ミストサウナシステム
【課題】入浴時に発汗作用を有する温熱感を供給できる加熱媒体を備えるとともに、浴室全体の温度を上昇するときには経済的かつ効率的な加熱手段により温湿度を上昇する加熱媒体を備えたミストサウナシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】冷媒を圧縮する圧縮機8と冷媒が放熱する第1の熱交換器9と冷媒を膨張させる膨張機構10と冷媒が吸熱する第2の熱交換器11とを順に配管接続した冷媒回路12により構成される第1の加熱手段13と、第1の加熱手段に対して表面温度が高温となる第2の加熱手段14を備え、浴室1内の空気を循環させる循環ファン17と、ミストを発生させるミスト発生器18を備え、浴室1内の状況に応じ、浴室1を温めている状態、またはミストサウナ入浴しているときの状態により第1の加熱手段13と第2の加熱手段14とミスト発生器18と循環ファン17の使用を使い分けができるミストサウナシステムを提供できる。
【解決手段】冷媒を圧縮する圧縮機8と冷媒が放熱する第1の熱交換器9と冷媒を膨張させる膨張機構10と冷媒が吸熱する第2の熱交換器11とを順に配管接続した冷媒回路12により構成される第1の加熱手段13と、第1の加熱手段に対して表面温度が高温となる第2の加熱手段14を備え、浴室1内の空気を循環させる循環ファン17と、ミストを発生させるミスト発生器18を備え、浴室1内の状況に応じ、浴室1を温めている状態、またはミストサウナ入浴しているときの状態により第1の加熱手段13と第2の加熱手段14とミスト発生器18と循環ファン17の使用を使い分けができるミストサウナシステムを提供できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室をサウナ空間として用いるミストサウナシステムに関してのものである。
【背景技術】
【0002】
従来の浴室をサウナ空間として空調するシステムにおいて、ヒートポンプを使用したものとしては、温水熱源としてエコキュートで加熱した温水を使用し、ミストサウナシステムに供給された温水を浴室内にミスト状に噴射させるとともに、前記ミストサウナシステムから温風を前記浴室内に噴出し、浴室内を加熱加湿して高温高湿のミストサウナ環境とするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、浴室に設置する機器の内部に圧縮機と冷媒が放熱する熱交換器と冷媒を膨張させる膨張機構と冷媒が吸熱する熱源側熱交換器とを順に配管接続した冷媒回路を備え、前記冷媒回路により加熱した気流に加湿成分を乗せ浴室内に加熱加湿空気を送風し、高温高湿のミストサウナ環境とするものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4735046号公報
【特許文献2】特開2008−25963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来のミストサウナシステムでは、システム的に複雑になる、または浴室内における要求環境に対してのランニングコストの自由度が少ないという課題があった。
【0006】
特許文献1を示す図7のように、浴室空調システムである浴室暖房システムは、温水によるミストを噴出するミスト発生装置101と、浴室102の暖房及び換気等を行う浴室暖房換気乾燥装置(浴室空調装置)103と、ミスト発生装置101等に温水を供給するヒートポンプ給湯システム104を備え、浴室102の暖房時は、ミスト発生装置101でミストを噴出すると共に、浴室暖房換気乾燥装置103で温風による浴室102の暖房を行って、浴室102を短時間で中温高湿のミストサウナ状態とするものであった。
【0007】
また、特許文献2を示す図8においては、冷媒を圧縮する圧縮機105と冷媒が放熱する利用側熱交換器106と冷媒を膨張させる膨張機構107と冷媒が吸熱する熱源側熱交換器108とを順に配管接続した冷媒回路109と、室内空間、例えば浴室110に開口した吸込口111から空気を吸い込んで浴室110に開口した吹出口112から空気を吹き出す循環ファン113と、微細な水滴、すなわちミストを発生させるミスト発生器114とを備え、熱源側熱交換器108において冷媒が吸熱した熱を利用側熱交換器106において循環ファン113が送風する空気に対して放熱することによりヒートポンプを作動させて浴室110内を加熱するとともにミスト発生器114において発生したミストを浴室110内に供給することにより浴室110内を加湿して高温高湿のサウナ環境を実現するものである。
【0008】
効率よく浴室全体の温湿度を上げることは可能であるが、入浴時の温熱感が低く、発汗作用を促進するには物足りないという課題があった。
【0009】
また、起動時は浴室内の壁面結露防止のため、浴室床面、壁面の温度を上昇させる必要があり浴室全体に気流を流す必要があるが、壁面結露等がなくなる温度まで壁面が上昇した後は、湿度が上昇することにより、温度は浴室内全体に拡散させるため、対象箇所を集中的に暖めることが効率的であるが、冷媒回路を使用するミストサウナシステムにおいては、集中加熱を行っても、発汗作用を促進するには加熱媒体自体の温度が不足しているという課題があった。
【0010】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、他の熱源すなわちエコキュート等を使用せず、入浴時に発汗作用を有する温熱感を供給できる加熱媒体を備えるとともに、浴室全体の温度を上昇するときには経済的かつ効率的な加熱手段により温湿度を上昇する加熱媒体を備えたミストサウナシステムを提供することを目的とするミストサウナシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のミストサウナシステムは、上記目的を達成するために、冷媒を圧縮する圧縮機と冷媒が放熱する第1の熱交換器と冷媒を膨張させる膨張機構と冷媒が吸熱する第2の熱交換器とを順に配管接続した冷媒回路により構成される第1の加熱手段と、第1の加熱手段に対して表面温度が高温となる第2の加熱手段を備え、浴室に開口した吸込口から空気を吸い込んで前記浴室に開口した吹出口から空気を吹き出す循環ファンと、微細な水滴、すなわちミストを発生させるミスト発生器を備え、前記第1の加熱手段または第2の加熱手段において循環ファンが送風する空気に対して放熱することにより前記浴室内を加熱するとともに前記ミスト発生器において発生したミストを前記浴室内に供給することにより前記浴室内を加湿するミストサウナシステムとしたものである。
【0012】
また、他の手段は起動時は第1の加熱手段と循環ファンとミスト発生器が駆動するミストサウナシステムとしたものである。
【0013】
また、他の手段は、入浴時に入浴ボタンを押すことにより、循環ファンとミスト発生器とともに第2の加熱手段が駆動するミストサウナシステムとしたものである。
【0014】
また、他の手段は、前回の第2の加熱手段の運転時間を記憶し、入浴ボタンを押す2回目以降は前回の運転時間で終了し、自動的に第1の加熱手段に切り替わるミストサウナシステムとしたものである。
【0015】
また、他の手段は、前回の第2の加熱手段の運転時間および運転開始時の温度を記憶し、入浴ボタンを押す2回目以降は前回の運転時間および運転開始時の温度より終了時間を算出し、自動的に第1の加熱手段に切り替わるミストサウナシステムとしたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、冷媒を圧縮する圧縮機と冷媒が放熱する第1の熱交換器と冷媒を膨張させる膨張機構と冷媒が吸熱する第2の熱交換器とを順に配管接続した冷媒回路により構成される第1の加熱手段と、前記第1の加熱手段に対して表面温度が高温となる第2の加熱手段を備え、浴室に開口した吸込口から空気を吸い込んで前記浴室に開口した吹出口から空気を吹き出す循環ファンと、微細な水滴、すなわちミストを発生させるミスト発生器を備え、前記第1の加熱手段または第2の加熱手段において循環ファンが送風する空気に対して放熱することにより前記浴室内を加熱するとともに前記ミスト発生器において発生したミストを前記浴室内に供給することにより前記浴室内を加湿することにより、浴室内の状況に応じ、つまりは浴室を温めている状態、またはミストサウナ入浴しているときの状態、または一通り発汗し終わった後の状態、または入浴終了の状態、または浴室内を加湿暖房し長期間入浴するときの状態等により、第1の加熱手段とミスト発生器と循環ファンを併用して使用する、または第2の加湿手段とミスト発生器と循環ファンを併用して使用する、または第1の加熱手段と循環ファンを使用する、または第2の加熱手段と循環ファンを使用するという状況に応じた使い分けができるという効果のあるミストサウナシステムを提供することができる。
【0017】
また、起動時は第1の加熱手段と循環ファンとミスト発生器が駆動することにより、第1の加熱手段は冷媒回路を用いているため、出力に対し入力が低く抑えることができ、すなわちランニングコストを低く抑えることができ、温度立ち上げ時や発汗後の安定時等比較的長時間使用する場面に使われることが多く経済的であるという効果があるミストサウナシステムを提供することができる。
【0018】
また、入浴時に入浴ボタンを押すことにより、循環ファンとミスト発生器とともに第2の加熱手段が駆動することにより、第2の加熱手段はヒーター等の直接加熱媒体であるため、加熱手段自体の表面温度は非常に高く、循環ファンによる風量調整により局部的には非常に高温の加熱加湿空気を供給できるため、発汗作用を促進したいときに用いることができるという効果のあるミストサウナシステムを提供することができる。
【0019】
また、前回の第2の加熱手段の運転時間を記憶し、入浴ボタンを押す2回目以降は前回の運転時間で終了し、自動的に第1の加熱手段に切り替わることにより、前回の第2の加熱手段の運転時間を記憶することで自動的に第1の加熱手段に切り替わることにより、必要以上に第2の加熱手段を必要以上に使用することのない、経済的なミストサウナシステムを提供することができる。
【0020】
また、前回の第2の加熱手段の運転時間および運転開始時の温度を記憶し、入浴ボタンを押す2回目以降は前回の運転時間および運転開始時の温度より終了時間を算出し、自動的に第1の加熱手段に切り替わることにより、前回の第2の加熱手段の運転時間および押したときの浴室内の温度を記憶することにより、対象人物の周囲温湿度と発汗までの時間関係が詳細にわかることにより、前記対象人物が確実に発汗するまでの時間が推定でき、その後自動的に第1の加熱手段に切り替わるため、確実な発汗作用を有しかつ経済的なミストサウナシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1のミストサウナシステムを設置した状態を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態2のミストサウナシステムの風路構成、冷媒回路および水回路図
【図3】同ミストサウナシステムの浴室設置図
【図4】本発明の実施の形態3、4のミストサウナシステムの浴室設置図
【図5】本発明の実施の形態5のミストサウナシステムの風路構成、冷媒回路および水回路図
【図6】同ミストサウナシステムの検知温度による運転時間を示す図
【図7】従来のミストサウナシステムの一例を示す構成図
【図8】同ミストサウナシステムの風路構成図および冷媒回路図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の請求項1記載のミストサウナシステムは、冷媒を圧縮する圧縮機と冷媒が放熱する第1の熱交換器と冷媒を膨張させる膨張機構と冷媒が吸熱する第2の熱交換器とを順に配管接続した冷媒回路により構成される第1の加熱手段と、第1の加熱手段に対して表面温度が高温となる第2の加熱手段を備え、浴室に開口した吸込口から空気を吸い込んで前記浴室に開口した吹出口から空気を吹き出す循環ファンと、微細な水滴、すなわちミストを発生させるミスト発生器を備え、前記第1の加熱手段または第2の加熱手段において循環ファンが送風する空気に対して放熱することにより前記浴室内を加熱するとともに前記ミスト発生器において発生したミストを前記浴室内に供給することにより前記浴室内を加湿することとしたものであり、冷媒回路により構成される第1の加熱手段は比較的大風量にも対応できるため浴室全体を一定温度以上に上昇または維持することに適しており、一方第1の加熱手段に対して表面温度が高温となる第2の加熱手段は局所的に高温にすることができるという作用を有する。
【0023】
また、起動時は第1の加熱手段と循環ファンとミスト発生器が駆動するものであり、冷媒回路を使用した第1の加熱手段を用いるため入力に対し、出力を増加することができるという作用を有する。
【0024】
また、入浴時に入浴ボタンを押すことにより、循環ファンとミスト発生器とともに第2の加熱手段が駆動するものであり、入浴ボタンを押すことにより、第2の加熱手段たとえばヒーターのような直接加熱媒体自体から熱を発する加熱手段により吹出口から加熱加湿空気を局所的に吹き出すことができるという作用を有する。
【0025】
また、前回の第2の加熱手段の運転時間を記憶し、入浴ボタンを押す2回目以降は前回の運転時間で終了し、自動的に第1の加熱手段に切り替わるものであり、入浴時に入浴ボタンを押すことにより第2の加熱手段による局所的な加湿暖房運転を行うが、前回の入浴時間すなわち一通り発汗したと想定される時間経過後に自動的に冷媒回路を用いた第1の加熱手段に切り替わることができるという作用を有する。
【0026】
また、前回の第2の加熱手段の運転時間および運転開始時の温度を記憶し、入浴ボタンを押す2回目以降は前回の運転時間および運転開始時の温度より終了時間を算出し、自動的に第1の加熱手段に切り替わるものであり、前回の入浴ボタンを押したタイミングがまだ浴室内の温湿度が上昇し安定していない状態では発汗作用に至るまでに時間がかかるため、第2の加熱手段の駆動時間が長くなることより、入浴ボタンを押した時の温度を記憶し、前回の温度以上であれば、前回の第2の加熱手段を押した後前記今回の温度となる時間を差し引いた時間を入浴時間とし、入浴時間経過後第1の加熱手段に切り替え、一方前記の第2加熱手段を押した時の温度より低い場合は前回の温度となるまでの時間を加算した時間を入浴時間とし、入浴時間経過後第1の加熱手段に切り替わることができるという作用を有する。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0028】
(実施の形態1)
図1は本発明実施形態1のミストサウナシステムが浴室天井裏に設置されている構成を示した図である。図1において、浴室等よりなるサウナ対象室である浴室1の天井裏空間2にサウナ装置を形成する装置本体3を設け、装置本体3の下面に形成された開口部4は天井開口5を介してサウナ対象室1に連通している。また、装置本体3には水を装置本体3に供給する給水管6および装置本体3から排出される水を排水する排水管7が接続され、サウナ対象室1または装置本体3内部を加熱、加湿する場合には、給水管6を介して市水が装置本体3に送水され、給水管6より供給された市水の一部は加湿として使用され、加湿に使用されなかった水が排水管7より排水されるものである。
【0029】
図2は、ミストサウナシステムの風路構成、冷媒回路構成および水回路構成を示した図である。冷媒を圧縮する圧縮機8と冷媒が放熱する第1の熱交換器9と冷媒を膨張させる膨張機構10と冷媒が吸熱する第2の熱交換器11とを順に配管接続した冷媒回路12により構成される第1の加熱手段13と、第1の加熱手段13に対して表面温度が高温となる第2の加熱手段14を備え、浴室1に開口した吸込口15から空気を吸い込み浴室1に開口した吹出口16から空気を吹き出す循環ファン17と、微細な水滴、すなわちミストを発生させるミスト発生器18を備え、第1の加熱手段13または第2の加熱手段14において循環ファン17が送風する空気に対して放熱することにより浴室1内を加熱するとともにミスト発生器18において発生したミストを浴室1内に供給することにより浴室1内を加湿する構成とする。
【0030】
第1の加熱手段13として、装置本体3の底面開口部4に吸込口15および吹出口16を浴室1に対して開設するとともに吸込口15に塵埃を捕捉するためのフィルター19を着脱自在に配設している。また、装置本体3内部には吸込口15と吹出口16を連通する循環通路20が形設されており、この循環通路20内に吸込口15から浴室1の空気を吸い込んで吹出口16から吹き出す循環ファン17が配設されている。また、装置本体3内部に吸込口15と排気ファン21の吸込側を連通する排気通路22を形設しており、排気ファン21を運転すると、吸込口15から浴室1の空気が吸い込まれることになり、吸い込まれた空気は装置本体3外に排出されることになる。
【0031】
また、装置本体3内部には、冷媒として例えば、HCFC系冷媒(分子中に塩素、水素、フッ素、炭素の各原子を含む)、HFC系冷媒(分子中に水素、炭素、フッ素の各原子を含む)、炭化水素、二酸化炭素等の自然冷媒などの何れかを充填した冷媒回路12を形設しており、この冷媒回路12中に、冷媒を圧縮する圧縮機8、循環風路20内に配設された第1の熱交換器9、冷媒を膨張させる電子式膨張弁やキャピラリチューブなどからなる膨張機構10、排気通路22内の排気ファン21の吸込側に配設された第2の熱交換器11を介在している。また、第1の熱交換器9は、空気との熱交換が可能なフィンチューブ型の熱交換器で構成されているので第1の熱交換器9において循環ファン17により循環風路20を循環する浴室1の空気と第1の熱交換器9内の冷媒との熱交換が行われて冷媒が浴室1の空気に対して放熱することになる。同様に第2の熱交換器11も空気との熱交換を前提にしたフィンチューブ型の熱交換器で構成しているので、この第2の熱交換器11において排気ファン21により装置本体3外に排出される空気から冷媒が吸熱することになる。このように圧縮機8で圧縮された冷媒が第1の熱交換器9において循環ファン17により供給される浴室1の空気に対して放熱するとともに第2の熱交換器11において排気ファン21により供給される装置本体3外への排出空気から吸熱することによりヒートポンプが作動することになる。
【0032】
また、浴室1の空気を循環送風する循環ファン17と、循環送風する空気を温める第2の加熱手段14を有し、浴室1に面した位置にフィルター19を備えたパネル23が位置され、パネル23は吸込口15と吹出口16を備えており、循環ファン17が駆動することにより、浴室1の空気がパネル23の吸込口15に備えたフィルター19を介して装置本体3に吸い込まれ循環ファン17を通じて第2の加熱手段14に送風される。
【0033】
第2の加熱手段14は電気加熱ヒーター24であり、循環ファン17により送気される空気は電気加熱ヒーター24の内部を通過し、加熱されることとなる。
【0034】
ミスト発生器18は給水開閉弁25、ノズル26、衝突面27により構成されている。ノズル26は給水開閉弁25を介してノズル供給配管28に接続され、ノズル供給配管28は給水口29において水道に直結されており常温水がノズル供給配管28を通じてノズル26に供給され、ノズル26より噴射されることとなる。ノズル26は略円錐状の表面に水滴が集中して噴射するホロコーンタイプであり、ノズル26内部で供給水が螺旋状に旋回してノズル26噴射口より噴射するものであり旋廻時に空気を巻き込むため、他のタイプのノズルと比較して同水圧に対しての噴射流量が少なくてすみ、さらにノズル26のオリフィス径を大きく取れるためスケール等のつまりに対して効果的であり、一方噴射速度も速いため噴射粒径も細かいものとなる。ノズル26から噴射された噴射水は下方にある噴射水衝突面27に衝突しさらに微細化される。微細化された水滴は循環ファン17により第1の加熱手段13または第2の加熱手段14を通じて加熱された空気流と交わり加湿空気となる。このとき噴射水衝突面27に衝突した噴射水は微細な水滴を多く含んだものであるため、常温水で噴射しているものではあるが微細な水滴になることで表面積が増大し加熱空気流と接触する面積が増えるため一部は蒸発し、加湿空気となる。このように水滴を微細化することにより水滴を蒸発しやすい状態にすることにより、常温水でも十分に加湿性能を上げることができることとなる。
【0035】
また第2の加熱手段14である電気加熱ヒーター24は発熱素子(図示せず)と熱伝導フィン(図示せず)により構成されたもので、また熱伝導フィンは電気加熱ヒーター24の熱を有効に空気流に伝えるため空気の流れ方向に対し一定の幅を有しているため、空気流が電気加熱ヒーター24を通過するときに熱伝導フィンの幅により整流されることとなる。
【0036】
電気加熱ヒーター24は第1の加熱手段13の循環風路20における下流側に位置し、ミスト発生器18を連結する略角筒形状の循環風路20に備えられ、気流方向に対し上部が先頭になる角度で取り付けられている。電気加熱ヒーター24で整流された空気流はミスト発生器18の上部に備えられたノズル26の噴射水が衝突する噴射水衝突面27に集中するような角度で取り付けられている。つまり循環ファン17により送気された空気流は電気加熱ヒーター24を通過することにより下面に屈曲整流されることとなる。また電気加熱ヒーター24により空気流は80℃以上に加熱されるため噴射水衝突面27には80℃近くの空気が送られることとなる。
【0037】
一方ミスト発生器18において加熱空気とノズル26より噴射した水が衝突面27に衝突し微細なあるいは気化した水滴となるわけだが、気化しない、あるいは微細化されずに循環ファン17より送られた空気流に乗らなかった大粒水滴は、ミスト発生器18の風路下流側に備えた貯水部(図示せず)に一時貯水することとなる。貯水部は電気加熱ヒーター24から下り勾配を持って位置した噴射水衝突面27に対し更に下り勾配を持って配置されており、貯水部の底面は一部下り勾配を持った底面を形成している。一方貯水部の底面は排水口(図示せず)に対して下り勾配を持って形成されており貯水部に蓄えられた水あるいは温水は排水口を通じて装置本体3外部に容易に排出されることとなる。
【0038】
また、装置本体3は制御手段30を備え、第1の加熱手段13、第2の加熱手段14、給水開閉弁25、循環ファン17および排気ファン21は電気的に接続されている。
【0039】
第1の加熱手段13はヒートポンプサイクルを用いているため、入力に対して出力を大きく保つことができ、大風量での大能力での加熱が可能となる。一方第2の加熱手段14は電気ヒーター24を用いているため入力に対して出力がほぼ等しくなるが、ヒーター自身の温度が高いため局所的に高温にすることが可能である。
【0040】
上記構成により、冷媒回路12により構成される第1の加熱手段13は比較的大風量にも対応できるため浴室1全体を一定温度以上に上昇または維持することに適しており、一方第1の加熱手段13に対して表面温度が高温となる第2の加熱手段14は局所的に高温にすることができる。
【0041】
このように本発明の実施の形態1のミストサウナシステムは、浴室1内の状況に応じ、つまりは浴室1を温めている状態、またはミストサウナ入浴しているときの状態、または一通り発汗し終わった後の状態、または入浴終了の状態、または浴室1内を加湿暖房し長期間入浴するときの状態等により、第1の加熱手段13とミスト発生器18と循環ファン17を併用して使用する、または第2の加湿手段14とミスト発生器18と循環ファン17を併用して使用する、または第1の加熱手段13と循環ファン17を使用する、または第2の加熱手段14と循環ファン17を使用するという状況に応じた使い分けができることとなる。
【0042】
(実施の形態2)
次に本発明実施形態2のミストサウナシステムについて図2と図3を用いて説明する。なお実施の形態1と同一の構成要素は同一の番号を付し詳細な説明は省略する。
【0043】
一般にミストサウナシステム起動時は浴室の内部も暖まっていない状態であり、このため浴室1の壁面31、床面32も暖まっていない状態で、ミストサウナシステムを起動することとなる。この状態では浴室1内を加湿しても、加湿成分の大部分が冷えている浴室1壁面31、床面32に結露してしまい、浴室1内の加湿が有効になされない状態になるとともに、結露した水滴が壁面31、床面32を覆うことにより温度の上がりにくい水を介して壁面31、床面32を温めることとなり、加熱、加湿ともに効率のよくない状況となる。このため早く浴室1内壁面31、床面32の温度を上げる必要がある。
【0044】
また、ミストサウナシステム起動時に浴室1が冷えていると、ミストサウナ入浴可能温度に達するまで時間がかかり、その分ランニングコストがかさむこととなる。
【0045】
このためミストサウナを起動したときに、第1の加熱手段13と循環ファン17とミスト発生器18が駆動させたとき、制御手段30より循環ファン17に高速回転で回る指示を出すことにより、またヒートポンプサイクルの構成要素の一つである圧縮機8を高速回転することにより、大風量・大容量の加熱空気を浴室1内に送風する。装置3より吹き出された空気流は浴室全体に広がる浴室内循環空気流33となり、浴室1壁面31および床面32の温度を上昇させ、結露しにくい状態とし、浴室1内の温度・湿度を上昇させる。湿度成分は温度を拡散させる性能有しているため、一定湿度以上上がれば浴室1隅々まで浴室内循環空気流33がいきわたることとなる。
【0046】
一方、冷媒回路を使用した第1の加熱手段を用いるため入力に対し、出力を増加することができ、経済的に浴室1内を暖めることができる。
【0047】
このように本発明の実施の形態2のミストサウナシステムは第1の加熱手段13は冷媒回路12を用いているため、出力に対し入力が低く抑えることができ、すなわちランニングコストを低く抑えることができ、温度立ち上げ時や発汗後の安定時等比較的長時間使用する場面に使われることが多く経済的であるという効果があることとなる。
【0048】
(実施の形態3)
次に本発明実施形態3のミストサウナシステムについて図2、4を用いて説明する。なお実施の形態1、2および3と同一の構成要素は同一の番号を付し詳細な説明は省略する。
【0049】
一般にヒートポンプシステムによる暖房の能力は大きいが高温域、たとえば60度以上の温度の空気流を供給することは困難とされている。一方、ミストサウナ環境温度とするためには人肌に空気流が接触する時点で少なくとも体温以上の温度が要求されている。このため例え大容量加熱の暖房機を用いたとしても、供給温度自体が高くなければミストサウナ環境を作れないこととなる。
【0050】
ミストサウナを起動したときに、第1の加熱手段13と循環ファン17とミスト発生器18が駆動させたとき、制御手段30より循環ファン17に高速回転で回る指示を出すことにより、またヒートポンプサイクルの構成要素の一つである圧縮機8を高速回転することにより、大風量・大容量の加熱空気を浴室1内に送風し、浴室内循環空気流33が流れ、浴室1全体をある一定温度以上、例えば30度から35度の範囲に暖める。その後、ミストサウナ入浴対象者36が入浴時に、制御手段30に電気的に接続されたミストサウナシステム自体の動作を指示するリモコン34に設けられた入浴ボタン35を押すことにより、循環ファン17とミスト発生器18とともに第2の加熱手段14が駆動する。
【0051】
起動時に第1の加熱手段13を駆動しているため、浴室1内全体が暖かい状態となっており、入浴ボタン35を押すことにより、第2の加熱手段14である電気加熱ヒーター24により、吹出口16から高温の加熱加湿空気をミストサウナ入浴対象者36に吹き出すことができる。電気加熱ヒーター24は直接加熱媒体自体から熱を発する加熱手段であるため電気加熱ヒーター24自体の表面温度は高温であり、制御手段30の指示により循環ファン17の回転数を変化させることにより、風量・吹出温度を変化させることが可能となるため、吹出口16から吹き出される温風は入浴時循環空気流37のようにミストサウナ入浴対象者36のみ局所的に温風を送ることが可能となる。
【0052】
このように本発明の実施の形態3のミストサウナシステムは、第2の加熱手段14は電気加熱ヒーター24等の直接加熱媒体であるため、加熱手段自体の表面温度は非常に高く、循環ファン17による風量調整により局部的には非常に高温の加熱加湿空気を供給できるため、発汗作用を促進したいときに用いることができることとなる。
【0053】
(実施の形態4)
次に本発明実施形態4のミストサウナシステムについて図4を用いて説明する。なお実施の形態1、2および3と同一の構成要素は同一の番号を付し詳細な説明は省略する。
【0054】
図4に示すように制御手段30に電気的に接続されたミストサウナシステム自体の動作を指示するリモコン34に設けられた入浴ボタン35が設けられており、一方制御手段30は時間をカウントするタイマー機能を有したものである。
【0055】
一般にミストサウナ入浴対象者37はミストサウナシステムより供給される加熱加湿空気により毛穴が開いて、一度汗が流れ始めると多少の温度低下によっても発刊作用は継続する傾向にある。また汗が出きってしまった状態で同じレベルの高温高湿空間に長時間いると、脱水症状等健康に弊害をもたらす恐れがある。このため発刊作用が終了した時点で一度温度を下げるもしくは停止することが望ましい。通常ミストサウナ入浴対象者37は発刊作用が終了した時点で入浴ボタン35を解除するか、リモコン34を用いてミストサウナシステム自体を停止する行動をとる。一方、冬場等周囲が冷えているときにミストサウナシステム自体を停止するとすぐに浴室1内が冷えてしまうおそれがある。
【0056】
ミストサウナ入浴対象者36が一度ミストサウナ入浴を行い機器を停止した後、前回の第2の加熱手段14の運転時間つまりはミストサウナ入浴時間を、制御手段30に備えられたタイマーにより測定し制御手段30が記憶し、入浴ボタン35を押す2回目以降は前回の第2の加熱手段14駆動時間つまりはミストサウナ入浴時間で第2の加熱手段14の運転は終了し、自動的に第1の加熱手段13に切り替わる構成とする。
【0057】
上記構成により、入浴時に入浴ボタン35を押すことにより第2の加熱手段14による局所的な加湿暖房運転を行うが、前回の入浴時間すなわち一通り発汗したと想定される時間経過後に自動的に冷媒回路を用いた第1の加熱手段13に切り替わることができる。
【0058】
このように本発明の実施の形態4のミストサウナシステムは、前回の第2の加熱手段14の運転時間を記憶することで自動的に第1の加熱手段13に切り替わることにより、第2の加熱手段14を必要以上に使用することのない、経済的なミストサウナシステムを供給することができることとなる。
【0059】
(実施の形態5)
次に本発明実施形態5のミストサウナシステムについて図5、6を用いて説明する。なお実施の形態1、2、3および4と同一の構成要素は同一の番号を付し詳細な説明は省略する。
【0060】
入浴ボタン35を押したタイミングがまだ浴室1内の温湿度が上昇し安定していない状態では発汗作用に至るまでに時間がかかり、第2の加熱手段14の駆動時間が長くなる。一方入浴ボタン35を押したタイミングで浴室1内の温湿度が上昇し安定していれば発汗作用に至るまでに時間少なくてすむこととなる。
【0061】
図5、6に示すように、循環ファン17が駆動したときに吸込口15より吸い込まれる浴室1の温度が検出でき、かつ循環ファン17、第1の加熱手段13、第2の加熱手段14の熱的影響の受けない吸込口15の循環風路20における下流側に、温度を検出する温度センサー38を備え、温度センサー38は装置本体3に備える制御手段30と電気的に接続されている。
【0062】
制御手段30は前回のミストサウナ入浴時にあたる第2の加熱手段14の運転時間および運転開始時から終了までの温度と時間を記憶し、前回運転の吸込温度−時間のタイムテーブルを記録し、2回目以降入浴ボタン35を押すときは、前回の運転時間および運転開始時の温度より終了時間を算出し、自動的に第1の加熱手段13に切り替わる構成とする。
【0063】
上記構成により、今回の入浴ボタン35を押した時点で前回の温度以上であれば、前回の入浴ボタン35を押した後今回の温度となる時間を差し引いた時間を入浴時間とし、入浴時間経過後第1の加熱手段に切り替える。一方前回入浴ボタン35を押した時の温度より温度センサー38の検知温度が低い場合は、前回の温度となるまでの時間を加算した時間を入浴時間とし、入浴時間経過後第1の加熱手段13に切り替わることができる。また前回入浴ボタン35を押した時の温度と温度センサー38の検知温度が同じ場合は、前回の第2の加熱手段14の運転時間を行った後、第1の加熱手段13に切り替える。
【0064】
このように本発明の実施の形態5のミストサウナシステムは、前回の第2の加熱手段14の運転時間および押したときの浴室内の温度を記憶することにより、ミストサウナ入浴対象者36の周囲温湿度と発汗までの時間関係が詳細にわかることにより、ミストサウナ入浴対象者36が確実に発汗するまでの時間が推定でき、その後自動的に第1の加熱手段13に切り替わるため、確実な発汗作用を有しかつ経済的なミストサウナシステムを提供することができることとなる。
【0065】
なお本実施例ではミストサウナ入浴対象者36が入浴ボタン35を解除することにより第1の加熱手段13に切り替わることとしたが、一定時間後自動的第1の加熱手段13に自動的に切り替わることとしてもよい。
【0066】
また、本実施例ではミスト入浴中つまりは入浴ボタン35を押されたときの第1の加熱手段13の動作に関しては特に記載はしていないが、ランニングコスト的には停止することが望ましいが、人により発汗温度が異なるため、第2の加熱手段14のみの運転または第1の加熱手段13と第2の加熱手段14の併用のどちらも選択できることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
最寒の北海道の地区では冬の暖房時には必ず加湿をする必要があることから暖房装置と加湿装置を一体に設けた空気調和装置の用途にも適用でき、また、温度制御・湿度制御が可能であるので動植物の育成・保存にも適用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 サウナ対象室(浴室)
8 圧縮機
9 第1の熱交換器
10 膨張機構
11 第2の熱交換器
12 冷媒回路
13 第1の加熱手段
14 第2の加熱手段
15 吸込口
16 吹出口
17 循環ファン
18 ミスト発生器
30 制御手段
35 入浴ボタン
38 温度センサー
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室をサウナ空間として用いるミストサウナシステムに関してのものである。
【背景技術】
【0002】
従来の浴室をサウナ空間として空調するシステムにおいて、ヒートポンプを使用したものとしては、温水熱源としてエコキュートで加熱した温水を使用し、ミストサウナシステムに供給された温水を浴室内にミスト状に噴射させるとともに、前記ミストサウナシステムから温風を前記浴室内に噴出し、浴室内を加熱加湿して高温高湿のミストサウナ環境とするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、浴室に設置する機器の内部に圧縮機と冷媒が放熱する熱交換器と冷媒を膨張させる膨張機構と冷媒が吸熱する熱源側熱交換器とを順に配管接続した冷媒回路を備え、前記冷媒回路により加熱した気流に加湿成分を乗せ浴室内に加熱加湿空気を送風し、高温高湿のミストサウナ環境とするものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4735046号公報
【特許文献2】特開2008−25963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来のミストサウナシステムでは、システム的に複雑になる、または浴室内における要求環境に対してのランニングコストの自由度が少ないという課題があった。
【0006】
特許文献1を示す図7のように、浴室空調システムである浴室暖房システムは、温水によるミストを噴出するミスト発生装置101と、浴室102の暖房及び換気等を行う浴室暖房換気乾燥装置(浴室空調装置)103と、ミスト発生装置101等に温水を供給するヒートポンプ給湯システム104を備え、浴室102の暖房時は、ミスト発生装置101でミストを噴出すると共に、浴室暖房換気乾燥装置103で温風による浴室102の暖房を行って、浴室102を短時間で中温高湿のミストサウナ状態とするものであった。
【0007】
また、特許文献2を示す図8においては、冷媒を圧縮する圧縮機105と冷媒が放熱する利用側熱交換器106と冷媒を膨張させる膨張機構107と冷媒が吸熱する熱源側熱交換器108とを順に配管接続した冷媒回路109と、室内空間、例えば浴室110に開口した吸込口111から空気を吸い込んで浴室110に開口した吹出口112から空気を吹き出す循環ファン113と、微細な水滴、すなわちミストを発生させるミスト発生器114とを備え、熱源側熱交換器108において冷媒が吸熱した熱を利用側熱交換器106において循環ファン113が送風する空気に対して放熱することによりヒートポンプを作動させて浴室110内を加熱するとともにミスト発生器114において発生したミストを浴室110内に供給することにより浴室110内を加湿して高温高湿のサウナ環境を実現するものである。
【0008】
効率よく浴室全体の温湿度を上げることは可能であるが、入浴時の温熱感が低く、発汗作用を促進するには物足りないという課題があった。
【0009】
また、起動時は浴室内の壁面結露防止のため、浴室床面、壁面の温度を上昇させる必要があり浴室全体に気流を流す必要があるが、壁面結露等がなくなる温度まで壁面が上昇した後は、湿度が上昇することにより、温度は浴室内全体に拡散させるため、対象箇所を集中的に暖めることが効率的であるが、冷媒回路を使用するミストサウナシステムにおいては、集中加熱を行っても、発汗作用を促進するには加熱媒体自体の温度が不足しているという課題があった。
【0010】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、他の熱源すなわちエコキュート等を使用せず、入浴時に発汗作用を有する温熱感を供給できる加熱媒体を備えるとともに、浴室全体の温度を上昇するときには経済的かつ効率的な加熱手段により温湿度を上昇する加熱媒体を備えたミストサウナシステムを提供することを目的とするミストサウナシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のミストサウナシステムは、上記目的を達成するために、冷媒を圧縮する圧縮機と冷媒が放熱する第1の熱交換器と冷媒を膨張させる膨張機構と冷媒が吸熱する第2の熱交換器とを順に配管接続した冷媒回路により構成される第1の加熱手段と、第1の加熱手段に対して表面温度が高温となる第2の加熱手段を備え、浴室に開口した吸込口から空気を吸い込んで前記浴室に開口した吹出口から空気を吹き出す循環ファンと、微細な水滴、すなわちミストを発生させるミスト発生器を備え、前記第1の加熱手段または第2の加熱手段において循環ファンが送風する空気に対して放熱することにより前記浴室内を加熱するとともに前記ミスト発生器において発生したミストを前記浴室内に供給することにより前記浴室内を加湿するミストサウナシステムとしたものである。
【0012】
また、他の手段は起動時は第1の加熱手段と循環ファンとミスト発生器が駆動するミストサウナシステムとしたものである。
【0013】
また、他の手段は、入浴時に入浴ボタンを押すことにより、循環ファンとミスト発生器とともに第2の加熱手段が駆動するミストサウナシステムとしたものである。
【0014】
また、他の手段は、前回の第2の加熱手段の運転時間を記憶し、入浴ボタンを押す2回目以降は前回の運転時間で終了し、自動的に第1の加熱手段に切り替わるミストサウナシステムとしたものである。
【0015】
また、他の手段は、前回の第2の加熱手段の運転時間および運転開始時の温度を記憶し、入浴ボタンを押す2回目以降は前回の運転時間および運転開始時の温度より終了時間を算出し、自動的に第1の加熱手段に切り替わるミストサウナシステムとしたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、冷媒を圧縮する圧縮機と冷媒が放熱する第1の熱交換器と冷媒を膨張させる膨張機構と冷媒が吸熱する第2の熱交換器とを順に配管接続した冷媒回路により構成される第1の加熱手段と、前記第1の加熱手段に対して表面温度が高温となる第2の加熱手段を備え、浴室に開口した吸込口から空気を吸い込んで前記浴室に開口した吹出口から空気を吹き出す循環ファンと、微細な水滴、すなわちミストを発生させるミスト発生器を備え、前記第1の加熱手段または第2の加熱手段において循環ファンが送風する空気に対して放熱することにより前記浴室内を加熱するとともに前記ミスト発生器において発生したミストを前記浴室内に供給することにより前記浴室内を加湿することにより、浴室内の状況に応じ、つまりは浴室を温めている状態、またはミストサウナ入浴しているときの状態、または一通り発汗し終わった後の状態、または入浴終了の状態、または浴室内を加湿暖房し長期間入浴するときの状態等により、第1の加熱手段とミスト発生器と循環ファンを併用して使用する、または第2の加湿手段とミスト発生器と循環ファンを併用して使用する、または第1の加熱手段と循環ファンを使用する、または第2の加熱手段と循環ファンを使用するという状況に応じた使い分けができるという効果のあるミストサウナシステムを提供することができる。
【0017】
また、起動時は第1の加熱手段と循環ファンとミスト発生器が駆動することにより、第1の加熱手段は冷媒回路を用いているため、出力に対し入力が低く抑えることができ、すなわちランニングコストを低く抑えることができ、温度立ち上げ時や発汗後の安定時等比較的長時間使用する場面に使われることが多く経済的であるという効果があるミストサウナシステムを提供することができる。
【0018】
また、入浴時に入浴ボタンを押すことにより、循環ファンとミスト発生器とともに第2の加熱手段が駆動することにより、第2の加熱手段はヒーター等の直接加熱媒体であるため、加熱手段自体の表面温度は非常に高く、循環ファンによる風量調整により局部的には非常に高温の加熱加湿空気を供給できるため、発汗作用を促進したいときに用いることができるという効果のあるミストサウナシステムを提供することができる。
【0019】
また、前回の第2の加熱手段の運転時間を記憶し、入浴ボタンを押す2回目以降は前回の運転時間で終了し、自動的に第1の加熱手段に切り替わることにより、前回の第2の加熱手段の運転時間を記憶することで自動的に第1の加熱手段に切り替わることにより、必要以上に第2の加熱手段を必要以上に使用することのない、経済的なミストサウナシステムを提供することができる。
【0020】
また、前回の第2の加熱手段の運転時間および運転開始時の温度を記憶し、入浴ボタンを押す2回目以降は前回の運転時間および運転開始時の温度より終了時間を算出し、自動的に第1の加熱手段に切り替わることにより、前回の第2の加熱手段の運転時間および押したときの浴室内の温度を記憶することにより、対象人物の周囲温湿度と発汗までの時間関係が詳細にわかることにより、前記対象人物が確実に発汗するまでの時間が推定でき、その後自動的に第1の加熱手段に切り替わるため、確実な発汗作用を有しかつ経済的なミストサウナシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1のミストサウナシステムを設置した状態を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態2のミストサウナシステムの風路構成、冷媒回路および水回路図
【図3】同ミストサウナシステムの浴室設置図
【図4】本発明の実施の形態3、4のミストサウナシステムの浴室設置図
【図5】本発明の実施の形態5のミストサウナシステムの風路構成、冷媒回路および水回路図
【図6】同ミストサウナシステムの検知温度による運転時間を示す図
【図7】従来のミストサウナシステムの一例を示す構成図
【図8】同ミストサウナシステムの風路構成図および冷媒回路図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の請求項1記載のミストサウナシステムは、冷媒を圧縮する圧縮機と冷媒が放熱する第1の熱交換器と冷媒を膨張させる膨張機構と冷媒が吸熱する第2の熱交換器とを順に配管接続した冷媒回路により構成される第1の加熱手段と、第1の加熱手段に対して表面温度が高温となる第2の加熱手段を備え、浴室に開口した吸込口から空気を吸い込んで前記浴室に開口した吹出口から空気を吹き出す循環ファンと、微細な水滴、すなわちミストを発生させるミスト発生器を備え、前記第1の加熱手段または第2の加熱手段において循環ファンが送風する空気に対して放熱することにより前記浴室内を加熱するとともに前記ミスト発生器において発生したミストを前記浴室内に供給することにより前記浴室内を加湿することとしたものであり、冷媒回路により構成される第1の加熱手段は比較的大風量にも対応できるため浴室全体を一定温度以上に上昇または維持することに適しており、一方第1の加熱手段に対して表面温度が高温となる第2の加熱手段は局所的に高温にすることができるという作用を有する。
【0023】
また、起動時は第1の加熱手段と循環ファンとミスト発生器が駆動するものであり、冷媒回路を使用した第1の加熱手段を用いるため入力に対し、出力を増加することができるという作用を有する。
【0024】
また、入浴時に入浴ボタンを押すことにより、循環ファンとミスト発生器とともに第2の加熱手段が駆動するものであり、入浴ボタンを押すことにより、第2の加熱手段たとえばヒーターのような直接加熱媒体自体から熱を発する加熱手段により吹出口から加熱加湿空気を局所的に吹き出すことができるという作用を有する。
【0025】
また、前回の第2の加熱手段の運転時間を記憶し、入浴ボタンを押す2回目以降は前回の運転時間で終了し、自動的に第1の加熱手段に切り替わるものであり、入浴時に入浴ボタンを押すことにより第2の加熱手段による局所的な加湿暖房運転を行うが、前回の入浴時間すなわち一通り発汗したと想定される時間経過後に自動的に冷媒回路を用いた第1の加熱手段に切り替わることができるという作用を有する。
【0026】
また、前回の第2の加熱手段の運転時間および運転開始時の温度を記憶し、入浴ボタンを押す2回目以降は前回の運転時間および運転開始時の温度より終了時間を算出し、自動的に第1の加熱手段に切り替わるものであり、前回の入浴ボタンを押したタイミングがまだ浴室内の温湿度が上昇し安定していない状態では発汗作用に至るまでに時間がかかるため、第2の加熱手段の駆動時間が長くなることより、入浴ボタンを押した時の温度を記憶し、前回の温度以上であれば、前回の第2の加熱手段を押した後前記今回の温度となる時間を差し引いた時間を入浴時間とし、入浴時間経過後第1の加熱手段に切り替え、一方前記の第2加熱手段を押した時の温度より低い場合は前回の温度となるまでの時間を加算した時間を入浴時間とし、入浴時間経過後第1の加熱手段に切り替わることができるという作用を有する。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0028】
(実施の形態1)
図1は本発明実施形態1のミストサウナシステムが浴室天井裏に設置されている構成を示した図である。図1において、浴室等よりなるサウナ対象室である浴室1の天井裏空間2にサウナ装置を形成する装置本体3を設け、装置本体3の下面に形成された開口部4は天井開口5を介してサウナ対象室1に連通している。また、装置本体3には水を装置本体3に供給する給水管6および装置本体3から排出される水を排水する排水管7が接続され、サウナ対象室1または装置本体3内部を加熱、加湿する場合には、給水管6を介して市水が装置本体3に送水され、給水管6より供給された市水の一部は加湿として使用され、加湿に使用されなかった水が排水管7より排水されるものである。
【0029】
図2は、ミストサウナシステムの風路構成、冷媒回路構成および水回路構成を示した図である。冷媒を圧縮する圧縮機8と冷媒が放熱する第1の熱交換器9と冷媒を膨張させる膨張機構10と冷媒が吸熱する第2の熱交換器11とを順に配管接続した冷媒回路12により構成される第1の加熱手段13と、第1の加熱手段13に対して表面温度が高温となる第2の加熱手段14を備え、浴室1に開口した吸込口15から空気を吸い込み浴室1に開口した吹出口16から空気を吹き出す循環ファン17と、微細な水滴、すなわちミストを発生させるミスト発生器18を備え、第1の加熱手段13または第2の加熱手段14において循環ファン17が送風する空気に対して放熱することにより浴室1内を加熱するとともにミスト発生器18において発生したミストを浴室1内に供給することにより浴室1内を加湿する構成とする。
【0030】
第1の加熱手段13として、装置本体3の底面開口部4に吸込口15および吹出口16を浴室1に対して開設するとともに吸込口15に塵埃を捕捉するためのフィルター19を着脱自在に配設している。また、装置本体3内部には吸込口15と吹出口16を連通する循環通路20が形設されており、この循環通路20内に吸込口15から浴室1の空気を吸い込んで吹出口16から吹き出す循環ファン17が配設されている。また、装置本体3内部に吸込口15と排気ファン21の吸込側を連通する排気通路22を形設しており、排気ファン21を運転すると、吸込口15から浴室1の空気が吸い込まれることになり、吸い込まれた空気は装置本体3外に排出されることになる。
【0031】
また、装置本体3内部には、冷媒として例えば、HCFC系冷媒(分子中に塩素、水素、フッ素、炭素の各原子を含む)、HFC系冷媒(分子中に水素、炭素、フッ素の各原子を含む)、炭化水素、二酸化炭素等の自然冷媒などの何れかを充填した冷媒回路12を形設しており、この冷媒回路12中に、冷媒を圧縮する圧縮機8、循環風路20内に配設された第1の熱交換器9、冷媒を膨張させる電子式膨張弁やキャピラリチューブなどからなる膨張機構10、排気通路22内の排気ファン21の吸込側に配設された第2の熱交換器11を介在している。また、第1の熱交換器9は、空気との熱交換が可能なフィンチューブ型の熱交換器で構成されているので第1の熱交換器9において循環ファン17により循環風路20を循環する浴室1の空気と第1の熱交換器9内の冷媒との熱交換が行われて冷媒が浴室1の空気に対して放熱することになる。同様に第2の熱交換器11も空気との熱交換を前提にしたフィンチューブ型の熱交換器で構成しているので、この第2の熱交換器11において排気ファン21により装置本体3外に排出される空気から冷媒が吸熱することになる。このように圧縮機8で圧縮された冷媒が第1の熱交換器9において循環ファン17により供給される浴室1の空気に対して放熱するとともに第2の熱交換器11において排気ファン21により供給される装置本体3外への排出空気から吸熱することによりヒートポンプが作動することになる。
【0032】
また、浴室1の空気を循環送風する循環ファン17と、循環送風する空気を温める第2の加熱手段14を有し、浴室1に面した位置にフィルター19を備えたパネル23が位置され、パネル23は吸込口15と吹出口16を備えており、循環ファン17が駆動することにより、浴室1の空気がパネル23の吸込口15に備えたフィルター19を介して装置本体3に吸い込まれ循環ファン17を通じて第2の加熱手段14に送風される。
【0033】
第2の加熱手段14は電気加熱ヒーター24であり、循環ファン17により送気される空気は電気加熱ヒーター24の内部を通過し、加熱されることとなる。
【0034】
ミスト発生器18は給水開閉弁25、ノズル26、衝突面27により構成されている。ノズル26は給水開閉弁25を介してノズル供給配管28に接続され、ノズル供給配管28は給水口29において水道に直結されており常温水がノズル供給配管28を通じてノズル26に供給され、ノズル26より噴射されることとなる。ノズル26は略円錐状の表面に水滴が集中して噴射するホロコーンタイプであり、ノズル26内部で供給水が螺旋状に旋回してノズル26噴射口より噴射するものであり旋廻時に空気を巻き込むため、他のタイプのノズルと比較して同水圧に対しての噴射流量が少なくてすみ、さらにノズル26のオリフィス径を大きく取れるためスケール等のつまりに対して効果的であり、一方噴射速度も速いため噴射粒径も細かいものとなる。ノズル26から噴射された噴射水は下方にある噴射水衝突面27に衝突しさらに微細化される。微細化された水滴は循環ファン17により第1の加熱手段13または第2の加熱手段14を通じて加熱された空気流と交わり加湿空気となる。このとき噴射水衝突面27に衝突した噴射水は微細な水滴を多く含んだものであるため、常温水で噴射しているものではあるが微細な水滴になることで表面積が増大し加熱空気流と接触する面積が増えるため一部は蒸発し、加湿空気となる。このように水滴を微細化することにより水滴を蒸発しやすい状態にすることにより、常温水でも十分に加湿性能を上げることができることとなる。
【0035】
また第2の加熱手段14である電気加熱ヒーター24は発熱素子(図示せず)と熱伝導フィン(図示せず)により構成されたもので、また熱伝導フィンは電気加熱ヒーター24の熱を有効に空気流に伝えるため空気の流れ方向に対し一定の幅を有しているため、空気流が電気加熱ヒーター24を通過するときに熱伝導フィンの幅により整流されることとなる。
【0036】
電気加熱ヒーター24は第1の加熱手段13の循環風路20における下流側に位置し、ミスト発生器18を連結する略角筒形状の循環風路20に備えられ、気流方向に対し上部が先頭になる角度で取り付けられている。電気加熱ヒーター24で整流された空気流はミスト発生器18の上部に備えられたノズル26の噴射水が衝突する噴射水衝突面27に集中するような角度で取り付けられている。つまり循環ファン17により送気された空気流は電気加熱ヒーター24を通過することにより下面に屈曲整流されることとなる。また電気加熱ヒーター24により空気流は80℃以上に加熱されるため噴射水衝突面27には80℃近くの空気が送られることとなる。
【0037】
一方ミスト発生器18において加熱空気とノズル26より噴射した水が衝突面27に衝突し微細なあるいは気化した水滴となるわけだが、気化しない、あるいは微細化されずに循環ファン17より送られた空気流に乗らなかった大粒水滴は、ミスト発生器18の風路下流側に備えた貯水部(図示せず)に一時貯水することとなる。貯水部は電気加熱ヒーター24から下り勾配を持って位置した噴射水衝突面27に対し更に下り勾配を持って配置されており、貯水部の底面は一部下り勾配を持った底面を形成している。一方貯水部の底面は排水口(図示せず)に対して下り勾配を持って形成されており貯水部に蓄えられた水あるいは温水は排水口を通じて装置本体3外部に容易に排出されることとなる。
【0038】
また、装置本体3は制御手段30を備え、第1の加熱手段13、第2の加熱手段14、給水開閉弁25、循環ファン17および排気ファン21は電気的に接続されている。
【0039】
第1の加熱手段13はヒートポンプサイクルを用いているため、入力に対して出力を大きく保つことができ、大風量での大能力での加熱が可能となる。一方第2の加熱手段14は電気ヒーター24を用いているため入力に対して出力がほぼ等しくなるが、ヒーター自身の温度が高いため局所的に高温にすることが可能である。
【0040】
上記構成により、冷媒回路12により構成される第1の加熱手段13は比較的大風量にも対応できるため浴室1全体を一定温度以上に上昇または維持することに適しており、一方第1の加熱手段13に対して表面温度が高温となる第2の加熱手段14は局所的に高温にすることができる。
【0041】
このように本発明の実施の形態1のミストサウナシステムは、浴室1内の状況に応じ、つまりは浴室1を温めている状態、またはミストサウナ入浴しているときの状態、または一通り発汗し終わった後の状態、または入浴終了の状態、または浴室1内を加湿暖房し長期間入浴するときの状態等により、第1の加熱手段13とミスト発生器18と循環ファン17を併用して使用する、または第2の加湿手段14とミスト発生器18と循環ファン17を併用して使用する、または第1の加熱手段13と循環ファン17を使用する、または第2の加熱手段14と循環ファン17を使用するという状況に応じた使い分けができることとなる。
【0042】
(実施の形態2)
次に本発明実施形態2のミストサウナシステムについて図2と図3を用いて説明する。なお実施の形態1と同一の構成要素は同一の番号を付し詳細な説明は省略する。
【0043】
一般にミストサウナシステム起動時は浴室の内部も暖まっていない状態であり、このため浴室1の壁面31、床面32も暖まっていない状態で、ミストサウナシステムを起動することとなる。この状態では浴室1内を加湿しても、加湿成分の大部分が冷えている浴室1壁面31、床面32に結露してしまい、浴室1内の加湿が有効になされない状態になるとともに、結露した水滴が壁面31、床面32を覆うことにより温度の上がりにくい水を介して壁面31、床面32を温めることとなり、加熱、加湿ともに効率のよくない状況となる。このため早く浴室1内壁面31、床面32の温度を上げる必要がある。
【0044】
また、ミストサウナシステム起動時に浴室1が冷えていると、ミストサウナ入浴可能温度に達するまで時間がかかり、その分ランニングコストがかさむこととなる。
【0045】
このためミストサウナを起動したときに、第1の加熱手段13と循環ファン17とミスト発生器18が駆動させたとき、制御手段30より循環ファン17に高速回転で回る指示を出すことにより、またヒートポンプサイクルの構成要素の一つである圧縮機8を高速回転することにより、大風量・大容量の加熱空気を浴室1内に送風する。装置3より吹き出された空気流は浴室全体に広がる浴室内循環空気流33となり、浴室1壁面31および床面32の温度を上昇させ、結露しにくい状態とし、浴室1内の温度・湿度を上昇させる。湿度成分は温度を拡散させる性能有しているため、一定湿度以上上がれば浴室1隅々まで浴室内循環空気流33がいきわたることとなる。
【0046】
一方、冷媒回路を使用した第1の加熱手段を用いるため入力に対し、出力を増加することができ、経済的に浴室1内を暖めることができる。
【0047】
このように本発明の実施の形態2のミストサウナシステムは第1の加熱手段13は冷媒回路12を用いているため、出力に対し入力が低く抑えることができ、すなわちランニングコストを低く抑えることができ、温度立ち上げ時や発汗後の安定時等比較的長時間使用する場面に使われることが多く経済的であるという効果があることとなる。
【0048】
(実施の形態3)
次に本発明実施形態3のミストサウナシステムについて図2、4を用いて説明する。なお実施の形態1、2および3と同一の構成要素は同一の番号を付し詳細な説明は省略する。
【0049】
一般にヒートポンプシステムによる暖房の能力は大きいが高温域、たとえば60度以上の温度の空気流を供給することは困難とされている。一方、ミストサウナ環境温度とするためには人肌に空気流が接触する時点で少なくとも体温以上の温度が要求されている。このため例え大容量加熱の暖房機を用いたとしても、供給温度自体が高くなければミストサウナ環境を作れないこととなる。
【0050】
ミストサウナを起動したときに、第1の加熱手段13と循環ファン17とミスト発生器18が駆動させたとき、制御手段30より循環ファン17に高速回転で回る指示を出すことにより、またヒートポンプサイクルの構成要素の一つである圧縮機8を高速回転することにより、大風量・大容量の加熱空気を浴室1内に送風し、浴室内循環空気流33が流れ、浴室1全体をある一定温度以上、例えば30度から35度の範囲に暖める。その後、ミストサウナ入浴対象者36が入浴時に、制御手段30に電気的に接続されたミストサウナシステム自体の動作を指示するリモコン34に設けられた入浴ボタン35を押すことにより、循環ファン17とミスト発生器18とともに第2の加熱手段14が駆動する。
【0051】
起動時に第1の加熱手段13を駆動しているため、浴室1内全体が暖かい状態となっており、入浴ボタン35を押すことにより、第2の加熱手段14である電気加熱ヒーター24により、吹出口16から高温の加熱加湿空気をミストサウナ入浴対象者36に吹き出すことができる。電気加熱ヒーター24は直接加熱媒体自体から熱を発する加熱手段であるため電気加熱ヒーター24自体の表面温度は高温であり、制御手段30の指示により循環ファン17の回転数を変化させることにより、風量・吹出温度を変化させることが可能となるため、吹出口16から吹き出される温風は入浴時循環空気流37のようにミストサウナ入浴対象者36のみ局所的に温風を送ることが可能となる。
【0052】
このように本発明の実施の形態3のミストサウナシステムは、第2の加熱手段14は電気加熱ヒーター24等の直接加熱媒体であるため、加熱手段自体の表面温度は非常に高く、循環ファン17による風量調整により局部的には非常に高温の加熱加湿空気を供給できるため、発汗作用を促進したいときに用いることができることとなる。
【0053】
(実施の形態4)
次に本発明実施形態4のミストサウナシステムについて図4を用いて説明する。なお実施の形態1、2および3と同一の構成要素は同一の番号を付し詳細な説明は省略する。
【0054】
図4に示すように制御手段30に電気的に接続されたミストサウナシステム自体の動作を指示するリモコン34に設けられた入浴ボタン35が設けられており、一方制御手段30は時間をカウントするタイマー機能を有したものである。
【0055】
一般にミストサウナ入浴対象者37はミストサウナシステムより供給される加熱加湿空気により毛穴が開いて、一度汗が流れ始めると多少の温度低下によっても発刊作用は継続する傾向にある。また汗が出きってしまった状態で同じレベルの高温高湿空間に長時間いると、脱水症状等健康に弊害をもたらす恐れがある。このため発刊作用が終了した時点で一度温度を下げるもしくは停止することが望ましい。通常ミストサウナ入浴対象者37は発刊作用が終了した時点で入浴ボタン35を解除するか、リモコン34を用いてミストサウナシステム自体を停止する行動をとる。一方、冬場等周囲が冷えているときにミストサウナシステム自体を停止するとすぐに浴室1内が冷えてしまうおそれがある。
【0056】
ミストサウナ入浴対象者36が一度ミストサウナ入浴を行い機器を停止した後、前回の第2の加熱手段14の運転時間つまりはミストサウナ入浴時間を、制御手段30に備えられたタイマーにより測定し制御手段30が記憶し、入浴ボタン35を押す2回目以降は前回の第2の加熱手段14駆動時間つまりはミストサウナ入浴時間で第2の加熱手段14の運転は終了し、自動的に第1の加熱手段13に切り替わる構成とする。
【0057】
上記構成により、入浴時に入浴ボタン35を押すことにより第2の加熱手段14による局所的な加湿暖房運転を行うが、前回の入浴時間すなわち一通り発汗したと想定される時間経過後に自動的に冷媒回路を用いた第1の加熱手段13に切り替わることができる。
【0058】
このように本発明の実施の形態4のミストサウナシステムは、前回の第2の加熱手段14の運転時間を記憶することで自動的に第1の加熱手段13に切り替わることにより、第2の加熱手段14を必要以上に使用することのない、経済的なミストサウナシステムを供給することができることとなる。
【0059】
(実施の形態5)
次に本発明実施形態5のミストサウナシステムについて図5、6を用いて説明する。なお実施の形態1、2、3および4と同一の構成要素は同一の番号を付し詳細な説明は省略する。
【0060】
入浴ボタン35を押したタイミングがまだ浴室1内の温湿度が上昇し安定していない状態では発汗作用に至るまでに時間がかかり、第2の加熱手段14の駆動時間が長くなる。一方入浴ボタン35を押したタイミングで浴室1内の温湿度が上昇し安定していれば発汗作用に至るまでに時間少なくてすむこととなる。
【0061】
図5、6に示すように、循環ファン17が駆動したときに吸込口15より吸い込まれる浴室1の温度が検出でき、かつ循環ファン17、第1の加熱手段13、第2の加熱手段14の熱的影響の受けない吸込口15の循環風路20における下流側に、温度を検出する温度センサー38を備え、温度センサー38は装置本体3に備える制御手段30と電気的に接続されている。
【0062】
制御手段30は前回のミストサウナ入浴時にあたる第2の加熱手段14の運転時間および運転開始時から終了までの温度と時間を記憶し、前回運転の吸込温度−時間のタイムテーブルを記録し、2回目以降入浴ボタン35を押すときは、前回の運転時間および運転開始時の温度より終了時間を算出し、自動的に第1の加熱手段13に切り替わる構成とする。
【0063】
上記構成により、今回の入浴ボタン35を押した時点で前回の温度以上であれば、前回の入浴ボタン35を押した後今回の温度となる時間を差し引いた時間を入浴時間とし、入浴時間経過後第1の加熱手段に切り替える。一方前回入浴ボタン35を押した時の温度より温度センサー38の検知温度が低い場合は、前回の温度となるまでの時間を加算した時間を入浴時間とし、入浴時間経過後第1の加熱手段13に切り替わることができる。また前回入浴ボタン35を押した時の温度と温度センサー38の検知温度が同じ場合は、前回の第2の加熱手段14の運転時間を行った後、第1の加熱手段13に切り替える。
【0064】
このように本発明の実施の形態5のミストサウナシステムは、前回の第2の加熱手段14の運転時間および押したときの浴室内の温度を記憶することにより、ミストサウナ入浴対象者36の周囲温湿度と発汗までの時間関係が詳細にわかることにより、ミストサウナ入浴対象者36が確実に発汗するまでの時間が推定でき、その後自動的に第1の加熱手段13に切り替わるため、確実な発汗作用を有しかつ経済的なミストサウナシステムを提供することができることとなる。
【0065】
なお本実施例ではミストサウナ入浴対象者36が入浴ボタン35を解除することにより第1の加熱手段13に切り替わることとしたが、一定時間後自動的第1の加熱手段13に自動的に切り替わることとしてもよい。
【0066】
また、本実施例ではミスト入浴中つまりは入浴ボタン35を押されたときの第1の加熱手段13の動作に関しては特に記載はしていないが、ランニングコスト的には停止することが望ましいが、人により発汗温度が異なるため、第2の加熱手段14のみの運転または第1の加熱手段13と第2の加熱手段14の併用のどちらも選択できることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
最寒の北海道の地区では冬の暖房時には必ず加湿をする必要があることから暖房装置と加湿装置を一体に設けた空気調和装置の用途にも適用でき、また、温度制御・湿度制御が可能であるので動植物の育成・保存にも適用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 サウナ対象室(浴室)
8 圧縮機
9 第1の熱交換器
10 膨張機構
11 第2の熱交換器
12 冷媒回路
13 第1の加熱手段
14 第2の加熱手段
15 吸込口
16 吹出口
17 循環ファン
18 ミスト発生器
30 制御手段
35 入浴ボタン
38 温度センサー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と冷媒が放熱する第1の熱交換器と冷媒を膨張させる膨張機構と冷媒が吸熱する第2の熱交換器とを順に配管接続した冷媒回路により構成される第1の加熱手段と、第1の加熱手段に対して表面温度が高温となる第2の加熱手段を備え、浴室に開口した吸込口から空気を吸い込んで前記浴室に開口した吹出口から空気を吹き出す循環ファンと、微細な水滴、すなわちミストを発生させるミスト発生器を備え、前記第1の加熱手段または第2の加熱手段において循環ファンが送風する空気に対して放熱することにより前記浴室内を加熱するとともに前記ミスト発生器において発生したミストを前記浴室内に供給することにより前記浴室内を加湿することを特徴とする、ミストサウナシステム。
【請求項2】
装置内部に制御手段を有し、前記制御手段は第1の加熱手段、第2の加熱手段、ミスト発生器、循環ファン、および排気ファンと電気的に接続されており、起動時は前記第1の加熱手段と前記循環ファンと前記ミスト発生器が駆動することを特徴とした請求項1記載のミストサウナシステム。
【請求項3】
入浴時に制御手段と電気的に接続された入浴ボタンを押すことにより、循環ファンとミスト発生器とともに第2の加熱手段が駆動することを特徴とする請求項1、2記載のミストサウナシステム。
【請求項4】
制御手段は前回の第2の加熱手段の運転時間を記憶し、入浴ボタンを押す2回目以降は前回の運転時間で終了し、自動的に第1の加熱手段に切り替わることを特徴とする、請求項1,2および3記載のミストサウナシステム。
【請求項5】
制御手段は前回の第2の加熱手段の運転時間および運転開始時および運転時の温度を記憶し、入浴ボタンを押す2回目以降は前回の運転時間および運転開始時の温度より終了時間を算出し、自動的に第1の加熱手段に切り替わることを特徴とする、請求項1,2、3および4記載のミストサウナシステム。
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と冷媒が放熱する第1の熱交換器と冷媒を膨張させる膨張機構と冷媒が吸熱する第2の熱交換器とを順に配管接続した冷媒回路により構成される第1の加熱手段と、第1の加熱手段に対して表面温度が高温となる第2の加熱手段を備え、浴室に開口した吸込口から空気を吸い込んで前記浴室に開口した吹出口から空気を吹き出す循環ファンと、微細な水滴、すなわちミストを発生させるミスト発生器を備え、前記第1の加熱手段または第2の加熱手段において循環ファンが送風する空気に対して放熱することにより前記浴室内を加熱するとともに前記ミスト発生器において発生したミストを前記浴室内に供給することにより前記浴室内を加湿することを特徴とする、ミストサウナシステム。
【請求項2】
装置内部に制御手段を有し、前記制御手段は第1の加熱手段、第2の加熱手段、ミスト発生器、循環ファン、および排気ファンと電気的に接続されており、起動時は前記第1の加熱手段と前記循環ファンと前記ミスト発生器が駆動することを特徴とした請求項1記載のミストサウナシステム。
【請求項3】
入浴時に制御手段と電気的に接続された入浴ボタンを押すことにより、循環ファンとミスト発生器とともに第2の加熱手段が駆動することを特徴とする請求項1、2記載のミストサウナシステム。
【請求項4】
制御手段は前回の第2の加熱手段の運転時間を記憶し、入浴ボタンを押す2回目以降は前回の運転時間で終了し、自動的に第1の加熱手段に切り替わることを特徴とする、請求項1,2および3記載のミストサウナシステム。
【請求項5】
制御手段は前回の第2の加熱手段の運転時間および運転開始時および運転時の温度を記憶し、入浴ボタンを押す2回目以降は前回の運転時間および運転開始時の温度より終了時間を算出し、自動的に第1の加熱手段に切り替わることを特徴とする、請求項1,2、3および4記載のミストサウナシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−85917(P2013−85917A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232433(P2011−232433)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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