説明

メダルゲーム機

【課題】見た目やゲームとともに従来にない新規性を有し、これまでとは異なったアプローチでプレイヤに一層の興味を持たせることができ、かつ継続性の高いゲーム性を期待できるメダルゲーム機を提供する。
【解決手段】左または右エントリー7,6にメダルを投入するとカラーメダル左または右ピンパネ部8,12にカラーメダルが放出される。モニタ3でビデオゲームの抽選などのゲーム処理が行われ、特別な賞が当たると、通常メダル排出口2から大量のメダルが排出され直接メダル獲得口21に落下する。また、カラーチェッカー11にカラーメダルが通過するなどによりカラーメダル対応の枚数のメダルが通常メダル排出口2から排出されメダルリング機構20に溜まる。メダルリング機構20の円弧形状可動部は所定の角度で揺動し、ボーナスチェッカー9などに入ると大きな角度で揺動する。メダル獲得口21に落下したメダルはメダル払い出し口5より払い出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダルリング機構を備えたメダルゲーム機、さらに詳しくいえば、メダルゲームで発生する賞に対応して払い出されるメダルを円筒リング部分に一時堆積し、揺動する円弧形状可動部によりメダルを払い出す機能を有するメダルゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
メダルを投入してピンパネル面を落下させチェッカーや特定の賞を発生する孔に入れることによりメダルの払い出しを行うメダルゲーム機や、投入されたメダルをメダルフィールドに堆積させ、メダルプッシャー板を前後に繰り返し移動させることにより、メダルプッシャー板の先端部で少しずつ堆積したメダルをメダル落下口まで移動させてメダルの払い出しを行うメダルプッシャーゲーム機が実用に供されている。
【0003】
このようなメダルゲーム機においてメダルゲームの差別化は、筐体外観や中央部のオブジェクト、大型抽選機などが主であり、装置そのものの見栄えによって新規性を見出している。しかしながら、メダルゲームの根本部は長きに渡り変化に乏しく、ゲーム部分での独自性を見出せないのが現状である。
【0004】
このようなメダルゲーム機の一例として特許文献1に示すようなメダルプッシャーゲーム装置が提案されている。
このメダルゲームはマルチステーション型のもので、同時に多数のプレイヤが装置の各面でゲームを行うことができるようになっている。中央にターンテーブル状のプレイフィールドを設け、プレイフィールド上のメダルを各面に設けたプッシャーを前後動させることにより各面のプレイヤは共通したプレイフィールドからメダルの払い出しを行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−129890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このメダルゲーム機は中央部に設けた共通のメダルフィールドからメダルの払い出しを行うというゲームであり、メダルゲーム自体を変えるものではないと考えられる。
本件発明者は従来のメダルを押し出すプッシャーゲームとは異なり、円筒部にメダルを一端堆積し、メダルを払い出すための揺動機構を利用することよりメダルを押し上げて払い出しを行うという、従来にないゲーム性の動作機能を備えたものを実現できないかを考えた。
本発明の目的は、見た目やゲームとともに従来にない新規性を有し、これまでとは異なったアプローチでプレイヤに一層の興味を持たせることができ、かつ継続性の高いゲーム性を期待できるメダルゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明の請求項1記載の発明は、メダルを排出するメダル排出口と、上部に前記メダル排出口から排出されるメダルを受け入れるメダル受け入れ口を有し、前面が透明板で覆われた円筒リング部と、前記円筒リング部の上方に配置されメダル獲得のための孔を有する底板と、前記円筒リング部の透明板との間にメダルを溜めるための空間部が形成されるように前記円筒リング部に収容され左右に揺動制御される円弧形状可動部と、前記円弧形状可動部を左右に揺動させる制御手段とを備え、前記メダル排出口よりメダルが排出された場合、該排出されたメダルを前記メダル受け入れ口より前記円筒リング内に落下させて前記空間部に堆積させ、前記円弧形状可動部の揺動により前記堆積されたメダルを前記空間部から前記底板に落下させ前記円弧形状可動部の端面で前記底板に落下させたメダルを押し上げて前記メダル獲得のための孔に落下させることによりメダルを払い出すことを特徴とする。
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において前記メダル受け入れ口の下部にカバーを設け、前記カバーにより前記メダル受け入れ口に受け入れるメダルを前記空間部に誘導し、メダルゲームに特別な賞が発生した場合、前記カバーを退避させることにより前記メダル受け入れ口に受け入れるメダルを直接メダル獲得のための孔に落下させてメダルを払い出すことを特徴とする。
本発明の請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において前記制御手段は、メダルゲームで発生した賞の種類に応じてその揺動する回転角度を大きくし、揺動回数を変えることにより前記メダル獲得のための孔に落下させるメダルの枚数を増加させることを特徴とする。
本発明の請求項4記載の発明は請求項1,2または3記載の発明において前記円筒リング部の中央部分にゲーム処理内容を表示するためのモニタを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
前記構成によれば、従来にない新規なメダルゲーム機を提供できる。このメダルゲーム機はメダルリング機構の可動部の回転量によって獲得できるメダルの数が変わるため、これまでと違ったアプローチで射幸心を煽る事ができ、かつ継続性の高いゲーム性も期待できる。
また、各ホッパーのメダルを内部で独立して循環させることにより、ICタグが入ったメダル等を使用するなど、応用が効くメダルゲーム機の構成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明によるメダルゲーム機の外観を示す概略図である。
【図2】本発明によるメダルゲーム機のホッパー付近の構造を説明するための斜視図である。
【図3】本発明によるメダルゲーム機の上面図である。
【図4】ピンパネル形式のメダルゲームの詳細を説明するための図である。
【図5】本発明によるメダルゲーム機に用いられるメダルリング機構の構造を説明するための斜視図である。
【図6A】メダルリング機構のボーナスカバーの駆動機構を説明するための図である。
【図6B】メダルリング機構の円弧形状可動部の駆動機構を説明するための図である。
【図7】本発明によるメダルゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
【図8】本発明によるメダルゲーム機の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【図9A】メダルリング機構の斜視図で、円弧形状可動部が右回転しメダルの一部が段差部に落ちた状態を示している。
【図9B】メダルリング機構の斜視図で、円弧形状可動部が左回転し段差部に落ちたメダルがメダル獲得口に流れ込む状態を示している。
【図9C】メダルリング機構の斜視図で、メダル排出口から排出されたメダルが分岐突起で2方向に分岐されボーナスカバーに当たって空間部に溜まっていく様子を示している。
【図10A】メダルリング機構の斜視図で、円弧形状可動部が右回転し境界位置まで達し段差部にメダルが全て落ちる様子を示している。
【図10B】メダルリング機構の斜視図で、円弧形状可動部が左回転し段差部に落ちた全てのメダルがメダル獲得口に流れ込む状態を示している。
【図11】メダルリング機構の斜視図で、ボーナスカバーが退避してメダル排出口からメダルが排出され直接メダル獲得口に流れ込む状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は本発明によるメダルゲーム機の外観を示す概略図である。
この実施の形態は2人用のメダルゲーム機であり、中央にメダルリング機構20が配置され、左右にカラーメダル左ピンパネ部8とカラーメダル右ピンパネ部12が設けられている。
メダルゲーム機1の前面パネル部分の左右にメダルを投入するための左エントリー7と右エントリー6が配置されている。前面パネル部分の中央にメダル受け皿30が設置され、該メダル受け皿30にメダルを払い出すためのメダル払い出し口5が設けられている。
【0011】
メダルリング機構20の中央にモニタ3が設置され、該モニタ3に後述の抽選などのゲーム内容が表示され実行される。メダルリング機構20の上部に通常メダル排出口2が設けられている。この部分からカラーメダル左または右ピンパネ部8,12でのカラーメダルの動作にしたがってメダルが排出され、メダルリング機構20のメダル受け入れ口19(図5参照)に流入する。メダルリング機構20の下部にメダル払い出し口5に払い出されるメダル数を表示する7セグ払い出し枚数表示部4が設けられている。
【0012】
例えば左エントリー7にメダルを投入すると、ICタグ(メダルの色を特定する情報などを記憶している)が封入されたカラーメダルがカラーメダル左ピンパネ部8の上部より放出される。放出されたカラーメダルが左ピンパネ部8に設置されたカラーチェッカー11やボーナスチェッカー9に入ることなどにより、モニタ3に表示されるビデオゲームで抽選などのゲーム処理が行われる。右エントリー6にメダルを投入しても同様に動作,処理がなされる。
その結果に伴い、中央に設置されたメダルリング機構が動作しメダルを獲得できるかどうかが決定される。
【0013】
図2は、本発明によるメダルゲーム機のホッパー付近の構造を説明するための斜視図である。
メダルゲーム機1の前面パネル下部の筐体内部に各ホッパーが設けられている。ホッパーはモータで回転するロータリーディスクに設けられた孔に、集積されたメダルを落とし込み、ロータリーディスクの回転によりメダルを数珠つなぎにメダル払い出し路に押し出し目的の部分にメダルを射出する装置である。
筐体内部の左右にカラーメダル用ホッパー34が設置され、該カラーメダル用ホッパー34はカラーメダル左または右ピンパネ部8,12からカラーメダル供給路36によりカラーメダルを回収する。回収されたカラーメダルはカラーメダルピンパネ排出路35を介してカラーメダル左または右ピンパネ部8または12に左エントリー7または右エントリー6にプレイヤが通常メダルを投入する毎に1枚ずつ送り出され、カラーメダル左または右ピンパネ部8または12に射出される。これによりカラーメダル循環機構が形成される。
【0014】
筐体内部の中央部に払い出し用ホッパー31が設置され、該払い出し用ホッパー31は左エントリー7または右エントリー6からの通常メダルをメダル供給路32により回収する。回収された通常メダルは、メダル獲得口21にメダルが落下して払い出しが発生した場合(7セグ払い出し枚数表示部4に払い出し枚数がカウント表示される)、メダル払い出し路33を介してメダル払い出し口5より7セグ払い出し枚数表示部4に表示された枚数がメダル受け皿30に払い出される。これによりメダル払い出し機構が形成される。
払い出し用ホッパー31の背後に内部メダル循環用ホッパー37が設置され、該内部メダル循環用ホッパー37から通常メダル排出口2に通常メダルが送り出される。送り出された通常メダルは一端メダルリング機構内に溜められるか、または直接メダル獲得口21に落下し内部メダル循環用ホッパー37に戻る。これにより内部メダル循環機構が形成される。
【0015】
図3は本発明によるメダルゲーム機の上面図である。
メダルゲーム機1を真上から見ると、メダルリング機構の上部が見え、その左右にカラーメダル左および右ピンパネ部8,12が配置されている。また前面パネル面に左エントリー7,右エントリー6およびメダル受け皿30が視認できる。
図4はピンパネル形式のメダルゲームの詳細を説明するための図である。
カラーメダル左および右ピンパネ部8,12は左右が逆の配置で構成は同じである。
カラーメダルピンパネ排出路35から供給され最も上の位置にあるカラーメダル38が、カラーメダル用ホッパー34の動作で押し出されると、メダル案内路38aに排出される。モニタ3上に表示される抽選画像(例えば3スロット)が回転動作を開始し、抽選が行われるとともにメダル案内路38aからピンパネ部にカラーメダルが落下する。
【0016】
カラーメダル左および右ピンパネ部8,12は、パネル板8aおよび12aにカラーメダルが接触すると回転する風車形状のピンパネ障害物40aや、カラーメダルを弾く多数のピン40bが設けられている。また、カラーメダルが通過する孔を有するカラーチェッカー11が配置されている。カラーチェッカー11に対応の色のメダルが通過、例えば表示部39aが緑色に光っているときに、緑色のメダルが通過すれば30枚のメダルが、表示部39aが青色に光っているときに、青色のメダルが通過すれば20枚のメダルが、赤色に光っているときに、赤色のメダルが通過すれば10枚のメダルがメダルリング機構20の通常メダル排出口2から排出される。
さらにカラーメダル左および右ピンパネ部8,12の下部にカラーメダルが通過する孔を有するボーナスチェッカー9が設けられている。ボーナスチェッカー9にカラーメダルが入ると、例えば、後述の円弧形状可動部24の揺動角が1往復だけ大きくなり、多数のメダルをメダル堆積空間部29からメダル獲得口21に落下させることができる(図5参照)。
カラーメダルがピンパネ部の最下部に達すると、ミスポケット10に落下し、カラーメダル供給路36よりカラーメダル用ホッパー34に送られる。
【0017】
図5は、本発明によるメダルゲーム機に用いられるメダルリング機構の構造を説明するための斜視図である。
メダル獲得口21を有する底板27の上にリング形状の円筒リング部26が設けられている。円筒リング部26の上部の略1/4(角度で略90度)の部分は切り欠けられており、この切り欠き部26aの位置に底板27のメダル獲得口21が臨んでいる。
円筒リング部26の切り欠き部26aにメダルが誘導されると、メダル獲得口21に落下する。円筒リング部26の上に円弧形状可動部24が矢印24aの方向に揺動可能に配置されている。さらにこの上にメダルを堆積するためのメダル堆積空間部29を作るための透明リング板28が被せられている。すなわち円弧形状可動部24は円筒リング部26と透明リング板28で形成される空間部分に揺動可能に収容され、透明リング板28と円弧形状可動部24の上面の間に上述のメダル堆積空間部29が形成される。
【0018】
メダルリング機構20の最も上にメダル排出口2から排出されるメダルを左右に分岐するためのメダル流れ分岐突起2aが設けられている。このメダル流れ分岐突起2aを囲うようにメダル受け入れ口19が形成されている。
メダル排出口2から排出されるメダルはメダル流れ分岐突起2aで分岐させられ、ボーナスカバー22の上面に落下し、さらに透明リング板28と円弧形状可動部24の表面部の間に形成されるメダル堆積空間部29に流れて堆積する。
ボーナスカバー22はボーナスカバー退避溝25に退避できるようになっており、特別な賞が発生した場合、ボーナスカバー22はボーナスカバー退避溝25内に引っ込むため、メダル排出口2からのメダルは直接メダル獲得口21に流れ込む。
メダルリング機構20の最も下にストックランプ23が設けられている。ストックランプ23は、モニタ3で表示されている3スロットの抽選回数のストック状態を示すもので、例えば2つランプがついていれば、2回分の抽選が実行されていないことを示す。
【0019】
図6Aは、メダルリング機構のボーナスカバーの駆動機構を説明するための図である。 ボーナスカバー22は伸縮棒42の先端に取り付けられている。伸縮棒42はソレノイド(アクチュエータ)70の駆動により(b)の状態から(a)の状態になる。通常は底板27のボーナスカバー退避溝25よりフィールド内に突出した状態になっており、特別な賞が当たると、CPU(後述)から指令が送られソレノイド70が駆動し伸縮棒42がソレノイド70内に引き込まれボーナスカバー退避溝25内に退避する。
【0020】
図6Bは、メダルリング機構の円弧形状可動部の駆動機構を説明するための図である。円弧形状可動部24の上部両端部にコの字形状の支持棒45の先端が取り付けられ、支持棒45の中央に軸46が固定されている。軸46の先端にギア43が固定されている。ギア43はギア44に噛合し、ギア44はモータ61の回転を減速する減速ギア41の出力軸に固定されている。CPU(後述)から指令が送られ円弧形状可動部モータ61に揺動駆動させる駆動信号が入力されることにより、円弧形状可動部モータ61から揺動出力がギア群を介して支持棒45に伝達される。支持棒45は軸46を中心に揺動するため円弧形状可動部24は円弧上を左右に揺動する。
【0021】
図7は、本発明によるメダルゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
メダルゲーム機はCPU50,ROM53,I/O制御系52およびメモリ部51の各回路を備えており、CPU50は映像出力インターフェース56を介して映像出力装置57に、サウンド出力インターフェース54を介してサウンド出力装置55にそれぞれ接続されている。映像出力装置57はモニタ3であり、サウンド出力装置55はスピーカ(図示してない)である。
ROM53には制御プログラム,メダルゲームプログラム,外部インターフェース(サウンド出力インターフェース,映像出力インターフェース)用プログラムおよびそれらに関連するデータが格納されている。
【0022】
CPU50は制御プログラムを読み出すことによりゲーム機全体の制御を行い、さらにゲームプログラムを読み出すことによりメダルゲームを実行するための各処理を行うゲーム処理部の機能を有する。
また、外部インターフェース用プログラムを読み出すことによりサウンド出力インターフェース54および映像出力インターフェース56を駆動し、サウンドおよび映像の出力制御を行う外部出力部の機能を実現する。
メモリ部51は、CPU50がゲーム処理や演算などを行うときに利用するための作業領域として使用されるとともにゲームに必要なデータを一時的に保持する機能を有する。
【0023】
CPU50は入力指示やゲーム進行における処理結果などを受けることによりI/O制御系52を介してメダルリング部,ピンパネ部およびエントリー部の各駆動機構部分を駆動制御する。また、7セグ払い出し枚数表示部4に払い出し枚数をカウント表示する。メダルリング部(メダルリング機構)に対してはつぎのような駆動制御が行われる。
CPU50はゲーム中、図5の円弧形状可動部24の位置を中心に左右に所定角度(例えば30°)揺動させる指示を円弧形状可動部駆動回路60に送出し、円弧形状可動部駆動回路60はこの指示に従って円弧形状可動部モータ61を所定角度で左右に揺動駆動する。この動作で円弧形状可動部24の先端が沈む側では、円弧形状可動部24の上面と透明リング板28の間に溜まったメダルの一部が円弧形状可動部24の先端部より円筒リング部26の上に落ちれば、つぎの円弧形状可動部24の先端が上昇する動作で、円筒リング部26に落ちたメダルが押し上げられ、底板27のメダル獲得口21に落下する。
【0024】
メダル獲得口21に落下したメダルは7セグ払い出し枚数表示部4にカウント表示される。CPU50は払い出しホッパー駆動回路67に7セグ払い出し枚数表示部4に表示された枚数のメダルの払い出し指示を送出する。払い出しホッパー駆動回路67は払い出しホッパーモータ68を駆動し払い出し用ホッパー31を作動させてカウント表示された枚数のメダルをメダル払い出し口5より払い出させる。メダル獲得口21に落下したメダルは、内部メダル循環用ホッパー37に回収される。
図9Aに円弧形状可動部24の右側先端が沈み、円筒リング部26の上面(段差部)にメダルが落ちた状態を、図9Bに円弧形状可動部24の右側先端が上昇し、円筒リング部26の上面(段差部)に落ちたメダルがメダル獲得口に落下する状態が示されている。
【0025】
CPU50はボーナスチェッカー9にカラーメダルが入った情報を受けると、1回だけ大きな揺動角(例えば85°)で動作させる指示を円弧形状可動部駆動回路60に送出する。これにより、円弧形状可動部24の先端が沈む側では、円弧形状可動部24の上面と透明リング板28の間に溜まったメダルのすべてが円弧形状可動部24の先端部より円筒リング部26の上面(段差部)に落ち、つぎの円弧形状可動部24の先端が上昇する動作で、円筒リング部26の上面に落ちたメダルが押し上げられ、大量のメダルがメダル獲得口21に落下する。
図10Aに円弧形状可動部24が最大揺動角まで揺動し円筒リング部26の上面にすべてのメダルが落ちた状態を、図10Bに円弧形状可動部24の先端が上昇し、円筒リング部26の上面に落ちた大量のメダルがメダル獲得口21に落下する状態が示されている。
【0026】
また、CPU50はモニタ3に表示される抽選でジャックポット等の大当たりが発生した場合、ボーナスカバーを退避させるための指示をボーナスカバー駆動回路69に送出する。ボーナスカバー駆動回路69はボーナスカバーソレノイド(アクチェータ)70を作動させ、ボーナスカバー22を退避させる。そしてメダルホッパー駆動回路62に大量のメダル(例えば200枚)のメダルを排出する指示を送出する。メダルホッパー駆動回路62はメダルホッパーモータ63を駆動し内部メダル循環用ホッパー37より上記枚数のメダルをメダル排出口2から排出させる。ボーナスカバー22は退避しているため、排出されたメダルは直接メダル獲得口21に落下する。
図11にボーナスカバーが退避してメダル排出口2からメダルが排出され直接メダル獲得口21に流れ込む状態が示されている。
メダル獲得口21に落下したメダル数は7セグ払い出し枚数表示部4にカウント表示される。CPU50は払い出しホッパー駆動回路67に7セグ払い出し枚数表示部4に表示された枚数のメダルを払い出す指示を出し、払い出しホッパーモータ68を駆動し、メダル払い出し口5よりカウント表示された枚数のメダルを払い出させる。
【0027】
つぎにピンパネ部の動作について説明する。
プレイヤがエントリー6または7にメダルを投入すると、メダル投入が図示しないメダル検出器で検出され、検出されたメダルが払い出し用ホッパー31に回収される。CPU50はメダル検出の情報を受けて、カラーメダルをピンパネ部に放出する指示をICタグ封入メダル用ホッパー駆動回路64に送出する。ICタグ封入メダル用ホッパー駆動回路64はカラーメダルホッパーモータ65を駆動し、カラーメダル用ホッパー34よりカラーメダルピンパネ排出路35にメダルを押し出し、ピンパネ部8または12にカラーメダルを放出させる。
【0028】
CPU50はカラーチェッカー表示駆動回路66に指示を出し、カラー表示部39aを青色,緑色,赤色などに順番に色変更表示する。ピンパネ部8または12に放出されたカラーメダルがカラーチェッカー11に入り、例えばカラー表示部39aが赤色であるとき、赤色のメダルが入れば、10個の報酬メダルが得られることとなる。メダルホッパー駆動回路62にメダルを10個排出する指示を送出し、メダルホッパー駆動回路62はメダルホッパーモータ63を駆動し、内部メダル循環用ホッパー37を作動させて通常メダル排出口2から10個のメダルを排出させる。このときボーナスカバー22は突出しているため分岐突起で分岐されたメダルはボーナスカバー22に当たり、円弧形状可動部24上のメダル堆積空間部29に堆積する。
図9Cにメダル排出口2から排出されたメダルが分岐突起で2方向に分岐されボーナスカバー22に当たってメダル堆積空間部29に溜まっていく様子が示されている。
【0029】
図8は、本発明によるメダルゲーム機の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
左エントリー7にメダルが投入される(ステップ(以下「S」という)01)と、カラーメダル用ホッパー34が動作し(S02)、ICタグ封入されたカラーメダルがピンパネ部8の上から放出される(S03)。放出されたメダルがカラーチェッカー11に入ったり、ボーナスチェッカー9に入ったりすると対応のゲーム処理がなされる(S04,S05)。上記ボーナスチェッカー9などに入らないカラーメダルはミスポケット10に落下し、カラーメダル用ホッパー34に回収される。
【0030】
ゲーム処理ではカラーチェッカー11やボーナスチェッカー9にカラーメダルが入った場合、対応の枚数のメダルをメダルリング機構に排出する処理やピンパネ部にカラーメダルが放出される度にモニタ3に表示されている抽選を開始して完了させる処理などを行う。抽選が開始された場合、ストックランプ23が点灯し、溜まった抽選の回数が表示される。
S06はメダルリング機構の円弧形状可動部を左右に揺動させる処理であり、通常は例えば中心位置から左右30度の揺動であり、ボーナスチェッカー9にメダルが入ると、1回のみ中間位置から左右85度の揺動を行う処理である。
【0031】
S07は抽選の結果、ジャックポットなどの大当たりが発生すれば、ボーナスカバーを退避させ、200枚のメダルをメダル排出口から排出させる処理である。また、他の種類の当たりが発生すれば、その当たり対応の枚数のメダルを排出させる処理である。
S08はカラーチェッカー11に、どの色のカラーメダルが、どんな色表示のときに入ったかによって排出する枚数(緑では30枚,青色では20枚,赤色では10枚,色が合わなければ5枚など)を決め、その枚数のメダルをメダル排出口から排出させる処理である。
このようにエントリーに通常メダルを投入しピンパネ部にカラーメダルを放出して発生するS06,S07,S08の処理を行うことにより、メダルの払い出しが発生し、その払い出し指示に基づきメダルの払い出し用ホッパー31が作動し(S09)、メダルの払い出しが行われる(S10)。
【0032】
以上の実施の形態は、メダルリング機構の円弧形状可動部の円弧の角度を180°の場合の例を説明したが、円弧形状可動部の円弧の角度は、180°である必要はなく、例えば150°,120°,100°など他の円弧の角度を用いても本発明によるメダルリング機構を実施することができる。対象をメダルとしたが、メダルではなく球体などを扱うゲーム機にも適用できる。
さらにピンパネ部のカラーメダルのひとつ一つの振る舞いに対し、メダルリング機構側の駆動処理を、抽選でジャックポットに当たれば、ボーナスカバーが退避して200枚のメダルがメダル獲得口に落とされるというような対応付けをしているが、ピンパネ部のカラーメダルの振る舞いに対するメダルリング機構の動作はこのように対応付ける必要はなく、メダルリング機構の他の動きに対応付けてもよい。例えば、抽選でのジャックポットの当たりに対し、円弧形状可動部の揺動角度を変更してもよい。これはカラーチェッカーに入った場合やボーナスチェッカーに入った場合も同様に他のメダルリング機構の動きに対応付けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
ゲームセンターやイベント会場に設置される業務用メダルゲーム機である。
【符号の説明】
【0034】
1 メダルゲーム機
2 通常メダル排出口
3 モニタ
4 7セグ払い出し枚数表示部
5 メダル払い出し口
6 右エントリー
7 左エントリー
8 カラーメダル左ピンパネ部
9 ボーナスチェッカー
10 ミスポケット
11 カラーチェッカー
12 カラーメダル右ピンパネ部
19 メダル受け入れ口
20 メダルリング機構
21 メダル獲得口
22 ボーナスカバー
23 ストックランプ
24 円弧形状可動部
25 ボーナスカバー退避溝
26 円筒リング部
27 底板
28 透明リング板
29 メダル堆積空間部
30 メダル受け皿
31 払い出し用ホッパー
32 メダル供給路
33 メダル払い出し路
34 カラーメダル用ホッパー
35 カラーメダルピンパネ排出路
36 カラーメダル供給路
50 CPU
51 メモリ部
52 I/O制御系
53 ROM
54 サウンド出力インターフェース
55 サウンド出力装置
56 映像出力インターフェース
57 映像出力装置
60 円弧形状可動部駆動回路
61 円弧形状可動部モータ
62 メダルホッパー駆動回路
63 メダルホッパーモータ
64 ICタグ封入メダル用ホッパー駆動回路
65 カラーメダルホッパーモータ
66 カラーチェッカー表示駆動回路
67 払い出しホッパー駆動回路
68 払い出しホッパーモータ
69 ボーナスカバー駆動回路
70 ソレノイド(アクチュエータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダルを排出するメダル排出口と、
上部に前記メダル排出口から排出されるメダルを受け入れるメダル受け入れ口を有し、前面が透明板で覆われた円筒リング部と、
前記円筒リング部の上方に配置されメダル獲得のための孔を有する底板と、
前記円筒リング部の透明板との間にメダルを溜めるための空間部が形成されるように前記円筒リング部に収容され左右に揺動制御される円弧形状可動部と、
前記円弧形状可動部を左右に揺動させる制御手段と、
を備え、
前記メダル排出口よりメダルが排出された場合、該排出されたメダルを前記メダル受け入れ口より前記円筒リング内に落下させて前記空間部に堆積させ、前記円弧形状可動部の揺動により前記堆積されたメダルを前記空間部から前記底板に落下させ前記円弧形状可動部の端面で前記底板に落下させたメダルを押し上げて前記メダル獲得のための孔に落下させることによりメダルを払い出すことを特徴とするメダルゲーム機。
【請求項2】
前記メダル受け入れ口の下部にカバーを設け、
前記カバーにより前記メダル受け入れ口に受け入れるメダルを前記空間部に誘導し、
メダルゲームに特別な賞が発生した場合、前記カバーを退避させることにより前記メダル受け入れ口に受け入れるメダルを直接メダル獲得のための孔に落下させてメダルを払い出すことを特徴とする請求項1記載のメダルゲーム機。
【請求項3】
前記制御手段は、
メダルゲームで発生した賞の種類に応じてその揺動する回転角度を大きくし、揺動回数を変えることにより前記メダル獲得のための孔に落下させるメダルの枚数を増加させることを特徴とする請求項1または2記載のメダルゲーム機。
【請求項4】
前記円筒リング部の中央部分にゲーム処理内容を表示するためのモニタを設けたことを特徴とする請求項1,2または3記載のメダルゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−158355(P2010−158355A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1861(P2009−1861)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)