電子レンジ等のマイクロ波利用機器に用いるマグネトロンに関する。
【背景技術】
【0002】
図6に示すように、特許文献1に開示された従来のマグネトロン100では、両端に永久磁石101が設けられた陽極筒体102に所定の間隔で装着されるフィン板104から延びる冷却フィン105が冷却空気の流通路ほぼ全領域R(図6中、破線枠)にわたって満遍なく配置し、冷却フィン105の放熱効率を向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−32331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、冷却フィンを同一形状の複数のフィンで構成する場合、マグネトロンの温度低減化を行うために、単純に冷却フィンを構成するフィンの数を増やすだけでは、冷却フィンを構成する複数のフィンの間の隙間が狭くなる。特に、特許文献1のマグネトロン100では、冷却空気が通過する領域Rに満遍なく冷却フィン105を配置すると、ヨーク103内の隙間Sが減少して、空気抵抗が増加する。そのため、フィン105の間を通過する冷却空気の量が減少し、冷却フィン105の放熱効率が悪くなる(特許文献1、図1参照)。
【0005】
本発明の目的は、マグネトロンの冷却媒体の流れ方向から冷却フィンを見た場合、冷却フィンが疎になる領域と密なる領域とを形成することで、マグネトロンの冷却効率を向上することができるマグネトロン及びマイクロ波利用機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも両端に永久磁石を有する陽極筒体と、前記陽極筒体の周囲に配設され、該陽極筒体の中心軸に沿って並ぶ複数の冷却フィンと、を備えるマグネトロンであって、前記陽極筒体を前記複数の冷却フィンを介して冷却する冷却媒体が流れる方向から見て、前記冷却フィンが密になる領域と、前記冷却フィンが疎になる領域とを形成するように、前記複数の冷却フィンの各々が、前記冷却フィンの一部を切り込み、かつ当該切り込み部分を互いに異なる曲げ加工して構成された少なくとも2組のフィンで、前記冷却フィンが密になる領域において冷却フィンの間隔が冷却フィンの配置間隔に対し1/2以下になるよう曲げ角度を設けたマグネトロンを提供する。
【0007】
上記マグネトロンは、前記陽極筒体を前記複数の冷却フィンを介して冷却する冷却媒体が流れる方向から見て、前記冷却フィンが疎になる領域では、前記少なくとも2組のフィンのうち一の組を構成する前記フィンと他の組を構成する前記フィンの一部が、同一面に配置されている。
【0008】
上記マグネトロンでは、前記陽極筒体を前記複数の冷却フィンを介して冷却する冷却媒体が流れる方向から見て、前記冷却フィンが密になる領域では、前記少なくとも2組のフィンのうち、一の組を構成する前記フィンの前記曲げ加工の方向と、他の組を構成する前記フィンの曲げ加工の方向とは互いに異なる。
【0009】
また、本発明は、上記マグネトロンを備える、マグネトロン利用機器を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るマグネトロン及びマイクロ波利用機器によれば、マグネトロンの冷却媒体の流れ方向から冷却フィンを見た場合、冷却フィンが疎になる領域と密なる領域とを形成することで、マグネトロンの冷却効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態マグネトロン1の全体構成図
【図2】(a)曲げ加工後の冷却フィン10の斜視図(b)曲げ加工前の冷却フィン10の平面図
【図3】マグネトロン1の要部拡大図
【図4】冷却フィン10の配置間隔を説明するための図
【図5】冷却フィン10の間を流れる冷却媒体の流れを模式的に示した図
【図6】従来のマグネトロン100の全体構成図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係るマグネトロン1の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態マグネトロン1の全体構成図である。本実施の形態に係るマグネトロン1は、長軸方向の両端に永久磁石4を有する陽極筒体2と、陽極筒体2の周囲に、陽極筒体2の長手方向に沿ってほぼ等間隔に配置された複数の冷却フィン10と、複数の永久磁石4、陽極筒体2、及び複数の冷却フィン10内部に備える磁気ヨーク3と、を有する。冷却フィン10は、動作時に高温となるマグネトロン1を冷却する機能を有する。
【0014】
次に、図2(a)、図2(b)を参照して、冷却フィン10の構成について説明する。図2(b)は、1枚の冷却フィン10の平面図である。図2(a)は、1枚の冷却フィン10の斜視図である。なお、本実施の形態に係るマグネトロン1では、陽極筒体2の長手方向に沿って、6枚冷却フィン10が等間隔に配置されている。
【0015】
図2(b)に示す冷却フィン10は、アルミニウムの薄板であり、その内部に設けられた穴10dに陽極筒体2が挿入される本体部10cと、本体部10cの穴10dに沿って設けられた円筒部10eと、本体部10cの一部に切り込みを入れて形成される複数のフィン10a、10bとから構成される。複数のフィン10a、10bは、本体部10cの一部であり、冷却フィン10の一対の辺から所定の距離だけ、互いに平行に切り込みを入れて、切り込みが入った部分を複数個所、曲げ加工して、図2(a)に示すように、一枚の冷却フィン10が形成される。本実施の形態に係るマグネトロン1では、1枚の冷却フィン10に形成された複数のフィン10a、10bは、互いに異なる曲げ加工により、曲げ加工される。そのため、本実施の形態に係るマグネトロン1全体で、6枚の冷却フィン10の各々は、互いに異なる曲げ加工がされた2組のフィンで構成される。
【0016】
図2(b)を参照して、複数のフィン10a、10bのそれぞれの曲げ加工について説明する。図2(b)は、曲げ加工前の1枚の冷却フィン10の平面図である。図2(b)の切り込み線C1に沿って、冷却フィン10の一方の辺から切り込み加工を行い、幅Waを有する4つのフィン10aと、幅Wbを有する2つのフィン10bとに分ける。ここで、複数のフィン10a、10bの幅Wa、Wbは、任意である。そして、曲げ線L1、L2、L3に沿って、一方の組に属する4つのフィン10aと、他方の組に属する2つのフィン10bと、それぞれ異なる曲げ加工を行う。
【0017】
ここで、本実施の形態に係るマグネトロン1の一つの特徴として、曲げ線L1で複数のフィン10a、10bを曲げる方向(斜め上方又は斜め下方)及び角度(αa1、αb1)を適切に設定することで、冷却フィン10を陽極筒体2に取り付けた時に、マグネトロン1の冷却媒体(本実施の形態では、空気)の流れ方向から冷却フィン10を見た時に、複数のフィン10a、10bが密になる領域と、複数のフィン10a、10bが疎になる領域とに分けている(図3参照)。
【0018】
一方の組に属する4つのフィン10aは、曲げ線L1では、斜め上方(図2(b)、紙面奥行から手前に向かう方向)に向けて、所定の角度αa1で曲げ加工される。そして、曲げ線L2では、曲げ線L2から曲げ線L3までのフィン10aの一部を、斜め下方(図2(b)、紙面手前から奥に向かう方向)に向けて、所定の角度αa2で曲げ加工される。所定の角度αa2は、曲げ線L2から曲げ線L3までのフィン10aの一部、及び曲げ線L2から曲げ線L3までのフィン10bの一部が、マグネトロン1の冷却媒体(本実施の形態では、空気)の流れ方向から冷却フィン10を見た時に、互いに重なるように設定される(図3、領域R1参照)。そして、曲げ線L3では、さらに斜め下方(図2(b)、紙面手前から奥に向かう方向)に向けて、所定の角度αa3で曲げ加工される。
【0019】
また、他方の組に属する2つのフィン10bは、曲げ線L1では、斜め下方(図2(b)、紙面手前から奥に向かう方向)に向けて、所定の角度αb1で曲げ加工される。そして、曲げ線L2では、曲げ線L2から曲げ線L3までのフィン10bの一部を、斜め上方(図2(b)、紙面奥行から手前に向かう方向)に向けて、所定の角度αb2で曲げ加工される。所定の角度αb2は、曲げ線L2から曲げ線L3までのフィン10aの一部、及び曲げ線L2から曲げ線L3までのフィン10bの一部が、互いに重なるように設定される(図3、領域R1参照)。そして、曲げ線L3では、斜め上方(図2(b)、紙面奥行から手前に向かう方向)に向けて、磁気ヨーク3に沿うように、所定の角度αb3で曲げ加工される。
【0020】
そして、上述した方法で曲げ加工した冷却フィン10を6枚用意し、穴10dの中に陽極筒体2が入るように、冷却フィン10を陽極筒体2に取り付ける。その際、図1に示すように、曲げ線L3で所定の角度で曲げ加工された6枚の冷却フィン10の端部は、ヨーク3内に押し当てられた状態で固定される。
【0021】
次に、図3を参照して、冷却フィン10を陽極筒体2に取り付けた時に、マグネトロン1の冷却媒体(本実施の形態では、空気)の流れ方向から冷却フィン10を見た時の、複数のフィン10a、10bの様子について説明する。図3は、マグネトロン1の要部拡大図である。なお、図3では、説明のため、図1の左半分の冷却フィン10について説明する。また、図3中、フィン10aは奥行方向で重なっており、重なって見えないフィン10aは、図示を省略する。また、図中、冷却媒体の流れは、紙面手前から奥に向かう方向であるとする。また、説明のため、6枚の冷却フィン10の各フィン10a、10bを互いに区別するために、図3中、上から順にフィン10aについて、フィン10a−1、・・・、10a―6とする。フィン10bについても同様に、図3中、上から順に、フィン10b−1、・・・、10b−6とする。
【0022】
図3に示すように、マグネトロン1の冷却媒体の流れ方向から陽極筒体2に取り付けた冷却フィン10を見る場合、グループGaを構成するフィン10a−1、・・・、10a―6が、斜め上方に向けて所定の角度αa1で曲げ加工された部分と、グループGbを構成するフィン10b−1、・・・、10b−6が、斜め下方に向けて所定の角度αb1で曲げ加工された部分とが、図3に示す領域R2では密になっている。
【0023】
ここで、図4を参照して、図3に示す冷却フィン10の曲げ加工の角度について説明する。図4は、冷却フィン10の配置間隔を説明するための図である。図4では、説明のため、図3に示すフィン10a―1、10a―2、10b−1、10b−2のみ示す。
【0024】
図4に示すように、本実施の形態に係るマグネトロン1では、曲げ線L1で複数のフィン10a、10bを曲げる曲げ角度αa1、αb1を、たとえば、114°に設定している。また、本実施の形態に係るマグネトロン1では、陽極筒体2の長手方向に沿って配置された互いに隣り合う冷却フィン10同士の間隔P1を、3 mm、さらに、陽極筒体2の長手方向に沿って互いに隣合う冷却フィン10のうち、一方の冷却フィンのフィン10a―1と、他方の冷却フィン10のフィン10a―2との間隔Pa2を、間隔P1の半分である1.5 mmに設定している。同様に、フィン10b−1とフィン10b−2との間隔Pb2を、間隔P1の半分である1.5mm に設定している。そのため、図3に示すように領域R2において、複数のフィン10a、10bが密となる領域を形成することができる。
【0025】
ここで、本実施の形態に係るマグネトロン1では、曲げ角度αa1、αb1を114°に設定しているが、これに限らない。曲げ角度αa1、αb1は、101°から127°の範囲で設定すれば、図3に示すように領域R2において、複数のフィン10a、10bが密となる領域を形成することができる。さらに、本実施の形態に係るマグネトロン1では、陽極筒体2の長手方向に沿って互いに隣り合うフィン10のフィンの間隔Pa2、Pb2を1.5mm に設定しているが、これに限らない。間隔Pa2、Pb2は、間隔P1の半分以下で設定すれば、図3に示すように領域R2において、複数のフィン10a、10bが密となる領域を形成することができる。
【0026】
また、マグネトロン1の冷却媒体の流れ方向から陽極筒体2に取り付けた冷却フィン10を見る場合、グループGaを構成するフィン10a−1、・・・、10a―6が、斜め上方に向けて所定の角度αa2で曲げ加工された部分と、グループGbを構成するフィン10b−1、・・・、10b−6が、斜め下方に向けて所定の角度αb2で曲げ加工された部分とが、図3に示す領域R1では、密集せずに疎になっている。また、図3に示す領域R1では、冷却フィン10を構成する複数のフィン10a、10bの間隔が広く、グループGaを構成するフィンの中で10a−4、10a−5、10a−6と、グループGbを構成するフィンの中で10b−1、10b−2、10b−3とが、マグネトロン1の冷却媒体の流れ方向から陽極筒体2に取り付けた冷却フィン10を見る場合、ほぼ同一面に配置されている。そのため、図3に示す領域R1では、冷却フィン10を構成する複数のフィン10a、10bの隙間の広い部分の有効面積が増加し、永久磁石4の周囲にある空間部との通気抵抗差を少なくできる。したがって、冷却フィン10の間を通過する冷却媒介(本実施の形態では、空気)の量が増加し、マグネトロン1の冷却効率が向上する。
【0027】
また、図3に示す領域R1と同様に、曲げ加工されていない、陽極筒体2の近傍の領域である領域R3では、グループGaを構成するフィン10a−1、・・・、10a―6、及びグループGbを構成するフィン10b−1、・・・、10b―6は、密集せず、疎になっている。
【0028】
したがって、本実施の形態に係るマグネトロン1では、同一形状を有する冷却フィン10を複数枚用いて、各冷却フィン10を切り込み加工及び曲げ加工するだけで、マグネトロン1の冷却媒体の流れ方向から陽極筒体2に取り付けた冷却フィン10を見る場合、複数のフィン10a、10bが疎になる領域と密なる領域とを、安価でかつ容易に形成することができる。
【0029】
次に、図5を参照して、本実施の形態に係るマグネトロン1において、冷却フィン10の間の隙間を通過する冷却媒体(空気)の流れについて説明する。図5は、冷却フィン10の間の隙間を通過する冷却媒体(空気)の流れ(図中、矢印)を模式的に示した図である。図5に示すように、グループGaを構成するフィン10a−1、・・・、10a―6、及びグループGbを構成するフィン10b−1、・・・、10b―6が密集する領域R2(図5中、網掛け部分)は、冷却媒体(空気)から見ると、冷却媒体(空気)の流れを妨げる障壁とみなすことができる。そのため、領域R3を通る冷却媒体(空気)は、障壁とみなすことができる領域R2にぶつかり、その後、陽極筒体2の後方に流れる。
【0030】
したがって、本実施の形態に係るマグネトロン1では、マグネトロン1の冷却媒体の流れ方向から陽極筒体2に取り付けた冷却フィン10を見る場合、複数のフィン10a、10bが疎になる領域と密なる領域とを形成することで、全体として、複数のフィン10a、10b間を通過する 冷却媒体の量の減少を抑えられ、マグネトロン1の冷却効率を向上できる。さらに、領域R3を通る冷却媒体が、障壁とみなすことができる領域R2により、陽極筒体2から逃げる拡散現象を防止することができる。そのため、一層マグネトロン1の冷却効率を向上することができる。
【0031】
上述のように、本実施の形態に係るマグネトロン1では、同一形状を有する冷却フィン10を構成する複数のフィン10a、10bを、少なくとも2か所、適切に曲げ加工するだけで、マグネトロン1の冷却媒体の流れ方向から陽極筒体2に取り付けた冷却フィン10を見た場合、図3に示す領域R2では複数のフィン10a、10bは密になっているものの、図3に示す領域R1及び領域R3では疎になっている。そのため、冷却フィン10を構成する複数のフィン10a、10bのそれぞれのフィン間の隙間が極端に少ない部分(図3中、領域R2)を設けることにより、冷却フィン10を構成する複数のフィン10a、10bのそれぞれのフィン間の隙間が広い部分(図3中、領域R1及び領域R3)を確保することで、冷却フィン10を構成する複数のフィン10a、10bの隙間の広い部分の有効面積が増加し、永久磁石4の周囲にある空間部との通気抵抗差を少なくできる。したがって、冷却フィン10の間を通過する冷却媒介(本実施の形態では、空気)の量の減少 を抑えられ、マグネトロン1の冷却効率が向上する。
【0032】
また、本実施の形態に係るマグネトロン1では、冷却媒体(本実施の形態では、空気)の流れ方向からマグネトロン1を見て、冷却フィン10を構成する複数のフィン10a、10bの間隔の広い部分(図3中、領域R1)について、図3に示す領域R2で上方に曲げる群(グループGa)と、図3に示す領域R2で下方に曲げる群(グループGb)とがほぼ同一面になるフィンを設けることで、冷却フィン10を構成する複数のフィン10a、10bの隙間の広い部分の有効面積が増加し、永久磁石4の周囲にある空間部との通気抵抗差を少なくできる。したがって、冷却フィン10の間を通過する冷却媒介(本実施の形態では、空気)の量の減少 を抑えられ、マグネトロン1の冷却効率が向上する。
【0033】
さらに、本実施の形態に係るマグネトロン1では、領域R3を通る冷却媒体(空気)は、障壁とみなすことができる領域R2にぶつかり、その後、陽極筒体2の後方に流れる。そのため、より一層マグネトロン1の冷却効率を向上することができる。
【0034】
なお、本実施の形態にマグネトロン1では、冷却フィン10はアルミニウムの薄板であるとして説明したが、これに限らない。
【0035】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係るマグネトロン及びマイクロ波利用機器は、マグネトロンの冷却媒体の流れ方向から冷却フィンを見た場合、冷却フィンが疎になる領域と密なる領域とを形成することで、マグネトロンの冷却効率を向上する、という効果を有し、電子レンジ等として有用である。
【符号の説明】
【0037】
1 マグネトロン
2 陽極筒体
3 ヨーク
4 永久磁石
10 冷却フィン
10a、10b 複数のフィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも両端に永久磁石を有する陽極筒体と、前記陽極筒体の周囲に配設され、該陽極筒体の中心軸に沿って並ぶ複数の冷却フィンと、を備えるマグネトロンにおいて、
前記陽極筒体を前記複数の冷却フィンを介して冷却する冷却媒体が流れる方向から見て、前記冷却フィンが密になる領域と、前記冷却フィンが疎になる領域とを形成するように、前記複数の冷却フィンの各々が、前記冷却フィンの一部を切り込み、かつ当該切り込み部分を互いに異なる曲げ加工して構成された少なくとも2組のフィンで、前記冷却フィンが密になる領域において冷却フィンの間隔が冷却フィンの配置間隔に対し1/2以下になるよう曲げ角度を設けたことを特徴とするマグネトロン。
【請求項2】
請求項1に記載のマグネトロンであって、
前記陽極筒体を前記複数の冷却フィンを介して冷却する冷却媒体が流れる方向から見て、前記冷却フィンが疎になる領域では、前記少なくとも2組のフィンのうち一の組を構成する前記フィンと他の組を構成する前記フィンの一部が、同一面に配置されていることを特徴とするマグネトロン。
【請求項3】
請求項2に記載のマグネトロンであって、
前記陽極筒体を前記複数の冷却フィンを介して冷却する冷却媒体が流れる方向から見て、前記冷却フィンが密になる領域では、前記少なくとも2組のフィンのうち、一の組を構成する前記フィンの前記曲げ加工の方向と、他の組を構成する前記フィンの曲げ加工の方向とは互いに異なるマグネトロン。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマグネトロンを備える、マグネトロン利用機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−113950(P2011−113950A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272337(P2009−272337)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】