説明

メタルタッチ式クランプ管継手

【課題】クランプ管継手として、メタルタッチによる接続部の高剛性とOリングによる高いシール性が得られ、水平配管部でも液溜まりを生じず、洗浄不能な隙間ができず、隙間の滞留液の腐敗による逆汚染を完全に防止し得るものを提供する。
【解決手段】管体1,2の接続端面11,12同士を突き合わせ、接合したフランジ部1a,2aの外周にクランプバンド3を締着して接続固定するメタルタッチ式クランプ管継手であって、一方の管体1の接続端部の内周縁部に、管内周面10側から接続端面11側にわたって開放した環状溝4が形成され、環状溝4の内側溝縁に環状突縁部5を有し、環状溝4内に外周溝縁の径Φ3よりも大きいリング外径Φ1を有する円形断面のOリング7が嵌装され、両管体1,2の接続状態において、他方の管体2の接続端面12の押接によって圧縮されたOリング7の肉部が環状溝4の管内側に臨む開放部4aへ膨出し、膨出部7aの頂端が管内周面10と同レベル又は僅かに低くなるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管体のフランジ部を有する接続端部同士を突き合わせ、接合したフランジ部の外周にクランプバンドを巻装して締め付けることによって両管体を接続固定するメタルタッチ式クランプ管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、クランプ管継手では、管体のフランジ部を有する接続端部同士をメタルタッチ式では直接に、シールリング式では環状パッキングを介して突き合わせ、接合したフランジ部の外周にクランプバンドを巻装して締め付けるようになっている。
【0003】
そのシールリング式のクランプ管継手としては、図4(A)で示すように、接続する両管体21,22の端面の互いに対向する位置に各々環状凹部23を設け、環状パッキング40として全体が偏平リング状で両面に環状凸部41を有するものを用い、その環状凸部24aを両管体21,22の環状凹部23に嵌合することにより、両管体21,22の芯出して接合する構造が多用されている(特許文献1の図2)。そして、クランプバンド3は、図4(B)でも示すように、内周を溝形にした一対の略C字形のバンド半体31,32が一端側で枢軸33を介して相互に枢着されており、接合した両管体21,22のフランジ部21a,22aに両バンド半体31,32を外嵌させ、一方のバンド半体31の他端側の突片部31aに枢着した締付ボルト34を、他方のバンド半体32の他端側の突片部32aに貫通して、該締付ボルト34にナット35を螺合緊締することにより、両管体21,22を接合状態で固定するようになっている。なお、液状食品類、飲料、液状医薬品等に適用する環状パッキング40として、図示のように、弾性体としてのゴムからなる母材40aの表面に、ゴムによる着香防止と耐薬品性付与のためにフッ素系樹脂の被覆層40bを設けたものが規格化されている。
【0004】
しかしながら、このようなシールリング式のクランプ管継手では、特に水平配管での接続部において、両管体21,22の一方に上下方向の負荷が加わった場合に、図5(A)に示すように、環状パッキング40の弾性変形を伴って両管体21,22の軸心oが上下にずれて管内に段差を生じるため、下位側の管内底部に液溜まりPが発生する状態になる。また、同じく水平配管での接続部において、両管体21,22が熱膨張した場合でも、図5(B)に示すように、両側から押圧された環状パッキング40が圧縮変形して管内側へはみ出すため、やはり管内底部に該環状パッキング40のはみ出し部分42を堰として液溜まりPが発生する状態になる。従って、このような液溜まりPを生じ得る状況下で加熱スチームによる管内殺菌を行った際、液溜まりPに凝縮水が溜まることにより、昇温不足で滅菌不良を生じる懸念があると共に、これを回避するために殺菌時間を長くしたりスチーム供給量を増やすことで熱エネルギーコストが増大するという問題があった。
【0005】
一方、従来のメタルタッチ式のクランプ管継手では、管接合部のシール性が不充分であるため、内圧によって管接合部からの漏液を生じ易いという欠点があった。更に、シールリング式における環状パッキングを金属製としたり(特許文献2)、ノンパッキンで一方の管体端部の環状突起を他方の管体端部のテーパー部に圧着させるもの(特許文献1)が提案されている。しかるに、これら提案手段では、管内周面の段差や凹み、細部の隙間等を生じるため、封止持続性、液溜まり防止、隙間での腐敗防止等で充分な結果が得られないことが推測される。
【0006】
なお、図6で示すように、メタルタッチ式で接合する両管体51,52の一方の接続端面の内周寄りの位置に環状溝51aを設け、この環状溝51aにOリング53を嵌装することにより、メタルタッチの接続端面にOリング53によるシール性を負荷した管継手構造も考えられる。しかし、このような管継手構造では、Oリング53によるシール位置sが図示のように両管体51,52による圧縮部分になり、環状溝51aと管内を結ぶ隙間gから両側のシール位置sまでの空隙部50に取り扱い液が溜まったままになる上、該空隙部50まで洗浄が及ばないため、空隙部50の滞留液の腐敗物が管内に浸出して逆汚染を生じることが危惧される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−303894号公報
【特許文献2】特開2008−303895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みて、クランプ管継手として、メタルタッチによる接続部の高剛性とOリングによる高いシール性が得られ、外力に起因した両側管体の芯ずれによる段差が発生しない上、該Oリングの変形による管内へのはみ出しもなく、もって水平配管部でも液溜まりを生じることがなく、且つ洗浄不能な隙間ができず、隙間の滞留液の腐敗による逆汚染を完全に防止し得るものを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための手段を図面の参照符号を付して示せば、請求項1の発明は、管体1,2のフランジ部1a,2aを有する接続端面11,12同士を突き合わせ、接合したフランジ部1a,2aの外周にクランプバンド3を巻装して締め付けることによって両管体1,2を接続固定するメタルタッチ式クランプ管継手において、一方の管体1の接続端部の内周縁部に、管内周面10側から接続端面11側にわたって開放したOリング嵌装用の環状溝4が形成され、該環状溝4の内側溝縁に内周側を管内周面10と面一とした環状突縁部5を有し、環状溝4内に、その管軸o方向の深さdよりも大きい断面円径cで、且つ該環状溝4の外周溝縁の径Φ3よりも大きいリング外径Φ1を有する円形断面のOリング7が嵌装され、両管体1,2の接続状態において、他方の管体2の接続端面12の押接によって圧縮されたOリング7の肉部が環状溝4の管内側に臨む開放部4aへ膨出すると共に、その膨出部7aの頂端が管内周面10と同レベル又は僅かに低くなるように設定されていることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明は、上記請求項1のメタルタッチ式クランプ管継手において、環状溝4の外側溝縁の内周側が接続端面11側へ縮径する逆テーパー部6aをなすと共に、環状突縁部5の外周面が接続端面11側へ縮径するテーパー部6bをなし、これら逆テーパー部6aとテーパー部6bとの対向間隔wがOリングの断面円径cと略等しく設定されてなる構成としている。
【0011】
請求項3の発明は、上記請求項1又は2のメタルタッチ式クランプ管継手において、他方の管体2の接続端面12の半径方向中間部に環状凹部13を有すると共に、一方の管体1の接続端面11の半径方向中間部に環状凹部13に嵌合する環状凸部14を有してなる構成としている。
【0012】
請求項4の発明は、上記請求項1〜3の何れかのメタルタッチ式クランプ管継手において、両管体1,2の管軸oが水平方向に沿う構成としている。
【0013】
請求項5の発明は、上記請求項1〜4の何れかのメタルタッチ式クランプ管継手において、Oリング7がゴム弾性を有する母材70の表面にフッ素系樹脂の被覆層71を設けたものからなる構成としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明に係るメタルタッチ式クランプ管継手では、一方の管体1の接続端部の内周縁部に設けた環状溝4に、その管軸o方向の深さdよりも大きい径cの円形断面を有するOリング7を嵌装するが、他方の管体2の接続端面12の押接によって圧縮された該Oリング7の肉部が環状溝4の管内側に臨む開放部4aへ膨出すると共に、その膨出部7aの頂端が管内周面10と同レベル又は僅かに低くなるように設定されているから、該Oリング7による接続部の高いシール性が得られることに加え、メタルタッチによる接合部の高剛性によって外力に起因した両管体1,2の芯ずれによる段差が発生せず、且つ両管体1,2が熱膨張しても該Oリング7の更なる圧縮を生じないため、該Oリング7が管内へはみ出すように変形することはない。従って、このクランプ管継手によれば、水平配管部でも液溜まりを生じないから、加熱スチームによる管内殺菌を行った際、液溜まりに凝縮水が溜まって昇温不足による滅菌不良を生じる懸念はなく、効率よく確実に加熱殺菌を行えるから熱エネルギーコストが少なくて済む。
【0015】
また、Oリング7が該環状溝4の外周溝縁の径Φ3よりも大きいリング外径Φ1を有するから、両管体1,2の接続端部同士を突き合わせる前の状態で、環状溝4に嵌装したOリング7が脱落しにくく、それだけ接続操作が容易になる上、環状突縁部5によって環状溝4の管内側に臨む開放部4aの幅が狭まり、この狭まった開放部4aへ圧縮された該Oリング7が偏肉して膨出する形になるため、該Oリング7による両管体1,2間のシール位置sが該開放部4aの両側縁部近傍になり、もって洗浄不能な隙間ができず、隙間の滞留液の腐敗による逆汚染が防止される。
【0016】
請求項2の発明によれば、環状溝4の外側溝縁の内周側が接続端面11側へ縮径する逆テーパー部6aをなすと共に、環状突縁部5の外周面が接続端面11側へ縮径するテーパー部6bをなし、これら逆テーパー部6aとテーパー部6bとの対向間隔wがOリング7の断面円径cと略等しいことから、両管体1,2の接続端部同士を突き合わせる前の状態で環状溝4に嵌装したOリング7がより脱落しにくく、且つ該環状溝4へのOリング7の装着操作が容易になる。しかも、逆テーパー部6a及びテーパー部6bによって両管体1,2の接合前における環状溝4の内面とOリング7の外面との隙間が減少し、両管体1,2の接合状態では圧縮された該Oリング7の偏肉によって前記隙間が極めて少なくなる上、環状溝4の管内側に臨む開放部4aの両側のシール位置sで該Oリング7の肉部が溝内面に強く圧接する形になるから、環状溝4とOリング7との隙間への液浸入が確実に防止され、該隙間の残留液の腐敗による逆汚染は完全に回避される。
【0017】
請求項3の発明によれば、両管体1,2を接続する際、一方の接続端面の環状凸部14と、他方の接続端面12の環状凹部13とを嵌合するだけで、両管体1,2の軸心を一致させることができる。また、環状凹部13を有する他方の管体2として、従来より規格化されている環状パッキング用の環状凹部を備えるものをそのまま利用できるという利点がある。
【0018】
請求項4の発明によれば、両管体1,2の管軸oが水平方向に沿う構成であるが、接続部の管内に段差やシールリングのはみ出しを生じないため、加熱スチームによる管内殺菌を行った際、液溜まりに凝縮水が溜まって昇温不足による滅菌不良を生じる懸念はなく、効率よく確実に加熱殺菌を行えて熱エネルギーコストが少なくて済む。
【0019】
請求項5の発明によれば、Oリング7は、ゴム弾性を有する母材70の表面にフッ素系樹脂の被覆層71を設けたものからなるため、その母材によるゴム弾性で優れたシール性が得られると共に、被覆層71によって良好な耐薬品性及び着香防止効果が得られ、また円形断面であるために安価な規格品のOリングを採用できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るメタルタッチ式クランプ管継手を示し、(A)は管継手全体の半断面側面図、(B)は(A)の一点鎖線円B内の拡大図である。
【図2】同管継手における両管体と介在させるOリングを分解状態で示す縦断側面図である。
【図3】同管継手の一方の管体における接合端部の内周縁側を拡大して示す縦断側面図である。
【図4】従来の一般的なクランプ継手を示し、(A)は管継手全体の半断面側面図、(B)はクランプバンドの半断面正面図である。
【図5】従来の一般的なクランプ継手による液溜まりの発生状況を示し、(A)は上下方向の負荷で両管体の軸心がずれて段差を生じた場合の半断面側面図、(B)は両管体の熱膨張で圧縮された環状パッキングが管内側へはみ出した場合の半断面側面図である。
【図6】通常のOリング併用メタルタッチ式管継手の接続部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1(A)(B)で示すメタルタッチ式クランプ管継手は、接続すべき管体1,2のフランジ部1a,2aを有する接続端面11,12同士を突き合わせ、メタルタッチで接合したフランジ部1a,2aの外周にクランプバンド3を巻装して締め付けることにより、両管体1,2を接続固定しており、両管体1,2の管軸oが水平方向に沿う構成としている。なお、クランプバンド3は、既述の従来技術において説明した図4(B)で示すものと同じであるため、ここでは各部の説明を省略する。
【0022】
この管継手における一方の管体1は、接続端部の内周縁部に管内周面10側から接続端面11側にわたって開放した環状溝4を有し、該環状溝4に断面円形のOリング7を嵌装するように構成されると共に、接続端面11の半径方向中間部に環状凸部14を有している。また、他方の管体2は、その接続端面12の半径方向中間部に、管体1の環状凸部14に対応する環状凹部13を有している。
【0023】
一方の管体1における環状溝4は、図2及び図3でも示すように、その内側溝縁に設けた環状突縁部5によって管内側に臨む開放部4aが狭められており、また外側溝縁の内周側が接続端面11側へ縮径する逆テーパー部6aをなし、この逆テーパー部6aによって外側溝縁の径Φ2が外側最大溝径Φ3よりも小さくなっている。更に、該環状溝4の接続端面11側に臨む溝底の両側のコーナー部4bはアール状になっている。そして、環状突縁部5は、内周側が管内面10と面一であるが、外周側つまり環状溝4の内側側面は接続端面11側へ縮径するテーパー部6bになっている。
【0024】
Oリング7は、ゴム等の弾性体からなる母材70の表面にフッ素系樹脂の被覆層71を設けたものであり、規格品として市販されるものを利用できる。そのリング外径Φ1は、管体1の環状溝4の外周溝縁の径Φ3よりも大きく、外側最大溝径Φ2と略等しくなっている。また、該Oリング7の断面円径cは、環状溝4の管軸o方向の深さdよりも大きく、且つ該環状溝4の内側側面のテーパー部6bと外側側面の逆テーパー部6aとの対向間隔wと略等しくなっている。
【0025】
しかして、このメタルタッチ式クランプ管継手では、一方の管体1の環状溝4にOリング7を嵌装した状態で、該管体1の環状凸部14と他方の管体2の環状凹部13とが嵌合するように接続端面11,12同士を突き合わせ、相互の接合したフランジ部1a,1bの外周にクランプバンド3を巻装して締め付けることにより、他方の管体2の接続端面12の押接によって圧縮されたOリング7の肉部が環状溝4の管内側に臨む開放部4aへ膨出するが、その膨出部7aの頂端が管内周面10と同レベル又は僅かに低くなるように設定されている。
【0026】
上記構成のメタルタッチ式クランプ管継手にあっては、Oリング7による接続部の高いシール性が得られることに加え、接続端面11,12同士のメタルタッチで接合部が高剛性になるから、上下方向の外力による負荷が加わっても両管体1,2の芯ずれによる段差が発生せず、また両管体1,2が熱膨張してもOリング7の更なる圧縮を生じないため、該Oリング7が管内へはみ出すように変形することはなく、もって水平配管部でも接続部の管内に液溜まりを生じない。従って、加熱スチームによる管内殺菌を行った際、液溜まりに凝縮水が溜まって昇温不足による滅菌不良を生じる懸念がない上、効率よく確実に加熱殺菌を行えるので熱エネルギーコストが少なくて済む。
【0027】
また、Oリング7が該環状溝4の外周溝縁の径Φ3よりも大きいリング外径Φ1を有することに加え、環状溝4の外側溝縁の内周側が逆テーパー部6aをなすから、両管体1,2の接続端部同士を突き合わせる前の状態で、環状溝4に嵌装したOリング7が脱落しにくく、且つ環状溝4の内側側面がテーパー部6bをなし、これら逆テーパー部6aとテーパー部6bとの対向間隔wがOリング7の断面円径cと略等しいことから、該Oリング7自体の環状溝4への嵌装も簡単に行える。更に、一方の管体1の環状凸部14と他方の管体2の環状凹部13とを嵌合するだけで、両管体1,2の軸心を一致させることができる。従って、この管継手では両管体1,2の接続操作が非常に容易である。
【0028】
しかも、管体1の環状溝4では環状突縁部5によって環状溝4の管内側に臨む開放部4aの幅が狭まり、この狭まった開放部4aへ圧縮された該Oリング7が偏肉して膨出する形になるから、図1(B)で示すように、該Oリング7による両管体1,2間のシール位置sが該開放部4aの両側縁部近傍になる。加えて、逆テーパー部6a及びテーパー部6bによって両管体1,2の接合前における環状溝4の内面とOリング7の外面との隙間が減少し、特に実施形態では接続端面11側に臨む溝底の両側のコーナー部4bもアール状であることも相俟って、両管体1,2の接合状態では圧縮された該Oリング7の偏肉によって前記隙間が極めて少なくなる上、環状溝4の管内側に臨む開放部4aの両側のシール位置sで該Oリング7の肉部が溝内面に強く圧接する形になる。従って、この管継手では、Oリング7の嵌装部分に洗浄不能な隙間ができず、且つシール位置sより内奥の環状溝4とOリング7との隙間への液浸入が確実に防止され、該隙間の残留液の腐敗による逆汚染は完全に回避される。
【0029】
なお、管体1の環状溝4とOリング7の寸法関係については特に限定されないが、環状溝4の管軸方向の深さdはOリング7の断面円径cの80〜90%の範囲、該環状溝4の管内側に臨む開放幅eは管軸方向の深さdの45〜65%の範囲、にそれぞれ設定することが推奨される。すなわち、このような寸法設定により、特に接合部での良好なシール性が確実に得られる上に、環状溝4の管内側に臨む開放部4aに対し、該Oリング7の膨出部7aが管内面10aを越えずに且つ幅方向両側の凹みの少ない適度な膨出状態となるという利点がある。
【0030】
一方、この実施形態の構成では、環状凹部13を有する管体2として、従来より規格化されている環状パッキング用の環状凹部を備えるもの、つまり図4の従来構成における管体21,22をそのまま利用できる。また、Oリング7としても安価な規格品のOリングを採用できるという利点がある。なお、Oリング7は、ゴム弾性を有する母材70の表面にフッ素系樹脂の被覆層71を有するから、その母材70のゴム弾性で優れたシール性が得られると共に、被覆層71によって良好な耐薬品性及び着香防止効果が得られる。
【符号の説明】
【0031】
1 一方の管体
1a フランジ部
10 管内周面
11,12 接続端面
13 環状凹部
14 環状凸部
2 他方の管体
2a フランジ部
3 クランプバンド
4 環状溝
4a 管内側に臨む開放部
5 環状突縁部
6a 逆テーパー部
6b テーパー部
7 Oリング
7a 膨出部
70 母材
71 被覆層
c 断面円径
d 管軸方向の深さ
e 開放幅
o 管軸
w 対向間隔
Φ1 リング外径
Φ2 外側最大溝径
Φ3 環状溝の外周溝縁の径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体のフランジ部を有する接続端部同士を突き合わせ、接合したフランジ部の外周にクランプバンドを巻装して締め付けることによって両管体を接続固定するメタルタッチ式クランプ管継手において、
一方の管体の接続端部の内周縁部に、管内周面側から接続端面側にわたって開放したOリング嵌装用の環状溝が形成され、該環状溝の内側溝縁に内周側を管内周面と面一とした環状突縁部を有し、
前記環状溝内に、その管軸方向の深さよりも大きい断面円径で、且つ該環状溝の外周溝縁の径よりも大きいリング外径を有する円形断面のOリングが嵌装され、
両管体の接続状態において、他方の管体の接続端面の押接によって圧縮された前記Oリングの肉部が前記環状溝の管内側に臨む開放部へ膨出すると共に、その膨出部の頂端が管内周面10と同レベル又は僅かに低くなるように設定されていることを特徴とするメタルタッチ式クランプ継手。
【請求項2】
前記環状溝の外側溝縁の内周側が接続端面側へ縮径する逆テーパー部をなすと共に、前記環状突縁部の外周面が接続端面側へ縮径するテーパー部をなし、これら逆テーパー部とテーパー部との対向間隔が前記Oリングの断面円径と略等しく設定されてなる請求項1又は2に記載のメタルタッチ式クランプ管継手。
【請求項3】
前記他方の管体の接続端面の半径方向中間部に環状凹部を有すると共に、前記一方の管体の接続端面の半径方向中間部に前記環状凹部に嵌合する環状凸部を有してなる請求項1に記載のメタルタッチ式クランプ管継手。
【請求項4】
両管体の管軸が水平方向に沿う請求項1〜3の何れかに記載のメタルタッチ式クランプ管継手。
【請求項5】
前記Oリングがゴム弾性を有する母材の表面にフッ素系樹脂の被覆層を設けたものからなる請求項1〜4の何れかに記載のメタルタッチ式クランプ管継手。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−266014(P2010−266014A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118761(P2009−118761)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000222336)トーステ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】