説明

メタノール合成用システム及び方法

軽質炭化水素含有供給源ガスからのメタノール合成システム及び方法。該システムは供給源ガス供給用炭化水素ガス供給部(3);酸素含有流体供給用酸素供給部(1);炭化水素ガス供給部(3)からの供給源ガスと酸素供給部(1)からの酸素含有流体とを受けるように配置されると共に、供給源ガスと酸素含有流体とから合成ガス含有反応中間体生成物を製造し、かつ該中間体生成物を排出するように配置されたガス化反応器形態の合成ガス反応器(2);合成ガス反応器からの該中間体生成物の少なくとも一部を受けるように配置されると共に、該中間体生成物をメタノール形成反応によって反応させて少なくともメタノールを製造するように配置され、形成されたメタノール排出用メタノール出口(11)とオフガス排出用出口(12)とを有するメタノール反応器(5)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、軽質炭化水素を含有する供給源ガスからメタノールを合成するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本明細書の目的で、“軽質炭化水素”とは、炭素原子数が1、2又は3の炭化水素分子を包含するのに使用した用語である。軽質炭化水素の具体例は、メタン、エタン及びプロパンである。
【0003】
更に特に本発明は、天然ガスからメタノールを合成するシステム及び方法に関する。
CO、CO及びHを含有する混合物である合成ガスは、公知の接触方法により反応させて、メタノールを製造できる。
【0004】
軽質炭化水素からメタノール合成用の合成ガスを製造する方法は幾つかある。WO 98/28248には、メタンの水蒸気改質が開示されている。水蒸気改質で製造された合成ガスは、接触メタノール反応に必要な量よりも、CO及びCOに比べて多くのHを含有する。この合成ガス混合物は、水素豊富流と、炭素酸化物及びメタンを含む水素欠乏流とに分離される。水素豊富流中のHは、水蒸気改質反応にエネルギーを供給するため、燃焼され、一方、水素欠乏流は水蒸気改質帯に再循環される。
【0005】
他の公知のメタノール製造用合成ガス形成方法は自熱改質である。この方法による合成ガスは、接触メタノール反応に必要な量よりも、Hに比べて多くのCO及びCOを含有する。
【0006】
これら公知の方法は、約25〜40バールの圧力で合成ガスを生成する。しかし、引続くメタノール反応には、適度な効率を得るため、更に高圧を必要とする。
【0007】
US−A−5496859には、合成ガスからのメタノールの製造方法が記載されている。この合成ガスは、天然ガスの非接触部分酸化と天然ガスのガス加熱水蒸気改質との組合わせにより製造される。このような組合せを使用することにより、明細書に規定されたとおりの、メタノール合成反応に必要な水素対一酸化炭素のモル比が得られる。
【0008】
EP−A−111376には合成ガスからのメタノールの製造方法が記載されている。この合成ガス混合物は、メタン、エタン、プロパン又はそれらの混合物の非接触部分酸化により製造される。メタノール合成工程の流出流からメタノールが単離される。残りの混合物からは、メタノール合成圧で洗浄することにより、二酸化炭素が部分的に除去される。この二酸化炭素欠乏ガス混合物は、メタノール合成工程に再循環される。この方法では、明細書に規定したとおりの、メタノール反応を実施するのに必要な水素対一酸化炭素モル比が得られる。明細書によれば、この方法は水蒸気改質器を必要としないので、有利である。
【0009】
EP−A−111376の方法の利点は、US−A−5496859の方法の場合のような水蒸気改質器を必要としないことである。US−A−5496859のように、ガス化反応器を水蒸気改質反応器と組合わせるのは簡単ではない。EP−A−111376の方法の欠点は、メタノール合成工程の下流に比較的複雑な分離方法を適用することである。この分離方法は、洗浄と再循環とを併用するので複雑化することである。
【特許文献1】WO 98/28248
【特許文献2】US−A−5496859
【特許文献3】EP−A−111376
【非特許文献1】Ch.Higman及びM.van der Burgtによる“Gasification”,Elsevier Science,2003(ISBN 0−7506−7707−4)128〜140頁
【非特許文献2】Phoenex AZにおけるCMAI World Methanol Conference 2003でのWolfgang Hilsebeinによる論文“Syngas Technologies for Mega Methanol Plant”
【非特許文献3】Ch.Higman及びM.van der Burgtによる“Gasification”,Elsevier Science,2003(ISBN 0−7506−7707−4)310〜311頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、EP−A−111376の方法における欠点を解消したメタノールの簡単な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
本発明は、軽質炭化水素含有供給源ガスからメタノールを合成するシステムを提供する。この合成システムは、
軽質炭化水素含有供給源ガスからメタノールを合成するシステムにおいて、
軽質炭化水素含有供給源ガスを供給するための炭化水素ガス供給部;
酸素含有流体を供給するための酸素供給部;
該炭化水素ガス供給部からの供給源ガス及び該酸素供給部からの酸素含有流体を受けるために配置されると共に、供給源ガス及び酸素含有流体から、合成ガス含有反応中間体生成物を製造し、かつ該反応中間体生成物を排出するために配置された合成ガス反応器;
該合成ガス反応器からの反応中間体生成物の少なくとも一分画を受けるために配置されると共に、反応中間体生成物を、メタノール形成反応によって反応させて、少なくともメタノールを製造するために配置されたメタノール反応器であって、形成されたメタノールの排出用メタノール出口及びオフガスの排出用出口を備えた該メタノール反応器;
を備え、これにより合成ガス反応器は、ガス化反応器を含有し、炭化水素ガス供給部とメタノール出口間にはガス流路が延び、該ガス流路は、流れ方向に少なくとも炭化水素ガス供給部、合成ガス反応器、メタノール反応器及びメタノール出口を通り、かつ該合成システムは、更に
含有がスを、メタノール反応器の上流に、かつ合成ガス反応器の下流に配置されたH入口経由でガス流路中に噴射するためのH供給システム;
オフガス出口経由で排出されるオフガスの少なくとも一分画を受けると共に、分離されたHを該H供給システム中に排出するために配置された、H分離器としての圧力スイング吸収器;
を備える。
【0012】
他の態様では、本発明は、
炭化水素ガス供給部から軽質炭化水素含有供給源ガスを抽出する工程;
該供給源ガスからの軽質炭化水素を酸素と合成ガス形成反応により反応させて、合成ガス含有反応中間体生成物を製造する工程;
該反応中間体生成物の少なくとも一分画をメタノール形成反応により反応させて、メタノールを製造すると共に、H含有オフガスも製造する工程;
該メタノール形成反応の下流にあるメタノール出口及びオフガス出口経由でメタノール及びオフガスを排出する工程であって、これにより該合成ガス形成反応がガス化を含む該工程;
該オフガスの少なくとも一部からHを分離する工程:
該炭化水素ガス供給部とメタノール出口間に延びるガス流路中に、分離されたHを噴射する工程:
を含む、軽質炭化水素含有供給源ガスからメタノールを合成する方法を提供する。
【0013】
ガス化は、水蒸気を供給源ガスに対し、通常、10%未満の量で添加してもよいが、有利には本質的に水蒸気を必要としない非接触部分酸化方法である。ガス化反応器又はガス化器は、ガス化を行う反応器である。
【発明の効果】
【0014】
メタノール合成の反応中間体生成物として、合成ガスを生成するガス化の利点は、反応中間体生成物を60バールよりも高い圧力、好ましくは約80バールの高圧で排出できることである。その結果、合成ガス反応器とメタノール反応器間で合成ガスをメタノール反応器に望ましい圧力にするのに、圧縮器を軽く作動させるだけでよいか、更には圧縮器がなくてもよい。またガス化では、メタン、窒素及びアルゴンのような不活性成分は比較的少量生成するので、メタノール反応は効率的に促進される。更に、ガス化器で得られるCO/CO比については、CO値の点で非常に都合がよい。これは、プロセスに水蒸気を添加しないか、ほんの僅かしか添加しないので、水性ガスシフト平衡においてCOが非常に制限された量でしか形成されないからである。COからメタノールを形成するよりもCOからメタノールを形成する方が効率的なので、CO/CO比は高い方が有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図面の簡単な説明
以下、本発明を、添付図面を参照して、詳細に例示により説明する。
図1は、本発明システムの一実施態様の概略図である。
図2は、本発明システムの他の一実施態様の概略図である。
図3は、本発明システム及び方法の概略フローダイヤグラムである。
【0016】
発明の詳細な説明
本合成システムを更に改良するため、合成システムは任意に更に、
含有がスを、メタノール反応器の上流に、かつ合成ガス反応器の下流に配置されたH入口経由でガス流路中に噴射するためのH供給システム;
オフガス出口経由で排出されるオフガスの少なくとも一分画を受けると共に、分離されたHを該H供給システム中に排出するために配置されたH分離器;
を備えることができ、これにより炭化水素ガス供給部とメタノール出口間にはガス流路が延び、該ガス流路は、流れ方向に少なくとも炭化水素ガス供給部、合成ガス反応器、メタノール反応器及びメタノール出口を通ることができる。
【0017】
こうして、合成ガスの組成は、メタノール形成反応に理想的な化学量論比に適合させるため、最適化される。オフガスから分離されたHは、メタノール反応器でのメタノール反応に望ましい圧力とほぼ同じ圧力で排出できるのは有利である。
【0018】
入口は、合成ガス反応器下流の最善の位置にあるので、合成ガス反応器での反応を妨害しない。また、この反応温度に加熱する必要もない。オフガスからのHを合成ガス中に再噴射すると、化学量論数を2.0〜2.1の範囲にできることが見い出された。
【0019】
本発明の一実施態様では、メタノール反応器は単一パス反応器である。これは、メタノール合成プロセスにおいて内部再循環を使用していないことを意味する。内部再循環を使用しない利点は、メタノール反応器での不活性成分の蓄積を最小化できることである。
【0020】
図面の詳細な説明
図において、同様な符号は、同様な部品に関連する。
図1及び図2にメタノール合成用システムを概略的に示す。酸素供給部は、空気分離ユニット(ASU)1の形態で用意される。合成ガス反応器は、ガス化器2の形態で用意され、空気分離ユニット1の酸素含有出口流を受けるように配置される。出口流中のO含有量は、通常、99%より多くてよい。
【0021】
ガス化器2も軽質炭化水素含有供給源ガスを受ける。供給源ガスは、天然ガス流3の形態で用意できる。ガス化器は、耐火性内張り容器であってよい。ガス化器は、燃料と酸素と適切な混合を保証するために設計された同心(co−)環状バーナーを備える。ガス化効率を向上するため、ガス化供給源ガス予備加熱器(図示せず)を任意に用意できる。ガス化の詳細については、Ch.Higman及びM.van der Burgtによる教本“Gasification”,Elsevier Science,2003(ISBN 0−7506−7707−4)128〜140頁参照。
【0022】
更に図1及び図2では、ガス化器2からの合成ガスは、中間反応生成物として、合成ガス冷却器17経由でライン4から排出され、任意のガス浄化ユニット6経由でメタノール製造用のメタノール反応器5に供給される。任意のガス浄化ユニット6は、特にスクラバー、湿式(wet)スクラバー、フィルター又はそれらの組合わせを備えることができる。メタノール反応器5は、恒温型又は断熱型のいずれかのような、公知のいかなる種類のものでもよい。好適なメタノール反応器は、Johnson Matthey(以前はSynetix)又はLurgiから入手できる。
【0023】
合成ガス用のライン4には、圧縮器を備える必要がないことに注目。
合成ガス反応器から排出された合成ガスは、少なくともH、CO及びCOを含有する。メタノール形成反応に対する合成ガス組成の適性は、合成ガスの化学量論数SNで表される。ここで合成ガスのSNは、モル含有量[H]、[CO]及び[CO]で表して、SN=([H]−[CO])/([CO]+[CO])である。供給源ガスのガス化により製造された合成ガスの化学量論数は2未満であり、通常は1.5〜1.8の範囲であることが見い出された。この値は、メタノール形成反応でメタノールを生成するのに理想的な化学量論比である約2.05よりも低い。以下に検討するように、メタノール合成のオフガスから分離された水素を合成ループ内に再循環すると、SNを増大することができる。
【0024】
以下の第I表に、水蒸気改質法(SMR)で製造した合成ガスと、自熱改質法(ATR)で製造した合成ガスと、ガス化法(SGP)で製造した合成ガスとを比較して示す。これらの数値は、酸素添加の平衡計算及び最適化により得られる。温度及び圧力のようなATR及びSMRのパラメーターは一般的であり、Phoenex AZにおけるCMAI World Methanol Conference 2003でWolfgang Hilsebeinが提出した論文“Syngas Technologies for Mega Methanol Plant”参照。
【0025】
【表1】

【0026】
表中、水蒸気/炭素比は、炭化水素中の水蒸気対炭素原子のモル比として定義される。第I表から明らかなように、CO/CO比が高く、SNは2より余り低くなく、圧力は60バールを超え、メタン、窒素及びアルゴンを含む不活性成分のレベルが低いなど、幾つかの有利な特性がある。軽質炭化水素のガス化により製造された合成ガスのこれら有利な特性は、制限された再循環しか用いないで、メタノールを製造するのに有利である。
こうして、メタノール合成に必要な圧力又はこれに近い圧力で合成ガスを製造でき、しかも水蒸気改質工程を含まない方法が提供される。
【0027】
メタノール反応器5は、該反応器5内の圧力低下を補償するためのメタノール再循環圧縮器8を含む内部再循環ループ7(図1に示す)を任意に備えることができる。しかし、図2に示すような単一パス反応器は、メタノール反応器中に不活性成分の蓄積が一層少ないという利点がある。単一パス反応器又はメタノール反応方法は、メタノール合成工程又はメタノール反応器の原料中に存在する合計炭素に対して計算して、一酸化炭素及び二酸化炭素として再循環された炭素の含有量が好ましくは15モル%未満、更に好ましくは2モル%未満である方法として定義される。
【0028】
メタノール反応器の下流端部は、ライン9経由で気液分離器10に接続している。気液分離器は、メタノール反応器5中に生成したメタノールの排出用メタノール出口11と、メタノール反応器5から出てくるオフガスの排出用オフガス出口12とを有する。
【0029】
オフガス出口12は、H分離器14に接続され、H分離器は、オフガス出口から排出されるオフガスの少なくとも一分画を受けると共に、受けたオフガスからHを分離するために配置されている。ライン15は、H分離器からの水素豊富流を運ぶラインで、H入口経由でライン4に接続している。こうして、水素含有ガスは、メタノール反応器上流の合成ガス中に噴射される。
【0030】
圧力スイング吸収器(PSA)は、好適なH分離器を形成する。PSA式分離法は周知で、例えば前述のCh.Higman及びM.van der Burgtによる教本“Gasification”,Elsevier Science,2003(ISBN 0−7506−7707−4)310〜311頁に記載されている。PSAの利点は、Hの純粋流が得られる一方、不活性ガスを含む他のガスはこのサイクルから除去されることである。こうして、本発明のシステム及び方法を用いてメタノールに転化できる供給源ガスの品質に対し高い許容度が得られる。更に、PSA内の水素圧力の低下が少ないので、このHを、任意に備えた圧縮器16により適度の再圧縮だけで合成ループにフィードバックできる。
【0031】
メタノール形成反応でのオフガスの少なくとも一部から分離される水素の純度は、好ましくは90モル%より高く、更に好ましくは95モル%より高く、なお更に好ましくは99モル%より高い。オフガスの少なくとも一部からの水素の分離は、圧力スイング吸収法で行うことが好ましい。水素がPSA中で得られる圧力は、60バールより高いことが好ましい。PSAは、PSAの操作で通常、適用される圧力よりも高い圧力で操作するのが好ましいことが見い出された。こうして得られる水素の若干低い圧力及び純度も、更なる再圧縮が省略できるか、或いはメタノール合成圧力を得るため、水素に対し小さい再圧縮工程が使用できるので、補償される。
【0032】
膜分離器又は冷却箱分離器も使用できるが、分離したHを合成ループ中に噴射する前に、もっと再圧縮する必要がある。
供給源ガスの品質によっては、更にH含有量を多くするには、H分離器の上流にシフト反応器を必要とするかも知れない。
本システムは、排出されたメタノールを精製するため、1つ以上の蒸留塔13のような、排出メタノールを更に処理する手段を任意に備える。
【0033】
ガス化器2でのガス化は、60〜80バールの圧力、好ましくは80バールに近い圧力、及び約1300〜1400℃の温度で行われる。次に、反応器の熱流出流は、合成ガス冷却器17中で約350℃まで冷却される。合成ガス冷却器では、約100バール以下の圧力で飽和水蒸気が作られる。飽和水蒸気は、酸素の予備加熱、及び任意に供給源ガスの予備加熱に使用される。
【0034】
メタノール形成反応は、30〜150バール、例えば75バールの圧力及び200〜320℃、例えば230℃の温度で行われる。PSAでの水素の回収は、例えば60バールで行なえる。
【0035】
図3は、プロセスフローの概略図である。対応する第II表には、計算した組成及び図3で文字a〜iで示すラインを通る流量も示す。計算は、供給源ガスとして、特に高濃度のNを含む低品質低価格の天然ガスについて行った。
【0036】
d欄とe欄とを比べると、水素再循環流iの噴射によりSNは、1.1から2.01に高まったことが判る。また、ここではメタノール合成は一回通し(once through)法とみなされるので、流れg中の不活性成分は流れh経由で合成ループから効率的に除去されたことも判る。
【0037】
結局、前述のような条件に対し、ガス化による部分酸化を採用すると、意外にも非常に魅力的なメタノール製造方法が得られた。メタノール合成は一回通し法で可能であり、また本システムの好ましい実施態様では、>2のSNは、新しい合成ガスを再循環水素と配合するだけで達成できるので、合成ガス圧縮器もシフト反応器も必要としない。本発明者らが知る限りではガス化に独特のこのような比較的簡単なシステムが軽質炭化水素含有供給源ガスからメタノールの合成に必要な条件を正確に与えるとは意外である。
【0038】
ガス化は、高温高圧で水蒸気の添加なく運転できる。水蒸気の少量添加は、昇温相中のコークス形成の可能性及び煤の生成を防止するのに有益であるかも知れないが、水蒸気がガス化温度に達するまで更に燃料を燃焼させる必要があるので、合成ガス中のCO/CO比や本方法の酸素消費量にも悪影響を及ばす。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明システムの一実施態様の概略図である。
【図2】本発明システムの他の一実施態様の概略図である。
【図3】本発明システム及び方法の概略フローダイヤグラムである。
【符号の説明】
【0040】
1 空気分離ユニット(酸素供給部として)
2 ガス化器(合成ガス反応器として)
3 天然ガス流(供給源ガスとして)
4 合成ガスライン
5 メタノール製造用メタノール反応器
6 合成ガス浄化ユニット
7 内部再循環ループ
8 メタノール再循環圧縮器
10 気液分離器
11 メタノール出口
12 オフガス出口
13 蒸留塔
14 圧力スイング吸収器(H分離器として)
15 水素豊富流運搬ライン
17 合成ガス冷却器
ASU 空気分離ユニット
PSA 圧力スイング吸収器
SGP ガス化方法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽質炭化水素含有供給源ガスからメタノールを合成するシステムにおいて、
軽質炭化水素含有供給源ガスを供給するための炭化水素ガス供給部;
酸素含有流体を供給するための酸素供給部;
該炭化水素ガス供給部からの供給源ガス及び該酸素供給部からの酸素含有流体を受けるために配置されると共に、供給源ガス及び酸素含有流体から、合成ガス含有反応中間体生成物を製造し、かつ該反応中間体生成物を排出するために配置された合成ガス反応器;
該合成ガス反応器からの反応中間体生成物の少なくとも一分画を受けるために配置されると共に、反応中間体生成物を、メタノール形成反応によって反応させて、少なくともメタノールを製造するために配置されたメタノール反応器であって、形成されたメタノールの排出用メタノール出口及びオフガスの排出用出口を備えた該メタノール反応器;
を備え、これにより合成ガス反応器は、ガス化反応器を含有し、炭化水素ガス供給部とメタノール出口間にはガス流路が延び、該ガス流路は、流れ方向に少なくとも炭化水素ガス供給部、合成ガス反応器、メタノール反応器及びメタノール出口を通り、かつ該合成システムは、更に
含有がスを、メタノール反応器の上流に、かつ合成ガス反応器の下流に配置されたH入口経由でガス流路中に噴射するためのH供給システム;
オフガス出口経由で排出されるオフガスの少なくとも一分画を受けると共に、分離されたHを該H供給システム中に排出するために配置された、H分離器としての圧力スイング吸収器;
を備えた該合成システム。
【請求項2】
前記合成ガス反応器から排出された合成ガスは、少なくともH、CO及びCOを、モル含有量[H]、[CO]及び[CO]についての関係([H]−[CO])/([CO]+[CO])がメタノール形成反応においてメタノールを形成するための化学量論比未満を満足するように含有する請求項1に記載の合成システム。
【請求項3】
前記酸素含有流体がガス状Oを含有するる請求項1又は2に記載の合成システム。
【請求項4】
前記メタノール反応器が単一バス反応器である請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成システム。
【請求項5】
炭化水素ガス供給部から軽質炭化水素含有供給源ガスを抽出する工程;
該供給源ガスからの軽質炭化水素を酸素と合成ガス形成反応により反応させて、合成ガス含有反応中間体生成物を製造する工程;
該反応中間体生成物の少なくとも一分画をメタノール形成反応により反応させて、メタノールを製造すると共に、H含有オフガスも製造する工程;
該メタノール形成反応の下流にあるメタノール出口及びオフガス出口経由でメタノール及びオフガスを排出する工程であって、これにより該合成ガス形成反応がガス化を含む該工程;
該オフガスの少なくとも一部からHを分離する工程:
該炭化水素ガス供給部とメタノール出口間に延びるガス流路中に、分離されたHを噴射する工程:
を含む、軽質炭化水素含有供給源ガスからメタノールを合成する方法。
【請求項6】
前記分離された水素の純度が90モル%より高い請求項5に記載の合成方法。
【請求項7】
前記分離された水素が、メタノール形成反応を行う前に、合成ガス含有反応中間体生成物中に噴射される請求項5又は6に記載の合成方法。
【請求項8】
前記オフガスの少なくとも一部からのHの分離が圧力スイング吸収法により行われる請求項5〜7のいずれか1項に記載の合成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−536347(P2007−536347A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512195(P2007−512195)
【出願日】平成17年5月4日(2005.5.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052043
【国際公開番号】WO2005/108336
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】