ミラー素子
【課題】破損を低減することが可能なミラー素子を提供する。
【解決手段】ミラー素子30は、少なくとも主表面にn型の不純物が導入されたn型SiC基板1と、n型SiC基板1の主表面上に形成され、光を透過可能な透明電極15とを備えている。透明電極15に電圧を印加することによりn型SiC基板1による光の反射を制御する。
【解決手段】ミラー素子30は、少なくとも主表面にn型の不純物が導入されたn型SiC基板1と、n型SiC基板1の主表面上に形成され、光を透過可能な透明電極15とを備えている。透明電極15に電圧を印加することによりn型SiC基板1による光の反射を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラー素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、反射ミラーを機械的に駆動させることにより光の反射方向を変化させるミラー素子が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
図24は、上記特許文献1に開示された従来のミラー素子の全体構成を示す斜視図である。図25および図26は、図24に示した従来のミラー素子の動作を説明する図である。図24〜図26を参照して、従来のミラー素子の構造および動作について説明する。
【0004】
上記特許文献1に開示されたミラー素子60は、基板51と、基板51上に配置された下部電極52および下部電極52に対して所定の間隔を隔てて対向するように配置された上部電極53と、反射ミラー54と、支柱柱55とを備えている。上部電極53の対角線上の2つの角部は、それぞれ、支持部56および57によって支持されている。反射ミラー54の端部54aは、上部電極53に回動可能に連結されている。また、反射ミラー54の中央部の下面は、支持柱55の上端部に当接されている。
【0005】
このミラー素子60の動作としては、下部電極52および上部電極53に電圧が印加されていない状態では、図25に示すように、下部電極52、上部電極53および反射ミラー54は、基板51の主表面と平行になる。また、下部電極52および上部電極53に電圧が印加されると、図26に示すように、下部電極52と上部電極53との間に引力が作用するので、上部電極53が、下部電極52の方向へと引き寄せられる。これにより、反射ミラー54の上部電極53に連結されている端部54aは、下方へと移動される。この場合、反射ミラー54の中央部の下面は、支柱柱55の先端部に当接されているため、反射ミラー54の上部電極53に連結されている端部54aと対向する端部54bは、上方へと移動される。したがって、反射ミラー54が傾斜するので、下部電極52および上部電極53の間に電圧を印加している状態と印加していない状態とで、反射ミラー54による光の反射方向が2方向に変更される。
【0006】
【特許文献1】特開2005−70091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1のミラー素子60では、上部電極53が、2本の支持部56および57のみによって支持されているとともに、機械的に動作する構造であるため、ミラー素子60に作用する衝撃などによって、ミラー素子60が破損し易いといった問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、破損を低減することが可能なミラー素子を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
この発明の一の局面によるミラー素子は、少なくとも主表面に第1導電型の不純物が導入された半導体基板と、半導体基板の主表面上に形成され、光を透過可能な電極とを備え、電極に電圧を印加することにより半導体基板による光の反射を制御する。
【0010】
この発明の一の局面によるミラー素子では、上記のように、少なくとも主表面に第1導電型の不純物が導入された半導体基板の主表面上に光を透過可能な電極を設けることによって、電極に半導体基板の主表面のキャリア(電子またはホール)を排除するような電圧を印加することにより電極の下の半導体基板の主表面に空乏層を形成することができるので、電極の下の半導体基板の主表面のキャリア(電子またはホール)を減少させることができる。これにより、電極に半導体基板の主表面のキャリア(電子またはホール)を排除するような電圧を印加した状態では、電極と半導体基板との界面による光の反射を抑制することができる。一方、電極に電圧を印加していない状態または半導体基板の主表面のキャリアを引き寄せるような電圧を電極に印加した状態では、半導体基板の主表面にキャリア(電子またはホール)が存在した状態になるので、電極を透過した光は、電極と半導体基板との界面で半導体基板の主表面のキャリアにより反射される。このように、本発明では、機械的な動作を行うことなく、電極への電圧の印加のみによって、電極に入射した光の反射を制御することができるので、ミラー素子の破損を低減することができる。
【0011】
上記一の局面によるミラー素子において、好ましくは、電極に印加される電圧は、電圧の印加によって半導体基板の主表面に空乏層が形成されるとともに、空乏層の厚みが、空乏層と空乏層以外の領域との界面で反射される光と、電極と半導体基板との界面で反射される光とが打ち消し合う厚みになるような電圧に設定される。このように構成すれば、電極に電圧を印加している状態では、半導体基板内に入射して、空乏層と空乏層以外との界面によって反射された光と、半導体基板と電極との界面で反射された光とが打ち消し合うので、電極に入射した光が電極の外へと出射されることをより抑制することができる。この結果、電極に入射した光の反射をより確実に制御することができる。
【0012】
上記一の局面によるミラー素子において、好ましくは、電極は、回折格子を構成するように半導体基板の表面上に配置されている。このように構成すれば、電極に電圧が印加されている状態では、電極の下に位置する半導体基板の主表面には空乏層が形成されるため、電極が形成されていない主表面の半導体基板の表面でのみ光が反射される。そして、各電極が形成されていない領域で反射された光が、それぞれの位相差によって強め合ったり弱め合ったりすることによって、明暗が交互に配列された格子状の回折線(回折光)を形成することができる。そして、回折線(回折光)は、入射角に対する反射角が異なるので、光の反射を容易に制御することができる。
【0013】
上記電極が回折格子を構成するように配置されているミラー素子において、好ましくは、回折格子を構成する電極は、第1の電圧が印加される第1電極と、第1の電圧とは印加方向が異なる第2の電圧が印加される第2電極とを含み、第1電極と第2電極とは、半導体基板の主表面上に、所定の間隔を隔てて交互に配置されている。このように構成すれば、第1電極に第1の電圧を印加することにより第1電極の下方の半導体基板の主表面に空乏層を形成した状態で、第2電極に第1の電圧とは印加方向が異なる第2の電圧を印加することによって、第2電極の下方の半導体基板の主表面にキャリアを集めることができる。これにより、第1電極に入射した光は、第1電極と半導体基板との界面に反射されることなく半導体基板に入射する。一方、第2電極に入射した光は、第2電極の下方の半導体基板の主表面に集められたキャリアによって、第2電極と半導体基板との界面でより多く反射される。この結果、回折による反射効率を向上させることができる。
【0014】
上記電極が回折格子を構成するように配置されているミラー素子において、好ましくは、電極間の間隔は、反射する光の波長に対応する間隔に設定されている。このように構成すれば、複数の波長の光に対応するように、電極間の間隔も複数設定することにより、複数の異なる波長の光の回折線(回折光)を同じ方向に形成することができる。
【0015】
上記一の局面によるミラー素子において、好ましくは、電極を含む複数のミラー素子部をさらに備え、複数のミラー素子部は、半導体基板の主表面上にマトリックス状に配置されており、各々のミラー素子部の電極には、それぞれ、トランジスタを介して電圧供給線が接続されている。このように構成すれば、マトリックス状に配置された複数のミラー素子部のうち、所望のミラー素子部のトランジスタをオン状態にして電圧を供給することができるので、所望のミラー素子部のみを反射するように制御することができる。これにより、ミラー素子部を用いて画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるミラー素子の全体構成を説明するための斜視図である。図2は、図1に示した第1実施形態のミラー素子の100−100線に沿った断面図である。図3は、本発明の第1実施形態によるミラー素子の回路構成図である。まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態によるミラー素子の構造について説明する。
【0018】
図1および図3に示すように、ミラー素子30は、n型SiC基板1の主表面上にマトリックス状に配置された複数のミラー素子部2を備えている。また、各ミラー素子部2の間には、ポリシリコンからなる複数のゲート線3と、ポリシリコンからなる複数の電圧供給線4とが、互いに直交する方向に延びるように配置されている。
【0019】
n型SiC基板1は、リン(P)が5×1018cm−3の不純物濃度でドープされることによりn+型の導電性を有している。また、SiCは、3.1の屈折率を有する。また、SiCは、3.0eVのバンドギャップを有するので、可視光(波長400nm〜800nm)によって、キャリアが励起されるのが抑制される。したがって、可視光によってn型SiC基板1内に自由電子およびホールが生成されるのが抑制される。
【0020】
図2に示すように、n型SiC基板1の主表面には、チャネル領域を挟むように、一対のp型のソース/ドレイン領域11および12が形成されている。n型SiC基板1のチャネル領域上には、ゲート絶縁膜13を介して、ポリシリコンからなるゲート電極14が形成されている。一対のp型のソース/ドレイン領域11および12と、ゲート絶縁膜13と、ゲート電極14とによって、pMOSトランジスタ10が形成されている。なお、ゲート電極14は、ゲート線3の一部である。n型SiC基板1の表面上のpMOSトランジスタ10が形成されていない領域には、約10nm〜約100nmの厚みおよび2.1の屈折率を有するITO(Indium Tin Oxide)からなる光を透過可能な透明電極15が形成されている。したがって、透明電極15とn型SiC基板1との間に電圧が印加されていない状態では、透明電極15の屈折率とn型SiC基板1の屈折率との違いによって、透明電極15に入射した光は、透明電極15とn型SiC基板1との界面で反射されるように構成されている。なお、透明電極15は、本発明の「電極」の一例である。また、隣接する透明電極15の間には、pMOSトランジスタ10の形成領域を覆うように、SiO2からなる層間絶縁膜18aが形成されている。この層間絶縁膜18aには、コンタクトホール24、25および26が形成されている。
【0021】
コンタクトホール24および25を介して、ソース/ドレイン領域12と透明電極15とを接続するポリシリコンからなる接続配線16が形成されている。また、コンタクトホール26を介して、電圧供給線4とソース/ドレイン領域11とを接続するポリシリコンからなる接続配線17が形成されている。接続配線16および17を覆うように、SiO2からなる層間絶縁膜18bが形成されている。層間絶縁膜18bの上面上には、約200nm〜約400nmの厚みを有するAlNからなる光吸収膜19が形成されている。この光吸収膜19は、透明電極15が形成された領域以外に入射した光を吸収する機能を有する。層間絶縁膜18aおよび18bによって、約200nm〜約400nmの厚みを有する2層構造の層間絶縁膜18が形成されている。
【0022】
図4および図5は、本発明の第1実施形態によるミラー素子の動作原理を説明する断面図である。次に、図4および図5を参照して、本発明の第1実施形態によるミラー素子の動作原理を説明する。なお、この第1実施形態では、所定の波長を有する光がn型SiC基板1に入射すると仮定する。
【0023】
図4に示すように、透明電極15とn型SiC基板1との間に電圧を印加していない状態または電子を引き寄せるような電圧を印加した状態では、透明電極15に入射した光Liは、透明電極15とn型SiC基板1との界面で、n型SiC基板1の主表面の電子により反射されて、光Lrが透明電極15の上面から出射される。
【0024】
一方、図5に示すように、透明電極15とn型SiC基板1との間に、透明電極15の電位がn型SiC基板1の電位よりも低くなるような電圧(n型SiC基板1の電子を排除するような電圧)が印加されている状態では、n型SiC基板1の電子が、透明電極15の下方のn型SiC基板1の主表面から排除されるように移動されて、透明電極15の下方のn型SiC基板1の主表面近傍に空乏層28が形成される。これにより、透明電極15に入射した光Liiの多くは、透明電極15とn型SiC基板1との界面で反射されることなく、n型SiC基板1内に入射される。また、n型SiC基板1に入射した光Liiのうち一部が空乏層28の下面で反射される。そして、空乏層28の下面で反射された光Lriは、再び透明電極15に入射する。
【0025】
ここで、透明電極15に印加される電圧は、空乏層から反射されて透明電極15に入射した光Lriの位相と、外部から透明電極15に入射した光Lisのうち透明電極15とn型SiC基板1との界面で反射された光Lrsの位相とが、半波長分ずれて互いに打ち消し合うような厚みの空乏層28が形成されるように設定されている。したがって、空乏層28の下面で反射された光Lriと、透明電極15とn型SiC基板1との界面で反射された光Lrsとが、互いに打ち消し合って、透明電極15から光が出射されることが抑制される。
【0026】
すなわち、図5に示した透明電極15に、n型SiC基板1の主表面の電子を排除する電圧を印加した状態では、透明電極15に入射した光LiiおよびLisは、電子の減少によって、透明電極15とn型SiC基板1との界面で半分程度反射される。さらに、透明電極15とn型SiC基板1との界面で反射された少ない光Lrsも、空乏層28の下面によって反射された光Lriによって打ち消される。これらにより、透明電極15にn型SiC基板1の主表面の電子を排除する電圧を印加した状態では、透明電極15に入射した光LiiおよびLisが、反射されて外部へ出射されることが抑制される。
【0027】
図6〜図11は、本発明の第1実施形態によるミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。次に、図1および図6〜図11を参照して、本発明の第1実施形態によるミラー素子の製造プロセスについて説明する。
【0028】
まず、リンイオンを約30keV〜約100keVの加速エネルギーおよび約1×1014cm−2〜約5×1015cm−2のドーズ量でイオン注入した後、約1700℃のAr雰囲気中で約30分間アニールすることにより、n型SiC基板1を形成する。次に、図6に示すように、スパッタ法を用いて、n型SiC基板1上に約10nm〜約100nmの厚みを有するITOからなる透明電極層15aを形成する。その後、フォトリソグラフィ技術を用いて、透明電極層15aの表面上の所定領域にレジスト膜22を形成する。そして、レジスト膜22をマスクとして、ヨウ化水素ガスによる反応性イオンエッチング技術を用いて、透明電極層15aをエッチングすることにより、図7に示すような、透明電極15を形成する。その後、レジスト膜22を除去する。
【0029】
次に、図8に示すように、SiO2からなるゲート絶縁膜13およびポリシリコンからなるゲート電極14を含むゲート線3を形成する。その後、ゲート電極14をマスクとして、ボロン(B)をn型SiC基板1にイオン注入することにより、一対のp型のソース/ドレイン領域11および12を形成する。これにより、pMOSトランジスタ10が完成する。
【0030】
次に、図9に示すように、TEOS(テトラエトキシシラン)によるプラズマCVD法を用いて、全面を覆うように、SiO2からなる層間絶縁膜18aを形成する。その後、透明電極15、ソース/ドレイン領域11および12上の層間絶縁膜18aの領域に、それぞれ、コンタクトホール24、25および26を形成する。その後、コンタクトホール24、25および26内と層間絶縁膜18a上とにポリシリコン層(図示せず)を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、そのポリシリコン層をパターニングすることによって、接続配線16および17と電圧供給線4(図1参照)とを形成する。
【0031】
次に、図10に示すように、TEOSによるプラズマCVD法を用いて、SiO2からなる層間絶縁膜18bを全面上に形成した後、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜18b上にAlNからなる光吸収膜19を約200nm〜約400nmの厚みで形成する。この後、フォトリソグラフィ技術を用いて、光吸収膜19上の所定領域にレジスト膜27を形成する。その後、BCL3ガスによるエッチング技術を用いて、AlNからなる光吸収膜19をパターニングした後、C2F6ガスによるエッチング技術を用いて、SiO2からなる層間絶縁膜18aおよび18bをパターニングすることにより、図11に示される形状が得られる。その後、レジスト膜27を除去することによって、図2に示したような第1実施形態によるミラー素子30が完成する。
【0032】
第1実施形態では、上記のように、主表面にn型の不純物が導入されたn型SiC基板1の主表面上に光を透過可能な透明電極15を含むミラー素子部2を設けることによって、透明電極15にn型SiC基板1の主表面の電子を排除するような電圧を印加することにより透明電極15の下方のn型SiC基板1の主表面に空乏層28を形成することができるので、透明電極15の下方のn型SiC基板1の主表面の電子を減少させることができる。これにより、透明電極15にn型SiC基板1の主表面の電子を排除するような電圧を印加した状態では、透明電極15とn型SiC基板1との界面による光LiiおよびLisの反射を抑制することができる。
【0033】
さらに、上記第1実施形態では、透明電極15に印加された電圧を、n型SiC基板1の主表面に空乏層28が形成されるとともに、空乏層28の厚みが、空乏層28の空乏層28以外の領域との界面で反射される光Lriと、透明電極15とn型SiC基板1との界面で反射される光Lrsとが打ち消し合う厚みになるような電圧に設定することによって、n型SiC基板1内に入射して、空乏層28の下面によって反射された光Lriと、n型SiC基板1と透明電極15との界面で反射された光Lrsとが打ち消し合うので、透明電極15に入射した光LiiおよびLisが透明電極15の外へと出射されることをより抑制することができる。一方、透明電極15に電圧を印加していない状態またはn型SiC基板1の主表面の電子を引き寄せるような電圧を透明電極15に印加した状態では、n型SiC基板1の主表面に電子が存在した状態になるので、透明電極15を透過した光Liは、透明電極15とn型SiC基板1との界面でn型SiC基板1の主表面の電子により反射される。このように、本実施形態では、機械的な動作を行うことなく、透明電極15への電圧の印加のみによって透明電極15に入射した光Li、LiiおよびLisの反射を制御することができるので、ミラー素子30の破損を低減することができる。
【0034】
また、上記第1実施形態では、マトリックス状に配置された複数のミラー素子部2によって、所望のミラー素子部2のpMOSトランジスタ10をオン状態にして電圧を供給することができるので、所望のミラー素子部2によってのみ光Li、LiiおよびLisを反射するようにミラー素子部2を制御することができる。これにより、ミラー素子30を用いて画像を形成することができる。
【0035】
(第2実施形態)
図12は、本発明の第2実施形態によるミラー素子の全体構成を説明するための斜視図である。図13は、図12に示した第2実施形態のミラー素子の150−150線に沿った断面図である。図14は、本発明の第2実施形態によるミラー素子の回路構成図である。まず、図12〜図14を参照して、本発明の第2実施形態によるミラー素子の構造について説明する。
【0036】
図12に示すように、ミラー素子30aは、n型SiC基板1上にマトリックス状に配置された複数のミラー素子部2aを備えている。また、図14に示すように、R(赤)、G(緑)、B(青)の光を反射するミラー素子部2aがY方向に配列されている。また、各ミラー素子部2aの間には、ゲート線3および電圧供給線4が設けられている。
【0037】
また、各ミラー素子部2aは、回折格子を構成する5本の透明電極部31aと、5本の透明電極部31aを接続する電極接続部31bとを有するITOからなる透明電極31を含む。この透明電極部31aは、図13に示すように、n型SiC基板1の主表面の所定領域上に所定の間隔を隔てて形成されている。ここで、第2実施形態では、透明電極31に電圧を印加している際に、透明電極31とn型SiC基板1との界面での反射を防ぐために、ITOからなる透明電極31の屈折率とn型SiC基板1の空乏層33の屈折率とが等しくなるように、透明電極31を構成するITOの組成が設定されている。なお、透明電極部31aは、本発明の「電極」の一例である。
【0038】
また、第2実施形態では、RGBの各ミラー素子部2aの透明電極31は、波長の異なるRGBの光の反射方向を同じ方向にするために異なる電極幅および電極間隔を有する。具体的には、赤(R)色光を反射するためのミラー素子部2aの透明電極部31aは、約0.20μm〜約0.30μmの幅を有するとともに、隣接する透明電極部31aは、約0.20μm〜約0.30μmの間隔を有する。緑(G)色光を反射するためのミラー素子部2aの透明電極部31aは、約0.15μm〜約0.25μmの幅を有するとともに、隣接する透明電極部31aは、約0.15μm〜約0.25μmの間隔を有する。青(B)色光を反射するためのミラー素子部2aの透明電極部31aは、約0.10μm〜約0.20μmの幅を有するとともに、隣接する透明電極部31a間は、約0.10μm〜約0.20μmの間隔を有する。
【0039】
なお、n型SiC基板1と、ゲート線3と、電圧供給線4と、pMOSトランジスタ10と、接続配線16および17と、層間絶縁膜18と、光吸収膜19とは、上記第1実施形態と同様の構造を有する。
【0040】
図15および図16は、本発明の第2実施形態によるミラー素子の動作原理を説明する断面図である。次に、図15および図16を参照して、本発明の第2実施形態によるミラー素子の動作原理を説明する。
【0041】
図15に示すように、透明電極部31aとn型SiC基板1との間に電圧を印加していない場合は、透明電極部31aに入射角θiで入射した光Liは、透明電極部31aとn型SiC基板1との間の界面で、n型SiC基板1の主表面の電子により入射角θiと同じ反射角θrで反射されて、光Lrが透明電極部31aの上面から出射される。
【0042】
一方、図16に示すように、透明電極部31aとn型SiC基板1との間に、透明電極部31aの電位がn型SiC基板1の電位よりも低くなるような電圧(n型SiC基板1の電子を排除するような電圧)が印加されている状態では、n型SiC基板1の電子が、透明電極部31aの下方のn型SiC基板1の主表面から排除されるように移動されて、透明電極部31aの下方のn型SiC基板1の主表面近傍に空乏層33が形成される。これにより、透明電極部31aに入射した光Liiは、透明電極部31aとn型SiC基板1との界面で反射されることなくn型SiC基板1内に入射される。また、透明電極部31aが形成されていないn型SiC基板1の主表面に入射した光Lisは、n型SiC基板1の上面で反射される。そして、n型SiC基板1の表面で反射される光として、入射した光Lisの入射角θiと同じ反射角θr0(=θr)の方向の光Lr0(0次光)のみならず、入射した光Lisの入射角θiよりも小さい反射角θriの方向の回折光Lr1(1次光)が含まれる。この回折光Lr1(1次光)は、隣接するn型SiC基板1の露出する面で反射された回折光が位相差によって強め合う位置に回折線(回折光)を形成し、その他の領域には回折光が弱め合って到達することがない。
【0043】
第2実施形態では、上記のように、透明電極部31aに電圧が印加されている状態では、透明電極部31aの下に位置するn型SiC基板1の主表面には空乏層33が形成されるため、透明電極部31aが形成されていない部分のn型SiC基板1の主表面でのみ光Lisが反射される。そして、その反射された光が、それぞれの位相差によって強め合ったり弱め合ったりすることにより、明暗が交互に配列された格子状の回折線(回折光)を形成することができる。さらに、透明電極部31aに電圧を印加した状態でのみ、入射角θiよりも小さい反射角θr1で反射される回折光Lr1(1次光)によって画像を形成することにより、透明電極部31aに電圧を印加している場合にのみ画像を形成することができる。また、各ミラー素子部2aの透明電極部31aの幅および間隔を、反射する色の光に対応させることにより、異なる色(波長)の光においても、回折線(回折光)のできる方向を同じ方向にすることができる。
【0044】
(第3実施形態)
図17は、本発明の第3実施形態によるミラー素子の全体構成を説明する斜視図である。図18〜図20は、それぞれ、図17に示した第3実施形態のミラー素子の200−200線、210−210線および220−220線に沿った断面図である。図21は、本発明の第3実施形態によるミラー素子の回路構成図である。まず、図17〜図21を参照して、本発明の第3実施形態によるミラー素子の構造について説明する。
【0045】
図17および図21に示すように、ミラー素子30bは、n型SiC基板1上にマトリックス状に配置された複数のミラー素子部2bを備えている。また、図21に示すように、R(赤)、G(緑)、B(青)の光を反射するミラー素子部2bがY方向に配列されている。また、各ミラー素子部2bの間には、ゲート線3と、2本の電圧供給線4aおよび4bが設けられている。電圧供給線4aおよび電圧供給線4bには、それぞれ、n型SiC基板1を基準として、正負が逆の電圧が印加される。
【0046】
各ミラー素子部2bは、ITOからなる透明電極35および36を有する。透明電極35は、図17〜図19に示すように、5本の透明電極部35aと、5本の透明電極部35aを接続する電極接続部35bとを有する。また、透明電極36は、図17、図18および図20に示すように、5本の透明電極部36aと、5本の透明電極部36aを接続する電極接続部36bとを有する。ここで、第3実施形態では、透明電極36に電圧を印加した際に、透明電極36とn型SiC基板1との界面での光の反射を防ぐために、ITOからなる透明電極36の屈折率とn型SiC基板1の空乏層39の屈折率とが等しくなるように、透明電極36を構成するITOの組成が設定されている。なお、透明電極部36aは、本発明の「第1電極」の一例であり、透明電極部35aは、本発明の「第2電極」の一例である。図18〜図20に示すように、n型SiC基板1の主表面上には、透明電極部35aおよび36aと、電極接続部35bおよび36bとが形成されている。
【0047】
また、第3実施形態では、RGBの各ミラー素子部2bの透明電極35および36は、波長の異なるRGBの光の反射方向を同じ方向にするために異なる電極幅および電極間隔を有する。具体的には、赤(R)色光を反射するためのミラー素子部2bの各透明電極部35aおよび36aは、約0.10μmの幅を有するとともに、隣接する透明電極部35aおよび透明電極部36aは、約0.10μmの間隔を有する。緑(G)色光を反射するためのミラー素子部2bの各透明電極部35aおよび36aは、約0.075μmの幅を有するとともに、隣接する透明電極部35aおよび透明電極部36aは、約0.075μmの間隔を有する。青(b)色光を反射するためのミラー素子部2bの各透明電極部35aおよび36aは、約0.05μmの幅を有するとともに、隣接する透明電極部35aおよび透明電極部36aは、約0.05μmの間隔を有する。
【0048】
図19に示すように、各ミラー素子部2bの間には、pMOSトランジスタ10aが形成されている。なお、このpMOSトランジスタ10aは、チャネル領域を挟むように形成された一対のp型のソース/ドレイン領域11aおよび12aと、ゲート絶縁膜13aと、ゲート電極14aとにより構成されている。pMOSトランジスタ10aのp型のソース/ドレイン領域11aは、接続配線17aを介して電圧供給線4aに接続されている。pMOSトランジスタ10aのp型のソース/ドレイン領域12aは、接続配線16aを介して電極接続部35bに接続されている。pMOSトランジスタ10aのゲート電極14aは、ゲート線3の一部である。
【0049】
また、図20に示すように、各ミラー素子部2bの間には、pMOSトランジスタ10bが設けられている。このpMOSトランジスタ10bは、チャネル領域を挟むように形成された一対のp型のソース/ドレイン領域11bおよび12bと、ゲート絶縁膜13bと、ゲート電極14bとにより構成されている。pMOSトランジスタ10bのp型のソース/ドレイン領域11bは、接続配線17bを介して電圧供給線4bに接続されている。pMOSトランジスタ10bのp型のソース/ドレイン領域12bは、接続配線16bを介して電極接続部36bに接続されている。pMOSトランジスタ10bのゲート電極14bは、ゲート線3の一部である。
【0050】
なお、n型SiC基板1と、ゲート線3と、層間絶縁膜18と、光吸収膜19とは、上記第1実施形態と同様の構造を有する。
【0051】
図22および図23は、本発明の第3実施形態によるミラー素子の動作原理を説明する断面図である。次に、図22および図23を参照して、本発明の第3実施形態によるミラー素子の動作原理を説明する。
【0052】
図22に示すように、透明電極部35aおよび36aと、n型SiC基板1との間に電圧を印加していない状態では、透明電極部35aおよび36aに入射角θiで入射した光Liは、透明電極部35aおよび36aとn型SiC基板1との間の界面で、n型SiC基板1の主表面の電子により入射角θiと同じ反射角θrで反射されて、光Lrが透明電極部35aおよび36aの上面から出射される。
【0053】
一方、図23に示すように、透明電極部35aとn型SiC基板1との間に、透明電極部35aの電位がn型SiC基板1の電位よりも高くなるような電圧(n型SiC基板1の電子を引き寄せるような電圧)が印加され、透明電極部36aとn型SiC基板1との間に、透明電極部36aの電位が低くなるような電圧(n型SiC基板1の電子を排除するような電圧)が印加されている状態では、透明電極部35aの下方のn型SiC基板1の主表面には、電子が引き寄せられ、透明電極部36aの下方のn型SiC基板1の主表面では、n型SiC基板1内の電子が透明電極部36aから排除される。これにより、透明電極部36aの下のn型SiC基板1の主表面には、空乏層39が形成される。
【0054】
この場合、透明電極部35aに入射した光Lisは、透明電極部35aの下のn型SiC基板1の主表面に電子が引き寄せられて増加しているので、透明電極部35aとn型SiC基板1との界面で多くの光Lisが反射されて、透明電極部35aから光が出射される。一方、透明電極部36aに入射した光Liiは、透明電極部36aの下方のn型SiC基板1の主表面に空乏層39が形成されて電子が減少しているので、透明電極部36aとn型SiC基板1との界面で反射されることなく、n型SiC基板1内に入射される。
【0055】
そして、透明電極部35aに入射して反射された光は、入射した光Lisの入射角θi同じ反射角θr0(=θr)の光Lr0のみならず、入射した光Lisの入射角θiよりも小さい反射角θriの方向の回折光Lr1(1次光)が含まれる。この回折光Lr1(1次光)は、隣接する透明電極部35aとn型SiC基板1との界面で反射された回折光が位相差によって強め合う位置に回折線(回折光)を形成し、その他の領域には回折光が弱め合って到達することがない。
【0056】
第3実施形態では、上記のように、透明電極部35aおよび36aに電圧を印加している状態では、透明電極部35aの電位がn型SiC基板1の電位よりも高くなるように、透明電極部35aに電圧を印加することによって、透明電極部35aの下方のn型SiC基板1の主表面には、電子が引き寄せられるので、透明電極部35aとn型SiC基板1との界面では、透明電極部35aの下方のn型SiC基板1の主表面に集められた電子によってより多くの光Lisが反射される。この結果、回折による反射効率を向上させることができる。
【0057】
第3実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
【0058】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0059】
たとえば、上記第1実施形態では、透明電極15とn型SiC基板1との界面で反射された光Lrsと、空乏層28の下面で反射された光Lriとが、位相が半波長ずれて互いに完全に打ち消し合うように空乏層28の厚みを設定したが、本発明はこれに限らず、位相を半波長以外のずれ量でずらして、透明電極とn型SiC基板との界面で反射される光Lrsと空乏層の下面で反射される光Lriとが完全ではなく、部分的に打ち消し合うような空乏層の厚みに設定してもよい。また、透明電極に電圧を印加した際に、透明電極の屈折率とn型SiC基板の空乏層の屈折率とが同じになるように、透明電極を構成するITOの組成を設定して、空乏層の厚みを自由に設定してもよい。
【0060】
また、上記第1実施形態では、空乏層28の厚みを反射する光の色に関係なく設定する例を示したが、本発明はこれに限らず、反射する光の色(波長)に対応させて空乏層の厚みを設定してもよい。このように空乏層の厚みを変える場合、透明電極に印加する電圧は一定で、反射する光の色(波長)毎にn型SiC基板の空乏層形成領域の不純物濃度などを変えることにより、空乏層の厚みを変えてもよい。
【0061】
また、上記第2および第3実施形態では、形成される空乏層33および39の厚みを考慮せずに透明電極31および36に電圧を印加する例を示したが、本発明はこれに限らず、上記第1実施形態と同様に、透明電極部31aおよび36aとn型SiC基板1との界面で反射する光と空乏層33および39の下面で反射する光とが、位相差によって打ち消し合うように、空乏層33および39の厚みを設定できる電圧を透明電極31および36に印加してもよい。また、空乏層の厚みを、n型SiC基板の不純物濃度などによって設定してもよい。なお、各ミラー素子部の空乏層の厚みは、反射する光の波長に合わせて、異なる厚みに設定するのが好ましい。
【0062】
また、上記第2実施形態では、1つのミラー素子部2aに5本の透明電極部31aが形成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、2本以上の透明電極部が形成されていればよい。
【0063】
また、上記第3実施形態では、1つのミラー素子部2bに5本の透明電極部35aと、5本の透明電極部36aとが形成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、2本以上の透明電極部35aおよび2本以上の透明電極部36aが形成されていればよい。また、透明電極部35aと透明電極部36aとが同数でなくてもよい。
【0064】
また、上記第1〜第3実施形態では、ITOからなる透明電極15、31、35および36を用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、ITO以外の材料(たとえば、ZnO)からなる光を透過可能な電極を適用することができる。また、金(Au)を光を透過可能な薄い厚みを有するように形成したものを電極として用いてもよい。
【0065】
また、上記第1〜第3実施形態では、n型SiC基板1を用いて電子により光を反射する例を示したが、本発明はこれに限らず、p型の半導体基板を使用して、ホールにより光を反射してもよい。また、SiC基板のみならず、その他の半導体基板を用いてもよい。なお、他の半導体基板を用いる場合には、入射光によってキャリアが生成されるのを抑制するために、バンドギャップが大きい半導体からなる基板を用いるのが好ましい。
【0066】
また、上記第1実施形態では、所定の波長を有する入射光が入射する場合に、その入射光を反射するかしないかを制御するように使用する例を示したが、本発明はこれに限らず、異なる波長の光を含む自然光が入射する場合に、特定の波長の光のみを反射しないように、空乏層の厚みを制御するように使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1実施形態によるミラー素子の全体構成を説明するための斜視図である。
【図2】図1に示した第1実施形態のミラー素子の100−100線に沿った断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるミラー素子の回路構成図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるミラー素子の動作原理を説明するための断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるミラー素子の動作原理を説明するための断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態によるミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態によるミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態によるミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態によるミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図10】本発明の第1実施形態によるミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態によるミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態によるミラー素子の全体構成を説明するための斜視図である。
【図13】図12に示した第2実施形態のミラー素子の150−150線に沿った断面図である。
【図14】本発明の第2実施形態によるミラー素子の回路構成図である。
【図15】本発明の第2実施形態によるミラー素子の動作原理を説明するための断面図である。
【図16】本発明の第2実施形態によるミラー素子の動作原理を説明するための断面図である。
【図17】本発明の第3実施形態によるミラー素子の全体構成を説明するための斜視図である。
【図18】図17に示した第3実施形態のミラー素子の200−200線に沿った断面図である。
【図19】図17に示した第3実施形態のミラー素子の210−210線に沿った断面図である。
【図20】図17に示した第3実施形態のミラー素子の220−220線に沿った断面図である。
【図21】本発明の第3実施形態によるミラー素子の回路構成図である。
【図22】本発明の第3実施形態によるミラー素子の動作原理を説明するための断面図である。
【図23】本発明の第3実施形態によるミラー素子の動作原理を説明するための断面図である。
【図24】従来のミラー素子の全体構成を示す斜視図である。
【図25】従来のミラー素子の動作を説明する側面図である。
【図26】図24に示した従来のミラー素子の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0068】
1 n型SiC基板(半導体基板)
2、2a、2b ミラー素子部
10、10a、10b pMOSトランジスタ
15、31 透明電極(電極)
31 透明電極
31a 透明電極部(電極)
28、33、39 空乏層
30、30a、30b ミラー素子
35 透明電極
35a 透明電極部(第2電極)
36 透明電極
36a 透明電極部(第1電極)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラー素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、反射ミラーを機械的に駆動させることにより光の反射方向を変化させるミラー素子が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
図24は、上記特許文献1に開示された従来のミラー素子の全体構成を示す斜視図である。図25および図26は、図24に示した従来のミラー素子の動作を説明する図である。図24〜図26を参照して、従来のミラー素子の構造および動作について説明する。
【0004】
上記特許文献1に開示されたミラー素子60は、基板51と、基板51上に配置された下部電極52および下部電極52に対して所定の間隔を隔てて対向するように配置された上部電極53と、反射ミラー54と、支柱柱55とを備えている。上部電極53の対角線上の2つの角部は、それぞれ、支持部56および57によって支持されている。反射ミラー54の端部54aは、上部電極53に回動可能に連結されている。また、反射ミラー54の中央部の下面は、支持柱55の上端部に当接されている。
【0005】
このミラー素子60の動作としては、下部電極52および上部電極53に電圧が印加されていない状態では、図25に示すように、下部電極52、上部電極53および反射ミラー54は、基板51の主表面と平行になる。また、下部電極52および上部電極53に電圧が印加されると、図26に示すように、下部電極52と上部電極53との間に引力が作用するので、上部電極53が、下部電極52の方向へと引き寄せられる。これにより、反射ミラー54の上部電極53に連結されている端部54aは、下方へと移動される。この場合、反射ミラー54の中央部の下面は、支柱柱55の先端部に当接されているため、反射ミラー54の上部電極53に連結されている端部54aと対向する端部54bは、上方へと移動される。したがって、反射ミラー54が傾斜するので、下部電極52および上部電極53の間に電圧を印加している状態と印加していない状態とで、反射ミラー54による光の反射方向が2方向に変更される。
【0006】
【特許文献1】特開2005−70091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1のミラー素子60では、上部電極53が、2本の支持部56および57のみによって支持されているとともに、機械的に動作する構造であるため、ミラー素子60に作用する衝撃などによって、ミラー素子60が破損し易いといった問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、破損を低減することが可能なミラー素子を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
この発明の一の局面によるミラー素子は、少なくとも主表面に第1導電型の不純物が導入された半導体基板と、半導体基板の主表面上に形成され、光を透過可能な電極とを備え、電極に電圧を印加することにより半導体基板による光の反射を制御する。
【0010】
この発明の一の局面によるミラー素子では、上記のように、少なくとも主表面に第1導電型の不純物が導入された半導体基板の主表面上に光を透過可能な電極を設けることによって、電極に半導体基板の主表面のキャリア(電子またはホール)を排除するような電圧を印加することにより電極の下の半導体基板の主表面に空乏層を形成することができるので、電極の下の半導体基板の主表面のキャリア(電子またはホール)を減少させることができる。これにより、電極に半導体基板の主表面のキャリア(電子またはホール)を排除するような電圧を印加した状態では、電極と半導体基板との界面による光の反射を抑制することができる。一方、電極に電圧を印加していない状態または半導体基板の主表面のキャリアを引き寄せるような電圧を電極に印加した状態では、半導体基板の主表面にキャリア(電子またはホール)が存在した状態になるので、電極を透過した光は、電極と半導体基板との界面で半導体基板の主表面のキャリアにより反射される。このように、本発明では、機械的な動作を行うことなく、電極への電圧の印加のみによって、電極に入射した光の反射を制御することができるので、ミラー素子の破損を低減することができる。
【0011】
上記一の局面によるミラー素子において、好ましくは、電極に印加される電圧は、電圧の印加によって半導体基板の主表面に空乏層が形成されるとともに、空乏層の厚みが、空乏層と空乏層以外の領域との界面で反射される光と、電極と半導体基板との界面で反射される光とが打ち消し合う厚みになるような電圧に設定される。このように構成すれば、電極に電圧を印加している状態では、半導体基板内に入射して、空乏層と空乏層以外との界面によって反射された光と、半導体基板と電極との界面で反射された光とが打ち消し合うので、電極に入射した光が電極の外へと出射されることをより抑制することができる。この結果、電極に入射した光の反射をより確実に制御することができる。
【0012】
上記一の局面によるミラー素子において、好ましくは、電極は、回折格子を構成するように半導体基板の表面上に配置されている。このように構成すれば、電極に電圧が印加されている状態では、電極の下に位置する半導体基板の主表面には空乏層が形成されるため、電極が形成されていない主表面の半導体基板の表面でのみ光が反射される。そして、各電極が形成されていない領域で反射された光が、それぞれの位相差によって強め合ったり弱め合ったりすることによって、明暗が交互に配列された格子状の回折線(回折光)を形成することができる。そして、回折線(回折光)は、入射角に対する反射角が異なるので、光の反射を容易に制御することができる。
【0013】
上記電極が回折格子を構成するように配置されているミラー素子において、好ましくは、回折格子を構成する電極は、第1の電圧が印加される第1電極と、第1の電圧とは印加方向が異なる第2の電圧が印加される第2電極とを含み、第1電極と第2電極とは、半導体基板の主表面上に、所定の間隔を隔てて交互に配置されている。このように構成すれば、第1電極に第1の電圧を印加することにより第1電極の下方の半導体基板の主表面に空乏層を形成した状態で、第2電極に第1の電圧とは印加方向が異なる第2の電圧を印加することによって、第2電極の下方の半導体基板の主表面にキャリアを集めることができる。これにより、第1電極に入射した光は、第1電極と半導体基板との界面に反射されることなく半導体基板に入射する。一方、第2電極に入射した光は、第2電極の下方の半導体基板の主表面に集められたキャリアによって、第2電極と半導体基板との界面でより多く反射される。この結果、回折による反射効率を向上させることができる。
【0014】
上記電極が回折格子を構成するように配置されているミラー素子において、好ましくは、電極間の間隔は、反射する光の波長に対応する間隔に設定されている。このように構成すれば、複数の波長の光に対応するように、電極間の間隔も複数設定することにより、複数の異なる波長の光の回折線(回折光)を同じ方向に形成することができる。
【0015】
上記一の局面によるミラー素子において、好ましくは、電極を含む複数のミラー素子部をさらに備え、複数のミラー素子部は、半導体基板の主表面上にマトリックス状に配置されており、各々のミラー素子部の電極には、それぞれ、トランジスタを介して電圧供給線が接続されている。このように構成すれば、マトリックス状に配置された複数のミラー素子部のうち、所望のミラー素子部のトランジスタをオン状態にして電圧を供給することができるので、所望のミラー素子部のみを反射するように制御することができる。これにより、ミラー素子部を用いて画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるミラー素子の全体構成を説明するための斜視図である。図2は、図1に示した第1実施形態のミラー素子の100−100線に沿った断面図である。図3は、本発明の第1実施形態によるミラー素子の回路構成図である。まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態によるミラー素子の構造について説明する。
【0018】
図1および図3に示すように、ミラー素子30は、n型SiC基板1の主表面上にマトリックス状に配置された複数のミラー素子部2を備えている。また、各ミラー素子部2の間には、ポリシリコンからなる複数のゲート線3と、ポリシリコンからなる複数の電圧供給線4とが、互いに直交する方向に延びるように配置されている。
【0019】
n型SiC基板1は、リン(P)が5×1018cm−3の不純物濃度でドープされることによりn+型の導電性を有している。また、SiCは、3.1の屈折率を有する。また、SiCは、3.0eVのバンドギャップを有するので、可視光(波長400nm〜800nm)によって、キャリアが励起されるのが抑制される。したがって、可視光によってn型SiC基板1内に自由電子およびホールが生成されるのが抑制される。
【0020】
図2に示すように、n型SiC基板1の主表面には、チャネル領域を挟むように、一対のp型のソース/ドレイン領域11および12が形成されている。n型SiC基板1のチャネル領域上には、ゲート絶縁膜13を介して、ポリシリコンからなるゲート電極14が形成されている。一対のp型のソース/ドレイン領域11および12と、ゲート絶縁膜13と、ゲート電極14とによって、pMOSトランジスタ10が形成されている。なお、ゲート電極14は、ゲート線3の一部である。n型SiC基板1の表面上のpMOSトランジスタ10が形成されていない領域には、約10nm〜約100nmの厚みおよび2.1の屈折率を有するITO(Indium Tin Oxide)からなる光を透過可能な透明電極15が形成されている。したがって、透明電極15とn型SiC基板1との間に電圧が印加されていない状態では、透明電極15の屈折率とn型SiC基板1の屈折率との違いによって、透明電極15に入射した光は、透明電極15とn型SiC基板1との界面で反射されるように構成されている。なお、透明電極15は、本発明の「電極」の一例である。また、隣接する透明電極15の間には、pMOSトランジスタ10の形成領域を覆うように、SiO2からなる層間絶縁膜18aが形成されている。この層間絶縁膜18aには、コンタクトホール24、25および26が形成されている。
【0021】
コンタクトホール24および25を介して、ソース/ドレイン領域12と透明電極15とを接続するポリシリコンからなる接続配線16が形成されている。また、コンタクトホール26を介して、電圧供給線4とソース/ドレイン領域11とを接続するポリシリコンからなる接続配線17が形成されている。接続配線16および17を覆うように、SiO2からなる層間絶縁膜18bが形成されている。層間絶縁膜18bの上面上には、約200nm〜約400nmの厚みを有するAlNからなる光吸収膜19が形成されている。この光吸収膜19は、透明電極15が形成された領域以外に入射した光を吸収する機能を有する。層間絶縁膜18aおよび18bによって、約200nm〜約400nmの厚みを有する2層構造の層間絶縁膜18が形成されている。
【0022】
図4および図5は、本発明の第1実施形態によるミラー素子の動作原理を説明する断面図である。次に、図4および図5を参照して、本発明の第1実施形態によるミラー素子の動作原理を説明する。なお、この第1実施形態では、所定の波長を有する光がn型SiC基板1に入射すると仮定する。
【0023】
図4に示すように、透明電極15とn型SiC基板1との間に電圧を印加していない状態または電子を引き寄せるような電圧を印加した状態では、透明電極15に入射した光Liは、透明電極15とn型SiC基板1との界面で、n型SiC基板1の主表面の電子により反射されて、光Lrが透明電極15の上面から出射される。
【0024】
一方、図5に示すように、透明電極15とn型SiC基板1との間に、透明電極15の電位がn型SiC基板1の電位よりも低くなるような電圧(n型SiC基板1の電子を排除するような電圧)が印加されている状態では、n型SiC基板1の電子が、透明電極15の下方のn型SiC基板1の主表面から排除されるように移動されて、透明電極15の下方のn型SiC基板1の主表面近傍に空乏層28が形成される。これにより、透明電極15に入射した光Liiの多くは、透明電極15とn型SiC基板1との界面で反射されることなく、n型SiC基板1内に入射される。また、n型SiC基板1に入射した光Liiのうち一部が空乏層28の下面で反射される。そして、空乏層28の下面で反射された光Lriは、再び透明電極15に入射する。
【0025】
ここで、透明電極15に印加される電圧は、空乏層から反射されて透明電極15に入射した光Lriの位相と、外部から透明電極15に入射した光Lisのうち透明電極15とn型SiC基板1との界面で反射された光Lrsの位相とが、半波長分ずれて互いに打ち消し合うような厚みの空乏層28が形成されるように設定されている。したがって、空乏層28の下面で反射された光Lriと、透明電極15とn型SiC基板1との界面で反射された光Lrsとが、互いに打ち消し合って、透明電極15から光が出射されることが抑制される。
【0026】
すなわち、図5に示した透明電極15に、n型SiC基板1の主表面の電子を排除する電圧を印加した状態では、透明電極15に入射した光LiiおよびLisは、電子の減少によって、透明電極15とn型SiC基板1との界面で半分程度反射される。さらに、透明電極15とn型SiC基板1との界面で反射された少ない光Lrsも、空乏層28の下面によって反射された光Lriによって打ち消される。これらにより、透明電極15にn型SiC基板1の主表面の電子を排除する電圧を印加した状態では、透明電極15に入射した光LiiおよびLisが、反射されて外部へ出射されることが抑制される。
【0027】
図6〜図11は、本発明の第1実施形態によるミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。次に、図1および図6〜図11を参照して、本発明の第1実施形態によるミラー素子の製造プロセスについて説明する。
【0028】
まず、リンイオンを約30keV〜約100keVの加速エネルギーおよび約1×1014cm−2〜約5×1015cm−2のドーズ量でイオン注入した後、約1700℃のAr雰囲気中で約30分間アニールすることにより、n型SiC基板1を形成する。次に、図6に示すように、スパッタ法を用いて、n型SiC基板1上に約10nm〜約100nmの厚みを有するITOからなる透明電極層15aを形成する。その後、フォトリソグラフィ技術を用いて、透明電極層15aの表面上の所定領域にレジスト膜22を形成する。そして、レジスト膜22をマスクとして、ヨウ化水素ガスによる反応性イオンエッチング技術を用いて、透明電極層15aをエッチングすることにより、図7に示すような、透明電極15を形成する。その後、レジスト膜22を除去する。
【0029】
次に、図8に示すように、SiO2からなるゲート絶縁膜13およびポリシリコンからなるゲート電極14を含むゲート線3を形成する。その後、ゲート電極14をマスクとして、ボロン(B)をn型SiC基板1にイオン注入することにより、一対のp型のソース/ドレイン領域11および12を形成する。これにより、pMOSトランジスタ10が完成する。
【0030】
次に、図9に示すように、TEOS(テトラエトキシシラン)によるプラズマCVD法を用いて、全面を覆うように、SiO2からなる層間絶縁膜18aを形成する。その後、透明電極15、ソース/ドレイン領域11および12上の層間絶縁膜18aの領域に、それぞれ、コンタクトホール24、25および26を形成する。その後、コンタクトホール24、25および26内と層間絶縁膜18a上とにポリシリコン層(図示せず)を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、そのポリシリコン層をパターニングすることによって、接続配線16および17と電圧供給線4(図1参照)とを形成する。
【0031】
次に、図10に示すように、TEOSによるプラズマCVD法を用いて、SiO2からなる層間絶縁膜18bを全面上に形成した後、スパッタ法を用いて、層間絶縁膜18b上にAlNからなる光吸収膜19を約200nm〜約400nmの厚みで形成する。この後、フォトリソグラフィ技術を用いて、光吸収膜19上の所定領域にレジスト膜27を形成する。その後、BCL3ガスによるエッチング技術を用いて、AlNからなる光吸収膜19をパターニングした後、C2F6ガスによるエッチング技術を用いて、SiO2からなる層間絶縁膜18aおよび18bをパターニングすることにより、図11に示される形状が得られる。その後、レジスト膜27を除去することによって、図2に示したような第1実施形態によるミラー素子30が完成する。
【0032】
第1実施形態では、上記のように、主表面にn型の不純物が導入されたn型SiC基板1の主表面上に光を透過可能な透明電極15を含むミラー素子部2を設けることによって、透明電極15にn型SiC基板1の主表面の電子を排除するような電圧を印加することにより透明電極15の下方のn型SiC基板1の主表面に空乏層28を形成することができるので、透明電極15の下方のn型SiC基板1の主表面の電子を減少させることができる。これにより、透明電極15にn型SiC基板1の主表面の電子を排除するような電圧を印加した状態では、透明電極15とn型SiC基板1との界面による光LiiおよびLisの反射を抑制することができる。
【0033】
さらに、上記第1実施形態では、透明電極15に印加された電圧を、n型SiC基板1の主表面に空乏層28が形成されるとともに、空乏層28の厚みが、空乏層28の空乏層28以外の領域との界面で反射される光Lriと、透明電極15とn型SiC基板1との界面で反射される光Lrsとが打ち消し合う厚みになるような電圧に設定することによって、n型SiC基板1内に入射して、空乏層28の下面によって反射された光Lriと、n型SiC基板1と透明電極15との界面で反射された光Lrsとが打ち消し合うので、透明電極15に入射した光LiiおよびLisが透明電極15の外へと出射されることをより抑制することができる。一方、透明電極15に電圧を印加していない状態またはn型SiC基板1の主表面の電子を引き寄せるような電圧を透明電極15に印加した状態では、n型SiC基板1の主表面に電子が存在した状態になるので、透明電極15を透過した光Liは、透明電極15とn型SiC基板1との界面でn型SiC基板1の主表面の電子により反射される。このように、本実施形態では、機械的な動作を行うことなく、透明電極15への電圧の印加のみによって透明電極15に入射した光Li、LiiおよびLisの反射を制御することができるので、ミラー素子30の破損を低減することができる。
【0034】
また、上記第1実施形態では、マトリックス状に配置された複数のミラー素子部2によって、所望のミラー素子部2のpMOSトランジスタ10をオン状態にして電圧を供給することができるので、所望のミラー素子部2によってのみ光Li、LiiおよびLisを反射するようにミラー素子部2を制御することができる。これにより、ミラー素子30を用いて画像を形成することができる。
【0035】
(第2実施形態)
図12は、本発明の第2実施形態によるミラー素子の全体構成を説明するための斜視図である。図13は、図12に示した第2実施形態のミラー素子の150−150線に沿った断面図である。図14は、本発明の第2実施形態によるミラー素子の回路構成図である。まず、図12〜図14を参照して、本発明の第2実施形態によるミラー素子の構造について説明する。
【0036】
図12に示すように、ミラー素子30aは、n型SiC基板1上にマトリックス状に配置された複数のミラー素子部2aを備えている。また、図14に示すように、R(赤)、G(緑)、B(青)の光を反射するミラー素子部2aがY方向に配列されている。また、各ミラー素子部2aの間には、ゲート線3および電圧供給線4が設けられている。
【0037】
また、各ミラー素子部2aは、回折格子を構成する5本の透明電極部31aと、5本の透明電極部31aを接続する電極接続部31bとを有するITOからなる透明電極31を含む。この透明電極部31aは、図13に示すように、n型SiC基板1の主表面の所定領域上に所定の間隔を隔てて形成されている。ここで、第2実施形態では、透明電極31に電圧を印加している際に、透明電極31とn型SiC基板1との界面での反射を防ぐために、ITOからなる透明電極31の屈折率とn型SiC基板1の空乏層33の屈折率とが等しくなるように、透明電極31を構成するITOの組成が設定されている。なお、透明電極部31aは、本発明の「電極」の一例である。
【0038】
また、第2実施形態では、RGBの各ミラー素子部2aの透明電極31は、波長の異なるRGBの光の反射方向を同じ方向にするために異なる電極幅および電極間隔を有する。具体的には、赤(R)色光を反射するためのミラー素子部2aの透明電極部31aは、約0.20μm〜約0.30μmの幅を有するとともに、隣接する透明電極部31aは、約0.20μm〜約0.30μmの間隔を有する。緑(G)色光を反射するためのミラー素子部2aの透明電極部31aは、約0.15μm〜約0.25μmの幅を有するとともに、隣接する透明電極部31aは、約0.15μm〜約0.25μmの間隔を有する。青(B)色光を反射するためのミラー素子部2aの透明電極部31aは、約0.10μm〜約0.20μmの幅を有するとともに、隣接する透明電極部31a間は、約0.10μm〜約0.20μmの間隔を有する。
【0039】
なお、n型SiC基板1と、ゲート線3と、電圧供給線4と、pMOSトランジスタ10と、接続配線16および17と、層間絶縁膜18と、光吸収膜19とは、上記第1実施形態と同様の構造を有する。
【0040】
図15および図16は、本発明の第2実施形態によるミラー素子の動作原理を説明する断面図である。次に、図15および図16を参照して、本発明の第2実施形態によるミラー素子の動作原理を説明する。
【0041】
図15に示すように、透明電極部31aとn型SiC基板1との間に電圧を印加していない場合は、透明電極部31aに入射角θiで入射した光Liは、透明電極部31aとn型SiC基板1との間の界面で、n型SiC基板1の主表面の電子により入射角θiと同じ反射角θrで反射されて、光Lrが透明電極部31aの上面から出射される。
【0042】
一方、図16に示すように、透明電極部31aとn型SiC基板1との間に、透明電極部31aの電位がn型SiC基板1の電位よりも低くなるような電圧(n型SiC基板1の電子を排除するような電圧)が印加されている状態では、n型SiC基板1の電子が、透明電極部31aの下方のn型SiC基板1の主表面から排除されるように移動されて、透明電極部31aの下方のn型SiC基板1の主表面近傍に空乏層33が形成される。これにより、透明電極部31aに入射した光Liiは、透明電極部31aとn型SiC基板1との界面で反射されることなくn型SiC基板1内に入射される。また、透明電極部31aが形成されていないn型SiC基板1の主表面に入射した光Lisは、n型SiC基板1の上面で反射される。そして、n型SiC基板1の表面で反射される光として、入射した光Lisの入射角θiと同じ反射角θr0(=θr)の方向の光Lr0(0次光)のみならず、入射した光Lisの入射角θiよりも小さい反射角θriの方向の回折光Lr1(1次光)が含まれる。この回折光Lr1(1次光)は、隣接するn型SiC基板1の露出する面で反射された回折光が位相差によって強め合う位置に回折線(回折光)を形成し、その他の領域には回折光が弱め合って到達することがない。
【0043】
第2実施形態では、上記のように、透明電極部31aに電圧が印加されている状態では、透明電極部31aの下に位置するn型SiC基板1の主表面には空乏層33が形成されるため、透明電極部31aが形成されていない部分のn型SiC基板1の主表面でのみ光Lisが反射される。そして、その反射された光が、それぞれの位相差によって強め合ったり弱め合ったりすることにより、明暗が交互に配列された格子状の回折線(回折光)を形成することができる。さらに、透明電極部31aに電圧を印加した状態でのみ、入射角θiよりも小さい反射角θr1で反射される回折光Lr1(1次光)によって画像を形成することにより、透明電極部31aに電圧を印加している場合にのみ画像を形成することができる。また、各ミラー素子部2aの透明電極部31aの幅および間隔を、反射する色の光に対応させることにより、異なる色(波長)の光においても、回折線(回折光)のできる方向を同じ方向にすることができる。
【0044】
(第3実施形態)
図17は、本発明の第3実施形態によるミラー素子の全体構成を説明する斜視図である。図18〜図20は、それぞれ、図17に示した第3実施形態のミラー素子の200−200線、210−210線および220−220線に沿った断面図である。図21は、本発明の第3実施形態によるミラー素子の回路構成図である。まず、図17〜図21を参照して、本発明の第3実施形態によるミラー素子の構造について説明する。
【0045】
図17および図21に示すように、ミラー素子30bは、n型SiC基板1上にマトリックス状に配置された複数のミラー素子部2bを備えている。また、図21に示すように、R(赤)、G(緑)、B(青)の光を反射するミラー素子部2bがY方向に配列されている。また、各ミラー素子部2bの間には、ゲート線3と、2本の電圧供給線4aおよび4bが設けられている。電圧供給線4aおよび電圧供給線4bには、それぞれ、n型SiC基板1を基準として、正負が逆の電圧が印加される。
【0046】
各ミラー素子部2bは、ITOからなる透明電極35および36を有する。透明電極35は、図17〜図19に示すように、5本の透明電極部35aと、5本の透明電極部35aを接続する電極接続部35bとを有する。また、透明電極36は、図17、図18および図20に示すように、5本の透明電極部36aと、5本の透明電極部36aを接続する電極接続部36bとを有する。ここで、第3実施形態では、透明電極36に電圧を印加した際に、透明電極36とn型SiC基板1との界面での光の反射を防ぐために、ITOからなる透明電極36の屈折率とn型SiC基板1の空乏層39の屈折率とが等しくなるように、透明電極36を構成するITOの組成が設定されている。なお、透明電極部36aは、本発明の「第1電極」の一例であり、透明電極部35aは、本発明の「第2電極」の一例である。図18〜図20に示すように、n型SiC基板1の主表面上には、透明電極部35aおよび36aと、電極接続部35bおよび36bとが形成されている。
【0047】
また、第3実施形態では、RGBの各ミラー素子部2bの透明電極35および36は、波長の異なるRGBの光の反射方向を同じ方向にするために異なる電極幅および電極間隔を有する。具体的には、赤(R)色光を反射するためのミラー素子部2bの各透明電極部35aおよび36aは、約0.10μmの幅を有するとともに、隣接する透明電極部35aおよび透明電極部36aは、約0.10μmの間隔を有する。緑(G)色光を反射するためのミラー素子部2bの各透明電極部35aおよび36aは、約0.075μmの幅を有するとともに、隣接する透明電極部35aおよび透明電極部36aは、約0.075μmの間隔を有する。青(b)色光を反射するためのミラー素子部2bの各透明電極部35aおよび36aは、約0.05μmの幅を有するとともに、隣接する透明電極部35aおよび透明電極部36aは、約0.05μmの間隔を有する。
【0048】
図19に示すように、各ミラー素子部2bの間には、pMOSトランジスタ10aが形成されている。なお、このpMOSトランジスタ10aは、チャネル領域を挟むように形成された一対のp型のソース/ドレイン領域11aおよび12aと、ゲート絶縁膜13aと、ゲート電極14aとにより構成されている。pMOSトランジスタ10aのp型のソース/ドレイン領域11aは、接続配線17aを介して電圧供給線4aに接続されている。pMOSトランジスタ10aのp型のソース/ドレイン領域12aは、接続配線16aを介して電極接続部35bに接続されている。pMOSトランジスタ10aのゲート電極14aは、ゲート線3の一部である。
【0049】
また、図20に示すように、各ミラー素子部2bの間には、pMOSトランジスタ10bが設けられている。このpMOSトランジスタ10bは、チャネル領域を挟むように形成された一対のp型のソース/ドレイン領域11bおよび12bと、ゲート絶縁膜13bと、ゲート電極14bとにより構成されている。pMOSトランジスタ10bのp型のソース/ドレイン領域11bは、接続配線17bを介して電圧供給線4bに接続されている。pMOSトランジスタ10bのp型のソース/ドレイン領域12bは、接続配線16bを介して電極接続部36bに接続されている。pMOSトランジスタ10bのゲート電極14bは、ゲート線3の一部である。
【0050】
なお、n型SiC基板1と、ゲート線3と、層間絶縁膜18と、光吸収膜19とは、上記第1実施形態と同様の構造を有する。
【0051】
図22および図23は、本発明の第3実施形態によるミラー素子の動作原理を説明する断面図である。次に、図22および図23を参照して、本発明の第3実施形態によるミラー素子の動作原理を説明する。
【0052】
図22に示すように、透明電極部35aおよび36aと、n型SiC基板1との間に電圧を印加していない状態では、透明電極部35aおよび36aに入射角θiで入射した光Liは、透明電極部35aおよび36aとn型SiC基板1との間の界面で、n型SiC基板1の主表面の電子により入射角θiと同じ反射角θrで反射されて、光Lrが透明電極部35aおよび36aの上面から出射される。
【0053】
一方、図23に示すように、透明電極部35aとn型SiC基板1との間に、透明電極部35aの電位がn型SiC基板1の電位よりも高くなるような電圧(n型SiC基板1の電子を引き寄せるような電圧)が印加され、透明電極部36aとn型SiC基板1との間に、透明電極部36aの電位が低くなるような電圧(n型SiC基板1の電子を排除するような電圧)が印加されている状態では、透明電極部35aの下方のn型SiC基板1の主表面には、電子が引き寄せられ、透明電極部36aの下方のn型SiC基板1の主表面では、n型SiC基板1内の電子が透明電極部36aから排除される。これにより、透明電極部36aの下のn型SiC基板1の主表面には、空乏層39が形成される。
【0054】
この場合、透明電極部35aに入射した光Lisは、透明電極部35aの下のn型SiC基板1の主表面に電子が引き寄せられて増加しているので、透明電極部35aとn型SiC基板1との界面で多くの光Lisが反射されて、透明電極部35aから光が出射される。一方、透明電極部36aに入射した光Liiは、透明電極部36aの下方のn型SiC基板1の主表面に空乏層39が形成されて電子が減少しているので、透明電極部36aとn型SiC基板1との界面で反射されることなく、n型SiC基板1内に入射される。
【0055】
そして、透明電極部35aに入射して反射された光は、入射した光Lisの入射角θi同じ反射角θr0(=θr)の光Lr0のみならず、入射した光Lisの入射角θiよりも小さい反射角θriの方向の回折光Lr1(1次光)が含まれる。この回折光Lr1(1次光)は、隣接する透明電極部35aとn型SiC基板1との界面で反射された回折光が位相差によって強め合う位置に回折線(回折光)を形成し、その他の領域には回折光が弱め合って到達することがない。
【0056】
第3実施形態では、上記のように、透明電極部35aおよび36aに電圧を印加している状態では、透明電極部35aの電位がn型SiC基板1の電位よりも高くなるように、透明電極部35aに電圧を印加することによって、透明電極部35aの下方のn型SiC基板1の主表面には、電子が引き寄せられるので、透明電極部35aとn型SiC基板1との界面では、透明電極部35aの下方のn型SiC基板1の主表面に集められた電子によってより多くの光Lisが反射される。この結果、回折による反射効率を向上させることができる。
【0057】
第3実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
【0058】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0059】
たとえば、上記第1実施形態では、透明電極15とn型SiC基板1との界面で反射された光Lrsと、空乏層28の下面で反射された光Lriとが、位相が半波長ずれて互いに完全に打ち消し合うように空乏層28の厚みを設定したが、本発明はこれに限らず、位相を半波長以外のずれ量でずらして、透明電極とn型SiC基板との界面で反射される光Lrsと空乏層の下面で反射される光Lriとが完全ではなく、部分的に打ち消し合うような空乏層の厚みに設定してもよい。また、透明電極に電圧を印加した際に、透明電極の屈折率とn型SiC基板の空乏層の屈折率とが同じになるように、透明電極を構成するITOの組成を設定して、空乏層の厚みを自由に設定してもよい。
【0060】
また、上記第1実施形態では、空乏層28の厚みを反射する光の色に関係なく設定する例を示したが、本発明はこれに限らず、反射する光の色(波長)に対応させて空乏層の厚みを設定してもよい。このように空乏層の厚みを変える場合、透明電極に印加する電圧は一定で、反射する光の色(波長)毎にn型SiC基板の空乏層形成領域の不純物濃度などを変えることにより、空乏層の厚みを変えてもよい。
【0061】
また、上記第2および第3実施形態では、形成される空乏層33および39の厚みを考慮せずに透明電極31および36に電圧を印加する例を示したが、本発明はこれに限らず、上記第1実施形態と同様に、透明電極部31aおよび36aとn型SiC基板1との界面で反射する光と空乏層33および39の下面で反射する光とが、位相差によって打ち消し合うように、空乏層33および39の厚みを設定できる電圧を透明電極31および36に印加してもよい。また、空乏層の厚みを、n型SiC基板の不純物濃度などによって設定してもよい。なお、各ミラー素子部の空乏層の厚みは、反射する光の波長に合わせて、異なる厚みに設定するのが好ましい。
【0062】
また、上記第2実施形態では、1つのミラー素子部2aに5本の透明電極部31aが形成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、2本以上の透明電極部が形成されていればよい。
【0063】
また、上記第3実施形態では、1つのミラー素子部2bに5本の透明電極部35aと、5本の透明電極部36aとが形成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、2本以上の透明電極部35aおよび2本以上の透明電極部36aが形成されていればよい。また、透明電極部35aと透明電極部36aとが同数でなくてもよい。
【0064】
また、上記第1〜第3実施形態では、ITOからなる透明電極15、31、35および36を用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、ITO以外の材料(たとえば、ZnO)からなる光を透過可能な電極を適用することができる。また、金(Au)を光を透過可能な薄い厚みを有するように形成したものを電極として用いてもよい。
【0065】
また、上記第1〜第3実施形態では、n型SiC基板1を用いて電子により光を反射する例を示したが、本発明はこれに限らず、p型の半導体基板を使用して、ホールにより光を反射してもよい。また、SiC基板のみならず、その他の半導体基板を用いてもよい。なお、他の半導体基板を用いる場合には、入射光によってキャリアが生成されるのを抑制するために、バンドギャップが大きい半導体からなる基板を用いるのが好ましい。
【0066】
また、上記第1実施形態では、所定の波長を有する入射光が入射する場合に、その入射光を反射するかしないかを制御するように使用する例を示したが、本発明はこれに限らず、異なる波長の光を含む自然光が入射する場合に、特定の波長の光のみを反射しないように、空乏層の厚みを制御するように使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1実施形態によるミラー素子の全体構成を説明するための斜視図である。
【図2】図1に示した第1実施形態のミラー素子の100−100線に沿った断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるミラー素子の回路構成図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるミラー素子の動作原理を説明するための断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるミラー素子の動作原理を説明するための断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態によるミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態によるミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態によるミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態によるミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図10】本発明の第1実施形態によるミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態によるミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態によるミラー素子の全体構成を説明するための斜視図である。
【図13】図12に示した第2実施形態のミラー素子の150−150線に沿った断面図である。
【図14】本発明の第2実施形態によるミラー素子の回路構成図である。
【図15】本発明の第2実施形態によるミラー素子の動作原理を説明するための断面図である。
【図16】本発明の第2実施形態によるミラー素子の動作原理を説明するための断面図である。
【図17】本発明の第3実施形態によるミラー素子の全体構成を説明するための斜視図である。
【図18】図17に示した第3実施形態のミラー素子の200−200線に沿った断面図である。
【図19】図17に示した第3実施形態のミラー素子の210−210線に沿った断面図である。
【図20】図17に示した第3実施形態のミラー素子の220−220線に沿った断面図である。
【図21】本発明の第3実施形態によるミラー素子の回路構成図である。
【図22】本発明の第3実施形態によるミラー素子の動作原理を説明するための断面図である。
【図23】本発明の第3実施形態によるミラー素子の動作原理を説明するための断面図である。
【図24】従来のミラー素子の全体構成を示す斜視図である。
【図25】従来のミラー素子の動作を説明する側面図である。
【図26】図24に示した従来のミラー素子の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0068】
1 n型SiC基板(半導体基板)
2、2a、2b ミラー素子部
10、10a、10b pMOSトランジスタ
15、31 透明電極(電極)
31 透明電極
31a 透明電極部(電極)
28、33、39 空乏層
30、30a、30b ミラー素子
35 透明電極
35a 透明電極部(第2電極)
36 透明電極
36a 透明電極部(第1電極)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも主表面に第1導電型の不純物が導入された半導体基板と、
前記半導体基板の主表面上に形成され、光を透過可能な電極とを備え、
前記電極に電圧を印加することにより前記半導体基板による光の反射を制御する、ミラー素子。
【請求項2】
前記電極に印加される電圧は、前記電圧の印加によって前記半導体基板の主表面に空乏層が形成されるとともに、前記空乏層の厚みが、前記空乏層と前記空乏層以外の領域との界面で反射される光と、前記電極と前記半導体基板との界面で反射される光とが打ち消し合う厚みになるような電圧に設定される、請求項1に記載のミラー素子。
【請求項3】
前記電極は、回折格子を構成するように前記半導体基板の表面上に配置されている、請求項1または2のいずれかに記載のミラー素子。
【請求項4】
前記回折格子を構成する電極は、第1の電圧が印加される第1電極と、前記第1の電圧とは印加方向が異なる第2の電圧が印加される第2電極とを含み、
前記第1電極と前記第2電極とは、前記半導体基板の主表面上に、所定の間隔を隔てて交互に配置されている、請求項3に記載のミラー素子。
【請求項5】
前記電極間の間隔は、反射する光の波長に対応する間隔に設定されている、請求項3または4に記載のミラー素子。
【請求項6】
前記電極を含む複数のミラー素子部をさらに備え、
前記複数のミラー素子部は、前記半導体基板の主表面上にマトリックス状に配置されており、
各々の前記ミラー素子部の電極には、それぞれ、トランジスタを介して電圧供給線が接続されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のミラー素子。
【請求項1】
少なくとも主表面に第1導電型の不純物が導入された半導体基板と、
前記半導体基板の主表面上に形成され、光を透過可能な電極とを備え、
前記電極に電圧を印加することにより前記半導体基板による光の反射を制御する、ミラー素子。
【請求項2】
前記電極に印加される電圧は、前記電圧の印加によって前記半導体基板の主表面に空乏層が形成されるとともに、前記空乏層の厚みが、前記空乏層と前記空乏層以外の領域との界面で反射される光と、前記電極と前記半導体基板との界面で反射される光とが打ち消し合う厚みになるような電圧に設定される、請求項1に記載のミラー素子。
【請求項3】
前記電極は、回折格子を構成するように前記半導体基板の表面上に配置されている、請求項1または2のいずれかに記載のミラー素子。
【請求項4】
前記回折格子を構成する電極は、第1の電圧が印加される第1電極と、前記第1の電圧とは印加方向が異なる第2の電圧が印加される第2電極とを含み、
前記第1電極と前記第2電極とは、前記半導体基板の主表面上に、所定の間隔を隔てて交互に配置されている、請求項3に記載のミラー素子。
【請求項5】
前記電極間の間隔は、反射する光の波長に対応する間隔に設定されている、請求項3または4に記載のミラー素子。
【請求項6】
前記電極を含む複数のミラー素子部をさらに備え、
前記複数のミラー素子部は、前記半導体基板の主表面上にマトリックス状に配置されており、
各々の前記ミラー素子部の電極には、それぞれ、トランジスタを介して電圧供給線が接続されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のミラー素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2007−57950(P2007−57950A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244474(P2005−244474)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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