説明

マンホールの路面切断除去物の除去リフターおよび可傾リフト工法ならびに除去リフト工法

【課題】極力小さな杠上手段でマンホール蓋枠およびその周辺の路面を一体の塊として摺動させ乍ら杠上しやすい状態に移動させるための除去リフターならびに除去リフト工法。
【解決手段】円弧状ないし曲面状カッターを用いて、マンホールの中心を中心として360度回転させてマンホールの周辺の路面を切断して、平面円形で立体球面状の切断面を有する環状の除去物を杠上し、取除くためのリフターであって、棒杆状本体1の長手方向に沿って溝孔2を設け、この溝孔2に移動かつ固定可能の1以上の掛止片3を配設し、この掛止片3により直接ないしは補助掛片を介して、マンホール内部の必要箇所を掛止すると共に、前記棒杆状本体1の端部に杠上用の掛止部12を設け、路面との間に杠上手段を介在配置させて成ることを特徴とするマンホールの路面切断除去物の除去リフターならびに除去リフト工法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール蓋取替施工に用いられるマンホールの路面切断除去物の除去リフターおよび可傾リフト工法ならびに除去リフト工法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、マンホール蓋及びマンホール蓋枠を取替交換する場合とかアスファルトなどの舗装面を補修する際のマンホール蓋及びマンホール蓋枠を取替交換する場合には、マンホール蓋枠とその周辺の舗装面の一部を一体化した状態で、一つの塊として除去することが行われている。
【0003】
円筒状カッターを用いる場合は、路面で切断面は円筒形であるため、これを取除くためには、垂直方向に持ち上げなければならず、多くの場合、アンカーボルトや止片を周辺に打ち込み、このボルトや止片を強力な杠上機械を用いて杠上していた(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
これに対し、最近では円弧状ないし曲面状カッターを用いている場合には、杠上手段が上方の好みの方向で良く、円弧状ないしは曲面状カッターによってマンホール下部の下桝躯体近くまで切断処理されているので、単に円弧状(ドーナツ状)の塊体は道路との未切截箇所が少ないこともあって、多くの場合マンホール孔の一部と掛止させて引上げロープを利用し、持ち上げるようにしている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
なお、前者の円筒状の切断部を有するマンホール蓋枠と路面との一体的は全体が円筒状であるのに対し、後者の平面円形で立体球面状の謂わばドーナツ状であるので、杠上力は前者が大型の引上げ装置が必要であるの対し、後者は小型の引上げ装置で済むという利点がある。
【特許文献1】特開2000−144773号公報
【特許文献2】特開2004−68596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した文献1,2によれば、文献1にあっては路面下での切断が全く行われていない場合、その儘杠上手段を用いることは荷重が異常に逓増し、大型の引き上げ機械でも杠上不能となり、マンホール蓋枠とその路面部分の除去物の水平方向の切断作業を要し、したがって除去作業に必要以上の労力を要し、作業性が著しく悪いという不都合があり、また文献2にあっては除去物が円形球面状の小型となるため重量は小さくなるが、路面での非切断箇所を有するので、この非切断部分を剥離するための杠上手段は矢張り荷重以外の可成りの大きな杠上力を必要とするという問題がある。
【0007】
本発明は叙上の点に着目して成されたもので、文献2において、剥離するための路面下の非切断面箇所をマンホール蓋枠およびその周辺の路面で構成される円形球面状の除去物を容易に移動させ簡単に剥取させて、単に廃棄するための除去物を重量だけの荷重引上げ力で遊離除去させることができるようにしたマンホールの路面切断除去物の除去リフターおよび可傾リフト工法ならびに除去リフト工法を提供することを目的とする。
【0008】
また、この本発明は、従来知られる舗装工法,オーバーレイ工法,切削オーバーレイ工法など、マンホール蓋枠を含む平面円形で立体球面状の切断面を有する環状の除去物および施工過程に生ずるマンホール蓋枠のない状態での平面円形で、立体球面状の切断面を有する他の環状の除去物の剥取、杠上操作を容易に簡単に行えるようにしたマンホールの路面切断除去物の除去リフターおよび可傾リフト工法ならびに除去リフト工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の構成を備えることにより上記課題を解決できる。
【0010】
(1)円弧状ないし曲面状カッターを用いて、マンホールの中心を中心として360度回転させてマンホールの周辺の路面を切断して、平面円形で立体球面状の切断面を有する環状の除去物を杠上し、取除くためのリフターであって、棒杆状本体の長手方向に沿って溝孔を設け、この溝孔に移動かつ固定可能の1以上の掛止片を配設し、この掛止片により直接ないしは補助掛片を介して、マンホール内部の必要箇所を掛止すると共に、前記棒杆状本体の端部に杠上用の掛止部を設け、路面との間に杠上手段を介在配置させて成ることを特徴とするマンホールの路面切断除去物の除去リフター。
【0011】
(2)前記(1)記載のマンホールの路面切断除去物の除去リフターにおいて、掛止片は、相対向する左右のマンホール内部の必要箇所を掛止する一対の伸長爪を備えた補助掛止片と、着脱自在に装着できるようにして成ることを特徴とするマンホールの路面切断除去物の除去リフター。
【0012】
(3)前記(1)または(2)記載のマンホールの路面切断除去物の除去リフターにおいて、棒杆状本体には移送用の滑車を設けて成ることを特徴とするマンホールの路面切断除去物の除去リフター。
【0013】
(4)前記(1)ないし(3)いずれか記載のマンホールの路面切断除去物の除去リフターにおいて、棒杆状本体の両端には止環を設け、吊下ロープを掛止させることができるようにして成ることを特徴とするマンホールの路面切断除去物の除去リフター。
【0014】
(5)円弧状ないし曲面状カッターを用いて、マンホールを中心として360度回転させてマンホールの周辺の路面を切断して、平面円形で立体球面状の切断面を有する環状の除去物を杠上し、取除くためのリフターであって、補助掛片を、摺動する内外二重の垂直方向への対荷重用のパイプと、このパイプの内側にマンホール内部の必要箇所を掛止する伸長爪を伸縮可変調節する水平方向へのシリンダー、ピストンロッドを内設して構成し、前記二重のパイプの上部に一対の引掛孔を設け、吊りボルトの下端を係止させて引き上げ手段を介して直接杠上させるか、棒杆状本体を介して間接に杠上させて成ることを特徴とするマンホールの路面切断除去物の除去リフター。
【0015】
(6)円弧状ないし曲面状カッターを用いて、マンホールの中心を中心として360度回転させてマンホールの周辺の路面を切断して、平面円形で立体球面状の切断面を有する環状の除去物の表面に、棒杆状本体を載置し、該棒杆状本体より垂下した掛止片の下端を直接又は他の部材を介して、前記環状の除去物の切断面に近い箇所と掛止させて、棒杆状本体の端部に突設した掛止突起と路面との間に杠上手段を介在させ、該杠上手段を杠上させ乍ら非切断面を剥取して環状の除去物を吊下可能な傾斜状態にして成ることを特徴とする可傾リフト工法。
【0016】
(7)円弧状ないし曲面状カッターを用いて、マンホールの中心を中心として360度回転させてマンホール蓋枠の周辺の路面を、平面円形で立体球面状の切断面を有する環状の除去物に切断する工程、補助掛止片をマンホール内部に臨ませて、水平方向に伸縮するシリンダーとピトンロッドによる係止箇所への伸長爪との係脱工程、前記シリンダーとピトンロッドを保護し、垂直方向への耐荷重力を備えた伸縮摺動自在の内外二重のパイプによる杠上手段による杠上工程とにより成ることを特徴とする除去リフト工法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、マンホール蓋枠の周辺を円弧状ないし曲面状カッターを用いて円形かつ円球状の切断処理を行った後、棒杆状本体を上部に載置し、溝孔に沿って掛止片を移動させて、この掛止片の先端を、マンホール蓋枠内の内側に直接または伸長爪を備えた補助掛止片を介して、掛止可能位置に掛止させて位置決めしてから、端部の杠上用の掛止部と路面との杆に手押しジャッキなどの杠上手段を介在させ、この杠上手段を操作させて棒杆状本体を水平な路面に対して傾斜させることにより、環状の除去物は未切断箇所がテコの原理で簡単に剥取されて可傾状態とすることができる。すなわち、棒杆状本体に対しては単に上方への引上げ力だけでなく、横方向への切断面での摺動作用を受けるので、力が分散して比較的杠上力の小さな作用力で接合面は剥離され一つの塊となるので、既にカッターにより切断された切断面と、未切断箇所とが繋がり、完全に一つの塊のドーナツ状の除去物として地面と分離される。したがって、この一つの塊をロープなどの吊下紐を用いて一つの除去物の重力に対応した持ち上げ力によって杠上して、全体として小さな引上げ力で除去できる。
【0018】
しかも、塊状の除去物は切断された路面の円弧状凹状表面に沿って摺動させ乍ら引上げができるなど軽量小型の杠上機械で能率よく作業できる。
【0019】
さらに本発明によれば、舗装工法,オーバーレイ工法,切削オーバーレイ工法などにおける初期のマンホール蓋枠を含む平面円形で立体球面状の切断面を有する環状の除去物に対しては勿論のこと、中間工程のマンホール蓋枠のない同形の他の環状の除去物の廃棄に対しても同様に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は未使用の状態の全体の側面図、(b)は(a)の平面図で、各図に示す2点鎖線図は使用状態を示す路面とマンホール蓋枠の外略を示す。
【図2】(a)は補助掛止片の平面図、(b)はその側面図で、いずれも掛止片の掛止部の掛止関係を図示付加してある。
【図3】補助掛止片を用いない場合の他側を示す側面図
【図4】杠上手段を働かせた場合の塊状の除去物が傾斜した状態を示す断面図であって、(a)は環体を用いて除去物を吊上げている状態を示す断面図、(b)はスリングベルトをくぐらせて牽引する状態を示す断面図
【図5】他の実施例を示す補助掛止片の一部断面側面図
【図6】図5の平面図で、離開して吊りボルトの正面図を示す。
【図7】図5のVII−VII線縦断面図
【図8】切削オーバーレイ工法に用いる場合の断面説明図を示し、(a)は養生板に中間材を介在させた場合、(b)は養生板を下桝躯体に直接設けた場合を示す
【図9】(a),(b)は図8に示す切削オーバーレイ工法の施工過程の断面説明図
【図10】(a),(b)は図9に示す切削オーバーレイ工法の施工過程の断面説明図
【符号の説明】
【0021】
1 棒杆状本体
2 溝孔
3 掛止片
4 伸長爪
5,5A 補助掛止片
5a 油圧パイプ
5b 油圧シリンダー
5c ガイド管杆
5d ピストンロッド
5e,5f 内外二重の大小パイプ
6 引掛孔
6a 枠部
7 掛止部
8 螺子部
9 ハンドル
10 止螺環
11 止板
12 掛止部
13 杠上手段
14 止環
15 滑車
16 軸
17 支持板
18 吊りボルト
18a 爪部
19 螺杆部
20 螺管体
21 吊輪部
22 下桝躯体
23 中間材
24a,24b 養生板(中当て体)
25 充填物
26 舗装路面
27 小孔
28 係止孔
B,B1 除去物
C 切断面
Cx 未切断箇所
H マンホール孔
K 掛止箇所
L 路面
M マンホール蓋枠
R ロープ
X 切削線
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例を図1ないし図4と共に説明する。
【0024】
1は、所望金属材料で形成した棒杆状本体、2はこの棒杆状本体1の中心線に沿って縦方向に形成される溝孔、3はこの溝孔2に挿通されて縦方向に自由自在に移動可能の1以上の掛止片であって、図示では2個設けてある。
【0025】
そして、掛止片3はボルト構造を有し、その下端に、マンホール孔Hの内壁に装架させた相対向する左右一対の伸長爪4,4を備えた補助掛止片5の引掛孔6と、着脱自在に掛止できる掛止部7を備えており、マンホール孔Hの所望の掛止箇所Kと係合させた前記補助掛止片5と確実に掛止させることができる(図2(a),(b)参照)。なお、前記補助掛止片5は、例えば油圧ポンプよりの油圧パイプ5aにより、油圧シリンダー5bの働きで一対の伸長爪4,4をガイド管杆5cで案内され乍ら矢符方向に伸長させて、マンホール孔Hの内壁の掛止箇所Kと掛止固定させることができる。
【0026】
また、掛止片3はその下端の掛止部7を鈎状に形成して、前記掛止箇所Kと直接に掛止させることもできる(図3参照)。ついで上端には螺子部8を刻設し、ハンドル9を備えた止螺環10を螺合させてあり、かつ溝孔2と掛止できるワッシャーのような止板11を備える。さらに、図示しないが、前記掛止部7は、マンホール蓋枠の内面に設けられている取手状の止環部に掛止めさせて使用することもできる。
【0027】
12は、棒杆状本体1の一端に突設した掛止部であり、路面Lの表面に載置される杠上手段13を介在させることができる。図示では小型の手こぎ式のジャッキを示しているが、足踏式のものなど、好みの構成のものを用いることができる。14は棒杆状本体1の両側に設けた吊下げロープの結束用の止環、15は棒杆状本体1を持ち運ぶための路面などで転動できる滑車、16はこの滑車15の軸、17は軸16に設けた支持板を示す。
【0028】
以下に作用を説明する。
【0029】
まず、マンホール蓋を支持するマンホール蓋枠Mおよびその周辺の路面Lに対し、円弧状ないしは曲面状カッターを用いて予めマンホールの中心を中心として360度回転させて、マンホール蓋枠Mおよびその周辺の路面を平面円形かつ立体的には凹または凸の曲面状の切断面Cを形成して置く。この切断面Cに対しマンホール孔Hの下桝躯体22との間には、僅かに未切断箇所Cxが存在する。この未切断箇所Cxは切断面Cの内周方向に沿って環状に形成される。このようなカッターによる切断処理を終えた時点で、マンホール孔Hの内壁の掛止箇所Kに補助掛止片5をその左右の伸長爪4,4を係入させて固定する。ついで、棒杆状本体1をマンホール蓋枠M上の略中央箇所に配置する。
【0030】
そして、棒杆状本体1の2本の掛止片3,3の掛止部7,7を引掛孔6,6と確実に掛止させた後、掛止片3,3の上部に螺合させた止螺環10をハンドル9を用いて確固に掛止させる。
【0031】
ついで、棒杆状本体1の端部に設けた掛止部12と路面Lとの間に手こぎ式のジャッキの杠上手段13を介装し、作業者による手作業でジャッキの高さを上昇させ、切断面Cで切断されているマンホール蓋枠Mおよびその周辺の路面より成る一つの腕曲状のドーナツ構造の塊状の除去物Bの未切断箇所Cxをジャッキの働きにより摺動切断してジャッキと反対側を支点として曲面状の切断面Cに沿って傾斜させ乍らジャッキ側の除去物Bを浮き上がらせた状態に杠上させることができる。
【0032】
この状態において、図4(a)のように、棒杆状本体1の止環14に同様にロープRを結束して、除去物Bの重量に応じた持ち上げ力によって機械的に杠上して外部に取除くことができる。
【0033】
また、図4(b)のように切断面Cの間隙Gを用いてスリングベルトVを挿通くぐらせて捲回して、載置させてある棒杆状本体1を取外してから、このベルトVを除去物Bの重量に応じた持ち上げ力によって外部に持ち上げて取除くことができる。
【0034】
図示しないが、未切断箇所Cxを切断した後は、一つの塊の除去物Bの杠上除去は、好みの作業で行うことができる。
【0035】
以上、本発明の一実施例を説明したが、なお、掛止片3は補助掛止片5を介在させないで、図3に示すように、その下端に鈎状の掛止部7をマンホール孔Hの掛止箇所Kに確実に係入させ、掛止片3の上部を固定させて、前記したと同様に杠上手段13によりドーナツ状の塊状の除去物Bを可傾させて未切断箇所Cxを剥取させることができる。さらに、最近のマンホール蓋枠の内壁に設けられる取手状の枠が設けられている場合には、この枠に掛止片3の掛止部7をフック状に形成して掛止めして固定させても実施できる。
【0036】
ところでマンホール蓋は、一般に、600mm,750mm,900mm等が代表的であるが、設置場所によってその径の大きさが種々異なり、したがって廃棄される除去物Bの重量も大小異なるので、重量の軽い小径の小型のマンホール用では掛止片3は一個で十分であるが、長径の大型のマンホール用には安全性を考慮すれば2個の掛止片3を用いた方が好ましい。
【0037】
なお、図3に示すように、補助掛止片5を用いないで直接2個の掛止片3を用いる場合には、図示していないが、両鈎部状の掛止部7,7間に間隔保持体を設けて、不用意に、作業中外れないようにすることができる。
【0038】
さらに杠上手段13は、図示に示す手こぎ式や足踏式の構成のもの以外に油圧などによる遠隔制御をさせることもできる。
【0039】
しかも小型の杠上手段13、即ち手こぎ式ジャッキなどは、棒杆状本体1上に載置させて、棒杆状本体1と一体にして滑車15を利用して自由に持ち運びできる。
【0040】
そして、この杠上手段13は、平坦な道路は勿論のこと、坂道などに設けられた道路の補修の際のマンホール補修にも同様に適用できる。
【0041】
なお、本発明については、マンホール蓋の蓋枠にボルトを植設した場合を示していないが、この場合はマンホール孔側より任意のカッター装置により予めボルトを切断して置くことは勿論である。
【0042】
つぎに、本発明のさらに他の実施例について図5ないし図7について説明する。
【0043】
この実施例は、前記実施例の補助掛止片5に変更を加えたものである。
【0044】
油圧ポンプなどで操作される油圧パイプ5aの油圧シリンダー5bとピストンロッド5dを、断面角状の互いに摺動する強靭な大小パイプ5e,5fで抱止させ、油圧シリンダー5b、ピストンロッド5dには専ら水平方向の伸長爪4,4の伸長と縮少のみを働かせ、マンホールの除去物Bを杠上させるための荷重は専ら角型の内外二重のパイプ5e,5fに負担させて、役割を分割させた構成を前記実施例と異ならせたことを特徴とするものである。
【0045】
その他、引掛孔6と係入係止する掛止部7を備えた掛止片3は、前記実施例と同一の構成であり、同一の棒杆状本体1を利用した杠上作用も全く同様に実施できる。なお、引掛孔6は角型の内外二重のパイプ5e,5f上に枠部6aを設けて形成してある。
【0046】
この実施例においては、一対の引掛孔6に対して、図6に示す吊りボルト18を用いることができる点が新たな変更を加えた構成である。
【0047】
すなわち、吊りボルト18は、前記一対の引掛孔6に係入できる爪部18aを下端に有し、螺杆部19を備え、この螺杆部19と螺合する摘子を有する螺管体20を設け、頂部に引用上の吊輪部21を備えた構成である。
【0048】
この吊りボルト18を除去物Bと係止させた補助掛止片5Aに直接係止させて、直接杠上させることができる場合は、棒杆状本体1の使用を省くことができる。
【0049】
要するに第2の実施例では水平方向に働くマンホール蓋内壁側の係止力は専ら構造強度の弱い油圧シリンダー5b、ピストンロッド5dに行わせ、杠上という重量の大きな除去物に対しては強固な角状パイプ5e,5fに行わせて力を分散させているので、無理なく円滑に除去物の撤去を行わせることができる。
【0050】
以上、本発明の実施例を説明したが、棒杆状本体1は、単に既設のマンホール蓋枠の周縁の路面を環状に切截して、一つの腕曲状のドーナツ構造の塊状の除去物Bを、掛止片3を用いて係止して打上させて撤去するだけに用いることの外、図8(a),(b)ないし図10(a),(b)に示すように、例えば、本発明者が提案した特許第3644949号の切削オーバーレイ工法における除去物Bの撤去後の円球状の切断面Cに下桝躯体22上に直接または他の中間材23を介して介装させた養生板(中当て体)24a,24bに埋設させた充填物25と、マンホール周辺の旧路面を切削線Xに沿って切削して、上部に舗装した新しい路面26とで構成される第2の除去物B1についても、円弧状ないし曲面状カッターを用いて、マンホールの中心を中心として第1回目の切断箇所と略一致させ、360度回転させてマンホール蓋枠用に予備的に埋設させた新しい路面を切断して形成できる。この場合、マンホールの中心位置は予めマーキング処理を施して置いて、新たな舗装路面26を切断するためのカッターの中心位置を簡単に知ることができる。
【0051】
そして、除去物B1の中心位置にコアボーリングマシンを臨ませてくりぬき、小孔27を形成し、養生板24に予め設けた係止孔28を露出させる(図9(a),(b)参照)。なお、図9(a)では、小孔27は中心の一箇所であるが、その左右2箇所の係止孔28に通ずる小孔を、同様にコアボーリングマシンでくり抜いて3箇所に設けることもできる(図示せず)。そして2箇所ないし3箇所の係止孔28を用いて掛止片3を介して、棒杆状本体1を利用して除去物B1を杠上除去できる。
【0052】
この状態において、棒杆状本体1を、第2の除去物B1の中央に配置し、掛止片3を溝孔2の中央に臨ませ、掛止片3の下端に設けた掛止部7を、養生板24a,24bに係合させ、掛止片3の上端の螺子部8に螺合させた止螺環10を回転させ、掛止片3を棒杆状本体1に確固に固定させて、杠上手段13による可傾リフト処理や止環14を用いたロープによる持ち上げ手段で、前記したと同様に第2の除去物B1を除去することができる。
【0053】
さらにまた、本発明によれば、上記特許第3644949号に示される他の工法即ちオーバーレイ工法におけるオーバーレイ処理後の円弧状ないし曲面状カッターによるマンホール箇所の切截される環状のドーナツ型の切除物の除去並びに舗装工法における同型のドーナツ型の除去物の除去に対しても同様に実施施工できる。
【0054】
つぎに各実施例に示し、かつ図示された棒杆状本体1の一側に設けた掛止部12は、外方に突出させた構成であるが、外方ではなく内方に凹設した掛止部として、爪付のジャッキを用いて同様に除去物B,B1を可傾杠上させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円弧状ないし曲面状カッターを用いて、マンホールの中心を中心として360度回転させてマンホールの周辺の路面を切断して、平面円形で立体球面状の切断面を有する環状の除去物を杠上し、取除くためのリフターであって、棒杆状本体の長手方向に沿って溝孔を設け、この溝孔に移動かつ固定可能の1以上の掛止片を配設し、この掛止片により直接ないしは補助掛片を介して、マンホール内部の必要箇所を掛止すると共に、前記棒杆状本体の端部に杠上用の掛止部を設け、路面との間に杠上手段を介在配置させて成ることを特徴とするマンホールの路面切断除去物の除去リフター。
【請求項2】
請求項1記載のマンホールの路面切断除去物の除去リフターにおいて、掛止片は、相対向する左右のマンホール内部の必要箇所を掛止する一対の伸長爪を備えた補助掛止片と、着脱自在に装着できるようにして成ることを特徴とするマンホールの路面切断除去物の除去リフター。
【請求項3】
請求項1または2記載のマンホールの路面切断除去物の除去リフターにおいて、棒杆状本体には移送用の滑車を設けて成ることを特徴とするマンホールの路面切断除去物の除去リフター。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか記載のマンホールの路面切断除去物の除去リフターにおいて、棒杆状本体の両端には止環を設け、吊下ロープを掛止させることができるようにして成ることを特徴とするマンホールの路面切断除去物の除去リフター。
【請求項5】
円弧状ないし曲面状カッターを用いて、マンホールを中心として360度回転させてマンホールの周辺の路面を切断して、平面円形で立体球面状の切断面を有する環状の除去物を杠上し、取除くためのリフターであって、補助掛片を、摺動する内外二重の垂直方向への対荷重用のパイプと、このパイプの内側にマンホール内部の必要箇所を掛止する伸長爪を伸縮可変調節する水平方向へのシリンダー、ピストンロッドを内設して構成し、前記二重のパイプの上部に一対の引掛孔を設け、吊りボルトの下端を係止させて引き上げ手段を介して直接杠上させるか、棒杆状本体を介して間接に杠上させて成ることを特徴とするマンホールの路面切断除去物の除去リフター。
【請求項6】
円弧状ないし曲面状カッターを用いて、マンホールの中心を中心として360度回転させてマンホールの周辺の路面を切断して、平面円形で立体球面状の切断面を有する環状の除去物の表面に、棒杆状本体を載置し、該棒杆状本体より垂下した掛止片の下端を直接又は他の部材を介して、前記環状の除去物の切断面に近い箇所と掛止させて、棒杆状本体の端部に突設した掛止突起と路面との間に杠上手段を介在させ、該杠上手段を杠上させ乍ら非切断面を剥取して環状の除去物を吊下可能な傾斜状態にして成ることを特徴とする可傾リフト工法。
【請求項7】
円弧状ないし曲面状カッターを用いて、マンホールの中心を中心として360度回転させてマンホール蓋枠の周辺の路面を、平面円形で立体球面状の切断面を有する環状の除去物に切断する工程、補助掛止片をマンホール内部に臨ませて、水平方向に伸縮するシリンダーとピトンロッドによる係止箇所への伸長爪との係脱工程、前記シリンダーとピトンロッドを保護し、垂直方向への耐荷重力を備えた伸縮摺動自在の内外二重のパイプによる杠上手段による杠上工程とにより成ることを特徴とする除去リフト工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−144509(P2010−144509A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23122(P2010−23122)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【分割の表示】特願2009−526351(P2009−526351)の分割
【原出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(503140539)セーブマシン株式会社 (13)
【Fターム(参考)】