説明

ミストサウナ装置

【課題】コストダウンできるミストサウナ装置を提供すること。
【解決手段】温水を噴霧するノズル22と、ノズル22から噴霧された温水を加熱してミスト状態にするヒータ30と、ヒータ30の熱で発生したミストを温風で浴室1へ送り出す送風ファン12とを備えるものにおいて、ヒータ30が、板状のものであって、面をノズル側へ向けた姿勢でノズル22の下方に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室やシャワー室に設置するミストサウナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室に設置するミストサウナ装置は、一般的に、60度から70度程度の温水をノズルで噴霧することにより浴室内をサウナ状態とするもので、その中で粒径が1μm以下のミスト(マイクロミスト)を発生させ、そのマイクロミストを送風ファンから送られる温風で浴室へ送り出すことにより、浴室やシャワー室の温度と湿度を上昇させ、サウナ状態を作り出すものである。マイクロミストを使用するのは、浴室内や身体を濡らさず、入浴者が快適に入浴できるようにするためである。このようなミストサウナ装置は、血流促進効果、体温保温効果、リラックス効果、美容効果など、種々の面で優れ、注目されている。このミストサウナ装置を広く一般家庭に普及させられるように、ミストを効率良く発生させる技術が各種提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、熱源機からの温水が吹き付けられる熱交換器と、該熱交換器に温水を噴霧するノズルと、熱源機からノズルに至る給湯配管と、浴室内にミストを噴出させる送風ファンとからなるものであって、前記給湯配管の途中に温水を再度加熱する再加熱手段を設けたミストサウナ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−190631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のミストサウナ装置は、熱交換器に噴霧される温水のうち、約20%しかマイクロミストにできなかった。残り80%の温水は、水滴となって排水管に集められ、排水されていた。よって、従来のミストサウナ装置は、マイクロミストにできなかった温水を排水する排水管を設けることが必要であった。また、浴室をミストサウナ状態とするのに必要な水の使用量が、排水分だけ多くなってしまっていた。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、コストダウンできるミストサウナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るミストサウナ装置は、次のような構成を有している。
(1)温水を噴霧するノズルと、前記ノズルから噴霧された温水を加熱してミスト状態にするヒータと、前記ヒータの熱で発生したミストを温風で浴室へ送り出す送風ファンとを備えるミストサウナ装置において、前記ヒータが、板状のものであって、面を前記ノズル側へ向けた姿勢で前記ノズルの下方に配置されていることを特徴とする。
【0008】
(2)(1)に記載の発明において、前記ヒータが、前記送風ファンと反対側を低くするように、水平面に対して傾斜して設置されていることを特徴とする。
【0009】
(3)(1)又は(2)に記載の発明において、前記ノズルを挟んで前記送風ファンと反対側に第1遮蔽板が設置され、第1遮蔽板と前記ヒータとの間に隙間が形成されていることを特徴とする。
【0010】
(4)(3)に記載の発明において、前記第1遮蔽板を挟んで前記送風ファンと反対側に第2遮蔽板が設置され、前記第2遮蔽板の下端部が前記ヒータに接触し、前記第2遮蔽板の上端部に隙間が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のミストサウナ装置は、温水を噴霧するノズルと、ノズルから噴霧された温水を加熱してミスト状態にするヒータと、ヒータの熱で発生したミストを温風で浴室へ送り出す送風ファンとを備えるものにおいて、ヒータが、板状のものであって、面をノズル側へ向けた姿勢でノズルの下方に配置されていることにより、マイクロミストとならなかった水をヒータの熱で気化させ、浴室へ送り出すことが可能になる。つまり、ノズルから噴霧された温水を蒸気又はマイクロミストとして全て浴室へ送り出すことができる。そのため、マイクロミストとならなかった水を排水する排水管を設ける必要がない。また、ノズルから噴霧される温水を全て浴室の加湿及び温度上昇に使用できるので、加湿及び温度上昇に必要な量以上に温水を使用しない。よって、本実施形態のミストサウナ装置によれば、排水設備にかかる費用や温水の使用量を削減し、コストダウンを図ることができる。
【0012】
本発明のミストサウナ装置は、ヒータが、送風ファンと反対側を低くするように、水平面に対して傾斜して設置されているので、マイクロミストとならずに落下した水を板状のヒータに集めて蒸発させ、マイクロミスト化することができる。
【0013】
本発明のミストサウナ装置は、ノズルを挟んで送風ファンと反対側に第1遮蔽板が設置され、第1遮蔽板とヒータとの間に隙間が形成されているので、1μm以上のミストが温風に飛ばされて浴室へ送り出されることを防止できる。
【0014】
本発明のミストサウナ装置は、第1遮蔽板を挟んで送風ファンと反対側に第2遮蔽板が設置され、第2遮蔽板の下端部がヒータに接触し、第2遮蔽板の上端部に隙間が形成されているので、1μmを超えるミストが、浴室へ送り出されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るミストサウナ装置を適用した浴室のイメージ図である。
【図2】同じく、ミストサウナ装置の概略構成を示す図である。
【図3】同じく、ミスト発生装置の構造を示す図である。
【図4】同じく、ミスト発生装置に使用されるノズルの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係るミストサウナ装置の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るミストサウナ装置10を適用した浴室1のイメージ図である。
浴室1は、浴槽2の上方に、浴室暖房乾燥機3が設置されている。浴室暖房乾燥機3には、後述するミスト発生装置11が内蔵され、後述のミストサウナ装置10としても機能する。浴槽2の上方には、洗濯竿4が架設されている。浴室暖房乾燥機3は、換気モード、衣類乾燥モード、暖房モード、涼風モード、24時間換気モード、ミストサウナモードを選んで実行できる機能を備える。
【0018】
図2は、ミストサウナ装置10の概略構成を示す図である。
ミストサウナ装置10は、暖房用熱源5において暖房器具との熱交換用にバーナ燃焼させて作った暖房用温水を利用している。暖房用熱源5には、暖房用熱源5で加熱された暖房用温水を循環させる暖房用温水回路6が接続されている。熱交換器8は、暖房用温水回路6と、水道水を供給する給水回路7に接続され、給水回路7を流れる水道水を暖房用温水回路6を流れる温水により加熱する。水道水は、浴室1をミストサウナ状態とする場合の室温より高温に設定されている。熱交換器8は、噴霧用温水回路9を介してミストサウナ装置10のミスト発生装置11に接続されている。ミスト発生装置11は、送風ファン12に隣設され、送風ファン12から送られる温風により発生したミストが浴室1へ送り出されるようになっている。温風は、マイクロミスト化するのに適した温度に設定されている。
【0019】
図3は、ミスト発生装置11の構造を示す図である。
ミスト発生装置11は、本体ケース21にノズル22と、板状のヒータ30と、第1及び第2遮蔽板25、26が備えられている。ノズル22は、温水を噴霧する噴出口22aを備える。ノズル22は、ミストを送風ファン12の風に乗せるために、その噴出口22aを送風ファン12と反対側に向けた姿勢で本体ケース21の上面に固定されている。
【0020】
板状のヒータ30は、斜行板23と加熱ヒータ24とからなり、ノズル22から噴霧された温水を加熱してミスト状態にする。斜行板23は、面をノズル22側へ向けた姿勢で、ノズル22の下方に配置されている。斜行板23は、送風ファン12と反対側が低くなるように、水平面に対して傾斜して設けられている。斜行板23の低い位置には、下方へ凹んだ凹み部23aが形成され、温風に乗らずに下に落ちたミストが集められるようになっている。
【0021】
加熱ヒータ24は、凹み部23a内に取り付けられ、凹み部23aを中心に斜行板23を加熱するようになっている。加熱ヒータ24は、凹み部23aに集められた水滴を蒸発させられる温度に凹み部23aを加熱する。本実施形態では、凹み部23aは、300℃に加熱された加熱ヒータ24からの熱伝導により昇温する。この加熱ヒータ24は、斜行板23に貼設されていてもよいし、斜行板23に内蔵されていても良い。また、加熱ヒータ24は、板状のものであってもよいし、棒状のものを並べて構成しても良い。
【0022】
第1遮蔽板25は、加熱ヒータ24とノズル22との間を仕切るようにして本体ケース21に取り付けられている。第1遮蔽板25と斜行板23との間には、隙間S1が形成されている。第2遮蔽板26は、斜行板23の低位置側端部に接するように本体ケース21に取り付けられている。第2遮蔽板26と本体ケース21の上面との間には、隙間S2が形成されている。第1および第2遮蔽板25,26により、温風が第1遮蔽板25にぶつかって斜行板23側へ集められて隙間S1を通過した後、第2遮蔽板26にぶつかって上昇し、隙間S2から本体ケース21の外部へ流れる気流が本体ケース21内に発生し、マイクロミストのみが本体ケース21の外部へ噴出されるようになる。遮蔽板25,26は、1μmを超えるミストが浴室1へ送り出されることを防止する役割を有する。
【0023】
図4は、ミスト発生装置11に使用されるノズル22の構造を示す図である。
ノズル22は、噴霧用温水回路9に接続される雄ねじ部22bと、温水を噴出する噴出口22aを備える。噴出口22aは、広角に温水を噴霧するように構成されている。
【0024】
続いて、上記構成を備えるミストサウナ装置10の動作について説明する。
送風ファン12は、ミスト発生装置11の本体ケース21内に温風を送り込んでいる。温風は、隙間S1,S2を通過するように、本体ケース21内を蛇行して通過する。本実施形態では、約60℃に熱せられた空気が、6m3/minずつ本体ケース21へ送り込まれる。
また、斜行板23は、凹み部23aが加熱ヒータ24によって加熱される。
【0025】
この状態において、ノズル22から温水を噴霧する。本実施形態では、ノズル22は、約70℃に加熱された温水を、0.02l/minずつ噴射する。ノズル22の噴出口22aが送風ファン12と反対側にある第1遮蔽板25側へ向いているため、ノズル22から噴射されたミストが、温風の気流に乗って、下流へ流れる。温風が約60℃に加熱されているため、ノズル22から噴霧されたミストは、温風にさらされても液化しにくい。
【0026】
このとき、粒径1μm以下のマイクロミストは、温風の流れに乗って隙間S1,S2を通過し、浴室1へ送り出される。
一方、粒径1μmを超えるミストは、ノズル22から噴出されると、第1遮蔽板25や斜行板23にぶつかって水滴となる。斜行板23が、送風ファン12と反対側を低くするように傾斜しているため、水滴は、凹み部23aへ自然に集められる。また、隙間S1を通過したマイクロミストのうち、第2遮蔽板26にぶつかったものも水滴となり、凹み部23aへ流れ落ちて集められる。
【0027】
凹み部23aは、加熱ヒータ24により300℃に加熱されている。そのため、凹み部23aに集められた水は蒸発する。蒸気は、第2遮蔽板26の立ち上がりに沿って上昇し、加熱ヒータ24上を流れる温風にさらされる。温風は、蒸気の温度より低温の80℃である。そのため、蒸気は温風に冷却されて微細化した水滴となり、マイクロミストになる。このマイクロミストは、送風ファン12から送られてくる温風の気流に乗って隙間S2から浴室1へ送り出される。
【0028】
浴室1は、ミストサウナ装置10から送り出されたマイクロミストにより加湿される。マイクロミストは、60℃前後で浴室1へ送り出された後、浴室1の空気に冷却されて40℃以上45℃以下の範囲の温度に冷却される。これにより、浴室1が40℃以上45℃以下の範囲に温度上昇する。そして、ミストサウナ装置は、たとえば、浴室1が、目標のミストサウナ状態(例えば、湿度80%、室温43℃)になると、その状態を維持するように維持動作を行う。
【0029】
以上説明したように、本実施形態のミストサウナ装置10は、温水を噴霧するノズル22と、ノズル22から噴霧された温水を加熱してミスト状態にするヒータ30と、ヒータ30の熱で発生したミストを温風で浴室1へ送り出す送風ファン12とを備えるものにおいて、ヒータ30が、板状のものであって、面をノズル側へ向けた姿勢でノズル22の下方に配置されていることにより、マイクロミストとならなかった水をヒータ30の熱で気化させ、浴室1へ送り出すことが可能になる。つまり、ノズル22から噴霧された温水を蒸気又はマイクロミストとして浴室1へ全て送り出すことができる。そのため、マイクロミストとならなかった水を排水する排水管を設ける必要がない。また、ノズル22から噴霧される温水を全て浴室1の加湿及び温度上昇に使用できるので、加湿及び温度上昇に必要な量以上に温水を使用しない。よって、本実施形態のミストサウナ装置10によれば、排水設備にかかる費用や温水の使用量を削減し、コストダウンを図ることができる。
【0030】
本実施形態のミストサウナ装置10は、ヒータ30が、送風ファン12と反対側を低くするように、水平面に対して傾斜して設置されているので、マイクロミストとならずに落下した水を板状のヒータ30に集めて蒸発させ、マイクロミスト化することができる。
【0031】
本実施形態のミストサウナ装置10は、ノズル22を挟んで送風ファン12と反対側に第1遮蔽板25が設置され、第1遮蔽板25とヒータ30との間に隙間S1が形成されているので、1μm以上のミストが温風に飛ばされて浴室1へ送り出されることを防止できる。
【0032】
本実施形態のミストサウナ装置10は、第1遮蔽板25を挟んで送風ファン12と反対側に第2遮蔽板26が設置され、第2遮蔽板26の下端部がヒータ30に接触し、第2遮蔽板26の上端部に隙間S2が形成されているので、1μmを超えるミストが浴室1へ送り出されることを防止できる。
【0033】
更に、本実施形態のミストサウナ装置10は、斜行板23の低い位置に加熱ヒータ24を設けたので、1μmを超えるミストが集められる位置を加熱ヒータ24で集中して加熱し、水を蒸発させ、蒸発した水を温風で冷却してマイクロミスト化する。よって、本実施形態のミストサウナ装置10によれば、斜行板23を加熱して蒸気を発生させるエネルギーを抑えることができる。
【0034】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
例えば、上記実施形態では、ミスト発生装置11を浴室暖房乾燥機3に内蔵したが、独立して浴室1にミスト発生装置11を設置しても良い。
例えば、上記実施形態では、凹部23aで蒸発した蒸気をマイクロミスト化することにより、ノズル22から噴霧された温水を100%マイクロミスト化したが、凹部23aで蒸発した蒸気を浴室1へ送り出しても良い。つまり、ノズル22から噴霧される温水を蒸気化又はマイクロミスト化して浴室1へ送り出しても良い。
上記実施形態では、熱交換器8を浴室暖房乾燥機3の外部に設けたが、浴室暖房乾燥機3に内蔵させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0035】
1 浴室
10 ミストサウナ装置
12 送風ファン
25 第1遮蔽板
26 第2遮蔽板
30 ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を噴霧するノズルと、前記ノズルから噴霧された温水を加熱してミスト状態にするヒータと、前記ヒータの熱で発生したミストを温風で浴室へ送り出す送風ファンとを備えるミストサウナ装置において、
前記ヒータが、板状のものであって、面を前記ノズル側へ向けた姿勢で前記ノズルの下方に配置されていることを特徴とするミストサウナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載するミストサウナ装置において、
前記ヒータが、前記送風ファンと反対側を低くするように、水平面に対して傾斜して設置されていることを特徴とするミストサウナ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載するミストサウナ装置において、
前記ノズルを挟んで前記送風ファンと反対側に第1遮蔽板が設置され、第1遮蔽板と前記ヒータとの間に隙間が形成されていることを特徴とするミストサウナ装置。
【請求項4】
請求項3に記載するミストサウナ装置において、
前記第1遮蔽板を挟んで前記送風ファンと反対側に第2遮蔽板が設置され、
前記第2遮蔽板の下端部が前記ヒータに接触し、
前記第2遮蔽板の上端部に隙間が形成されていることを特徴とするミストサウナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−205789(P2012−205789A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73979(P2011−73979)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】