説明

ミストサウナシステム並びにその運転方法、及びミストサウナ用ユニットバス

【課題】浴室と脱衣室とを一体空間として利用可能なミストサウナシステム並びにその運転方法、及びミストサウナ用ユニットバスを提供する。
【解決手段】ミストサウナシステム1は、浴室4・脱衣室3・洗面化粧ユニット10を一体構成として備えたユニットバス2と、浴室天井部に浴室暖房乾燥機5と、浴室暖房乾燥機5に付設されたミスト親機6aと、脱衣室天井部にミスト子機6bと、を備えている。浴室4と脱衣室3との間には、中扉7が設けられている。両室は、中扉7を開にすることにより一体スペースとして利用でき、また、全閉にすることにより独立した空間となるように構成されている。脱衣室3の内面側は入口扉3a、仕切り扉10aを含め、全て防水加工が施されている。ユニットバス2の床面2bは、脱衣室3から排水口2cに向かって緩やかな角度θを以って傾斜しており、ミスト運転時に脱衣室床面に滴下した水が滞留しないように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミストサウナシステム並びにその運転方法、及びミストサウナ用ユニットバスに係り、特に浴室と脱衣室とを一体空間として利用可能なミストサウナシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅に用いられる工業化浴室(ユニットバス)は、浴槽と洗い場で構成されており、ユニットバスに隣接して(洗面)脱衣室が配置される構成が標準的であった。このようなユニットバスの効率的空間利用を目的として、浴槽と洗い場とをスライドドアで区画可能とする技術が提案されている(例えば特許文献1)。この技術によれば、洗い場を脱衣室スペースとしても利用することが可能となる。しかしながら、このようなユニットバスでは、複数人の同時入浴に対応できないという問題がある。
【0003】
さらに、近年、新たな入浴スタイルとしてミストサウナ浴が注目されているが、従来のユニットバスでは浴室内のミストが脱衣室空間に流れ込んでしまうという不都合が生じる。これを回避する技術として、浴室と脱衣室の間にサブ浴室を設ける技術が提案されている(例えば特許文献2)。これによればミスト処理の問題は解消するものの、従来のユニットバスと比較して大きなスペースが必要となり、限られた居住空間の効率的利用という要請に反する。
【特許文献1】特開平9−228527号公報
【特許文献2】特開2003−105984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記課題を解決するためのものであって、限られた浴室空間を複数の用途に使え、かつ、快適なミストサウナ浴を可能とするミストサウナシステム関連技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の内容を要旨とする。すなわち、
請求項1の発明は、浴室と、防水加工された脱衣室と、全閉状態において両者を区画し、開状態において両者を一体空間とする中扉と、を備えたユニットバスと、浴室及び脱衣室上部に、それぞれ温水ミスト又は冷水ミストを発生させる第一のミスト発生装置及び第二のミスト発生装置と、第一のミスト発生装置と第二のミスト発生装置を単独又は同時にミスト運転する手段と、を備えて成ることを特徴とするミストサウナシステムである。
【0006】
上記において、浴室上部に浴室暖房乾燥機をさらに備え、かつ、前記第一のミスト発生装置及び前記第二のミスト発生装置の温水ミストは、該浴室暖房乾燥機の循環温水を利用するものであることを特徴とする(請求項2)。
上記において、前記脱衣室に外気を導入する外気導入手段と、外気導入と前記第二のミスト発生装置によるミスト運転とを同時に行う手段と、をさらに備えて成ることを特徴とする(請求項3)。
上記において、外気導入手段が、前記浴室暖房乾燥機に設けた外気導入ダクトと、前記浴室暖房乾燥機と前記第二のミスト発生装置とを接続する給気ダクトと、を含んで構成されたものであることを特徴とする(請求項4)。
上記において、外気導入手段が、前記第二のミスト発生装置に設けた外気導入ダクトを含んで構成されたものであることを特徴とする(請求項5)。
上記において、浴室暖房乾燥機と前記第二のミスト発生装置とを接続する換気ダクトと、をさらに備えて成ることを特徴とする(請求項6)。
上記において、浴室暖房乾燥機は、脱衣室を含む一以上の部屋の換気を常時行う換気装置を備えたものであることを特徴とする(請求項7)。
【0007】
請求項8の発明は、上記各ミストサウナシステムにおいて、前記中扉全閉の状態で、脱衣室内に導入した外気に、前記第二のミスト発生装置により冷水ミストを噴霧して、導入外気を冷却することを特徴とするミストサウナシステムの運転方法である。
【0008】
請求項9の発明は、上記各ミストサウナシステムにおいて、前記中扉全閉の状態で、前記第一のミスト発生装置により温水ミスト運転を行うステップと、前記浴室暖房乾燥機により浴室及び脱衣室の換気運転を行うステップと、脱衣室内に導入した外気に、前記第二のミスト発生装置により冷水ミストを噴霧して、外気を冷却するクールダウン運転を行うステップと、前記浴室暖房乾燥機により浴室及び脱衣室の乾燥運転を行うステップと、を含むことを特徴とするミストサウナシステムの運転方法である。
【0009】
この場合、「脱衣室内に導入した外気に、前記第二のミスト発生装置により冷水ミストを噴霧して、冷水ミスト外気を冷却するクールダウン運転を行うステップ」に替えて、「浴室内に導入した外気に、前記第一のミスト発生装置により冷水ミストを噴霧して、外気を冷却するクールダウン運転を行うステップ」を含むことを特徴とする(請求項10)。
さらに、中扉全閉に替えて中扉開の状態とし、かつ、前記第一のミスト発生装置により温水ミスト運転するステップに替えて、前記第一のミスト発生装置及び前記第二のミスト発生装置により温水ミスト運転するステップを含むことを特徴とする(請求項11)。
さらに、前記第一のミスト発生装置により温水ミスト運転を行うステップに替えて、前記浴室暖房乾燥機により浴室暖房を行うステップを含むことを特徴とする(請求項12)。
さらに、前記第一のミスト発生装置により温水ミスト運転を行う際に、脱衣室内に外気を導入するステップを含むことを特徴とする(請求項13)。
【0010】
請求項14の発明は、浴室と、防水加工された脱衣室と、全閉状態において両者を区画し、かつ、開状態において両者を一体空間とする中扉と、脱衣室から浴室方向に向かって排水を滞留させないように傾斜させた床面と、を備えて成ることを特徴とするミストサウナシステム用ユニットバスである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のミストサウナシステムによれば、種々の形態のミストサウナが可能となる。特に、浴室暖房乾燥機の暖房、乾燥、換気機能を利用する発明にあっては、これらの機能とミスト発生装置の機能を組み合わせることにより、浴室・脱衣室を極めて機能的に利用することが可能となる。
また、脱衣室に外気導入すると同時にクールダウン運転を行う発明にあっては、外気を冷却することによりミスト浴後のクールダウンが可能となる。
本発明のユニットバスによれば、中扉を全閉にすることにより、従来通り独立した浴室及び脱衣室として使える。また、中扉を開にすることにより一体の広い浴室として使え、多人数での入浴も可能となる。また、洗い場+脱衣場のフロアに寝転がって、あるいはリラグゼーション・チェア等を置いて、リラックス空間として利用することもできる。また、ヨガや体操をする空間としても利用可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るミストサウナシステムの各実施形態について、図1乃至14を参照してさらに詳細に説明する。なお、符号重複による煩雑を避けるため、各図において同一構成には同一符号を用いて示している。また、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0013】
(第一の実施形態)
図1(a)は、ミストサウナシステム1を構成するユニットバス2の側断面の構成を示す図である。同図(b)は、ユニットバス2の上断面の構成を示す図である。図2は、ユニットバス2天井部に設けられた浴室暖房乾燥機5、ミスト親機6a及びミスト子機6bの詳細構成を示す図である。図3乃至6は、本実施形態--の各運転形態を示す図である。
【0014】
図1(a)及び(b)を参照して、ミストサウナシステム1は、浴室4と洗面化粧ユニット10を備えた脱衣室3を一体構成として備えたユニットバス2と、浴室天井部に浴室暖房乾燥機5と、浴室暖房乾燥機5に付設されたミスト親機6aと、脱衣室天井部にミスト子機6bと、を主要構成として備えている。浴室4内部には浴槽8が一体構成として設けられている。浴室4と脱衣室3との間には、中扉7が設けられている。両室は、中扉7を図1(b)の如く折り畳んで開にすることにより、一体スペースとして利用することが可能となる。また、中扉7を全閉にすることにより、両室は完全に独立した空間となるように構成されている。ユニットバス2への出入りは入口扉3aにより行うことができる。また、洗面化粧ユニット10は、仕切り扉10aを開くことにより利用できる。脱衣室3の内面側は入口扉3a、仕切り扉10aを含め、全て防水加工が施されており、後述のクールダウン運転に支障がないように構成されている。なお、上記脱衣室3は、洗面化粧ユニットを備えない構成であってもよい。ユニットバス2の床面2bは、脱衣室3から排水口2cに向かって緩やかな角度θを以って傾斜しており、後述の各種ミスト運転時に脱衣室床面に滴下した水が滞留しないように構成されている。
【0015】
図2を参照して、本システムのミストサウナ系統はミスト親機6a、ミスト子機6b、給水配管W1乃至W3、温水配管H3、H4を主要構成として備えている。ミスト親機6a内は熱交換器E2を備えており、熱源機(図示せず)から温水配管H3、H4を介して供給される循環温水により、給水配管W1を介して供給される市水を加熱して温水とする。さらに、浴室暖房乾燥機5又はミスト子機6内に設けられたミストノズルM1、M2から温水を噴霧するように構成されている。
【0016】
次に給気系統は、浴室暖房乾燥機5のサブチャンバー5bに接続する給気ダクトA1と、サブチャンバー5bとミスト子機6bとを接続する給気ダクトA2を備えている。給気ダクトA1の上流側には、外気導入用の給気ファン(図示せず)が配設されている。さらに、図示を省略するが、各給気ダクトには必要な開閉制御用ダンパが設けられている。これらにより、給気ダクトA1を介して吸い込んだ外気を脱衣室3側に供給することを可能としている。なお、給気ダクトA2は後述するように暖房用ダクトA3にも接続している。
【0017】
次に暖房系統は、浴室暖房乾燥機5のメインチャンバー5aに配設される熱交換器E1と、温水配管H1、H2と、サブチャンバー5b内を貫通してメインチャンバー5aと給気ダクトA2を接続する暖房用ダクトA3と、開閉制御用ダンパD1と、を主要構成として備えている。これらにより、循環ファンF1により浴室内空気を吸い込み、温水配管H1、H2により供給される循環温水と熱交換器E2熱交換させて温風とし、ダンパD1を介して浴室に戻すことを可能としている。さらに、後述する脱衣室3乾燥時には、メインチャンバー5a内の温風を暖房用ダクトA3→給気ダクトA2を経由してミスト子機6bの給気チャンバー6cに導き、脱衣室3に温風を吹き出すことを可能としている。
【0018】
次に換気系統は、サブチャンバー5bに接続する換気ダクトB1と、サブチャンバー5bとミスト子機6bとを接続する換気ダクトB2と、換気ファンF2と、各換気ダクト開閉制御用ダンパ(図示せず)を備えている。なお、メインチャンバー5aとサブチャンバー5b間は隔壁5cにより区画されており、また、同図には示されないが換気時に浴室4から吸い込む空気を、温風の経路とは異なる経路でサブチャンバー5b間に導くよう構成されている。これらにより脱衣室3又は浴室4内空気を、最終的に換気ダクトB1を介して外部に排気することを可能としている。さらに、図示を省略するが、各換気ダクトにも必要な開閉制御用ダンパが設けられている。
【0019】
ミストサウナシステム1は以上のように構成されており、次に、表1及び図3乃至7を参照して本実施形態の運転制御態様について説明する。なお運転制御は、浴室暖房乾燥機5内の制御部(図示せず)の指令に基づいて行われる(以下の各実施形態においても同様)。
【0020】
【表1】

【0021】
<浴室ミスト運転>
図3を参照して、本運転制御中、中扉7は全閉状態とされる(ステップS111)。次いで浴室ミスト運転が行われる(ステップS112)。この場合、暖房系統の開閉弁V1、V2開、循環ファンF1運転、ダンパD1開となる。これにより、浴室内空気は、ルーバR1からメインチャンバー5aに取り込まれ、熱交換器E1を通過して温風となり、ダンパD1を介して浴室4に戻される。浴室内が一定温度に達すると開閉弁V3開となり、給水配管W1から供給される水は熱交換器E2を通過して温水となり、給水配管W2を経由してノズルM1から噴霧される(ステップS112)。このようにして浴室ミスト運転が行われる。
【0022】
<換気運転>
浴室ミスト運転終了後、一定時間、換気運転が行われる(ステップS113)。図4を参照して、この場合、給気・換気系統については換気ファンF2運転となる。開閉弁は全て閉である。これにより浴室4及び脱衣室3内空気は、同図矢印の経路を辿って換気ダクトB1を介して屋外に排出される。
【0023】
<クールダウン運転>
換気運転終了後、脱衣室3においてクールダウン運転が行われる(ステップS114)。図5を参照して、この場合、給水系統については開閉弁V4開、V3閉となる。暖房系統の開閉弁は全て閉となる。これにより給水配管W1、W3を経由してミスト子機6bに市水が供給され、ノズルM2から冷水ミストが噴霧される。
一方、給気・換気系統については、給気ダクトA1を介して取り込まれた外気は、給気ダクトA2を経由して給気チャンバー6c、さらに脱衣室3から吹き出される。導入された外気は、天井部から噴霧されたミストに蒸発潜熱を奪われて温度低下して冷風となり、浴室4においてミストサウナ浴を行った後のクールダウンが実現できる。
なお、クールダウン運転では、冷水のミストを浴室内に噴霧する通常の冷水ミスト運転とは異なり、導入された外気と混合したミストが蒸発して利用者に達しない程度の量の冷水ミストを噴霧することが望ましい。また、ミストノズルM2の位置を給気チャンバー内部に設置するか、該ミストノズルの上流で分岐して、給気チャンバー内で導入された外気と冷水ミストを混合し、冷風を作る構造としてもよい。
【0024】
<乾燥運転>
クールダウン運転終了後、浴室4及び脱衣室3乾燥のため乾燥運転が行われる(ステップS115)。図6を参照して、この場合、給気・換気系統については、循環ファンF1、換気ファンF2とも運転、ダンパD1開となる。また、暖房系統についてはV2開、V1閉となる。給水系統はOFF状態となる。これにより浴室4及び脱衣室3に温風が供給され、さらに浴室・脱衣室内の空気は、最終的に換気ダクトB1を介して外部に排出される。このようにしてミスト運転により高湿度となった浴室・脱衣室の乾燥を実現することができる。
【0025】
(第二の実施形態)
次に、表2及び図7乃至10を参照して、本システムの他の運転制御態様について説明する。本実施形態は、中扉7開(浴室・脱衣室を開放)して利用することを特徴とする。
【0026】
【表2】

【0027】
<全室ミスト運転>
図7を参照して、本運転制御において中扉7は開状態にされる(ステップS121)。次いで全室ミスト運転が行われる(ステップS122)。本ステップにおいて、暖房系統開閉弁V1、V2開、循環ファンF1運転、ダンパD1開となる。これにより、浴室内及び脱衣室内の空気は、ルーバR1からメインチャンバー5aに取り込まれ、さらに熱交換器E1を通過して温風となり、ダンパD1を経由して浴室4に戻され、及びダクトA3→ダクトA2を経由して脱衣室3に供給される。室内温度が所定温度に達すると開閉弁V3、V4開となり、温水が給水配管W2、W3を経由してノズルM1、M2から温水ミスト状態で噴霧される。このようにして全室ミスト運転が行われる。
【0028】
<換気運転>
次に図8を参照して、全室ミスト運転終了後、換気運転が行われる(ステップS123)。本ステップ中、換気ファンF2運転となる。なお、開閉弁V1乃至V4は全て閉となる。これにより、浴室4及び脱衣室3内空気は、同図矢印の経路を辿って最終的に換気ダクトB1を介して屋外に排出される。
【0029】
<クールダウン運転>
換気運転終了後、クールダウン運転が行われる(ステップS124)。このステップにおける各開閉弁、ダンパ、ミストノズル、ファン等の作動態様は第一の実施形態におけるステップS114と同一であるので、図示及び説明を省略する。
<乾燥運転>
クールダウン運転終了後、最後に乾燥運転が行われる(ステップS125)。このステップにおける各開閉弁、ダンパ、ミストノズル、ファン等の作動態様についても第一の実施形態(ステップS115)と同一であるので、図示及び説明を省略する。
【0030】
(第三の実施形態)
さらに、表3及び図9を参照して本システムの他の運転制御態様について説明する。本実施形態は、浴室を暖房して入浴した後に脱衣室においてクールダウンを行うことを特徴とする。
【0031】
【表3】

【0032】
<暖房運転>
本運転制御中、中扉7は全閉状態とされる(ステップS131)。次いで入浴中、浴室暖房運転が行われる(ステップS132)。この場合、暖房系統の開閉弁V2開、V1閉、循環ファンF1運転、ダンパD1開となる。その他の開閉弁、ダンパは閉となる。これにより、浴室内空気は、ルーバR1からメインチャンバー5aに取り込まれ、さらに熱交換器E1を通過して温風となり、ダンパD1を経由して浴室4に戻される。
<換気運転>
入浴後、換気運転が行われる(ステップS133)。このステップにおける各開閉弁、ダンパ、ミストノズル、ファン等の作動は第一の実施形態におけるステップS113と同一であるので、図示及び説明を省略する。
【0033】
<クールダウン運転>
換気運転終了後、クールダウン運転が行われる(ステップS134)。このステップにおける各開閉弁、ダンパ、ミストノズル、ファン等の作動は第一の実施形態におけるステップS114と同一であるので、図示及び説明を省略する。
【0034】
<乾燥運転>
最後に乾燥運転が行われる(ステップS135)。このステップにおける各開閉弁、ダンパ、ミストノズル、ファン等の作動についても第一の実施形態におけるステップS115と同一であるので、図示及び説明を省略する。
【0035】
(第四の実施形態)
さらに、表4及び図10を参照して本システムの他の運転制御態様について説明する。本実施形態は、脱衣室3において衣類乾燥を行うことを特徴とする。
【表4】

【0036】
本運転制御において中扉7は全閉状態にされている(ステップS141)。次いで脱衣室3において乾燥運転が行われる(ステップS142)。本ステップにおいて、開閉弁V1は開、V1、V3、V4閉となる。また、循環ファンF1、換気ファンF2運転となる。これによりメインチャンバー5aに取り込まれた浴室内空気は熱交換器E1を通過して温風となり、給気ダクトA3→給気ダクトA2→給気チャンバー6cの経路を経て脱衣室3に供給される。さらに、衣類乾燥により高湿度となった脱衣室内空気は、換気チャンバー6dに取り込まれ、さらに換気ダクトB2→サブチャンバー5b→換気ダクトB3の経路で外部に排出される。
【0037】
(第五の実施形態)
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。図11は、本実施形態に係るミストサウナシステム20を示す図である。ミストサウナシステム20の構成が第一の実施形態に係るミストサウナシステム1と異なる点は、給気・換気系統である。すなわち、ミストサウナシステム1の浴室暖房乾燥機5は、換気用サブチャンバー5bを備えていたが、本システムの浴室暖房乾燥機21では、これに替えて24時間換気用チャンバー21cが付設されている。チャンバー21cには換気ダクトB3、B4が接続されており、それぞれ脱衣室3及びトイレ(図示せず)からの換気を常時、換気ファンF3で吸引し、換気ダクトB3により外部に排出するように構成されている。また、チャンバー21bとチャンバー21cを区画する隔壁21dにはダンパD2が取り付けられており、換気時にはダンパD2を開にして、浴室4から吸い込んだ空気を換気ダクトB3に導くよう構成されている。さらに、第一の実施形態では浴室暖房乾燥機5に給気ダクトA1が接続されていたのに対して、本実施形態ではミスト子機22b自体に給気ダクトA4が接続されており、上流側に配設される給気ファン(図示せず)で外気を導入し、脱衣室3に供給するように構成されている点が異なる。その他の構成については第一の実施形態と同一であるので、説明を省略する。
【0038】
次に、表5及び図11乃至14を参照して本実施形態の運転制御態様について説明する。
【表5】

【0039】
<浴室ミスト運転>
図11を参照して、本運転制御中、中扉7は全閉状態とされる(ステップS151)。次いで浴室ミスト運転が行われる(ステップS152)。この場合、暖房系統の開閉弁V1、V2開、循環ファンF1運転、ダンパD1開となる。これにより、浴室内空気は、ルーバR1からチャンバー21bに取り込まれ、さらに熱交換器E1を通過して温風となり、ダンパD1を経由して浴室4に戻される。浴室内が一定温度に達すると開閉弁V3開となり、給水配管W1から供給される水は熱交換器E2を通過して温水となり、給水配管W2を経由してノズルM1から噴霧される。このようにして浴室ミスト運転が行われる。
この間、脱衣室3では給気運転が行われ、外気が脱衣室3に取り込まれる(ステップS153)。これにより脱衣室3側は正圧となり、浴室4側の高湿度空気が脱衣室3側に流出することを抑制できる。なお、換気ファンF3が常時運転であるため、脱衣室内空気はチャンバー6d→換気ダクトB2→換気チャンバー21c→換気ダクトB3の経路で外部に排出されるが、給気量>換気量であるため正圧は維持される。
【0040】
<換気運転>
浴室ミスト運転終了後、次に一定時間換気運転が行われる(ステップS154)。図12を参照して、本ステップにおいて給気・換気系統はダンパD1閉となる。また、換気ファンF2運転となる。なお、開閉弁は全て閉となる。これにより浴室4及び脱衣室3内空気は、同図矢印の経路を辿り最終的に換気ダクトB3を介して屋外に排出される。
【0041】
<クールダウン運転>
換気運転終了後、脱衣室3においてクールダウン運転が行われる(ステップS155)。図13を参照して、本ステップにおいて給水系統は、開閉弁V4開、V3閉となる。暖房系統の開閉弁は全て閉である。これにより給気ダクトA4を介して取り込まれた外気は、給気チャンバー22cに供給され、さらにルーバR2を介して脱衣室3に供給される。一方、給水配管W1、W2を経由してミスト子機6bに市水が供給され、ノズルM2から常温のミストが噴霧される。これにより、導入された外気は天井部から噴霧されたミストに蒸発潜熱を奪われて温度低下して冷風となり、浴室4においてミストサウナ浴を行った後のクールダウンが実現できる。
<乾燥運転>
クールダウン運転終了後、浴室4及び脱衣室3乾燥のための乾燥運転が行われる(ステップS156)。図14を参照して、本ステップにおいてダンパD1開となる。また、暖房系統については開閉弁V2開、V1閉となる。給水系統は開閉弁V1、V4閉となる。これにより浴室4及び脱衣室3に温風が供給され、かつ、ミスト運転により高湿度となった浴室・脱衣室内の空気は、換気ダクトB3を介して外部に排出される。
なお、本実施形態では、脱衣室3に外気を導入してノズルM2から噴霧されるミストにより冷風を発生させる形態としたが、浴室4に外気を導入してノズルM1から噴霧されるミストにより冷風を発生させる形態とすることもできる(以下の実施形態における該当ステップにおいても同様)。
(第六の実施形態)
さらに、表6を参照して本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態の構成は、第五の実施形態に係るミストサウナシステム20と同一であるので、図示及び説明を省略する。本実施形態は、中扉7開にして全室ミスト運転を行う点が第五の実施形態と異なる。表6のステップS161乃至S165における各部の作動は第五の実施形態と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0042】
【表6】

【0043】
(第七の実施形態)
さらに、表7を参照して本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、入浴後に脱衣室においてクールダウンを行うことを特徴とする。本実施形態の構成も、第五の実施形態に係るミストサウナシステム20と同一である。但し、第五の実施形態ではステップS152で浴室ミスト運転するのに対して、本実施形態では暖房運転する点が異なる。表7のステップS171乃至S176における各部の作動は、第五の実施形態における該当ステップと同様であるので、図示及び説明を省略する。
【表7】

【0044】
(第八の実施形態)
さらに、表8及び図15を参照して本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、脱衣室3内で衣類乾燥を行うことを特徴とする。本実施形態の構成も、第五の実施形態に係るミストサウナシステム20と同一である
本運転制御において中扉7は全閉状態にされている(ステップS181)。次いで脱衣室3において乾燥運転が行われる(ステップS182)。本ステップにおいて、開閉弁V2開、V1、V3、V4閉となる。また、循環ファンF1、換気ファンF2運転となる。これによりメインチャンバー21bに取り込まれた浴室内空気は、熱交換器E1を通過して温風となり、給気ダクトA3→給気ダクトA2→給気チャンバー22cの経路を経て脱衣室3に供給される。さらに、衣類乾燥により高湿度となった脱衣室内空気は、換気チャンバー22dに取り込まれ、さらに換気ダクトB2→換気チャンバー21c→換気ダクトB3の経路で外部に排出される。
【表8】

【0045】
なお、上述のミストサウナシステム1、20において、ミスト子機6bは熱交換器を備えず、ミスト親機6aから温水の供給を受ける形態としたが、独立して熱交換器を備える形態とすることもできる。
また、給気ファンを外部に備える形態としたが、浴室暖房乾燥機又はミスト子機に備える形態とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、熱源、用途等を問わず、浴室と脱衣室でミストサウナ浴を行うシステムに広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1(a)】第一の実施形態に係るミストサウナシステム1の側断面を示す図である。
【図1(b)】ユニットバス2の上断面の構成を示す図である。
【図2】浴室暖房乾燥機5、ミスト親機6a及びミスト子機6bの詳細構成を示す図である。
【図3】第一の実施形態(中扉7全閉)における浴室ミスト運転制御を示す図である。
【図4】同上における換気運転制御を示す図である。
【図5】同上におけるクールダウン運転制御を示す図である。
【図6】同上における乾燥運転制御を示す図である。
【図7】第二の実施形態(中扉7開)における全室ミスト運転制御を示す図である。
【図8】同上における換気運転制御を示す図である。
【図9】第三の実施形態(中扉7全閉)における暖房運転制御を示す図である。
【図10】第四の実施形態(中扉7全閉)における衣類乾燥運転制御を示す図である。
【図11】第五の実施形態(中扉7全閉)に係るミストサウナシステム20の浴室ミスト運転制御を示す図である。
【図12】同上における換気運転制御を示す図である。
【図13】同上におけるクールダウン運転制御を示す図である。
【図14】同上における乾燥運転制御を示す図である。
【図15】第八の実施形態(中扉7全閉)に係るミストサウナシステム20の脱衣室衣類乾燥運転制御を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1、20 ミストサウナシステム
2 ユニットバス
3 脱衣室
4 浴室
5、21 浴室暖房乾燥機
5a、21bメインチャンバー
5b、21cサブチャンバー
6a ミスト親機
6b、22b ミスト子機
6c、22c 給気チャンバー
6d、22d 換気チャンバー
7 中扉
10 洗面化粧ユニット
A1、A2、A4 給気ダクト
A3 暖房用ダクト
B1、B2、B3 換気ダクト
D1〜D8 開閉制御用ダンパ
E1、E2 熱交換器
F1 循環ファン
F2、F3 換気ファン
H1、H3 温水配管
M1,M2 ミストノズル
V1〜V4 開閉弁
W1〜W3 給水配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室と、防水加工された脱衣室と、全閉状態において両者を区画し、開状態において両者を一体空間とする中扉と、を備えたユニットバスと、
浴室及び脱衣室上部に、それぞれ温水ミスト又は冷水ミストを発生させる第一のミスト発生装置及び第二のミスト発生装置と、
第一のミスト発生装置と第二のミスト発生装置を単独又は同時にミスト運転する手段と、を備えて成ることを特徴とするミストサウナシステム。
【請求項2】
浴室上部に浴室暖房乾燥機をさらに備え、かつ、前記第一のミスト発生装置及び前記第二のミスト発生装置の温水ミストは、該浴室暖房乾燥機の循環温水を利用するものであることを特徴とする請求項1に記載のミストサウナシステム。
【請求項3】
前記脱衣室に外気を導入する外気導入手段と、
外気導入と前記第二のミスト発生装置によるミスト運転とを同時に行う手段と、
をさらに備えて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のミストサウナシステム。
【請求項4】
前記外気導入手段が、前記浴室暖房乾燥機に設けた外気導入ダクトと、前記浴室暖房乾燥機と前記第二のミスト発生装置とを接続する給気ダクトと、を含んで構成されたものであることを特徴とする請求項1乃至3に記載のミストサウナシステム。
【請求項5】
前記外気導入手段が、前記第二のミスト発生装置に設けた外気導入ダクトを含んで構成されたものであることを特徴とする請求項1乃至3に記載のミストサウナシステム。
【請求項6】
前記浴室暖房乾燥機と前記第二のミスト発生装置とを接続する換気ダクトと、をさらに備えて成ることを特徴とする請求項1乃至5に記載のミストサウナシステム。
【請求項7】
前記浴室暖房乾燥機は、脱衣室を含む一以上の部屋の換気を常時行う換気装置を備えたものであることを特徴とする請求項1乃至6に記載のミストサウナシステム。
【請求項8】
請求項1乃至7に記載のミストサウナシステムにおいて、前記中扉全閉の状態で、浴室内又は脱衣室内に導入した外気に、前記第一又は第二のミスト発生装置により冷水ミストを噴霧して、導入外気を冷却することを特徴とするミストサウナシステムの運転方法。
【請求項9】
請求項1乃至7に記載のミストサウナシステムにおいて、前記中扉全閉の状態で、
前記第一のミスト発生装置により温水ミスト運転を行うステップと、
前記浴室暖房乾燥機により浴室及び脱衣室の換気運転を行うステップと、
脱衣室内に導入した外気に、前記第二のミスト発生装置により冷水ミストを噴霧して、外気を冷却するクールダウン運転を行うステップと、
前記浴室暖房乾燥機により浴室及び脱衣室の乾燥運転を行うステップと、
を含むことを特徴とするミストサウナシステムの運転方法。
【請求項10】
請求項9において、脱衣室内に導入した外気に、前記第二のミスト発生装置により冷水ミストを噴霧して、冷水ミスト外気を冷却するクールダウン運転を行うステップに替えて、
浴室内に導入した外気に、前記第一のミスト発生装置により冷水ミストを噴霧して、外気を冷却するクールダウン運転を行うステップ、
を含むことを特徴とするミストサウナシステムの運転方法。
【請求項11】
請求項9又は請求項10において、中扉全閉に替えて中扉開の状態とし、かつ、
前記第一又は前記第二のミスト発生装置により温水ミスト運転するステップに替えて、前記第一のミスト発生装置及び前記第二のミスト発生装置により温水ミスト運転するステップを含むことを特徴とするミストサウナシステムの運転方法。
【請求項12】
請求項9又は請求項10において、前記第一または前記第二のミスト発生装置により温水ミスト運転を行うステップに替えて、前記浴室暖房乾燥機により浴室暖房を行うステップを含むことを特徴とするミストサウナシステムの運転方法。
【請求項13】
請求項9又は請求項10に記載のミストサウナシステムにおいて、前記第一又は前記第二のミスト発生装置により温水ミスト運転を行う際に、脱衣室内に外気を導入するステップを含むことを特徴とするミストサウナシステムの運転方法。
【請求項14】
浴室と、防水加工された脱衣室と、
全閉状態において両者を区画し、かつ、開状態において両者を一体空間とする中扉と、
脱衣室から浴室方向に向かって排水を滞留させないように傾斜させた床面と、
を備えて成ることを特徴とするミストサウナシステム用ユニットバス。



【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−128537(P2008−128537A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312720(P2006−312720)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】