説明

マークシート及び読取装置

【課題】回答欄を自由に配置できると共に、マーキングが簡易となるマークシートを提供する。
【解決手段】用紙20と、用紙20に印刷された複数の選択肢A,B,Cと、用紙20に印刷され、複数の選択肢A,B,Cに対応してそれぞれ配置された一対の分離された書込端子WT1,WT2と、用紙20に印刷され、書込端子WT1,WT2に繋がる配線W1,W2,W3と、用紙20に印刷され、配線W1,W2,W3の端部に繋がって配置された複数の読取端子RT1,RT2,RT3とを含み、書込端子WT1,WT2、配線W1,W2,W3及び読取端子RT1,RT2,RT3は導電性物質から印刷され、一対の書込端子WT1,WT2を筆記用具の黒鉛芯で繋げて電気的に接続することにより選択肢A,B,Cを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマークシート及び読取装置に係り、さらに詳しくは、回答用紙やアンケート用紙などに適用できるマークシート及びそのデータを読み取るための読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回答用紙やアンケート用紙などに適用されるマークシートがある。図1には回答用紙としてのマークシートの一例が示されている。図1に示すように、マークシートでは、用紙100に、質問番号欄200とそれらに対応する長円状の複数のマーク部300が配置された回答欄400とが印刷されており、各質問に対して回答欄400のマーク部300を選択して鉛筆で塗りつぶして回答する。
【0003】
回答されて回収されたマークシートでは、光学式の読取装置によって反射率の違いから各回答欄400のマーク部300の塗りつぶしの有無が判断される。マークシートの端部には位置合わせマークMが印刷されており、回答欄400の塗りつぶされたマーク部300の位置が位置合わせマークMを基準位置として相対的に特定される。
【0004】
特許文献1には、任意の設問数及び選択肢に対応できるマークシート答案を作成するためのマークシートの作成プログラムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−90455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来技術のマークシートを使用する場合、位置合わせマークM及び塗りつぶされたマーク部300を読取装置によって選択的に検出する必要があることから、検出領域内の質問番号欄200及び回答欄400(マーク部300)は薄く印刷する必要がある。
【0007】
従って、回答欄400が印刷された用紙100に質問の記載を濃く印刷することは困難であるため、質問の内容と回答欄を別の用紙に分けて記載することが多い。このため、質問の内容と回答欄が離れてしまうので、質問番号とは違う回答欄400のマーク部300を間違って塗りつぶすことがある。
【0008】
図1の例では、回答欄400のA、B、Cのいずれかのマーク部300を鉛筆で塗りつぶして回答する。このとき、塗りつぶしがマーク部300からはみ出したり、十分でなかったり、マーク部300の周囲が汚れたりすると誤検知することがあり、丁寧な塗りつぶし作業を強いられ、記入や修正に時間がかかってしまう。
【0009】
さらには、光学式の読取装置は、マークシートの位置合わせマークMを検出すると共に、回答欄400の塗りつぶされたマーク部300を検出する必要があるため、マークシートの短辺より広い読取幅を有する必要があり、手帳サイズのような小型化が困難である。
【0010】
また、従来技術のマークシートでは、折りじわが回答欄400のマーク部300の位置精度に影響するため、厚手の専用用紙を使用したり、用紙の角部を丸めたり、用紙サイズを小さくしたりするなどの制限が必要となる。
【0011】
また、マークシートの回答欄400の全体を読取装置に配置してデータを検出するので、読取装置にマークシートをセットした状態で回答を行うことは不可能である。マークシートに回答を書きこみながら読取ができるシステムが求められている。
【0012】
本発明は以上の課題を鑑みて創作されたものであり、回答欄を自由に配置できると共に、マーキングが簡易となるマークシート及び小型化を図れる読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明はマークシートに係り、用紙と、前記用紙に印刷された複数の選択肢と、前記用紙に印刷され、前記複数の選択肢にそれぞれ対応して配置された一対の分離された書込端子と、前記用紙に印刷され、前記書込端子に繋がる配線と、前記用紙に印刷され、前記配線の端部に繋がって配置された読取端子とを有し、前記書込端子、前記配線及び前記読取端子は導電性物質から印刷され、前記一対の書込端子を筆記用具の黒鉛芯で繋げて電気的に接続することにより前記選択肢を選択することを特徴とする。
【0014】
本発明のマークシートでは、回答用の複数の選択肢に対応して一対の分離された書込端子がそれぞれ印刷されている。さらに、各書込端子に繋がる配線と、配線の端部に繋がる読取端子が用紙に印刷されている。書込端子、配線及び読取端子は導電性物質から印刷される。好適には、普通紙にレーザプリンタなどによって書込端子、配線及び読取端子が印刷される。
【0015】
そして、質問に対して回答する際に、選択する選択肢に対応する一対の書込端子を鉛筆などで線を引いて繋げる。鉛筆の芯は導電性の黒鉛からなるので、一対の書込端子が電気的に接続され、選択した一対の書込端子に繋がる各配線は一本の配線となる。
【0016】
選択した選択肢に対応する配線の端部の一対の読取端子の間で導通チェックすると、導通していることが確認されるので、その選択肢を選択したことが分るようになっている。
【0017】
選択しなかった選択肢では、一対の書込端子はオープンとなってそれらに繋がる配線は導通しないので選択されていないことが分る。
【0018】
本発明では、従来技術と違って光学式の読取装置を使用しないので、一枚の用紙に選択肢の他に質問の内容を一緒に印刷するも可能である。このため、質問番号とは違う回答欄に間違えて回答するおそれがない。
【0019】
また、破断している一対の書込端子を鉛筆などで線を引いて繋げるだけで済むので、丁寧な塗りつぶし作業を強いられることもなく,記入や修正に時間がかからなくなる。
【0020】
また、マークシートの読取端子を一端側の読取領域にまとめて配置できるので、各種の用紙の自由な位置に選択肢(回答欄)を配置することができる。さらには、用紙を折ったり、丸めたりすることも可能である。
【0021】
また、上記課題を解決するため、本発明は読取装置に係り、上記したマークシートの前記読取端子に接続して情報を読み取る読取装置であって、筐体と、前記筐体の一方の面に露出して配置され、前記読取装置を前記マークシートに配置する際に、前記複数の読取端子に対応して接触する複数の電極と、前記筐体に設けられ、前記複数の電極に接続されて前記複数の読取端子の中の一対の前記読取端子の間の導通チェックを行う導通チェック部と、前記筐体に設けられ、前記導通チェック部で得られたデータを計算機に送信するデータ送信部とを有することを特徴とする。
【0022】
本発明の読取装置の電極を上記したマークシートの読取端子に接触されて配置し、複数の読取端子の中の一対の読取端子の間で導通チェックを順次(又は同時に)行うことにより、各質問に対してどの選択肢を選択したかを容易に判断することができる。
【0023】
本発明の好適な態様では、マークシートの一端側に配置された読取領域に読取装置が配置されるので、従来技術と違ってマークシート短辺と同一幅の読取装置を使用する必要はなく、読取領域に対応する大きさに小型化することができる。
【0024】
また、マークシートが配置される支持板の一端にクリップ機能をもたせた読取装置を取り付け、マークシートを読取装置で挟んで固定することができる。このようにすることにより、回答中にマークシートのデータを読取装置で読み取り、計算機でデータ処理できるので、マークシートを使用して装置の組み立てなどの確認する際に、作業の途中でデータをフィードバックすることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、各種の用紙に回答欄を自由に配置できると共に、マーキングが簡易となり、読取装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は従来技術のマークシートの一例を示す平面図である。
【図2】図2は本発明の実施形態のマークシートを示す平面図である。
【図3】図3は本発明の実施形態のマークシートにおいて回答Aを選択した様子を示す部分平面図である。
【図4】図4は本発明の実施形態のマークシートにおける回答が5択又は7択の場合の配線接続の様子を示す平面図である。
【図5】図5は本発明の実施形態の読取装置を示す平面図である。
【図6】図6は図2のマークシートの読取領域に図5の読取装置を配置した様子を示す部分平面図である。
【図7】図7は読取装置のデータが計算機に送信される様子を示す図である。
【図8】図8は本発明の実施形態の変形例の読取装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0028】
図2は本発明の実施形態のマークシートを示す平面図である。図2に例示するように、本発明の実施形態のマークシート10は質問付きの回答用紙であり、用紙20に、6つの質問1〜6が印刷されており、各質問1〜6の下にそれぞれ回答欄1A〜6Aが印刷されている。各質問1〜6には3つの回答A,B,C(選択肢)がそれぞれ用意されている。
【0029】
質問1の回答欄1Aに注目すると、各回答A,B,Cの向かって左側には、分離された一対の書込端子WT1,WT2が縦方向にそれぞれ配置されている。回答Aの上側の書込端子WT1は第2配線W2に繋がっており、第2配線W2は用紙20の左端中央部に設けられた読取領域Rまで延在し、読取領域Rに第2配線W2の端部に繋がる読取端子RT2が配置されている。
【0030】
また、回答Aの下側の書込端子WT2は第3配線W3に繋がっており、第3配線W3は同様に用紙20の読取領域Rまで延在し、読取領域Rに第3配線W3の端部に繋がる読取端子RT3が配置されている。
【0031】
回答Bの上側の書込端子WT1は第1配線W1に繋がっており、第1配線W1は同様に用紙20の読取領域Rまで延在し、読取領域Rに第1配線W1の端部に繋がる読取端子RT1が配置されている。
【0032】
また、回答Bの下側の書込端子WT2は、回答Aの上側の書込端子WT1に接続された第2配線W2に繋がっており、第2配線W2を介して読取領域Rの読取端子RT2に繋がっている。つまり、第2配線W2は回答Aの上側の書込端子WT1と回答Bの下側の書込端子WT2に繋がる共通配線となっている。
【0033】
さらに、回答Cの上側の書込端子WT1は回答Bの上側の書込端子WT1に接続された第1配線W1に繋がっており、第1配線W1を介して読取領域Rに配置された読取端子RT1に繋がっている。つまり、第1配線W1は回答B及び回答Cの上側の各書込端子WT1に繋がる共通配線となっている。
【0034】
また、回答Cの下側の書込端子WT2は回答Aの下側の書込端子WT2に接続された第3配線W3に繋がっており、第3配線W3を介して読取領域Rに配置された読取端子RT3に繋がっている。つまり、第3配線W3は回答A及び回答Cの下側の各書込端子WT2に繋がる共通配線となっている。
【0035】
質問2〜6の各回答欄2A〜6Aにおいても、各回答A,B,Cの左側に同様な一対の書込端子がそれぞれ配置されており、各配線を介して読取領域Rに配置された読取端子に接続されている。質問2〜6の各回答欄2A〜6Aにおいても、書込端子、各配線及び読取端子の接続経路は基本的に同一であるのでその説明を省略する。
【0036】
また、用紙20の読取領域Rの上側には四角状の第1位置合わせマークM1が印刷されている。第1位置合わせマークM1は第4配線W4を介して読取端子RT1に接続されている。さらに、第1位置合わせマークM1から第5配線W5が読取領域Rの下側まで延在しており、その先端に導通チェック用端子CTが配置されている。
【0037】
また、用紙20の読取領域Rの下側には下方向を指す矢印が印刷されており、この矢印が第2位置合わせマークM2となっている。
【0038】
本実施形態のマークシート10では、全ての記載が用紙20にレーザプリンタで印刷され、印字自体が導電性を有するカーボンブラック(黒鉛質の微粒子)からなる。コスト的に有利なレーザプリンタを使用することが好ましいが、各種の方法で導電性物質を用紙20に印刷して同様なマークシート10を作成してもよい。
【0039】
用紙20としては、厚手の専用用紙を使用する必要はなく、薄くて柔らかい普通紙(一般紙)を使用することができる。
【0040】
図2に図3を加えて参照すると、質問1において回答Aを選択する場合は、回答Aの上側の書込端子WT1と下側の書込端子WT2との間に鉛筆(筆記用具)の黒鉛芯で繋ぎ線Lを書き込むことにより、第2配線W2と第3配線W3を繋げる。
【0041】
これにより、第2配線W2と第3配線W3とは導電性の鉛筆の黒鉛によって繋がって実質的に一本の導通した配線となる。鉛筆の他に黒鉛芯を突出させて記載するシャープペンシルなどの筆記用具を使用することができる。
【0042】
従って、第2配線W2の読取端子RT2と第3配線W3の読取端子RT3との間で導通チェックすると、導通していることが確認できるので、回答者が質問1において回答Aを選択したことを判断することができる。
【0043】
また、回答者が回答Bを選択した場合は、同様に、第1配線W1の読取端子RT1と第2配線W2の読取端子RT2との間で導通することから、回答Bを選択したことを判断することができる。あるいは、回答者が回答Cを選択した場合は、第1配線W1の読取端子RT1と第3配線W3の読取端子RT3との間で導通することから、回答Cを選択したことを判断することができる。
【0044】
本実施形態のマークシートでは、配線数を減らすために一本の配線を複数の書込端子に接続させて共通配線としている。
【0045】
図2に例示したマークシート10のように3つの選択肢(回答A,B,C)がある場合は、共通配線を使用することにより、書込端子WT1,WT2の総数(6つ)より少ない3本の配線W1,W2,W3で構成することができる。
【0046】
図4(a)に示すように、1つ質問に対して5つの選択肢(回答A,B,C,D,E)がある場合は、共通配線を使用することにより、4本の配線W1〜W4で構成することが可能になる。第1配線W1は回答A、回答D及び回答Eの上側の各書込端子WT1に接続される共通配線となっている。第2配線W2は、回答Aの下側の書込端子WT2と回答Bの上側の書込端子WT1に接続される共通配線となっている。
【0047】
第3配線W3は回答Bの下側の書込端子WT2、回答Cの上側の書込端子WT1及び回答Dの下側の書込端子WT2に接続される共通配線となっている。第4配線W4は、回答C及び回答Eの下側の各書込端子WT2に接続される共通配線となっている。
【0048】
また、図4(b)に示すように、1つの質問に対して7つの選択肢(回答A,B,C,D,E,F,G)がある場合は、同様に共通配線を使用することにより、5本の配線W1〜W5で構成することが可能である。
【0049】
第1配線W1は回答Aと回答Gの上側の各書込端子WT1に接続される共通配線となっている。第2配線W2は、回答Aの下側の書込端子WT1と、回答B、回答E及び回答Fの上側の各書込端子WT1に接続される共通配線となっている。
【0050】
第3配線W3は、回答Bの下側の書込端子WT2及び回答Cの上側の書込端子WT1に接続される共通配線となっている。第4配線W4は、回答Cの下側の各書込端子WT2、回答Dの上側の書込端子WT1、及び回答Eの下側の書込端子WT2に接続される共通配線となっている。第5配線W5は、回答D、回答F及び回答Gの下側の各書込端子WT2に接続される共通配線となっている。
【0051】
このように、共通配線を使用することにより、一対の書込端子WT1,WT2に対して1:1に対応するように2本の配線をそれぞれ独立させて接続する必要がないので、配線の数(読取端子の数)を書込端子の総数より少なくすることができる。
【0052】
なお、選択肢が少ない場合や配線数が多くなっても差し支えない場合は、回答(選択肢)ごとに2本の配線を配置してもよいが、選択肢の数の2倍の配線数が必要になるため、共通配線を使用することが肝要である。
【0053】
本実施形態のマークシート10では、上記した原理によって以下に説明する読取装置を使用することにより、回答者が選択した回答をマークシートから容易に判断することができる。本実施形態のマークシート10では、質問と回答欄を同一の用紙に印刷できるので、質問番号とは違う回答欄に間違えて回答するおそれがない。なお、質問と回答欄を別の用紙に分離して印刷しても差し支えない。
【0054】
あるいは、質問の記載が回答欄に接触する場合は、質問の記載をインクジェットプリンタなどで導電性をもたないインクで重ねて印刷してもよい。つまり、本実施形態のマークシート10では、少なくとも、書込端子WT1,WT2、配線(W1,W2、W3…)、及び読取端子(RT1…)が導電性物質から印刷されていればよい。
【0055】
また、回答データはマークシート10の一端側にまとめて配置された読取領域Rから読み取られるので、回答欄を自由な位置に配置することができる。
【0056】
また、特殊な印刷装置や用紙を使用することなく、普通紙にレーザプリンタで印刷してマークシートを作成できるので、マークシートを低コストで製造することができる。なお、用途に応じて、厚手の用紙や特殊な大きさの用紙を使用することは特に制限されない。
【0057】
また、回答欄(1A,2A…)の回答A,B,Cを選択するときに、破断している一対の書込端子WT1,WT2を鉛筆で線を引いて繋げるだけで済むので、丁寧な塗りつぶし作業を強いられることもなく、記入や修正に時間がかからなくなり、マーキングが簡易になる。
【0058】
また、本実施形態のマークシート10では、寸法精度を要する読取領域Rの面積が従来技術より格段に小さいので用紙20の伸縮やしわの影響を受けにくい。しかも、配線W1,W2,W3がレーザプリンタで印刷されて形成されるので、用紙20を折ったり、丸めたりすることも可能である。
【0059】
次に、前述したマークシートの回答結果を読み取るための読取装置について説明する。図5は本発明の実施形態の読取装置を示す模式図である。図5には本実施形態の読取装置の裏面側及び表面側の様子が描かれている。
【0060】
図5に示すように、本実施形態の読取装置30では、筐体32の裏面側には、前述したマークシート10の読取領域Rの複数の読取端子(RT1,RT2,RT3…)に対応する複数の電極34が並んで設けられている。また、読取装置30は複数の電極34と電気的に接続された導通チェック部36を備えている。
【0061】
後述するように読取装置30をマークシート10の読取領域Rに配置する際に、導通チェック部36によって、複数の電極34の中の一対の電極34の間で導通しているかオープンとなっているかの導通チェックが行われる。
【0062】
さらに、読取装置30は、導通チェック部36で判断した一対の電極34の間の導通チェックの各データを集計して計算機(データ処理システム)に送信するためのデータ送信部38を備えている。
【0063】
さらに、読取装置30の一端側には前述したマークシート10の導通チェック用端子CTに対応する導通チェック用電極40が設けられている。導通チェック用電極40は導通チェック部36に接続されている。後述するように読取装置30をマークシート10の読取領域Rに配置する際に、最上の電極34と導通チェック電極40との間で導通チェックが行われる。
【0064】
また、読取装置30の表面側の導通チェック用電極40の近傍にはインジケータ42が設けられている。後述するように読取装置30がマークシート10の読取領域Rに位置合わせされて配置されると、読取装置30の最上の電極34と導通チェック用電極40との間で導通するようになっている。これにより、読取装置30のインジケータ42が点灯して読取装置30の電極34がマークシート10の読取端子(RT1…)に電気接続していることを確認できるようになっている。
【0065】
さらに、読取装置30の表面側のインジケータ42側の端部には、マークシート10の第2位置合わせマークM2(矢印)に対応する第3位置合わせマークM3が設けられている。
【0066】
そして、図6に示すように、図5の読取装置30をその電極34を下側に向けた状態で、前述したマークシート10の読取領域Rに配置する。図6では、説明を容易にするため、読取装置30を透視的に示しており、導通チェック部36及びデータ送信部38が省略されて描かれている。
【0067】
このとき、読取装置30の一端側(上側)の右隅部がマークシート10の第1位置合わせマークM1に一致するように位置合わせされる。これと同時に、読取装置30の他端側(下側)の表面に設けられた第3位置合わせマークM3がマークシートの第2位置合わせマークM2に一致するように位置合わせされる。
【0068】
これにより、読取装置30の複数の電極34がマークシート10の読取端子(RT1…)の上にそれぞれ接触して配置される。また、読取装置30の導通チェック用電極40がマークシート10の導通チェック用端子CTに接触して配置される。
【0069】
このとき、マークシート10の最上の読取端子RT1と導通チェック用端子CTとの間で導通がとれているかどうかを読取装置30の導通チェック部36でチェックし、導通がとれているときに読取装置30のインジケータ42が点灯するようになっている。
【0070】
マークシート10の最上の読取端子RT1は第4配線W4、第1位置合わせマークM1及び第5配線W5を介して導通チェック用端子CTに電気接続されている。従って、読取装置30の最上の電極34がマークシート10の最上の読取端子RT1に接触し、読取装置30の最下の導通チェック用電極42がマークシート10の最下の導通チェック用端子CTに接触していれば、それらの間で電流が流れるようになっている。
【0071】
インジケータ42の点灯によって、読取装置30が位置ずれすることなくマークシート10の読取領域Rに配置されたことを確認することができる。
【0072】
読取装置30の複数の電極34のピッチは、マークシート10の複数の読取端子(RT1…)のピッチと一致しており、読取装置30は位置合わせマークM1,M2,M3を使用して位置合わせされて配置される。このため、読取装置30のインジケータ42の点灯によって、読取装置30の複数の電極34がマークシート10の複数の読取端子(RT1…)にそれぞれ接触しているとみなすことができる。
【0073】
図6の例では、マークシート10の読取端子(RT1…)と読取装置30の電極34とが同一個数で並んで配置されている。マークシート10の読取端子(RT1…)及び読取装置30の電極34の大きさやピッチを標準化しておくことにより、読取装置30を複数の異なるマークシートで共有することができる。
【0074】
読取装置30の電極34の数を最大数の読取端子を有するマークシートに対応できるように設定しておくことにより、読取端子(RT1…)の数が異なる各種のマークシートに適用できる。
【0075】
このようにしてマークシート10の読取領域Rに配置された読取装置30は、マークシート10の複数の読取端子(RT1…)の中から一対の読取端子(RT1…)の導通チェックを順次(又は同時に)行っていく。
【0076】
前述したように、例えば、マークシート10の質問1において回答Aを選択した場合は、導通チェック部36によって読取端子RT2と読取端子RT3との間で導通がとられていることが判断され、読取端子RT1と読取端子RT2及び読取端子RT1と読取端子RT3ではそれぞれオープンであることが確認される。他の質問についても同様に一対の読取端子の間の導通チェックが順次(又は同時に)行われていく。
【0077】
読取装置30では、マークシート10の一対の読取端子(RT1…)の各導通チェックデータがデータ送信部38に送信されて格納される。そして、図7に示すように、読取装置30のデータ送信部38から導通チェックのデータがパソコンなどの計算機50(データ処理システム)に送信される。
【0078】
読取装置30と計算機50との接続はケーブルで行ってもよいし、あるいは無線で行ってもよい。ケーブルで接続する場合は、計算機50側から電源が読取装置30に供給される。また、無線方式を採用する場合は、読取装置30にバッテリーが備えられ、例えば、近距離無線通信技術(Bluetooth)が採用される。
【0079】
計算機50には、マークシート10の一対の読取端子(RT1…)がどの質問のどの選択肢(回答)に対応するかのデータが予め格納されており、これに基づいてデータが処理されて各質問に対する回答の集計結果が得られる。
【0080】
図8(a)及び(b)には、本実施形態の変形例の読取装置30aが示されている。図8(a)に示すように、変形例の読取装置30aは、マークシート10を配置できる大きさの支持板60の一端に取り付けられており、クリップ機能を有している。そして、図8(b)に示すように、支持板60に配置されたマークシート10の読取領域が読取装置30aによって挟まれて固定される。つまり、クリップボードのクリップ部を読取装置30aにして読取装置30aでマークシート10を挟んで固定するようにする。
【0081】
本実施形態マークシート10では、回答欄(1A…)と読取領域Rが離れているので、読取領域Rのみに読取装置30aが固定される。従って、読取装置30aをマークシート10に固定しても回答欄(1A…)が露出しているので、回答を書込みながらそのデータを読取装置30aで読み取ることができる。
【0082】
次に、本実施形態のマークシートを装置設計や装置を組み立てる際に使用されるチェックシートに適用する例について説明する。
【0083】
装置設計や装置組み立てなどの確認を行う際、チェックシートを用いて確認漏れを防止したり、最終仕様としてまとめることがある。このような作業を行う場合、確認事項が多く、かつチェックシートの項目の順序と実際の確認作業の順序が一致しないことが多い。このような場合は、パソコンのディスプレイに表示されたチェック項目にカーソルを合わせてチェックするような操作よりも紙のチェックシートを用いる方が多くの項目を同時に見渡せるので効率がよい。
【0084】
しかしながら、チェック結果や最終仕様を残しておくには、データベースに登録しておく方が再利用しやすい。このため、紙に書いた内容を後に計算機に入力する必要がある。
【0085】
本実施形態のマークシートでは、従来技術のマークシートと違って、確認項目(質問内容)、チェック欄(回答欄)、及び仕様選択欄などを併せて一枚の用紙にレイアウトできるので、チェックシートとして機能できると共に、計算機への入力を自動化することができる。
【0086】
また、本実施形態のマークシートでは、前述した変形例の読取装置30aを使用することにより、回答中に途中経過のデータをチェックシートから読取装置で容易に読み取ることができる。
【0087】
従って、チェックシートが何ページにもなるような場合、1枚目のチェックシートの回答結果を計算機に入力し、その回答結果に基づいて次に必要なチェック内容を2枚目のチェックシートとしてレーザプリンタから出力させることも可能である。
【0088】
このような手法を採用することにより、必要な確認事項だけのチェックシートにすることができるので、ページ数を減らすことができると共に、効率のよい確認作業を行うことができる。
【0089】
さらには、回答中に途中経過のデータをチェックシートから読取装置で読み取れるので、致命的な不良が確認された場合にブザーを鳴らすなどしてその後の確認作業を止めさせる確認作業の支援を行うことも可能になる。
【0090】
また、読取装置と計算機とを無線で接続する場合は、作業者が移動しなから確認作業を行うことができるので、計算機から離れた場所の複数の装置のチェックを容易に行うことができる。
【0091】
また、本実施形態のマークシートは、複写式帳票又はカタログ注文の用紙などにも好適に適用できる。
【0092】
複写式帳票に適用する場合は、複写式帳票の1ページ目を本実施形態のマークシートから形成する。複写式帳票は手書きで記載されるため、計算機への入力が必要である。本実施形態のマークシートは、従来技術と違って薄い用紙を採用できるため、それを複写式帳票の1ページ目に使用することができる。複写された2ページ目を控えとして残し、1ページ目を前述した方法によって読取装置を介して計算機に自動入力する。
【0093】
複写式帳票としては、配送伝票、申込書、契約書などの各種の用途に適用することができる。
【0094】
また、カタログの各商品が印刷される位置に注文情報(個数、色、サイズなど)を指定する回答欄を前述したようにレーザプリンタで印刷し、商品説明などをカラーオフセット印刷などで印刷する。カラーインクは導電性をもたないので、商品説明と注文情報がオーバーラップしても構わない。
【0095】
このようにして、カタログに直接、注文情報を記載することができる。注文情報を記載したカタログを売主に郵送し、売主が読取装置及び計算機によって注文、発送を管理する。本実施形態のマークシートは、用紙を薄くでき、折じわがあっても差し支えないので、カタログを新聞の折込チラシとして配布することも可能である。
【0096】
本発明のマークシートは、前述した用途ばかりではなく、各種の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0097】
10…マークシート、20…用紙、30,30a…読取装置、32…筐体、34…電極、36…導通チェック部、38…データ送信部、40…導通チェック用電極、42…インジケータ、50…計算機、60…支持板、1A〜6A…回答欄、WT1,WT2…書込端子、RT1,RT2,RT3…読取端子、L…繋ぎ線、M1,M2,M3…位置合わせマーク、R…読取領域、W1,W2,W3,W4,W5…配線、CT…導通チェック用端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙と、
前記用紙に印刷された複数の選択肢と、
前記用紙に印刷され、前記複数の選択肢にそれぞれ対応して配置された一対の分離された書込端子と、
前記用紙に印刷され、前記書込端子に繋がる配線と、
前記用紙に印刷され、前記配線の端部に繋がって配置された読取端子とを有し、
前記書込端子、前記配線及び前記読取端子は導電性物質から印刷され、前記一対の書込端子を筆記用具の黒鉛芯で繋げて電気的に接続することにより前記選択肢を選択することを特徴とするマークシート。
【請求項2】
前記用紙は普通紙であって、前記用紙には、前記選択肢を選択するための質問が印刷されており、
前記前記書込端子、前記配線、前記読取端子、前記質問及び前記選択肢の各記載は、印刷されたカーボンブラックからなることを特徴とする請求項1に記載のマークシート。
【請求項3】
前記読取端子は、前記用紙の一端側の読取領域にまとめて配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマークシート。
【請求項4】
前記配線は複数の前記書込端子に繋がる共通配線となっており、前記配線の本数は前記書込端子の数より少ないことを特徴とする請求項1又は2に記載のマークシート。
【請求項5】
前記読取領域の近傍には、前記読取領域に読取装置を位置合わせして配置するための位置合わせマークが印刷されていることを特徴とする請求項3に記載のマークシート。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかのマークシートの前記読取端子に接続してデータを読み取る読取装置であって、
筐体と、
前記筐体の一方の面に配置され、前記読取装置を前記マークシートに配置する際に、複数の前記読取端子に対応して接触する複数の電極と、
前記筐体に設けられ、前記複数の電極に接続されて前記複数の読取端子の中の一対の前記読取端子の間の導通チェックを行う導通チェック部と、
前記筐体に設けられ、前記導通チェック部で得られたデータを計算機に送信するデータ送信部とを有することを特徴とする読取装置。
【請求項7】
前記読取装置は、支持板の一端側にクリップ機能をもって連結されており、前記支持板の上に配置された前記マークシートが前記読取装置で固定されることを特徴とする請求項6に記載の読取装置。
【請求項8】
前記筐体の前記電極が設けられた面と反対面に、前記読取装置の前記電極が前記マークシートの前記読取端子に接触したことを確認するためのインジケータが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の読取装置。
【請求項9】
前記マークシートの前記読取端子は、前記用紙の一端側の読取領域にまとめて配置されており、前記読取装置は前記マークシートの前記読取領域に固定され、
前記マークシートの回答中に前記読取装置で前記マークシートのデータを読み取ることを特徴とする請求項7に記載の読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−176463(P2010−176463A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19304(P2009−19304)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】