説明

マスクカバ―

【課題】 マスクの持つ病的なイメージを払拭すると同時に、服装のイメージを損なうことのないように、マスクを装着できるようにする。
【解決手段】 マスク本体の表面を覆うことのできる通気性部材よりなるカバー部と、該カバー部をマスク本体の両側部において着脱自在に固定させる固定手段とから構成されるマスクカバーである。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、カゼや花粉防止の時などに普通に用いられるマスクの改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
カゼをひいた時や花粉症の症状を和らげる時などに用いるマスクは、言うまでもなく、無地のガーゼ地よりなる。また、色についても通常は白であり、多くの場合、使い捨て感覚で使用しているし、製造者も繰り返し使用をあまり考慮しないシンプルな形態を製造している。最近では、プリーツ(裂け目)のあるものや、香りがするもの、マスク上縁にワイヤが配置してあり鼻の形状に沿わせて装着感をすっきりさせるものなど、種々の改良がされているが、無地、白、使い捨てという基本的構造は変わっていない。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、マスクは病気の時に用いるものであること、無地で白いマスクは医者や看護婦が使用していることなどもあってか、装着した人の印象はどうしても病気がちという印象を受けてしまい、どんなにファッショナブルな服装をしていても、あるいは洋服と装飾品をコーディネートして着飾っても、マスクをしているというだけで服や装飾品のイメージがくずれてしまう。
【0004】
これに対し、マスク自体に種々の模様や色彩を用いたものがあれば、洋服や装飾品に合ったものを適宜選択して付けることで、上記問題は解決できるが、繰り返し使用が期待されていないマスクでは、コスト的にもそのようなものは採算が合わないし、実際にも製造販売されていない。
【0005】
したがって、マスクをする必要がある時で、おしゃれな服装をしたいと思っている時(例えば、会食の予定がある時にカゼをひいてしまったような時)では、イメージを壊れることを覚悟してマスクを付けるか、あるいはつらい思いをするがマスクをするのをあきらめるかのいずれかであり、いずれにしても我慢を強いられることになってしまっていた。
【0006】
また、次の問題として、マスクをすると、唇がマスク内表面についてしまい、息苦しくなることがあるほか、口紅をした女性にあってはマスク内表面に口紅の色が付着してしまうという問題があった。少なくとも前者の問題については、上述したプリーツのあるものやワイヤが上縁にあるものなどの改良型で解決できるものとなっているが、口紅が付いてしまう後者の問題は完全には解消できていない。
【0007】
この考案は、従来技術の以上のような問題に鑑み創案されたもので、マスクが持つ病的なイメージを払拭すると同時に、服装のイメージを損なうことのないようにマスクを装着できる技術を提供し、さらにマスク装着による息苦しさ、口紅の付着を防止できる技術を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するためには、当然ながらマスク自体の形態の改良が考えられる。しかし、上述のようにマスクは繰り返し使用があまり期待されていないことからすると、ファッション性のあるマスクや口紅付着防止が図れるような付加価値のあるマスクなどは、コスト的な問題から、実用化はかなり困難であると予想される。このため、本考案者は発想を180度転換し、現在のマスクの形態を改良するのではなく、現状の形態をそのまま利用できるような技術を種々検討した結果、マスク本体を覆うことのできるマスクカバーであれば、上記問題が解決できることを見出し、本考案を創案したものである。
【0009】
この考案に係るマスクカバーは、このような経緯、特に従来にはなかった斬新な発想を基になされたもので、より具体的には、少なくともマスク本体の表面を覆うことのできる通気性部材よりなるカバー部と、該カバー部を、少なくともマスク本体の両側部において着脱自在に固定させる固定手段とからなることを特徴とする。
【0010】
本考案のマスクカバーは、そのカバー部が、少なくともマスク本体の表面を覆うことになるので、カバー部に模様を施したり、カラフルな生地などを用いれば、それをマスクに固定した状態では、美的感のあふれる印象を与えるものとなる。また、生地や模様、色彩の異なるカバーを複数準備しておけば、カバーはマスク本体の両側部において着脱自在に固定されるだけなので、その時の服装や装飾品に合わせて、他のものと自在に取り替えることができる。すなわち、どのような服装や装飾品を身につけているときでも、何の嫌悪感なくマスクを装着できることになるばかりか、むしろ、マスクがファッション要素の一つとして見られることにもなる。
【0011】
前記カバー部は、マスク本来の機能を害さない程度の通気性のある部材であればどのような素材で良い。
【0012】
また、前記固定手段は種々の構成が考えられるが、例えば、前記カバー部を、前記マスク本体の両側端よりそれぞれはみ出すような大きさに設定するとともに、カバー部の上下にはワイヤをそれぞれ側端から側端まで配設させ、カバー部のはみ出し部をワイヤを含めて折り返し、マスク本体の両側部に係止させる構成を用いるようにした場合、カバー部の上下にワイヤがそれぞれ配置されているので、マスクにカバーを固定した状態で、カバー部中央部を突出させるように曲げると、上下のワイヤの作用でその形状が維持され、中央部は突出して空間が形成される。この際マスク本体もカバーの形状に伴ってその中央部が膨らみ空間が形成される。したがって、そのような状態であれば、唇がマスク内表面につかないので、息苦しさが解消されることはもちろん、口紅がマスク内表面に付かない。
【0013】
【考案の実施の形態】
本考案の具体的な実施形態例を図面に基づき説明する。
【0014】
図1は第1形態例を示し、(a)はカバーの表面、(b)はカバーの裏面、(c)(d)は装着する状態をそれぞれ説明する図である。
【0015】
マスクカバー1のカバー部10は、通気性の良好な薄い布よりなり、装着すべきマスクの本体3両側端よりそれぞれはみ出す程度の大きさに形成される。すなわち、マスク本体3とマスクカバー1とを重ね合わせたとき、マスク本体3の両端からカバー部10端部がはみ出す程度の大きさに設定されている。特に本形態例では、マスク本体3両端からそれぞれ1.5cmづつはみ出す大きさに設定され、その部分が折り返し部11となるとともに、その折り返し部11が固定手段となる。
【0016】
カバー部10に用いられる布は、本形態例では、図面上はっきりしないがレース地のチュールが用いられ、また表面には花柄のワンポイントが装飾されている。
【0017】
またカバー部10の上下には、裏面からそれぞれワイヤ12が端部から端部まで縫い込まれており、任意の位置で左右に折り曲げ自在になっている。したがって、マスク本体3の表面とカバー部10とを重ねた状態で((c)の状態)、前記折り返し部11をマスク本体3の両側部において折り返せば、ワイヤ12がその折り返し状態を維持させるので、カバー部10はマスク本体3の両側部に係止することになり((d)の状態)、これによってマスクカバー1はマスク本体3の両側部においてしっかり固定される。カバー1を外すときは、折り返し部11を元の状態に折り返せばよい。
【0018】
また、マスクカバー1をマスク本体3に固定した状態で、図2に示すように、カバー部10のほぼ中央部で表面が突出するような形状に形成すると、上下のワイヤ12の作用でその形状が維持され、中央部には空間が形成される。この際、マスク本体3もカバー部10の形状に伴ってその中央部に空間が形成される。この空間によって、息苦しさが解消され、また唇がマスク本体の裏面に付着することが抑制される。
【0019】
図3は第2形態例を示す。本形態例のマスクカバー2も、カバー部20が第1形態例と同様にレース地のチュールよりなる。また、カバー部2は、装着すべきマスク本体(図示なし)の上下端よりそれぞれ2cmはみ出す程度の大きさに設定される。それらはみ出し部21は折り返されて、カバー部20の両側部において、上下の折り返し部21がそれぞれ紐ゴム22を縫いつけることで連絡されている。したがって、マスクカバー2の両側部においては、カバー部2と紐ゴム22によってリング状に形成される。
【0020】
本形態例では、マスクカバー2の両側部のいずれかのリング状部(折り返し部21を含んだカバー部20と紐ゴム22)から、マスク本体(図示なし)の表面がカバー部20と重なるように、マスク本体を横方向(図中の矢印)に挿入していけば、マスク本体は、その両側部がリング状部で、その上下端部が折り返し部21でそれぞれ固定される。逆に、固定状態からマスク本体を横方向のいずれかにスライドさせれば、マスクカバー2から簡単にマスク本体は取り出せる。
【0021】
以上のいずれの形態例でも、マスクカバー1,2をマスク本体3に固定すれば、カバー部10,20のレース地がファッショナブルに映り(第1形態例ではワンポイントの花柄がさらに美感を増幅させる)、マスクが持つ病的なイメージが完全に払拭されるものとなる。また、ファッション性があるので、ワンポイントとして、カバー1,2の上からブローチなどを取り付けても良いし、片方が紛失して用途がなくなったイヤリングを付着しても良い。もちろん、他の模様が施された生地や多色で彩られたものをカバー部としても良い。
【0022】
【考案の効果】
以上説明した、この考案によれば、次のような顕著な効果が認められる。
■カバー部として、カラフルな模様や色彩を施したり、おしゃれな生地を用いたりすれば、そのようなカバー部よりなるマスクカバーをマスクに固定することで、マスクの病的なイメージが簡単に払拭できる。
■マスクをする必要がある時で、おしゃれな服装をしたいと思っている時でも、カラフルなカバーを装着することで、ためらうことなくマスクを装着できる。
■逆に、その時の服装や装飾品に合ったマスクカバー(例えばスカーフや帽子と同生地、同模様など)を適宜選択してコーディネートを楽しんだり、小さめのブローチや片方が紛失して用途のなくなったイヤリングなどをカバーの上から取り付けたりして(カバーがファッショナブルになるため違和感がない)、ファッション要素の一つとして用いることができる。
■従来からのマスクをそのまま利用でき、また脱着自在なので、マスクが汚れてそれを廃棄する時でも、本考案に係るカバーは次のマスクに利用でき、このため高価な生地等で華麗なカバー部をつくることも、それ程ためらうことなくできるものとなる。
■さらに、マスクカバーの上下縁にワイヤを配置した構造のものでは、マスクにカバーを固定した状態で、各上下のワイヤ中央部を突出させるように曲げると、マスク中央部が膨らみ空間が形成されるので、唇がマスク内表面につかず、このため息苦しさが解消できることはもちろん、口紅がマスク内表面に付着することを防げる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第1実施形態例を示す説明図であり、(a)はカバーの表面、(b)はカバーの裏面を示し、(c)及び(d)はマスクへの装着過程を示す。
【図2】第1形態例を用いたマスク装着状態の説明図である。
【図3】本考案の第2形態例を示す説明図である。
【符号の説明】
1,2 マスクカバー
3 マスク本体
10,20 カバー部
12 ワイヤ

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 少なくともマスク本体の表面を覆うことのできる通気性部材よりなるカバー部と、該カバー部を、少なくともマスク本体の両側部において着脱自在に固定させる固定手段とからなることを特徴とするマスクカバー。
【請求項2】 少なくともマスク本体の表面を覆うことのできる通気性部材よりなるカバー部と、該カバー部を、少なくともマスク本体の両側部において着脱自在に固定させる固定手段とからならなり、該固定手段として、前記カバー部を、前記マスク本体の両側端よりそれぞれはみ出すような大きさに設定するとともに、カバー部の上下にはワイヤをそれぞれ側端から側端まで配設させ、カバー部のはみ出し部をワイヤを含めて折り返し、マスク本体の両側部に係止させる構成を用いたことを特徴とするマスクカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】第3062358号
【登録日】平成11年(1999)7月7日
【発行日】平成11年(1999)10月8日
【考案の名称】マスクカバ―
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平11−1725
【出願日】平成11年(1999)3月23日
【出願人】(599038905)