説明

ミスト発生装置及びこのミスト発生装置を備えた浴室乾燥機

【課題】 熱源機からの給湯を利用するミスト発生装置において、熱源機側の制御内容に基づく制限を受けたり、熱源機側の事情により正常な給湯利用が制限されたりする事態が生じても、ミスト使用が中断されることなくミストの連続使用を可能にする。
【解決手段】 暖房用循環熱媒である高温水を加熱用熱源として液・液熱交換器31に循環供給する。液・液熱交換器に被加熱対象として熱源機2からの給湯又は給水配管63からの給水のいずれかを選択的に供給切換可能にする。液・液熱交換器で給湯を再加熱してミスト噴霧させている途中で、例えば熱源機2側の安全制御が実行されて給湯が停止する事態に陥いる前に、給湯電磁弁611を閉じ給水電磁弁631を開けて給水を液・液熱交換器に導入して加熱後にミスト噴霧させるように切換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば浴室等において、その室内空間に対し加熱された湯水をミストにして噴霧することによりサウナ感を得るために用いられるミスト発生装置及びこのミスト発生装置を備えた浴室乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミスト生成用の湯水として給湯器等の熱源機からの給湯を利用するものが知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1には、熱源機には給湯に係る特有事情、すなわち、給湯使用時の安全のために一定時間(例えば1時間)連続して給湯使用すると自動的に給湯を停止し燃焼を強制的に停止させるという、内蔵タイマを用いた自動安全制御が行われているという特有事情があること、この結果、ミストの継続使用中に上記の給湯の自動停止が作動してしまいミストの使用が中断されてしまうケースも起こり得ること、が記載されている。これを解決するために、上記のミスト発生のための運転を開始した場合には、上記内蔵タイマによるタイムアップの前に熱源機の燃焼を一旦停止させ、これにより内蔵タイマのタイマカウントをキャンセルした上で燃焼を再開させるという制御を行うことが、上記特許文献1にて提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−198178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の如く燃焼を一旦停止させると、安全制御のための内蔵タイマのタイマカウントはキャンセルし得るものの、給湯も同時に停止してしまう結果、給湯を使用してのミスト生成も停止してしまい、ミストの利用も不能となってしまうという不都合がある。
【0005】
そもそも、上記の一定時間の連続燃焼が発生すれば安全のために燃焼を強制停止させるという制御は、ユーザによる給湯栓の閉め忘れや、ユーザは閉めたにも拘わらず機器故障が生じたなどのユーザが意図しない状況に陥るケースを想定して付加されたものである。かかる安全のための制御の存在に起因して、ミストの連続使用が上記の一定時間の範囲内に制限され、それ以上の長時間に亘るミストの連続使用が不能となるという事態を招いている。そして、実際にミストの連続使用が上記の一定時間を超過すると、上記の安全制御により給湯が停止されてしまうため、再度のミスト使用を可能にするためにユーザに余分な操作を強いることになる。すなわち、上記の安全制御に基づく燃焼停止処理を解除して再度のミスト使用が可能な状態にするために、熱源機の例えば運転スイッチを一旦OFFにしてから再度ONにすることにより制御をリセットさせるという操作が必要になる。
【0006】
又、熱源機が浴槽への給湯により湯張り機能を有する場合には、湯張りが完了(設定湯張り量に到達)すれば湯張りのための給湯を自動停止させるというオートストップ機能も制御内容として併設されることがある。ところが、この場合の給湯の自動停止は熱源機からの全ての給湯を停止させるものであるため、熱源機からの給湯をミスト用水として利用しているときであっても、上記の湯張り完了により給湯停止によりミスト用水の供給も停止されてしまうことになる。この結果、ユーザが意図しないにも拘わらずミストの利用が不能となってしまうという不都合がある。この場合も、ミストを再度利用するには、上記の如き熱源機の運転をリセットさせるための操作が必要になる。つまり、ミスト用水として給湯を利用しようとすると、上記の安全制御の場合と同様に、熱源機側の制御内容に基づく制限を受けてミストの利用が不能になったり、ミストを再度利用するための作業をユーザに強いることになったりするという不都合が生じるのである。
【0007】
一方、これらの不都合を解消させるために、熱源機側の制御内容に変更を加えることも考えられるものの、給湯を利用する他の給湯先の事情を全て考慮して全てを満足させることは困難であり、熱源機側ではなくてミスト発生装置側での対策が要請される。
【0008】
さらに、ミスト用水として熱源機からの給湯を利用する場合には、熱源機から供給される給湯そのものが正常であることが前提条件として求められる。例えば、熱源機の運転スイッチがユーザの錯誤等に起因してON状態ではない、あるいは、熱源機側の燃焼異常が生じているなどに起因して、給湯温度が非正常になる場合が考えられる。かかる場合には、ミスト用水として所期の温度の給湯を受けることができないため、ミスト使用による所期の効果を得ることができないことになる。つまり、熱源機側の事情により正常な給湯利用が制限されてしまい、正常なミストの利用が不能になってしまうという不都合が生じることもあるのである。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱源機からの給湯を利用するミスト発生装置において、熱源機側の制御内容に基づく制限が存在していても、あるいは、熱源機側の事情に基づき正常な給湯利用が制限されたとしても、ユーザによるミスト使用が中断されることなくミストの連続使用を可能にするミスト発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明では、給湯状態が設定経過時間に亘り連続することを条件に給湯作動を強制停止させる安全制御手段を備えた熱源機から給湯をミスト用水として受け、受けたミスト用水を対象の室内空間に対しミストにして放出するように構成されたミスト発生装置を対象として、次の特定事項を備えるものとした。すなわち、上記ミスト用水を加熱昇温させるミスト用水加熱手段と、このミスト用水加熱手段に対し給水配管からの給水及び上記熱源機からの給湯のいずれか一方をミスト用水として選択的に切換供給するミスト用水切換手段と、上記給湯をミスト用水とするミストの放出が連続するときその放出開始から上記設定経過時間が経過する前に、上記ミスト用水加熱手段に対する供給を上記給湯から給水へ切換えるように上記ミスト用水切換手段による供給切換を切換制御するミスト制御手段とを備えることとした。
【0011】
この発明の場合、熱源機が安全制御手段を備え給湯の連続使用がその安全制御の対象とされていても、その安全制御に基づく制限である設定経過時間を超えて長時間に亘りミスト放出を中断させることなく連続して実行させることが可能となる。すなわち、給湯をミスト用水として用いてミスト放出を行う場合、そのミスト放出状態が連続すると熱源機側では給湯状態が連続することになるため、ミスト発生装置側でミスト用水としての給湯利用を設定経過時間を超えて連続させると熱源機側では給湯作動が安全制御手段により強制停止されてしまうことになる。これに対し本発明では、給湯利用によるミスト放出が連続する場合には、そのミスト放出開始から設定経過時間が経過する前に、ミスト制御手段によるミスト用水切換手段の切換制御によって給水配管からの給水に供給切換えされ、給水利用によるミスト放出によってミストの連続放出が維持される。なお、上記の「放出」とは、ミストの噴霧、吹き出し、噴出、噴射、あるいは、吐出等の全てを含む概念である。
【0012】
上記発明のミスト発生装置におけるミスト制御手段として、ミスト用水切換手段による供給切換を給湯から給水へ切換制御したとき、上記熱源機の安全制御手段による設定経過時間のカウントが給湯停止によりリセットされるのに要する所定時間の経過後に、上記ミスト用水加熱手段に対する供給を上記熱源機からの給湯に再度切換えるように上記ミスト用水切換手段による供給切換を切換制御する構成を追加することができる(請求項2)。このようにすることにより、給水利用によるミスト放出から給湯利用によるミスト放出に切換えられるため、給湯利用に基づきより大量のミスト放出を確実に連続させることが可能になる。この場合、給湯利用によるミスト放出は上記設定経過時間の経過前まで連続させることが可能となり、さらに連続する場合には上記の如く給水利用によるミスト放出に切換えられることになる。
【0013】
請求項3〜請求項5のいずれかの発明では、外部から供給を受けたミスト用水をミスト用水加熱手段により加熱昇温した上で対象の室内空間に対しミストにして放出するように構成されたミスト発生装置を対象として、それぞれ以下の如き特定事項を備えることにしたものである。
【0014】
すなわち、請求項3の発明では、上記ミスト用水加熱手段に対しミスト用水の導入側に接続される給水配管及び熱源機からの給湯配管と、上記ミスト用水加熱手段に対し給水配管からの給水及び給湯配管からの給湯のいずれか一方をミスト用水として選択的に切換供給するミスト用水切換手段と、このミスト用水切換手段により給湯配管からの給湯がミスト用水として供給されているとき、供給される給湯に異常発生か否かを検知する給湯異常検知手段と、上記給湯をミスト用水にしてミストを放出している間に上記給湯異常検知手段により給湯に異常発生と検知されたとき、上記ミスト用水加熱手段に対する供給を上記給湯から給水へ切換えるように上記ミスト用水切換手段による供給切換を切換制御するミスト制御手段とを備えることとした。
【0015】
この発明の場合、給湯がミスト用水として供給されているときに、給湯異常検知手段により給湯に異常発生と検知されると、給水がミスト用水として供給されるようにミスト用水切換手段が切換えられ、給湯利用によるミスト放出に続いて給水利用によるミスト放出が行われることになる。これにより、熱源機側の制御内容に基づく制限を受けたり、熱源機側の事情に基づき正常な給湯利用が制限されたりしても、その制限に基づく給湯の異常を検知して給水利用に切換えるようにしているため、ユーザによるミスト使用が中断されることなくミストの連続使用が可能となる。
【0016】
請求項4又は請求項5に係る発明は、請求項3の発明を具体化したものに相当する。請求項4に係る発明では、上記ミスト用水加熱手段に対しミスト用水の導入側に接続される給水配管及び熱源機からの給湯配管と、上記ミスト用水加熱手段に対し給水配管からの給水及び給湯配管からの給湯のいずれか一方をミスト用水として選択的に切換供給するミスト用水切換手段と、上記熱源機からミスト用水として受ける給湯の流れの有無を検知する給湯流検知手段と、上記給湯をミスト用水にしてミストを放出している間に上記給湯流検知手段により給湯の流れが無くなったことが検知されたとき、上記ミスト用水加熱手段に対する供給を上記給湯から給水へ切換えるように上記ミスト用水切換手段による供給切換を切換制御するミスト制御手段とを備えることとした。
【0017】
この発明の場合、熱源機側で例えばオートストップ機能を実現する制御によって全ての給湯先への給湯が停止されてしまったとしても、ミスト発生装置側ではミストの放出を中断させることなく、連続してミストの利用が可能となる。すなわち、給湯利用によりミストの放出を実行中に熱源機側の制御によって給湯が停止される事態が生じれば、給湯流検知手段から給湯流が無くなったことの検知出力を受けてミスト制御手段によって給水の供給に切換えられ、以後、給水利用によるミスト放出が継続されることになる。従って、熱源機側からの給湯が遮断されたとしても、それまでの給湯利用によるミスト放出に連続して給水利用によるミスト放出を継続させることが可能になる。
【0018】
請求項5に係る発明では、上記ミスト用水加熱手段に対しミスト用水の導入側に接続される給水配管及び熱源機からの給湯配管と、上記ミスト用水加熱手段に対し給水配管からの給水及び給湯配管からの給湯のいずれか一方をミスト用水として選択的に切換供給するミスト用水切換手段と、上記給湯配管からの給湯の温度が正常か否かを検知する給湯温度検知手段と、上記給湯をミスト用水にしてミストを放出している間に上記給湯温度検知手段により給湯温度が非正常であることが検知されたとき、上記ミスト用水加熱手段に対する供給を上記給湯から給水へ切換えるように上記ミスト用水切換手段による供給切換を切換制御するミスト制御手段とを備えることとした。
【0019】
この発明の場合、熱源機側で例えば機器故障又はセンサ異常等に起因して燃焼異常が生じたり、あるいは、熱源機側の電源スイッチ等のON操作をし忘れていたりして、給湯が正常な温度(設定給湯温度)まで加熱されていない状態になってしまったとしても、ミスト発生装置側ではミストの放出を中断させたり所期の状態(温度等)以外のミスト放出となったりすることなく、連続して所期のミストの利用が可能となる。すなわち、給湯利用によりミストの放出を実行中に熱源機側の事情(異常発生)によって給湯温度が所定温度よりも低温になってしまえば、給湯温度検知手段により給湯温度が非正常であることが検知される。そして、この検知出力を受けてミスト制御手段によって給湯から給水の供給に切換えられ、以後、給水利用によるミスト放出が継続されることになる。従って、ミスト用水加熱手段において給水に対する加熱昇温が適正に行われて、所期の状態のミストを連続して利用することが可能になる。
【0020】
請求項6に係る発明では、浴室空間に対し温風を吹き出す温風吹出手段を備えた浴室乾燥機を対象として、上記の請求項1〜請求項5のいずれかに記載のミスト発生装置を備え、上記ミスト発生装置を、上記浴室空間に対しミストを放出するように配設することとした。
【0021】
この発明の場合、浴室乾燥機にミスト発生装置を併設した場合に、請求項1〜請求項5のいずれかのミスト発生装置によって得られる作用を併せて得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
以上、説明したように、請求項1又は請求項2のミスト発生装置によれば、熱源機が安全制御手段を備え給湯の連続使用がその安全制御の対象とされていても、その安全制御に基づく制限である設定経過時間を超えて長時間に亘りミスト放出を中断させることなく連続して実行させることができるようになる。これにより、ミスト用水として熱源機からの給湯を利用する場合に、熱源機側の独自の安全制御内容に基づく制限が存在しているとしても、ミストの放出を中断させる事態を招くことなく、ミストの放出を長時間に亘り連続して継続させることができる。
【0023】
特に請求項2によれば、給湯利用に再度切換えることにより、より大量のミスト放出を確実に連続させることができる。
【0024】
請求項3のミスト発生装置によれば、熱源機側の制御内容に基づく制限を受けたり、熱源機側の事情に基づき正常な給湯利用が制限されたりしても、ミスト用水として供給を受けている給湯にその制限に基づく異常が生じれば、その異常発生を検知して給水利用に切換えるようにしているため、ユーザによるミスト使用を中断させることなく連続してミストの放出を継続させることができるようになる。
【0025】
請求項4のミスト発生装置によれば、熱源機側で例えばオートストップ機能を実現する制御によって全ての給湯先への給湯が停止されてしまったとしても、給水をミスト用水として供給するように切換えることにより、ミスト発生装置側ではミストの放出を中断させることなく連続してミストの放出を継続させることができるようになる。
【0026】
請求項5のミスト発生装置によれば、熱源機側で例えば機器故障又はセンサ異常等に起因して燃焼異常が生じて給湯が正常な温度まで加熱されていない状態に陥ったとしても、給水をミスト用水として供給するように切換えることにより、ミスト発生装置側ではミストの放出を中断させたり所期の状態(温度等)以外のミスト放出となったりすることなく、連続して所期の状態のミストを利用することができるようになる。
【0027】
請求項6の浴室乾燥機によれば、以上の請求項1〜請求項5のいずれかのミスト発生装置による効果を併せて享受することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係るミスト発生装置を併設した浴室乾燥機を示す。つまり、ミストを放出する対象の室内空間として浴室空間Rに適用したものを示す。この浴室乾燥機は、給湯機能及び温水循環式暖房機能を併有する熱源機2と、ミスト用水を生成・準備する室外機としてのミストユニット3と、室内機としての室内ユニット4と、換気装置5とを備えたものである。
【0030】
上記熱源機2は、温水循環経路内の温水又は不凍液等の熱媒を加熱して外部の暖房端末に循環供給する温水循環系21と、給湯経路内の給水を加熱して外部の給湯先に給湯する給湯系22とを個別に備えたものである。これら温水循環系21と給湯系22とは、それぞれ互いに独立した燃焼缶体を備え、いわゆる2缶2水路に構成されたものである。そして、これらの燃焼作動等が熱源機コントローラ23によって制御されるようになっている。従って、必ずしも1つの熱源機2である必要はなく、温水循環系21のみで構成された第1の熱源機と、給湯系22のみで構成された第2の熱源機との2つを用いてもよい。
【0031】
上記温水循環系21からは種々の暖房端末に対し加熱後の熱媒(以下、「高温水」という)を熱源として循環供給するための循環路が接続されており、その一部として、暖房往路24及び暖房戻路25からなる循環路が上記ミストユニット3を経由して室内ユニット4内の後述の放熱用熱交換器42まで延びている。これら暖房往路24及び暖房戻路25は上記ミストユニット3内においてそれぞれ分岐されて、後述のミスト用水加熱手段としての液・液熱交換器31に対し高温水を加熱用熱源として循環供給し得るようになっている。すなわち、暖房往路24から分岐した暖房往分岐路241が熱媒供給切換部としての閉止機能付き流量調整弁である水比例弁311を介して液・液熱交換器31の入口に接続され、この液・液熱交換器31の出口に接続された暖房戻分岐路251が暖房戻路25に対し合流されている。これにより、暖房往分岐路241により液・液熱交換器31に供給された高温水が放熱後(熱交換加熱後)に低温となり、低温となった熱媒である低温水が暖房戻分岐路251を通して温水循環系21に戻されるようになっている(図1の矢印参照)。
【0032】
上記温水循環系21の例を図2に基づいて説明すると、この温水循環系21は膨張タンク211内に貯留された低温水を循環ポンプ212の作動により熱交換器213に送り、燃焼バーナ214の燃焼熱との熱交換により加熱して高温水とした上で、この高温水を熱源要求のある暖房端末(例えば床暖房ユニット等)に供給するようになっている。そして、暖房端末での放熱により低温となった低温水が上記膨張タンク211に戻されて循環されるようになっている。上記の暖房端末の一つとして上記の放熱用熱交換器42があり、この熱交換器42に対し温水循環系21から高温水が上記暖房往路24を通して供給され、熱交換器42から低温水が暖房戻路25を通して膨張タンク211に戻されるようになっている。
【0033】
又、上記給湯系22からは種々の給湯先(台所カラン261,シャワーカラン262,風呂カラン263等)への給湯配管が接続されており、その一部として給湯配管61が上記液・液熱交換器31(図1参照)に対し熱交換加熱対象のミスト用水として給湯し得るように接続されている。上記給湯系22では、いずれかの給湯先が開かれて給水配管62から入水路221への入水が最低作動流量以上になったことの検出出力を入水流量センサ222から受けて熱源機コントローラ23により燃焼バーナ223の燃焼が開始され、熱交換器224において入水が燃焼熱により熱交換加熱されて出湯路225へ出湯された後、給湯配管61を含む種々の給湯配管に給湯されるようになっている。なお、図2中、符号226は出湯路225に介装されて出湯温度を検出する出湯温度センサ、符号227は出湯路225から給湯配管への給湯流量を調整する閉止機能付きの流量調整弁である。又、上記の給水配管62及び後述の給水配管63は共に上流端が水道管に接続され、水道水の供給圧又は減圧調整後の供給圧が作用している。
【0034】
図1に戻り、上記ミストユニット3は浴室空間Rの外部に設置され、液・液熱交換器31と、水比例弁311と、液・液熱交換器31に対する高温水の供給及び加熱対象のミスト用水の切換等を制御するミストユニットコントローラ32とを備えている。上記液・液熱交換器31には、ミスト用水の導入側、すなわち上記の高温水により液・液熱交換加熱される被加熱側入口に対し、上記の給湯配管61が給湯電磁弁611及び給湯流検知手段としての給湯流量センサ612を介して接続される一方、給水配管63も給水電磁弁631を介して接続されている。なお、これら給湯配管61及び給水配管63にはストレーナや、凍結予防ヒータがそれぞれ介装されている。上記の給湯流量センサ612は、ミスト用水として給湯しているにも拘わらず給湯流が無くなった、つまり給湯に異常発生したことを検知する給湯異常検知手段をも構成することになる。
【0035】
そして、上記液・液熱交換器31の被加熱側出口にはミスト用水供給配管64の上流端が接続され、このミスト用水供給配管64の下流端は上記室内ユニット4のミスト噴霧ノズル44a等に接続されている。これにより、上記液・液熱交換器31で所定温度まで加熱・昇温された後のミスト用水がミスト噴霧ノズル44a等に供給されるようになっている。上記ミスト用水供給配管64には、加熱後のミスト用水の温度を検出するミスト温度センサ(サーミスタ)641と、開閉切換によりミスト用水の供給の開始・停止を切換えるミスト電磁弁642とが介装されている。又、上記ミスト用水供給配管64から排水用配管65が排水電磁弁651を介して分岐されており、内部の残留水等の所定温度に未到達の湯水を排水し得るようになっている。上記のミスト温度センサ641は、給湯がミスト用水として供給されているときの給湯温度の異常(非正常であること)を検知する給湯温度検知手段又は給湯異常検知手段を構成することになる。
【0036】
上記の給湯電磁弁611及び給水電磁弁631がその開閉切換により液・液熱交換器31に供給するミスト用水として給湯か給水かの供給切換えを行うミスト用水切換手段を構成し、これらの電磁弁611,631による供給切換と、水比例弁311による高温水を供給するか否かの切換と、ミスト電磁弁642によるミスト用水を供給するか否かの切換となどがミストユニットコントローラ(室外機コントローラ)32により制御されるようになっている。
【0037】
上記室内ユニット4は浴室空間Rの天井にはめ込まれる天井設置タイプと、側壁に取り付けられる壁掛け設置タイプとがある。本実施形態では壁掛け設置タイプとして説明する。その例として図3にも示すように、室内ユニット4は、ケーシング41内に温風生成用の熱交換器42及び送風機(循環ファン)43が配設されると共に、ミスト放出手段としての2以上(図例では4つ)のミストノズル44a,44a,44b,44bと、開閉切換によりミストを噴霧させるノズル数を変更するための切換電磁弁45と、以上の機器の作動制御を行う室内ユニットコントローラ(室内機コントローラ)46とが配設されている。なお、図3では上記の切換電磁弁45及び室内ユニットコントローラ46の図示を共に省略している。上記の温風生成用の熱交換器42及び送風機(循環ファン)43により温風吹出手段が構成されている。
【0038】
上記送風機43が上記室内ユニットコントローラ46により送風作動されると、ケーシング41の上部の吸い込み口411から浴室空間Rの内気を熱交換器42に対し外側から内側に通過させて吸い込む一方、続いて熱交換器42に対し内側から外側に通過させた上で温風吹き出し口412から浴室空間Rに向けて吹き出させることになる。上記の熱交換器42の通過の際に、熱交換器42に対し熱動弁421を介して循環供給されている高温水の放熱を受けて所定温度まで加熱・昇温されて温風に変換され、この温風が浴室空間Rに対し吹き出されるようになっている。温風吹き出し口412には、ルーバーモータ47により首振り傾動されるルーバー471が設置され、このルーバー471の傾動角度の変更設定により温風の吹き出し方向が変更されるようになっている。このような温風吹き出し機能によって浴室乾燥機が構成されることになる。以上の送風機43の作動、熱動弁421の開作動による高温水の循環供給、及び、ルーバーモータ47の作動によるルーバー471の傾動角度の設定等の温風吹き出しのための作動制御、並びに、これらの作動制御を吸気温度の検出により室内温度を検出する室内温度センサ48の検出温度や湿度センサ49の検出湿度等に基づいて行う温度及び湿度の管理制御等が室内ユニットコントローラ46によって実行されるようになっている。
【0039】
上記ケーシング41の下部位置に水平方向に互いに離間して配設された4つの内、中央の2つのミストノズル44a,44aは正面の斜め下方に向けてミストが噴霧(放出)されるように位置付けられ、左右両側の2つのミストノズル44b,44bは左右両側方に向けてミストが噴霧されるように位置付けられている。つまり、室内ユニット4の正面にユーザが位置すると、その頭部から上半身にかけて上記中央のミストノズル44a,44aから噴霧されたミストが吹き付けられる一方、両側のミストノズル44b,44bはユーザの体には直接には当たらないようになっている。これにより、後述のミスト噴霧量(ミスト放出量)の切換えと相まってユーザが良好なサウナ感を得られるようにしている。
【0040】
又、切換電磁弁45は、閉状態にするとミスト用水供給配管64からのミスト用水が中央の2つのミストノズル44a,44aだけに供給される一方、開状態にすると上記ミスト用水が4つ全てのミストノズル44a,44a,44b,44bに供給されるようになっている。上記の各ミストノズル44a,44bは、供給されたミスト用水を給水源圧力に基づいて噴き出させることにより浴室空間Rに対しミストを噴霧するように構成されている。従って、ミスト用水の供給されるミストノズルの数が多いほど、浴室空間Rに対するミスト噴霧量は多くなる。以上より、上記切換電磁弁45の開閉切換により浴室空間Rに対するミスト噴霧量を大小切換えすることができるようになっており、この切換電磁弁45の開閉切換がミストユニットコントローラ32からの制御信号を受けて室内ユニットコントローラ46によって制御されるようになっている。
【0041】
上記換気装置5は、換気ファン51の作動により浴室空間R内の内気を外部に排出させるようになっている。
【0042】
次に、各種コントローラによる制御について説明する。図4にも示すように、ミストユニットコントローラ32と熱源機コントローラ23とは有線又は無線により通信可能に接続され、又、ミストユニットコントローラ32と室内ユニットコントローラ46とは有線又は無線により双方向通信が可能に接続されている。そして、上記ミストユニットコントローラ32は例えばワイヤレス式のリモコン7からの入力指令や、ミスト温度センサ641,給湯流量センサ612もしくは室内温度センサ48等からの検出情報に基づいて熱源機コントローラ23や室内ユニットコントローラ46に対し制御信号を送出するなどして、3つのコントローラ23,32,46が協働して浴室空間Rに対するミスト噴霧を制御するようになっている。従って、コントローラ23,32,46によってミスト制御手段8が構成されることになる。
【0043】
上記のリモコン7は、現在状況に関する情報を含む各種情報をユーザに報知するための表示部もしくは音声出力部や、各種スイッチを備えている。各種スイッチとしては、ミスト噴霧運転、浴室乾燥運転又は換気運転等をON・OFFする運転スイッチの他に、例えば浴室空間Rをサウナ化するための自動運転スイッチ、ユーザの望むだけミスト噴霧運転を継続させたりミスト噴霧量を変更させたりし得るマニュアル運転スイッチや、浴室空間R内の室内温度を何度にする、又は、室内温度として既に設定されている値を変更する、もしくは、現在温度よりも上げたいか下げたいかなどの室内温度の設定や変更に関する設定スイッチを備えている。
【0044】
上記のミストユニットコントローラ32には設定室内温度としてサウナ感が得られるか否かの境界温度(例えば40℃〜45℃)が予め設定され、上記の自動運転スイッチによる自動運転がユーザにより選択された場合には、上記の設定室内温度と現在の検出室内温度との比較に基づいて、ミスト用水の供給流量を大流量にして大噴霧量のミスト噴霧を実行させるか、小流量にして小噴霧量のミスト噴霧を実行させるかの切換制御を上記のミスト制御手段8により行い、快適なサウナ感を早期に得られるようにしている。
【0045】
上記の室内温度に基づく自動運転について基本の制御を説明すると、まずミスト運転についての運転スイッチがONされた場合、浴室空間Rの室内温度(室内温度センサ48による検出室内温度)は設定室内温度よりもまだ低いままであるため、熱源機2からの給湯を再加熱した上でミスト用水として室内ユニット4に供給して大噴霧量でのミスト噴霧を実行させる。すなわち、水比例弁311を開いて液・液熱交換器31に高温水を加熱用熱源として循環供給させる一方、給水電磁弁631を閉じ給湯電磁弁611を開けて給湯系22からの給湯をミスト用水として上記液・液熱交換器31に供給する。なお、この際、熱源機2の温水循環系21では図外の暖房端末等のために高温水が循環供給可能の状態になっており、上記の水比例弁311を開けば高温水が液・液熱交換器31に循環供給されるようになっている。又、熱源機2の給湯用の燃焼缶体22において最低作動流量が流れることにより燃焼が開始され所定温度の給湯になるまで、すなわち、立ち上がり時は排水用配管65から排水される。
【0046】
そして、上記給湯は液・液熱交換器31において熱源としての高温水により再加熱された後、ミスト用水としてミスト用水供給配管64を通して室内ユニット4に供給する。このとき切換電磁弁45を開状態に変換し、ミスト用水配管64からのミスト用水を4つ全てのミストノズル44a,44a,44b,44bから噴霧させる。この4つ全てのミストノズル44a,44a,44b,44bからの大量のミスト噴霧により浴室空間Rは早期に温度・湿度共に上昇する。ここで、以上のようなミスト用水として給湯を受けて再加熱した上でミスト噴霧するというミスト噴霧運転のことを、給湯再加熱によるミスト噴霧と呼ぶことにする。
【0047】
そして、室内温度センサ48による検出室内温度が設定室内温度を超えれば、浴室空間Rのサウナ化が所定レベルまで到達した、つまりサウナ感が得られる室内環境まで到達したと判断して、次に、この室内環境を維持し得る程度の小噴霧量のミスト噴霧に切換・変更する。この切換・変更は上記の給湯再加熱によるミスト噴霧から、ミスト用水として給水を受けて加熱した上でミスト噴霧するという給水加熱によるミスト噴霧に変更する。具体的には、給水電磁弁631の開切換作動、給湯電磁弁611の閉切換作動、及び、切換電磁弁45の閉切換作動を実行させ、液・液熱交換器31に供給するミスト用水を給湯から給水に切換えると共に、ミスト噴霧するミストノズルの数を4つ全てから中央側の2つのミストノズル44a,44aに切換えてミスト噴霧量を小噴霧量に低減させる。これにより、浴室空間Rを上記のサウナ感が得られる室内環境を維持させることができる一方、室内ユニット4の前にユーザが立てば上記中央側の2つのミストノズル44a,44aから緩やかなミスト噴霧を頭部や上半身に受けることができる。この際、ミスト噴霧が小噴霧量に絞られて液・液熱交換器31に供給される給水流量も小流量に絞られるため、暖房往路24からの高温水との液・液熱交換により早期に熱交換加熱されて所定温度のミスト用水として室内ユニット4に供給されることになる。
【0048】
なお、上記の自動運転制御によるミスト噴霧運転において、ユーザがもう少し熱い方がよいと感じれば、リモコン7により設定室内温度としてもう少し高い温度を設定変更すればよく、逆にもう少しぬるい方がよいと感じれば、同様にして設定室内温度としてもう少し低い温度を設定変更することができる。
【0049】
以上の構成を前提として熱源機2側の特に給湯系22における特有な制御内容や、給湯系22での異常発生等に起因して適正なミスト噴霧が継続し得ない事態が発生することを回避して、ミスト噴霧が中断されることなくユーザが望むだけ連続して継続させ得るようにするための制御内容について、以下の各実施形態に示す。
【0050】
<第1実施形態>
第1実施形態は、熱源機2の熱源機コントローラ23が給湯系22におけるフェイルセーフを図るための安全制御手段を備えている場合において、不都合を回避するためにミスト制御手段8で実行される対策制御である。
【0051】
上記熱源機コントローラ23が備える上記安全制御手段は、燃焼バーナ223の燃焼開始に伴う給湯先への給湯開始から給湯状態が連続する限り図示省略のタイマのカウントを続行し、そのタイマカウント(給湯状態の連続)が設定経過時間(例えば60分間)を超えるときには、ユーザが意図しない事情に基づく給湯の連続であると判断して、燃焼バーナ223の燃焼を強制停止し出湯路225の流量調整弁227を全閉に切換えて給湯を強制停止するようになっている。上記の意図しない事情とは、例えば台所カラン261等の閉め忘れや、機器故障等の発生が挙げられる。なお、かかる安全制御は給湯系22を対象とするものであり、温水循環系21は対象とされることはない。
【0052】
これの対策、すなわち、給湯再加熱によるミスト噴霧を上記設定経過時間以上に連続させると、給湯が強制停止されてしまいミスト噴霧が停止されてしまうことを回避するために、ミスト制御手段8、中でも特にミストユニットコントローラ32は次のような制御を備えている。
【0053】
すなわち、ミストユニットコントローラ32は図示省略のタイマを独自に備えており、リモコン7からの入力操作により、又は、制御上の設定により、給湯再加熱によるミスト噴霧が選択されてミスト運転を開始させる場合には、上記タイマのカウントをスタートさせ給湯再加熱によるミスト噴霧が連続して続く限りそのミスト運転開始から上記タイマを監視し、このタイマが上記設定経過時間と同じ時間経過をカウントアップする前に、給湯再加熱によるミスト噴霧から給水加熱によるミスト噴霧に切換える制御を行う。給湯再加熱によるミスト噴霧の開始のための制御、及び、この給湯再加熱によるミスト噴霧から給水加熱によるミスト噴霧への切換制御の各詳細については前述の通りである。
【0054】
ミストユニットコントローラ32が独自のタイマを備えるのは、汎用品である熱源機2に対しミストユニット3等を事情に応じて組み合わせたりすることを可能にするためである。従って、ミストユニットコントローラ32と、熱源機コントローラ23との通信接続は、ミストユニットコントローラ32から熱源機コントローラ23に対し各種制御信号を送出したり、ミストユニットコントローラ32を介してリモコン7からの入力信号を送出したりするという通信を可能とするものである。そして、ミストユニットコントローラ32では、熱源機コントローラ23による安全制御に基づく不都合の回避を、熱源機コントローラ23からの情報伝達を受けることなく独自に制御時期を判断して制御を実行することができる。
【0055】
そして、上記の給湯再加熱によるミスト噴霧から給水加熱によるミスト噴霧への切換に伴い、給湯電磁弁611が閉じられて熱源機2からの給湯が停止するため、熱源機コントローラ23の上記のタイマカウントもキャンセルされてタイマがリセットされることになる。このため、このリセットまでに要する所定時間(給湯電磁弁611が閉変換するに要する時間及び燃焼等が完全停止するに要する時間等)だけ少なくとも給水加熱によるミスト噴霧を一時的に実行した後、再度、給湯再加熱によるミスト噴霧に切換える。上記のタイマのリセット処理さえ済めば給湯再加熱によるミスト噴霧を実行するのに支障はないからである。
【0056】
又、上記の給水加熱によるミスト噴霧への切換えに併せて、リモコン7を用いてユーザに対する案内報知を行うようにもなっている。すなわち、リモコン7の表示部への表示又は音声出力部への音声出力によって、ミスト用水の自動切換えを実行した旨、故障ではない旨、及び/又は、しばらくすれば復帰する旨等をユーザに対し案内報知する。なお、かかるユーザに対する案内報知制御を実行する点は以下の第2実施形態又は第3実施形態においても同様である。
【0057】
以上の制御により、熱源機2側の安全制御の存在に起因してミスト噴霧が中断されてしまうことを回避して、上記の設定経過時間を超える長時間であっても、ユーザが望む限りミスト噴霧を連続して実行させることができる。このような制御は、リモコン7によりユーザがマニュアル運転スイッチをON操作してマニュアル操作に基づくミスト噴霧運転を選択した場合に特に必要になる他、自動運転スイッチをON操作した場合にも必要になる場合がある。かかる事情は他の実施形態においても同様である。
【0058】
又、上記の如く給湯再加熱によるミスト噴霧から給水加熱によるミスト噴霧へ積極的に切換えているため、つまり、給湯配管61の給湯電磁弁611を積極的に閉切換えする一方、給水電磁弁631を開切換えして熱源機2とは関係なく独立して配管した給水配管63からの給水を用いてミスト噴霧を継続させるようにしているため、熱源機2、特に給湯用燃焼缶体22の耐久性悪化等の弊害を招くことを回避することができる。
【0059】
すなわち、ミスト噴霧の継続のために液・液熱交換器31に対するミスト用水の供給を給湯から給水に単に切換えるだけであれば、上記の給水配管63への切換えではなくて、例えば給湯電磁弁611を開状態のままにして燃焼作動が強制停止された熱源機2の給湯用燃焼缶体22を通して、つまり給水配管62及び給湯配管61を通して流れてくる非加熱状態での給水を液・液熱交換器31にミスト用水として導くことも可能である。しかしながら、上記の如くそれまで燃焼が継続されて熱せられた状態の熱交換器や給湯配管61に対し給水の水が接触すると、熱交換器や燃焼缶体22に結露が生じドレン水の発生を招くことになり、このドレン水の発生により熱交換器等の給湯用燃焼缶体22の耐久性を悪化させる事態を招くおそれがある。これに対し、上記の如き給水配管63からの給水に切換えて給湯配管61の流れを遮断するようにしているため、上記の耐久性悪化の如き事態の発生を回避できるのである。
【0060】
<第2実施形態>
第2実施形態は、熱源機2の熱源機コントローラ23が給湯系22からの給湯により風呂への湯張りを行うときに給湯量が設定湯張り量に到達すれば、給湯を自動的に停止させて湯張りを完了させるという、いわゆるオートストップ機能を実現させる湯張り制御手段を備えている場合において、これに起因する不都合を回避するためにミスト制御手段8で実行される対策制御である。
【0061】
上記熱源機コントローラ23が備える上記湯張り制御手段は、風呂カラン263の開栓から入水流量センサ222の検出流量を積算することにより浴槽Bへの湯張り量を監視し、この積算により得られる湯張り量が図示省略の風呂リモコン等に入力設定された設定湯張り量に到達すれば、燃焼バーナ223の燃焼の停止及び出湯路226の流量調整弁227の全閉切換を実行し、これにより給湯を自動停止(オートストップ)させるようになっている。そして、このオートストップ後、上記の流量調整弁227を僅かに開いて入水流量センサ222からの検出流量が有るか否かを確認することにより、風呂カラン263が完全に閉状態に操作されているか否かの判定を行うようにもなっている。
【0062】
このような湯張り制御に基づくオートストップが実行されると風呂カラン263に対する給湯のみならず、他の全ての給湯先への給湯も停止されてしまうため、湯張りと同時にミスト発生装置側で給湯再加熱によるミスト噴霧が実行されている場合には、そのミスト噴霧運転が継続している途中でミスト噴霧も急に停止してしまうことになる。このため、故障が発生したのか、断水が生じたのかとユーザを戸惑せる結果を招くことになってしまう。つまり、湯張りにとっては便宜な制御ではあっても、ミスト発生装置の側から見ると給湯の異常発生と同様の影響を及ぼすことになる。さらに、上記の風呂カラン263の閉判定のために流量調整弁227が開かれると、ミスト発生装置にも流れる結果、ミストノズル44a等から水垂れが生じる一方、風呂カラン263が完全に閉じられていたとしてもミストノズル44aから流出するため熱源機コントローラ23では未だ風呂カラン263等が開いていると誤判定してしまうことにもなりかねない。
【0063】
以上の対策、すなわち、オートストップ機能が実行されると、湯張りと同時に実行されていた給湯再加熱によるミスト噴霧も意図しない停止を招いてしまうという不都合を回避するために、ミスト制御手段8を構成するミストユニットコントローラ32は次のような制御を備えている。
【0064】
すなわち、給湯再加熱によるミスト噴霧の実行中は給湯流量センサ612からの検出流量を監視し、この検出流量がゼロ又はゼロ近くまで急減した場合には、給湯の供給異常が生じたと判断して、上記の給湯再加熱によるミスト噴霧から給水加熱によるミスト噴霧に切換える制御を行うようになっている。つまり、オートストップ機能の実行により給湯停止に移行する途中、あるいは、完全に給湯が停止してしまう直前に、給水によるミスト噴霧に切換えるようにしているのである。これにより、上記のオートストップ機能を実現する制御の実行に起因してミスト噴霧が中断されてしまうことを回避して、連続してミスト噴霧を継続させることができるようになる。又、給水加熱によるミスト噴霧への切換制御によって給湯電磁弁611が閉切換えされるため、その後に風呂カラン263の閉確認のために流量調整弁227が開かれてもミスト発生装置側には流れず、誤判定の発生を回避することができる。
【0065】
さらに、このような不都合回避のための制御を、第1実施形態と同様に、熱源機コントローラ23からの情報伝達を受けることなく、ミストユニットコントローラ32側だけで判定して不都合回避のための制御を的確に行うことができる。
【0066】
<第3実施形態>
第3実施形態は、熱源機2からの給湯に異常(特に給湯温度の異常)が生じた場合に、この給湯温度の異常に起因する不都合を回避するためにミスト制御手段8で実行される対策制御である。すなわち、例えば熱源機2の給湯系21についての電源スイッチの入れ忘れ又は電源スイッチは入っていたとしても運転スイッチ(例えばリモコンのスイッチ)の入れ忘れ等が発生すると、ミスト発生装置の側で給湯再加熱によるミスト噴霧を実行させるために、ミスト制御手段8により給湯電磁弁611が開かれたとしても、燃焼バーナの燃焼は開始されずに入水路221に入水した水が給湯系22を素通りし給湯配管61を通して大流量のままミストユニット3まで供給されてしまうことになる。このため、給湯は所定の温度に加熱昇温されている筈との前提が崩れ、液・液熱交換器31に対する熱源供給を増大させるために水比例弁311を全開状態にしたとしてもミスト生成のための所定温度まで加熱し得ない事態を招くことになる。
【0067】
以上の不都合の発生を回避するために、ミスト制御手段8を構成するミストユニットコントローラ32は次のような制御を備えている。すなわち、給湯再加熱によるミスト噴霧の実行中はミスト温度センサ641からの検出温度を監視し、室内ユニット4へ供給する加熱後のミスト用水に要求される設定温度よりも検出温度が低温になれば、水比例弁311を開側に開き熱源としての高温水の供給を増大させる。そして、水比例弁311を全開状態まで開いても上記検出温度が設定温度まで到達しなければ、給湯系22についての電源スイッチ又は運転スイッチの入れ忘れ等に起因して給湯系22での燃焼が正常に生じてはいないと判断して、上記の給湯再加熱によるミスト噴霧から給水加熱によるミスト噴霧に切換える制御を行うようになっている。この給水加熱によるミスト噴霧への切換えに同期してミストノズル44a等の数が減少されてミスト噴霧が小噴霧量に切換えられるため、液・液熱交換器31でのミスト用水(給水)に対する加熱昇温も正常に戻り、ユーザは正常な温度でのミスト噴霧を享受できるようになる。
【0068】
この第3実施形態の如く燃焼が正常に行われていないことが検出されれば、不都合回避のために給湯再加熱によるミスト噴霧から給水加熱によるミスト噴霧へ積極的に切換えているため、つまり、給湯配管61の給湯電磁弁611を積極的に閉切換えする一方、給水電磁弁631を開切換えして熱源機2とは関係なく独立して配管した給水配管63からの給水を用いてミスト噴霧を継続させるようにしているため、第1実施形態にて詳細に説明したように、熱源機2、特に給湯用燃焼缶体22の耐久性悪化等の弊害を招くことを回避することができる。
【0069】
さらに、このような不都合回避のための制御を、第1実施形態と同様に、熱源機コントローラ23からの情報伝達を受けることなく、ミストユニットコントローラ32側だけで判定して不都合回避のための制御を的確に行うことができる。
【0070】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記の第1〜第3実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記各実施形態において、浴室乾燥機とは切り離してミスト発生装置として単独で使用してもよく、又、対象の室内空間としては浴室空間Rに限らずサウナのみを目的とした室内空間等のいずれの室内空間でもよい。
【0071】
上記第1実施形態では、安全制御の内容として、燃焼バーナ223の燃焼を強制停止し出湯路225の流量調整弁227を全閉に切換えて給湯を強制停止するということを示したが、これに限らず、安全制御の内容として、流量調整弁227の全閉切換えを行わずに燃焼バーナ223の燃焼を強制停止するということにしてもよい。
【0072】
上記第2実施形態では給湯流量センサ612により給湯流検知手段を構成しているが、これに限らず、例えば流水を受けてスイッチがオンとなる流水スイッチにより給湯流検知手段を構成してもよい。
【0073】
上記第3実施形態では給湯温度検知手段としてミスト温度センサ641を用いているが、これに限らず、給湯配管61に介装した温度センサにより給湯温度検知手段を構成するようにしてもよい。
【0074】
又、上記各実施形態では給湯電磁弁611と給水電磁弁631との組み合わせによりミスト用水切換手段を構成しているが、これに限らず、例えば給湯配管と給水配管との合流部に配設した三方切換弁等によりミスト用水切換手段を構成してもよい。
【0075】
さらに、熱源機2として、風呂の追焚循環経路をも加えた2缶3水路のものを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態を示す模式図である。
【図2】熱源機を示す拡大模式図である。
【図3】室内ユニットの断面説明図である。
【図4】制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0077】
2 熱源機
8 ミスト制御手段
31 液・液熱交換器(ミスト用水加熱手段)
42 放熱用熱交換器(温風吹出手段)
43 循環ファン(温風吹出手段)
61 給湯配管
63 給水配管
611 給湯電磁弁(ミスト用水切換手段)
612 給湯流量センサ(給湯流検知手段)
641 ミスト温度センサ(給湯温度検知手段)
631 給水電磁弁(ミスト用水切換手段)
R 浴室空間(室内空間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯状態が設定経過時間に亘り連続することを条件に給湯作動を強制停止させる安全制御手段を備えた熱源機から給湯をミスト用水として受け、受けたミスト用水を対象の室内空間に対しミストにして放出するように構成されたミスト発生装置であって、
上記ミスト用水を加熱昇温させるミスト用水加熱手段と、
このミスト用水加熱手段に対し給水配管からの給水及び上記熱源機からの給湯のいずれか一方をミスト用水として選択的に切換供給するミスト用水切換手段と、
上記給湯をミスト用水とするミストの放出が連続するときその放出開始から上記設定経過時間が経過する前に、上記ミスト用水加熱手段に対する供給を上記給湯から給水へ切換えるように上記ミスト用水切換手段による供給切換を切換制御するミスト制御手段と
を備えていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
請求項1記載のミスト発生装置であって、
上記ミスト制御手段は、ミスト用水切換手段による供給切換を給湯から給水へ切換制御したとき、上記熱源機の安全制御手段による設定経過時間のカウントが給湯停止によりリセットされるのに要する所定時間の経過後に、上記ミスト用水加熱手段に対する供給を上記熱源機からの給湯に再度切換えるように上記ミスト用水切換手段による供給切換を切換制御するように構成されている、ミスト発生装置。
【請求項3】
外部から供給を受けたミスト用水をミスト用水加熱手段により加熱昇温した上で対象の室内空間に対しミストにして放出するように構成されたミスト発生装置であって、
上記ミスト用水加熱手段に対しミスト用水の導入側に接続される給水配管及び熱源機からの給湯配管と、
上記ミスト用水加熱手段に対し給水配管からの給水及び給湯配管からの給湯のいずれか一方をミスト用水として選択的に切換供給するミスト用水切換手段と、
このミスト用水切換手段により給湯配管からの給湯がミスト用水として供給されているとき、供給される給湯に異常発生か否かを検知する給湯異常検知手段と、
上記給湯をミスト用水にしてミストを放出している間に上記給湯異常検知手段により給湯に異常発生と検知されたとき、上記ミスト用水加熱手段に対する供給を上記給湯から給水へ切換えるように上記ミスト用水切換手段による供給切換を切換制御するミスト制御手段と
を備えていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項4】
外部から供給を受けたミスト用水をミスト用水加熱手段により加熱昇温した上で対象の室内空間に対しミストにして放出するように構成されたミスト発生装置であって、
上記ミスト用水加熱手段に対しミスト用水の導入側に接続される給水配管及び熱源機からの給湯配管と、
上記ミスト用水加熱手段に対し給水配管からの給水及び給湯配管からの給湯のいずれか一方をミスト用水として選択的に切換供給するミスト用水切換手段と、
上記熱源機からミスト用水として受ける給湯の流れの有無を検知する給湯流検知手段と、
上記給湯をミスト用水にしてミストを放出している間に上記給湯流検知手段により給湯の流れが無くなったことが検知されたとき、上記ミスト用水加熱手段に対する供給を上記給湯から給水へ切換えるように上記ミスト用水切換手段による供給切換を切換制御するミスト制御手段と
を備えていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項5】
外部から供給を受けたミスト用水をミスト用水加熱手段により加熱昇温した上で対象の室内空間に対しミストにして放出するように構成されたミスト発生装置であって、
上記ミスト用水加熱手段に対しミスト用水の導入側に接続される給水配管及び熱源機からの給湯配管と、
上記ミスト用水加熱手段に対し給水配管からの給水及び給湯配管からの給湯のいずれか一方をミスト用水として選択的に切換供給するミスト用水切換手段と、
上記給湯配管からの給湯の温度が正常か否かを検知する給湯温度検知手段と、
上記給湯をミスト用水にしてミストを放出している間に上記給湯温度検知手段により給湯温度が非正常であることが検知されたとき、上記ミスト用水加熱手段に対する供給を上記給湯から給水へ切換えるように上記ミスト用水切換手段による供給切換を切換制御するミスト制御手段と
を備えていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項6】
浴室空間に対し温風を吹き出す温風吹出手段を備えた浴室乾燥機であって、
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のミスト発生装置を備え、上記ミスト発生装置は上記浴室空間に対しミストを放出するように配設されている
ことを特徴とする浴室乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−304872(P2006−304872A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−128441(P2005−128441)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】