説明

メダルゲーム機のメダル投入装置及びメダルゲーム機

【課題】プレイヤがメダルを揃えなくてもメダルを投入できるメダルゲーム機のメダル投入装置及びメダルゲーム機を提供する。
【解決手段】ゲーム機1のメダル投入装置4Lは、上部が開口し、幅WがメダルMの直径とほぼ同等であり、底部32が長手方向に至るに従って下側に傾斜している溝部31と、溝部31を振動させ、溝部31内に収容されたメダルMを整列させるモータ36と、溝部31の傾斜方向A下側の端部に設けられ、モータ36により整列され傾斜方向下側に配置されたメダルMを、ゲーム機1内部に落下させる落下孔33とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダルゲーム機内部にメダルを投入するメダル投入装置及びメダルゲーム機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プッシャゲーム機等のメダルゲーム機には、内部にメダルを投入するためのメダル投入装置が設けられていた(例えば特許文献1)。
しかし、従来のメダル投入装置は、複数のメダルを連続投入する場合、プレイヤがメダルを揃えなければならなかった。
【特許文献1】特開2007−130218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、プレイヤがメダルを揃えなくてもメダルを投入できるメダルゲーム機のメダル投入装置及びメダルゲーム機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
請求項1の発明は、上部が開口し、幅(W)がメダル(M)の直径とほぼ同等であり、底部(32)が長手方向に至るに従って下側に傾斜している溝部(31)と、前記溝部を振動させ、前記溝部内に収容された前記メダルを整列させる加振部(36)と、前記底部の傾斜方向(A)下側の端部に設けられ、前記加振部により整列され前記傾斜方向下側に配置された前記メダルを、メダルゲーム機(1)内部に落下させる落下孔(33)と、を備えるメダルゲーム機のメダル投入装置である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のメダルゲーム機のメダル投入装置において、前記溝部(31)に連設され、前記溝部に投入する前記メダル(M)を複数載置するメダル載置部(20)を備えること、を特徴とするメダルゲーム機のメダル投入装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のメダルゲーム機のメダル投入装置において、前記溝部(31)の内側面に設けられた突起(34)を有すること、を特徴とするメダルゲーム機のメダル投入装置である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のメダルゲーム機のメダル投入装置において、前記溝部(31)は、前記メダルゲーム機(1)の筐体(2)に対して少なくとも振幅分移動できる状態で保持されていること、を特徴とするメダルゲーム機のメダル投入装置である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のメダルゲーム機のメダル投入装置において、前記溝部(31)と前記メダルゲーム機(1)の前記筐体(2)との間に設けられ、前記溝部の振動の前記筐体への伝達を低減する振動低減部(39)を備えること、を特徴とするメダルゲーム機のメダル投入装置である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のメダルゲーム機のメダル投入装置において、前記溝部(31)に前記メダル(M)が収容されたことを検出する検出部(35)と、前記検出部の出力に応じて、前記加振部(36)を駆動する制御部(38)とを備えること、を特徴とするメダルゲーム機のメダル投入装置である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のメダル投入装置(4L,4R)を備えたメダルゲーム機である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、溝部を振動させることによってメダルを整列させて、メダルゲーム機内部にメダルを落下させるので、プレイヤは、メダルゲーム機にメダルを投入する場合に、メダルを揃える必要がなく、メダル投入を容易に行うことができる。また、溝部の上部が開口しているので、プレイヤは、溝部内のメダルを視認でき、さらに、メダル投入をやめるときには、指等を開口に入れてメダルを押さえればよい。さらに、仮に、メダルが整列せずに詰まってしまうような場合でも、開口部から指等を入れて、メダルを取り除いたり、整列したりして、容易に対処することができる。
(2)本発明は、溝部に投入する複数のメダルを載置するメダル載置部を備えるので、複数のメダルを溝部に投入し、複数のメダルを連続して投入することができる。
【0006】
(3)本発明は、溝部の内側面に設けられた突起を有するので、例えば、複数のメダルがメダル表面の法線方向が上側を向いた状態で重なってしまう場合であっても、重なってしまったメダルを整列させることができる。
(4)本発明は、溝部が、メダルゲーム機の筐体に、振幅分移動できる状態で保持されているので、溝部の振動動作が制限されることがないように、溝部を保持することができる。
【0007】
(5)本発明は、溝部の振動が筐体に伝達することを低減するので、溝部の振動による筐体の振動を低減することができる。
(6)本発明は、溝部にメダルが収容されたことに応じて加振部を駆動するので、メダルが収容された場合にのみ加振部を駆動して、加振部の耐久性を向上でき、また、消費するエネルギー(電力等)を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、プレイヤがメダルを揃えなくてもメダルを投入できるメダルゲーム機のメダル投入装置及びメダルゲーム機を提供するという目的を、メダルゲーム機のメダル投入装置に、上部が開口し、幅がメダルの直径とほぼ同等であり、底部が長手方向に至るに従って下側に傾斜している溝部と、溝部を振動させ、溝部内に収容されたメダルを整列させるモータと、溝部の傾斜方向下側の端部に設けられ、モータにより整列され傾斜方向下側に配置されたメダルを、メダルゲーム機内部に落下させる落下孔とを備えることによって実現した。
【0009】
(実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態のゲーム機1の一部を示す斜視図である。
ゲーム機1は、左右方向Xの幅1m程度、奥行方向Yの長さ1m程度、鉛直方向Zの高さ2m程度の装置であり、主にゲームセンタ等の店舗に設置される。
ゲーム機1は、プレイ領域Fに複数のプッシャ台6〜8が配置されたメダルプッシャゲーム機である。なお、プレイ領域Fとは、各プッシャ台6〜8、入賞部9等の装置が配置され、メダルMを移動させるプレイが実際に行われる領域をいう。
【0010】
ゲーム機1は、ケース2と、ウィンドウ3と、メダル投入装置4L,4Rと、ゲーム盤5と、上部プッシャ台6と、2台の下部プッシャ台7,8と、入賞部9と、メダル落下孔10と、メダル払い出し口11とを備えている。
ケース2は、ゲーム機1の筐体である。
ウィンドウ3は、ゲーム機1内部のプレイ領域Fとゲーム機1の外部とを仕切る部材である。ウィンドウ3は、ゲーム機1の手前側Y1に設けられている。ウィンドウ3は、外部からプレイ領域Fを視認できるように、透明な材料(例えばアクリル樹脂等)により形成される。
メダル投入装置4L,4Rは、プレイ領域FにメダルMを投入するために、プレイヤがメダルMを投入する装置である。メダル投入装置4L,4Rは、ケース2の操作パネル2aの左右にそれぞれ設けられている。メダル投入装置4L,4Rの構成は、後述する。
【0011】
ゲーム盤5は、プレイ領域Fの奥側Y2に直立するように配置されている。ゲーム盤5の上部には、メダル射出孔(図示せず)が設けられており、メダル投入装置4L,4RにメダルMが投入されると、メダル射出孔からメダルMを射出するように構成されている。
【0012】
上部プッシャ台6は、プレイ領域Fの奥側Y2に配置されている。上部プッシャ台6は、上部固定テーブル6aと、上部固定テーブル6a上を奥行方向Yに往復移動する上部往復テーブル6bとを備えている。
上部プッシャ台6は、ゲーム盤5から落下してきたメダルMを上部固定テーブル6aに載置し、上部往復テーブル6bによって、上部固定テーブル6a上のメダルMを、玉突きのように押し出すように構成されている。
【0013】
下部プッシャ台7,8は、上部プッシャ台6よりも下段の左右にそれぞれ配置され、上部プッシャ台6に連接するように設けられている。
下部プッシャ台7は、上部プッシャ台6の上部固定テーブル6a、上部往復テーブル6bと同様な、下部固定テーブル7aと、下部往復テーブル7bとを備えている。
下部プッシャ台7は、上部プッシャ台6から落下してきたメダルMを、下部固定テーブル7aに載置し、下部固定テーブル7a上のメダルMを、玉突きのように押し出して、メダル落下孔10に落下させるように構成されている。
【0014】
下部プッシャ台8は、下部プッシャ台7と左右対称の構成であり、下部往復テーブル8bによって、下部固定テーブル8a上のメダルMを、メダル落下孔10に落下させるように構成されている。
入賞部9は、上部プッシャ台6よりも手前側Y1に配置され、上部プッシャ台6に押し出されたメダルMが入賞できるようになっている。
【0015】
メダル落下孔10は、下部プッシャ台7,8よりも手前側Y1に設けられた開口孔であり、下部プッシャ台7,8に押し出されたメダルMが落下する。
メダル払い出し口11は、メダル落下孔10に落下したメダルMを払い出す開口孔である。
【0016】
以下、メダル投入装置4L,4Rについて、詳細に説明する。なお、メダル投入装置4L,4Rは、左右対称の形態であるので、主にメダル投入装置4Lについて説明する。
図2は、本実施形態のメダル投入装置4Lの斜視図である。
メダル投入装置4Lは、メダル載置部20と、振動装置30とを備えている。
【0017】
メダル載置部20は、直方体に形成されており、4つの取り付け孔21と、メダル載置面22と、案内溝23と、切欠き24とを有している。
取り付け孔21は、メダル載置部20をケース2(図1参照)にねじ止めするための貫通孔である。
メダル載置面22は、振動装置30に投入するメダルMを載置する部分である。メダル載置面22は、案内溝23の奥行方向Yの両側に設けられた2つの面22a,22bから形成され、複数(例えば100程度)のメダルMを載置できる。この面22a,22bは、案内溝23に向かって下側に傾斜しており、メダル載置部20上のメダルMを、プレイヤが案内溝23に導きやすくなっている。
案内溝23は、メダル載置面22に載置されたメダルMを、振動装置30に投入しやすくするために設けられた溝である。案内溝23は、後述するように、振動装置30の溝部31の底部32の傾斜方向A上側に連設されている。
切欠き24は、振動装置30を収容するために設けられている。
【0018】
振動装置30は、ゲーム機1内部にメダルMを投入しやすくするために、切欠き24内に収容されている。以下、振動装置30について説明する。
図3は、本実施形態の振動装置30の正面図(手前側Y1から見た図)である。
図4は、本実施形態の振動装置30の断面図(図5に示す矢印IV−IV部矢視断面図)である。
図5は、本実施形態の振動装置30の上面図(図3に示す矢印Vから見た図)である。
図6は、本実施形態の振動装置30の右側面図(図3に示す矢印VIから見た図)である。
図7は、本実施形態の振動装置30の底面図(図3に示す矢印VIIから見た図)である。
図8は、本実施形態の振動装置30のゲーム機1に取り付けた状態の断面図(図5に示す矢印IV−IV部矢視断面図)である。
【0019】
なお、図3〜図7は、説明の便宜上、振動装置30を奥行方向Yの軸回りに角度θ回転し、溝部31の底部32の傾斜方向Aを図中左右方向に平行にした状態を図示する。従って、振動装置30は、ゲーム機1に取り付けた状態では、図8に示すように、溝部31の底部32が角度θ傾斜するようになっている。
図3に示すように、振動装置30は、溝部31と、メダルセンサ35(検出部)と、モータ36(加振部)と、制御部38と、ダンパ39(振動低減部)とを備えている。
【0020】
図5、図6に示すように、溝部31は、上部が開口した溝である。溝部31は、メダルMの表面の法線方向を傾斜方向Aにして、メダルMを収容できるように、幅WがメダルMの直径とほぼ同等(やや大きい)である。溝部31は、長手方向が左右方向Xになるように配置される。溝部31は、メダル載置部20の案内溝23に連設されている。
溝部31は、底部32と、落下孔33と、2つの突起34とを有している。
【0021】
図6に示すように、底部32は、溝部31の底面を形成する部分であり、断面形状が半円である。この半円の径は、メダルMを収容できるように、メダルMの径とほぼ同等(やや大きい)である。図8に示すように、ゲーム機1に取り付けた状態では、底部32は、溝部31の長手方向(左側X1)に至るに従って角度θ下側に傾斜している。
【0022】
図4に示すように、落下孔33は、底部32の傾斜方向A下側の端部に設けられた開口孔である。落下孔33の大きさは、メダルMが落下できるように、メダルMの外形よりも少し大きい(図7参照)。落下孔33は、モータ36により整列されたメダルMのうち最も傾斜方向A下側に配置されたメダルMを、ゲーム機1内部に落下させる(図8参照)。
【0023】
図6に示すように、突起34は、溝部31の内側面から突出するように設けられている。突起34は、下側の部分34aの断面形状が、底部32の半円を延長したような円弧状であり、メダルMに対して上側から振動を伝えることができる。
図5に示すように、突起34は、溝部31の内側面のうち傾斜方向A下側から長さLの範囲に、内側面から突出するように設けられている。
【0024】
メダルセンサ35は、溝部31に収容されたメダルMを検出する光学センサである。メダルセンサ35は、溝部31の傾斜方向A下側の範囲に設けられている。メダルセンサ35は、発光部35aと、発光部35aが発した光線を受光する受光部35bとから構成される。発光部35a及び受光部35bは、溝部31を介して対向配置されており、メダルセンサ35は、メダルMが溝部31の傾斜方向A下側の範囲にあるときに、このメダルMを検出し、検出信号を制御部38に出力する。なお、溝部31には、メダルセンサ35の光線を通過させる貫通孔が設けられている。
【0025】
図3に示すように、モータ36は、溝部31を振動させるDCモータ等である。モータ36は、溝部31の傾斜方向A下側の壁部31aの外側に固定されている。モータ36は、回転軸36aが傾斜方向Aとは直交する方向であって上側になるように配置されている。モータ36は、回転軸36aに、円筒状の振動錘37が設けられている。
図5に示すように、振動錘37の中心軸37aと、モータ36の回転軸36aとは、偏心している。このため、モータ36が振動錘37を回転すると、傾斜方向Aに大きな振幅を有する振動が発生し、この振動が溝部31に伝達されて溝部31が、傾斜方向Aに大きく振動する。
【0026】
図3に示すように、制御部38は、ゲーム機1を統括的に制御する装置であり、CPU(中央処理装置)等から構成され、記憶装置(図示せず)のプログラムに基づいて処理を行う。
制御部38は、メダルセンサ35の出力に応じて、モータ36を制御し、メダルMが収容された場合にのみモータ36を駆動する。また、制御部38は、メダルMを検出しなくなってから所定時間後(例えば数秒後)に、モータ36の駆動を停止する。これにより、制御部38は、モータ36の耐久性を向上でき、また、消費するエネルギー(電力等)を低減することができる。
【0027】
ダンパ39は、ゴムを蛇腹状に形成した振動減衰部材である。溝部31には、図5に示すように、傾斜方向A上側に2つダンパ39aが設けられ、傾斜方向A下側に2つのダンパ39bが設けられ、図3に示すように、底部32の外側に1つのダンパ39cが設けられている。
ダンパ39は、一方の端部が溝部31に取り付けられ、もう一方の端部がメダル載置部20に取り付けられることによって、振動装置30をメダル載置部20に保持する。
【0028】
ダンパ39は、このように振動装置30を保持することよって、振動装置30とメダル載置部20との間に介在するような形態になる。つまり、ダンパ39は、溝部31とケース2との間に介在して、溝部31の振動のケース2への伝達を低減することができる。ダンパ39は、溝部31がケース2に対して振幅分移動できるように、その形状(肉厚等)やゴムの硬度が設定されている。このため、溝部31は、振動動作が制限されることがない。
また、ダンパ39は、溝部31の振動がケース2に伝達されることを低減するので、溝部31の振動によるケース2の振動を低減することができる。
【0029】
次に、ゲーム機1の動作について説明する。
図2に示すように、プレイヤがメダル載置部20のメダルMを溝部31内に挿入すると、図3に示すように、メダルセンサ35が溝部31に収容されたメダルMを検出して、検出信号を制御部38に出力する。なお、プレイヤは、メダルMを獲得するには、プレイ領域F内の各プッシャ台6〜8(図1参照)の状態等から、プレイ領域FにメダルMを投入するタイミングを見計らって、メダルMを溝部31内に挿入しなければならない。
【0030】
図3に示すように、制御部38は、メダルセンサ35の出力に応じて、モータ36を駆動して、溝部31を振動させる。これによって、図8に示すように、ゲーム機1は、溝部31内に収容されたメダルMを、メダルMの表面の法線方向が、溝部31の傾斜方向Aを向くように整列する。そして、メダルMは、落下孔33からゲーム機1に落下する。
落下したメダルMは、光学センサ(図示せず)によって検出される。そして、制御部38は、この光学センサの出力に基づいて、メダル搬送装置(図示せず)を駆動して、ゲーム機1内部に貯留してあるメダルMを、ゲーム盤5上部のメダル射出孔(図示せず)から射出して、プレイ領域Fに投入する。
【0031】
制御部38は、プレイ領域FのメダルMが入賞部9に入賞した場合に抽選を行い、抽選結果に応じて、所定時間(例えば1分程度)、ボーナスゲームを行う。制御部38は、ボーナスゲーム中、さらにメダルMが入賞部9に入賞した場合に、複数(例えば10枚程度)のメダルMを、ゲーム盤5から射出して、プレイ領域Fに投入する。
このため、ボーナスゲーム中は、できるだけ多くのメダルMをプレイ領域Fに投入して入賞させることによって、メダルMを獲得しやすくなる。
【0032】
このような場面であっても、プレイヤは、複数のメダルMをメダル載置部20から溝部31に挿入できる。そして、図8に示すように、ゲーム機1は、溝部31に不規則に収容されたメダルMを、溝部31を振動させることによって整列させて、ゲーム機1内部に落下させることができる。このため、プレイヤは、複数のメダルMを揃えなくても、メダル投入を容易に行うことができる。
また、溝部31は、上部が開口しているので、プレイヤは、溝部31の左右方向Xからだけではなく、上側からもメダルMを挿入できる。さらに、プレイヤは、溝部31に収容されたメダルMの状態を開口から視認することができるし、ボーナスゲームが終了した後には、開口から指を挿入してメダルMを押さえることによって、メダル投入をやめることができる。
さらに、溝部31は、上部が開口しているので、仮に、メダルMが整列せずに詰まってしまうような場合でも、プレイヤは、開口部から指等を入れて、メダルMを取り除いたり、整列したりして、容易に対処することができる。
【0033】
次に、振動装置30の試作機によって確認したメダルMの整列実験の一例について説明する。この整列実験は、突起34の機能・作用の一例を確認するものである。
図9は、本実施形態の振動装置30の試作機によるメダルMの整列実験を説明する斜視図(図3に示す矢印VI方向から見た図)である。
図10は、本実施形態の振動装置30の試作機によるメダルMの整列実験を説明する断面図(図8に相当する図)である。
【0034】
図9(a)、図10(a)に示すように、この整列実験は、9枚のメダルMがメダル表面の法線方向が上側を向いた状態で重なった状態から行う。この状態で、一番上側に配置されたメダルMを上メダルM1とし、一番下側に配置されたメダルMを下メダルM9とする。
図9(b)、図10(b)に示すように、振動装置30を振動させると、下メダルM9側の7枚のメダルMは、重力及び振動装置30の振動によって傾斜方向A下側に移動するが、上メダルM1側に2枚のメダルMは、突起34に当接してしまうため傾斜方向A下側に移動することができない。
そして、図9(c)、図10(c)に示すように、下メダルM9側の7枚のメダルMは、振動装置30の振動の作用によって、メダルMの表面の法線方向が、傾斜方向Aを向くように整列していく。この場合にも、上メダルM1側の2枚のメダルMが、突起34に当接して動けない状態である。
【0035】
そして、メダルM1側の2枚のメダルMが、突起34に当接して動けない状態で、下メダルM9側の7枚のメダルMが整列していと、図9(d)、図10(d)に示すように、最終的に、下メダルM9側の7枚のメダルMが、上メダルM1側の2枚のメダルMよりも下側をくぐり抜ける。そして、上メダルM1側の2枚のメダルMが、溝31の底部32に着地する。
図9(e)、図10(e)に示すように、下メダルM9側の7枚のメダルMが、完全に整列した状態では、上メダルM1側の2枚のメダルMは、メダル表面の法線方向が上側を向いた状態で重なる。下メダルM9側の7枚のメダルMが、落下孔33に順次落下していくと、上メダルM1側の2枚のメダルMは、振動装置30の振動の作用によって、メダルMの表面の法線方向が、傾斜方向Aを向くように整列していく。ここでは、この整列動作の説明は、省略する。
【0036】
以上の整列実験から、突起34は、少なくとも、複数のメダルMがメダル表面の法線方向が上側を向いた状態で重なった場合に、これらのメダルMを整列させることに対して有効であることが確認できた。
なお、以上の説明のとおり、突起34は、上側に配置されたメダルMを移動できない状態にして、下側のメダルMを起き上がらせるようにして整列させる程度の大きさであることが適切である。例えば、突起34の傾斜方向Aの長さ(図10(e)の長さL1参照)を7枚のメダルMと同等にした場合には、突起34の鉛直方向の配置は、下メダルM1から8枚目のメダルM(図10(a)に示すメダルM2)以上上側のメダルMが、当接して動けないような位置にすればよい。
また、突起34の傾斜方向Aの長さL1は、メダルMの直径程度にすると、メダルMの整列に効果的であることが実験により確認できている。
【0037】
以上説明したように、ゲーム機1は、溝部31を振動させてメダルMを整列させて、ゲーム機1内部に落下させるので、メダルMの連続投入を容易に行うことができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施形態のゲーム機の一部を示す斜視図である。
【図2】本実施形態のメダル投入装置の斜視図である。
【図3】本実施形態の振動装置の正面図である。
【図4】本実施形態の振動装置の断面図である。
【図5】本実施形態の振動装置の上面図である。
【図6】本実施形態の振動装置の右側面図である。
【図7】本実施形態の振動装置の底面図である。
【図8】本実施形態の振動装置のゲーム機に取り付けた状態の断面図である。
【図9】本実施形態の振動装置の試作機によるメダルの整列実験を説明する斜視図である。
【図10】本実施形態の振動装置の試作機によるメダルの整列実験を説明する断面図ある。
【符号の説明】
【0040】
1 ゲーム機
2 ケース
4L,4R メダル投入装置
20 メダル載置部
23 案内溝
30 振動装置
31 溝部
33 落下孔
34 突起
35 メダルセンサ
36 モータ
37 振動錘
38 制御部
39 ダンパ
A 傾斜方向
F プレイ領域
M メダル
W 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口し、幅がメダルの直径とほぼ同等であり、底部が長手方向に至るに従って下側に傾斜している溝部と、
前記溝部を振動させ、前記溝部内に収容された前記メダルを整列させる加振部と、
前記底部の傾斜方向下側の端部に設けられ、前記加振部により整列され前記傾斜方向下側に配置された前記メダルを、メダルゲーム機内部に落下させる落下孔と、
を備えるメダルゲーム機のメダル投入装置。
【請求項2】
請求項1に記載のメダルゲーム機のメダル投入装置において、
前記溝部に連設され、前記溝部に投入する前記メダルを複数載置するメダル載置部を備えること、
を特徴とするメダルゲーム機のメダル投入装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のメダルゲーム機のメダル投入装置において、
前記溝部の内側面に設けられた突起を有すること、
を特徴とするメダルゲーム機のメダル投入装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のメダルゲーム機のメダル投入装置において、
前記溝部は、前記メダルゲーム機の筐体に対して少なくとも振幅分移動できる状態で保持されていること、
を特徴とするメダルゲーム機のメダル投入装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のメダルゲーム機のメダル投入装置において、
前記溝部と前記メダルゲーム機の前記筐体との間に設けられ、前記溝部の振動の前記筐体への伝達を低減する振動低減部を備えること、
を特徴とするメダルゲーム機のメダル投入装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のメダルゲーム機のメダル投入装置において、
前記溝部に前記メダルが収容されたことを検出する検出部と、
前記検出部の出力に応じて、前記加振部を駆動する制御部とを備えること、
を特徴とするメダルゲーム機のメダル投入装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のメダル投入装置を備えたメダルゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−142397(P2010−142397A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322116(P2008−322116)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)