説明

メタンリッチ生成ガスを生成するための方法、およびその目的のために使用可能な反応器システム

本発明は、メタンリッチ生成ガスを生成するための方法に関し、その方法においては、水素と二酸化炭素とを含有する原料ガスが、少なくとも2段階で少なくとも1つの調整可能なパラメータの影響下で触媒的にメタン化され、生成ガスの組成に関する少なくとも1つの基準が監視される。基準は、その方法に影響を与える条件下で充足され、そして、その条件が変化した時には、その基準の充足を維持するパラメータ設定の変更が影響を受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタンリッチ(methane-rich)生成ガスを生成するための方法に関し、その方法においては、水素と二酸化炭素とを含有する原料ガスが、少なくとも1つの設定可能なパラメータの影響下で少なくとも2段階で触媒的にメタン化され、そして、生成ガスの組成に関する少なくとも1つの基準が監視され、その基準は、その方法に影響を与える条件下で充足される。本発明はさらに、この目的のために適した反応器システムと、この様式で生成される生成ガスとに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のメタン化方法は公知である。それらは、例えば、次々に接続された2つの固体床反応器を備える反応器システムによって実行され、2つの固体床システムは、ニッケル含有触媒を備える。実質的にメタン生成に適した化学量論比で水素と一酸化炭素とを含み、さらには一定の割合の一酸化炭素、メタン、他の炭化水素だけでなく、様々な微量成分の形態の汚染物質、および不活性ガス(例えば、N)を追加的に含むことができる原料ガスが、全体としてCHを形成する以下のプロセスが生じる第1の固体床反応器(第1のメタン化段階)に、所定の温度および所定の圧力で供給される。
【化1】

【0003】
このように、第1のメタン化段階の後、一定のメタンの割合が、その段階を出るこのガスにおいて得られる。メタンの割合をさらに増加させるために、下流に配置された第2のメタン化段階が使用される。公知の手段を使用して、水と、必要に応じて過剰の反応体とを、90%を超えるメタンの割合を有する生成ガスを得るために、第2の段階を出るガスから取り除くことができる。
【0004】
ガスという用語は、通常、異なる成分からなるガス混合物を指すが、内容を分かりやすくするために、ガス(生成ガス、原料ガス・・・)という用語が、ここで、そして以下で使用される。
【0005】
この方法を用いて生成されたメタンリッチ生成ガスは、適切な高いメタンの割合を有する「合成」鉱物性ガスとして様々な用途に供給するために使用することができる。従って、生成ガスを既存の鉱物性ガス供給網に供給することが可能である。この目的のためには、DVGW G 260/262規格を充足しなければならない。すなわち、生成ガス中の水素の割合は、5%未満でなければならず、二酸化炭素の割合は、6%未満でなければならない。車両を駆動するための燃料としてメタンリッチ生成ガスを使用するために、DIN 51624を充足しなければならない。すなわち、ガス混合物における不活性ガスの割合は、2%未満でなければならず、二酸化炭素の割合は、15%未満でなければならない。そのような生成燃料ガスの使用は、例えば、DE 10 2008 053 34 A1に開示される。
【0006】
メタン化のために使用される反応器システムは、通常、連続運転で動き、ここで、例えば、上記した規格を充足する生成ガスを発生させるために、連続的に供給される原料ガスに適した1つ以上の処理パラメータが選択される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、そのような方法を改善するという課題に基づいており、特に、柔軟性(flexibility)の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
プロセス技術に関して、この課題は、序論で述べた方法の変化形によって解決され、その変化形は、条件が変化した時には、基準を充足することを維持するパラメータ設定の変更が行われることを実質的に特徴とする。
【0009】
このように、例えば、意図的にももたらされ得る処理条件の変化に対して柔軟に反応することが可能であり、同時に、所望の生成ガスの品質が確実に維持される。
【0010】
生成ガスの組成に関する基準は、例えば、生成ガスのメタンの割合などの単一の基準であってもよいが、生成ガスの組成に関する基準は、例えば、最大水素含有量および/または最大二酸化炭素含有量などの2つ以上の副基準を備えてもよい。
【0011】
好適なプロセス設計において、原料ガスは、第1のメタン化段階に流れることが可能であり、その条件は、原料ガスの供給流に関連する。このように、原料ガスの供給流に関して柔軟性の向上が達成され、これは、単位時間当たりの供給流の量のみに関連してもよいが、追加的におよび/または代替的に原料ガスの組成に関連してもよく、それにより、その組成の変化に対して柔軟に反応することを可能にする。
【0012】
従って、例えば、単位時間当たりの原料ガスの流量の第1の変化形に関しては、原料ガスの組成が実質的に変化しないままであっても、反応させられる原料ガスの量の変化が、メタン化プロセスにかなりの影響を与えるが、その影響に対して、本発明に従った解決手段を用いて対応することができることがわかった。これは、変化が一回の外乱ではない場合に特に有利であり、それどころか、繰り返し発生する変化に対応することができる。特に、一定の原料ガスの流れを反応器システムに連続的に供給することを意図的に省くことができ、これが、本方法の柔軟性をさらに向上させる。
【0013】
原料ガスの提供に関して、例えば、原料ガスのCOの割合を提供することには、特に問題はない。なぜならば、そのガスは、例えば、空気からのガス洗浄によって得ることができ、純粋なCOとして供給することができるからであるか、またはバイオガス(生物ガス、biogas)のワークアップ(workup)からのわずかな割合のCHの漏れも伴って得られるからであるか、あるいは、例えば、(ここでは無視される微量成分は別にして)既に約55%のメタンの割合を有する約45%のCOの割合を備える未加工のバイオガスの形態で得られるからである。一方、正しい化学量論比におけるメタン化のために必要とされる水素の提供は、それよりも高価である。なぜならば、最初にエネルギー消費を伴ってHを製造しなければならないからである。これは、例えば、電解槽を使用してその場で水素を発生させることによって行うことができる。ここで、電解槽自体が、電気供給グリッドに接続された負荷を表し、その電解槽の最大変換は、対応する最大負荷を定義する。電解的に生成された水素は、電解槽に関する進行中の負荷が単位時間当たりに反応させられる原料ガスの量をも実質的に定義するように、第1のメタン化段階の前に原料ガスに対する二酸化炭素含有部分と混合される。
【0014】
このように、メタン化方法は、時の経過と共に継続的には発生しない再生エネルギー、例えば、風エネルギーまたは太陽光エネルギーを格納するために使用することができる。少ない再生エネルギー発生で、接続された他のエネルギー源による補償のない場合においては、電解層は、対応するように低い負荷を収集し、これが、迅速な負荷変化を含めて負荷変化を確実にし、その負荷変化に対しては、本発明に従った方法を使用して対応することが可能である。
【0015】
従って、本方法は、通常の状態と、最大能力利用の60%以下、好適には40%以下、そして特に25%以下の低能力利用との間の断続的な運転のために設計される。10分未満、好適には4分未満、特に1分未満の切り替え時間で出力を増加させる目的のために、これらの低い負荷の状態と、通常の状態との間で切り替えることが可能であり、出力の低下は、あらゆる場合において半分の時間で可能である。
【0016】
特に好適な実施形態において、メタン化と関連するエネルギー消費は、少なくとも1つのパラメータの設定に依存し、行われた設定変更は、エネルギー消費を減少させる。このように、エネルギーを最適化された手順が達成される一方で、生成物の品質は同じままであり、ここで考えられるエネルギー消費は、例えば、ガスの圧縮と関連するエネルギー消費(圧縮)、または水および水のワークアップの測定による追加と関連するエネルギー消費、および/または気体からの水の分離だけでなく、追加的な熱出力を含むが、使用される水素の電気分解のために使用されるエネルギー消費を含まない。
【0017】
特に好適な実施形態において、少なくとも1つのパラメータの影響は、少なくとも2つのメタン化段階の第1の段階と第2の段階との間で作用する。このように、プロセス段階のモジュール構造を、方法の制御のために有利に使用しながら、依然として基準を充足することができ、特に、これが、エネルギーを最適化されたプロセス制御を単純にする。
【0018】
この目的のために重要なパラメータは、圧力であり、圧力を、第1のメタン化段階と第2のメタン化段階との間で、本発明に従って変更することができる。この変更可能性もまた、残りのプロセス特性とは独立して実施されたとしても、本発明の観点からは有利であると考えられる。このように、本発明はまた、最も一般的な形式で、水素と二酸化酸素とを含有する原料ガスが少なくとも2段階で触媒的にメタン化される、メタンリッチ生成ガスを生成する方法と、第2の段階に入るガスの圧力を第1の段階から出るガスの圧力に対して変化させることができることを実質的に特徴とする方法とを開示する。
【0019】
第1の段階への流入時における定常状態(全)負荷に関する基本設定において、ガス圧1バール以上と、16バール以下、好適には8バール以下、特に4バール以下の段階とを設定することができ、そして、第2の反応器の前に、1〜16バール、好適には3〜10バール、特に5〜8バールのガス圧を設定することができる。以下で、圧力は絶対圧を指す。
【0020】
メタン化段階間で影響を及ぼす追加のパラメータは、第1段階後のガス中の水含有量である。これに関して、本発明はまた、残りのプロセス特性とは関係なく、部分的な水の除去が有利であると考える。このように、本発明はまた、概して、メタンリッチガス混合物を生成するための方法を開示し、その方法においては、二酸化炭素と水素とを含有する投入ガス混合物が、少なくとも2段階で触媒的にメタン化され、第1の場所において行われる第1のメタン化段階においては、水含有中間ガス混合物が生じ、それから、第2のメタン化段階のために第2の場所に水含有中間ガス混合物を流れさせ、水含有中間ガス混合物は、中間ガス混合物の流れから中間ガス混合物中の水の第1の部分を除去しながら、中間ガス混合物中の水の第2の部分を残し、第2の部分を連続的に第2の場所に流れさせることを実質的に特徴とする。
【0021】
本発明に関して、独立して開示されたこれら2つの態様(圧力変化、および段階間の露点設定)の組み合わせもまた、有利であると考えられる。
【0022】
これに関して、追加の仕様が好ましく、その仕様においては、水の部分的な除去が、露点よりも低い温度であるが、少なくとも60℃、好適には少なくとも80℃、特には少なくとも86℃、さらに好適には少なくとも100℃である温度まで中間ガス混合物を冷却することによって達成され、および/または中間ガス混合物の冷却温度が160℃以下、好適には135℃以下、特に128℃以下である仕様によって達成される。これに関して、特に、連続的に流れさせられる中間ガス混合物の水含有量は、モル%単位で、20%以上、好適には25%以上、特に30%以上、および/または70%以下、好適には50%以下、特に35%以下であると規定される。湿りガスは圧縮されることが好ましい。その目的のために提供されるコンプレッサを用いて、これを行うことができない場合には、完全凝縮を選択しなければならない。第1の段階への流入時における水含有量は、反応器への流入時におけるC含有量によって決まり、0〜50モル%、好適には0〜30モル%であることができる。
【0023】
本方法を行うための反応器システムが、全能力まで利用された時、すなわち、以下で通常状態とも呼ばれる状態の時に、方法は、好適には、追加のパラメータに関して以下で示される一定の基本設定を使用して行なわれるべきである。
【0024】
所望の温度
原料ガスは、第1のメタン化段階において、250℃〜330℃、好適には270℃〜290℃の範囲の温度で導入されるべきである。この目的のために、発熱を伴うメタン化によって得られる廃熱を特に使用して原料ガスを予熱することができる。これが、その段階の流入範囲の冷却と、結果として生じる不活性領域の形成とを妨げるだけでなく、Ni含有触媒を使用する場合においては、ニッケルカルボニルの形成のリスクをも妨げる。
【0025】
第1の反応器において、350℃〜650℃、好適には480℃〜580℃の範囲の最高温度が生じるべきであり、代替的には、適切な冷却剤の循環によってもたらされるガスの流れの方向における負の温度勾配を提供することができるか、または冷却が好適には並流で行われる。出口温度は、280℃〜400℃、好適には300℃〜350℃の範囲であってもよい。
【0026】
一方、第2のメタン化段階において、最高温度は、これよりも低くあるべきであり、280℃〜400℃、好適には260℃〜280℃の範囲であるべきであり、250℃〜350℃、好適には270℃〜330℃の範囲の入口温度と、230℃〜350℃、好適には270℃〜300℃の範囲の出口温度とを有する。
【0027】
反応器において負の温度勾配を発生させるために、ガスを冷却するために使用される循環は、ガス流に対して逆流方向に向けられるが、並流を用いた冷却の使用が好ましい。
【0028】
所望の空間速度
第1のメタン化段階における所望の空間速度は、2000/h〜12000/hの範囲、好適には2000/h〜8000/hの範囲である。第2のメタン化段階における所望の空間速度は、1000/h〜6000/hの範囲、好適には1500/h〜4000/hの範囲である。反応器システムの利用される能力が低い場合には、空間速度を対応させるように低くする。ここで、そして以下では、全ての空間速度は、乾燥ガスの流速に関する。
【0029】
所望の再循環
原料ガスの量に対する再循環されるガスの量の比は、実質的にCOとHとだけからなる原料ガスの場合においては、好適には、0〜5の範囲、特に0〜1.5の範囲であり、原料ガスのCO含有成分としてバイオガスを使用する場合においては、0〜0.5である。
【0030】
所望のメタン化割合
第1の段階から出た後、50体積%〜90体積%、好適には70体積%〜80体積%のCOからCHへの転換割合が求められる。第2の段階の後、その割合は、少なくとも75体積%、好適には少なくとも90体積%、特には少なくとも93体積%、または少なくとも95体積%である。
【0031】
請求項7を参照すると、少なくとも1つのパラメータが、第1のメタン化段階への流入時に存在する圧力と、第2のメタン化段階への流入時に存在する圧力と、方向転換され第1の段階の前に再循環されるガスの量と、第1のメタン化段階の前のガスの水含有量と、第2のメタン化段階の前のガスの水含有量と、第1のメタン化段階の後にガス混合物から除去された水の量と、第1のメタン化段階および/または第2のメタン化段階の前にガスを加熱するために使用される加熱出力と、第3のメタン化段階を含むか含まないかと、第1のメタン化段階における、または(別個に)第2のメタン化段階における温度と、原料ガスの組成とを含む群から選択されることが有利である。
【0032】
これらのパラメータのうちのいくつかを、既に上述した。特にエネルギーの最適化を目的として考慮に入れられる追加のパラメータは、個々の段階の前に、必要とされる程度にまで供給される水の量である。第3のメタン化段階の包含の可能性はさらに柔軟性を向上させ、包含の可能性は、方法の基礎となる反応器の設計に関して本発明に従って提供されるモジュール構造を使用する。
【0033】
特に好適な実施形態において、変更の設定は自動的に生じる。従って、例えば、方法を、少なくとも1つのパラメータ、好適には2つ以上のパラメータがエネルギーを減少させるように自動的に設定される省エネルギーモードで行うことが可能である。省エネルギーモードは、好適には、第1の条件から第2の条件への変更が起こったこと、言い換えると、考慮に入れられる処理条件が再び定常状態にあると考えられることを示す信号によって始動させることができる。これに関するテスト基準は、考慮される処理条件が所定の期間にわたって所定の程度よりも大きくは変化しないとすぐに、信号が始動されるように設計することができる。あるいは、方法が原則的に省エネルギーモードで行われ、そして、例えば、方法が低能力利用から高能力利用に切り替えられる時に始動される所定の中断信号の際にのみ中断されることも可能である。これは、特に上記の断続的な運転モードの場合に重要である。
【0034】
これに関して、自動的な設定変更を、調整によって実施することができる。この目的のために、第1の段階と第2の段階との間の圧力変化を調整するための第1の調整回路を提供することが好ましい。あるいは、再循環されるガスの量を調整するための第2の調整回路を提供することがさらに好ましい。さらに、本発明は、第1のメタン化段階/第2のメタン化段階の前にガス中の水含有量を調整するための第3の調整回路と第4の調整回路とを提供する。2つ以上の相互に関連した調整回路によって、最適化されたエネルギーを用いたプロセス制御がさらに改善される。
【0035】
場合によっては、設定変更が維持されるべき一般条件の影響下にあることが有利であり得る。一般条件の例として、以下を使用することができる。第1のメタン化段階および/または第2のメタン化段階におけるガスまたは触媒の最高温度;第1のメタン化段階および/または第2のメタン化段階の前のガス中の最小水含有量および/または最大水含有量;再循環されるガスの最小量および/または最大量;第1のメタン化段階の後に除去される水の最小量および/または最大量;第1のメタン化段階に存在する圧力の最小量および/または最大量;および、生成されたガス混合物の組成に関する追加的な(第2の)基準を充足すること。
【0036】
例えば、第1のメタン化段階の前の圧力の設定は、基準が充足されたという標的要件で調整することができ、第1のメタン化におけるガスの最高温度を超えないという条件は、観察されるべき一般条件として調整に適用される。このように、一般条件はまた、調整における第2の調整基準として組み込むことができる。さらなる有利な使用は、第1のメタン化段階後の水除去の調整であり、その調整は、第2のメタン化段階の前に水含有量を(相互)調整し、そして、下流に配置されたコネクタ(connector)が、第2のメタン化段階におけるそのような水含有量に対する圧力の調整のために操作可能であるという一般条件の影響下にあることができる。
【0037】
2つ以上のパラメータの制御/調整はまた、本発明に従って相関させることができる。この目的のために、調整は、並行して、そして同時に行うことができる。しかしながら、第2の調整に依存して行われる第1の調整を提供することと、異なる標的パラメータに対して第2の調整を変化させることとがまた可能であり、その異なる標的パラメータに従って、第1のパラメータに関するエネルギーを最適化した調整が、各変化に対して行われる。そして、その結果が比較され、その後、選択される第2の調整に対する設定値は、第1のパラメータに対する絶対的なエネルギーの最小値に到達することができる値である。そのような変化形は、設定値を、あらゆる場合において、経験的にのみ事前に定義することができる場合、または適切なモデルによって事前に設定することができる場合において特に使用することができる。
【0038】
本方法の特に好適な実施形態において、単位時間当たりに流れる原料ガスの量が増加した場合における少なくとも1つのパラメータの設定変更は、第1の介入において、反応速度が増加するように行われることが提供される。この目的のために、特に圧力を増加させることができ、再循環されるガスの量を適合させることができる。この介入は、意図的な出力向上の間、エネルギーの最適化が反応器の出力の迅速な増加に対して二次的になる場合において特に有利に使用される。この場合、上記の省エネルギーモードを停止することができ、そして、プロセスを「出力向上」モードに切り替えることができる。
【0039】
このように、(負の)一般条件が充足されるとすぐに、特に、所定の温度が第1のメタン化段階において超過されるとすぐに、第2の介入において対策を行うことが特に好ましい。このように、個々の成分、特に本方法を使用して操作される反応器システムの触媒に対する効果的な保護が、高い出力までの加速度的な増大に対して優先する。対策は、例えば、反応器1における圧力の低下、再循環されるガスの量の増加、および/または反応器の冷却力からなることができる。または対策は、それらの手段の少なくとも一部分からなってもよい。
【0040】
有利なことに、次に、第3の介入においては、変更された条件に関して、定常状態に到達するとすぐに、省エネルギー制御が、先に記載された態様のうちの1つに従って行われる。ここで、第1のプロセス工程と第2のプロセス工程とにおいて行われた設定が、エネルギーバランスを考慮することなく、再び補正される。方法は、省エネルギーモードに切り替えられる。
【0041】
変更する条件はまた、代替的に、または追加的に、原料ガス流の組成に関連することができ、特に、その二酸化炭素の割合に関連することができる。このように、原料ガスの組成が様々な場合であっても、同じままの生成物の品質を達成することが可能である。
【0042】
代替的に、または追加的に、その条件はまた、有利なことに、メタン化段階において使用される少なくとも1つの触媒の摩耗に関連付けることができる。従って、生成ガスの品質を低下させる影響に対抗することが可能であり、それは、徐々に進行する不可避の触媒活性の低下によるものである。
【0043】
上記の低適合回数を有する条件変更に対する迅速な反応はまた、例えば、ガス供給網に供給される生成ガスの生成から車両のための燃焼ガスとして使用される燃料ガスへの切り替えが存在する場合には、監視される基準自体に対する要件の変更に関連付けることができる。この場合、条件変更はまた、追加の副基準の実施からなることができる。
【0044】
言い換えると、本発明はまた、メタンリッチガス混合物を生成するための方法を開示し、その方法においては、水素と二酸化炭素とを含有する原料ガスが、少なくとも2段階で、少なくとも1つの設定可能なパラメータの影響下で触媒的にメタン化され、メタン化と関連するエネルギー消費は、パラメータの設定に依存し、そして、生成ガスの組成は、第1の基準を充足し、その第1の基準は、生成ガスによって充足されるべき基準を第2の基準に変更する場合において、パラメータの変更が生じ、それが、第2の基準を充足することとなり、特に、それは、自動的に行われ、エネルギー消費を最小化することを実質的に特徴とする。
【0045】
装置技術に関して、本発明は、触媒と、生成ガスの組成に関する基準を監視するための監視デバイスと、監視デバイスに結合された制御デバイスと、メタン化に影響を与える少なくとも1つのパラメータを設定するための、制御デバイスによって制御される少なくとも1つの設定デバイスとを備える少なくとも2つの連続して接続された反応器段階を有する、水素と二酸化炭素とを含有する原料ガスからメタンリッチ生成ガスを生成するための反応器システムを提供する。この反応器システムは、メタン化に影響を与える第1の条件下で操作可能であり、その基準は、その操作の間、充足される。その基準は、特に、反応器システムが、第1の条件から第2の条件への変更が存在する時に、設定されたパラメータの変更を可能にする目的で設計され、それが、基準の充足を維持することを特に特徴とする。
【0046】
そのような反応器システムの利点は、本方法に関する上記の説明からもたらされる。
【0047】
少なくとも2つの反応器段階は、それらの構成に関しては異なることができることが好ましい。この方式においては、一方では、モジュールの反応器構造が達成されるが、その個々の段階はさらに、不可欠な適用範囲のために個々に設計することができる。特に、その構造は、機械構成、熱除去の種類、および/または使用される触媒の種類の点で相違してよい。
【0048】
構造の相違の他に、個々の反応器段階もまた、異なるプロセスパラメータを使用して操作させることができる。この目的のために、それぞれの反応器段階に供給されるガスの性質は、特に、少なくとも1つの設定デバイスによって改変可能である。個々のパラメータに関して個々に設定可能であるこのモジュール構造もまた、独立した開示として、反応器の制御の種類とは独立して事前に定義される。
【0049】
さらに、少なくとも1つの第1の設定デバイスが、2つの反応器段階間に配置されることと、特に、少なくとも1つの第1の設定デバイスが、コンプレッサを与えるか、またはコンプレッサからなることとが有利である。この場所において圧力を様々に設定可能であることで達成される利点は、本方法に関する上記の説明からもたらされる。特に、本発明はまた、第1の反応器段階と、第1の反応器段階の後ろに接続された第2の反応器段階と、第1の反応器段階から出て第2の反応器段階に入るガスの圧力を変化させるための、第1の反応器段階と第2の反応器段階との間に配置されたデバイスとを有する反応器システムを独立して開示する。
【0050】
好適には、コンプレッサが、圧縮されるガス中の流れの形態で存在する、35%以下、好適には50%以下、特に60%以下の水含有量に対して操作可能であるように設計される。このことにより、2つの反応器段階間の水除去だけによって、第2の段階の前に水含有量の調整を制御/調整する可能性がもたらされる。
【0051】
第1の反応器段階の後に、ガスに含有される水の少なくとも一部分を除去するそのようなデバイスが、例えば、反応器システムの第2の設定デバイスとして提供され、そのデバイスは、特にコンプレッサの上流に配置される。
【0052】
ここで、第2の設定デバイスは、あらゆる所望の露点設定を可能にする。特に、第2の設定デバイスは、部分的な水の除去後にガス中に残っている部分の水含有量が、0〜50%、好適には20〜50%、特に25〜35%であることができるように制御される。
【0053】
さらに、反応器システムは、1つ以上の反応器段階の前に水を供給するための第3の設定デバイスを備えることが好ましい。第3の設定デバイスは、個々の反応器段階と関連する適切な数のサブデバイス(sub-device)に分割することができる。
【0054】
さらに、第4の設定デバイスを、1つ以上の反応器段階の中に導入されたガスを加熱するために提供するのが有利であり、その設定デバイスはまた、特に、個々の反応器段階と関連するいくつかのサブデバイスからなることができる。ここで、第1の反応器段階の上流に配置されたサブデバイスは、反応を開始させる温度まで原料ガスを最初に加熱するために使用される。概して、第1の反応器段階を出るガスは、第2の反応器段階に対して充分な温度である。しかしながら、反応器段階間の凝縮による水の分離のために生じる冷却により、第2の反応器段階と関連する加熱デバイスが、ガスの温度を再び第2の反応器段階において所望される温度にまでもたらすために必要とされる。例えば、熱交換器の形態の両方の加熱デバイスは、好適には発熱反応において発生して反応器段階から除去された廃熱から熱媒体を加熱するために必要とされるエネルギーを受け取る。
【0055】
追加の設定デバイスとして、再循環デバイスが、第1の反応器段階の前に位置する場所への、特に第2の反応器段階を出るガスの一部分の再循環のために提供されることが特に好ましい。再循環デバイスの使用と、結果としての利点とは、既にメタン化プロセスに関して記載され、再循環において使用可能である制御可能な流量制限器/コンプレッサを含む。
【0056】
追加の可能な実施形態において、反応器システムは、制御デバイスを介して接続可能である第3の反応器段階を与える。この設計は、システムのモジュール構造を用いて達成される柔軟性を向上させる。これに関して、本発明はまた、正確な制御とは独立して反応器システムを実施することを提供し、そのシステムは、ガスが流れる、2つの直列に接続された反応器段階と、所望により接続可能な第3の反応器段階とを有する。
【0057】
これまでに記載された範囲で、反応器システムは、対応するように設計された供給ラインによって供給された原料ガスを得ることを想定する。しかしながら、そのシステムは、原料ガスの個々の成分を混合するために結合した混合デバイスを含むことができ、その混合デバイスは、対応する数の供給ラインを有することができる。ここで、供給ラインを結合させることができ、特に、例えば、既に上記した電解槽のうちの1つなどの、電気エネルギーによって水素を生成するためのデバイスに結合される。
【0058】
原料ガスの二酸化炭素成分に関して、反応器段階の近くに配置されたガス洗浄デバイスを結合させることが可能であり、特に、そのガス洗浄デバイスは結合され、そのデバイスは、空気から二酸化炭素を濾過して、それを混合デバイスに供給することができる。二酸化炭素はまた、バイオガスから分離することもでき、約5%以下のメタン含有量が、原料ガス中のバイオガスの残余物として残ってもよい。
【0059】
さらに、混合デバイスに導く、バイオガスの制御可能な供給流のために設計された追加の供給ラインを配置することができ、その供給ラインを通って、バイオガスの予め決められる部分を、原料ガスの成分として供給することができる。
【0060】
好適には、設定デバイスのうちの1つ以上が、調整回路によって制御可能である。この目的のために、制御デバイスは、調整のために必要とされる実測値を有する信号データを測定センサから得ることができ、それぞれの設定デバイスに対する調整に対応する制御データを伝送することができる。好適に調整された変数と、対応する設定デバイスとは、プロセスの態様に関する上記の説明からもたらされる。従って、特にプロセスをも実行するための制御デバイスは、説明したプロセスの態様のうちの1つ以上に従って操作可能である。
【0061】
その程度まで、反応器システムはまた、反応させられる2つの異なるガス量の間の断続的な操作のために設計される。この場合、2つの条件は、単位時間当たりに反応させられる原料ガスの量の差に関連する。言い換えると、それらは、特に結合された電解槽の負荷の変化によってもたらされる、システムの利用される能力の差に関連する。
【0062】
本発明はまた、上記したプロセスの態様のうちの1つに従って、または上述した実施形態のうちの1つにおける反応器システムを使用して生成されたメタンリッチガス混合物を保護する。
【0063】
2つのメタン化段階間の部分的な水除去の独立した実施形態に関して、2つの場所が、反応器システムの2つの連続的に配置される反応器段階であり、それらの反応器段階は、次々に配置され、それらのそれぞれは触媒を含み、それらにおいては、それぞれのメタン化工程が生じる。第1の反応器段階に導入された投入ガス混合物の触媒的なメタン化は、特に、流れ続ける中間ガス混合物が第2の反応器段階に導入される場合において、特に300℃〜600℃の範囲の温度において生じ、第2のメタン化工程は、特に250℃〜350℃の範囲、特に300℃以下の温度でそこで生じ、投入ガス混合物は、特に、0.1%未満の一酸化炭素含有量を有することができることが好ましい。
【0064】
本発明に関する、さらなる詳細と、特性と、利点とは、添付の図面を参照して、個々の実施形態の例に関する以下の記載からもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に従った反応器設計の図表示を示す。
【図2】追加の実施形態の図表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1の表示から明らかなように、原料ガスは、Eと印を付けられた場所において反応器システムに供給され、そして、反応器R1および反応器R2だけが使用される場合には、原料ガスは、さらなる処理のために、例えば、既存の鉱物性ガス供給網に供給されるように、またはあらゆる種類の車両のための燃焼ガスの形態での製造のために、Aと印を付けられた場所に送られる。
【0067】
場所Eと場所Aとの間の経路において、原料ガスは、2つの反応器を通って流れ、反応器R1と下流の反応器R2とはそれぞれ、触媒を備え、そして、熱除去システム15.1または15.2を有する。反応器R1およびR2は、固体床反応器として設計され、使用される触媒の設計および種類が異なっていてよい。強い発熱を伴うメタン化において発生した熱をさらに容易に除去することができるように、管束反応器(tube bundle reactor)または平板反応器(plate reactor)を使用することが好ましい。また、特に、反応器の設計において使用される異なる設定デバイスなどに関する理由のために、異なる処理パラメータ(圧力、温度、空間速度)を用いて工程を実施することができる。
【0068】
このように、最初に、コンプレッサ7.1を使用して、原料ガスのガス圧を、反応器R1への流入の前に設定可能である。コンプレッサ7.1の下流に熱交換器6.1が配置され、それによって、原料ガスを、例えば270℃などの事前に選択可能な温度にすることができる。5.1は、HO供給デバイスを示し、このHO供給デバイスは、熱交換器6.1の後ろに配置される。HO供給デバイスによって、原料ガスの水含有量が設定可能である。再循環ラインRZは、HO供給デバイス5.1と反応器R1への流入との間の部分に通じており、この実施形態においては、そのラインが、第2の反応器R2の後で枝分かれし、反応器2を出るガスの一部分が反応器1の前に再循環することを可能にする。
【0069】
追加の熱交換器8.1が、反応器1の下流に配置され、その熱交換器によって、反応器R1を出るガスの冷却が達成可能である。4.1と印を付けられた場所において、露点設定に対応する、ガスに含有される水の一部を除去することができるように、所望の露点設定を行うことができる。この目的のために、先行技術から公知の凝縮物ダイバータ(condensate diverter)を使用することができる。図2を参照したさらに詳細な説明も参照されたい。
【0070】
第2の反応器R2へのガスの流入までの追加のデバイスは、ガス流の順序で、制御可能な流量制限器9.1と、中間コンプレッサ7.2と、ガス混合物を再加熱するための熱交換器6.2と、追加のHO供給デバイス5.2とであり、そのHO供給デバイスによって、反応器R2に入るガスの水含有量をさらに(再び)増加させることができる。
【0071】
図1の図表示において、第2の反応器R2は、反応器R1と同一であるとして図表示されているが、反応器R1と比べて、第2の反応器R2は、異なる活性、特に高い活性を有する触媒を備えることができ、第2の反応器R2はまた、他の点でも異なるように設計されていてよい。
【0072】
上述したように、再循環ラインRZによって、反応器2を出るガスの一部分を、反応器1の前に再循環させることができる。再循環ラインRZにおいて、再循環コンプレッサ70と同様に、制御可能な流量制限器(flow restrictor)90が提供される。再循環コンプレッサ70は任意であり、以下に説明する中間コンプレッサ7.2による圧力制御により省略することもできる。再循環ラインRZはまた、好適には中間コンプレッサ7.2の後ろで反応器R1と反応器R2との間で枝分かれしてもよい。しかしながら、そうでない場合には、RZにおける再循環コンプレッサ70を、いずれにしても保存するべきである。
【0073】
反応器R2に対しても同様に、反応器R1に関して使用された様式と同様な様式で、出口の場所Aに到達する前に、適切な水分離4.2と制御可能な流量制限器9.2とを用いた露点設定の目的のために、熱交換器8.2の形態で冷却デバイスが提供される。しかしながら、流量制限器9.2の前に切り替えデバイス3もまた組み込まれ、それにより、ガスを、第3の反応器R3に方向転換させることができる。図1に示された実施形態の例において、反応器R3は、反応器システムの段階状のモジュール構造を完成させ、反応器R1および反応器R2のように、熱交換器6.3の形態の上流加熱デバイスとHO供給デバイス5.3とを有し、下流において、反応器R3は、第3の反応器R3を使用する場合において機能する出口A3に到達する前に、適切な水分離4.3と制御可能な流量制限器9.3とを用いた新たな露点設定のために、追加の熱交換器8.3の形態で冷却デバイスを有する。反応器R2を出るガスが、続く水の分離を除いてさらなるワークアップ手段を伴うことなく最終的な生成ガスを形成することができるように、第3の反応器R3を完全に省略することも可能である。
【0074】
反応器システムは、制御デバイス20によって制御される。制御デバイス20は、ワイヤ接続またはワイヤレスで個々の設定デバイスに制御命令を伝送し、図1には示されていない測定センサからセンサデータを受信する。測定センサは、以下でさらに詳細に説明される。
【0075】
しかしながら、最初に、メタン化において生じる事象のうちの一部が説明され、そして、その方法における事象の負の影響に対抗するための手段が示される。
【0076】
序論で説明した式(1)〜(3)に示された反応とは別に、部分的に他の元素と再結合されて反応器における触媒表面上で分離され、触媒の非活性化の継続的な進行をもたらし得る可能性のある炭素元素への一酸化炭素の転換などの他の反応もまた生じる。第1の反応器R1における、触媒の活性に影響を与える望ましくない炭素の分離を回避するために、または少なくともそれらを減少させるために、充分な水含有量が再循環によってまだ導入されていない場合には、原料ガスが反応器1に入る前に、蒸気の形態のHOを原料ガスに供給することができる。この目的のために、必要な場合には、HO供給デバイス5.1が提供される。
【0077】
メタン化は、強発熱性の反応であるので、ガス中でのメタン形成の間に、ガスの温度もまた非常に上昇する(ホットスポット(hot spot)の原因)。このように、第1の反応器R1におけるメタン化により、約65体積%〜85体積%のメタン含有量に到達する。メタン含有量をさらに増加させるために、反応器R1、R2、必要に応じてR3において温度レベルをずらし、これが、高いメタン含有量へと反応の平衡をシフトさせる。これらの温度レベルを維持するために、一方で、反応器の冷却が各反応器ステップに提供される。その目的のために提供され、反応器側において熱交換器ユニット18.1(18.2、18.3)によって冷却されることにより別の用途のために反応器の熱を吸収する冷却循環15.1(15.2、15.3)が、冷却循環流が反応器のガス流に関して並流であるように提供される。あるいは、ガス流の方向において負である温度勾配もまた、あらゆる場合において次に生じる冷却を目的として、エネルギー的に有利である並流の冷却循環流によって発生させることができる。
【0078】
第2の反応器R2におけるメタン化のさらなる改善のために、露点設定と、反応器R1を出るガスの冷却による水の分離とによって、水除去ステーションにおいて設定された露点に対応する水の一部分を凝縮させることが可能であると同時に、さらなる部分が、第2の反応器R2における炭素の堆積を防止するためにガス流に残る。このテーマに関しては、図2に関する基本的な説明も参照されたい。
【0079】
特に、反応器1への流入時には既に所望の空間速度において非常に速い速度で生じる反応により、原料ガスが、主にまたは実質的に、化学量論的に適切なCO/H混合物からなる場合には、反応熱がすでに発生させられ、その反応熱は非常に高いので、冷却循環による充分な反応器の冷却ではもはや充分ではない。従って、局所的に範囲を決められた過熱区域を、反応器の入口領域に形成することができ、それが「ホットスポット」と呼ばれる。そのような「ホットスポット」の形成は、温度センサによって検知することができ、対応するデータを制御デバイス20に伝送することができる。触媒は、長期的には過熱区域における温度ストレスに耐えることができないので、反応速度を低下させるための対策が行われる。
【0080】
その目的のために提供される手段は、例えば反応器2を出る実質的に既に完全に反応した生成ガスの一部分の再循環RZであり、その部分は、第1の反応器R1への流入の前に原料ガスと再び混合される。圧力レベルを維持するために、再循環される部分をコンプレッサ70によって事前に圧縮することができ、これが、反応器R1およびR2による圧力損失を補償する。反応器R1における反応速度は、この手段によって減少するが、さらに、再循環されたメタンに基づいて、HO供給デバイス5.1によるHOの添加を適合させるか、またはその添加を停止させることが可能であることを確実にしなければならない。
【0081】
「ホットスポット」の形成を妨げるか、または、できてしまった「ホットスポット」を排除するためのさらなる手段は、コンプレッサ7.1によって、第1の反応器R1の前に原料ガスの圧力を低下させることによって反応速度をさらに遅くすることからなる。ここで、圧力は、かなり低下させることができ、漏れの場合における空気の吸込みを防止するために周囲環境に対してほんのわずかに超過する圧力が必要とされ、例えば、1.5バール絶対圧の絶対圧を選択することができる。
【0082】
次に、反応速度と局所的な過熱区域とが退行する。中間コンプレッサ7.2によって、「ホットスポット」の問題が実質的に生じない反応器R2のために、システムにおける低圧力を再び上げることができる。従って、後のメタン化を、体積を減少させる反応により反応速度を増加させて平衡を高いメタン含有量へとシフトさせる、例えば7バールの高い圧力で再び行うことができる。この場合において、再循環されたガスを再び圧縮する必要がないように、反応器R1の前の圧力と比較して、反応器R2の後ろの圧力の低下を生じさせることさえ可能である。従って、再循環コンプレッサ70の使用を省略することが可能であり、必要に応じて湿潤な再循環されるガスの量が、制御可能な流量制限器90単独で設定される。
【0083】
上述したように、例えば、通常の操作(基本的な場合)において、能力を完全に利用する場合、2つの反応器R1およびR2を通過した後、対応する基本設定に基づいて、生成物の品質は充分である(基準の充足)と想定される。例えば、原料ガスの品質が低いか、もしくは触媒の活性の減少により、または負荷変化の性能により、2つの反応器R1およびR2だけを使用して基準を充足することができない場合に対して、メタン化反応は、反応器R3を接続することによって依然として継続することができる。これは、経路再選択デバイス3を通ってガス流の経路を再選択することによって生じる。反応器R3は最終的なメタン化のためだけに使用することができるので、最大の活性を示す触媒をその目的のために使用することができる。さらに、上流で接続される水除去制御8.2および4.2によって、露点設定と対応する水除去とを用いた新たな冷却が提供されることにより、反応器R3の反応器設計に対して必要とされる水含有量だけが、ここでもやはり触媒への望ましくない炭素の堆積を妨げる目的のために、反応器R3において流れるガスに残る。
【0084】
上記した手段を考慮に入れて、反応器の操作に関する個々の制御を以下に説明する。それは、一方で、本発明を用いて達成される断続的な操作(負荷変化に対する適合)を最適化する。さらなる最適化は、本方法のために使用されるエネルギーの節約、および触媒をより長く利用することに関する。
【0085】
最小限の圧縮の試みだけを第1の態様として以下に記載する。上述したように、中間コンプレッサ7.2を含む手段による、互いに独立して設定可能な反応器R1とR2とへの反応器システムのモジュール分割は、個々の反応器R1とR2との間で任意設定可能な圧力設定を可能にする。コンプレッサ7.1による反応器1における圧力設定に関して、反応器R1は、非常に低い圧力(例えば、1.5〜2バールの範囲)で操作されるが、その圧力は、所定の安全域(safety margin)により、周囲の圧力よりも高い値に設定しなければならない。
【0086】
第1の反応器における強い体積減少反応により、かなりのエネルギーの節約が既に達成される。なぜならば、中間コンプレッサ7.2は、反応器2における所望の高い圧力に対して小さい体積だけをもたらさなければならないからであり、その小さい体積は、圧縮が反応器1の前に既に行われた場合の体積よりも小さい。さらに、反応器R2における圧力もまた、生成ガスの所望の品質が依然としてかろうじて達成される(第1の基準の充足)ように省エネルギーを伴ってできる限り小さくするべきである。
【0087】
反応器R1における一定の圧力を用いて、この反応器R2に対するエネルギーを最適化する圧力低下は、制御デバイス20に統合される調整回路によって自動的に生じる。充足される基準の例として、最小メタン含有量を調整回路に対する標的値として使用することができる。従って、調整回路の実測値は、出口の場所において測定された生成ガスのメタン含有量である。測定されたメタン含有量と必要とされるメタン含有量との間に調整の正の偏差(deviation)がある場合において、調整回路の制御パラメータとしての反応器R2の前の圧力は、実測値と標的値とが一致することにより最小のエネルギー消費で所望の生成物品質が達成される値に調整されるまで、下げられ続ける。プロセスにおいては、所望の基準はまた、最小要件に関する安全域を含むこともできる。
【0088】
調整回路により、反応器2の前の適切な圧力設定は、後調整を必要とする外乱が、触媒のうちの1つに関して徐々に進行する劣化、わずかな負荷変化、または例えば原料ガスの二酸化炭素の割合に関する組成の変化によって説明されるか否かとは独立して生じる。
【0089】
最適化する調整を目的とする追加のパラメータは、中間コンプレッサ7.2におけるエネルギー消費が再循環されるガスの量に従って上昇するという知識に基づいた、再循環されるガスの量である。
【0090】
この追加の調整(調整回路2)は、「ホットスポット」と関連する問題に関する上記の説明に基づいて、反応器R1における温度が所定の限界温度を超えないという条件を伴って結合され、その所定の限界温度は、触媒の限界温度よりも低い安全域を有する経験に基づいた値であり、調整回路2に対する標的パラメータとして適用される。反応器1において測定された温度は、実測値として働き、制御パラメータとして機能する再循環されるガスの量は、再循環回路RZに配置された流量制限器90によって設定される。測定された温度が所定の標的温度よりも低い限り、再循環されるガスの量は、ここで減少させられる。このように、ここでもやはり、反応器R1に存在する温度の上昇をもたらし、「ホットスポット」の形成のリスクを増加させる可能性のある外乱、例えば、原料ガスの品質の変化、およびさらに迅速に反応する組成、または単位時間当たりに反応させられる原料ガスの量の増加などが、再循環を自動的に調整する(増加させる)ことによって補償される。
【0091】
再循環されるガスの可能な限り少ない量の形態での最適化によって、可能な限り高い反応器の温度が、関連の冷却循環15.1と熱交換器18.1とによって回収することができる使用可能な廃熱のエネルギー値もまた最大化されるように、反応器R1において同時に達成される。
【0092】
上述したように、反応器への各流入時に、ガスは、好適には、望ましくない炭素の堆積から触媒を保護するために最小の割合の水を含むべきである。この保護的な効果とは別に、HO添加デバイス5.1および5.2を通って水を供給することは、本方法のエネルギーバランスに対して負の影響を及ぼす。なぜならば、水は、ワークアップされ、加熱され、そして蒸発させなければならず、そしてさらに、続く圧縮によって補償しなければならない圧力損失を発生させるからである。一方、それぞれの反応器の後、供給された水は、凝縮によって再び取り出され、これもまたプロセスエネルギーを増加させる。
【0093】
従って、反応器システムの追加の制御は、水の割合を反応器への各流入時に確実にできるだけ低く維持する。反応器R1に関して、HO添加デバイス5.1を通る蒸気の形態で供給された水は最小化されるべきである。関連する限界条件は、ガス中の水含有量が、反応器R1への流入時に、いくつかのパラメータに依存するとともに所定の計算手順を使用して決定される、ガス中の水含有量よりも低くならないことである。この一般条件が充足されたことを検証するために、ガスの組成が、反応器への各流入時に継続的に決定され、制御デバイス20に伝達される。標的水含有量を計算するためのパラメータは、下記のもの(原料ガスの組成、特に、計算においては再循環を含む炭化水素含有量、特に反応器R1の転換速度、ならびに反応器R1の圧力および温度)のうちの1つ以上からなる。
【0094】
この制御はまた、追加の調整回路(調整回路3)によって自動的に行うことができ、反応器の流入におけるガスの間接的に決定/測定された水含有量は、実測値として使用され、HO添加デバイス5.1による計測によって添加された水の量は、この第3の調整回路の設定パラメータを表す。間接的な決定は、原料ガス、生成ガス、および再循環されたガスの量を知ることから得られる。
【0095】
同様に、反応器R2に入るガスの水含有量もまた、できる限り低く維持されるべきである。しかしながら、第1の反応器R1と比較して、一方では冷却8.1による露点設定による水除去4.1によることと、他方ではHO水添加デバイス5.2による計測による水添加によることとの2つの手段によって水含有量が変更可能であるという差が存在する。このように、対応する調整のために、2つの設定パラメータが利用可能である。理想的には、HO水添加デバイス5.2による水の供給は完全に省かれるべきであり、調整は、露点設定と、反応器R1からガスが出た後の水除去とによってのみ行われるべきである。しかしながら、後者は、中間コンプレッサ7.2に対する許容可能な最大水含有量という一般条件に依存する。この水含有量を超過する場合には、露点設定と水分離とによる調整は終了し、残りの後調整が、水の添加(5.2)によって行われる。反応器R2への流入時における水含有量に対する標的値として、反応器R2における圧力と、中間の生成ガスの組成(特に、その炭化水素含有量)と、反応器R2における反応器の温度とを使用して所定の計算手順を適用することによって得られる値が再び使用される。
【0096】
この調整回路4と調整回路3とに基づいて、触媒の保護が自動的に達成され、干渉するパラメータに対抗する調整が、他の場合には触媒のさらなる劣化をもたらし得るそれらの元々のパラメータとは独立して行われる。
【0097】
充足される基準が、例えば、生成ガスのメタン含有量に関する場合に対して追加の最適化が提供されるが、より厳しく(または単純化)される。中間コンプレッサ7.2による反応器R2における圧力によってこの変更された基準を充足するための、その基準に対する適合とは別に、原料ガスの組成を、追加のパラメータとして修正することができる。これは、一方では、例えば電気分解によって生成された水素の、原料ガスの二酸化炭素含有割合に対する修正された混合比によって、または後者の割合の変化によって行うことができる。例えば、この目的のために、バイオガスの一部を、外部のガス供給ラインに対する接続部を通って供給することができる。そのバイオガス自体は既に高い割合のメタンを含有する。
【0098】
反応器の操作のさらなる特に重要な最適化は、断続的な操作のための後者の制御からなる。上述したように、反応器は連続的な操作だけで使用可能であるべきではなく、例えば、短い時間内で、実現可能な負荷変化によって(すなわち、単位時間当たりに、迅速に変化する異なる原料ガス量を反応させることによって)再生可能な供給源に由来する過剰な流れの処理も可能にするべきである。
【0099】
まず、反応器システムは、エネルギーの点で妥当であるパラメータが上記の調整に従って設定される最大ガス転換に対して設計される。そのような出力、またはそれと関連する負荷によって、反応器を、例えば、最大負荷の40%以下、特に最大負荷の20%以下の低い負荷で、5分未満、特に2分未満の切り替え時間内に操作させることができる。完全なスイッチ切断を使用することも可能である。この負荷変化は一般的に、そして、従来の固体床反応器にとって非常に問題である迅速な負荷変化は特に、本発明に従ったモジュール反応器構成およびその制御によって容易にされる。
【0100】
完全に調整された通常の操作のための基本設定は、例えば、以下のものであることができる。原料ガスは、最初に270℃の温度まで予熱される(6.1)。第1のメタン化段階において、操作は270℃〜550℃の範囲の温度で2バールの圧力で行われる。第1のメタン化工程を通過した後、冷却が100℃〜135℃の温度で生じ(8.1)、その後、凝縮水の部分が分離される(4.1)。続く圧縮(7.2)が7バールの圧力で生じる。ガス混合物の水含有量が依然として20%未満であるならば25%〜35%に増加させられ(5.2)、再圧縮されたガスの約280℃までの予熱が行われる(6.2)。第2の工程におけるメタン化は、次に、350℃〜280℃の温度で7バールの圧力で生じる。
【0101】
例えば、水素生成のための電解槽のために再生可能エネルギーから得た電力が、風の凪により、および/または日照が少ないことにより明らかに減少したので、反応器の速度が、最大出力近くにおける調整された通常の操作から最大出力の20%まで落とされる場合において、本方法の制御がどのように起こるかを示す第1の例を使用した記載が、ここで提供される。一方、この目的のために必要とされる電流が電流市場において不経済な価格でしか入手可能でないので、水素の生成を減速させることが考えられる。
【0102】
次に、原料ガス流の減少により、空間速度の減少が反応器において生じ、そして、それらの触媒の負荷が減少し、さらに高程度のメタン化が可能になる。従って、上記の調整、特に調整回路1および2を適用して、調整回路によって出力を減少させる場合において、対応する省エネルギーが自動的に生じるように、より低いエネルギー消費で最小のメタン化割合の基準をも充足することができる。
【0103】
逆の場合において、反応器システムの動力を、例えば、最大負荷の20%の比較的に低い負荷から最大出力まで上げるべきである旨の信号を制御デバイス20が受信した時に、エネルギー消費を最適化することを目的とした制御および調整操作が最初に中止される。なぜならば、プロセスにおいてエネルギーが不充分であるからであり、負荷増加のための必要とされる反応熱の迅速な生成が、負荷増加の間の省エネルギーの可能性よりも重要であるからである。さらに厳しい基準を、調整の目的のために、予備的で一時的な様式で事前に定義することができる。
【0104】
制御デバイス20は、負荷変化に備えて、反応熱の放出に影響を与えるパラメータが放出を促進する値に変更されるように、設定デバイスのうちの1つ以上、特にデバイス7.1、6.1、7.2、90を制御する。このように、反応器R1に対する圧力、および/または反応器R2に対する圧力が増加させられ、必要な場合には再循環は減少させられ、そして、原料ガスは必要に応じてより高い値まで加熱される。さらに厳しい基準(例えば、CH含有量)は負荷変化の間に充足されないこともあり得るが、元々の基準は依然として順守される。
【0105】
過度に高い温度が反応器R1において局所的に蓄積し、「ホットスポット」が形成されるとすぐに、反応速度と反応熱の放出とを妨げるパラメータ設定に対する対策が開始する。(新たな負荷の下で定常状態の反応条件に到達することによって)新たな出力で横ばい状態になった後、エネルギー消費を最適化することを目的とする制御/調整を再開することができ、さらに厳しい基準を必要に応じて低下させることができる。
【0106】
できる限り短い時間で負荷増加を管理するためのさらなる可能性は、反応器R3を接続することからなる。エネルギー最適化を伴って制御される反応器システムの通常の操作の間、必要とされる生成ガスの品質(基準の充足)を維持するための先に述べたさらなる可能性が既に試し尽くされた場合にのみ、この反応器R3を接続するのが好ましい。図1に示された表示において、反応器R3を接続すること(3)ができ、反応器R3は、モジュール接続により反応器R1およびR2の下流に配置することができる。しかしながら、本発明の示されていない代替的な実施形態においては、必要に応じてさらに大きな寸法の第2の反応器R2によって、反応器R3を完全に省略することと、さらに大きな柔軟性を求めることとがまた考えられる。
【0107】
従って、直列のシステムにおいて互いに結合させることができ、費用効果の高い連続的な工業生産において直列のシステムの一部としてさらに単純に製造することもできる個々の反応器からの反応器システムのモジュール構成は、異なる原料ガスの処理の点でさらに大きな柔軟性と、異なる出力範囲の達成とを可能にする。さらに、特に、2つの反応器R1とR2との間を流れるガスに影響を与えることによる、個々の反応器の個々の制御可能性によって、システムの説明されたさらに柔軟な制御、特にエネルギーを最適化された制御が可能となる。
【0108】
以下に、追加の実施形態をまた、図2を参照して記載する。そこで記載する露点設定またはガス混合物に関する詳細は、図1を参照して記載した実施形態にも基本的には適用することができるが、以下で列挙するパラメータ値は、本発明を限定すると解釈すべきではなく、可能な選択または可能な実施形態の例として解釈しなければならない。
【0109】
反応器システム1'は、所定のモル比SNで二酸化炭素(CO)と水素(H)とを混合するための混合ユニット2'と、二酸化炭素と水素とを含有するガス混合物のメタン化のための合成ユニット3'と、水が合成ユニット3'においてメタン化されたガス混合物から除去される乾燥ユニット4'とからなる。
【0110】
混合ユニット2'は、二酸化炭素(CO)の供給ライン5'と、水素(H)の供給ライン6'とを備える。供給ライン5'と6'とにおいて、質量流コントローラ(MFC)7'と8'とが提供され、それらによって、それぞれの供給ライン5'と6'とを通って流れるガス流を制御することができる。質量流コントローラ7'と8'との下流で、2つの供給ライン5'と6'とが1つのガスラインに合流する。
【0111】
図2に示されるように、合成ユニットは、2つの相互に連続して配置された反応器段階9'と10'とからなり、それらのそれぞれが、それ自体公知であるニッケル含有触媒を備える。
【0112】
2つの反応器段階9'と10'とはそれぞれ、適切な冷却媒体によって外側から冷却される。ここで使用される冷却媒体は、いずれの場合においても、冷却媒体がそれぞれの反応器段階9'と10'とからメタン化反応(3)の発熱によって発生した熱の一部分を吸収することができるように、それぞれの反応器段階9'と10'との外壁に沿った循環に導かれる。第1の反応器段階9'と第2の反応器段階10'との冷却媒体の循環において、冷却媒体温度維持装置11'と12'とが含まれ、それらは、冷却媒体が反応器段階9'と10'との外壁に沿って導かれる前に、冷却媒体を所定の温度にする。
【0113】
冷却媒体温度維持装置11'と12'とから来る冷却剤は、ガス混合物の流れの方向とは反対方向で、すなわち、反応器段階9'と10'との出口から反応器段階9'と10'との入口に第1の反応器段階9'と第2の反応器段階10'とを通って導かれる。この結果は、反応器段階9'と10'との出口における冷却効果が最大となり、そして、冷却剤の温度がガス混合物によって吸収される熱エネルギーによって入口に向かって上昇するので、冷却効果は反応器段階9'と10'との入口に向かって連続的に減少することにより、ガス混合物の温度と冷却媒体の温度との間の温度差が減少するということである。
【0114】
反応器段階9'と10'とから来て、温度維持装置11'と12'とに戻される前にメタン化反応(3)の発熱によって加熱された冷却剤は、まず、第1の反応器段階9'への流入の前、または第2の反応器段階10'への流入の前に、熱交換器13'と14'とにおいてガス混合物を予熱するために使用される。熱交換器13'と14'とから来る冷却剤は、第1の反応器段階の冷却剤循環と第2の反応器段階の冷却剤循環との各場合において温度維持装置11'と12'とに戻される。
【0115】
2つの反応器段階9'と10'との間に、合成ユニット3'は、第1の反応器段階9'を出た後のガス混合物の露点設定のため、そして熱交換器14'を出る前に、第2の反応器段階10'に流れるガス混合物を予熱するためのデバイスを備える。この露点設定デバイスは、冷却ユニット15'と第1の反応器段階9'を出るガス混合物を冷却するための熱交換器16'とを有する冷却剤循環と、ガス混合物の冷却により凝縮された水を合成ユニット3'または反応器システム1'から除去する凝縮物ダイバータ17'とからなる。
【0116】
第2の反応器段階10'を出た後、メタン化されたガス混合物は、乾燥ユニット4'に導入される。この乾燥ユニット4'は、露点設定のためのデバイスと同様に、冷却ユニット(図示せず)と第2の反応器段階10'を出るガス混合物を冷却するための熱交換器18'とを有する冷却剤循環と、ガス混合物の冷却により凝縮された水を乾燥ユニット4'または反応器システム1'から除去する凝縮物ダイバータ19'とからなる。
【0117】
混合ユニット2'において、質量流コントローラ7'と8'との適切な制御によって、例えば空気またはバイオガスから得られた純粋な二酸化炭素(CO)と、例えば水からの電気分解によって得られた純粋な水素(H)とが、化学量論的に混合される。従って、混合ユニット2'において発生させられたガス混合物は、本実施形態においては、実質的に二酸化炭素と水素とだけを含む。
【0118】
この実施形態の例において、ガス混合物は、ガス混合物が第1の反応器段階9'に導入される前に約270℃の温度まで、第1の反応器9'の前の第1の熱交換器13'において予熱することによって予熱される。このように予熱されたガス混合物の導入後に、触媒によって開始されるメタン化反応の発熱が、約450℃の最高温度へのガス混合物の迅速な加熱に導く。結果として、ガス混合物の温度は、第1の反応器段階9'の出口に向かって約300℃の値まで減少する。第1の反応器段階9'から出た後、ガス混合物は、露点設定デバイスにおいて約120℃の温度まで冷却され、その処理において凝縮された水が合成ユニット3'または反応器システム1'から凝縮物ダイバータ17'を用いて除去される。露点設定後、ガス混合物は熱交換器14'を用いて約260℃の温度まで予熱される。ガス混合物の温度は、第2の反応器段階10'へのガス混合物の導入後、約280℃までほんのわずかに増加し、ガス混合物の温度は、出口に向かって270℃の温度まで約10℃だけわずかに減少する。
【0119】
第1の反応器段階9'と第2の反応器段階10'とにおけるメタン化の後、メタン化反応によって発生したHOは、熱交換器18'においてガス混合物を約30℃ほどの温度まで冷却して、凝縮物ダイバータ19'を使用してそのプロセスにおいて凝縮された水を除去することによって、乾燥ユニット4'においてメタン化されたガス混合物から除去される。
【0120】
反応器システム1'または合成ユニット3'における圧力は、実施形態の例に従って6バールに設定される。空間速度が、第1の反応器段階において3500/hの値を有すると共に、第2の反応器段階において2500/hの少し低い値を有するように、二酸化炭素ガスおよび水素ガスの質量流が、本実施形態の例において、質量流コントローラ7'および8'によって設定される。
【0121】
露点設定後のガス混合物におけるモル単位の水含有量は、本実施形態の例において30〜35%である。
【0122】
乾燥ユニット4における乾燥後、ガス混合物のモル単位での水含有量は、30℃の露点に対応する値を有する。
【0123】
第1の反応器段階9'における二酸化炭素の変換は、実施形態の例において約95%であり、第2の反応器段階10'における二酸化炭素の変換は、実施形態の例において90%よりもわずかに高いので、最終的には、メタン化されたガス混合物におけるメタン含有量が約99%となる。
【0124】
高いメタン含有量を有する結果として得られるガス混合物は、車両のための燃料として直接使用することができるか、または、鉱物ガス供給網に直接供給することができる。
【0125】
しかしながら、反応器システム1'と、それによって行われる方法との様々な形態もまた、本発明に従って可能である。
【0126】
このように、反応器システム1を、2つの反応器段階9'と10'とを用いて記載した。しかしながら、さらにより完璧なメタン化が必要とされる場合には、追加の反応器段階を提供することも可能である。
【0127】
二酸化炭素と水素とを含有するガスのメタン化は、6バールにおいてのみではなく、他の圧力においても可能である。しかしながら、2〜15バールの範囲の圧力が好ましい。2〜8バールの範囲の圧力が特に有利である。
【0128】
特定の温度管理を上述した。他の温度管理が考えられる。従って、第1の反応器段階9'または第2の反応器段階10'に導入する前のガスを予熱するための他の温度を選択してもよい。使用される触媒によっては、本方法はまた、ガス混合物を第1の反応器段階9'または第2の反応器段階10'に導入される前に予熱することなく行うこともできる。これにより装置の費用は削減される。
【0129】
本方法を、300℃〜450℃までの第1の反応器段階9'における温度を有する実施形態の例において記載した。この範囲において、メタン化は特に効率的に生じる。しかしながら、他の温度で第1の反応器段階においてメタン化を行うことも可能であり、効率的なメタン化が達成される300℃〜600℃の範囲の温度が選択される。同様に、第2の反応器段階における後メタン化を、270℃〜280℃の範囲の温度で行われるように記載した。この範囲において、後メタン化は特に効率的に生じる。しかしながら、他の温度で後メタン化を行うことも可能であり、250℃〜300℃の範囲の温度が利点を提供することができる。
【0130】
露点設定のために、120℃の温度までのガス混合物の冷却を記載した。しかしながら、使用される圧力によっては、露点を最適に設定するために別の温度が必要となることがある。2〜15バールの圧力において、30〜50%のモル単位の水含有量を設定するためにガス混合物を露点設定のために冷却しなければならない温度は、80℃〜160℃までの範囲である。2〜8バールの好適な範囲の圧力において、この温度は86℃〜128℃の範囲である。有利には、モル単位の水含有量が30%〜50%の範囲、特に好適には30%〜35%の範囲であるように、露点設定が行われる。
【0131】
上記の実施形態の例において、効率的なメタン化のために特に有利な特定の空間速度を記載した。しかしながら、他の空間速度もまた考えられる。第1の反応器段階9'におけるガス混合物の空間速度は、2000/h〜8000/hの範囲であるのが好ましい。2000/h〜6000/hの範囲の空間速度が特に有利である。第2の反応器段階10'における空間速度は、1000/h〜6000/hの範囲である。1500/h〜4000/hの範囲の空間速度が特に有利である。
【0132】
上記した実施形態の例において、二酸化炭素と水素とを含有するガス混合物として、二酸化炭素と水素とだけから実質的になるガス混合物が使用される。しかしながら、メタン化のために使用されるガス混合物は、追加の成分も含有することができる。必要に応じて、第1の反応段階9'への導入の前に、例えば硫黄化合物などの触媒毒を除去しなければならない。二酸化炭素と水素とを含有するガス混合物は、例えば、二酸化炭素と水素とに加えて、一定のメタンの割合と0.1%未満の一酸化炭素の割合とを既に含有するバイオガスであってもよい。二酸化炭素と水素との間のモル比は、ここで水素を混合することによって再び得られる。
【0133】
さらに、上記の実施形態の例において、二酸化炭素と水素との化学量論的な混合を記載した。しかしながら、それとは異なる二酸化炭素と水素との混合比を使用することも可能である。
【0134】
最後に、30℃に冷却し、乾燥ユニット4'において凝縮水を除去することによって、メタン化されたガス混合物を乾燥させることを、上記した実施形態の例において記載した。しかしながら、メタン化されたガス混合物の乾燥もまた、他の公知の方法によって行うことができる。さらに、乾燥は原料ガス混合物の仕様に応じて適合させてもよく、必要に応じて乾燥を完全に省略することもできる。
【0135】
本発明は、図面に関する詳細な記載において説明された実施形態に限定されない。むしろ、先の記載と特許請求の範囲とにおいて開示された本発明の特徴は、本発明の様々な実施形態において本発明を実施するために、独立的に、そして任意の組み合わせにおいて必須であり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタンリッチ生成ガスを生成するための方法であって、該方法においては、水素と二酸化炭素とを含有する原料ガスが、少なくとも2つの段階(R1、R2)における少なくとも1つの設定可能なパラメータの影響下で触媒的にメタン化され、該生成ガスの組成に関する少なくとも1つの基準が監視され、該基準は該方法に影響を与える条件下で充足され、該方法は、
該条件が変化した時には、該基準の充足を維持するパラメータ設定の変更が行われること
を特徴とする、方法。
【請求項2】
前記原料ガスは第1のメタン化段階に流れることが可能であり、前記条件は、前記原料ガスの供給流に関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記条件は、単位時間当たりに流れる前記原料ガスの流れの量に関連する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記原料ガスに含有される前記水素の少なくとも一部分は、電気負荷を収集することによる電気分解によって特に生成され、前記条件は、前記収集された負荷に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
メタン化と関連するエネルギー消費は、前記パラメータの設定に依存し、行われる前記設定変更は、該エネルギー消費を減少させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのパラメータの影響は、前記少なくとも2つのメタン化段階のうちの第1のメタン化段階と第2のメタン化段階との間で作用する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのパラメータは、前記第1のメタン化段階への流入時に存在する圧力と、前記第2のメタン化段階への流入時に存在する圧力と、方向転換され前記第1の段階の前に再循環されるガスの量と、前記第1のメタン化段階の前の前記ガスの水含有量と、前記第2のメタン化段階の前の前記ガスの水含有量と、前記第1のメタン化段階の後にガス混合物から除去された水の量と、前記第1のメタン化段階および/または前記第2のメタン化段階の前に前記ガスを加熱するために使用される加熱出力と、第3のメタン化段階を含むか含まないかと、前記第1のメタン化段階における温度と、別個に前記第2のメタン化段階における温度と、前記原料ガスの組成とからなる群から選択される、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記設定変更は、特に調整によって自動的に生じる、請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記設定変更は、順守されるべき一般条件に依存する、請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記一般条件は、前記第1のメタン化段階および/または前記第2のメタン化段階における前記ガスおよび/または前記触媒の最高温度と、前記第1のメタン化段階および/または前記第2のメタン化段階の前の前記ガスの最小水含有量および/または最大水含有量と、前記再循環されるガスの最小量および/または最大量と、前記第1のメタン化段階の後に除去された前記水の最小量および/または最大量と、前記第1のメタン化段階に存在する前記圧力の最小値および/または最大値と、前記生成されたガス混合物の前記組成に関する追加的な(第2の)基準の充足とからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記一般条件の充足は、適切に関連付けられた調整回路によって制御され、該調整回路によって特に監視される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記一般条件の充足の問題に影響を及ぼす追加(第2)のプロセスパラメータの前記設定は、前記一般条件を充足しながら変更され、前記(第1)のプロセスパラメータの設定の変更に対して、その変化形は、あらゆる場合において、前記設定の機能として、最も少ないエネルギー消費と関連する前記(第1)の処理パラメータの設定を得るために、変更された第2のパラメータを用いて行われる、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのパラメータの影響は、前記メタン化の反応速度に作用し、単位時間当たりに流れる原料ガスの量が増加した場合において、前記少なくとも1つのパラメータの前記設定の変更は、前記反応速度が増加するように第1の介入において行われる、請求項3〜12のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
第2の介入において、一般条件が充足されるとすぐに、特に、前記第1のメタン化段階における所定の温度が超過されるとすぐに、対策が行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第3の介入において、請求項5〜12に従った省エネルギー制御が、前記変更された条件に関して定常状態が達成されるとすぐに行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記条件は、代替的に、または追加的に、前記原料ガス流の組成と関連する、請求項2〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記条件は、代替的に、または追加的に、前記メタン化段階において使用された少なくとも1つの触媒の摩耗に関する、請求項1〜16のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記条件は、代替的に、または追加的に、前記生成ガスの前記組成に関連し、特に、前記監視された基準の適合に関連する、請求項1〜17のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
水素と二酸化炭素とを含有する原料ガスからメタンリッチ生成ガスを生成するための反応器システムであって、該反応器システムは、
触媒を備え、次々に接続された少なくとも2つの反応器段階(R1、R2)と、
前記生成ガスの組成に関する基準を監視するための監視デバイスと、
前記監視デバイスに結合された制御デバイス(20)と、
メタン化に影響を与える少なくとも1つのパラメータを設定するために、前記制御デバイス(20)によって制御される少なくとも1つの設定デバイス(3、5、6、7、8、90)と
を有し、
該反応器システムは、前記メタン化に影響を与える第1の条件下で操作可能であり、前記基準は、この操作の間、充足され、
該反応器システムが、第1の条件が第2の条件に変更されたときに、該反応器システムが前記基準の充足を維持する前記設定パラメータの変更を可能にするように設計されること
を特徴とする、反応器システム。
【請求項20】
前記少なくとも2つの反応器段階は、それらの構造が相違する、請求項19に記載の反応器システム。
【請求項21】
前記構造の相違は、機械的な設計、熱除去の種類、および/または使用される触媒の種類にある、請求項20に記載の反応器システム。
【請求項22】
それぞれの反応器段階に供給されたガスの性質は、特に少なくとも1つの設定デバイスによって変更可能である、請求項19〜21のいずれか1項に記載の反応器システム。
【請求項23】
少なくとも1つの第1の設定デバイス(8.1、7.2、6.2)は、前記2つの反応器段階の間に配置され、特に、コンプレッサ(7.2)を備える、および/またはコンプレッサ(7.2)からなる、請求項22に記載の反応器システム。
【請求項24】
第2の設定デバイスは、第1の反応器段階の後にガスに含有される水の少なくとも一部分を除去する目的で、特に前記コンプレッサの上流に配置されたデバイス(8.1、4.1)である、請求項19〜23のいずれか1項に記載の反応器システム。
【請求項25】
前記第2の設定デバイスは、事前に選択可能な露点設定を可能にする、請求項24に記載の反応器システム。
【請求項26】
第3の設定デバイス(5)は、前記反応器段階の1つ以上の前に水を供給するために提供される、請求項19〜25のいずれか1項に記載の反応器システム。
【請求項27】
第4の設定デバイス(6)は、1つ以上の反応器段階において導入されたガスを加熱するために提供される、請求項19〜26のいずれか1項に記載の反応器システム。
【請求項28】
第1の反応器段階の前に位置する場所へのガスの一部分の再循環、特に、第2の反応器段階を出るガスの再循環のために、追加の設定デバイスとして、再循環デバイス(RZ)を備える、請求項19〜27のいずれか1項に記載の反応器システム。
【請求項29】
前記再循環デバイスは、コンプレッサ(70)、および/または制御可能な流量制限器(90)を備える、請求項28に記載の反応器システム。
【請求項30】
前記制御デバイスを介して接続可能である第3の反応器段階(R3)をさらに備える、請求項19〜29のいずれか1項に記載の反応器システム。
【請求項31】
電気エネルギーによって水素を発生させるためのデバイスに結合させることができる、特に、前記デバイスに結合される、請求項19〜30のいずれか1項に記載の反応器システム。
【請求項32】
特にガス洗浄器によって、二酸化炭素を生成するためのデバイスに結合させることができる、特に、前記デバイスに結合される、請求項19〜31のいずれか1項に記載の反応器システム。
【請求項33】
原料ガスの一部分として使用されるガス、特にバイオガスを供給するための接続を備える、請求項19〜32のいずれか1項に記載の反応器システム。
【請求項34】
設定デバイス(7.2、90、5.1、8.1、5.2)のうちの1つ以上が、調整回路によって制御可能である、請求項19〜33のいずれか1項に記載の反応器システム。
【請求項35】
前記制御デバイスは、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法を行うことによって操作可能である、請求項19〜34のいずれか1項に記載の反応器システム。
【請求項36】
前記2つの条件は、単位時間当たりに反応させられた原料ガスの量の差に関連し、前記システムは、前記反応させられる2つのガスの量の間での断続的な操作のために設計される、請求項19〜35のいずれか1項に記載の反応器システム。
【請求項37】
請求項1〜18のいずれか1項に従った方法に従って、または請求項19〜36のいずれか1項に従った反応器システムを用いて生成されるメタンリッチガス混合物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2013−515684(P2013−515684A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545113(P2012−545113)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006877
【国際公開番号】WO2011/076315
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512164942)ソーラー フューエル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【Fターム(参考)】