説明

マーカー適応された正常組織障害発生確率

療法システムが、治療すべき標的領域の診断画像を取得する診断画像スキャナ(12)を含んでいる。計画立案プロセッサ(70)は、療法前および療法実行中に、患者固有のバイオマーカーに基づいて患者固有の適応的な放射線療法計画を生成するよう構成されている。第一の組の患者固有のバイオマーカーが決定され、次いで第一の正常組織障害発生確率(NTCP)モデルおよび第一の腫瘍制御確率(TCP)モデルの決定のために使われる。放射線療法装置(40)が前記第一のNTCPモデルおよび前記第一のTCPモデルに基づく手順を用いて第一の線量の放射線を標的領域に投与する。第二の組の患者固有のバイオマーカーが決定される。第一の組および第二の組の患者固有バイオマーカーの間の関係を使って、第二のNTCPモデルおよび第二のTCPモデルが決定される。放射線療法装置(40)が前記第二のNTCPモデルおよび第二のTCPモデルに基づく手順を用いて第二の線量の放射線を標的領域に投与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は療法技術に関する。詳細には、放射を使って標的に制御された療法を与えるための、被験体の放射療法手順計画に関し、それに言及しつつ説明する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍放射線療法(oncological radiotherapy)は、電離放射線、たとえば高エネルギー光子、陽子、中性子、電子、重い荷電粒子(たとえば炭素イオン)などを病変組織または病変領域に当てることにより病変組織を治療するために使われる。照射された健康な組織は通例放射線療法によって、少なくともある程度の損傷を受け、そのような放射線は有害な副作用を生じることがある。健康な組織への損傷を最小限にするために、病変組織および危険にさらされる健康な組織の療法に確率モデルが割り当てられる。そのようなモデルの例は、腫瘍制御確率(TCP: tumor control probability)および正常組織障害発生確率(NTCP: normal tissue complication probability)である。TCPは、腫瘍種別およびその特定の患者のための照射計画の詳細に基づく、局所的な腫瘍制御の推定を与える確率的な疾病モデルである。NTCPは、健康な組織に与えられ、ある程度の過酷さの副作用につながる放射線障害の確率的モデルである。放射線によって誘起される副作用の深刻さは、欧州癌研究治療機関(EORTC: European Organization for Research and Treatment of Cancer)/放射線療法腫瘍グループ(RTOG: Radiation Therapy Oncology Group)の急性放射線罹患率評価基準(Acute Radiation Morbidity Scoring Criteria)で与えられるような特定の尺度によって評価される。放射線療法手順計画は、TCPとNTCPの間のトレードオフである。所与の放射線療法計画についての最適な腫瘍線量(tumor dose)は、異なるリスク器官についてTCPとNTCPの間の差を最大にする。よって、NTCPが線量を制限する要因である。
【0003】
NTCPモデルは、腫瘍線量を健康な組織における放射線損傷の確率に関係させるS字型(sigmoid)関数である。ガウス関数が、副作用の確率密度の一般的なモデルである。他のモデルは異なる数学的関数を適用する。たとえばポアソン統計モデルまたは回帰モデルである。すべてのアプローチは、線量〔投与量〕‐体積ヒストグラム(DVH: dose-volume histogram)が平均線量のために、通例は等価均一線量(EUD: equivalent uniform dose)を用いて評価されるということで共通している。最も広く使われる確率関数は、50%の障害発生確率を予測する誤差関数を与えるライマン(Lyman)EUDモデルである。式は次のようになる。
【0004】
【数1】

パラメータmはS字型NTCP曲線の傾きを表し、線量TD50は50%の障害発生のリスクによって定義される。式(1c)はDVHからEUDNTCPを計算するための一般的なアプローチを示している。パラメータDiは体積要素Viへの物理的な線量を表し、評価された器官体積の合計はVtotである。EUDの概念は、器官全体の機能に対する局所的な放射線障害の種々の影響を指す。たとえば脊椎はたとえわずかな部分が破壊されただけでも機能しなくなる。対照的に、肝臓や肺はかなりの部分が破壊されてもきちんと機能しうる。脊椎はいわゆる直列臓器の例であり、肺や肝臓はいわゆる並列臓器の例である。EUDが記述するのは臓器のこの属性である。式(1c)では、モデル・パラメータnは、考察対象の臓器についての体積効果の強さに関連付けられる。nが1に近づくと、EUDは平均線量に等しくなる。すなわち、モデルは、大きな体積効果が存在する完全に「並列な」臓器を記述する。
nが0に近づけば、EUDは最大線量になる、すなわち、モデルは体積効果が全くない完全に「直列な」臓器を記述する。上述のように、NTCPモデルにおいて使用される平均線量についてのさまざまなモデルが報告されている。
【0005】
種々の臓器におけるさまざまな副作用についてのNTCPモデルは線量‐体積ヒストグラム(DVH)データに基づく。それらは、NTCPの数学的モデルのパラメータを、個々の臨床研究において決定された実際の副作用プロファイルに当てはめることによって決定される。非特許文献1によるかなり包括的な評価は、異なるNTCPモデルは、特定の副作用(彼らの場合、前立腺癌放射線療法における晩期直腸出血)の確率を推定する異なる品質を与えることを示した。しかしながら、このグループの分析は、純粋に放射線量値の分布(DVH)に基づいている。これまでのところ、NTCPに対するいかなる臨床的な試行でも、患者の個々のリスク・プロファイルに取り組むものはほとんどない。よって、現行のNTCPモデルは人口平均統計を表している。
【0006】
しかしながら、放射線感受性は個人間で有意に変わることがある。たとえば、腹部外科手術の経歴のある患者は一般に、以前に腹部外科手術を受けたことのない患者より放射線に対する耐性が低い。EUDに関し、腹部外科手術の経歴のある者とない者に患者グループを細分することによって、直腸出血について1.1の線量修正因子および大便失禁についての2.5の因子が決定されている。そのような個人的なリスク因子を無視することは、現行のNTCPモデルの系統的な不正確さにつながり、個人についてのNTCPモデルの誤った推定につながる。NTCPの過大評価は、腫瘍に対する最適より少ない線量の送達につながることがあり、結果として、腫瘍の制御を低下させ、可能性としてはその患者についての再発を引き起こす。NTCPを過小評価することは、療法を早すぎる段階で停止させることのある深刻な副作用につながることがある。
【0007】
TCPモデルは、腫瘍線量を腫瘍制御の確率に関係させるS字型関数である。ガウス関数が副作用の確率密度の一般的なモデルである。他のモデルは異なる数学的関数を適用する。たとえばポアソン統計モデルまたは回帰モデルである。すべてのアプローチは、線量‐体積ヒストグラム(DVH: dose-volume histogram)が平均線量のために、通例は等価均一線量(EUD: equivalent uniform dose)を用いて評価されるということで共通している。最も広く使われる確率関数は、50%の障害発生確率を予測する誤差関数を与えるライマン(Lyman)EUDモデルである。式は次のようになる。
【0008】
【数2】

パラメータmはS字型TCP曲線の傾きを表し、線量TD50は50%の障害発生のリスクによって定義される。式(2c)はDVHからEUDTCPを計算するための一般的なアプローチを示している。パラメータDjは体積要素Vjへの物理的な線量を表し、評価された器官体積の合計はVtotである。モデル・パラメータnは、考察対象の器官についての体積効果の強さに関連付けられる。nが1に近づくと、EUDは平均線量に等しくなる。すなわち、モデルは、大きな体積効果が存在する完全に「並列な」臓器を記述する。nが0に近づけば、EUDは最大線量になる、すなわち、モデルは体積効果が全くない完全に「直列な」臓器を記述する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】S¨ohn et al.、Int. J. Rad. Oncol. Biol. Phys.、67、2007年、pp.1066-1073
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願は、個々の患者固有マーカーに従って正常組織障害発生確率および腫瘍制御確率を最適化することに基づく、適応的な放射線療法手順〔プロトコル〕計画のための新しい、改善された方法および装置であって、上述した問題その他を克服するものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ある側面によれば、患者固有療法計画を生成する方法は、初期療法計画を生成することを含む。療法は前記初期療法計画に従って施される。前記初期療法計画が少なくとも一つのバイオマーカーの値に基づくか、前記療法計画は少なくとも一つの測定バイオマーカーの更新された値に基づいて修正され、修正された療法計画に従って療法が再び施される。
【0012】
もう一つの側面によれば、コンピュータ可読媒体が、患者固有療法計画を生成する前記方法を実行するようプロセッサを制御するプログラムを担持する。
【0013】
もう一つの側面によれば、計画立案プロセスが、患者固有療法計画を生成する前記方法を実行するよう療法装置を制御するようプログラムされる。
【0014】
もう一つの側面によれば、療法システムがイメージ・スキャナと、療法装置と、グラフィック・ユーザー・インターフェースと、患者固有療法計画を生成する前記方法を実行する計画立案プロセッサとを含む。
【0015】
もう一つの側面によれば、プロセッサが少なくとも一つの測定されたバイオマーカーに基づいて初期療法計画を生成するよう構成される。該プロセッサは前記初期療法計画に基づいて施すよう療法装置を制御する。
【0016】
もう一つの側面によれば、標的領域への放射線療法の患者固有の適応的な送達の方法が、第一の組の患者固有マーカーを決定することを含む。前記第一の組のバイオマーカーに基づいて、NTCPモデルおよびTCPモデルのうち少なくとも一つが決定され、次いである線量の放射線を標的領域に投与するために使われる。第二の組の患者固有バイオマーカーが決定される。前記第一の組の患者固有バイオマーカーと前記第二の組の患者固有バイオマーカーの間の関係が、第二のNTCPモデルおよび第二のTCPモデルのうち少なくとも一つについての基礎となる。前記標的領域へのある線量の放射線が、前記第二のNTCPおよび第二のTCPモデルのうち少なくとも一つに基づいて投与される。
【発明の効果】
【0017】
一つの利点は、放射線療法の患者固有の適応的な送達は、腫瘍制御確率を高め、その結果、患者にとって無用な再発が減るということである。
【0018】
もう一つの利点は、放射線療法の患者固有の適応的な送達は、放射線障害の深刻な副作用を減らすということである。
【0019】
もう一つの利点は、療法に対する患者の反応に基づいて、放射線量または治療計画を変更できるということである。
【0020】
本発明のさらなる利点は、以下の詳細な説明を読み、理解すれば当業者には理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】撮像および放射線療法システムを示す図である。
【図2】NTCPモデル化プロセスの流れ図である。
【図3】TCPモデル化プロセスの流れ図である。
【図4】初期NTCPおよびTCPモデルならびに両者の差をグラフに描いた図である。
【図5】前記差を最大化する最適化後のNTCPおよびTCPモデルをグラフに描いた図である。
【図6】NTCPモデルのさらなる最適化をグラフに描いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、さまざまなコンポーネントおよびコンポーネントの配置ならびにさまざまなステップおよびステップの配置の形を取りうる。図面は単に好ましい実施形態を示す目的のためであり、本発明を制限するものと解釈されるものではない。
【0023】
図1を参照するに、放射線療法システムのような療法システム10は、放射線療法手順を計画するのに使うための診断画像を得るための、計算機断層撮影(CT)撮像スキャナ、MRIスキャナなどのような診断撮像スキャナ12を含む。CT撮像スキャナ12は、回転ガントリー16上に取り付けられたX線源14を含む。X線源14は検査領域18を通過するX線を生成する。X線は検査領域において、標的領域を検査領域18内に位置させる支持部20によって支持された被験体(図示せず)の標的領域と相互作用する。X線検出器アレイ22が検査領域18を通過した後のX線ビームを受領するよう配置される。X線は検査領域において被験体と相互作用し、部分的に吸収される。したがって、検出されたX線は被験体に関係する吸収情報を含む。
【0024】
CTスキャナ12はコントローラ30によって、放射線療法によって処置されるべき被験体の選択された標的領域の選択された撮像シーケンスを実行するよう動作させられる。撮像シーケンスは、標的領域の診断撮像データを取得する。診断撮像データはデータ・バッファ32に記憶される。再構成プロセッサ34は取得された撮像データから3D画像表現を再構成し、再構成された画像表現が診断画像メモリ36に記憶される。
【0025】
記載される診断撮像システムは単に例である。当業者は、CTスキャナ12が任意的に、磁気共鳴撮像(MRI)スキャナ、陽電子放出断層撮影(PET)スキャナ、単一光子放出計算機断層撮影(SPECT)スキャナなどといった他の型の診断撮像スキャナをCTスキャナ12の代わりにできることを認識するであろう。
【0026】
診断撮像装置12は療法送達システム40とは別個である。療法送達システムは外部放射線療法送達システムまたは内部放射線療法送達システム、たとえば短距離放射線療法(brachytherapy)であることができる。任意的に、診断撮像に先立って被験体にマーカーが適用され、その後の放射線療法の間その場に留まって、診断画像と放射線療法送達との間の位置合わせを提供する。診断画像取得と放射線療法の間の空間的位置合わせのための他の方法も考えられる。内在的解剖学的マーカーといったものである。診断撮像と放射線療法の間の位置ずれを減らすために、診断撮像スキャナを放射線療法装置と統合することも考えられている。さらに、他の形の療法も考えられている。たとえば、熱、化学、HIFU、機械的などを含むアブレーション療法、あるいは放射線と化学療法のような複合療法である。
【0027】
放射線送達システム40は、回転ガントリー46に取り付けられた線形加速器、合焦X線などのような放射線源44を有する放射線送達装置42を含んでいる。ガントリー46は回転軸48のまわりに放射線源44を回転または段階運動させる。支持部50は、標的領域が放射線源44によって生成される強度変調された放射線ビーム52にさらされるよう被験体を剛体的に位置決めする。支持部50は、ガントリー46が被験体のまわりで放射線源44を回転させる間、被験体を位置決めし、動かす。放射線ビーム52は、調整可能な強度および/または周をもつ断面領域54をもつ。放射線ビーム52は、療法中、連続的に適用されることも、パルス状にオン/オフされることもできる。任意的に、患者を通過する放射線の強度をモニタリングするために、線源からは患者の反対側に、放射線検出器システムが配置される。検出器からのデータは、ビームと標的の整列および線量をモニタリングするために、低解像度投影像に再構成されることができる。放射線送達システム40は、計画立案プロセッサ70によって規定される選択された放射線手順を実行するよう、放射線コントローラ60によって動作させられる。
【0028】
計画立案プロセッサ70は、単一または複数のバイオマーカーから導出された個々の患者固有情報を、バイオマーカーを考慮する各モデルについてのEUDの患者固有計算を使って、NTCPモデルおよびTCPモデルの計算中に統合する。バイオマーカーの例は、細胞の放射線感受性に関連付けられるテロメアの長さである。ある実施形態では、線量修正因子をEUD定式化(式(1c))中に導入することによって、患者固有のNTCPおよびTCPモデルを導出するために、療法前および療法中にバイオマーカーが評価されることができる。適応的なEUDの式は次のようになる。
【0029】
【数3】

患者固有の線量修正因子gNTCPおよびgTCPは、初期ベースラインおよび療法中のバイオマーカー情報MおよびLへの変化に基づいて評価されるスカラー値である。たとえば、出血副作用をもつ患者についてはgNTCP=1.1;大便失禁副作用についてはg=2.5などである。第一のベースラインは、療法前に導出される正常組織に関連する一組のバイオマーカー値である。正常組織に関連するベースライン値Mkは療法前に初期NTCPモデルを適応させるために使われる。療法中にバイオマーカーをモニタリングすることにより、療法に対する固有の反応に基づいて、各患者についてのNTCPモデルを最適化できる。療法に関係した変化ΔMkはベースライン値に相関付けられ、次いで線量修正因子EUDNTCP中に組み込まれる。第二のベースラインは、療法前に導出される癌性組織に関連する一組のバイオマーカー値である。癌性組織に関連するベースライン値Lkは療法前に初期TCPモデルを適応させるために使われる。療法中にバイオマーカーをモニタリングすることにより、療法に対する固有の反応に基づいて、各患者についてのTCPモデルを最適化できる。療法に関係した変化ΔLkはベースライン値に相関付けられ、次いで線量修正因子EUDTCP中に組み込まれる。バイオマーカー・プロセッサ72は、ベースライン値MjおよびLkに基づいて線量修正因子を初期化し、療法に関係した変化ΔMkおよびΔLkに基づいて療法の実行中に線量修正因子を最適化することを受け持つ。
【0030】
正常組織に関連するマーカー値Mkは種々の種類、たとえば生体外(in vitro)試験値、質量分析タンパク質シグネチャ、既往データおよび患者履歴である。生体外試験値は、細胞、プロテオームおよび遺伝子起源を含み、これに限られないが、さまざまな細胞計数、Hb、CRP、PSA、TNF-α、フェリチン、トランスフェリン、LDH、IL-6、ヘプシジン、クレアチニン、グルコース、HbA1cおよびテロメア長などである。既往および患者履歴マーカーは、以前の腹部外科手術、ホルモンもしくは抗凝血薬投与、糖尿病、年齢および腫瘍増殖関係の指標を含む。さまざまな形のアブレーションまたは化学療法剤に関連するバイオマーカーなど、放射線障害に関係しないバイオマーカーも考えられている。
【0031】
癌性組織に関連するマーカー値Lkはさまざまな種類を含む。バイオマーカーの例は前立腺腫瘍についてのPSAや、細胞放射線感受性についてのテロメア長を含む。すなわち、より短いテロメアは放射線感受性が高まっていることに関連する。細胞の放射線感受性および修復能を反映するゲノムおよびプロテオーム系のバイオマーカーは、DNA末端結合複合体(DNA-EBC: DNA end binding complex)の解析を含む。DNA-EBCの例は、ATM、Ku70、DNAリガーゼIII、Rpa32、Rpa14、DNAリガーゼIV、XRCC4、WRN、BLM、RAD51およびp53の測定を含む。低酸素状態は電離放射線への腫瘍感受性を下げることが知られている。腫瘍の低酸素状態を示す分子バイオマーカーは、HIF-1α、ガレクチン-1、CAP43およびNDRG1を含む。低酸素状態のバイオマーカーは、個々の画像ピクセルの酸素分圧を等級付けするFMISO-PETおよびFAZA-PETのような撮像手順からも推定される。
【0032】
さまざまな組織学的帰結を記述するバイオマーカーは、年齢、性別、薬物投与、原発腫瘍部位、以前の治療、個人的な受け止め方に関する個々の患者の希望、潜在的な副作用に対する見解および再発リスクを含む。組織学的帰結を記述する他のバイオマーカーは、組織学的腫瘍種別、等級、病期、グリーソン・スコアおよび増殖性細胞アッセイを含む。増殖性細胞アッセイは、増殖性細胞密度、コロニー形成効率(CFE: colony-forming efficiency)および増殖性繊維芽細胞の放射線感受性、たとえば2Gyにおける生存率(surviving fraction)(SF2)といったものである。
【0033】
もう一つの実施形態では、体積要素Vjを修正するために、EUDTCP定式化中に、局所的な補正因子pTCPが導入される。この局所補正因子を含むEUDTCPの式は次のようになる。
【0034】
【数4】

局所補正因子pTCPは、ベースライン・バイオマーカーQkおよび撮像データから決定される療法関係のバイオマーカーΔQkによる修正である。バイオマーカーは腫大、灌流および間質液を含む。これらは磁気共鳴、X線、核、超音波、光学などといったさまざまな撮像モダリティにより決定できる。
【0035】
バイオマーカー・プロセッサは、線量修正因子を、EUDプロセッサ74の入力に出力し、EUDプロセッサはEUD計算(式(2))を、最適化された線量修正因子に基づいて更新する。EUDプロセッサは次いで最適化されたEUD計算をNTCPプロセッサ76およびTCPプロセッサ78の入力に出力する。NTCPプロセッサおよびTCPプロセッサの両者はそれぞれの最適化されたモデル(式(1a)および(2a))をコンソール80に出力する。
【0036】
コンソール80は、グラフィック・ユーザー・インターフェースを含み、臨床担当者がスキャン・シーケンスもしくは手順および治療方式もしくは線量を選択するためにそれぞれスキャナ・コントローラ30または放射線コントローラ60を制御するために使うことのできるユーザー入力装置も含む。コンソールは診断画像、セグメンテーション・ツール、セグメンテーション・ツール、TCP、NTCPおよび両モデルの間の差を関係付けるグラフなどを表示する。最適化されたNTCPおよびTCPモデルは、放射線腫瘍医によって、治療計画が、適用される全線量、線量位置または治療方式の代替案への変更の面で調節されるべきかどうかを決定するために使われる。代替案は、三次元原体照射療法、強度変調放射線療法(IMRT: intensity modulated radiation therapy)または他の好適な分割方式である。療法中にバイオマーカーをモニタリングすることにより、NTCPおよびTCPモデルが特定の患者に適応されることができる。
【0037】
引き続いて図2を参照するに、NTCPモデルが、最適化された線量修正因子がその後の反復工程でベースラインとして設定される逐次反復プロセスにおいて洗練される。まず、診断画像がCT、MRI、PET、SPECTまたは他の撮像モダリティを使ってステップ90で取得される。ステップ92では、標的が診断画像中で位置特定され、次いで能動的、受動的または内在的解剖学的マーカーといったいくつでもある手段を使って放射線送達システム40と位置合わせされる。ステップ94でバイオマーカーが評価される。バイオマーカーは生体外で、患者履歴、既往データ、質量分析タンパク質シグネチャなどに基づいて測定されることができる。個々のバイオマーカーに値が割り当てられ、それらのバイオマーカーは次いで、ステップ96で最適化された線量修正因子を計算するために使われる。最初の反復工程(i=1)では、利用可能な先行する線量修正因子がないので、線量修正因子は初期ベースラインに基づく。その線量修正因子は次いで、ステップ94からの患者固有バイオマーカーに応答して、ステップ98でEUDNTCPモデルに重み付けするために使われる。患者固有EUDNTCPモデルはステップ100でNTCPモデルの計算において使われる。次いで、NTCPモデルがコンソール80のグラフィック・ディスプレイ上にTCPとともに出力102され(図4および図5)、NTCPとTCPがステップ104のように比較される。すると、放射線腫瘍医は、ステップ106で、放射線療法計画への最適化が必要とされているかどうかを決定する。そのような調整は、適用される全線量、線量の位置を調整する、あるいは治療レジメンをIMRT、3D原体照射療法もしくは他の分割方式といった別のものに変えることを含みうる。ステップ108では、ある放射線量が、最適化された放射線計画によって規定されるように、標的にあてがわれる。最適化された線量修正因子は、ステップ110においてベースラインとして設定され、治療がそれ以上必要ないと放射線腫瘍医が決定するまで、最適化は繰り返される。
【0038】
引き続いて図3を参照するに、TCPモデルが、最適化された線量修正因子がその後の反復工程でベースラインとして設定される逐次反復プロセスにおいて洗練される。まず、診断画像がCT、MRI、PET、SPECTまたは他の撮像モダリティを使ってステップ120で取得される。ステップ122では、標的が診断画像中で位置特定され、次いで能動的、受動的または内在的解剖学的マーカーといったいくつでもある手段を使って放射線送達システム40と位置合わせされる。ステップ124でバイオマーカーが評価される。バイオマーカーは生体外で、患者履歴、既往データ、質量分析タンパク質シグネチャなどに基づいて測定されることができる。個々のバイオマーカーに値が割り当てられ、それらのバイオマーカーは次いで、ステップ126で最適化された線量修正因子を計算するために使われる。最初の反復工程(i=1)では、利用可能な先行する線量修正因子がないので、線量修正因子は初期ベースラインに基づく。その線量修正因子は次いで、ステップ124からの患者固有バイオマーカーに応答して、ステップ128でEUDTCPモデルに重み付けするために使われる。患者固有EUDTCPモデルはステップ130でTCPモデルの計算において使われる。次いで、TCPモデルがコンソール80のグラフィック・ディスプレイ上にTCPとともに出力132され(図4および図5)、NTCPとTCPがステップ134のように比較される。すると、放射線腫瘍医は、ステップ136で、放射線療法計画への最適化が必要とされているかどうかを決定する。そのような調整は、適用される全線量、線量の位置を調整する、あるいは治療レジメンをIMRT、3D原体照射療法もしくは他の分割方式といった別のものに変えることを含みうる。ステップ138では、ある放射線量が最適化された放射線計画によって規定されるように、標的にあてがわれる。最適化された線量修正因子は、ステップ140においてベースラインとして設定され、治療がそれ以上必要ないと放射線腫瘍医が決定するまで、最適化は繰り返される。
【0039】
図4を参照するに、放射線腫瘍医による目視のためにコンソール80のグラフィカル・インターフェースに出力される初期または治療前NTCPモデル150およびTCPモデル152のグラフの例が示されている。NTCPモデルは、NTCPとTCPの間の差154を最大にするよう最適化される。図5に示される、最適化されたNTCPモデルは、TCP 158がモデル化され、最適化されたNTCPモデルとTCPの間のより大きな差160を与える最適化されたNTCPモデル156を示している。治療は健康な組織に炎症を起こす傾向がある。放射線療法の間、NTCP曲線は、患者の組織反応に基づいて再び最適化される。図6の例では、以前に最適化されたNTCPは、さまざまな周辺組織についての、それぞれの炎症の度合いについて修正されたバイオマーカーを用いて再最適化されて、再最適化されたNTCP 162を生成する。再最適化されたNTCPは、正常組織に対する放射線暴露が少なくなるものである。一方、新しいTCP 164は以前のTCP 158より大きく、差166はより小さく、その結果、健康な組織だけでなく病変組織へも放射線暴露が増加する。このようにして、標的領域に隣接する組織への治療によって誘起されたまたはその他の変化に対応するため、放射線量は治療セッションによって変わりうる。
【0040】
もう一つの実施形態では、患者固有の線量修正因子gNTCPおよびgTCPは各ボクセルまたはボクセル群について計算される。結果として得られるEUDの式は次のようになる。
【0041】
【数5】

ここで、giおよびgjは各サブボリュームについての線量修正因子である。たとえば、EUDは腎臓のような関心領域の複数のサブボリュームについて計算されることができる。さらに、関心領域を横断してEUDをグラフィカルに描く画像表現が再構成されることができる。これにより、放射線送達システムが局所化された線量を送達することができる。
【0042】
もう一つの実施形態では、非反復的な患者固有の適応的放射線療法計画が生成される。ある線量の放射線を投与する前に少なくとも一つの測定された患者固有のバイオメーカーを用いて通常のNTCPモデルおよび/またはTCPモデルを修正することによって、初期放射線療法計画が生成される。通常のNTCPおよび/またはTCPモデルは従来技術において既知の方法を使って生成され、次いで患者固有のバイオマーカーに関連する値によって数学的に修正される。初期およびその後の線量の放射線は、上記の初期放射線療法計画に基づいて投与される。あるいは、上述したようにその後のセッションにおいて修正されてもよい。
【0043】
もう一つの実施形態では、通常の放射線療法計画が、通常のNTCPおよび/またはTCPモデルに基づいて生成される。通常のNTCPおよび/またはTCPモデルは従来技術において既知の方法を使って生成される。通常の放射線療法計画に基づいて、初期線量の放射線が標的領域に投与される。少なくとも一つの患者固有のバイオメーカーに基づいて通常のNTCPおよび/またはTCPモデルを修正することによって、修正された放射線療法計画が生成される。患者固有のバイオマーカーに値が関連付けられ、通常のNTCPおよび/またはTCPモデルを数学的に修正するために使われる。修正された放射線療法計画は、逐次反復プロセスにおいて洗練される。該プロセスでは、連続する放射線量の間でバイオマーカーがモニタリングされ、修正されたNTCPおよび/またはTCPモデルが以前の測定と現在の測定との間の差に基づいて更新される。すなわち、最初の反復工程では通常のNTCPおよび/またはTCPモデルを使ってある線量の放射線が投与される。第二の反復工程では、通常のNTCPおよび/またはTCPモデルが、少なくとも一つの測定されたバイオマーカーに基づいて修正され、第二の線量の放射線が、修正されたNTCPおよび/またはTCPモデルに基づいて適用される。その後の反復工程では、以前に測定されたバイオマーカーと現在の測定されたバイオマーカーとの間の数学的な関係に基づいて、修正されたNTCPおよび/またはTCPモデルがさらに洗練される。
【0044】
もう一つの実施形態では、通常の放射線療法計画が通常のNTCPおよび/またはTCPモデルに基づいて生成される。通常のNTCPおよび/またはTCPモデルは従来技術における既知の方法を使って生成される。通常の放射線療法計画に基づいて、初期線量の放射線が標的領域に投与される。前記初期線量の放射線を投与するのに先立って、少なくとも一つの初期バイオマーカーが測定される。更新されたバイオマーカーと前記初期バイオマーカーとの間の数学的関係に基づいて通常のNTCPおよび/またはTCPモデルを修正することによって、修正された放射線療法計画が生成される。修正された放射線療法計画は、逐次反復プロセスにおいて洗練される。該プロセスでは、連続する放射線療法セッションの間でバイオマーカーが更新される。さらに明確にされると、最初の反復工程では、通常のNTCPおよび/またはTCPモデルを使ってある線量の放射線が投与され、初期バイオマーカーが生成される。第二の反復工程では、通常のNTCPおよび/またはTCPモデルが、更新されたバイオマーカーと前記初期バイオマーカーとの間の関係に基づいて修正され、第二の線量の放射線が、修正されたNTCPおよび/またはTCPモデルに基づいて適用される。その後の反復工程では、修正されたNTCPおよび/またはTCPモデルは、以前に測定されたバイオマーカーと現在の測定されたバイオマーカーとの間の数学的な関係に基づいてさらに洗練される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者固有の療法計画を生成する方法であって:
(a)初期療法計画を生成する段階と;
(b)前記初期療法計画に基づいて療法を施す段階とを含み、
前記初期療法計画は患者の少なくとも一つのバイオマーカーの値に基づく、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、さらに:
(c)測定されたバイオマーカーの更新された値に基づいて、修正された療法計画を生成する段階と;
(d)前記修正された療法計画に基づいて療法を施す段階とを含み、
前記初期療法計画および前記修正された療法計画のうち少なくとも一方が、患者の少なくとも一つのバイオマーカーの値もしくは更新された値に基づく、
方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の方法であって、前記患者固有のバイオマーカーが、健康な組織および癌性組織の当該療法に対する感受性の少なくとも一つに関連付けられており:
前記患者固有のバイオマーカーに値を関連付ける段階をさらに含む、
方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちいずれか一項記載の方法であって、
前記患者固有のバイオマーカーが生体外試験値、質量分析タンパク質シグネチャ、既往データおよび患者履歴のうちから選ばれる、
方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法であって、
生体外試験を実行して、細胞、プロテオームおよび遺伝子起源の生体外試験値を決定し、前記生体外試験は、細胞計数、Hb、CRP、PSA、TNF-α、フェリチン、トランスフェリン、LDH、IL-6、ヘプシジン、クレアチニン、グルコース、HbA1c、DNA末端結合複合体(DNA-EBC)、HIF-1α、ガレクチン-1、CAP43およびNDRG1および/またはテロメア長を含む、方法。
【請求項6】
請求項4記載の方法であって、既往データおよび患者履歴バイオマーカーは、腫瘍種別、腫瘍等級、腫瘍病期、原発腫瘍部位、グリーソン・スコア、増殖性細胞アッセイ、以前の治療、以前の腹部外科手術、ホルモン投与、抗凝血剤投与、糖尿病、年齢および/または腫瘍の生長に関係した手段を含む、方法。
【請求項7】
請求項2ないし6のうちいずれか一項記載の方法であって、前記療法計画は、等価均一線量(EUD)関数を用いて表される正常組織障害発生確率(NTCP)モデルに基づいて生成され、ステップ(d)はさらに:
スカラー値を用いて前記EUD関数を修正する段階を含む、
方法。
【請求項8】
請求項2ないし7のうちいずれか一項記載の方法であって、前記療法計画は、等価均一線量(EUD)関数を用いて表される腫瘍制御確率(TCP)モデルに基づいて生成され、ステップ(d)はさらに:
スカラー値を用いて前記EUD関数を修正する段階を含む、
方法。
【請求項9】
請求項7または8記載の方法であって、前記スカラー値が線量修正因子であり、当該方法がさらに:
治療に先立って初期に前記線量修正因子を設定する段階と;
段階(a)および(c)において生成されるバイオマーカーの値の間の数学的な関係に基づいて前記線量修正因子を修正する段階とを含む、
方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法であって、第二のNTCPモデルが:
【数6】

によって決定され、ここで、
【数7】

であり、TDZはリスク障害発生のZ%の可能性を与える線量であり、Diは標的領域の体積Viへの物理的な線量であり、VTOTは評価される総器官体積であり、M1、M2、……は第一の組のバイオマーカーであり、ΔM1、ΔM2、……は第一の組のバイオマーカーと第二の組のバイオマーカーの間の差であり、gNTCPは前記バイオマーカーおよびバイオマーカーの差に基づいて評価されたスカラーであり、nは最大線量の場合の0と最小線量の場合の1との間で変化する、
方法。
【請求項11】
請求項9記載の方法であって、第二のNTCPモデルが:
【数8】

によって決定され、ここで、
【数9】

であり、TDZはリスク障害発生のZ%の可能性を与える線量であり、Djは標的領域の体積Vjへの物理的な線量であり、VTOTは評価される総器官体積であり、L1、L2、……は第一の組のバイオマーカーであり、ΔL1、ΔL2、……は第一の組のバイオマーカーと第二の組のバイオマーカーの間の差であり、gTCPは前記バイオマーカーおよびバイオマーカーの差に基づいて評価されたスカラーであり、nは最大線量の場合の0と最小線量の場合の1との間で変化する、
方法。
【請求項12】
請求項2ないし11のうちいずれか一項記載の方法であって、さらに:
前記標的領域の画像を取得する段階と;
前記標的領域をセグメンテーションする段階と;
前記第一のNTCPモデルを決定する段階と;
前記第一のTCPモデルを決定する段階と;
前記診断画像中の前記標的領域を療法送達システムに位置合わせする段階と;
段階(a)〜(d)を実行する段階と;
前記標的領域を位置合わせし直す段階と;
段階(c)〜(d)を繰り返す段階とを含む、
方法。
【請求項13】
請求項1ないし12のうちいずれか一項記載の方法であって、さらに:
前記初期療法計画を生成するのに先立って、一組の患者固有バイオマーカーを決定し、前記一組のバイオマーカーに基づいて前記標的領域の正常組織障害発生確率(NTCP)モデルを決定する段階と;
複数のその後の治療セッションにおいて、前記NTCPモデルに基づく手順を用いて前記標的領域に療法を施す段階とを含む、
方法。
【請求項14】
請求項1ないし12のうちいずれか一項記載の方法であって、さらに:
前記初期療法計画を生成するのに先立って、一組の患者固有バイオマーカーを決定し、前記一組のバイオマーカーに基づいて前記標的領域の腫瘍制御確率(TCP)モデルを決定する段階と;
複数のその後の治療セッションにおいて、前記TCPモデルに基づく手順を用いて前記標的領域に療法を施す段階とを含む、
方法。
【請求項15】
請求項2ないし14のうちいずれか一項記載の方法であって、さらに:
(a)前記初期療法計画を生成するのに先立って、第一の正常組織障害発生確率(NTCP)モデルおよび第一の腫瘍制御確率(TCP)モデルを決定する段階と;
(b)前記第一のNTCPモデルおよび前記第一のTCPモデルに基づく手順を用いて前記標的領域に第一の療法を施す段階と;
(c)一組の患者固有バイオマーカーを決定または更新する段階と;
(d)前記一組のバイオマーカーに基づいて前記標的領域の更新されたNTCPモデルおよび更新されたTCPモデルを決定する段階と;
(e)前記更新されたNTCPモデルおよび更新されたTCPモデルに基づいて、前記標的領域に第二の療法を施す段階と;
(f)その後の治療セッションのために前記NTCPモデルおよびTCPモデルをさらに修正するために段階(c)〜(e)を繰り返す段階とを含む、
方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法であって、さらに:
前記第一の線量の放射線を前記標的領域に施すのに先立って、初期の一組の患者固有のバイオマーカーを決定する段階を含む、
方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法であって、前記一組の患者固有のバイオマーカーおよび前記初期の一組の患者固有のバイオマーカーが互いに排反である、方法。
【請求項18】
請求項1ないし17のうちいずれか一項記載の方法を実行するようプロセッサを制御するプログラムを担持するコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
撮像スキャナと;
療法装置と;
グラフィック・ユーザー・インターフェースと;
請求項1ないし17のうちいずれか一項記載の方法を実行するよう放射線療法装置を制御するようプログラムされた計画立案プロセッサとを有する、
療法システム。
【請求項20】
(a)患者の少なくとも一つのバイオマーカーの値に基づく初期療法計画を生成する段階と;
(b)前記初期療法計画に基づいて標的に療法を施すよう療法装置を制御する段階とを実行するよう構成されたプロセッサ。
【請求項21】
請求項20記載のプロセッサであって:
(c)測定された患者固有のバイオマーカーの更新された値に基づいて、修正された療法計画を生成する段階であって、前記修正された療法計画は前記標的に最適化された線量の療法を施すよう前記療法装置を制御するよう構成されている、段階を実行するようさらに構成されており、
前記初期療法計画および前記修正された療法計画のうち少なくとも一方が、患者の少なくとも一つのバイオマーカーの値もしくは更新された値に基づく、
プロセッサ。
【請求項22】
請求項20または21記載のプロセッサであって:
第一の組の患者固有バイオマーカーを受領する段階と;
前記第一の組のバイオマーカーに基づいて標的の第一の正常組織障害発生確率(NTCP)モデルおよび第一の腫瘍制御確率(TCP)モデルのうちの少なくとも一つを生成する段階を実行するようさらに構成されており、
前記初期療法計画が前記第一のNTCPモデルおよび前記第一のTCPモデルのうちの少なくとも一つに基づく、プロセッサ。
【請求項23】
請求項21または22記載のプロセッサであって:
第二の組の患者固有バイオマーカーを受領する段階と;
前記第一の組および第二の組のバイオマーカーの間の関係に基づいて第二のNTCPモデルおよび第二のTCPモデルのうちの少なくとも一つを生成する段階を実行するようさらに構成されており、
前記修正された療法計画が前記第二のNTCPモデルおよび前記第二のTCPモデルのうちの少なくとも一つに基づく、プロセッサ。
【請求項24】
請求項20ないし23のうちいずれか一項記載のプロセッサであって、さらに:
(a)前記初期療法計画を生成するのに先立って、第一の正常組織障害発生確率(NTCP)モデルおよび第一の腫瘍制御確率(TCP)モデルのうちの少なくとも一方を決定する段階と;
(b)前記第一のNTCPモデルおよび前記第一のTCPモデルのうちの少なくとも一方に基づく手順を用いて前記標的領域に第一の療法セッションを行う段階と;
(c)一組の患者固有バイオマーカーを決定または更新する段階と;
(d)前記一組のバイオマーカーに基づいて前記標的領域の前記第一のNTCPモデルおよび前記第一のTCPモデルのうちの少なくとも一方を更新する段階と;
(e)前記更新されたNTCPモデルおよびTCPモデルのうちの少なくとも一方に基づいて、前記標的領域に第二の療法セッションを行う段階と;
(f)その後の治療セッションのために前記NTCPモデルをさらに修正するために段階(c)〜(e)を繰り返す段階とを実行するよう構成されている、
プロセッサ。
【請求項25】
標的領域への放射線療法の患者固有の適応的な送達の方法であって:
(a)第一の組の患者固有のバイオマーカーを決定する段階と;
(b)前記第一の組のバイオマーカーに基づいて標的の第一の正常組織障害発生確率(NTCP)モデルおよび第一の腫瘍制御確率(TCP)モデルのうちの少なくとも一方を決定する段階と;
(c)前記第一のNTCPモデルおよび前記第一のTCPモデルのうちの少なくとも一方に基づく手順を用いて前記標的領域に第一の線量の放射線を投与する段階と;
(d)ある線量の放射線を前記標的領域に投与したのち、第二の組の患者固有のバイオマーカーを決定する段階と;
(e)前記第一および第二の組のバイオマーカーの間の関係に基づいて第二のNTCPモデルおよび第二のTCPモデルのうちの少なくとも一方を決定する段階と;
(f)前記第二のNTCPモデルおよび第二のTCPモデルのうちの少なくとも一方に基づいて前記標的領域に第二の線量の放射線を投与する段階とを含む、
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−521792(P2012−521792A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501427(P2012−501427)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050732
【国際公開番号】WO2010/109357
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】