説明

マッサージ装置及びスライド装置

【課題】この発明は脚用マッサージ器の保持具位置を、利用者の身長などに応じて簡単に変えることができるマッサージ装置を提供することにある。
【解決手段】基体の所定方向に沿って走行可能に設けられたマッサージローラと、マッサージローラを所定方向に沿って往復駆動する駆動装置と、基体の少なくとも上面を被覆した外装地と、外装地の上面の所定方向の一端部に対応する部分に所定方向に沿って設けられた一対のガイド部材31と、一対のガイド部材に沿ってスライド可能に設けられた一対の可動部材36と、一対の可動部材に設けられ利用者の脚部を包んで空気圧によってマッサージする一対の保持具22を有する脚用マッサージ器23を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はたとえば仰臥した利用者の背面及び脚部をマッサージすることができるマッサージ装置及びマッサージ装置に用いることができるスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
仰臥した利用者の身体の背面をマッサージすることができるマッサージ装置として特許文献1に示される構成のものが知られている。この種のマッサージ装置は、上面にガイドレールが設けられた基体を有し、この基体には上記ガイドレールに沿ってマッサージローラが回転可能に保持されている。
【0003】
上記マッサージローラは上記基体の長手方向一端部に設けられた駆動装置によって往復駆動されるようになっている。そのため、利用者は身体の背面がほぼ全長にわたって上記マッサージローラによりマッサージされることになる。
【0004】
このような構成のマッサージ装置によると、利用者がマッサージ装置上に仰臥した状態でマッサージローラを走行させると、身体の脚部の膝から下の部分が他の部分に比べて軽いため、マッサージローラの走行によって浮き上がり、強いマッサージを受けることができないということがある。
【0005】
そこで、脚部に砂袋などのウエイトを載せ、走行するマッサージローラにふくらはぎの部分を強く押し当てることができるようにすることで、マッサージ効果を高めるようにしている。
【0006】
その場合、利用者は脚部の下肢の部分がウエイトの重さに応じて強く押圧されるから、マッサージ効果を高めることができるものの、マッサージローラは脚部のふくらはぎの部分を押圧するだけであって、下肢に揉みによるマッサージを行なうことができないため、利用者によっては脚の疲労を除くには十分でないということがあった。
【0007】
そこで、特許文献2に示されるように、利用者の脚部を包み込んで脚部を空気圧によってマッサージする脚用マッサージ器を上記基体の長手方向一端部に設け、この脚用マッサージ器で利用者の下肢に揉みによるマッサージを行うことができるようにしたマッサージ装置が提案されている。
【特許文献1】特公昭63−11026号公報
【特許文献2】特開2003−111808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に示された脚用マッサージ器は、ベース部材に一対の保持具が取付け固定されている。そして、上記ベース部材は上記基体の一端部側の上面に設けられる。それによって、基体上に仰臥した利用者は、脚部を一対の保持具によって包み込む状態で保持させれば、背面にマッサージローラによるマッサージを受けながら、脚部に脚用マッサージ器によってマッサージを受けることができる。
【0009】
しかしながら、脚用マッサージ器の一対の保持具は上記ベース部材に固定されて設けられている。そのため、利用者がマッサージを受けるために基体上に仰臥して脚部の下肢を保持具に保持させるとき、上記保持具の位置を、たとえば利用者の身長などによって変えることが容易でないため、使い勝手が悪く、不便であるということがあった。
【0010】
この発明は、脚用マッサージ器の一対の保持具の位置を容易に変更することができるようにしたマッサージ装置及びこのマッサージ装置に用いることができるスライド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、利用者をマッサージするマッサージ装置であって、
基体と、
この基体の所定方向に沿って走行可能に設けられたマッサージローラと、
このマッサージローラを上記所定方向に沿って往復駆動する駆動装置と、
上記基体の少なくとも上面を被覆した外装地と、
この外装地の上面の上記所定方向の一端部に対応する部分にこの所定方向に沿って設けられた一対のガイド部材と、
一対のガイド部材に沿ってスライド可能に設けられた一対の可動部材と、
一対の可動部材にそれぞれ設けられ上記利用者の脚部を包んで空気圧によってマッサージする一対の保持具を有する脚用マッサージ器と
を具備したことを特徴とするマッサージ装置にある。
【0012】
上記ガイド部材は可撓性を有するファスナであって、上記可動部材は上記ファスナを開閉する一対のスライダに取り付けられていることが好ましい。
【0013】
上記ガイド部材は上記外装地に第1の面状ファスナによって着脱可能に取り付けられることが好ましい。
【0014】
上記可動部材は剛性を有する板状部材の上面に第2の面状ファスナが設けられて構成され、
上記保持具は上記第2の面状ファスナに着脱可能に取り付けられることが好ましい。
【0015】
この発明は、可動部材をスライド可能に設けるスライド装置であって、
ファスナを有するガイド部材と、
上記ファスナにスライド可能に設けられ上記可動部材が連結された一対のスライダと
を具備したことを特徴とするスライド装置にある。
【0016】
一方のスライダが上記ファスナを開き、他方のスライダが上記ファスナを閉じながら上記可動部材が上記ファスナに沿ってスライドするとき、この可動部材のスライド抵抗を増大させる摩擦部材が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、基体を覆う外装地の上面に一対のガイド部材を設け、このガイド部材に可動部材をスライド可能に設け、この可動部材に脚用マッサージ器の保持具を設けるようにした。
【0018】
そのため、利用者が脚部の下肢を上記保持具に保持させるとき、その保持具を可動部材とともにガイド部材に沿ってスライドさせることができるから、保持具の位置を利用者の好みに応じて容易に変更することができる。
【0019】
また、可動部材を簡単な構成で確実にスライドさせるためのスライド装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1乃至図3はこの発明のマッサージ装置1を示し、このマッサージ装置1は図2と図3に示すように矩形板状の基体2を有する。この基体2は樹脂などの折り曲げ可能な板状部材によって矩形状に形成されている。この基体2の上面の幅方向両端部には、一対のガイドレール3が所定間隔で長手方向に沿って配設されている。
【0022】
上記ガイドレール3は柔軟な合成樹脂によって形成されていて、その長手方向中途部には、図3に示すようにこのガイドレール3を上記基体2とともに折り曲げ可能にする複数のスリット4が形成されている。
【0023】
上記一対のガイドレール3には支持体5が走行可能に設けられている。この支持体5は支軸6を有し、この支軸6の両端には上記ガイドレール3に沿って走行する車輪(図示せず)を有する端部材7が設けられている。上記支軸6には軸方向に所定間隔で複数のマッサージローラ8が回転可能に設けられている。
【0024】
上記基体2の上面の長手方向の一端部、つまりガイドレール3の一端部側には駆動装置11が配設されている。この駆動装置11は上面が覆われたケース12を有し、このケース12内には駆動モータ13が設けられている。この駆動モータ13は、互いに噛合した一対の歯車14を回転駆動するようになっており、各歯車14にはプーリ15が一体的に設けられている。
【0025】
一対のプーリ15の一方と他方にはそれぞれ図示しないベルトの一端部と他端部とが巻回されている。このベルトは上記ガイドレール3の上面側と下面側とにそれぞれ形成された通路(図示せず)に通され、中途部はガイドレール3の他端部に設けられた図示しないローラによって走行方向が反転させられている。そして、上記支持体5の一対の端部材7が上記ベルトに連結されている。
【0026】
したがって、上記駆動モータ13を作動させ、ベルトをガイドレール3に沿って走行させれば、その走行に支持体5が連動する。つまり、支持体5を基体2の長手方向に沿って往復走行させることができるようになっている。
なお、上記基体2の上面の一対のガイドレール3の外側の部分にはそれぞれウレタンフォームなどの柔らかなクッション材16が設けられている。
【0027】
図1に示すように、上記基体2は表面全体が外装地21によって覆われている。この外装地21はパイル地によって袋状に縫製されていて、その上面の駆動装置11側の一端部には図1に示すように利用者の左右の脚部を別々に保持可能な一対の保持具22からなる脚用マッサージ器23が設けられ、他端部には枕24が設けられている。
【0028】
上記保持具22は可撓性を有する薄い板状のベース部材25を有し、このベース部材25の内面には複数の空気袋26が形成されている。ベース部材25と空気袋26はパイル地からなる布地27によって被覆されている。上記ベース部材25は図2に示すように利用者Uの脚部の下肢を包んでその一端部と他端部を図示しない面状ファスナで係着することで、利用者Uの下肢を包んだ状態が維持されるようになっている。
【0029】
各空気袋26には、制御装置(図示せず)によって駆動が制御される送排気ポンプ(図示せず)によって圧縮空気が供給及び排出されるようになっている。それによって、複数の空気袋26は所定の順序で膨張及び収縮が繰り返されるから、膨張する袋部によって利用者の下肢を揉むマッサージを行うことができるようになっている。
【0030】
上記脚用マッサージ器23の一対の保持具22は、上記基体2の長手方向の一端部の上面に長手方向に沿ってスライド可能に設けられている。すなわち、基体2を被覆した外装地21の上面には、図1に示すように基体2の幅方向に対して所定間隔で離間した一対のガイド部材31が着脱可能に設けられている。
【0031】
上記ガイド部材31は図5(b)に示すように帯布状の第1の面状ファスナ32を有する。この第1の面状ファスナ32は係着部32aを下にし、上面には一対のスライダ33(図6に示す)によって開閉されるファスナ34が重合されていて、第1の面状ファスナ32とファスナ34は周縁部が全長にわたって縫着されている。
【0032】
上記第1の面状ファスナ32と上記ファスナ34との間には、上記第1の面状ファスナ32の上面に設けられたテープ状の第1の摩擦部材35が全長にわたって設けられている。第1の摩擦部材35はたとえば目が粗くて摩擦係数が大きいキャンバスなどの布地などが用いられている。
【0033】
そして、上記構成の一対のガイド部材31は、第1の面状ファスナ32をパイル地からなる外装地21に着脱可能に係着させて基体2の長手方向一端部の上面に、この長手方向に沿うとともに幅方向に所定間隔で離間して設けられている。
【0034】
一対のスライダ33は上記ファスナ34に所定間隔で離間して取着されていて、これらスライダ33には先端に形成された孔33aを介して帯板状の可動部材36がねじ37によって取付け固定されている。したがって、上記可動部材36は上記スライダ33とともに上記ファスナ34に沿ってスライド可能となっている。
【0035】
なお、一対のスライダ33をファスナ34に沿ってスライドさせると、一方のスライダ33はファスナ34を開き、他方のスライダ33はファスナ34を閉じながらスライドするようになっている。そして、上記ファスナ34、スライダ33及び可動部材36によってスライド装置を構成している。
【0036】
図5(a)に示すように、上記可動部材36は合成樹脂などの剛性を有する板材38が比較的丈夫な樹脂などのシートによって袋状に縫製された外装材39によって被覆されていて、その上面には第2の面状ファスナ41が係着部41aを上にして縫着されている。
【0037】
上記可動部材36の下面にはスペーサ42を介して硬質で摩擦抵抗の大きな材料からなる第2の摩擦部材43が設けられている。一対のスライダ33に上記可動部材36を取り付ける。
【0038】
それによって、ファスナ34の開いた両端部はスペーサ42によって形成された可動部材36の下面と第2の摩擦部材43の上面との間の空間部に入り込むから、図5(c)に示すようにガイド部材31に設けられた第1の摩擦部材35に上記可動部材36に設けられた第2の摩擦部材43が確実に接触する。
【0039】
第1の摩擦部材35に第2の摩擦部材43が接触すれば、上記可動部材36はある程度の抵抗をもって上記ファスナ34に沿ってスライドさせることができる。つまり、可動部材36が不用意にスライドすることがないようになっている。
【0040】
一対の可動部材36には、それぞれ上記保持具22がこの保持具22のベース部材25を被覆した布地27を上記第2の面状ファスナ41に係着させて着脱可能に設けられている。つまり、一対の可動部材36には脚用マッサージ器23を構成する保持具22がそれぞれ着脱可能に取着される。
【0041】
なお、マッサージ装置1は図示しないリモートコントローラによって駆動が制御されるようになっていて、たとえば脚用マッサージ器23を基体2の上面に設けたときには、マッサージローラ8を脚用マッサージ器23が設けられた部分を除く範囲で走行させることができ、脚用マッサージ器23を取り外したときには基体2の全長にわたって走行させることができるようになっている。
【0042】
このような構成のマッサージ装置1によれば、基体2の上面の長手方向の一端部に一対のガイド部材31を、上記基体2を被覆した外装地21に第1の面状ファスナ32によって着脱可能に取着し、このガイド部材31のファスナ34に設けられた一対のスライダ33に可動部材36を連結し、この可動部材36に設けられた第2の面状ファスナ41によって利用者Uの脚部をマッサージする脚用マッサージ器23の一対の保持具22を着脱可能に取り付けるようにした。
【0043】
上記可動部材36が連結された上記ファスナ34の一対のスライダ33は、このファスナ34に沿ってスライド自在である。つまり、一対のスライダ33はファスナ34を開閉しながら、そのファスナ34に沿ってスライドするから、保持具22が取付けられた可動部材36は上記スライダ33とともに基体2の長手方向に沿ってスライドさせることができる。
【0044】
そのため、利用者Uが脚部にマッサージを受けるため、基体2上で仰臥して両脚の下肢を上記一対の保持具22に保持する際、利用者Uの身長などに応じて上記保持具22を、脚部の下肢を確実に保持できる位置に簡単にスライドさせることができる。それによって、利用者Uは脚部の下肢に確実かつ快適なマッサージを受けることができる。
【0045】
保持具22が設けられた可動部材36には、ガイド部材31に設けられた第1の摩擦部材35と、上記可動部材36に設けられた第2の摩擦部材43との接触によってスライド抵抗が付与されている。
【0046】
そのため、利用者Uの脚部の下肢の所定の部位を保持するよう位置決めされた上記保持具22が不用意に位置ずれすることがないから、同じ利用者Uが繰り返して利用するときに、その都度、保持具22を位置決めしなくてすむ。
【0047】
上記ガイド部材31は基体2を被覆した外装地21に第1の面状ファスナ32によって着脱可能に取り付けられている。そのため、利用者Uが脚部のマッサージを受けずに、マッサージローラ8によって背面全体にマッサージを受けたい場合には、上記ガイド部材31とともに脚用マッサージ器23の一対の保持具22を基体2から取り外すことができる。
【0048】
上記保持具22は可動部材36に設けられた第2の面状ファスナ41に着脱可能に取り付けられている。そのため、基体2から取り外した保持具22は、可動部材36から分離することができるから、収納や点検などに際して保持具22や可動部材36の取り扱いが容易となる。
【0049】
上記一実施の形態ではスライド装置をマッサージ装置の保持具を位置決めするために用いるようにしたが、マッサージ装置以外であっても、可動部材を簡単な構成で確実にスライドさせることが要求されるものであれば適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の一実施の形態を示すマッサージ装置の斜視図。
【図2】利用者がマッサージ装置に仰臥した状態を示す概略的構成の断面図。
【図3】外装地を取り除いたマッサージ装置の概略的構成を示す平面図。
【図4】脚用マッサージ器を示す斜視図。
【図5】(a)は可動部材の断面図、(b)はガイド部材の断面図、(c)はガイド部材に可動部材36を連結した状態の断面図。
【図6】ガイド部材と可動部材の分解斜視図。
【符号の説明】
【0051】
2…基体、3…ガイドレール、8…マッサージローラ、11…駆動装置、21…外装地、22…保持具、23…脚用マッサージ器、31…ガイド部材、32…第1の面状ファスナ、33…スライダ、34…ファスナ、36…可動部材、41…第2の面状ファスナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者をマッサージするマッサージ装置であって、
基体と、
この基体の所定方向に沿って走行可能に設けられたマッサージローラと、
このマッサージローラを上記所定方向に沿って往復駆動する駆動装置と、
上記基体の少なくとも上面を被覆した外装地と、
この外装地の上面の上記所定方向の一端部に対応する部分にこの所定方向に沿って設けられた一対のガイド部材と、
一対のガイド部材に沿ってスライド可能に設けられた一対の可動部材と、
一対の可動部材に設けられ上記利用者の脚部を包んで空気圧によってマッサージする一対の保持具を有する脚用マッサージ器と
を具備したことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項2】
上記ガイド部材は可撓性を有するファスナであって、上記可動部材は上記ファスナを開閉する一対のスライダに取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のマッサージ装置。
【請求項3】
上記ガイド部材は上記外装地に第1の面状ファスナによって着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1記載のマッサージ装置。
【請求項4】
上記可動部材は剛性を有する板状部材の上面に第2の面状ファスナが設けられて構成され、
上記保持具は上記第2の面状ファスナに着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のマッサージ装置。
【請求項5】
可動部材をスライド可能に設けるスライド装置であって、
ファスナを有するガイド部材と、
上記ファスナにスライド可能に設けられ上記可動部材が連結された一対のスライダと
を具備したことを特徴とするスライド装置。
【請求項6】
一方のスライダが上記ファスナを開き、他方のスライダが上記ファスナを閉じながら上記可動部材が上記ファスナに沿ってスライドするとき、この可動部材のスライド抵抗を増大させる摩擦部材が設けられていることを特徴とする請求項5記載のスライド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−245823(P2008−245823A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89473(P2007−89473)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000010032)フランスベッド株式会社 (95)
【Fターム(参考)】