説明

マーキング装置

【課題】加工サイクルを大幅に短縮する。
【解決手段】 ワークWに所定情報をマーキングするマーキング装置であって、マーキングヘッド1の送り量誤差を解消するために当該マーキングヘッド1をマーキング位置から基準位置へ戻すX−Y送りテーブル21を備えている。コントローラは、マーキング位置から基準位置へのマーキングヘッド1の後退と、基準位置からマーキング位置へのマーキングヘッド1の前進をワークWの加工時間内に行うようにX−Y送りテーブル21を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマーキング装置に関し、特に、ワークに品質管理等のための二次元コードや文字等を直接マーキングするマーキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のマーキング装置として、マーキングペンによってワークに二次元コードや文字等の所定情報を直接打刻するものが知られている。この場合、マーキングヘッドをパルスモータ駆動のX−Y送りテーブル等によって、加工を終えたワークの所定部に対向するマーキング位置へ移動させ、マーキングヘッドのスタイラスを作動させて上記所定部に打刻マーキングを行っている。なお、特許文献1には打刻マーキング装置の一例が開示されている。
【特許文献1】特開2002−347394
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来は図3に示すように、各加工サイクルにおいて、ワークの加工(計測等を行う場合を含む)が終了した後に、マーキングヘッドをマーキング位置へ前進させて打刻を行い、その後、カウンタでの送り量誤差が累積されるのを防止するために、マーキングヘッドを、機械的ストッパを設けた基準位置へ後退させて送り量カウンタのリセットを行なっている。このため、次の加工を始めるまでのアイドルタイムT3が長くなり、加工時間T1とアイドルタイムT3を足した加工サイクルが延びて生産効率が悪いという問題があった。
【0004】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、加工サイクルを大幅に短縮することができるマーキング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明では、ワーク(W)に所定情報をマーキングするマーキング装置であって、マーキングヘッド(1)の送り量誤差を解消するために当該マーキングヘッド(1)をマーキング位置から基準位置へ戻すヘッド送り手段(21,3)を備えるマーキング装置において、マーキング位置から基準位置へのマーキングヘッド(1)の後退と、基準位置からマーキング位置へのマーキングヘッド(1)の前進をワーク(W)の加工時間(T1)内に行うようにヘッド送り手段(21,3)を設定する。
【0006】
本発明においては、マーキング位置から基準位置へのマーキングヘッドの後退と、基準位置からマーキング位置へのマーキングヘッドの前進がワークの加工時間内に行われるから、次の加工を始めるまでのアイドルタイムはマーキングための時間のみとなってアイドルタイムが短かくなる。これにより、加工サイクルが短縮され、加工効率が大幅に向上する。
【0007】
なお、上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明のマーキング装置によれば、加工サイクルを大幅に短縮して生産効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1には打刻マーキング装置の構成の一例を示す。図1において、マーキングヘッド(エアペン)1は圧縮空気圧によって振動させられるスタイラスを内蔵しており、このスタイラスの作動によってワークWの所定部表面に二次元コード等が打刻される。マーキングヘッド1の基端は本体2内に設けたX−Y送りテーブル21に支持されており、マーキングヘッド1は送りテーブル21によってワークW表面に沿う水平面内を、上記ワークWの所定部に対向するマーキング位置と、機械的ストッパを設けた基準位置との間で移動可能である。本体2内の通信インターフェース22はコントローラ3に接続されている。当該コントローラ3はシーケンサ4からの指令に基づき、通信インターフェース22を介してX−Y送りテーブル21のパルスモータを駆動して、マーキングヘッド1を上記マーキング位置と基準位置との間で移動させるとともに、マーキング位置にて、スタイラスへの圧縮空気の供給とマーキングヘッドの移動を制御して、ワークW表面に所定の二次元コード等を打刻させる。
【0010】
本実施形態において、シーケンサ4の指示に基づく加工サイクルは図2に示すように行われる。すなわち、図2において、ワークの加工(計測等を行う場合を含む)が始まると、マーキング位置にあるマーキングヘッド1が基準位置へ後退させられて、この状態でコントローラ3内の送り量カウンタがリセットされる。その後、マーキングヘッド1は再びマーキング位置へ前進させられる。これらの行程はワークWの加工時間T1内に終了される。ワークWの加工が終わると、即座に打刻が行われる。打刻が終了すると、次の加工サイクルが開始される。
【0011】
このように本実施形態においては、マーキング位置から基準位置へのマーキングヘッド1の後退と、基準位置からマーキング位置へのマーキングヘッド1の前進がワークWの加工時間T1内に行われるから、次の加工を始めるまでのアイドルタイムT2は打刻のための時間のみとなってアイドルタイムT2が短かくなる。これにより、加工サイクルが短縮され、加工効率が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を示す、マーキング装置の全体構成図である。
【図2】本発明のマーキング装置の加工タイムチャートである。
【図3】従来のマーキング装置の加工タイムチャートである。
【符号の説明】
【0013】
1…マーキングヘッド、2…本体、21…X−Y送りテーブル、3…コントローラ、4…シーケンサ、W…ワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに所定情報をマーキングするマーキング装置であって、マーキングヘッドの送り量誤差を解消するために当該マーキングヘッドをマーキング位置から基準位置へ戻すヘッド送り手段を備えるマーキング装置において、前記マーキング位置から前記基準位置への前記マーキングヘッドの後退と、前記基準位置から前記マーキング位置への前記マーキングヘッドの前進をワークの加工時間内に行うように前記ヘッド送り手段を設定したことを特徴とするマーキング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−212900(P2006−212900A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27163(P2005−27163)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(591172054)株式会社明和eテック (24)
【出願人】(505043410)ベクトル株式会社 (1)