説明

メダルシューター

【課題】狙った方向に正確にメダルを放出させることができ、破損等により不正行為が行われるのを防止し得るメダルシューターを提供する。
【解決手段】メダルゲーム機の筐体内部に構築されたプレイフィールド内へメダルを放出するためメダルゲーム機に備えられるメダルシューター(5A,5B)において、プレイヤーがメダルを投入するハンドル部(52)から、当該メダルをメダルゲーム機の筐体内へ導入するガイドレール部(53)までを形成する主体部(51)が、メダルゲーム機の機台(1)に対して固定され、メダルの放出が行われる先端領域(54)が、メダルの放出方向を変化させ得るよう上記主体部(51)に対して左右に回動可能なよう構成されると共に、その回動操作を上記ハンドル部(52)から行う先端回動操作手段(55)が設けられたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダルプッシャーゲーム等のメダルゲーム機におけるメダル放出のためのメダルシューターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から広く普及しているメダルプッシャーゲーム機は、内部がプレイヤーから見えるように前面が透明なアクリル板等で遮蔽された筐体内にゲームフィールドが設けられ、当該ゲームフィールドには、平坦なテーブルと、当該テーブルの上面に接しながら前後方向に往復スライドせしめられる平坦なプッシャーとが設けられている。
上記平坦なテーブル上面とプッシャー上面には多数のメダルが載置され、ゲーム中にもプレイヤーの操作によって新たなメダルがメダルシューターから放出されるようになっている。
【0003】
そのようなメダルシューターにおいて、プレイフィールドへのメダルの放出方向を変更可能とするために、下記特許文献1に記載のもののように、従来は、ゲーム機の機台に対してメダルシューター自体を左右に回動可能なように軸支するようにしていた。
即ち、従来のメダルシューターは、プレイヤーがメダルを投入するハンドル部から、当該メダルをメダルゲーム機の筐体内へ導入するガイドレール部を経て、メダルの放出される先端部までが一体的に構成され、メダルシューター全体がメダルゲーム機の機台に対して左右に回動可能なように軸支されていた。
その場合、プレイフィールド内へメダルを打ち込む際、プレイヤーは、メダルが狙った方向へ打ち出されるように、ハンドル部を片手で握ってメダルシューターの角度を調整した上で、もう一方の手でハンドル部に設けたメダル投入口にメダルを投入するようにしていたが、このメダル投入のときにハンドル部に触れるため、予め定めていた角度が変化してしまい、メダルの放出方向が狂ってしまうという問題があった。
【0004】
また、プレイヤーがメダルシューターに想定外の力を加えるなどの行為をした場合、メダルシューターの軸支部が破損し易く、悪意のあるプレイヤーが故意に破損させ、想定外の操作による様々な不正行為が行われることも多かった。
そのため、下記特許文献2や3に記載の発明の如く、そのような不正行為を防止する手段を設けることも必要であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、(1)ハンドル部のメダル投入口にメダルを投入する際、メダルシューターがブレることがなく、確実にターゲットを狙ってメダルを放出させることができる、(2)過度の力が加えられることによりメダルシューターの軸支部が破損されて、不正行為が行われるのを防止する、(3)耐久性を向上させる、(4)プレイヤーや通行人がメダルシューターに衝突するなどの事故を防止し、安全性を向上させる、(5)ゲーム機筐体のレイアウトの自由度を向上させる、等々、多くの利点を有するメダルシューターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、
メダルゲーム機の筐体内部に構築されたプレイフィールド内へメダルを放出するためメダルゲーム機に備えられるメダルシューターにおいて、
プレイヤーがメダルを投入するハンドル部から、当該メダルをメダルゲーム機の筐体内へ導入するガイドレール部までを形成する主体部が、メダルゲーム機の機台に対して固定され、メダルの放出が行われる先端領域が、メダルの放出方向を変化させ得るよう上記主体部に対して左右に回動可能なよう構成されると共に、その回動操作を上記ハンドル部から行う先端回動操作手段が設けられたこと、
を特徴とするメダルシューターによって達成できる。
上記先端回動操作手段としては、ハンドル部に設けられたプレイヤーが操作可能なハンドル側回転ホイールと、先端領域に取り付けられた先端側回転ホイールと、これらの回転ホイール間に掛け渡された伝動ベルトと、から構成されたものを好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0007】
上記の如き構成であると、ハンドル部を含むメダルシューターの主体部がゲーム機の機台に対して固定されており、メダルの放出方向は先端回動操作手段により、先端領域が向く方向を変化させることによって調節されるため、メダル投入時にハンドル部に触れてもメダルの放出角度にブレが生じることがない。また、メダルシューターの主体部がゲーム機の機台に対して固定されているため、従来のように軸支部に無理な力が加えられて破損し、不正行為が行われるのを防止でき、また、耐久性も向上する。更にまた、メダルシューターの主体部がゲーム機の機台から突出することがないため、プレイヤーや通行人に衝突することがなくなって安全性が向上し、ゲーム機筐体のレイアウトの自由度も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るメダルシューターを備えたメダルゲーム機の一実施例を正面側から見た斜視図である。
【図2】図1に示したメダルゲーム機を、メダルシューターの上方位置から見た状態を示す説明図である。
【図3】図1に示したメダルゲーム機の正面図である。
【図4】本発明に係るメダルシューターの機能を説明するための模式図である。
【図5】本発明に係るメダルシューターを、その一部のカバーを取り外した状態で示す斜視図である。
【図6】本発明に係るメダルシューターの先端回動操作手段の一実施例を示す説明図である。
【図7】図6に示した先端回動操作手段の要部を示す説明図である。
【図8】本発明に係るメダルシューターの先端領域を右方向へ回動させた状態を示す説明図である。
【図9】本発明に係るメダルシューターの先端領域を左方向へ回動させた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に示す実施例を参照しつつ、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
これらの図中、1はメダルゲーム機、1aはゲーム機の内部と外部を仕切る隔壁板、2はゲームフィールド、3はディスプレイ装置、4はメダル払出口、5A,5Bはメダルシューター、51は主体部、52はハンドル部、521はメダル投入口、53はガイドレール部、54は先端領域、55は先端回動操作手段、551はハンドル側回転ホイール、552は先端側回転ホイール、553は伝動ベルトである。
【0010】
図1〜図5に示すように、本発明に係るメダルシューター5A,5Bは、メダルゲーム機の機台1(図示した実施例においては、機台1の隔壁板1a)に取り付けられ、そのハンドル部52に設けたメダル投入口521に投入されたメダルが、ガイドレール部53を通過して、その先端領域54からゲーム機のゲームフィールド2内へ放出されるようになっている。図示した実施例においては、2人のプレイヤーが同時にプレイできるように、1台のメダルゲーム機に2基のメダルシューター5A及び5Bが取り付けられている。
メダルシューター5Aと5Bは、同様の構成を有するので、ここではメダルシューター5Aについてのみ説明する。
【0011】
メダルシューター5Aは、大別して、メダル投入口521が設けられたハンドル部52と、当該メダル投入口521に投入されたメダルをメダルゲーム機の筐体内へ導入するガイドレール部53と、当該ガイドレール部53の先端に設けられ、メダルの放出を行う先端領域54とから構成されている。
ハンドル部52からガイドレール部53までは一体的に形成された主体部51を構成し、当該主体部51はゲーム機の機台1の隔壁板1aに固定され、プレイヤーがハンドル部52に触れても動かないようになっている。
プレイヤーがメダル投入口521に投入したメダルは、ガイドレール部53内を転動しながら先端領域54へ移動し、先端領域54の先端からゲームフィールド2内へ放出される。
【0012】
メダルの放出方向の変更、調節は、ガイドレール部53の先端に取り付けられた先端領域54を左右に回動させることにより行う。
即ち、図5〜図9に図示する如く、先端領域54の基部はガイドレール部53の先端部分に左右に回動可能なように取り付けられており、先端領域54の基部に固着した先端側回転ホイール552を、これに巻き掛けられたループ状の伝動ベルト553を引き動かすことにより、回転ホイール552が回動し、これと共に、先端領域54が回動するようになっている。
ループ状の伝動ベルト553のもう一方の端部は、ハンドル部52に取り付けたハンドル側回転ホイール551の回転軸551aに巻き掛けられ、プレイヤーがハンドル側回転ホイール551を回すと、伝動ベルト553を介して先端側回転ホイール552が回転し、先端領域54が回動するようになっている。
ハンドル側回転ホイール551の回動操作を先端側回転ホイール552に確実に伝達するため、両回転ホイールの外周面に歯形を形成すると共に、伝動ベルト553の内壁面にもこれに対応する歯形を形成したものを用いることも推奨される。
【0013】
プレイヤーがハンドル部52から上記先端領域54を左右に回動させる手段(先端回動操作手段55)としては、さまざまな形態のものを採用できる。
即ち、先端領域54を左右に回動させる角度量は最大180度程度であるので、ループ状の伝動ベルト553の代わりにワイヤを用いることも可能である。その場合、例えば、先端側回転ホイール552を時計方向に回動させるようバネ付勢しておき、当該先端側回転ホイール552の外周に巻き付けたワイヤをハンドル側から引いて、先端側回転ホイール552を反時計方向に回動させるようにする。その場合、ハンドル部には回転ホイールの代わりにレバーやボタンを設けて、これでワイヤを引いたり緩めたりすることにより、先端側回転ホイール552の回動量を変化させることができる。
また、回転ホイール552等を用いる代わりに、リンク機構や、ネジ、歯車等々を用いて、ハンドル部からの操作で先端領域54を左右に回動させることも可能である。
従って、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、その目的の範囲内において、上記の説明から当業者が容易に想到し得るすべての変更実施例を包摂するものである。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は上記の如く構成されるので、本発明によるときは、(1)ハンドル部のメダル投入口にメダルを投入する際、メダルシューターがブレることがなく、確実にターゲットを狙ってメダルを放出させることができる、(2)過度の力が加えられることによりメダルシューターの軸支部が破損されて、不正行為が行われるのを防止する、(3)耐久性を向上させる、(4)プレイヤーや通行人がメダルシューターに衝突するなどの事故を防止し、安全性を向上させる、(5)ゲーム機筐体のレイアウトの自由度を向上させる、等々、多くの利点を有するメダルシューターを提供し得るものであるから、本発明は産業上多大の利用価値を有するものである。
【符号の説明】
【0015】
1 メダルゲーム機の機台
1a 隔壁板
2 ゲームフィールド
3 ディスプレイ装置
4 メダル払出口
5A,5B メダルシューター
51 主体部
52 ハンドル部
521 メダル投入口
53 ガイドレール部
54 先端領域
55 先端回動操作手段
551 ハンドル側回転ホイール
552 先端側回転ホイール
553 伝動ベルト
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2004−167001号公報
【特許文献2】特開2003−126536号公報
【特許文献3】特開2005−218638号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダルゲーム機の筐体内部に構築されたプレイフィールド内へメダルを放出するためメダルゲーム機に備えられるメダルシューター(5A,5B)において、
プレイヤーがメダルを投入するハンドル部(52)から、当該メダルをメダルゲーム機の筐体内へ導入するガイドレール部(53)までを形成する主体部(51)が、メダルゲーム機の機台(1)に対して固定され、メダルの放出が行われる先端領域(54)が、メダルの放出方向を変化させ得るよう上記主体部(51)に対して左右に回動可能なよう構成されると共に、その回動操作を上記ハンドル部(52)から行う先端回動操作手段(55)が設けられたことを特徴とするメダルシューター(5A,5B)。
【請求項2】
上記先端回動操作手段(55)が、ハンドル部(52)に設けられたプレイヤーが操作可能なハンドル側回転ホイール(551)と、先端領域(54)に取り付けられた先端側回転ホイール(552)と、これらの回転ホイール(551,552)間に掛け渡された伝動ベルト(553)と、から構成されたことを特徴とする請求項1に記載のメダルシューター(5A,5B)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−162256(P2010−162256A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8438(P2009−8438)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)