説明

ミストサウナ機能付き浴室暖房装置

【課題】浴室内がミストサウナ状態となっていないときに、ミストサウナ状態であるとの報知がなされることを防止したミストサウナ機能付き浴室暖房装置を提供する。
【解決手段】ミストノズル31からの湯の噴霧の開始を検知する噴霧開始検知部12と、浴室リモコン57又は台所リモコン59によるミストサウナ運転の開始指示がなされたときに、噴霧開始検知部12によりミストノズル59からの湯の噴霧の開始が検知された時点から、ミストサウナ準備時間が経過した時に、浴室内がミストサウナ状態になっていることを報知するミストサウナ報知部13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内を暖房しつつ浴室内に湯を噴霧して、サウナ効果を生じさせるミストサウナ機能を有する浴室暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱源機と、熱源機から循環供給される温水を用いて浴室を暖房する浴室暖房装置と、熱源機を遠隔操作するリモコンとを備えた温水暖房システムにおいて、台所等に設けられたリモコンと浴室に設けられた浴室暖房装置とを、熱源機を介して双方向に通信可能に構成し、リモコンによる浴室の暖房の開始を指示を可能にすると共に、暖房により浴室の温度が設定温度に達したときに、リモコンによる報知(浴室の温度が適温になったことの報知)を行うようにした構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、浴室暖房装置にミストノズルから湯を噴霧するミスト噴霧ユニットを組み込み、浴室を暖房しながらミストノズルから湯を噴霧することでサウナ効果を生じさせるミストサウナ機能を備えた構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−195578号公報
【特許文献2】特開2011−52923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載された浴室暖房装置においては、浴室リモコンのミストスイッチがオン操作されたときに、暖房ユニットによる暖房運転が開始されると共に、ミスト噴霧ユニットによるミストサウナ運転が開始される。そして、この場合に、特許文献1に記載された温水暖房システムのように、浴室内の温度が設定温度に達した時に報知を行って、浴室内がミストサウナ状態になったことを使用者に知らせることが考えられる。
【0006】
しかしながら、上述したように、ミストサウナ状態になったことを浴室内の温度上昇によって行う場合には、ミスト噴霧ユニットが故障して湯の噴霧ができなくなっているときに、湯の噴霧が行われていないにも拘わらず、ミストサウナ状態であると誤って報知されてしまう。
【0007】
そして、この場合は、報知により浴室内が快適なミストサウナ状態であると想定して、入浴した使用者に対して、実際にはミストサウナ状態となっていないことによる不快感や失望感を与えてしまうという不都合がある。
【0008】
本発明はかかる背景を鑑みてなされたものであり、浴室内がミストサウナ状態となっていないときに、ミストサウナ状態であるとの報知がなされることを防止したミストサウナ機能付き浴室暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、浴室内を暖房する暖房ユニットと、先端にミストノズルが接続されたミスト水路と、該ミスト水路を流通する水を加熱するミスト加熱部と、該ミスト水路を開閉するミスト開閉弁とを有し、該ミスト開閉弁を開弁状態として、該ミスト加熱部により加熱生成された湯を前記ミストノズルから噴霧するミスト噴霧ユニットと、前記暖房ユニットにより浴室内を暖房しつつ、前記ミスト噴霧ユニットにより浴室内に湯を噴霧するミストサウナ運転を実行する運転制御部と、前記運転制御部に対して、前記ミストサウナ運転の開始を指示するミストサウナ開始指示部と、前記ミストノズルからの湯の噴霧が開始されたことを検知する噴霧開始検知部と、前記ミストサウナ開始指示部による前記ミストサウナ運転の開始指示がなされたときに、前記噴霧開始検知部により前記ミストノズルからの湯の噴霧の開始が検知された後、所定のミストサウナ準備完了条件が成立した時に、浴室内がミストサウナ状態になっていることを報知するミストサウナ報知部とを備えたことを特徴とする(第1発明)。
【0010】
第1発明によれば、前記ミストサウナ開始指示部による前記ミストサウナ運転の開始指示がなされたときに、前記ミストサウナ報知手段は、前記噴霧開始検知部により前記ミストノズルからの湯の噴霧の開始が検知された後、前記ミストサウナ準備完了条件が成立した時に、浴室内がミストサウナ状態にあることを報知する。この場合、前記ミスト開閉弁の閉弁故障(前記ミスト開閉弁が閉弁状態に維持されて、開弁が不能になった故障状態)等により、前記ミストノズルからの湯の噴霧が不能な状況になっているときには、前記噴霧開始検知部による前記ミストノズルからの湯の噴霧の開始が検知されないため、前記報知手段による報知は行われない。そのため、実際にはミストサウナ状態になっていないにも拘わらず、前記ミストサウナ報知手段により、浴室内がミストサウナ状態になっているとの報知がされることを防止することができる。
【0011】
また、第1発明において、前記ミスト加熱部は、前記ミスト水路及び熱媒が供給される熱媒循環路の途中に接続されて、前記ミスト水路を流通する水を前記熱媒循環路を流通する熱媒からの放熱により加熱する液々熱交換器であり、前記ミスト噴霧ユニットは、前記ミスト水路の前記液々熱交換器と前記ミストノズルとの間に設けられて、前記ミスト水路内の湯水の温度を検出するミスト温度センサを有し、前記運転制御部は、前記ミストサウナ運転の開始指示があったときに、前記熱媒循環路を介した前記液々熱交換器への熱媒の供給を開始し、その後、前記ミスト温度センサの検出温度が所定のミスト開始温度以上になった時に、前記ミスト開閉弁を開弁する処理を行い、前記噴霧開始検知部は、前記ミストサウナ運転開始指示部による前記ミストサウナ運転の開始指示がなされた後、前記ミスト温度センサの検出温度が、前記ミスト開始温度を越えた後に第1温度幅以上低下したときに、前記ミストノズルからの湯の噴霧が開始されたと検知することを特徴とする(第2発明)。
【0012】
第2発明によれば、前記熱源機から前記熱媒循環路への熱媒の供給が開始されると、前記液々熱交換器内の前記ミスト水路内に滞留した水が加熱され、前記液々熱交換器の下流側の前記ミスト水路内の水の温度が次第に上昇する。そして、前記ミスト電磁弁が開弁制御されたときに前記ミスト電磁弁が故障していなければ、前記ミスト電磁弁が開弁して、前記ミストノズルからの湯の噴霧が開始されるが、このとき、前記液々熱交換器内の湯の温度は、下流側の前記ミスト温度センサの付近よりも高くなっている。そのため、前記液々熱交換器の下流側に供給される湯の温度は、一旦前記ミスト開始温度を超えた後に、前記液々熱交換器への水の供給により低下する。
【0013】
そこで、前記噴霧開始検知部は、前記ミスト温度センサの検出温度が、前記ミスト開始温度を越えた後に前記第1温度幅以上低下したときに、前記ミストノズルからの湯の噴霧が開始されたと検知することができる。
【0014】
また、第1発明において、浴室内の温度を検出する浴室温度センサを備え、前記噴霧開始検知部は、前記ミストサウナ運転開始指示部による前記ミストサウナ運転の開始指示がなされた後、前記浴室温度センサの検出温度が第2温度幅以上低下したときに、前記ミストノズルからの湯の噴霧が開始されたと検知することを特徴とする(第3発明)。
【0015】
第3発明において、前記ミストノズルからの湯の噴霧が開始されると、浴室内に噴霧されたミストによる吸熱によって浴室内の温度が低下する。そのため、前記噴霧開始検知部は、前記浴室温度センサの検出温度が前記第2温度幅以上低下したときに、前記ミストノズルからの湯の噴霧が開始されたと検知することができる。
【0016】
また、第1発明から第3発明のいずれかにおいて、前記ミストサウナ準備完了条件として、所定のミストサウナ準備時間の経過が設定され、浴室内の温度を検出する浴室温度センサと、前記ミストサウナ運転開始指示部による前記ミストサウナ運転の開始指示がなされたときに、該開始指示がなされた時点での前記浴室温度センサの検出温度に基づいて、該検出温度が低いほど前記ミストサウナ準備時間を長く設定するミストサウナ準備時間設定部とを備えたことを特徴とする(第4発明)。
【0017】
第4発明によれば、浴室内の温度が低いほど、前記暖房ユニットにより浴室内の温度を上昇させると共に、前記ミスト噴霧ユニットにより浴室内に湯を噴霧して、ミストサウナ状態(例えば、浴室の温度が38℃以上、且つ、浴室の湿度が100%の状態)にするのに要する時間が長くなると想定される。そのため、前記浴室温度センサの検出温度が低いほど、前記ミストサウナ準備時間を長く設定することによって、前記ミストサウナ運転の開始時の浴室温度に応じた、適切な前記ミストサウナ準備時間を設定することができる。
【0018】
また、第1発明から第4発明において、浴室内の温度を検出する浴室温度センサを備え、前記ミストサウナ報知部は、前記ミストサウナ開始指示部による前記ミストサウナ運転の開始指示がなされたときに、前記噴霧開始検知部により前記ミストノズルからの湯の噴霧の開始が検知された時点から、前記ミストサウナ準備時間が経過し、且つ、前記浴室温度センサの検出温度が所定のミストサウナ準備温度以上となったときに、前記報知を行なうことを特徴とする(第5発明)。
【0019】
第5発明によれば、使用者は、前記報知を確認して入浴することにより、浴室内が前記ミストサウナ準備温度以上となった状態でのミストサウナを楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】浴室暖房装置の構成図。
【図2】浴室暖房装置を含む熱源システムの構成図。
【図3】ミストサウナ運転のフローチャート。
【図4】ミストノズルからの湯の噴霧開始を検知する手法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。図1及び図2に示すミストサウナ機能付き浴室暖房装置1(以下、浴室暖房装置1という)は、図2に示したように、暖房ユニット2、ミスト噴霧ユニット3、及び打たせ湯ユニット4を備えている。
【0022】
また、浴室暖房装置1の暖房ユニット2及びミスト噴霧ユニット3に熱交換用の温水を循環供給すると共に、打たせ湯ユニット4に湯を供給する熱源機5は、給湯用バーナ51aで加熱される給湯用熱交換器51と、暖房用バーナ52aで加熱される暖房用熱交換器52とを備えている。
【0023】
暖房ユニット2は、図1に示したように、浴室BRの天井部BR1に配置され、下面に吸込み口21a及び吹出し口21bを有して、吸込み口21aから吹出し口21bに至る通風路を画成する通風ケース21と、通風ケース21内に配置されて、浴室BR内の空気を通風ケース21内の通風路を介して循環させる循環ファン22と、通風ケース21内に配置されて、周囲の空気を加熱する暖房用放熱器23とを備えている。
【0024】
循環ファン22により吸込み口21aから通風ケース21内に吸い込まれた浴室BRの空気は、暖房用放熱器23で加熱され、温風となって吹出し口21bから浴室BRに吹出される。また、暖房ユニット2は、吸込み口21aの付近に設けられて、浴室BRの室温を検出する浴室温度センサ26(サーミスタ等が用いられる)を備えている。
【0025】
図2に示したように、暖房用放熱器23は、主熱媒循環路24を介して熱源機5の暖房用熱交換器52と接続されている。主熱媒循環路24には、暖房用熱媒弁24a、シスターン24b、及び循環ポンプ24cが介設されており、暖房用熱媒弁24aの開弁及び循環ポンプ24cの作動によって、熱媒体(水、不凍液等)が主熱媒循環路24を循環する。熱媒体は熱源機5の暖房用熱交換器52で加熱されて暖房用放熱器23に供給され、暖房用放熱器23で放熱した後に熱源機5の暖房用熱交換器52へ戻って再び加熱される。
【0026】
ミスト噴霧ユニット3は、先端にミストノズル31が接続されたミスト水路32を備え、ミストノズル31から浴室BRに温水を噴霧する。ミスト水路32には、上流側から順に、ミスト温度センサ32a(サーミスタ等が用いられる)と、ミスト開閉弁32bが介設されている。
【0027】
ミスト水路32の途中箇所には、プレート式の液々熱交換器33(本発明のミスト加熱部に相当する)が設けられている。ミスト水路32の液々熱交換器33の上流側には、フィルタ34a、逆止弁34b、及び給水弁34cが介設されている。ミスト水路32は給水管34に接続され、給水管34からミスト水路32に水が供給される。
【0028】
液々熱交換器33には、主熱媒循環路24から分岐した副熱媒循環路25が接続されており、この副熱媒循環路25に流量調節弁25aが介設されている。流量調節弁25aを開弁すると、熱源機5の暖房用熱交換器52で加熱された熱媒体が液々熱交換器33に供給される。
【0029】
そして、給水弁34c及びミスト開閉弁32bの開弁により、給水管34から供給された水が液々熱交換器33で熱媒体の熱により加熱され、湯となってミスト水路32を介してミストノズル31に供給される。なお、主熱媒循環路24と副熱媒循環路25とにより、本発明の熱媒循環路が構成される。
【0030】
打たせ湯ユニット4は、先端に打たせ湯ノズル41が接続された打たせ湯水路42を備えている。打たせ湯水路42は、熱源機5の給湯用熱交換器51に連通した給湯路51bに接続されている。打たせ湯水路42には、上流側から順に、フィルタ42a、打たせ湯水量サーボ42b、打たせ湯温度センサ42c(サーミスタ等が用いられる)、及び出湯弁42dが介設されている。
【0031】
また、打たせ湯水路42には、打たせ湯温度センサ42cと出湯弁42dとの間の部分から分岐する排水路43が設けられている。排水路43には排水弁43aが介設されている。打たせ湯水路42の打たせ湯水量サーボ42bと打たせ湯温度センサ42cとの間の部分には、ミスト水路32のミスト温度センサ32aとミスト開閉弁32bとの間の部分から分岐したバイパス路44が接続されている。
【0032】
なお、給湯路51bには、浴室BR内に設置されたシャワーや他の家庭用蛇口等の出湯栓(図示しない)が接続される。
【0033】
浴室暖房装置1は、暖房コントローラ10(図1,2参照)を備え、暖房コントローラ10は、暖房ユニット2、ミスト噴霧ユニット3、及び打たせ湯ユニット4の作動を制御する。暖房コントローラ10は、図2に示したように、熱源機5の作動を制御する熱源コントローラ55と、端末通信ケーブル19により通信可能に接続されている。
【0034】
また、熱源コントローラ55は、リモコンケーブル56により浴室リモコン57と通信可能に接続されると共に、リモコンケーブル58により台所リモコン59と通信可能に接続されている。
【0035】
熱源コントローラ55と浴室リモコン57及び台所リモコン59は、電源重畳通信仕様により相互通信を行う。熱源コントローラ55と浴室暖房機1は、インテリジェント通信仕様により相互通信を行う。熱源コントローラ55は、浴室リモコン57及び台所リモコン59と暖房コントローラ10との間でデータの送受信を行う。
【0036】
例えば、浴室リモコン57又は台所リモコン59に備えられた各種スイッチ(図示しない)が操作されたときに、浴室リモコン57又は台所リモコン59から熱源コントローラ55に、スイッチの操作状況を示すデータが送信されるが、この操作状況が浴室暖房装置1に関するものであるときには、熱源コントローラ55は、この操作状況を示すデータを暖房コントローラ10に送信する。
【0037】
また、暖房コントローラ10は、浴室暖房装置1の運転状況を示すデータを熱源コントローラ55に送信するが、この運転状況が浴室リモコン57又は台所リモコン59による報知に関するものであるときには、熱源コントローラ55は、この運転状況を示すデータを浴室リモコン57又は台所リモコン59に送信する。
【0038】
暖房コントローラ10は、CPUやメモリ等により構成された電子ユニットであり、メモリに保持された浴室暖房装置1の制御用プログラムをCPUで実行することによって、図1(b)に示したように、暖房運転,打たせ湯運転,ミストサウナ運転等を実行する運転制御部11、ミストノズル31からの湯の噴霧の開始を検知する噴霧開始検知部12、ミストサウナの準備が完了したことを報知するミストサウナ報知部13、後述するミストサウナ準備時間を設定するミストサウナ準備時間設定部14、ミストサウナ準備タイマ15、及び運転タイマ16として機能する。
【0039】
暖房コントローラ10は、浴室リモコン57の暖房スイッチ(図示しない)がオンされたことを、熱源コントローラ55から受信したスイッチ操作データにより認識すると、暖房運転を実行する。暖房コントローラ10は、暖房用バーナ52aを燃焼させ、且つ、循環ポンプ24cを作動させる暖房指令データを熱源コントローラ55に送信すると共に、暖房用熱媒弁24aを開弁し、暖房用熱交換器52で加熱された熱媒体を主熱媒循環路24を介して暖房用放熱器23に循環させ、更に、循環ファン22を作動させることによって、温風を浴室BRに送風する暖房運転を実行する。
【0040】
また、暖房コントローラ10は、浴室リモコン57のスプラッシュミストスイッチ(図示しない)がオンされたことを、熱源コントローラ55から受信したスイッチ操作データにより認識すると、ミストサウナ運転を実行する。暖房コントローラは、熱源機5に暖房指令データを送信して上記暖房運転を実行すると共に、流量調節弁25aを開弁し、暖房用熱交換器52で加熱された熱媒体を主熱媒循環路24から副熱媒循環路25を介して液々熱交換器33に供給し、更に、給水弁34c及びミスト開閉弁32bを開弁して、液々熱交換器33で加熱された湯をミストノズル31から噴霧することによって、ミストサウナ運転を実行する。
【0041】
また、暖房コントローラ10は、浴室リモコン57の打たせ湯スイッチ(図示しない)がオンされたことを、熱源コントローラ55から受信したスイッチ操作データにより認識すると、打たせ湯水量サーボ42bと出湯弁42dとを開弁し、給湯用熱交換器51で加熱生成された湯を打たせ湯ノズル41から吐出することによって、打たせ湯運転を実行する。
【0042】
次に、暖房コントローラ10は、浴室リモコン57のスプラッシュミストスイッチ(図示しない)の操作によって、ミストサウナ運転の開始が指示されたときに、ミストサウナ運転が開始されて、浴室BR内がミストサウナの準備完了条件(例えば、室温38℃以上、且つ湿度100%)が満たされたタイミングで、浴室リモコン57及び台所リモコン59による報知を行なう処理を実行する。以下、図3に示したフローチャートに従って、この処理について説明する。
【0043】
なお、浴室リモコン57スプラッシュミストスイッチの操作により、熱源機を介して暖房コントローラ10の運転制御部11にミストサウナ運転の開始を指示する構成が、本発明のミストサウナ開始指示部に相当する。
【0044】
図3のSTEP1で、熱源コントローラ55との通信によって、ミストサウナ運転の開始指示を認識したときにSTEP2に進む。STEP2は、ミストサウナ準備時間設定部14による処理であり、ミストサウナ準備時間設定部14は、以下の表に示したように、浴室温度センサ26の検出温度Th1に応じて、検出温度Th1が低いほどミストサウナ準備タイマの時間を長く設定する。
【0045】
【表1】

【0046】
続くSTEP3〜STEP8は運転制御部11による処理である。運転制御部11は、STEP3でミストサウナ運転の実行時間をタイマ時間とする運転タイマをスタートさせる。なお、ミストサウナ運転の実行時間は、浴室リモコン57の操作によって設定が可能であり、初期設定は1時間になっている。
【0047】
次のSTEP4で、運転制御部11は暖房運転を開始し、STEP5で、流量調節弁25aを開弁して、液々熱交換器33での水の加熱を開始する。そして、STEP6で浴室温度センサ26の検出温度Th1が35℃以上となり、且つ、STEP7でミスト温度センサ32aの検出温度Th2が40℃(本発明のミスト開始温度に相当する)以上になったときにSTEP8に進む。
【0048】
STEP8で、運転制御部11は、給水弁34cとミスト開閉弁32bを開弁制御する。この場合、ミスト開閉弁32bの閉弁故障(閉弁状態に維持されて開弁が不能となった故障状態)等が生じていなければ、ミスト開閉弁32bが開弁状態になり、液々熱交換器33で加熱生成された湯がミスト水路32からミストノズル31に供給され、ミストノズル31からの湯の噴霧が開始される。
【0049】
続くSTEP9〜STEP10は、噴霧開始検知部12による処理である。噴霧開始検知部12は、STEP7で40℃を超えて上昇したミスト温度センサ32aの検出温度Th2の極大値をTh2_maxとしてメモリに保持する。そして、次のSTEP10で、ミスト温度センサ32aの検出温度Th2がTh2_maxから5℃(本発明の第1温度幅に相当する)以上低くなったとき(Th2<Th2_max−5℃)に、噴霧開始検知部12は、ミストノズル31からの湯の噴霧が開始されたと検知する。
【0050】
ここで、図4(a)は、ミスト開閉弁32bが開弁されて、ミストノズル31からの湯の噴霧が開始されたときのミスト温度センサ32aの検出温度Th2の変化を、縦軸をミスト温度センサ32aの検出温度Th2に設定し、横軸を時間tに設定して示したものである。
【0051】
図4(a)のt1はミスト開閉弁32bが開弁された時点であり、ミスト温度センサ32aの検出温度Th2が40℃を超えてTh2_maxまで上昇している。これは、ミスト温度センサ32aが液々熱交換器33の出口側付近のミスト水路32に設けられているため、ミスト開閉弁32bが閉弁されているときは、ミスト温度センサ32a付近の水の温度が液々熱交換器33内の水の温度よりも低くなっていたが、ミスト開閉弁32bの開弁によって液々熱交換器33内の湯がミスト温度センサ32a側に流れて、ミスト温度センサ32aの検出温度Th2が上昇するからである。
【0052】
また、ミスト温度センサ32aの検出温度Th2は、一旦Th2_maxまで上昇した後にTw1以上低下しているが、これは、液々熱交換器33に給水管34からの水が供給されて液々熱交換器33内の水の温度が低下するためである。
【0053】
そこで、噴霧開始検知部12は、ミスト温度センサ32aの検出温度Th2が、ミスト開閉弁32bの開弁制御がなされた時点t1から極大値Th2_maxまで上昇した後、Tw1以上低下したときに、ミストノズル31からの湯の噴霧が開始されたと検知することができる。
【0054】
なお、t1からのミスト温度センサ32aの検出温度Th2の上昇と低下は、必ずしも極大値Th2_maxを基準にする必要はなく、Th2がt1での温度(本実施形態では40℃)を超えるまで上昇した後に所定幅低下したことを確認することによって、ミストノズル31からの湯の噴霧の開始を検知することができる。
【0055】
続くSTEP11〜STEP13は、ミストサウナ報知部13による処理である。ミストサウナ報知部13は、STEP11でミストサウナ準備タイマをスタートさせ、続くSTEP12でミストサウナ準備タイマのタイムアップを待つ。そして、ミストサウナ準備タイマがタイムアップしたときにSTEP13に進み、ミストサウナ報知部13は、熱源コントローラ55に対して、ミストサウナの準備完了を通知するミストサウナ準備完了データを送信する。
【0056】
なお、STEP11〜STEP12により、ミストサウナ準備タイマのタイマアップを待つこと(ミストサウナ準備時間の経過)は、本発明のミストサウナ準備完了条件に相当する。
【0057】
熱源コントローラ55は、ミストサウナ準備完了データを受信すると、浴室リモコン57及び台所リモコン59に対して、ミストサウナ準備完了の報知を指示するミストサウナ報知データを送信する。このミストサウナ報知データを受信した浴室リモコン57及び台所リモコン59は、ミストサウナの準備完了を知らせる報知(「ミストサウナの準備が完了しました」との音声出力等)を行う。
【0058】
この浴室リモコン57及び台所リモコン59での報知により、使用者は浴室内が快適なミストサウナ状態となったことを認識して、入浴することができる。それに対して、ミスト開閉弁32bの閉弁故障等によってミストノズル31からの湯の噴霧が開始されない場合は、図4(a)に示したように、ミスト温度センサ32aの検出温度Th2が一旦上昇した後に低下することはない。
【0059】
そのため、噴霧開始検知部12により、ミストノズル31からの湯の噴霧が開始されたことが検知されず、浴室リモコン57及び台所リモコン59でのミストサウナの準備完了の報知はなされない。したがって、ミスト開閉弁32bの閉弁故障等により、ミストノズル31からの湯の噴霧がなされず、浴室BR内がミストサウナ状態となっていないにも拘わらず、ミストサウナの準備完了の報知がなされることを防止することができる。
【0060】
なお、ミスト開閉弁32bの開弁制御を行ってから所定時間内に、噴霧開始検知部12によりミストノズル31からの湯の噴霧の開始が検知されなかったときには、浴室リモコン57や台所リモコン59によるエラー報知を行なうようにしてもよい。
【0061】
続くSTEP14〜STEP16は運転制御部11による処理である。運転制御部11は、STEP14で運転タイマのタイムアップを待ってSTEP15に進み、暖房運転を停止する。そして、次のSTEP16で、運転制御部11は、ミスト開閉弁32b、給水弁34c、流量調節弁25aを閉弁して、液々熱交換器33での加熱を停止し、STEP17に進んで処理を終了する。
【0062】
なお、本実施の形態では、噴霧開始検知部12は、図STEP9〜STEP10の処理により、図4(a)を参照して上述したように、ミスト温度センサ32aの検出温度Th2がTh2_iniから一旦上昇した後、Tw1以上低下したときに、ミストノズル31から湯の噴霧が開始されたと検知した。
【0063】
しかし、噴霧開始検知部12によるミストノズル31から湯の噴霧の開始の検知方法はこれに限られず、例えば、図4(b)に示したように、浴室温度センサ26の検出温度Th1が、所定温度幅Tw2(本発明の第2温度幅に相当する)以上低下したときに、ミストノズル31から湯の噴霧が開始されたと検知するようにしてもよい。
【0064】
図4(b)は、ミスト開閉弁32bが開弁されて、ミストノズル31から湯の噴霧が開始されたときの浴室温度センサ26の検出温度Th1の変化を、縦軸を浴室温度センサ26の検出温度Th1に設定し、横軸を時間tに設定して示したものである。
【0065】
図4(b)のt2はミスト開閉弁32bが開弁された時点であり、浴室温度センサ26の検出温度Th1がt2から低下している。これは、浴室BRに噴霧された湯が気化することによる吸熱によって、浴室BR内の温度が低下するためである。一方、ミスト開閉弁32bの閉弁故障等により、ミストノズル31からの湯の噴霧が開始されなかったときには、このような浴室温度センサ26の検出温度Th1の低下は生じない。
【0066】
或いは、図1(a)に示したように、暖房ユニット2の吸込み口21a付近に湿度センサ27を備え、湿度センサ27の検出湿度Huの変化によって、ミストノズル31からの湯の噴霧の開始を検知してもよい。
【0067】
図4(c)は、ミスト開閉弁32bが開弁されて、ミストノズル31から湯の噴霧が開始されたときの湿度センサ27の検出湿度Huの変化を、縦軸を湿度センサ27の検出湿度Huに設定し、横軸を時間tに設定して示したものである。
【0068】
図4(c)のt3はミスト開閉弁32bが開弁された時点であり、湿度センサ27の検出湿度Huがt3から上昇している。これは、浴室BRに噴霧された湯によって、浴室BR内の湿度が上昇するためである。一方、ミスト開閉弁32bの閉弁故障等により、ミストノズル31からの湯の噴霧が開始されなかったときには、このような湿度センサ27の検出湿度Huの上昇は生じない。
【0069】
また、本実施の形態では、ミストサウナ運転の開始指示がなさた時点での浴室温度に応じて、ミストサウナ準備時間を設定するミストサウナ準備時間設定部14を備えたが、ミストサウナ準備時間を固定時間にしてもよい。
【0070】
また、本実施の形態では、図3のSTEP12で、ミストサウナ準備タイマがタイムアップしたときに、STEP13に進んでミストサウナの準備完了を報知したが、ミストサウナ準備タイマがタイムアップし、且つ、浴室温度センサ26の検出温度が所定のミストサウナ準備完了温度(例えば38℃)以上になったときに、ミストサウナの準備完了を報知するようにしてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、本発明のミストサウナ準備完了条件として、図3のSTEP11〜STEP12によるミストサウナ準備時間の経過を設定したが、浴室温度センサ26の検出温度が所定のミストサウナ準備完了温度(例えば38℃)以上になることを、ミストサウナ準備完了条件として設定してもよい。
【0072】
また、本実施形態では、本発明のミスト加熱部として液々熱交換器33を用いた構成を示したが、電気ヒータ等の他の構成によるミスト加熱部を用いてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…ミストサウナ機能付き浴室暖房装置、2…暖房ユニット、3…ミスト噴霧ユニット、4…打たせ湯ユニット、5…熱源機、22…循環ファン、23…暖房用放熱器、24…主熱媒循環路、24a…暖房用熱媒弁、24c…循環ポンプ、25…副熱媒循環路、25a…ミスト用流量調節弁、31…ミストノズル、32…ミスト水路、32a…ミスト温度センサ、32b…ミスト開閉弁、33…液々熱交換器、34…給水管、34c…給水弁、51…給湯用熱交換器、52…暖房用熱交換器、55…熱源コントローラ、57…浴室リモコン、59…台所リモコン、BR…浴室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内を暖房する暖房ユニットと、
先端にミストノズルが接続されたミスト水路と、該ミスト水路を流通する水を加熱するミスト加熱部と、該ミスト水路を開閉するミスト開閉弁とを有し、該ミスト開閉弁を開弁状態として、該ミスト加熱部により加熱生成された湯を前記ミストノズルから噴霧するミスト噴霧ユニットと、
前記暖房ユニットにより浴室内を暖房しつつ、前記ミスト噴霧ユニットにより浴室内に湯を噴霧するミストサウナ運転を実行する運転制御部と、
前記運転制御部に対して、前記ミストサウナ運転の開始を指示するミストサウナ開始指示部と、
前記ミストノズルからの湯の噴霧が開始されたことを検知する噴霧開始検知部と、
前記ミストサウナ開始指示部による前記ミストサウナ運転の開始指示がなされたときに、前記噴霧開始検知部により前記ミストノズルからの湯の噴霧の開始が検知された後、所定のミストサウナ準備完了条件が成立した時に、浴室内がミストサウナ状態になっていることを報知するミストサウナ報知部と
を備えたことを特徴とするミストサウナ機能付き浴室暖房装置。
【請求項2】
請求項1記載のミストサウナ機能付き浴室暖房装置において、
前記ミスト加熱部は、前記ミスト水路及び熱媒が供給される熱媒循環路の途中に接続されて、前記ミスト水路を流通する水を前記熱媒循環路を流通する熱媒からの放熱により加熱する液々熱交換器であり、
前記ミスト噴霧ユニットは、前記ミスト水路の前記液々熱交換器と前記ミストノズルとの間に設けられて、前記ミスト水路内の湯水の温度を検出するミスト温度センサを有し、
前記運転制御部は、前記ミストサウナ運転の開始指示があったときに、前記熱媒循環路を介した前記液々熱交換器への熱媒の供給を開始し、その後、前記ミスト温度センサの検出温度が所定のミスト開始温度以上になった時に、前記ミスト開閉弁を開弁する処理を行い、
前記噴霧開始検知部は、前記ミストサウナ運転開始指示部による前記ミストサウナ運転の開始指示がなされた後、前記ミスト温度センサの検出温度が、前記ミスト開始温度を超えた後に第1温度幅以上低下したときに、前記ミストノズルからの湯の噴霧が開始されたと検知することを特徴とするミストサウナ機能付き浴室暖房装置。
【請求項3】
請求項1記載のミストサウナ機能付き浴室暖房装置において、
浴室内の温度を検出する浴室温度センサを備え、
前記噴霧開始検知部は、前記ミストサウナ運転開始指示部による前記ミストサウナ運転の開始指示がなされた後、前記浴室温度センサの検出温度が第2温度幅以上低下したときに、前記ミストノズルからの湯の噴霧が開始されたと検知することを特徴とするミストサウナ機能付き浴室暖房装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載のミストサウナ機能付き浴室暖房装置において、
前記ミストサウナ準備完了条件として、所定のミストサウナ準備時間の経過が設定され、
浴室内の温度を検出する浴室温度センサと、
前記ミストサウナ運転開始指示部による前記ミストサウナ運転の開始指示がなされたときに、該開始指示がなされた時点での前記浴室温度センサの検出温度に基づいて、該検出温度が低いほど前記ミストサウナ準備時間を長く設定するミストサウナ準備時間設定部と
を備えたことを特徴とするミストサウナ機能付き浴室暖房装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちいずれか1項記載のミストサウナ機能付き浴室暖房装置において、
浴室内の温度を検出する浴室温度センサを備え、
前記ミストサウナ報知部は、前記ミストサウナ開始指示部による前記ミストサウナ運転の開始指示がなされたときに、前記噴霧開始検知部により前記ミストノズルからの湯の噴霧の開始が検知された時点から、前記ミストサウナ準備時間が経過し、且つ、前記浴室温度センサの検出温度が所定のミストサウナ準備温度以上となったときに、前記報知を行なうことを特徴とするミストサウナ機能付き浴室暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−233629(P2012−233629A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102136(P2011−102136)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】