説明

マスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツール

【課題】保管中に、マスカラがヒーターの熱により劣化するおそれがないマスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツールを提供する。
【解決手段】マスカラツール10は、マスカラ収容部12とキャップ部14を備え、キャップ部14の突設部20にヒーター機構付きまつ毛カーラー用エリア36となるヒーター内蔵部22を有する。ヒーター内蔵部22の表面に溝部22−2が形成され、スリット34が形成されたカバー部材30でヒーター内蔵部22がカバーされる。カバー部材30の他の側面にマスカラ塗布用エリア38が形成される。マスカラツール10は、ヒーター内蔵部22の溝部22−2を切り替え可能にスリット34から露出しおよびカバー部材30の本体部分で被覆する被覆および露出切り替え機構と、ヒーター内蔵部22の溝部22−2が露出した状態でマスカラ収容部12に進入することを防止する誤進入防止機構を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツールに関する。
【背景技術】
【0002】
まつ毛を濃く、またカールして、目元を美しく整えるために、化粧品の一種であるマスカラをまつ毛に塗布することが行われる。
マスカラには、液体やクリームのタイプがある。マスカラの成分は、顔料、水分、増粘剤、皮膜剤等からなる。マスカラは刷毛や棒を内蔵したいわゆるオートマチック容器に充填して用いられる。
マスカラには、まつ毛を長く見せることやまつ毛をカールさせる効果があること等その他種々の性質が求められる。
【0003】
まつ毛のカールをより確実に実現し、またカールの角度等を所望の状態とするために、マスカラをまつ毛に塗布するに先立ち、まつ毛カーラー(ビューラーあるいはカール器ともいう。)を用いてまつ毛を挟みつける等してカールさせることが行われている。
通常のまつ毛カーラーに代えて、加熱したいわゆるヒーター機構付きまつ毛カーラー(ホットビューラーともいう。)を用いることも行われている。ヒーター機構付きまつ毛カーラーは、通常のまつ毛カーラーに比べて、カールのくせ付けが長時間続く(カールキープ力)効果に優れるという効果がある。
ヒーター機構付きまつ毛カーラーには、コーム(櫛歯)タイプとアイラッシュカーラー(まつ毛を挟む)タイプがある。
【0004】
ヒーター機構付きまつ毛カーラーでまつ毛をカールした後にまつ毛にマスカラを塗布することは、2種の化粧具を用いることになり、煩雑である。
【0005】
これに対して、ブラシ部を先端に形成した細長い支持管を設けたキャップを、マスカラ液を貯留した筒型容器に挿したマスカラ(マスカラツール)が開示されている(特許文献1)。支持管内には通電により発熱して支持管を加熱するヒーターが装着され、スイッチで内蔵電池あるいは交流電源との接続がオンオフされる。加熱された支持管をまつ毛に当ててまつ毛がカールされ、ついで、マスカラに浸漬されたブラシ部をまつ毛に当ててまつ毛にマスカラが塗布される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】公開実用昭和63−147116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、特許文献1のものは、誤ってスイッチを入れた状態で筒型容器にキャップが装着され、保管されると、筒型容器に収容されたマスカラがヒーターの熱により劣化するおそれがある点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るマスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツールは、
マスカラを収容し、開口端近傍の内壁に弾性しごき部材が設けられるマスカラ収容部と、把持部および該把持部に段差状に突設される突設部を有し、該突設部を該マスカラ収容部に挿入することにより該把持部が該マスカラ収容部を閉塞することができるキャップ部を備え、該突設部が、該マスカラ収容部から抜き出した状態でマスカラをまつ毛に塗布するためのマスカラ塗布用エリアおよび電熱ヒーターが内蔵され、表面の軸線方向に所定のピッチで複数の溝部が形成されるヒーター内蔵部および該ヒーター内蔵部の該溝部を被覆および一部または全部露出可能に覆うカバー部を有し、該溝部を露出した状態で該ヒーター内蔵部を当ててまつ毛をカールするためのヒーター機構付きまつ毛カーラー用エリアを有する、マスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツールであって、
該把持部が該マスカラ収容部を閉塞する保管状態において該カバー部により該ヒーター内蔵部の該溝部が被覆され、該把持部を該マスカラ収容部から抜き出すヒーター機構付きまつ毛カーラーとしての使用状態において該カバー部より該ヒーター内蔵部の該溝部を一部または全部露出する被覆および露出切り替え機構を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るマスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツールは、好ましくは、
前記突設部が、電熱ヒーターが内蔵されるヒーター内蔵部を先端近傍に備え、先端に段差状に大径部が設けられた棒状部材と、前記棒状部材を摺接、外嵌するカバー部材で構成され、該ヒーター内蔵部の表面の軸線方向に所定のピッチで複数の溝部が形成され、該カバー部材の一外側面にマスカラ塗布用エリアが形成されるとともに他の外側面に軸線方向と直交するスリットが軸線方向に該溝部と同じピッチで複数形成され、
前記被覆および露出切り替え機構が、アクチュエータにより該カバー部材またはヒーター内蔵部が相手に対して相対的に軸線方向にスリット1つ分スライドして該ヒーター内蔵部の該溝部を切り替え可能に該スリットから露出しおよび該カバー部材の本体部分で被覆するように構成されることを特徴とする。
【0010】
このとき、前記棒状部材の先端に段差状に大径部が設けられるとともに、該棒状部材の後端が前記電熱ヒーターの電源スイッチに係合し、
所定の力を加えて該電源スイッチをオンすることにより前記ヒーター内蔵部が前記カバー部材に対して軸線方向にスリット1つ分前進スライドして前記溝部を前記スリットから露出し、所定の力を加えて該電源スイッチをオフすることにより該ヒーター内蔵部が該カバー部材に対して軸線方向にスリット1つ分後退スライドして該溝部を該カバー部材の本体部分で被覆するように構成され、
該電源スイッチオンの状態のまま前記突設部を前記マスカラ収容部に挿入するとき、該大径部が前記弾性しごき部材に係合し、電源スイッチオンに要する力以上の反発応力により該棒状部材が後退して電源スイッチをオフする自動スイッチオフ機構を有することが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るマスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツールは、好ましくは、
前記突設部が、電熱ヒーターが内蔵されるヒーター内蔵部を先端近傍に備える棒状部材と、前記棒状部材を摺接、外嵌するカバー部材で構成され、該カバー部材の一外側面にマスカラ塗布用エリアが形成され、
前記被覆および露出切り替え機構が、該カバー部材に係合され、該把持部にスライド可能に内蔵される引き出し部を備え、人の手指で該引き出し部を操作して、該ヒーター内蔵部を切り替え可能に露出および被覆するように構成されることを特徴とする。
【0012】
このとき、前記ヒーター内蔵部の一外側面に、後端側が該一外側面に固定され先端側が該一外側面に弾性的に当接して軸線方向と直交する方向にばね作用を有する片持ちばね状部材が設けられ、前記カバー部材から露出して先端側が起き上がった状態の該片持ちばね状部材が前記マスカラ収容部に進入する際に該マスカラ収容部の開口に当接する誤進入防止機構を有することが好ましい。
【0013】
また、本発明に係るマスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツールは、好ましくは、
前記突設部が、電熱ヒーターが内蔵されるヒーター内蔵部を先端近傍に備える棒状部材と、前記ヒーター内蔵部を摺接、外嵌する、回動可能な半割り管状カバー部材で構成され、該半割り管状カバー部材の一外側面にマスカラ塗布用エリアが形成され、
前記被覆および露出切り替え機構が、該半割り管状カバー部材を回動して該ヒーター内蔵部を切り替え可能に露出および被覆するように構成されることを特徴とする。
【0014】
このとき、前記半割り管状カバー部材が前記ヒーター内蔵部を被覆する状態で、前記突設部が前記マスカラ収容部に進入可能な相補形状に保持され、該半割り管状カバー部材の半割り部分から該ヒーター内蔵部を露出する状態で、該突設部が前記マスカラ収容部への進入を阻止する非相補形状に保持される誤進入防止機構を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るマスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツールは、保管状態においてカバー部により電熱ヒーターを内蔵するヒーター内蔵部の溝部が被覆され、使用状態においてカバー部よりヒーター内蔵部の溝部を一部または全部露出する被覆および露出切り替え機構を有するため、誤ってスイッチを入れた状態で筒型容器にキャップが装着され、保管されても、ヒーター内蔵部をカバー部で被覆することにより、筒型容器に収容されたマスカラがヒーターの熱により劣化するおそれが小さい。また、保管中にヒーター内蔵部にマスカラが付着してヒーター機構付きまつ毛カーラーとしての使用時に適切にカールするのに支障をきたすおそれがない。
【0016】
また、本発明に係るマスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツールは、さらに、ヒーター内蔵部が露出した状態でマスカラ収容部に進入することを防止する進入防止機構、または、電熱ヒーターの電源をオフする自動スイッチオフ機構を備えると、上記マスカラの劣化防止の効果をより好適に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本実施の形態の第一の例に係るマスカラツールの保管状態または使用前の状態を示す断面図である。
【図2(A)】図2(A)は本実施の形態の第一の例に係るマスカラツールのヒーター内蔵部の溝部をカバー部材で被覆した状態を示す外観図である。
【図2(B)】図2(B)は本実施の形態の第一の例に係るマスカラツールのヒーター内蔵部の溝部をカバー部材でから露出した状態を示す外観図である。
【図3】図3は本実施の形態の第二の例に係るマスカラツールについて、キャップ部でマスカラ収容部を閉塞した、保管時あるいは使用前の状態を示す図である。
【図4】図4は本実施の形態の第二の例に係るマスカラツールについて、マスカラ収容部から抜き出したキャップ部の使用前の状態を示す図である。
【図5】図5は本実施の形態の第二の例に係るマスカラツールについて、使用時のキャップ部の状態を示す図である。
【図6】図6は、本実施の形態の第三の例に係るマスカラツールについて、保管時またはマスカラ塗布時のキャップ部の状態を示す図である。
【図7】図7は、本実施の形態の第三の例に係るマスカラツールについて、ホットビューラー使用時のキャップ部の状態を示す図である。
【図8】図8は、本実施の形態の第三の例に係るマスカラツールについて、被覆および露出切り替え機構の作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態(以下、本実施の形態例という。)について、図を参照して、以下に説明する。
【0019】
まず、本実施の形態例に係るマスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツール(以下、これを単にマスカラツールということがある。)の基本原理について説明する。
【0020】
マスカラツールは、マスカラ収容部とキャップ部を備える。
マスカラ収容部は、マスカラを収容する開口容器であり、開口端近傍の内壁にゴム等の材料で形成される弾性しごき部材が設けられる。
【0021】
キャップ部は、マスカラツール保管時にマスカラ収容部を閉塞する。キャップ部は、把持部と把持部に段差状に突設される突設部を有する。
把持部は、マスカラ収容部から抜き出したキャップ部でマスカラ塗布等を行う際に手指で持つ部位である。
突設部は、マスカラ塗布等を行うための、マスカラ塗布用エリアとホットビューラー用エリアを有する。
マスカラ塗布用エリアは、例えば突設部の一外側面に櫛歯状に形成され、マスカラ収容部から抜き出して使用するときに、に付着あるいは含浸したマスカラをまつ毛に塗布するための部位である。なお、マスカラ収容部からキャップ部を抜き出すときに、マスカラ塗布用エリアに過剰に付着等したマスカラは、弾性しごき部材でしごかれ、適量まで除去される。
ヒーター機構付きまつ毛カーラー用エリア(以下、これをホットビューラー用エリアという。)は、電熱ヒーターが内蔵され、表面の軸線方向所定のピッチで複数の溝部が形成されるヒーター内蔵部と、ヒーター内蔵部の溝部を(1)被覆および(2)一部または全部露出可能に覆うカバー部を有する。ホットビューラー用エリアは、マスカラ収容部から抜き出して使用するときに、カバー部よりヒーター内蔵部の溝部を一部または全部露出した状態でヒーター内蔵部、より正確にはヒーター内蔵部の溝部を当ててまつ毛をカールするための部位である。ヒーター内蔵部の溝部は、薄肉であり、内蔵する電熱ヒーターの熱が容易に伝わって相対的に温度が高く、一方、ヒーター内蔵部の溝部が形成されていない部分(以下の説明ではこの部分を山部という。)は厚肉であるため、内蔵する電熱ヒーターの熱が伝わりにくく、表面温度が相対的に低い。
マスカラツールは、マスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー(ホットビューラー)兼用であるため、刷毛や棒を内蔵したいわゆるオートマチックマスカラ容器およびホットビューラーの2種の化粧具を用いる必要がなく、保管や使用において便宜である。
【0022】
マスカラツールは、把持部がマスカラ収容部を閉塞する保管状態においてカバー部によりヒーター内蔵部の溝部が被覆され、把持部をマスカラ収容部から抜き出すホットビューラーとしての使用状態においてカバー部よりヒーター内蔵部の溝部を一部または全部露出する被覆および露出切り替え機構(以下、これを単に、被覆および露出切り替え機構ということがある。)を有する。なお、カバー部による露出は、ホットビューラー用エリアの溝部のみであってもよく、また、溝部と山部を含むホットビューラー用エリア全体であってもよい。
被覆および露出切り替え機構は、アクチュエータで付勢される。アクチュエータは、広義には、入力されたエネルギを物理的運動に変換する機械要素をいうが、ここでは、被覆および露出切り替え機構を作動するものを指し、この場合、入力エネルギは、電気エネルギ、電磁力エネルギ、油圧エネルギ等のみでなく、人力も含む。この点は以下の例についても同様である。
【0023】
保管状態において、ヒーター内蔵部の溝部がカバー部で必ず被覆されているため、保管中にヒーター内蔵部の溝部にマスカラが付着あるいは溜まってホットビューラーとしての使用時に適切にカールするのに支障をきたすおそれがなく、また、何らかの理由で保管中にヒーター内蔵部が加熱状態となったとしても、マスカラへの熱伝達が軽減され、マスカラの熱による品質劣化が軽減される。
一方、使用状態において、カバー部よりヒーター内蔵部の溝部を露出する場合、まつ毛をカールする際に誤って顔の他部位にホットビューラー用エリアを当てたとしても、ヒーター内蔵部の山部に保護され、ヒーター内蔵部の溝部が直接に皮膚等に触れることがない。また、後述するように、ヒーター内蔵部の表面温度、より厳密には溝部の表面温度をホットビューラーの作用を損なわない限度で低い温度、例えば60〜80℃程度としておくことで、ヒーター内蔵部の溝部が直接に皮膚等に瞬時触れたとしても、熱傷等のおそれはない。
【0024】
本実施の形態例に係るマスカラツールの基本原理において、マスカラツールは、ヒーター内蔵部が露出した状態で把持部がマスカラ収容部に進入することを防止する誤進入防止機構を有することが好ましい。
ヒーター内蔵部をカバー部から露出した状態は、通常、電熱ヒーターのスイッチがオンされたままであるが、誤進入防止機構の作用により把持部がマスカラ収容部に進入することができないため、保管中に、マスカラが電熱ヒーターの熱により劣化するおそれがない。
また、本実施の形態例に係るマスカラツールの基本原理において、マスカラツールは、電熱ヒーターの電源自動オフ機構(自動スイッチオフ機構)を有することも好ましい。
使用後に保管する際に電源の切り忘れがあっても電熱ヒーターを確実にオフすることができ、また、何らかの異常によりヒーター内蔵部がカバー部から露出した状態で保管される場合においても熱によるマスカラの劣化を生じることがない。
誤進入防止機構および自動スイッチオフ機構は、いずれか一方のみを有してもよく、また、双方を有してもよい。
【0025】
マスカラツールは、使用時に、ホットビューラー用エリアのヒーター内蔵部の表面温度が60〜80℃であり、マスカラ塗布用エリアの表面温度が40℃以下程度であると、好適である。
ヒーター内蔵部の表面温度が60℃よりも極端に低いとホットビューラーとしての効果が損なわれるおそれがあり、一方、ヒーター内蔵部の表面温度が80℃よりも極端に高いとまつ毛等にダメージを与えるおそれがあり、また、使用後にホットビューラー用エリアをマスカラ収容部に収容した直後にホットビューラー用エリアの残熱によりマスカラ収容部に収容されたマスカラに熱変化を与えるおそれがある。また、マスカラ塗布用エリアの表面温度が40℃よりも極端に高いと、使用後にマスカラ塗布用エリアをマスカラ収容部に収容した直後にマスカラ塗布用エリアの残熱によりマスカラ収容部に収容されたマスカラに熱変化を与えるおそれがある。
このようなホットビューラー用エリアおよびマスカラ塗布用エリアの温度条件設定は、電熱ヒーターの発熱量等のヒーター条件、ホットビューラー用エリアおよびマスカラ塗布用エリアの突設部におけるレイアウト、突設部の材料の選定および電熱ヒーターを内蔵するヒーター内蔵部の厚み等を適宜選択、決定することで実現できる。
【0026】
つぎに、本実施の形態の第一の例に係るマスカラツールについて、図1のマスカラツールの保管状態または使用前の状態を示す断面図ならびに図2(A)のヒーター内蔵部をカバー部材で被覆した状態を示す外観図および図2(B)のヒーター内蔵部をカバー部材でから露出した状態を示す外観図を参照して説明する。
【0027】
マスカラツール10は、マスカラ収容部12とキャップ部14を備える。
マスカラ収容部12にはマスカラAが収容される。マスカラ収容部12の開口端近傍の内壁に、ゴム等で形成される弾性しごき部材16が設けられる。
キャップ部14は、把持部18と把持部18に段差状に突設される突設部20を有する。図1は、突設部20をマスカラ収容部12に挿入して把持部18がマスカラ収容部12を閉塞した状態、すなわち、保管状態を示す。
【0028】
突設部20は、先端近傍にヒーター内蔵部22を有する棒状部材24を備える。参照符号32はヒーター内蔵部22に内蔵される電熱ヒーターを示す。ヒーター内蔵部22の先の棒状部材24の先端には、好ましくは段差状に大径部26が設けられる。一方、棒状部材24の後端にも突起28が設けられる。棒状部材24はカバー部材(カバー部)30で摺接、外嵌される。カバー部材30の後端(図1中右側部分)は把持部18に固着される。大径部26および弾性しごき部材16は、電熱ヒーター32の電源スイッチを自動的にオフする自動スイッチオフ機構を構成するが、その詳細は後述する。
ヒーター内蔵部22は表面の軸線方向に所定のピッチで複数の溝部22−2が形成される。溝部22−2が形成されていない部分は山部22−1となる。カバー部材30の外側面には、ヒーター内蔵部22の表面の溝部22−2と同じピッチで軸線方向と直交するスリット34が軸線方向に溝部22−2と同じ数だけ形成される。ヒーター内蔵部22とカバー部材30が相対的にスリット34ひとつ分スライドすることで、図2(A)に示すように、カバー部材30により溝部22−2が被覆されるとともにスリット34がヒーター内蔵部22のねじの山部22−1で閉塞され、または、図2(B)に示すように、スリット34を介してヒーター内蔵部22の溝部22−2が露出する。ヒーター内蔵部22およびカバー部材30は、ホットビューラー用エリア36を構成する。
カバー部材30の他の外側面であるスリット34の形成された側と反対側の表面に、例えば、櫛歯状のマスカラ塗布用エリア38が形成される。
【0029】
把持部18と突設部20の境目近傍にアクチュエータとしてのスライドスイッチ(電源スイッチ)40が設けられる。スライドスイッチ40の内部にアングル状部材40aが設けられる。アングル状部材40aは、突起28に固着される固着部材29に固着される。スライドスイッチ40を手指で所定の力を加えて押しながら図1中右側にスライドすることにより、棒状部材24が左方向にスリット34ひとつ分スライドし、カバー部材30からヒーター内蔵部22の溝部22−2が露出した図2(B)に示す状態となる。一方、スライドスイッチ40を図1中左側にスライドすることにより、棒状部材24が右方向にスライドし、ホットビューラー用エリア36は図2(A)に示す状態となる。
これらのアングル状部材40aを有するスライドスイッチ40や突起28は、カバー部材30とともに、把持部18がマスカラ収容部12を閉塞する保管状態においてカバー部材30によりヒーター内蔵部22が被覆され、把持部18をマスカラ収容部12から抜き出すホットビューラーとしての使用状態においてカバー部材30よりヒーター内蔵部22を一部露出する被覆および露出切り替え機構を構成する。
ここで、被覆および露出切り替え機構は、カバー部材30またはヒーター内蔵部22が相手に対して相対的に軸線方向にスライドするものであれば足り、棒状部材24に代えてカバー部材30がスライドする構成であってもよい。
なお、図1中、参照符号42は、電熱ヒーターの電力源となる電池を示す。ただし、電力源は電池に限定されるものではない。電熱ヒーターを構成する例えばニクロム線等の詳細構造や電気的接続構造については、説明を省略する。
【0030】
上記のように構成される本実施の形態の第一の例に係るマスカラツール10の作用について説明する。
【0031】
図1に示すマスカラツール10を保管した状態あるいは使用前の状態において、キャップ部14の把持部18がマスカラ収容部12を閉塞し、マスカラAがマスカラ収容部12に保持される。
このとき、マスカラ塗布用エリア38はマスカラAに浸漬され、マスカラAが付着しあるいは溜まる。
ホットビューラー用エリア36は、カバー部材30によりヒーター内蔵部22の溝部22−2が被覆されているため、保管中にヒーター内蔵部22の溝部22−2にマスカラAが付着等してホットビューラーとしての使用時に適切にカールするのに支障をきたすおそれがなく、また、何らかの理由で保管中にヒーター内蔵部22が加熱状態となったとしても、マスカラAへの熱伝達が軽減される。
【0032】
マスカラツール10を使用するために突設部20をマスカラ収容部12から引き出すとき、マスカラ塗布用エリア38が弾性しごき部材16によってしごかれ、マスカラ塗布用エリア38に過剰に付着等したマスカラAは、適量まで除去される。
【0033】
所定の力を加えてスライドスイッチ40をスライドして、カバー部材30よりヒーター内蔵部22の溝部22−2を露出するとともに電熱ヒーター32の電源がオンされる。電源がオンされると、例えば数分間程度の時間経過によりヒーター内蔵部22の表面温度が例えば70℃程度まで昇温され、その温度に保持される。
ホットビューラー用エリア36のカバー部材30のスリット34を介して昇温されたヒーター内蔵部22をまつ毛に当てて、まつ毛をカールする。このとき、露出したヒーター内蔵部22の溝部22−2以外はカバー部材30で被覆されているため、ヒーター内蔵部22の溝部22−2がまつ毛以外の顔の部位に触れることがない。
【0034】
まつ毛をカールした後、40℃以下の温度に保持されたマスカラ塗布用エリア38をまつ毛に当ててマスカラAをまつ毛に塗布する。
なお、カールとマスカラ塗布は逆順であってもよい。
【0035】
カールとマスカラ塗布が終わると、所定の力を加えてスライドスイッチ40をスライドして、電熱ヒーター32の電源をオフにし、およびヒーター内蔵部22の部分以外はカバー部材30で被覆して、マスカラ収容部12にキャップ部14を戻す。
マスカラツール10は、好ましくは、自動スイッチオフ機構を有する。スライドスイッチ40の操作を忘れて、電熱ヒーター32の電源をオンにしたままで、およびヒーター内蔵部22をカバー部材30から露出したままで、マスカラ収容部12にキャップ部14を戻そうとすると、大径部26が弾性しごき部材16に係合し、スライドスイッチ40をオンするのに必要とする力以上の反発応力が棒状部材24に作用し、棒状部材24が後退してスライドスイッチ40を自動的にオフする。その後、反発応力に打ち勝つ力を加えてキャップ部14をマスカラ収容部12に挿入することになる。
なお、反発応力に打ち勝つ力を加えてキャップ部14をマスカラ収容部12に挿入する際に露出したヒーター内蔵部22の溝部22−2がカバー部材30で被覆されるように設計しておくと、自動スイッチオフ機構は同時に誤進入防止機構としても作用することになる。
【0036】
マスカラツール10は、ホットビューラー用エリアのカバー部材を軸線方向にスリット1つ分スライドしてヒーター内蔵部を切り替え可能にスリットから露出しおよびカバー部材の本体部分で被覆する構成である。このため、切り替えによるホットビューラー用エリアの長さ寸法の変化がほとんどなく、ホットビューラー用エリアの長さ寸法を比較的短く形成することができ、これにより、マスカラツールの全長を短くすることができる。
【0037】
つぎに、本実施の形態の第二の例に係るマスカラツールについて、図3〜5を参照して説明する。図3はキャップ部でマスカラ収容部を閉塞した、保管時あるいは使用前の状態を示す図であり、図4は、マスカラ収容部から抜き出したキャップ部の使用前の状態を示す図であり、図5は使用時のキャップ部の状態を示す図である。
【0038】
図3〜5に示す変形例に係るマスカラツール10aは、突設部と、被覆および露出切り替え機構のアクチュエータの構成がマスカラツール10と相違する。
なお、以下の各例において、本実施の形態の第一の例に係るマスカラツール10と同様の構成要素については、必要に応じて図示および重複する説明を省略し、各例の特徴点のみを説明する。
【0039】
マスカラツール10aのキャップ部14aを構成する突設部20aは、ヒーター内蔵部22aを先端に有する棒状部材24aと棒状部材24aを摺接、外嵌するカバー部材30aで構成される。棒状部材24aにマスカラ塗布用エリア38が設けられる。ヒーター内蔵部22aはホットビューラー用エリア36を構成する。なお、カバー部材30aはホットビューラーとして作用するときの直接の構成要素ではないが、ホットビューラー用エリア36の要素の一部ということができる。
棒状部材24aの後端に、径方向に突出する突起部が形成される(図示せず。)。一方、カバー部材30aの後端側に、軸方向に延出するスリットが形成される(図示せず。)。棒状部材24aの突起部はカバー部材30aのスリットを挿通して外筒52に固着され、これにより、棒状部材24aの後端が、説明を後述する外筒52に固着される。カバー部材30aが軸方向に変位しても、棒状部材24aの突起部は干渉することがない。
【0040】
マスカラツール10aのキャップ部14aを構成する把持部18aは、内筒50と内筒50と摺接、外嵌する外筒52を有する。内筒50の先端(図3、4中左端)は、外筒52の内部でカバー部材30aの後端に係止される(図示せず)。
内筒50と外筒52は、内筒50および外筒52それぞれの先端側(図4、5中左側)に設けられる、例えばノッチ機構等のロック構造により係止される。ノッチ機構は、例えば外筒52の内面に設けられる突起または窪みと内筒50の外面に設けられる窪みまたは突起で構成される。マスカラツール10a使用時、力を加えて外筒52に対して内筒50を引き抜くようにスライドさせることにより、係止(ロック)状態が解除され、内筒50の移動にともなってカバー部材30aが後退してその一部が外筒52の内部に収容されるとともに、ヒーター内蔵部22aがカバー部材30aの先端側から露出する。一方、力を加えて外筒52に対して内筒50を押し込むようにスライドさせることにより、ノッチ機構により外筒52に内筒50が係止されるとともに、内筒50の移動にともなってカバー部材30aが前進して外筒52から露出し、カバー部材30aの先端側がヒーター内蔵部22aを被覆する。これらの要素が被覆および露出切り替え機構のアクチュエータを構成する。
なお、外筒52に対して内筒50を引き抜いた状態でも係止(ロック)されるように、内筒50および外筒52それぞれの後端側(図4、5中右側)にさらにロック構造を設けてもよく、また、内筒50および外筒52が遊びのない状態できつく摺接する場合は、これらのロック構造を省略してもよい。
【0041】
マスカラツール10aは、好ましくは、ヒーター内蔵部22aの一外側面に、後端側が一外側面に固定され先端側(図5中、矢印Bで示す。)が一外側面に弾性的に当接して軸線方向と直交する方向にばね作用を有する片持ちばね状部材48が設けられる。片持ちばね状部材48は、説明を後述する誤進入防止機構を構成する。
【0042】
上記のように構成される本実施の形態の第二の例に係るマスカラツール10aの作用について、特徴点のみ説明する。
【0043】
マスカラツール10aを使用するためにマスカラ収容部12からキャップ部14aを抜き出す(図4)。
ついで、外筒52を手指で支えた状態で内筒50を他の手指で図5中右方向に外筒52から引き出して、ヒーター内蔵部22aをカバー部材30aから露出する。
電熱ヒーター32の電源をオンしてヒーター内蔵部22aを昇温し、ホットビューラー用エリア36でカールし、マスカラ塗布用エリア38でマスカラを塗布する。
カールとマスカラ塗布が終わると、電熱ヒーター32の電源をオフする。外筒52を手指で支えた状態で内筒50を他の手指で図5中左方向に外筒52に押し込んで、カバー部材30aでヒーター内蔵部22aを被覆する。
マスカラツール10aは、好ましくは、誤進入防止機構を有する。ヒーター内蔵部22aをカバー部材30aから露出したままで、マスカラ収容部12にキャップ部14aを戻そうとしても、誤進入防止機構の作用により、すなわち、ヒーター内蔵部22aに設けられた片持ちばね状部材48の先端側Bがマスカラ収容部12の開口端に当接し、キャップ部14aあるいは突設部20aの動きが阻止され、ヒーター内蔵部22aが露出した状態でマスカラ収容部12に進入することが防止される。
【0044】
本実施の形態の第二の例に係るマスカラツール10aは、アクチュエータの構成が簡易である。マスカラツール10aは、保管時のキャップ部14aの長さ寸法、言い換えればマスカラツール10aの全長を短くし、コンパクトにすることができる。
また、マスカラツール10aは、使用時、ヒーター内蔵部22aとカバー部材30aに形成されるマスカラ塗布用エリアが軸線方向に完全に離間、分離するため、マスカラの付着したマスカラ塗布用エリア38がヒーター内蔵部22aの熱を受けるおそれが軽減する。
【0045】
つぎに、本実施の形態の第三の例に係るマスカラツールについて、図6〜図8を参照して説明する。図6は保管時またはマスカラ塗布時のキャップ部の状態を示す図であり、図7はホットビューラー使用時のキャップ部の状態を示す図であり、図8は被覆および露出切り替え機構の作用を説明するための図である。
【0046】
図6および図7に示す本実施の形態の第三の例に係るマスカラツール10bは、キャップ部14bの突設部20bの構成と、被覆および露出切り替え機構のアクチュエータの構成がマスカラツール10と相違するが、残余の部分はマスカラツール10と同様の構成である。このため、同様の構成部分についての重複する説明は省略し、特徴点のみについて説明する。
突設部20bは、電熱ヒーターが内蔵されるヒーター内蔵部22bを先端近傍に備える棒状部材24と、ヒーター内蔵部22bを摺接、外嵌する、回動可能な半割り管状カバー部材30bで構成される。半割り管状カバー部材30bの外側面にマスカラ塗布用エリア38が設けられる。半割り管状カバー部材30bの回動する軸線は棒状部材24の軸線と違えている。半割り管状カバー部材30bの半割り部分は、完全な開口に限らず例えばスリット状の開口を設けた構成でもよい。
図6に示すように、半割り管状カバー部材30bがヒーター内蔵部22bを被覆した状態では、半割り管状カバー部材30bおよびヒーター内蔵部22bは棒状部材24とほぼ同一の断面形状、外形寸法になるように設定されている。そして、この断面形状、外形寸法は、マスカラ収容部の開口からマスカラ収容部の内部に棒状部材24を含む突設部20bを収容できるように、マスカラ収容部の開口と相補形状に保持される。
一方、図7に示すように、半割り管状カバー部材30bがヒーター内蔵部22bを露出した状態では、半割り管状カバー部材30bおよびヒーター内蔵部22bの断面形状は、好ましくは、マスカラ収容部の開口と非相補形状に保持され、説明を後述する誤進入防止機構を構成する。
キャップ部14bの把持部18bには、回動部材54が設けられる。回動部材54は、内部のギア機構(図示せず。)を通じて棒状部材24と連結する。棒状部材24は、管状カバー30bと偏心カム溝(図示せず。)で連結する。図8に示すように、回動部材54を回動させると、棒状部材24が回動し、管状カバーが偏心回動し、ヒーター内蔵部22bが露出する。これにより、手指で回動部材54を回動することにより、半割り管状カバー部材30bを回動して半割り管状カバー部材30bがヒーター内蔵部22bを被覆した状態と半割り管状カバー部材30bからヒーター内蔵部22bが露出した状態を切り替えることができる。すなわち、これらの各要素は被覆および露出切り替え機構およびこれを作用させるアクチュエータを構成する。
【0047】
マスカラツール10bは、好ましくは、誤進入防止機構を有する。半割り管状カバー部材30bがヒーター内蔵部22bを露出した状態では、半割り管状カバー部材30bおよびヒーター内蔵部22bの断面形状は、マスカラ収容部の開口と非相補形状に保持されるため、マスカラ収容部の開口からマスカラ収容部の内部に棒状部材24を含む突設部20bを収容することができない。
【0048】
マスカラツール10bは、切り替え可能にヒーター内蔵部22bを半割り管状カバー部材30bから露出しおよび被覆するときのホットビューラー用エリアの長さに変動がなく、突設部20bの長さ、さらにはマスカラツール10cの全長を比較的短くすることができる。
また、マスカラツール10bは、ホットビューラー使用時の状態(図8)においてヒーター内蔵部22bと半割り管状カバー部材30aに設けられたマスカラ塗布用エリア38が離間し、さらに両者の間に空気層が介在するため、ヒーター内蔵部22bの熱によってマスカラ塗布用エリア38が過熱することが抑制される。
【符号の説明】
【0049】
10、10a、10b マスカラツール
12 マスカラ収容部
14、14a、14b キャップ部
16 弾性しごき部材
18、18a 把持部
20、20a、20b 突設部
22、22a、22b ヒーター内蔵部
22−1 山部
22−2 溝部
24、24a 棒状部材
24a−1 段差状拡大部
26 大径部
28 突起
29 固着部材
30、30a、30b カバー部材
32 電熱ヒーター
36 ホットビューラー用エリア
38 マスカラ塗布用エリア
40 スライドスイッチ
40a アングル状部材
48 片持ちばね状部材
50 内筒
52 外筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスカラを収容し、開口端近傍の内壁に弾性しごき部材が設けられるマスカラ収容部と、把持部および該把持部に段差状に突設される突設部を有し、該突設部を該マスカラ収容部に挿入することにより該把持部が該マスカラ収容部を閉塞することができるキャップ部を備え、該突設部が、該マスカラ収容部から抜き出した状態でマスカラをまつ毛に塗布するためのマスカラ塗布用エリアおよび電熱ヒーターが内蔵され、表面の軸線方向に所定のピッチで複数の溝部が形成されるヒーター内蔵部および該ヒーター内蔵部の該溝部を被覆および一部または全部露出可能に覆うカバー部を有し、該溝部を露出した状態で該ヒーター内蔵部を当ててまつ毛をカールするためのヒーター機構付きまつ毛カーラー用エリアを有する、マスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツールであって、
該把持部が該マスカラ収容部を閉塞する保管状態において該カバー部により該ヒーター内蔵部の該溝部が被覆され、該把持部を該マスカラ収容部から抜き出すヒーター機構付きまつ毛カーラーとしての使用状態において該カバー部より該ヒーター内蔵部の該溝部を一部または全部露出する被覆および露出切り替え機構を有することを特徴とするマスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツール。
【請求項2】
前記突設部が、電熱ヒーターが内蔵されるヒーター内蔵部を先端近傍に備える棒状部材と、前記棒状部材を摺接、外嵌するカバー部材で構成され、該ヒーター内蔵部の表面の軸線方向に所定のピッチで複数の溝部が形成され、該カバー部材の一外側面にマスカラ塗布用エリアが形成されるとともに他の外側面に軸線方向と直交するスリットが軸線方向に該溝部と同じピッチで複数形成され、
前記被覆および露出切り替え機構が、アクチュエータにより該カバー部材またはヒーター内蔵部が相手に対して相対的に軸線方向にスリット1つ分スライドして該ヒーター内蔵部の該溝部を切り替え可能に該スリットから露出しおよび該カバー部材の本体部分で被覆するように構成されることを特徴とする請求項1記載のマスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツール。
【請求項3】
前記棒状部材の先端に段差状に大径部が設けられるとともに、該棒状部材の後端が前記電熱ヒーターの電源スイッチに係合し、
所定の力を加えて該電源スイッチをオンすることにより前記ヒーター内蔵部が前記カバー部材に対して軸線方向にスリット1つ分前進スライドして前記溝部を前記スリットから露出し、所定の力を加えて該電源スイッチをオフすることにより該ヒーター内蔵部が該カバー部材に対して軸線方向にスリット1つ分後退スライドして該溝部を該カバー部材の本体部分で被覆するように構成され、
該電源スイッチオンの状態のまま前記突設部を前記マスカラ収容部に挿入するとき、該大径部が前記弾性しごき部材に係合し、電源スイッチオンに要する力以上の反発応力により該棒状部材が後退して電源スイッチをオフする自動スイッチオフ機構を有することを特徴とする請求項2記載のマスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツール。
【請求項4】
前記突設部が、電熱ヒーターが内蔵されるヒーター内蔵部を先端近傍に備える棒状部材と、前記棒状部材を摺接、外嵌するカバー部材で構成され、該カバー部材の一外側面にマスカラ塗布用エリアが形成され、
前記被覆および露出切り替え機構が、該カバー部材に係合され、該把持部にスライド可能に内蔵される引き出し部を備え、人の手指で該引き出し部を操作して、該ヒーター内蔵部を切り替え可能に露出および被覆するように構成されることを特徴とする請求項1記載のマスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツール。
【請求項5】
前記ヒーター内蔵部の一外側面に、後端側が該一外側面に固定され先端側が該一外側面に弾性的に当接して軸線方向と直交する方向にばね作用を有する片持ちばね状部材が設けられ、前記カバー部材から露出して先端側が起き上がった状態の該片持ちばね状部材が前記マスカラ収容部に進入する際に該マスカラ収容部の開口に当接する誤進入防止機構を有することを特徴とする請求項4記載のマスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツール。
【請求項6】
前記突設部が、電熱ヒーターが内蔵されるヒーター内蔵部を先端近傍に備える棒状部材と、前記ヒーター内蔵部を摺接、外嵌する、回動可能な半割り管状カバー部材で構成され、該半割り管状カバー部材の一外側面にマスカラ塗布用エリアが形成され、
前記被覆および露出切り替え機構が、該半割り管状カバー部材を回動して該ヒーター内蔵部を切り替え可能に露出および被覆するように構成されることを特徴とする請求項1記載のマスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツール。
【請求項7】
前記半割り管状カバー部材が前記ヒーター内蔵部を被覆する状態で、前記突設部が前記マスカラ収容部に進入可能な相補形状に保持され、該半割り管状カバー部材の半割り部分から該ヒーター内蔵部を露出する状態で、該突設部が前記マスカラ収容部への進入を阻止する非相補形状に保持される誤進入防止機構を有することを特徴とする請求項6記載のマスカラ塗布およびヒーター機構付きまつ毛カーラー兼用マスカラツール。

【図1】
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【図2(A)】
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【図2(B)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−55972(P2013−55972A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194474(P2011−194474)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【特許番号】特許第5044038号(P5044038)
【特許公報発行日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)