説明

ミスト装置

【課題】浴槽をサウナ空間とする場合にも違和感を与えないよう装置自体を小型化するとともに、消費エネルギーのエネルギーを節減することができるミスト装置 を提供する。
【解決手段】サウナ空間に対して解放された吸込み口5を一端に有する吸気ダクト6と、一端が上記吸気ダクト6の他端に接続し、他端に上記サウナ空間に対して解放された吹出し口7を有する送風ダクト8と、水を加熱してスチ−ムを生成するスチーム生成部10と、該スチーム生成部により生成されたスチ−ムを上記送風ダクト内に噴射する噴射ノズル16と、上記サウナ空間内の空気を上記吸込み口5から吸引し、該空気と上記噴射ノズル16から噴射されたスチームとの混合物を上記吹出し口7から上記サウナ空間へと吐出する循環手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内又は浴槽内等にミストを発生させ、これら空間内に滞留するミストによりサウナ浴ができるようにしたミスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サウナ浴を好む人は多いが、近年、スチームサウナより低温で、その分刺激もマイルドなミストサウナの人気が高まっており、一般家庭の浴室や浴槽においてミストサウナ浴を行なうことができるミスト装置も種々開発されている。
【0003】
本来ミストサウナは、水を高温で加熱してスチーム(気体)とした後、これをサウナ空間に噴射すると、空間内の空気と熱交換を起こし、温度が低下したことにより過飽和となったスチームが凝縮されてミスト(液体)となって析出されるものである。
【0004】
そのため、スチームの噴射口近辺は非常に高温となる。健康ランド等に設置されたミストサウナは、室内も広くまた天井も高いので、ミストが天井近辺等に設けられた噴射口から人体に落ちてくるまでの間に温度が下がり、高温のミストが人体に当たって火傷を負わせる等の問題はない。しかし、狭くて天井も低い一般家庭の浴室では、噴射口を天井近辺に設置するにしても足下近辺に設置するにしても、長い距離が取れないので、高温ミストが手や足に触れて火傷をする危険性がある。浴槽をサウナ空間として使用する場合はさらに距離が近くなり論外である。そもそも従来のこのタイプのミスト装置は、一般家庭用としては大がかりに過ぎる。
【0005】
そこで、一般家庭用のミスト装置は、噴射ノズルを有する噴霧ヘッドを浴室等のサウナ空間に配置し、加熱手段で加熱された温水(液体)をミスト用給湯路を介して噴霧ヘッドに供給し、サウナ空間内に噴射ノズルから温水をミスト状に噴出させるように構成されることが多い。
【0006】
斯かる構成であれば、温水の温度も例えば60℃程度とすることにより、火傷の危険性も低減されるので、一般家庭用のミスト装置としては実用的である。
【0007】
なお、これらのミスト装置の中では、「ミスト」と表記すべきところを「蒸気」と殊更区別することなく表記しているものも見受けられる。「蒸気」または「スチーム」とは、1気圧下では100℃以上の温度の気体であり、霧状の温水である「ミスト」とは異なる。本願では、以後上述の定義に従って、厳密に区別して説明を進める。
【0008】
ところが、この家庭用ミスト装置は、供給される温水の温度が低く、サウナ空間内の気温との差が小さいので、熱交換の効率が悪く、熱交換のためにはある程度大きな空間が必要となる。その分、温水が必要以上に用いられて、資源の無駄な消費が行なわれるという問題がある。
また、原理的には噴霧器と略同じであるから、粒径の大きい温水のミストも噴射される。そして、噴射ノズルからミストが直接噴出されるので、噴出したミストが使用者の外皮に接触して水滴となり、使用者が不快に感じることがある。
【0009】
このような問題を解決するために、温水をミスト状にして高速噴射するノズルと、このノズルが内部に設置されるとともに、一端側に、ノズルからの温水の噴射によって生じる負圧を利用して、周りの空気を吸引する吸引部が形成され、他端側に、吸引された空気と温水のミストとの混合体からなる加熱空気の吐出部が形成されたダクトとを有し、加熱空気を浴室空間内に噴出するとともに、この浴室空間内の空気をダクト内に吸引して、この浴室空間内を加熱する浴室用サウナ装置であって、ダクトを浴室の壁面に沿って上下に長く設置して、このダクトの上端側に吸引部を設けるとともに、このダクトの下端側に吐出部を設け、かつ、ノズルをダクトの吸引部近傍に下向きに設置するとともに、ダクトの下部側に、このダクト内の加熱空気の流れ方向を変えて加熱空気中のミストを除去する流れ方向変更手段を設けている浴室用サウナ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この提案によれば、温水の噴射時に生じた、この加熱空気中の比較的粒径の大きいミストは、ダクト内を移動中にこのダクトの内側面に付着して加熱空気から分離されるとともに、加熱空気の流れ方向を変える流れ方向変更手段によっても分離される。また、ダクト内で、ノズルから温水をミスト状に高速噴射したときに生じる負圧を利用して、ダクト内に浴室空間内の空気を吸引し、この空気とミストとが混合した加熱空気を浴室空間内に噴出しているので、大型のファンが不要となり、装置の小型化・低コスト化や運転コストの低減等を図ることができるとされる。
しかしながら、この提案においても、ダクトを浴室の壁面に沿って上下に長く設置するスペースが必要であり、浴室をサウナ空間とする場合はともかく、浴槽をサウナ空間とする場合には、サウナ空間の大きさに比較してアンバランスに大きいと言わざるを得ず、さらなる小型化が望まれる。
【0010】
また、この問題を解決するための提案として、サウナ室の空気を循環させる第1循環手段及び第2循環手段と、供給空気を加熱する空気加熱手段と、供給水を細かな水滴に破砕する水破砕手段を備え、前記第1循環手段により循環するサウナ室の空気を前記空気加熱手段で加熱することによってサウナ室を加熱するとともに、前記第2循環手段2によって循環するサウナ室の空気に前記水破砕手段で発生した水滴を含ませることによってサウナ室を加湿するサウナ装置がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
このサウナ装置によれば、空気加熱手段が第1循環手段によって循環しているサウナ室の空気を加熱し、この空気加熱手段で加熱された空気がサウナ室に供給されるので、サウナ室の温度が上昇し、また、水破砕手段が供給水を破砕して細かな水滴を発生させる。そして第2循環手段がサウナ室の空気を水破砕手段に供給し、これにより水破砕手段で発生した水滴がサウナ室の空気に混入してサウナ室に供給され、この供給された水滴によってサウナ室の湿度が上昇する。このように第1循環手段により循環する空気を加熱用空気、第2循環手段で循環する空気を加湿用空気として、サウナ室の加熱と細かな水滴による水滴感のない加湿が同時に行われることになる。
【0012】
しかしながら、この提案においては、従前のものの外、第2循環手段等が追加されるので、装置がさらに大型化するという問題がある。
【特許文献1】特開平11−76357号公報
【特許文献2】特開2006−25966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、浴槽をサウナ空間とする場合にも違和感を与えないよう装置自体を小型化するとともに、消費エネルギーのエネルギーを節減することができるミスト装置を提供することを目的とするものである。
【0014】
本発明の他の目的は、粒径の大きいミストを含むことによる不快感を使用者に与えないミスト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るミスト装置は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、サウナ空間に対して解放された吸込み口を一端に有する吸気ダクトと、一端が上記吸気ダクトの他端に接続し、他端に上記サウナ空間に対して解放された吹出し口を有する送風ダクトと、水を加熱してスチ−ムを生成するスチーム生成部と、 該スチーム生成部により生成されたスチ−ムを上記送風ダクト内に噴射する噴射ノズルと、上記サウナ空間内の空気を上記吸込み口から吸引し、該空気と上記噴射ノズルから噴射されたスチームとの混合物を上記吹出し口から上記サウナ空間へと吐出する循環手段とを備えるものである。
【0016】
前記循環手段は、好適には、請求項2に記載したように、前記吸込みダクト内に設けられたファンとすることができる。
【0017】
また、好適には、請求項3に記載したように、前記サウナ空間は浴槽であって、該浴槽の入浴者の足が位置する側端部の両側に吸込み口及び吹出し口を配設したものとしてもよく、或いは、請求項4に記載したように、前記サウナ空間は浴槽であって、該浴槽の入浴者の足が位置する側端部の両側に吸込み口を、同中央に吹出し口をそれぞれ配設したものとしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るミスト装置によれば、浴槽をサウナ空間とする場合にも違和感を与えないよう装置自体を小型化することができ、また、消費エネルギーのエネルギーを節減することができる。
【0019】
さらに本発明は、粒径の大きいミストを含むことによる不快感を使用者に与えないという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係るミスト装置の実施の形態について、浴槽をサウナ空間として利用する場合を例にとり、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るミスト装置1を設けた浴槽2の概要を示す斜視図であり、図2(a)は同平面図、図2(b)は同縦断面図である。
【0021】
これらの図に示すように、図示しない浴室に置かれた浴槽2の長手方向の側面は、足位置側において上方に膨出するように形成され、足位置側の短辺上のリム面2a上に、収納ケース4が設けられる。この収納ケース4内には、本実施形態に係るミスト装置1の、後述するスチーム生成部10等が収納されている。
【0022】
収納ケース4の下方の浴槽2側面には、浴槽2内の使用者Pから見て左側に吹出し口7が、そして右側に吸込み口5が設けられる。これら吹出し口7及び吸込み口5は、図2(b)に示すように、浴槽2の他の三側方のリム面2b,2c,2dより高い位置に設けられるので、浴槽2が満水になっても、オーバーフロー水は、吹出し口7及び吸込み口5に浸入する前に三側方のリム面2b,2c,2dから溢れだすので、吹出し口7及び吸込み口5内に浸入することが防止される。また、吹出し口7及び吸込み口5にはそれぞれグリル7a,5aが設けられ、これらが気流を拡散させるディフューザーの役割を果たすと同時に、水飛沫の浸入を防止する機能も有する。
【0023】
図3に示すように、吸込み口5の、浴槽2の裏側には、吸気ダクト6が接続され、吸気ダクト6の他端にはプロペラファン9が設置されている。そして、吸気ダクト6は、送風ダクト8としてさらに延長され、送風ダクト8の他端は吹出し口7に接続されている。そして、送風ダクト8中には、スチーム生成部10により生成されたスチームを噴射する噴射ノズル16が管路13を経由して接続され、噴射されたスチームはここで吸込み口5から流入する空気と混合される。噴射ノズル16は、下方を指向するものであっても、送風ダクト8の下流側を指向するものであってもよい。また、送風ダクト8の上流側を指向させれば、空気とスチ−ムとの混合斑が低減される。なお、本実施形態に係るプロペラファン9は、本発明の循環手段を構成する。
【0024】
浴槽2上を風呂蓋3で覆うと、浴槽2内に閉じられたサウナ空間SSが形成される。ここでミスト装置1の運転を開始させると、プロペラファン9が作動し、吸込み口5からサウナ空間SSの例えば40℃前後の空気が吸引され、流入した空気は吸気ダクト6を経由してプロペラファン9に至り、さらに送風ダクト8内に送出される。送風ダクト8内では、この空気とスチーム生成部10により生成された100℃前後のスチームとが混合されて熱交換を起こし、温度が下げられたことにより過飽和となったスチームが凝縮されてミストとなって析出される。そして、このミストが混じった例えば45℃前後の空気は、吹出し口7からサウナ空間SS内へ送出され、サウナ空間SS内に暫時滞留し、熱と湿気を放出した後、再び吸込み口5から吸気ダクト6内へ吸引される。
【0025】
このように、吸気ダクト6、送風ダクト8及びサウナ空間SS内で空気が循環し、熱と湿度を伴った空気が吹出し口7から次々と送り出されてサウナ空間SS内の温度及び湿度が上昇する。
【0026】
こうして準備ができた段階で、使用者Pが、浴槽2内に身体を置いて、且つ風呂蓋3に設けられた欠切部3aから頭を出す姿勢をとることにより、浴槽2内に居ながらサウナ浴(発汗浴)を楽しむことができる。
【0027】
ここで採用されるプロペラファン9は、従来の家庭用ミスト装置に用いられるファンが、ミストを噴射したり、ミストを当てることにより粒径の大きなミストを粉砕して粒径を小さくしたりするものではなく、ミストが混じる前の空気を送風するものである。
【0028】
スチーム生成部10には、図4に示すように、略直方体状に形成されたアルミダイキャストの本体11内に、加熱手段としてのシーズヒータ12が鋳込まれている。
【0029】
このシーズヒータ12は、その加熱部が本体11内側に位置し且つ端子部が本体外側に位置するように側壁を気密状態で貫通して設置されている。本体外側に位置する電極部はヒーターカバー(図示せず)で気密に覆うようになっている。
【0030】
本体11の内部には、管路13が形成される。この管路13は、上方に設けられた水が注入される水入口14から、下端に設けられたスチーム出口15まで、螺旋状に下降する。
【0031】
水入口14には、図示しない給水管が接続され、給水管を介して送られる水は、図示しない加圧ポンプにより管路13内に圧送される。このように、スチーム生成用の水は、貯溜タンクに留め置かれることなく、給水管から直接スチーム生成部10に送られるので、嵩張る貯溜タンクが不要となり、コンパクトで経済的なスチーム生成部とすることができる。
【0032】
水入口14から注入された水は、管路13を下降する間にシーズヒータ12により高温に熱せられた本体11から熱を受け取って、スチームとなり、スチーム出口15から延出する管路13を経由してその先端に配置された噴射ノズル16へと送られる。
【0033】
このように、本実施形態に係るスチーム生成部10は、管路13を螺旋状に形成されるので、スチーム生成部10を無用に大きくすることなく管路13を長くすることができる。
【0034】
ところで、この管路13内には、蒸発した水に含まれていたカルシウムやシリカ等各種含有物が析出し、管路内面にスケールとして付着する。そして、スケールが付着した部分は伝熱効率が低下するので、この部分が拡がるにつれてスチーム発生可能部位が狭まり遂にはスチーム出口15から注入水が水滴として出るようになると、スチーム生成部10の寿命が尽きたことになる。すなわち、スチーム生成部10の寿命は、管路の内面積(管路の周囲X管路の長さ)に略比例すると言える。
【0035】
寿命を長くするには、上述したように、管路13の内面積を大きくすればよいが、単純に管路13を直線的に長くしたのでは、装置が長大化して、本来の要請である小型化に反することになる。また、管径を大きくすると、管内面全体に水が行き渡らず、上部には水が及ばないので、実際のスケール付着許容量は、装置が大きくなる割にはあまり増えず、効率的ではない。
【0036】
この点、本実施形態に係るスチーム生成部10では、管路13を螺旋状に形成することにより長さを確保しているので、管路13にスケールが付着してもなお、ある程度以上スケールの付着していない残存部で温度上昇が図れ、長時間の寿命を得ることができる。
【0037】
また、管路13がその全長に亘り、一定以上の勾配で降下するので、水はその勾配に従って流れ、スケールが付着していない箇所で熱せられ蒸発する。したがって、管路13全体にスケールが付着するまでスチーム出口15から水滴が出ることはなく、スチーム生成部10の寿命が長くなる。また、使用後に管路13内に水が残存することがなく、衛生的でもある。
【0038】
収納ケース4には、スチーム生成部10の外、上述した加圧ポンプ18や、ミスト装置1の動作を制御する制御部20が収納されている。以下、この制御回路を中心に、ミスト装置1の電気的系統を、図5を参照して説明する。
【0039】
浴室の天井裏等に電源ボックス19が設置され、この電源ボックス19からシーズヒータ12に電力を供給するヒータ電源用ケーブル21が接続される。また、制御部20を経由して、供給水を圧送する加圧ポンプ18に電力を供給するポンプ用ケーブル22、及びプロペラファン9に電力を供給するファン用ケーブル23が接続される。そして、この制御部20からは、各種の電子回路電源用ケーブル24がそれぞれの機器に連結される。
【0040】
ヒータ電源用ケーブル21には、その回路中に、リレー回路31と、吹出し口7近傍に取り付けられたバイメタル等の温度ヒューズ29とが設けられる。また、吹出し口7近傍及び吸込み口5近傍には、温度を検出するサーミスタ30,30が設けられる。
【0041】
ミスト装置1運転開始の指令が出されると、制御部20は、加圧ポンプ18に対して動作開始の信号を、ポンプ用信号ケーブル28を介して送信し、これを受けて加圧ポンプ18はスチーム生成部10の管路13にスチーム用の水を圧送する。
【0042】
また、制御部20は、リレー回路31のコイル31aに電流を送ってコイル31aを励磁状態にし、これによりスイッチ31bがオン状態となってヒータ電源用ケーブル21が閉じられ、シーズヒータ12の加熱が開始される。この加圧ポンプ18及びシージヒータ12の作動により、スチーム生成部10においてスチームの生成が開始される。
【0043】
同時に、プロペラファン9に対して動作開始の信号をファン用信号ケーブル27を介して送信し、これを受けてプロペラファン9は回転し、吸込み口5からサウナ空間SSの空気を吸引する。これにより、スチーム生成部10で生成されたスチームは、管路13を経由して噴射ノズル16から噴射され、送風ダクト8内において、プロペラファン9により送られた空気と混合される。
【0044】
ミスト装置1運転中は、以上の動作を継続し、サウナ空間SSにミストが混合された空気が供給され続ける。この間、サーミスタ30、30はそれぞれ温度を検知し続け、設定された温度(例えば、吹出し口側のサーミスタで45℃、吸込み口側のサーミスタで40℃)より高くなると、サーミスタ用信号ケーブル25を介して制御部20に信号を送出し、これを受けた制御部20はリレー回路31のコイル31aへの通電を停止して非励磁状態とし、これによりスイッチ31bがオフ状態となってヒータ電源用ケーブル21が開かれ、シーズヒータ12の作動を停止させる。
【0045】
この間も加圧ポンプ18及びプロペラファン9は作動を継続し、サーミスタ30,30が周辺気温が上記設定温度以下になったことを検知すると、制御部20へその信号を送出し、これを受けた制御部20はリレー回路31のコイル31aへの通電を再開して励磁状態とし、これによりスイッチ31bが再びオン状態となってヒータ電源用ケーブル21が再度閉じられ、シーズヒータ12の作動を再開させる。
【0046】
これにより、サウナ空間SS内の温度が必要以上に高くなることが防止され使用者Pが火傷する心配もなくなるので、使用者Pは、安心してサウナ浴を楽しむことができる。
【0047】
しかしながら、制御部20に備えられたマイコン(図示せず)が、温度や振動によって暴走し、サーミスタ30,30からの信号を受け付けなくなったり、リレー回路31への通電を停止したりしない場合がある。このような場合であっても、温度ヒューズ29が所定の温度(例えば50℃)になると切断されて、ヒータ電源用ケーブル21が開かれ、シーズヒータ12の作動を強制的に停止させる。このように、ミスト装置1には、温度に対して二重の安全策が採用されている。
【0048】
そして、ミスト装置1運転停止の指令が出されると、制御部20から加圧ポンプ18、シーズヒータ12及びプロペラファン9の各部へ停止信号が送出され、これを受けた各部は作動を停止する。
【0049】
なお、管路13に給水する給水管17に適度な水圧があれば、加圧ポンプ18に代えて電磁弁を設ける構成とすることもできる。
【0050】
次に、本発明に係るミスト装置の第2の実施形態について、図を参照して説明する。図6乃至図8は、本発明に係るミスト装置の第2の実施形態を示すものである。本実施の形態のミスト装置1Aは、図6に示すように、スチーム生成部10等を収納する収納ケース4が浴槽2のリム2a下に垂設される点で、第1の実施形態におけるものがリム2a上に立設されるのと基本的に相違し、他の構成は第1の実施形態と実質的に同じであり、同じ符号を付して説明を省略する。
【0051】
本実施形態に係るミスト装置1Aのスチーム生成部10は、第1の実施形態に係るものと同じく、略直方体状に形成されたアルミダイキャストの本体11内に、加熱手段としてのシーズヒータ12が鋳込まれたものである。また、水入口14を上部に、スチーム出口15を下部に備え、管路13がその全長に亘り、一定以上の勾配で降下する点も同様である。
【0052】
したがって、スチーム生成部10底部から延出する管路13は、折曲されてスチーム生成部10の上方に位置する送風ダクト8に接続され、その端部に噴射ノズル16が設けられる構成となる。
【0053】
或いは、図8に示すように、吸気ダクト6及び送風ダクト8をスチーム生成部10の下を通過させる構成とすることもできる。この構成によれば、スチーム生成部10から延出する管路13は折曲されることなく、噴射ノズル16に直結される。
【0054】
図9は、本発明の第3の実施形態に係るミスト装置を設けた浴槽の概要を示す平面図である。本実施形態に係るミスト装置1Bは、浴槽2の足位置側短辺の中央に吹出し口7が設けられ、両サイドに2つの吸込み口5L,5Rが設けられる点で、第1の実施形態におけるものと基本的に相違し、他の構成は第1の実施形態と実質的に同じであり、同じ符号を付して説明を省略する。
【0055】
第1の実施形態に係るミスト装置1では、吹出し口5から吐出されたミスト混じりの空気の多くは直進して使用者Pの体の左側に当たって散乱した後、体の右側に回っていく。このように時間差があることにより、体の左側と右側とでは、当たる空気に温度差が生じ、体感がよくない虞がある。
【0056】
その点、本実施形態に係るミスト装置1Bのように、中央に吹出し口7を設けて左右対称に形成すれば、左右で温度差が生じることもなく、より快適なサウナ浴(発汗浴)を楽しむことができる。
【0057】
このように、中央の吹出し口7からミスト混じりの空気を吐出させるために、図10に示すように、左右にそれぞれプロペラファン9,9が設けられる。それぞれのプロペラファン9,9を通過した空気は、中央で合流した後、スチーム生成部10で生成され噴射ノズル16から噴射されたスチームと混合し、ミストが発生する。そして、ミスト混じりの空気は、中央の吹出し口7から吐出される。
【0058】
なお、本実施形態の変形例として、第1の実施形態に係るミスト装置1に対する第2の実施形態に係るミスト装置1Aのように、スチーム生成部10等を収納する収納ケース4を浴槽2のリム2a下に垂設する構成とすることも可能である。
【0059】
続いて、本発明に係るミスト装置の第4の実施形態について、図11を参照して説明する。本実施形態に係るミスト装置1Cでは、上述した例が循環手段としてプロペラファンを採用するのに対して、図11(a)に示すように、モータ33によって回転されるクロスフローファン32を採用している。
【0060】
ミスト装置1Cは、クロスフローファン32の浴槽2側に開かれた空間は、図11(b)に示すように、仕切板34により上下に分割される、上段側の両端には、図11(c)に示すように、吸込み口5L,5Rが、下段には、その中央に吹出し口7が設けられる。すなわち、上段側が吸気ダクト6として機能し、下段側が送風ダクト8の役割を果たす。
【0061】
したがって、2つの吸込み口5L,5Rから仕切板34の上側を経由して流入した空気は、クロスフローファン32内で方向転換されて仕切板34の下側へ放出され、ここで、噴射ノズル16から噴射されたスチームと混合し、ミストが発生する。そして、ミスト混じりの空気は、中央の吹出し口7から吐出される。
【0062】
このように、クロスフローファン32を採用することによっても、プロペラファン9の場合と同様の効果を得ることができる。また、クロスフローファン32の代わりに、シロッコファンを用いることも可能である。
【0063】
図12は、第4の実施形態に係るミスト装置の変形例を示すものである。本変形例に係るミスト装置1Dでは、第4の実施形態に係るミスト装置1Cにおいて浴槽2のリム2a下に垂設された収納ケース4が浴槽2のリム2a上に設けられている。そして、吸込み口5L,5Rから流入した空気が仕切板の上側で滞留することなく直接クロスフローファン32に吸引されるように、図12(a)に示すように、略くの字状の垂直仕切板35が設けられている。
【0064】
スチーム生成部10から延出する管路13は、仕切板34の上側を、この垂直仕切板35の裏面(クロスフローファンの反対側)で貫通して、仕切板34下側において、その先端に噴射ノズル16が取り付けられる。このように、管路13が吸引された空気から隔離されることにより、吸引された空気が噴射ノズル16から噴射されるスチームにより加熱される前に、スチームの流通する高温の管路13により熱せられることが防止され、斯かる構成においても、第4の実施形態に係るミスト装置1Cと同等の効果を得ることができる。
【0065】
以上に説明した実施態様は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものによって置換した実施態様を採用することが可能であるが、これらの実施態様も本発明の範囲に含まれる。
【0066】
例えば、上述した実施形態では、循環手段として特にファンを取り付けているが、噴射ノズルを絞って内圧を上げ、噴射の勢いによって吸込み口から空気を誘引するようにすることもできる。この場合、絞られた噴射ノズルからの騒音対策が必要であり、また、アルミダイキャストの本体を高圧力に耐える強度を有するものとしなければならない、
また、上述した実施形態では、スチーム生成部は、アルミダイキャストの本体内に、加熱手段としてのシーズヒータが鋳込まれたものを採用しているが、スチーム(気体)を発生させるものであれば、この構成に限られない。
【0067】
さらに、本発明に係るミスト装置は、浴槽をサウナ空間とする場合に用いるのが最適であるが、この場合に限られず、シャワールームや浴室をサウナ空間とする場合にも採用することができる。
【0068】
例えば、シャワールームでは、室内に使用者が腰掛けることができる椅子を設け、その下にミスト装置を収納し、椅子側面に吸込み口や吹出し口を開口させる構成とすることにより、サウナ空間を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るミスト装置を設けた浴槽の概要を示す斜視図。
【図2】(a)は本実施形態に係るミスト装置を設けた浴槽の平面図、(b)は縦断面図。
【図3】第1の実施形態に係るミスト装置の斜視図。
【図4】第1の実施形態に係るミスト装置のスチーム発生部を示す斜視図。
【図5】第1の実施形態に係るミスト装置の電気的系統及びミスト発生経路を示すブロック図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るミスト装置を設けた浴槽の概要を示す縦断面図。
【図7】第2の実施形態に係るミスト装置を示す斜視図。
【図8】第2の実施形態の変形例に係るミスト装置を浴槽背面から見た図。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るミスト装置を設けた浴槽の概要を示す平面図。
【図10】第3の実施形態に係るミスト装置の斜視図。
【図11】本発明に係るミスト装置の第4の実施形態の概要を示す図で、(a)は平断面図、(b)は縦断面図、(c)は正面図。
【図12】第4の実施形態に係るミスト装置の変形例を示す図で、(a)は平断面図、(b)は縦断面図。
【符号の説明】
【0070】
1,1A,1B,1C,1D ミスト装置
2 浴槽
3 風呂蓋,3a 欠切部
4 収納ケース
5,5L,5R 吸込み口,5a グリル
6 吸気ダクト
7 吹出し口,7a グリル
8 送風ダクト
9 プロペラファン
10 スチーム生成部
11 本体
12 シーズヒータ
13 管路
14 水入口
15 スチーム出口
16 噴射ノズル
17 給水管
18 加圧ポンプ
19 電源ボックス
20 制御部
21 ヒータ電源用ケーブル
22 ポンプ用ケーブル
23 ファン用ケーブル
24 電子回路電源用ケーブル
25 サーミスタ用信号ケーブル
26 リレー用信号ケーブル
27 ファン用信号ケーブル
28 ポンプ用信号ケーブル
29 温度ヒューズ
30 サーミスタ
31 リレー回路,31a コイル,31b スイッチ
32 クロスフローファン
33 モータ
34 仕切板
35 垂直仕切板
P 使用者
SS サウナ空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サウナ空間に対して解放された吸込み口を一端に有する吸気ダクトと、
一端が上記吸気ダクトの他端に接続し、他端に上記サウナ空間に対して解放された吹出し口を有する送風ダクトと、
水を加熱してスチ−ムを生成するスチーム生成部と、
該スチーム生成部により生成されたスチ−ムを上記送風ダクト内に噴射する噴射ノズルと、
上記サウナ空間内の空気を上記吸込み口から吸引し、該空気と上記噴射ノズルから噴射されたスチームとの混合物を上記吹出し口から上記サウナ空間へと吐出する循環手段と、
を備えることを特徴とするミスト装置。
【請求項2】
前記循環手段は、前記吸込みダクト内に設けられたファンであることを特徴とする請求項1記載のミスト装置。
【請求項3】
前記サウナ空間は浴槽であって、該浴槽の入浴者の足が位置する側端部の両側に吸込み口及び吹出し口を配設したことを特徴とする請求項1記載のミスト装置。
【請求項4】
前記サウナ空間は浴槽であって、該浴槽の入浴者の足が位置する側端部の両側に吸込み口を、同中央に吹出し口をそれぞれ配設したことを特徴とする請求項1記載のミスト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−18062(P2008−18062A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192891(P2006−192891)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】