説明

ミスト発生装置及び美容装置

【課題】放電部の放電を安定して行うことができるミスト発生装置を備えた美容装置を提供する。
【解決手段】第2電極部82は、円柱状をなすとともに、第1電極部80,81との間で放電が行われ、第2電極部82の軸方向(長手方向)が第1電極部80,81の軸線Lnに沿って配置される。また、第2電極部82は、第1電極部80,81と同一軸線Ln上に配置される。そして、第2電極部82は、保持部材としてのピンプレート84によって保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト及び金属粒子を混合させて放出可能なミスト発生装置、及びそのミスト発生装置を備えた美容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ミスト発生装置は、液体をヒータにて沸騰させて気化させたスチーム(温ミスト)や、超音波にて霧化させたミスト(冷ミスト)を顔などの人体に向けて放出することで、肌に潤いを与えるなどの美容効果やスキンケアを目的とした装置として用いられている。尚、ミストとは、前述のように液体を気化させたスチーム(温ミスト)や、液体を霧化させた冷ミスト等のことを指し、これ以降同様の意味として使用する。
【0003】
特許文献1のミスト発生装置は、液体からミストを生成してミスト経路を介してミスト放出孔から放出させるように構成されたミスト発生機構と、ミスト経路内に設けられる一対の第1電極部(電極部)及びこの第1電極部間に配置される第2電極部(中間電極)から構成される放電部とで構成されている。そして、放電部の第1電極部及び第2電極部間で放電を行うことで金属微粒子が生成され、金属微粒子とミストとを混合させて放出されるようになっている。これにより、ミストによる肌の保湿効果と金属微粒子による肌の抗菌効果を同時に付与することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−29427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなミスト発生装置において、放電部によって放電を行う場合、第1電極部から最も近い第2電極部(中間電極)のエッジ部(端部)との間で放電経路が形成されることとなるため、そのエッジ部が徐々に削れて第2電極部が消耗していくこととなる。そのため、上記のようなミスト発生装置のように第1電極部の軸方向と第2電極部の軸方向とが直交する構成の場合、放電による消耗が例えば第2電極部の上端側のエッジ部の第1電極部と近い部位から下方向に偏って進行するため、放電経路のぶれ幅が大きく(放電が安定し難く)、この改善が望まれている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、放電部の放電を安定して行うことができるミスト発生装置、及びそのミスト発生装置を備えた美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、液体からミストを生成してミスト経路を介して外部に放出させるように構成されたミスト発生機構と、前記ミスト経路中に設けられる第1電極部及び該第1電極部に対向配置されるとともに金属微粒子を発生させるための第2電極部を有する放電部とを備え、前記ミスト発生機構によるミスト放出と前記放電部による放電による金属微粒子とが放出可能なミスト発生装置であって、前記第2電極部は、前記第1電極部との間で放電が行われる柱状をなす柱状部を有し、前記柱状部の軸方向が前記第1電極部の軸線に沿って配置されたことをその要旨とする。
【0008】
この発明では、第2電極部は、第1電極部との間で放電が行われる柱状をなす柱状部を有し、柱状部の軸方向が第1電極部の軸線に沿って配置される。このような構成において、第2電極部の柱状部の端面エッジ部が第1電極部の軸線回りに環状をなすため、放電による第2電極部の消耗が環状をなすエッジ部に沿って平均的に進行し、放電経路がその時々で大きく変化せず、放電部の放電を安定して行うことができる。これにより、金属微粒子を安定して生成することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミスト発生装置において、前記第2電極部の前記柱状部は、円柱状をなし、前記第1電極部と同一軸線上に配置されたことをその要旨とする。
【0010】
この発明では、第2電極部の柱状部は、円柱状をなし、第1電極部と同一軸線上に配置される。これにより、第1電極部と第2電極部の軸方向端面のエッジ部との間で放電を行った場合、第2電極部の軸方向端面が均等に削られることとなるため、第2電極部の柱状部を効率よく使用することができる。そのため、第2電極部の長寿命化に寄与することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のミスト発生装置において、前記第2電極部の前記柱状部は、別部材の保持部材によって保持されたことをその要旨とする。
この発明では、第2電極部の柱状部は、別部材の保持部材によって保持される。つまり、第2電極部の柱状部が保持部材によって保持されるため、第2電極部のメンテナンスを行う際に柱状部(第2電極部)のみを交換でき、メンテナンスを容易とすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のミスト発生装置において、前記保持部材は、前記軸線方向に貫通する貫通部が形成されるものであり、前記第2電極部の前記柱状部は、前記貫通部に挿通固定されたことをその要旨とする。
【0013】
この発明では、保持部材は、軸線方向に貫通する貫通部が形成されるものであり、第2電極部の柱状部は、貫通部に挿通固定される。そのため、保持部材により比較的簡易な構成にて第2電極部の柱状部を固定(保持)することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載のミスト発生装置において、前記保持部材は、前記ミスト経路を構成する管路部材に着脱可能に設けられたことをその要旨とする。
【0015】
この発明では、保持部材は、ミスト経路を構成する管路部材に着脱可能に設けられる。つまり、第2電極部の比較的小さな柱状部をメンテナンス時において保持部材を外すことができるため、例えば管路部材から保持部材を外した後に柱状部のメンテナンス(交換)が可能となり、メンテナンスを容易とすることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のミスト発生装置において、前記第1電極部は、同一軸線上に一対の電極を設けて構成されるものであり、前記第2電極部は、前記第1電極部の一対の電極間に設けられたことをその要旨とする。
【0017】
この発明では、第1電極部は、同一軸線上に一対の電極を設けて構成され、第2電極部は、第1電極部の一対の電極間に設けられる。このため、一対の電極にて第2電極部の軸方向両端面を効率よく使用することができ、金属微粒子の発生量を増やすことが可能となる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のミスト発生装置を備えた美容装置である。
この発明では、請求項1〜6のいずれか一項に記載のミスト発生装置を備えたことで、請求項1〜6のいずれか一項に記載の効果と同様の効果を奏することができる美容装置を提供できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、放電部の放電を安定して行うことができるミスト発生装置、及びそのミスト発生装置を備えた美容装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態における美顔器を示す斜視図。
【図2】同美顔器を前後方向で切断し右側から見た断面図。
【図3】同美顔器を左右方向で切断し背面側から見た断面図。
【図4】同美顔器のマイナスイオン生成部部分の拡大断面図。
【図5】同美顔器の管路及び整流部部分の拡大断面図。
【図6】同美顔器の機能の概略構成を示すブロック図。
【図7】同美顔器の放電部の断面図。
【図8】同美顔器の放電部の断面図。
【図9】同美顔器の第2電極部の取り付け構造を説明するための斜視図。
【図10】(a)(b)は、別例における第2電極部を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のミスト発生装置を備える美容装置としての美顔器10を示す。有底略円筒状の本体ケース11には美顔器本体12が収容されて固定され、その本体ケース11の開口部と面一をなす美顔器本体12の上面にはノズル部13及びスイッチ部14が設置されている。ノズル部13及びスイッチ部14を有する美顔器本体12の上面は、本体ケース11に対し開閉可能(傾動可能)に取り付けられたメインカバー15にて露出・隠蔽が可能とされている。
【0022】
ノズル部13は、美顔器本体12の上面中央に設けられており、スチーム(温ミスト)を放出する一対のスチームノズル(温ミストノズル)21a,21b、冷ミストを放出するミストノズル(冷ミストノズル)22、及びマイナスイオンを放出するイオンノズル23を有し、ミストノズル22が左右方向中央位置に、スチームノズル21aがその右側に、スチームノズル21bが左側に、そしてイオンノズル23がミストノズル22の上側にそれぞれ配置されている。尚、スチームノズル21a及び21bは、互いの間隔が例えば70mmに設定されている。
【0023】
またスチームノズル21a,21b、ミストノズル22、及びイオンノズル23の各放出方向は前側斜め上方の同一方向に向くように設定され、美顔器10の前側と使用者と対向するように使用した時のその使用者の顔表面に向けて放出方向が向くように設定されている。また、このノズル部13にもノズルカバー16が開閉可能(傾動可能)に取り付けられ、その開閉にて各ノズル21a,21b,22,23の露出・隠蔽が可能とされている。
【0024】
また、ノズル部13の手前右側には、スイッチ部14として、それぞれ押しボタンスイッチにて構成される電源スイッチ25、運転制御スイッチ26、及びコース選択スイッチ27が設けられている。電源スイッチ25は、美顔器10のオンオフ操作を行うものであり、運転制御スイッチ26及びコース選択スイッチ27は、その操作にて、スチームと冷ミストとを組み合わせて対象体に向けて放出するコースやスチームのみを放出するコースといった各種のコースの選択、及びその決定(動作開始)を行うものである。
【0025】
また、ノズル部13の左側には、美顔器本体12の上面から凹設されてなるタンク収容部17が設けられており、該タンク収容部17内には、開口部と面一となるように給水タンク18が着脱可能に収容されている。給水タンク18は、使用者が美顔器10から取り外しての給水が可能となっており、貯留した水からスチームや冷ミストのそれぞれの生成が行われる。
【0026】
美顔器本体12には、図2に示すように、スチーム発生機構を構成するスチーム生成部31と、ミスト発生機構を構成するミスト生成部32と、マイナスイオンを生成するマイナスイオン生成部33が備えられている。
【0027】
ミスト発生機構を構成するスチーム生成部31は、美顔器本体12の前側に備えられており、スチーム(温ミスト)を生成する。スチーム生成部31は、駆動電流の供給に基づいて発熱しその発熱の自己制御機能を有する殺菌機構及び加熱装置としてのPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ35,36を前側と後側にそれぞれ備え、給水タンク18から給水管路19を介してPTCヒータ35,36内側のボイラ室37内に供給された水を沸騰させてスチームの生成を行っている。因みに、前側のPTCヒータ35の外側面には、給水タンク18から延びる給水管路19の一部が当接させて配置されており、ボイラ室37への流入の前に温められ該ボイラ室37内で効率良くスチームが生成されるようになっている。尚、給水管路19は、排水管路38(図6参照)を介して美顔器10の排水口38aに接続されており、排水スイッチの操作によって制御される排水管路38上の止水弁39にて美顔器10内の排水を行うことが可能となっている。
【0028】
ボイラ室37の上部には、図2及び図3に示すように、生成したスチームを一対のスチームノズル21a,21bまで案内させるためのスチーム案内管路41が接続されている。スチーム案内管路41は、その途中に分岐部42を有している。スチーム案内管路41は、図5に示すように、分岐部42から二股に分かれるように分岐部42からスチームノズル21aまでを接続する第1案内管路41aと,分岐部42からスチームノズル21bまでを接続する第2案内管路41bとを有し、第1案内管路41aの長さ(距離)L1及び第2案内管路41bの長さ(距離)L2が等しくなるように構成されている。そのため、ボイラ室37にて生成したスチームが分岐部42から分かれて第1案内管路41a及び第2案内管路41bを通って各スチームノズル21a,21bまでそれぞれ案内される。そして、ボイラ室37やスチーム案内管路41内は高圧となるため、各スチームノズル21a,21bの放出孔からはある程度の勢いを以てスチームが放出されるようになっている。尚、スチームノズル21a,21bの放出孔の内径は例えば3.6mmに設定されている。
【0029】
また、スチーム案内管路41の分岐部42の若干手前位置には、スチーム用放電部43が備えられている。スチーム用放電部43は、自身の放電により、この放電部43を通過するスチームをより微細化するとともに、放電を利用して金属微粒子(例えばPtなど)を発生させるものである。尚、スチーム用放電部43については詳しく後述する。
【0030】
スチーム用放電部43の下流側で分岐部42の直前位置には、整流機構としての整流部44が備えられている。この整流部44は、図5に示すように、スチーム案内管路41内に中空形状の中空部としての円筒部44aと、該円筒部44aから延出形成されて円筒部44aを管路41の径方向中心で支持する3本のリブ44bとが設けられて構成されている。そして、放電部43にて微細化したスチームが、その円筒部44aの内部及び3本のリブ44b間を通過する際に整流され、分岐部42から先の各スチームノズル21a,21bに同量のスチームが分岐されるようなっている。尚、円筒部44aの内径は、スチームノズル21a,21bの放出孔の内径より大きく、且つ該放出孔の内径の1.5倍以下の大きさである例えば4.5mmに設定されている。
【0031】
ミスト生成部32は、前記スチーム生成部31よりも後側に備えられており、ベンチュリー効果を用いて冷ミストを生成する。給水タンク18から延びる給水管路19内の水は前記スチーム生成として利用される他に冷ミストとしても利用され、その給水管路19からの水の一部をミストノズル22まで送水する管路部材としての送水管路51が備えられている。送水管路51は、後側のPTCヒータ36の放熱面(垂直面)36aの平面(放熱面)方向に大きく3度蛇行(屈曲)して該放熱面36aに当接させて配置される管路部材としての当接管路51aを有している。尚、当接管路51aを蛇行させることで当接管路51a内で液体の層流が抑制されるようになっている。
【0032】
図2に示すように、送水管路51の当接管路51aは、その全体が前記放熱面36aから離間されないように離間防止部材RBにて放熱面36a側に押し付け固定されている。更に、送水管路51の当接管路51aは、図2に示すように、その径方向断面が楕円形状とされ、PTCヒータ36の放熱面36aの平面(放熱面)方向に送水管路51の断面の長手方向(図2において紙面上下方向)が沿うように配置されている。このように構成された当接管路51aの内部には、所定の水量(例えば所定コース中において放出するミスト量よりも多い水量)が保持されており、前記スチーム生成時の後側のPTCヒータ36の熱(余熱)により、冷ミスト用の水が例えば80度、30秒以上で殺菌処理されるようになっている。そのため、前記ミストノズル22から放出される冷ミストは、美容に適した衛生状態が保たれている。
【0033】
また、送水管路51のミストノズル22の直前位置にはその管内に濾過機構としてのフィルタ52が装着されている。このフィルタ52は、管路部材としての送水管路51や当接管路51a等で発生した水垢やゴミ、カスと、ミストを生成するための液体(水)自身に含まれるゴミやカスなどがミストノズル22に流れ込むことを抑制させるものであり、このためミストノズル22のつまりを抑えることができるため、ミストノズル22からミストが安定して放出されるようになっている。そのため、本装置10を使用するにあたって使用者の肌(顔面)に対して快適にミストをあて、美容効果(スキンケア効果)を高めることができる。
【0034】
また、ミスト生成部32として、美顔器本体12内には空気圧送路53が設けられており、該空気圧送路53内には電動モータを駆動源としたポンプ54の動作により空気の圧送が行われる。この圧送空気はミストノズル22の放出孔に向けて供給され、放出孔手前で送水管路51内の水と合流させることでベンチュリー効果が生じ、圧送空気とともに送水管路51内の水が吸い出されて冷ミストが生成されて放出されるようになっている。
【0035】
マイナスイオン生成部33は、図2及び図4に示すようにノズル部13内に備えられており、コロナ放電を発生させてマイナスイオンを生成する。イオン生成部33は、ノズル部13のイオンノズル23に形成される収容凹部23aに、ユニット化されたマイナスイオン放電部61が収容保持されてなる。イオン放電部61は、その収容凹部23aに収容保持されるべく所定形状をなす電極ホルダ62に対して針電極63が支持されるとともに、針電極63の先端側においてその針電極63の軸線上に円環状の中心が位置するように円環状の対向電極64が支持されて構成されている。針電極63と対向電極64とはそれぞれリード線65が接続されて電極ホルダ62から導出され、美顔器本体12の上面近傍の制御回路基板71に接続されている。
【0036】
因みに、このイオン生成部33(イオン放電部61)では、針電極63周りの空間X2は外部への開放のみで、その針電極63周りの空間X2と美顔器本体12内の空間X1とが仕切られている。これは、美顔器本体12内の空間X1に設けられるシリコン素材を使用した部材(例えば送水管路51の一部等)がPTCヒータ35,36といった熱源にて加熱されるとその空間X1内にシリコンが浮遊し、この浮遊シリコンが針電極63に付着するとコロナ放電の妨げとなりマイナスイオンの発生量が減少してしまうためであって、浮遊シリコンの針電極63への付着が未然に防止されている。
【0037】
制御回路基板71は、電源コード70(図1参照)にて外部から電源供給を受け、基板71上に搭載される各種の回路部品よりなる制御回路72の制御に基づいて、スチーム生成部31、ミスト生成部32、及びイオン生成部33のそれぞれに動作電源を供給する。図5に示すように、制御回路72は、電源スイッチ25のオンオフ操作に基づいて美顔器10の動作可能状態と及び停止状態との切り替えを行い、動作可能状態において運転制御スイッチ26及びコース選択スイッチ27の組み合わせ操作による各種使用コースの設定に基づいて、スチーム生成部31(PTCヒータ35,36、スチーム用放電部43等)と、ミスト生成部32(ポンプ54等)との動作を制御し、またイオン生成部33(イオン放電部61)を先の各生成部31,32の動作と合わせて動作させている。そのため、マイナスイオン及びスチーム(温ミスト)による美容効果やマイナスイオン及びミスト(冷ミスト)による美容効果を得ることができる。
【0038】
そして、マイナスイオン生成時において、針電極63に高電圧が印加されると、対向電極64との電位差によって針電極63の先端周囲にコロナ放電が発生し、マイナスイオンが発生する。発生したマイナスイオンは、針電極63よりも低電位の対向電極64に引き寄せられ、イオンノズル23から外部に放出される。
【0039】
次に、上記のように構成された美顔器10の放電部としてのスチーム用放電部43について図7〜9を用いて詳細に説明する。
図7に示すように、スチーム用放電部43は、ミスト経路としてのスチーム案内管路41内において放電を行うものであり、一対の第1電極部80,81と、この第1電極部80,81間に配置される柱状部としての第2電極部(中間電極部)82とを備えている。
【0040】
第1電極部80,81は、円柱状をなし(図9参照)、それぞれの軸中心が軸線Ln上、つまり同一軸線上となるように、スチーム案内管路41に固定される電極ホルダ83によって支持されている。尚、電極ホルダ83は、その基端側(第1電極部81,82を支持している方向とは反対側)が図示しない防水パッキンにて防水されており、スチーム案内管路41からスチーム(温ミスト)が流出することが防止されている。
【0041】
また、第2電極部82は、Pt含有の円柱状の金属部材にて構成されており、スチーム案内管路41に固定される別部材からなる保持部材としてのピンプレート84によって固定されている。
【0042】
スチーム案内管路41には、スチーム用放電部43近傍の所定位置に、筒状のスチーム案内管路41の筒状内側からスチーム案内管路41の径方向内側に延出形成された延出部85が設けられている。この延出部85は、その一側面85aに突起部85bが形成されるとともに、側面85aとは反対側の側面85cにおいて前記延出方向に所定距離間隔を隔てて断面L字状の突起部85d,85eが形成されている。
【0043】
また、ピンプレート84は、第1板部84aと第2板部84bとが平行をなし、各板部84a,84bの一旦側において各板部84a,84b間を接続する接続部84cとで構成されている。第1板部84aは、第2板部84bと比較して短く構成されており、第1板部84aの幅方向中央位置には前記延出部85の突起部85bと係合する係合孔90が形成されている。また、第2板部84bの接続部84cとは反対側(図9において上側)の端部は、厚み方向に貫通するとともに前記端部側(上側)にかけて切り欠き形成される貫通部としての貫通溝91が形成されている。またピンプレート84は、延出部85の下側から第1板部84a及び第2板部84bの前記接続部84cとは反対の端部側(上側)を向けて取り付けられる様になっている。この時、前述したように延出部85の突起部85bとピンプレート84の係合孔90とが係合し、更に断面L字状の突起部85d,85eが第2板部84bをガイドするように着脱可能に取り付けられる。そして、第2板部84bの貫通溝91の下部には、第2電極部82が挿通固定されるようになっている。また、貫通溝91の下部は、ピンプレート84を延出部85に取り付けた際に第1電極部80,81の軸線Lnと同一軸線上となるように設定されているため、第2電極部82が第1電極部80,81と同一軸線Ln上に配置(各軸中心が一致して配置)されることとなる。
【0044】
上記のように構成された美顔器10においてスチーム用放電部43にて放電を行う場合、円柱状をなす第2電極部82の端面82のエッジ部(端面82aの外周)が第1電極部80,81の軸線Ln回りに環状をなすため、放電による第2電極部82の消耗が環状をなすエッジ部(端面82aの外周)に沿って平均的に進行し、放電経路がその時々で大きく変化せず、スチーム用放電部43の放電を安定して行うことができる。これにより、金属微粒子を安定して生成することができる。また、第1電極部80,81にて第2電極部82の両端面82aに対して放電を行うことができるため、金属微粒子の発生量を増やすことが可能となっている。
【0045】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)第2電極部82は、円柱状をなすとともに、第1電極部80,81との間で放電が行われ、第2電極部82の軸方向(長手方向)が第1電極部80,81の軸線Lnに沿って配置される。このような構成において、円柱状をなす第2電極部82の端面82aのエッジ部(外周)が第1電極部80,81の軸線Ln回りに環状をなすため、放電による第2電極部82の消耗が環状をなすエッジ部(端面82aの外周)に沿って平均的に進行し、放電経路がその時々で大きく変化せず、放電部43の放電を安定して行うことができる。これにより、金属微粒子を安定して生成することができる。
【0046】
(2)第2電極部82は、円柱状をなし、第1電極部80,81と同一軸線Ln上に配置される。これにより、第1電極部80,81と第2電極部82の軸方向端面82aのエッジ部との間で放電を行った場合、第2電極部82の軸方向端面82aが均等に削られることとなるため、第2電極部82を効率よく使用することができる。そのため、第2電極部82の長寿命化に寄与することができる。
【0047】
(3)第2電極部82は、保持部材としてのピンプレート84によって保持される。つまり、第2電極部82がピンプレート84によって保持されるため、第2電極部82のメンテナンスを行う際に第2電極部82のみを交換でき、メンテナンスを容易とすることができる。
【0048】
(4)ピンプレート84は、軸線Ln方向に貫通する貫通部としての貫通溝91が形成されるものであり、第2電極部82は、貫通溝91に挿通固定される。そのため、ピンプレート84により比較的簡易な構成にて円柱状の第2電極部82を固定(保持)することができる。
【0049】
(5)ピンプレート84は、ミスト経路を構成する管路部材としてのスチーム案内管路41(延出部85)に着脱可能に設けられる。つまり、比較的小さな第2電極部82のメンテナンス時においてピンプレート84をスチーム案内管路41から取り外すことができるため、例えばスチーム案内管路41からピンプレート84を外した後に柱状の第2電極部82のメンテナンス(交換)が可能となり、メンテナンスを容易とすることができる。
【0050】
(6)第1電極部80,81は、同一軸線Ln上に一対の電極を設けて構成され、第2電極部82は、第1電極部80,81の一対の電極間に設けられる。このため、一対の電極部80,81にて第2電極部82の軸方向両端面82aを効率よく使用することができ、金属微粒子の発生量を増やすことが可能となる。
【0051】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、第2電極部82を円柱状に構成したが、これに限らず、例えば角柱状としてもよい。
【0052】
また、図10(a)(b)に示すように、第2電極部100を四角柱状の柱状部101と、その柱状部101を支持する支持部102とで構成してもよい。このような構成とすることで、第2電極部100を板状部材から例えばプレス成形にて成形することができるため、容易な成形方法にて第2電極部100を構成することができる。尚、この場合、柱状部101は、その軸方向長さD1が同一方向の支持部102の幅D2よりも長く形成することで、第2電極部100の柱状部101と第1電極部との間で放電が行われる。そして、放電が行われると第1電極部の軸線Ln回りに環状に形成をなす第2電極部100の端面101aのエッジ部(外周)に沿って平均的に消耗が進行し、放電経路がその時々で変化しないため、放電部の放電を安定して行うことができる。これにより、金属微粒子を安定して生成することができる。
【0053】
・上記実施形態では、第2電極部82の軸中心を第1電極部80,81と同一軸線Ln上となるように配置したが、これに限らない。要は、第1電極部80,81の軸方向と第2電極部82の軸方向とが沿った構成(若干の軸ずれや傾きを含む)であればよい。
【0054】
・上記実施形態では、保持部材としてのピンプレート84をスチーム案内管路41の延出部85に着脱可能に構成したが、これに限らず着脱不能、つまり一体形成であってもよい。
【0055】
・上記実施形態では、第2電極部82をピンプレート84の貫通溝91の下部に挿通固定される構成としたが、これに限らず、例えば、孔に第2電極部82を挿通固定する等、その他の固定方法を採用してもよい。また、第2電極部82とピンプレート84とを一体形成してもよい。
【0056】
・上記実施形態では、第1電極部80,81を2つ、つまり一対の電極を設けたが、電極部80,81を1つとしてもよい。
・上記実施形態では、放電部43を1つ設けたが、2つ以上設けてもよい。
【0057】
・上記実施形態では、スチーム(温ミスト)の経路であるスチーム案内管路41にスチーム用放電部43を設ける構成としたが、これに限らない。
・上記実施形態では、美顔器10にて美容装置を構成したが、美顔器10以外の美容装置に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…美容装置としての美顔器、31…ミスト発生機構及びミスト発生装置を構成するスチーム生成部、41…ミスト経路及び管路部材としてのスチーム案内管路、43…スチーム用放電部、80,81…第1電極部、82…柱状部を構成する第2電極部、91…貫通部としての貫通溝、100…第2電極部、101…柱状部、Ln…軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体からミストを生成してミスト経路を介して外部に放出させるように構成されたミスト発生機構と、前記ミスト経路中に設けられる第1電極部及び該第1電極部に対向配置されるとともに金属微粒子を発生させるための第2電極部を有する放電部とを備え、
前記ミスト発生機構によるミストと前記放電部による放電による金属微粒子とが放出可能なミスト発生装置であって、
前記第2電極部は、前記第1電極部との間で放電が行われる柱状をなす柱状部を有し、前記柱状部の軸方向が前記第1電極部の軸線に沿って配置されたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記第2電極部の前記柱状部は、円柱状をなし、前記第1電極部と同一軸線上に配置されたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のミスト発生装置において、
前記第2電極部の前記柱状部は、別部材の保持部材によって保持されたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項4】
請求項3に記載のミスト発生装置において、
前記保持部材は、前記軸線方向に貫通する貫通部が形成されるものであり、
前記第2電極部の前記柱状部は、前記貫通部に挿通固定されたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のミスト発生装置において、
前記保持部材は、前記ミスト経路を構成する管路部材に着脱可能に設けられたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のミスト発生装置において、
前記第1電極部は、同一軸線上に一対の電極を設けて構成されるものであり、
前記第2電極部は、前記第1電極部の一対の電極間に設けられたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のミスト発生装置を備えた美容装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−187762(P2010−187762A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32965(P2009−32965)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】