説明

マッサージ機

本発明は、実質的にシリンダ状のハウジングと、該ハウジングに配置され、機械振動を形成するための電気機械的手段と、該ハウジングに配置され、前記機械振動形成手段を制御するための電子的手段と、前記機械振動形成手段ならびに前記電子的手段と接続されたエネルギー源とを備え、前記機械振動形成手段は、少なくとも1つのコイルエレメントと、該コイルエレメントに平行または同心に配置され、前記ハウジングのシリンダ軸に対して平行に可動に案内される少なくとも1つの強磁性コアとを有するマッサージ機に関する。このマッサージ機は、前記コア(6)が質量m1を有し、マッサージ機の総質量m2に対するその質量比m1:m2が1:100から1:3の範囲にあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ性的刺激のためのマッサージ機に関するものであり、実質的にシリンダ状のハウジングと、該ハウジングに配置され、機械振動を形成するための電気機械的手段と、該ハウジングに配置され、前記機械振動形成手段を制御するための電子的手段と、前記機械振動形成手段ならびに前記電子的手段と接続されたエネルギー源とを備え、前記機械振動形成手段は、少なくとも1つのコイルエレメントと、該コイルエレメントに平行または同心に配置され、前記ハウジングのシリンダ軸に対して平行に可動に案内される少なくとも1つの強磁性コアとを有する。さらに本発明は、このようなマッサージ機の性的刺激のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
性的刺激のためのマッサージ機は、例えば特許文献1および特許文献2から公知である。これは実質的に男性器の形状および形態をシミュレートした装置であり、これに組み込まれた機械振動形成手段を有する。
【0003】
公知のマッサージ機に関する限り、機械振動形成手段は典型的には電気モータを有し、この電気モータの軸に不平衡に振動要素が固定されている。これにより電気モータが回転すると、通例はハウジングの長手区間に対して直角に延在する振動が形成される。なぜなら電気モータの軸がハウジング軸に対して平行に配置されているからである。公知のマッサージ機に関する限り、比較的周波数が高く、ストロークの小さい振動が形成される。さらに多くの場合、振動の周波数を伴った差し障りのあるノイズが発生する。これらはすべてマッサージ機の使用の際には欠点である。なぜならかなり煩わしく感じられるからである。
【0004】
冒頭に述べた構造のマッサージ機は、例えば特許文献3、特許文献4、および特許文献5から公知である。最初に挙げた文献では、機械振動形成手段がスピーカエレメントであり、そのスピーカ軸がハウジングのシリンダ軸に平行にまたは同心に配向されている。スピーカの使用に基づき、形成される振動は比較的高い周波数を有し、シリンダ軸の方向でのストロークは最小である。特許文献5の対象では、ハウジングの前方端部だけが振動され、ハウジング全体は振動されない。したがってマッサージ効果がかなり小さい。特許文献4の対象では、振動の方向が不明確なままである。
【0005】
前記目的のためのマッサージ機では、一方ではマッサージ機自体が全体で振動を実施し、他方でこの振動が比較的大きな振幅を有し、最終的にはシリンダ状ハウジングのハウジング軸に平行の方向で振動が実施されることが一般的に所望される。なぜならこれにより、格段に改善されたマッサージ効果が得られるからである。とりわけこのようなマッサージ機が非常に静穏であり、好ましくは事実上、無音で駆動可能であることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3991751号
【特許文献2】米国特許第4377692号
【特許文献3】ドイツ実用新案公報第29913641号
【特許文献4】ドイツ特許公開第2310862号
【特許文献5】ドイツ特許公開第19615557号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の基礎とする技術的課題は、比較的振幅の大きな振動全体が、ハウジング軸に対して平行の方向で実施され、しかも低周波数でありかつ十分にノイズレスなマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この技術的課題を解決するために本発明は、コアが質量m1を有し、マッサージ機の総質量m2に対するその質量比m1:m2が1:100から1:3の範囲にあることを開示する。
【0009】
質量比を本発明のように選定することにより、一方ではマッサージ機が質量慣性のため全体的に、ハウジングのシリンダ軸に対し平行の方向で、しかもかなりのストロークで振動を実施することが達成される。さらに本発明により使用される機械振動形成手段は事実上、無音であり、マッサージの目的に有利な周波数領域で駆動される。最後に本発明のマッサージ機のマッサージ運動は、従来技術のマッサージ機よりもさらに自然な運動経過に相当する。
【0010】
質量比m1:m2が、1:50から1:3の範囲、とりわけ1:20から1:3、または1:10から1:3または1:5の範囲にあると好ましい。この関連で、質量m1が10から300g、好ましくは15から200g、もっとも好ましくは10から100gの範囲にあると目的にかなう。本発明の枠内で、シリンダ軸に対して平行の方向でのコアのストロークが5から150mm、好ましくは10から100mm、もっとも好ましくは10から60mmの範囲であると好ましい。
【0011】
さらに本発明の枠内で、電子的手段が機械振動形成手段を、0.1から50Hz、好ましくは0.1から20Hz、もっとも好ましくは0.3から10Hz、とりわけ0.3から5または10Hzの周波数で制御すると好ましい。
【0012】
前に説明したパラメータすべてにおいて、同じパラメータの異なる領域の下限および/または上限が任意に互いに組み合わされる。
【0013】
基本的に、機械振動形成手段は任意の構造とすることができる。方向、ストロークおよび周波数が前記のパラメータに対応して制御可能であれば、いずれの電気機械的リニア駆動部も使用することができる。とりわけ、機械振動形成手段が、その中をコアがシリンダ部材軸に対して平行に、とりわけシリンダ部材軸に対して同心に案内されるシリンダ部材と、コイル軸がシリンダ部材に対して同心に配置され、前記シリンダ部材を取り囲む少なくとも1つ励磁コイルと、それぞれ弾性に変形可能であり、シリンダ部材の各端部で、その内側に配置されたパラレルエレメントとを有すると好ましい。シリンダ部材軸は、ハウジングのシリンダ軸に対して実質的に平行または同心である。シリンダ部材は、その透磁率が10未満、とりわけ2未満であると目的に合致する。そのためには例えば有機ポリマーからなる材料が考えられるが、例えばアルミニウムのような金属材料も考えられる。コアは単に強磁性に形成することができるが、(永久的または非永久的に)磁化されても良い。シリンダ部材の内側かつその端部にある、弾性に変形可能なパラレルエレメントは、コアのストロークを制限し、コアがシリンダ部材の端部に突き当たるのを減衰する。実質的にすべてのゴム弾性材料が考えられるが、有機ポリマーからなる実質的に弾性に変形可能な発泡材料も考えられる。
【0014】
パラレルエレメントの代わりに、コアをバネ弾性に、好ましくは(シリンダ部材を基準にして)中央の静止位置に懸架することもできる。ここでコアの両端部は、それぞれバネ要素を介してシリンダ部材の端部と力結合することができる。しかし、コアの一端部をシリンダ部材の一端部と結合する1つのバネ要素だけを設けることもできる。バネ要素としては基本的に工学分野で通例のすべてのバネ、引張りバネも圧縮バネも、例えば金属または有機/ポリマー材料からなる渦巻バネも考えられるが、ゴム弾性のベルト等も考えられる。
【0015】
好ましい実施形態では、互いに同心であり、かつシリンダ部材軸の方向に離間した2つの励磁コイルが設けられている。これらの励磁コイルには交互にエネルギーが印加され、これによりコアはストロークのそれぞれの終位置から対向方向に引き出される。コアが磁化されている場合、2つのコイルはコアに対して反対方向の極性で制御される。
【0016】
シリンダ状ハウジングが、生理学的親和性にある材料から形成された外壁を有すると目的にかなう。これには基本的に、医用技術で通例のすべてのポリマー材料が考えられ、これにはとりわけシリコーン合成物質、ラテックス、ポリオレフィン等が所属する。
【0017】
シリンダ部材の内壁および/またはコアの外壁が、滑りコーティングを有すると目的にかなう。これによりコアとシリンダ部材の内壁との間の付着摩擦および滑り摩擦が低減され、コイルのエネルギー消費が減少される。このためには基本的に、工学分野で通例のすべての滑りコーティングが考えられ、互いの摺動面間の付着摩擦係数が0.2未満であるように調整されていると目的にかなう。このような滑りコーティングに対する単なる例は、ポリオレフィンならびにフッ化炭化水素、とりわけPTFEを含む。しかし択一的に、コアをシリンダ部材内で、線形ころ軸受等によって案内することももちろん可能である。滑りコーティングの代わりに、またはそれに加えて、通例の液体またはペースト状の潤滑剤を使用することもできる。これにはとりわけ炭化水素またはシリコーンベースのオイルおよび油脂が含まれる。
【0018】
エネルギー源は、交換可能な電池またはアキュムレータとして構成されていると目的にかなう。後者の場合、電子的手段が付加的にアキュムレータ用の充電電子回路を有することが推奨され、これによりマッサージ機のアキュムレータを、使用後に通常の電源部を介して充電することができる。このためにハウジングは、充電機器の端子への電気プラグ接続部を有する。プラグ接続部の代わりに、無線充電手段、例えばマッサージ機に組み込まれた誘導ループを設けることができる。この場合、マッサージ機は充電のために、電気エネルギーを供給するための誘導手段を有する充電ステーションに導入される。
【0019】
さらに、電子的手段が少なくとも1つの制御部材と接続されており、この制御部材によってコアの機械振動の周波数および/またはストロークが段階的に、または無段階で調整および制御可能であると好ましい。この制御部材は、マッサージ機内またはマッサージ機に、もしくはハウジングの端部領域またはハウジングの端面の領域に配置することができ、手動操作用に構成することができる。もっとも簡単な場合、これは1つまたは複数の回転制御器、例えばポテンシオメータであるが、アップ/ダウン・キー等でも良く、とりわけプロセッサ制御される制御電子回路と関連することも可能である。しかし択一的に、制御部材がハウジングから離れて配置されていて、ワイヤ接続または無線で電子的手段と接続されていても良い。後者の場合、別個の送信機と通信するように構成された受信器がハウジングに組み込まれ、送信機が手動操作可能な制御部材を含む。
【0020】
実質的にシリンダ形状のハウジングの概念は、正確なシリンダ形状に限定されるものではない。むしろ断面は円形とは異なっていて良い。さらにシリンダ軸は、非直線状に延在しても良い。最後に、少なくともシリンダ端面は好ましくは平坦に構成されるのではなく、丸みを帯び、とりわけ例えば男性器の前端部をシミュレートする。ハウジングの外面も平坦だけではなく、例えば規則的または不規則に配置されたイボ状突起を備える幾何形状を有することもできる。
【0021】
以下本発明を、単に実施例を示す図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のマッサージ機の部分断面を伴う外見図である。
【図2】本発明で使用される振動形成器の概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1から、マッサージ機は実質的にシリンダ状のハウジング1を有することが分かる。ハウジング1には、機械的振動を形成するための電気機械的手段2が配置されている。さらにハウジングは、機械振動形成手段2を制御するための電子的手段3を含む。最後にハウジング1にはエネルギー源4が設けられており、これは機械振動形成手段6ならびに電子的手段3と接続されている。
【0024】
図2から、機械振動形成手段2が少なくとも1つのコイルエレメント5,この実施例では励磁コイル8,9ならびに移動可能に案内された強磁性コア6を有することが分かる。詳細には、約1の透磁率を有するシリンダ部材7が設けられており、この中をコア6がシリンダ部材軸Z2に平行に案内される。
【0025】
図1と図2を比較して観察すると、シリンダ部材軸Z2はシリンダ部材軸Z1に平行に延在していることが分かる。これによりコア6は、シリンダ軸Z1に平行に、かつシリンダ部材7内を案内されて運動する。図1の図示とは異なり、シリンダ部材軸Z2もシリンダ軸Z1に対して同心に構成することができる。図1からさらに、回転制御器として構成された制御部材12がハウジング1の端部に取り付けられていることが分かる。この制御部材によって、コア6の機械振動の周波数および/またはストリークを調整および制御することができる。さらにオン/オフスイッチ13が見られる。
【0026】
本発明の枠内で、シリンダ部材7は好ましくはハウジング1と剛性に結合していることが理解されよう。これによりコア6の機械振動がハウジング1に、全体で理想的に伝達される。
【0027】
図2に戻ると、互いに同心であり、かつシリンダ部材軸Z2の方向に離間した2つの励磁コイル8,9が設けられていることが分かる。さらにシリンダ部材7の内側かつ各端部に配置された、弾性変形可能なパラレルエレメント10,11が見られる。コア6が磁化されている場合、2つの励磁コイル8,9は交互に反対方向の極性で電子的手段3により制御される。パラレルエレメント10,11は例えば発泡材料からなる。
【0028】
本発明のマッサージ機は典型的には質量m1のコア6を有し、この質量m1は10から300g、とりわけ15から200g、好ましくは20から80gの範囲にある。マッサージ機の全体質量m2は典型的には、100から1000g、とりわけ150から500g、好ましくは200から400gの範囲にある。電子的手段3は機械振動形成手段2を、典型的には0.3から5Hzの範囲の周波数で制御する。ここで典型的には励磁コイル8,9の制御は、矩形関数または高い側面勾配を有する台形関数により行われる。これによりコア6の高い加速度と、ハウジング1の対応する対向運動が誘発される。シリンダ軸に対して平行の方向でのコア6のストロークHは典型的には、5から150mmの範囲にある。ここで振動するコア6のストロークHは、パラレルエレメント10,11の互いに向き合う面の間隔から、シリンダ部材軸Z2の方向でのコア6の長手区間を減じたものに相当する。好ましくはストロークは20から80mmの範囲にある。
【0029】
以下、本発明を別の言い方で再度説明する。
【0030】
本発明の目的は、周囲への機械的結合なしで、ロッド状マッサージ機の長手方向で周波数と振幅の運動成分を、ユーザが独立して変化させることのできる小型でコンパクトな携帯装置を開発することである。マッサージ機は特別の装置1からなり、形状および材料の点で種々の通常のバイブレータハウジングに相当するハウジングに収容されている。
【0031】
本発明の基礎とする課題は、以下に記載する特徴を備える携帯装置を簡単に開発することである。主要構成要素は振動形成器と制御電子回路であり、これらはさらなる説明から有利な構成が得られる。
【0032】
この課題は実質的に、制御電子回路が振動形成器のコイルに一時的に電気エネルギーを供給し、これにより磁化されたアーマチュアが加速され、発生した力によりマッサージ機が所望の運動をし、結果として性的刺激に作用することによって解決される。反復される運動の形式は、ユーザにより制御エレメントによって設定される。
【0033】
本発明を、図面に示された実施例に基づき詳細に説明する。
【0034】
図1には、マッサージ機の通常のハウジングによる実施形態が示されており、このハウジングはとりわけ振動形成器を収容している。
【0035】
図2は、振動形成器の断面を示す。
【0036】
マッサージ機12は、軸方向の振動運動によりマッサージに作用し、実質的にハウジング1からなり、このハウジング1は第1の実施形態では振動形成器2、制御電子回路3、制御エレメント12,13ならびにエネルギー供給部4を収容している。
【0037】
マッサージ機の軸方向の振動運動は本発明によれば、磁化されたアーマチュア6がパイプ7の中を、コイル8,9により形成された磁界により加速されることによって振動形成器2により引き起こされる。アーマチュア6の加速により引き起こされる力は、振動形成器2がハウジング1内に形状結合および力結合されていることによってマッサージ機の軸方向の振動運動を形成するために用いられる。
【0038】
振動形成器2は、図示の実施形態では、端部が部分的に閉鎖されたプラスチックパイプまたは金属パイプ7からなり、このパイプには磁化されたアーマチュア6が軸方向に可動に支承されている。パイプ7の外部領域にはバネ減衰器エレメント10,11を配置することができ、これらは静止位置を中心にしたアーマチュアの往復運動に有利に作用する。磁化されたアーマチュアは、コイル8,9により形成される磁界によって加速される。これらのコイル8,9は、図2から分かるようにパイプの外側に取り付けられている。コイル8,9の間隔は可変であり、振動形成器2の個別部材の寸法から決まる。パイプ7内を運動するアーマチュアの摩擦は、通常の種々の方法、例えばコロ軸受およびテフフロンフィルムにより低減することができる。とりわけ有利な改善形態では、1つのコイル8,9だけがパイプ7の周囲に配置されており、このコイルが制御電子回路により相応に応答される。図示の実施形態では、アーマチュア6は永久磁石である。この装置の改善形態では、磁化されるアーマチュア6が、1つまたは複数の電磁石ならびに電気エネルギーにより磁化される鉄製ロッドにより形成されている。
【0039】
ユーザは制御エレメント12,13により、マッサージ機の軸方向の振動運動の形式を設定する。制御電子回路3は振動形成器のコイル8,9を、マッサージ機の形成された並進運動がユーザ調整に相当するようアーマチュア6が加速されるように切り換える。図示の実施形態では、装置を作動するためのスイッチ13と、周波数ないし振幅を変化するための回転制御器12をユーザが使用することができ、これが図1に示されている。
【0040】
スイッチ13により、エネルギー供給部4から制御電子回路3を介してコイル8,9に至る電流回路が閉じられ、制御器12によりアーマチュア6が静止位置を中心に運動する周波数ないし振幅を調整することができる。とくに有利な改善形態では、後で説明するようなあらかじめ決められた多種多様の一連の運動形式から選択することができ、制御電子回路はコイルを、マッサージ機の所望の運動形式が自動的に形成されるように応答させる。振動形成器2により軸方向の運動が、周波数と装置13に形成される振幅について別個に変化できると有利である。そのために、コイルの時間的制御が制御電子回路によりそれぞれ設定される。付加的特徴として、マッサージ機は音響的および/または光学的スイッチおよび/または制御器を有することができ、さらに遠隔操作部を装備することができる。
【0041】
図示の実施例では、エネルギー供給部がアキュムレータからなり、ハウジング1のバッテリーケースに配置されている。図1参照。電池、例えば市販のアルカリ電池による動作も可能である。ハウジングは好ましくは、別個のバッテリー収容室を有する。アキュムレータは充電のためにバッテリーケースから取り外すことができるか、また充電器が脱着可能なプラグ接続部を介して接続されるか、または充電エネルギーが誘導性ブリッジを介して伝達される。とくに有利な改善形態では、マッサージ機に別個のバッテリーユニット、電源供給部または太陽電池が配設されている。
【0042】
マッサージ機の運動を形成するための力は、振動形成器2で発生する。振動形成器2がハウジング1に力結合および形状結合で、機械的固定機構、例えばネジまたは接着接合によって固定されていると目的にかなう。
【0043】
図示の実施例では、ハウジング1が、マッサージロッドとしての使用に関して十分な剛性を有するプラスチックからなる。ハウジング壁には制御エレメント12,13が配置されている。エネルギー供給部は、ハウジング1に開閉可能な開口部を有する別個のバッテリーケースに収容されていると目的にかなう。バッテリーケースは図示の実施例では、各バッテリー4がホルダを有するように構成されている。ハウジング1は制御電子回路3を支持し、ハウジング内部には基板が機械的に保持されている。とりわけとくに有利な改善形態では、ハウジング1に柔らかい材料からなる通常のコーティングが施されており、ならびに従来のバイブレータ(回転不平衡型)が付加的に収容されている。さらにエネルギー供給部をハウジング1内に、バッテリーケースが開口部を有しておらず、したがって防水機能が得られるように配置すべきである。
【0044】
最適のマッサージ結果を達成するために、ハウジング1の上に、表面の性質が種々異なる形状部材を配置することができる。表面の性質は、滑らかで軽くウェーブが掛かっているものからイボ付きまでであり、これに関するマッサージ機の市販の構成にしたがう。形状部材のための材料として、ラテックス、皮膚に優しいシリコーンまたは他の柔弾性材料が考えられる。
【0045】
以下に、従来技術に対する本発明の利点を要約して述べる。
【0046】
従来の装置のいくつかは、質量(不平衡)が電動的に駆動される軸に対して偏心して配置されていることによりマッサージ機に振動を形成する。この通常の振動によっては、電動モータにより駆動される不平衡により振動が形成されるという構造条件のため、通常はハウジング長手方向に対して半径方向に配向された運動により特徴付けられるマッサージ形式しか可能でない。このような装置では、運動成分の周波数と振幅が常に互いに依存している。ここに紹介する装置は、特別の振動形成器2に基づいてマッサージ機の軸方向の振動運動を可能にし、ここで周波数と振幅の運動成分は互いに独立して変化される。これにより従来技術のバイブレータに対して多種多様のやり方でマッサージが可能になる。
【0047】
ここに紹介する装置は、特別の振動形成器2に基づいて非常に小型でコンパクトな構造を有しており、したがってディルドの軸方向の振動運動を形成する公知の外部装置とは異なり、位置に依存しない使用が可能である。これにより自然な性的運動経過にもっとも相当する最適のマッサージ作用が実現される。さらにこの装置のノイズは低く、種々異なる軸方向運動パターンを形成することができる。
【0048】
特別の振動形成器2の使用に基づき、マッサージ機の運動を形成するために必要な力が、磁化された内部のアーマチュア6の加速によって形成される。これにより装置と周囲との結合が省略される。従来の装置のいくつかは、閉鎖されたディルドにおける軸方向の運動を、固定点、例えばベッドの台またはユーザの手による固定と装置との間に相対移動を引き起こすことにより形成する。したがってここに紹介する、マッサージロッドを軸方向に振動運動するための装置は、位置に依存しない適用の点でより自在に使用することができ、ユーザにとって取扱いが容易である。
【0049】
本発明は詳細には次のように定義される。
【0050】
1.性感ゾーンを刺激およびマッサージするために使用することのできるマッサージ機の軸方向の振動運動を形成するための装置1において、以下を特徴とする。
【0051】
1.1 通常の種々のバイブレータハウジングの形状および材料に相当するハウジング内に収容された装置がおもに、
振動形成器2、制御電子回路3、制御エレメント12,13、ならびにエネルギー供給部4からなる。
【0052】
1.2 マッサージ機の軸方向の振動運動を形成するのに必要な力は、磁化されたアーマチュア6がパイプ7の中を、コイル8,9により形成された磁界により加速されることによって振動形成器2により引き起こされる。
【0053】
1.3 振動形成器2のコイル8,9が制御電子回路3によって、マッサージ機の形成された運動が、制御エレメント12,13により選択されたユーザによる調整に相当するように応答される。
【0054】
2. 前記の装置において、マッサージ機の軸方向の振動運動を形成するために1つのコイルまたは複数のコイル、ならびに1つまたは複数のバネ減衰器エレメント10,11が振動形成器2のパイプ7にまたはパイプ7内に配置されていることを特徴とする。パイプ7およびアーマチュア6は、円形または角形の横断面を有する。形状および材料に関しては通常の種々のバイブレータハウジングに相当するハウジング1内で、1つまたは複数の振動形成器2が使用される。
【0055】
3. 前記の装置は、制御電子回路3および振動形成器2のためのエネルギー供給部4が電池、アキュムレータ、太陽電池、電源供給部等からなり、マッサージ機のハウジングに収容できることを特徴とする。エネルギー供給部には、アキュムレータを充電するための充電器を配設することができる。
【0056】
4. 前記の装置は、振動形成器2のコイル8,9が制御電子回路3によって、マッサージ機の軸方向の振動運動の形式およびやり方が、制御エレメント12,13または他の操作エレメントにより、周波数、振動振幅、ならびに周波数と振動振幅の組合せに関して調整されるように応答されることを特徴とする。
【0057】
5. 前記の装置は、磁化されたアーマチュア6が、永久磁石、または1つまたは複数のコイルならびに電気エネルギーにより磁化される金属ロッドであることを特徴とする。
【0058】
6. 前記の装置は、制御電子回路3が、音響的および/または光学的スイッチおよび/または制御器を介して制御されることを特徴とする。装置の操作は遠隔操作を介しても行うことができる。
【0059】
7. 前記の装置は、振動形成器2のコイル8,9が制御電子回路3により、形成されたマッサージ機の軸方向の振動運動が、最適の周波数(例えば固有周波数)、最大振動振幅、エネルギーが最適化された運動、ランダムな運動等に関して自動的に調整されるように応答されることを特徴とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的にシリンダ状のハウジング(1)と、
該ハウジング(1)に配置され、機械振動を形成するための電気機械的手段(2)と、
該ハウジング(1)に配置され、前記機械振動形成手段(2)を制御するための電子的手段(3)と、
前記機械振動形成手段(2)ならびに前記電子的手段(3)と接続されたエネルギー源(4)とを備えるマッサージ機であって、
前記機械振動形成手段(2)は、少なくとも1つのコイルエレメント(5)と、該コイルエレメント(5)に平行または同心に配置され、かつ前記ハウジング(1)のシリンダ軸(Z1)に対して平行に可動に案内される少なくとも1つの強磁性コア(6)とを有するマッサージ機において、
前記コア(6)が質量m1を有し、マッサージ機の総質量m2に対するその質量比m1:m2が1:100から1:3の範囲にあることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
m1:m2は、1:50から1:3、とりわけ1:20から1:3、好ましくは1:10から1:3の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記質量m1が、10から300g、好ましくは15から200g、もっとも好ましくは20から80gの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
シリンダ軸(Z1)に対して平行の方向でのコア(6)のストロークが、5から150mm、好ましくは10から100mm、もっとも好ましくは10から60mmの範囲であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記電子的手段(3)が機械振動形成手段(2)を、0.1から50Hz、好ましくは0.1から20Hz、もっとも好ましくは0.3から10Hz、とりわけ0.3から5または10Hzの周波数で制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記機械振動形成手段(2)が、
コア(6)がその中をシリンダ部材軸(Z2)に対して平行に、とりわけシリンダ部材軸(Z2)に対して同心に案内されるシリンダ部材(7)と、
そのコイル軸(Z3)が前記シリンダ部材(7)に対して同心に配置され、前記シリンダ部材(7)を取り囲む少なくとも1つコイルエレメント(5)と、
それぞれ弾性に変形可能であり、前記シリンダ部材(7)の各端部で、その内側に配置されたパラレルエレメント(10,11)とを有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項7】
互いに同心であり、かつシリンダ部材軸(Z2)の方向に離間した2つの励磁コイル(8,9)が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のマッサージ機。
【請求項8】
シリンダ状ハウジング(1)は、生理学的親和性にある材料から形成された外壁を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項9】
シリンダ部材(7)の内壁および/またはコア(6)の外壁が、滑りコーティングを有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項10】
前記エネルギー源(4)は、電池またはアキュムレータであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項11】
前記電子的手段(3)は付加的に、アキュムレータ(4)用の充電電子回路を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項12】
前記電子的手段(3)が少なくとも1つの制御部材(12)と接続されており、該制御部材によってコア(6)の機械振動の周波数および/またはストロークが調整および制御可能であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項13】
マッサージ機がスイッチオンされ、調節され、性的に刺激可能な、人の身体部分に接触され、前記順序は反対でも良い、請求項1から12のいずれか1項に記載のマッサージ機の性的刺激のための使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−524216(P2011−524216A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513866(P2011−513866)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【国際出願番号】PCT/DE2009/000839
【国際公開番号】WO2009/152813
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(510331515)
【出願人】(510331526)
【Fターム(参考)】