説明

マット及びこれの製造方法

【課題】 表面より低い高さの柄部の柄を多彩にできるマット及びこれの製造方法を提供できるようにする。
【解決手段】 シート部材1に非熱収縮性糸2を縫着して表面となる複数の第1の高ループ部21及び前記表面の一部で柄部4となる第1の低ループ部22を形成するループ形成工程と、前記シート部材1に熱収縮性糸3を縫着して前記表面の一部で柄部4となる第2の高ループ部31及び第2の低ループ部32を形成するループ形成工程と、前記第1及び第2の高ループ部21,31の途中を切断して複数の毛体にする切断工程と、第2の高ループ部31の毛体及び第2の低ループ部32を熱収縮させる熱処理工程とにより、柄部4の柄を多彩にできるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面に敷くマット及びこれの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マットはタフト機により製造されている(例えば、特許文献1。)。このタフト機は、タフト糸を基布に縫着する針と、該針により基布を貫通したタフト糸にループを形成するルーパと、該ルーパに支持され、ルーパとの接触によりループ部の途中を切断するナイフとを備えている。
【0003】
図3はタフト機により製造された従来のマットの平面図である。柄部を有するマットは、マットの表面より柄部を低くしてある。このマットの製造は、タフト糸を縫着することにより表面となる高ループ部10と、柄部となる低ループ部11とを形成し、高ループ部10の途中を切断することにより複数の毛体10aを有する表面とし、この表面の一部に前記低ループ部11からなる柄部12が形成される。
【特許文献1】特開平11−12915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載されたマットの製造方法によれば、高ループ部の途中が切断された表面の毛体と、低ループ部からなる柄部とを現出することができるだけであるため、製造されたマットの柄は単純であり、改善策が要望されていた。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は表面の毛体より低い高さの柄部が、熱収縮した熱収縮性糸により形成されている構成とすることにより、高さが異なる柄部を得ることができるマットを提供することにある。
【0006】
また、他の目的は、表面の毛体より低い高さの柄部が、非熱収縮性糸と、熱収縮した熱収縮性糸とにより形成されている構成とすることにより、多彩の柄を得ることができるマットを提供することにある。
【0007】
また、他の目的は、シート部材に非熱収縮性糸と熱収縮性糸とを縫着して表面の一部で柄部となる第1の低ループ部、第2の高ループ部及び第2の低ループ部を形成し、第2の高ループ部及び第2の低ループ部を熱収縮させることにより、柄部の柄を多彩にできるマットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係るマットは、複数の毛体を有する表面の一部に、前記毛体より低い高さの柄部を有するマットにおいて、前記柄部は、熱収縮した熱収縮性糸により設けられていることを特徴とする。
【0009】
第1発明にあっては、熱収縮性糸の柄部での長さが異なる状態で熱処理されることにより、高さが異なる柄部を得ることができる。
【0010】
第2発明に係るマットは、複数の毛体を有する表面の一部に、前記毛体より低い高さの柄部を有するマットにおいて、前記柄部は、非熱収縮性糸と、熱収縮した熱収縮性糸とにより設けられていることを特徴とする。
【0011】
第2発明にあっては、非熱収縮性糸と、熱収縮した熱収縮性糸とにより柄部が設けられているため、高さが異なる柄部を得ることができ、また、熱収縮性糸の柄部での長さが異なる状態で熱処理されることにより、多彩の柄を得ることができる。
【0012】
第3発明に係るマットの製造方法は、シート部材に非熱収縮性糸を縫着して表面となる複数の第1の高ループ部及び前記表面の一部で柄部となる第1の低ループ部を形成するループ形成工程と、前記シート部材に熱収縮性糸を縫着して前記表面の一部で柄部となる第2の高ループ部及び第2の低ループ部を形成するループ形成工程と、前記第1及び第2の高ループ部の途中を切断して複数の毛体にする切断工程と、第2の高ループ部の毛体及び第2の低ループ部を熱収縮させる熱処理工程とを備えることを特徴とする。
【0013】
第3発明にあっては、第1の高ループ部の毛体により表面を形成することができ、第2の高ループ部の毛体と、第2の低ループ部と、第1の低ループ部とにより柄部が形成されているため、柄部の柄を多彩にできる。
【発明の効果】
【0014】
第1発明によれば、高さが異なる柄部を得ることができる。
【0015】
第2発明によれば、非熱収縮性糸と、熱収縮した熱収縮性糸とにより多彩の柄を得ることができる。
【0016】
第3発明によれば、第2の高ループ部の毛体と、第2の低ループ部と、第1の低ループ部とにより柄部が形成されており、柄部の柄を多彩にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係るマットの製造工程図である。
【0018】
図1に示すマットの製造工程は、次の(a) 〜(c) の通りである。
(a) 縦糸、横糸により織成された織布、不織布等からなるシート部材に、タフト機により非熱収縮性糸2及び熱収縮性糸3を縫着して複数のループを形成する。タフト機は、非熱収縮性糸2をシート部材1に縫着する第1針と、熱収縮性糸3をシート部材1に縫着する第2針と、第1針,第2針によりシート部材1を貫通した非熱収縮性糸2,熱収縮性糸3にループを形成するルーパと、該ルーパに支持され、ルーパとの接触によりループ部の途中を切断するナイフとを備えている。
非熱収縮性糸2は縒糸を用いてなり、シート部材1からの高さが比較的高い第1の高ループ部21と、該高ループ部21より低い第1の低ループ部22とを有しており、第1の高ループ部21が表面の毛体となり、第1の低ループ部22が柄部4の一部となるように構成されている。 熱収縮性糸3は縒糸を用いてなり、シート部材1からの高さが比較的高い第2の高ループ部31と、該高ループ部31より低い第2の低ループ部32とを有しており、第2の高ループ部31及び第2の低ループ部32と、第1の低ループ部22とが柄部4となるように構成されている。
(b) (a) の工程でタフト機のナイフにより第1の高ループ部21、第2の高ループ部31の夫々の途中を切断して第1の高ループ部21及び第2の高ループ部31を夫々複数の毛体とする。即ち、高ループ部21、31の途中が切断されることにより非熱収縮性糸2、熱収縮性糸3の縒りがもどり、毛体となる。
(c) (b) 工程の後、全体を熱処理室に入れて熱処理し、熱収縮性を有する熱収縮性糸3を熱収縮させる(非熱収縮性糸2は熱収縮しない。)。この熱収縮性糸3の熱収縮により第2の高ループ部31の毛体の高さが第1の高ループ部21の毛体より低くなり、さらに、第2の低ループ部32の高さが第1の低ループ部22より低くなる。
【0019】
図2は上記の製造方法によって製造されたマットの平面図である。上述のように製造されたマットは、非熱収縮性糸2と、熱収縮性糸3とがシート部材1に縫着されており、非熱収縮性糸2により第1の高ループ部21の毛体、及び第1の低ループ部22が設けられており、熱収縮性糸3により、第2の高ループ部31の毛体、及び第2の低ループ部32が設けられており、さらに、熱収縮によって第2の高ループ部31の毛体は第1の高ループ部21の毛体より低く、第2の低ループ部32は第1の低ループ部22より低くなっており、第1の高ループ部21の毛体、第2の高ループ部31の毛体、第1の低ループ部22、第2の低ループ部32のシート部材1に対する高さが夫々異なり、4種類の高さを現出することができ、1種類の第1の高ループ部21の毛体をマットの表面とし、残り3種類の第2の高ループ部31の毛体、第1の低ループ部22、第2の低ループ部32を柄部4とすることができ、多彩の柄を現出することができる。しかも、この柄部4は、ループ部と、ループ部の途中が切断された毛体とを有するため、より一層多彩の柄を現出することができる。
【0020】
尚、以上説明した実施の形態では、非熱収縮性糸2と、熱収縮性糸3とを用いたが、その他、非熱収縮性糸2に代えて熱収縮性糸を用い、該熱収縮性糸により第1の高ループ部21及び第1の低ループ部22を形成し、熱収縮性糸3の熱収縮率が、非熱収縮性糸2に代わる熱収縮性糸の熱収縮率より高くなる構成としてもよい。また、熱収縮性糸3は、熱収縮率が異なる複数本を有する構成としてもよい。
【0021】
また、以上説明した実施の形態では第2の高ループ部31の途中を切断して毛体としたが、その他、第2の高ループ部31は切断しない構成としてもよい。また、第1及び第2の低ループ部22,32は途中を切断した構成としてもよい。 また、非熱収縮性糸2及び熱収縮性糸3により4種類の高さを現出することができ、3種類の柄を現出することができる構成としたが、その他、3種類の高さを現出することができ、2種類の柄を現出することができる構成としてもよいし、また、5種類以上の高さを現出することができ、4種類以上の柄を現出することができる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るマットの製造工程図である。
【図2】本発明に係る製造方法により製造されたマットの平面図である。
【図3】タフト機により製造された従来のマットの平面図である。
【符号の説明】
【0023】
2 非熱収縮性糸
21 第1の高ループ部
22 第1の低ループ部
3 熱収縮性糸
31 第2の高ループ部
32 第2の低ループ部
4 柄部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の毛体を有する表面の一部に、前記毛体より低い高さの柄部を有するマットにおいて、前記柄部は、熱収縮した熱収縮性糸により設けられていることを特徴とするマット。
【請求項2】
複数の毛体を有する表面の一部に、前記毛体より低い高さの柄部を有するマットにおいて、前記柄部は、非熱収縮性糸と、熱収縮した熱収縮性糸とにより設けられていることを特徴とするマット。
【請求項3】
シート部材に非熱収縮性糸を縫着して表面となる複数の第1の高ループ部及び前記表面の一部で柄部となる第1の低ループ部を形成するループ形成工程と、前記シート部材に熱収縮性糸を縫着して前記表面の一部で柄部となる第2の高ループ部及び第2の低ループ部を形成するループ形成工程と、前記第1及び第2の高ループ部の途中を切断して複数の毛体にする切断工程と、第2の高ループ部の毛体及び第2の低ループ部を熱収縮させる熱処理工程とを備えることを特徴とするマットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−161247(P2006−161247A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358853(P2004−358853)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(504455780)寧波恵多織造有限公司 (1)
【Fターム(参考)】