説明

ミラー取付け構造

【課題】二つの壁面が互いに交接したコーナーにミラーを設置する場合、ミラーを目線の高さ近傍に取り付けても取付け角度の変動を生じ難くし、かつ取り付け操作を容易にするミラー取付け構造を提供する。
【解決手段】二つの壁面3、3’が互いに交接したコーナー2に対し、該二つの壁面間を跨ぐように支持フレーム4を取り付けると共に、ミラー1の背面側にブラケット8を取り付け、該ミラー1の左右両端部1e、1eを両壁面3、3’に当接させ、かつブラケット8に連結した可撓性抗張材7に引張り張力を与えた状態にして支持フレーム4のガイド6、16に掛け渡すと共に、該支持フレーム4に係止させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミラー取付け構造に関し、さらに詳しくは、二つの壁面が互いに交接したコーナーにミラーを設置する場合、ミラーを目線の高さ近傍に取り付けても取付け角度の変動を生じ難くし、かつ取り付け操作を容易にするミラー取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物内の通路、部屋などの二つの壁面が互いに交接したコーナーには、そのコーナーを曲がった反対側の状況を確認できるように、視線方向に対して斜めにしたミラーを取り付けるようにしたものがある。しかし、この確認用ミラーは、一般にコーナーの上方位置に取り付けられることが多いため、通行人がミラーの存在に気づかないことがあり、本来の機能が十分に活かされていない傾向がある。
【0003】
このような問題は、ミラーの取付け位置をコーナーの上方ではなく、人の目線の高さの近傍にすれば、常にミラーが人の視野の中に入るようになるため解消が可能である。しかし、ミラーの取付け構造は、一般に図7に示すように、ミラー61を壁面62に対してフレキシブルチューブ63やアーム部材などを介して取り付けるようになっているため、ミラー61の位置が壁面62からかなり離れた浮き上がった状態になる。
【0004】
したがって、上述のようにミラーを目線の高さ近傍に設置すると、人や物がコーナーを移動する際にミラーの縁部に対して引っ掛かりを生ずる機会が多くなり、その結果としてミラーの取付け角度に歪み(変動)が生じて、反対側の様子がミラーにより確認できなくなるなどの事態が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、二つの壁面が互いに交接したコーナーにミラーを設置する場合、ミラーを目線の高さ近傍に取り付けても取付け角度の変動を生じ難くし、かつ取り付け操作を容易にするミラー取付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明のミラー取付け構造は、二つの壁面が互いに交接したコーナーに対し、該二つの壁面間を跨ぐように支持フレームを取り付けると共に、ミラーの背面側にブラケットを取り付け、該ミラーの左右両端部を前記両壁面に当接させ、かつ前記ブラケットに連結した可撓性抗張材に引張り張力を与えた状態にして前記支持フレームのガイドに掛け渡すと共に、該支持フレームに係止させたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のミラー取付け構造は、コーナーにおける二つの壁面にミラーの左右両端部を当接させ、かつブラケットに連結した可撓性抗張材に引張り張力を与えた状態にして支持フレームのガイドに掛け渡すようにしていることで、ミラーの左右両端部がコーナーの壁面に密着状態になるため、人や物が接触してもミラー端部に引っ掛りを生ずることがなく、ミラーの取付け角度を変動させることがない。また、ミラーの背面側に取り付けたブラケットに連結した可撓性抗張材を引張って支持フレームのガイドに掛け渡すだけであるので、ミラーの取付け操作を簡単にすることができる。
【0008】
可撓性抗張材には有機繊維コード又はワイヤコードなどを使用することができるが、弾性材料からなる弾性コードを使用することもできる。弾性コードを使用した場合には、その弾性力によりミラーの取付け剛性を一層向上することができる。
【0009】
支持フレームに設けるガイドは貫通孔などの簡単なものでよいが、支持フレームの縁部からフック状に切り込まれた屈曲溝にすることもできる。このようにガイドを屈曲溝で形成すると、ミラーの取付け作業を一層簡単に容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を図に示す実施形態を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態からなるミラー取付け構造を斜視図で示し、また図2(A)(B)は、このミラー取付け構造によりミラーがコーナーに取り付けられた状態を示し、(A)は平面図であり、(B)は(A)におけるX−X矢視の断面図である。
【0012】
図1及び図2において、1は取付け対象のミラー、2はミラー1が取り付けられる建造物内のコーナーである。コーナー2は、二つの壁面3、3’が90°の角度で交接して構成され、通路の曲がり角であったり、部屋の角部であったりする。
【0013】
コーナー2には、略目線の高さの位置に、二つの壁面3、3’に水平方向に跨がるように支持フレーム4が取り付けられている。支持フレーム4は、両端部を屈曲させて壁面3、3’に接当させ、かつボルト5、5により固定されている。壁面3、3’間の中間域には、ブラケット4aが水平方向に延出するように形成され、そのブラケット4aに左右2個の貫通孔6、6が設けられることにより、可撓性抗張材7のガイドとして機能するようになっている。
【0014】
他方、ミラー1の背面にはブラケット8が取り付けられている。ブラケット8は接着剤によりミラー1の幅方向に沿って接着されると共に、後方側にL字状に延長している。このブラケット8に左右2個の取付孔9、9が設けられ、この取付孔9、9を介して可撓性抗張材7、7が連結されている。可撓性抗張材7、7は後方に延長すると共に、支持フレーム4に設けられた貫通孔6、6をガイドとして挿通され、その通り抜けた端部に係止具10、10が取り付けられている。係止具10は複数の横孔10aを多段に設けており、これら複数の横孔10aに対して可撓性抗張材7が順次ジグザグ状に通過して係止されるようになっている。
【0015】
上述したミラー取付け構造により、ミラー1はコーナー2に対して図2(A)(B)に示すように取り付けられる。
【0016】
ミラー1の取付け操作は、先ずミラー1の視線方向Eに対してなす取付け角度θを予め設定し、ミラー1の左右の両端部1e、1eを、その設定角度になるようにコーナー2の壁面3、3’に接当させる。図2の場合は、視線方向Eに対して直角に折れ曲がった方向の視野を得るため取付け角度θが45°に設定されている。また、図3のように90°よりも小さい角度で折れ曲がった視野を得る場合には、取付け角度θを45°よりも大きい角度にして、ミラー1の両端部1e、1eをコーナー2の壁面3、3’に接当させるようにすればよい。
【0017】
上記のようにミラー1の両端部1e、1eをコーナー2の壁面3、3’に接当させたら、その状態を維持して、ミラー1の背面側に連結した可撓性抗張材7を支持フレーム4の貫通孔6をガイドとして掛け渡し、その可撓性抗張材7に対して引張り張力を与える。この引張り張力の付与により、ミラー1の両端部1e、1eは壁面3、3’に対して密着性を一層向上させるので、この状態を維持しなら係止具10を支持フレーム4の下面まで押し上げて係止させると、取付け剛性の大きな図2に示すミラー取付け状態が得られる。
【0018】
上記構成からなるミラー取付け構造は、ミラー1の左右両端部1e、1eがコーナー2の壁面3、3’に高い密着状態になっているので、人や異物が接触しても、それら接触物がミラー1の端部1eに引っ掛りを生ずることがなく、そのためミラーの取付け角度を変動させたり、歪みを与えたりすることがない。しかも、ミラーの取付け操作を簡単に行うことができる。
【0019】
本発明において、ミラーが取り付けられるコーナーは、二つの壁面が交接した構成からなっていれば特に限定されるものではない。すなわち、建造物内の通路の曲がり角であってもよく、部屋(室)の角部であってもよい。地下通路における曲がり角なども対象にすることができる。
【0020】
取付け対象のミラーは、平面鏡であってもよく、凸面鏡であってもよい。また、平面形状を有するが凸面鏡機能をもった所謂フレネル型ミラーであってもよい。材質としては、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンなどの透明趣旨に金属膜を蒸着やメッキにより施したものが好ましい。ミラーは、上述した図示の実施形態のようにミラーを裸のまま取り付けてもよいが、保護枠に装着した状態にして取り付けてもよい。
【0021】
可撓性抗張材は、ミラーを支持フレーム側に引っ張る張力を与える強度をもつ可撓性の材料であればよく、有機繊維コードやワイヤコードを挙げることができる。ゴム、弾性樹脂などの弾性材料から構成した弾性コードであってもよい。弾性コードを使用するときは、単独使用のほか、有機繊維コードやワイヤコードの長手方向に連結して併用するようにしてもよい。弾性コードを使用すると、弾性力の作用によりミラーのコーナー壁面に対する密着性を一層向上させるため、ミラーの取付け剛性を更に向上することができる。
【0022】
また、図1に示した実施形態では、可撓性抗張材7は2本を使用してミラー1を支持フレーム4側に引っ張るようにしている。しかし、可撓性抗張材7の使用本数は2本に限定されるものではなく、図4に示す実施形態のように、1本だけであっても差し支えない。可撓性抗張材の使用本数は、ミラーの大きさや取付け場所などに応じて任意に選択すればよい。
【0023】
支持フレーム4に可撓性抗張材7を掛け渡すために設けられるガイドは、図1の実施形態では、貫通孔6が設けられている。しかし、ガイドの形態は貫通孔に限定されるものではなく、支持フレーム4上に可撓性抗張材7を案内する機能をもつものであれば、いずれの形態も使用することができる。
【0024】
図5に示す実施形態のガイドは、屈曲溝16の形態にして支持フレーム4に設けられている。屈曲溝16は、支持フレーム4のフランジ4aに、その前縁から切り込まれたフック状の屈曲形状をし、その溝部を支持フレーム4の外側に開口させている。このように屈曲溝16の溝端が支持フレーム4の外側に開口しているため、可撓性抗張材7を掛け渡すときに、係止具10をわざわざ外さなくても、装着したままの状態で屈曲溝16に掛け渡すことができる。したがって、可撓性抗張材7から係止具10を脱着する手間が省ける分だけミラーの取付け作業性を向上することができる。
【0025】
図1の実施形態に例示した係止具10は、可撓性抗張材7を支持フレーム4に係止させる機能を有する。この係止具としては、可撓性抗張材7の長手方向に相対移動可能であると共に、途中の任意の位置にロック可能な係止機能を持っていればよく、係止具10の形態のみに限定されない。
【0026】
図6(A)(B)に示す係止具11は、別の態様を例示する。この係止具11は、互いに螺合するボルト11aとナット11bからなり、ボルト11aの中間部に軸方向に交差する貫通孔12を有している。この係止具11を使用して可撓性抗張材7を支持フレーム4に係止させるには、図6(A)のように、支持フレーム4(図示せず)から垂下する可撓性抗張材7を係止具11の貫通孔12に挿通させた後、その係止具11を支持フレーム4の下面まで押し上げ、そこでナット11bを貫通孔12側に螺進させることにより、貫通孔12に挿通した可撓性抗張材7の上下両端部を強圧すれば、係止具11の移動がロックされる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態からなるミラー取付け構造を示す斜視図である。
【図2】本発明のミラー取付け構造によりミラーをコーナーに取り付けた状態を示し、(A)は平面図、(B)は(A)におけるX−X矢視図である。
【図3】本発明の他の実施形態からなるミラー取付け構造の平面図である。
【図4】本発明の更に他の実施形態からなるミラー取付け構造の平面図である。
【図5】本発明の更に他の実施形態からなるミラー取付け構造の平面図である。
【図6】本発明に使用される係止具を例示した側面図であり、(A)は係止前の状態、(B)は係止後の状態を示す。
【図7】従来のミラー取付け構造を示す側面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ミラー
2 コーナー
3、3’ 壁面
4 支持フレーム
6 貫通孔(ガイド)
7 可撓性抗張材
8 ブラケット
10、11 係止具
16 屈曲溝(ガイド)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの壁面が互いに交接したコーナーに対し、該二つの壁面間を跨ぐように支持フレームを取り付けると共に、ミラーの背面側にブラケットを取り付け、該ミラーの左右両端部を前記両壁面に当接させ、かつ前記ブラケットに連結した可撓性抗張材に引張り張力を与えた状態にして前記支持フレームのガイドに掛け渡すと共に、該支持フレームに係止させたミラー取付け構造。
【請求項2】
前記可撓性抗張材が有機繊維コード又はワイヤコードである請求項1に記載のミラー取付け構造。
【請求項3】
前記可撓性抗張材が弾性材料からなる弾性コードである請求項1に記載のミラー取付け構造。
【請求項4】
前記支持フレームに設けたガイドが貫通孔である請求項1〜3のいずれかに記載のミラー取付け構造。
【請求項5】
前記支持フレームに設けたガイドが、該支持フレームの縁部からフック状に切り込まれた屈曲溝である請求項1〜3のいずれかに記載のミラー取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−92947(P2009−92947A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263602(P2007−263602)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(390010526)コミー株式会社 (10)
【Fターム(参考)】