説明

マンホール用調整リングの取付構造

【課題】 漏水が生じ難く、且つ、蓋体のがたつきがないマンホール用調整リングの取付構造を提供することである。
【解決手段】 本発明のマンホール用調整リング3の取付構造は、マンホール本体1と蓋体2との間に、調整リング3が取り付けられ、前記調整リング3が蓋体2とマンホール本体1のそれぞれの取付面に嵌合されて取り付けられているマンホール用調整リング3の取付構造において、嵌合部にはシーリング材4が充填されているものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下水の排水管路に用いられるマンホールに取り付けられる調整リングの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】マンホールの蓋体を地表面のレベルや傾斜角度に合わせるために、マンホール本体と蓋体の間に調整リングが取り付けられている。従来のマンホール用調整リングの取付構造は、例えば、実開昭63−112548号公報に記載されて知られているように、マンホール本体と、このマンホール本体の上方に取り付けられる蓋体との間に、リング形状の調整リングが取り付けられ、前記調整リングの上面並びに下面と、蓋体とマンホール本体の調整リング取付面とには、円周上に互いに嵌合する凹状溝もしくは凸状突起が形成され、前記調整リングが蓋体とマンホール本体のそれぞれの取付面に嵌合されて取り付けられているものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のマンホール用調整リングの取付構造において、調整リングの上面や下面、マンホール本体や蓋体の取付面等が製造時にそったり、ひけによって凹凸したりして、嵌合精度が悪くなり、嵌合部に隙間ができるため、漏水を生じるという問題がある。また、調整リングの嵌合精度が悪いと、長年の使用において調整リングにずれや捩じれが生じ、蓋のがたつきや、蓋の周りの舗装にクラックが生じるという問題がある。
【0004】本発明は、上述の従来のマンホール用調整リングの取付構造における問題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、漏水が生じ難く、且つ、蓋体のがたつきがないマンホール用調整リングの取付構造を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、請求項1のマンホール用調整リングの取付構造は、マンホールのマンホール本体と、このマンホール本体の上方に取り付けられるマンホール用蓋体との間に、リング形状の調整リングが取り付けられ、前記調整リングの上面並びに下面と、蓋体とマンホール本体の調整リングの上面並びに下面への取付面とには、円周上に互いに嵌合する凹状溝もしくは凸状突起が形成され、前記調整リングが蓋体とマンホール本体のそれぞれの取付面に嵌合されて取り付けられ、嵌合部にはシーリング材が充填されているものである。
【0006】(作用)請求項1に記載のマンホール用調整リングの取付構造において、嵌合部にはシーリング材が充填されているものであるから、嵌合部の隙間はシーリング材で密封され、漏水が生じ難く、且つ、蓋体のがたつきもなくなる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のマンホール用調整リングの取付構造において、マンホールは、マンホール本体、蓋体、調整リングとよりなり、それぞれ、コンクリート、鉄、または合成樹脂等の材料のいずれで形成されていてもよいが、塩化ビニル樹脂やポリエチレン等の合成樹脂で形成されている場合、そりやひけ等の変形を生じ易いので、本発明の取付構造を適用すると、好適である。
【0008】また、本発明に使用する調整リングは、蓋体を地表面の高さに合わせたり、地表面が傾斜している時、この地表面の傾斜に合わせるために使用されるものであって、地表面が水平な場合、調整リングの上面と下面が平行な面で形成されたものを使用し、地表面が傾斜している場合、調整リングの上面または下面の片側あるいは両側が傾斜面で形成されたものを使用する。
【0009】上記調整リングは、1個または複数個を組み合わせて構成してもよく、複数個を組み合わせて使用する場合には、組み合わせ面に嵌合部を設け、この嵌合部にはシーリング材が充填される。
【0010】本発明の嵌合部に充填されるシーリング材は、弾性を有する液状または固体状のものが好適に使用できる。液状のシーリング材としては、シリコン樹脂やウレタン樹脂等の弾性シーリング材が好適であり、また、固体状のシーリング材としては、ゴムや、ポリエチレン、ウレタン樹脂等の合成樹脂発泡体等が好適に使用できる。
【0011】次に、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。図1と図2は、本発明の一実施例であって、図1はマンホールの側面図、図2は図1のマンホールの要部拡大断面図である。1はマンホール本体、2は蓋体、3は調整リングである。
【0012】本実施例のマンホールは、マンホール本体1と、蓋体2と、マンホール本体1と蓋体2との間に取り付けられているリング形状の調整リング3とからなっていて、マンホール本体1と調整リング3はポリエチレンで形成され、蓋体2は鋳鉄で形成されている。
【0013】上記マンホール本体1は、斜壁筒体11と、この斜壁筒体11の下方に取り付けられている直壁筒体12と、この直壁筒体12の下方に取り付けられている下水管取付部を有する分岐筒体13とから構成されている。
【0014】前記調整リング3は円形のリング形状になされ、この調整リング3の上面31には、円周上に凹状溝33が形成され、調整リング3の下面32には、凸状の突起34が形成されている。
【0015】上記調整リング3の上面31が取り付けられる蓋体2の取付面21には、調整リング3の凹状溝33に符合する凸状突起22が形成されている。また、上記調整リング3の下面32が取り付けられるマンホール本体1の取付面14には、調整リング3の凸状突起34に符合する凹状溝15が形成されている。
【0016】上記調整リング3の上面31の凹状溝33には、蓋体2の取付面21に形成された凸状突起22が嵌合されて取り付けられ、調整リング3の下面32の凸状突起34は、マンホール本体1の取付面14に形成された凹状溝15に嵌合され、蓋体2と調整リング3はマンホール本体1の取付面14にボルト5とナット6で締結されて取り付けられている。
【0017】上記調整リング3の上面31と下面32の嵌合部には、それぞれ、シリコン樹脂製の弾性シーリング材4、4が充填されている。
【0018】上記のマンホールの取付方法は、先ず、マンホール本体1を地中に掘削された穴の底部に直打ちされたコンクリート製の基礎6に据え付け、このマンホール本体1の取付面14に設けられた凹状溝15の中にシーリング材4を充填し、調整リング3の凸状突起34を前記シーリング材4が充填された凹状溝15に嵌合し、調整リング3をマンホール本体1の取付面14に取り付ける。
【0019】次に、調整リング3の上面31に設けられた凹状溝33の中にシーリング材4を充填し、蓋体2の取付面21に設けられた凸状突起22を前記シーリング材4が充填された凹状溝33に嵌合し、蓋体2を調整リング3の上面31に取り付ける。
【0020】最後に、蓋体2と調整リング3をマンホール本体1の取付面14にボルト5とナット6で締結する。この際、調整リング3は予め数種類の高さの異なるものが用意されていて、蓋体2の上面を地表面と面一になるように調整リング3の高さで調節して使用する。
【0021】本実施例のマンホール用調整リング3の取付構造は、調整リング3の凹状溝33とマンホール本体1の凹状溝15にシーリング材4、4が充填されているものであるから、嵌合部の隙間はシーリング材4で密封され、漏水が生じ難く、且つ、蓋体2のがたつきもなくなる。
【0022】
【発明の効果】本発明のマンホール用調整リングの取付構造は、調整リングが蓋体とマンホール本体のそれぞれの取付面に嵌合されて取り付けられ、この嵌合部の隙間はシーリング材で密封され、漏水が生じ難くなされているので、外部から地下水等の浸入を防ぐことができるという効果がある。この結果、不明水の原因となる地下水の浸入により、計画流入量より多くなり、下水処理場の能力をオーバーさせるという問題を解決できる。
【0023】また、本発明のマンホール用調整リングの取付構造は、調整リングが蓋体とマンホール本体のそれぞれの取付面に嵌合されて取り付けられ、蓋体のがたつきがなくなるので、車両通過時に蓋体が横ずれしたり、蓋体の周りの舗装にクラック等が発生することを防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であって、マンホールの側面図である。
【図2】図1のマンホールの要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 マンホール本体
2 蓋板
3 調整リング
4 シーリング材
22、34 凸状突起
15、33 凹状溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】 マンホールのマンホール本体と、このマンホール本体の上方に取り付けられるマンホール用蓋体との間に、リング形状の調整リングが取り付けられ、前記調整リングの上面並びに下面と、蓋体とマンホール本体の調整リングの上面並びに下面への取付面とには、円周上に互いに嵌合する凹状溝もしくは凸状突起が形成され、前記調整リングが蓋体とマンホール本体のそれぞれの取付面に嵌合されて取り付けられているマンホール用調整リングの取付構造において、嵌合部にはシーリング材が充填されていることを特徴とするマンホール用調整リングの取付構造。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【公開番号】特開平9−144042
【公開日】平成9年(1997)6月3日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−311344
【出願日】平成7年(1995)11月29日
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)