説明

メッシュ・ネットワークにおけるデータの許可制御のための方法および装置

【課題】新たなトラフィックストリームを収容するために利用可能なローカル無線帯域幅を決定する。
【解決手段】メッシュ・ネットワーク内のトラフィッ・ストリームを制御する装置および方法は、第1のノードからのトラフィック・ストリームを許可するためのトラフィック・ストリーム許可要求を、第2のノードにおいて受信することと、第2のノードのトラフィック負荷を判定することと、このトラフィック負荷を用いて、第1のノードからのトラフィック・ストリームを許可するか拒否するかを決定することとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュ・ネットワークに関し、更に詳しくは、メッシュ・ネットワークにおけるデータの許可制御のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速データ・サービスへの広範囲なアクセスに対する需要が増加した。電気通信業界は、様々な無線製品およびサービスを提供することにより、要求の増加に応えた。これらの製品とサービスとを相互に運用可能にするために、電気電子技術者協会(IEEE)は、例えばIEEE 802.11のような無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)規格のセットを発布した。これらの規格に準拠する製品およびサービスは、無線によるポイント・トゥ・マルチポイント・コンフィグレーションで頻繁にネットワーク化される。1つのコンフィグレーションでは、それぞれ利用可能な帯域幅を共有する個々の無線デバイス(例えば、局)は、インターネット・アクセス・ポイントと直接的に通信することができる。
【0003】
他のコンフィグレーションは、メッシュ・ネットワークでありうる。メッシュ・ネットワークは、多数の無線ノードを有する分散型ネットワークでありうる。各ノードは、トラフィック、送信ストリームまたは伝送ストリーム(TS)を受信することができ、また、次のノードへTSを中継することができる。TSは、ノードからノードへ「ホッピング」することにより、始点ノードから宛先ノードへ進むことができる。TSルーティング・アルゴリズムは、TSが始点ノードから宛先ノードへと効率的にルーティングされることを保証する。TSルーティング・アルゴリズムは、メッシュ・ネットワークにおける変化に動的に適応し、メッシュ・ネットワークをより効率的かつより回復力を高くすることが可能である。例えば、ノードがかなり混雑していてTSを取り扱うことができないか、ノードがメッシュ・ネットワークから出るイベントでは、TSルーティング・アルゴリズムは、TSを、ネットワーク内の他のノードを通じて宛先ノードへルーティングすることができる。
【0004】
メッシュ・ネットワークは、異なる動作特性を備えたノードの階層を含むことができる。幾つかのメッシュ・ネットワーク・アーキテクチャでは、階層の最下部におけるノードは、局を含むことができる。局は、例えばラップトップ・コンピュータまたはパーソナル・デジタル・アシスタントのような個別の無線デバイスを含むことができる。メッシュ・ポイントは、局の上層であると考えられるノードを含むことができる。メッシュ・ポイントはまた、無線バックボーンを形成することができる。メッシュ・ポイントは、他のメッシュ・ポイントとの間でTSを送受信することができる。特別タイプのメッシュ・ポイントであるメッシュ・アクセス・ポイント(MAP)は、局とメッシュ・ポイントとの間のゲートウェイまたは接続パスを提供することができる。メッシュ・アクセス・ポイントによって、TSは、局とメッシュ・ポイントとの間で「ホップ」することができる。もう1つの特別タイプのメッシュ・ポイントであるメッシュ・ポータルは、例えば802.11(a/b/g/n)のような異なる無線規格に準拠するデバイスのためのゲートウェイを提供することができる。メッシュ・ポータルによって、非メッシュ・ネットワークからのTSが、メッシュ・ネットワークに入ったり、メッシュ・ネットワークから出ることができる。
【0005】
802.11に準拠する通信デバイスは、TSに対する異なるサービス品質(QoS)要求を持つことができる。QoSは、例えば、途切れたパケット数、パケット遅延時間、パケット・ジッタ、無秩序に配信されたパケット数、誤って受信されたパケット数のような多くのパラメータを含みうる。これらのパラメータを使用して、異なる通信デバイスについて、ユーザおよびアプリケーションが異なるQoSを必要とすることがわかる。例えば、インターネット・テレフォニーは、双方向の会話が理解できるように、パケット遅延時間が短く、パケット・ジッタが小さいQoSを必要としうる。ストリーミング・ビデオ講義も、見苦しくないビデオ・イメージおよびコヒーレントな一方向オーディオ・トラックを提供するために、小さなパケット・ジッタを必要とするが、長いパケット遅延を許容することができる。アプリケーション、ユーザ、および通信デバイスのダイバーシティが増加すると、QoS要求は、更に重要かつ複雑になり始めうる。例えば、2つの異なる地理的領域における2人の間のリアル・タイム対話型ゲームは、非常に複雑で厳格なQoS要求を有しうる。
【0006】
メッシュ・ネットワークにおける無線デバイスの大規模な配置は、多様なQoS要求および優先度を用いて、TSの許可制御を行うことを含むネットワーク設計に対するチャレンジを提起する。
【発明の概要】
【0007】
(35U.S.C.§119の下の優先権主張)
本願は、本明細書の譲受人に譲渡され、本明細書において参照によって明確に組み込まれている2005年10月18日出願の米国特許仮出願60/728、247号の優先権を主張する。
【0008】
メッシュ・ノード周辺のトラフィック負荷情報は、知られているか、または、比較的容易に判定されうる。メッシュ・ノードは、ノードの各々において、新たなトラフィック・ストリーム(TS)を収容するために利用可能なローカル無線帯域幅を決定するために、トラフィック負荷情報を用いることができる。TSルーティング・アルゴリズムは、メッシュ・ノードを介した新たなTSのための可能なルートを評価することができる。始点ノードは、可能なTSルートとともに、新たなTSに対する許可要求を行うことができる。この許可は、始点ノードから宛先ノードへとノード毎に送られる。許可要求を受信する各ノードは、この許可要求を、ローカル・トラフィック負荷情報と比較し、新たなTSを収容することができるかを判定する。TSを収容することができる場合、送信機会(TXOP)が無視され、許可要求が、可能なルートに沿って次のノードへと伝えられる。TSを収容することができない場合、TS要求が拒否され、許可要求が、その他の可能なルートに沿って伝えられる。
【0009】
メッシュ・ネットワークにおいてトラフィック・ストリームを制御する方法は、第1のノードからのトラフィック・ストリームを許可するためのトラフィック・ストリーム許可要求を第2のノードにおいて受信することと、第2のノードのトラフィック負荷を判定することと、このトラフィック負荷を用いて、第1のノードからのトラフィック・ストリームを許可するか拒否するかを決定することとを備える。
【0010】
権利要求される主題が特に指摘され、明細書の結論において明確に権利要求される。しかしながら、そのような主題は、添付図面ととともに解釈される場合、以下の詳細記載を参照して理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施形態に従った典型的なメッシュ・ネットワークの図である。
【図2】図2は、実施形態に従った典型的なメッシュ・ノードにおいて送受信されるトラフィック・ストリーム(TS)を示す図1の典型的なメッシュ・ネットワークの部分図である。
【図3】図3は、実施形態に従った典型的なノードのトラフィック・フロー情報を示す図1のメッシュ・ネットワークの一部と、典型的なノードの近隣におけるノードの各々とを示す図である。
【図4】図4は、実施形態に従った典型的なノードのトラフィック・フロー情報を示す図1のメッシュ・ネットワークの一部と、典型的なノードの近隣におけるノードの各々とを示す図である。
【図5】図5は、実施形態に従った典型的なノードのトラフィック・フロー情報を示す図1のメッシュ・ネットワークの一部と、典型的なノードの近隣におけるノードの各々とを示す図である。
【図6】図6は、実施形態に従って、可能なTSルートに沿った第1のノードにおけるTSの許可制御を例示するTSフロー図である。
【図7】図7は、実施形態に従って、可能なTSルートに沿った典型的なノードにおけるTSの許可制御を例示するTSフロー図である。
【図8】図8は、実施形態に従って、可能なTSルートに沿った宛先ノードにおけるTSの許可制御を例示するフロー図である。
【図9】図9は、実施形態に従って、可能なTSルートに沿った典型的なノードにおけるTSの許可制御の方法を例示するフロー図である。
【図10】図10は、実施形態に従った許可制御装置のための典型的な構成要素および手段を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の様々な機能の実施形態を実現する方法および装置が、図面に関連付けられて記載される。図面および関連する説明は、本開示の実施形態を例示するためであって、本開示の範囲を限定しないように提供される。「1つの実施形態」あるいは「実施形態」に対する明細書中の参照は、実施形態に関連して記載される具体的な特徴、構造、特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示すことが意図されている。明細書中の様々な場所におけるフレーズである「1つの実施形態において」または「実施形態」は、必ずしも全てが同じ実施形態を参照している必要はない。図面の全体にわたって、参照された要素間の対応を示すために参照番号が再使用される。更に、各参照番号の最初の桁は、その要素が最初に現れた図を示す。
【0013】
図1は、実施形態に従った典型的なメッシュ・ネットワーク100の図である。メッシュ・ネットワーク100は、メッシュ・ノードからなる階層ネットワークであり、例えば、第1のノード101から第23のノード123まで含みうる。凡例130によってこの本実施形態で示されるように、ネットワーク100は、多くの異なるタイプのノードおよびデバイスを含みうる。メッシュ・ネットワーク100は、例えば、第1のノード101から第14のノード114までのような複数の局(STA)を含みうる。1つの実施形態では、1つの局(例えば101)は、別の局(例えば102)と関連していなくてもよい。局は、メッシュ・ネットワーク100の無線規格に従うあらゆるデバイスでありうる。局は、例えば、コンピュータ、携帯情報端末、ネットワーク・ゲーム・デバイス、電話、テレビ、あるいは端末を含みうる。メッシュ・ネットワーク100の無線規格は、任意の所有権付き規格、および/または、限定される訳ではないが、例えばIEEE 802.11規格のようなオープン・アーキテクチャ規格でもありうる。
【0014】
メッシュ・ネットワーク100は、例えばノード115−117および119のような1または複数のMAPを含むことができる。局は、メッシュ・ネットワーク階層のベースを形成することができ、また、例えばメッシュ・アクセス・ポイント(MAP)およびメッシュ・ポータルのようなゲートウェイ・ノードを介し、階層内のより高次のメッシュ・ノードにアクセスすることができる。ノード102のような局は、直接通信リンク134によって、例えばノード115のようなMAPにアクセスすることができる。通信リンク134は、有線、無線、および/またはこれらの組み合わせでありうる。ノード101のような局は、ノード101からノード115およびノード122へ移動することによって、例えばノード122のようなメッシュ・ポイントへアクセスすることができる。
【0015】
メッシュ・ポータルは、図1に示すような非メッシュ・デバイスと通信するノードを含むことができる。メッシュ・ネットワーク100は、例えばノード118のような1または複数のメッシュ・ポータルを含むことができる。例えばノード118のようなメッシュ・ポータルは、例えばデバイス141−145のような非メッシュ・デバイスと通信することができる。非メッシュ・デバイスは、例えばイーサネット(登録商標)接続のような非メッシュ接続114を特徴付けるローカル・エリア・ネットワーク内にネットワークされうる。例えば、非メッシュ・デバイス141−145は、ツイスト・ペア銅線を用いて、星型コンフィグレーションで有線化することができる。非メッシュ・デバイス141−145の各々は、メッシュ・ネットワーク100のプロトコルに準拠することができる場合もできない場合もある。
【0016】
実施形態では、ノード118は、イーサネット・ハブであっても、メッシュ・ネットワーク・プロトコルに従うこともできる。ノード118は、非メッシュ・デバイス141−145の各々を始点とするTSが、メッシュ・ネットワーク100内に移動できるようにすることができる。このように、メッシュ・ポータル118は、非メッシュ・デバイス141−145のためのメッシュ・ネットワーク100ゲートウェイとなることができる。メッシュ・ポータル118および非メッシュ・デバイス141−145を特徴付けるネットワークは、イーサネット・ネットワークに制限されることはなく、その他のネットワークも構成され、同様に動作することができる。非メッシュ・デバイス141−145は、限定される訳ではないが、例えば、トークン・リング・ネットワーク、および/または802.11ポイント・トゥ・マルチポイント・ネットワークおよび/またはこれらの組み合わせのような多くの異なるタイプのネットワークで構成されうる。
【0017】
メッシュ・ポータル118は更に、例えばノード119を経由して、インターネットまたはその他の広域ネットワークへのリンクを有することができる。ノード119は、インターネット・バックボーンに接続されることができ、これによって、ノード119は、メッシュ・ポータルのみならずインターネット・アクセス・ポイントとなる。ノード119は、無線メッシュ・ネットワーク100とインターネットとの間のブリッジを形成することができる。ブリッジは、メッシュ・ネットワーク100内のノードのうちのいずれかと、インターネット可能デバイスとの間の接続として動作することができる。
【0018】
メッシュ・ポイントは、他のメッシュ・ポイント、MAP、および/またはメッシュ・ポータル間でデータを中継するノードを含むことができる。メッシュ・ネットワーク100は、例えばノード120−123のような1または複数のメッシュ・ポイントを含むことができる。メッシュ・ポイント、MAP、およびメッシュ・ポータルは、メッシュ・ネットワーク100階層内のメッシュ・ノードの上部レイヤを形成することができる。局および非メッシュ・デバイスを始点とするTSは、メッシュ・ポータルおよびMAPを介してこの上部レイヤに入ることができる。TSは、他のメッシュ・ポータルおよび/またはMAPを介して出て行くまで、メッシュ・ネットワーク100の上部レイヤのノードに沿って移動する。
【0019】
図1はまた、Mと示すような典型的なトラフィック・ストリーム(TS)のルーティングをも示している。実施形態では、TS Mは、メッシュ・ネットワーク100内のノード108(例えば、局108)を始点とすることができる。TS Mはまた、メッシュ・ネットワーク100内のノード113(例えば、局113)を始点とすることもできる。ノード108からノード113への適切なTSルートは、ルーティング・アルゴリズムを用いて決定することができる。適切なTSルートが決定された後、アクセスおよびTXOPが、このルートに沿った各ノードにおいてネゴシエートされる。その後、TS Mは、このルートに沿って送信されうる。ノード108は、TS Mを、第1のホップHで、ノード116へ送信することができる。ノード116は、TS Mを受信することができる。そして、さらに、TS Mを、第2のホップHで、ノード117へ送信することができる。ノード117は、TS Mを受信することができる。そして、TS Mを、第3のホップHで、ノード120へ送信することができる。ノード120は、TS Mを受信することができる。そして、TS Mを、第4のホップHで、ノード119へ送信することができる。ノード119は、TS Mを、この実施形態では最後である第4のホップHで、ノード113へ送信することができる。
【0020】
図2は、典型的なメッシュ・ノード120において送受信されるTSを示す図1の典型的なメッシュ・ネットワーク100の部分図である。この実施形態では、ノード120は、他の4つのノード117、119、121および122との間でTSを送受信することができる。ノード120は、これらの4つのノードのネットワーク近傍にあると言うことができる。この実施形態では、ノード120は、ノード117、121および122から、TS R17、R21およびR22をそれぞれ受信することができる。更に、ノード120は、ノード117、119および121に、TS T17、T19およびT21をそれぞれ送信することができる。この例において、ノード117、119または121は「リーフ」ノードではなく、TS R17、R21およびR22と、T17、T19およびT21とは、ノード117、119または121におけるその他のTSのアグリゲートでありうることに注目されたい。
【0021】
ノード120におけるトラフィックは、2つのベクトル(すなわち、送信ベクトルおよび受信ベクトル)によって表すことができる。実施形態では、TSは、例えば、スケジュールされたサービス間隔(SSI:scheduled service interval)のような確立された期間にわたって、TSに関連付けられたデータを送信するために、チャネルを占有する時間割合によって表されうる。このコンテクストにおけるトラフィック負荷または媒体占有は、例えば、スケジュールされたサービス間隔(SSI)のような確立された時間間隔にわたってビジー(busy)であるとしてチャネルにおける占有された時間長さを示すtbusyのような量によって表されうる。従って、送信ベクトルT20(210と示される)は、4つの要素を有する。第1の要素は、TS T17をノード120からノード117へ送信するための時間tT17であり、第2の要素は、TS T19をノード120からノード119へ送信するための時間tT19であり、第3の要素は、TS T21をノード120からノード121へ送信するための時間tT21であり、第4の要素は、TS T22をノード120からノード122へ送信するための時間tT22である。この例において、送信ベクトルT20 210の第4の要素tT22は、ゼロであろう。なぜならノード120は、ノード122に何れのTSも送信しないからである。ここで、tT17は、SSI毎に、TS T17の送信のためにチャネルにおいて占有される時間である。
【0022】
同様に、受信ベクトルR20(212と示される)は、4つの要素を有する。第1の要素は、TS R17をノード117から受信するための時間tR17であり、第2の要素は、TS R19をノード119から受信するための時間tR19であり、第3の要素は、TS R21をノード121から受信するための時間tR21であり、第4の要素は、TS R22をノード122から受信するための時間tR22である。この例において、受信ベクトルR20 212の第2の要素tR19は、ゼロであろう。なぜならノード120は、ノード119から何れのTSも受信しないからである。ここで、tR17は、SSI毎に、TS R17の送信のためにチャネルにおいて占有される時間である。
【0023】
ノード120周辺の媒体が、ノード120またはその他任意のノードにおいて、SSIの一部として負荷がかけられたと考えられる時間長さのようなトラフィック負荷(tload)は、測定を含む様々な方法で判定することができる。実施形態では、ノード120は、ビジー時間(tbusy)を判定するために、ノード120の物理レイヤ(PHY)によって検出されるようなクリア・チャネル・アセスメント(CCA)ビジー表示をモニタすることができる。CCAビジー表示が、このチャネルがビジーではないことを示す場合であっても、ノード120は、ノード120が送信しない時間割合を示すネットワーク割当ベクトルの静寂時間(tqnav)をモニタすることができる。ネットワーク割当ベクトル(NAV)は、周囲のノードからの条件を処理することによって得られる。ノード120に接続されたノード117、119、121、122が、ノード120以外のノードからの通信を受信することができるように、静寂時間(tqnav)は、チャネルが利用可能ではない時間を表すことができる。静寂時間(tqnav)およびCCAビジー表示によってチャネルが利用可能ではない時間長さは、トラフィック負荷(tload)である。メッシュ・ネットワーク100内の任意のノードにおけるトラフィック負荷(tload)は、以下の式によって表わすことができる。
【0024】
load=tbusy+tqnav
図3は、典型的なノード120と、典型的なノード120の近隣のノード117、119、121および122の各々のトラフィック・フロー情報を示す図1のメッシュ・ネットワーク100の部分図である。実施形態では、近隣ノードは、ノードの1つの通信リンク内のノードとして定義することができる。ノード120の近隣ノードは、ノード117、119、121および122である。従って、図3は、TとR、および、ノード120とその近隣ノード117、119、121、122のおのおのの送受信のためにSSIの間に費やされる時間部分を決定するために必要なノードを示す。実施形態では、各ノードは、ノードのビーコンの一部としてTおよびRを送信することができる。各ノードはまた、近隣ノードからトラフィック負荷情報を受信するために、他のノードのビーコンをモニタすることができる。例えば、ノード120は、TとRのペアであるT20およびR20を送信することができる。T20およびR20は、ノード120の近隣ノードによってモニタされる。近隣ノード117、119、121および122はまた、他のノードがこれらパラメータをモニタできるように、それぞれのTとRのペア、すなわち、T17とR17、T19とR19、T21とR21、および、T22とR22を他のノードに送信することができる。
【0025】
ノードはそれぞれ、近隣ノードのビーコンをモニタすることによって、ローカルなTSトラフィック負荷、そしてその利用可能な帯域幅を決定することができる。ノードの近隣におけるローカルなTSトラフィック負荷は、送受信マトリクス・ペアT、Rを形成することによって判定されうる。T、Rペアのローおよびカラムは、メッシュ・ネットワーク100内のノードの送信パラメータおよび受信パラメータに対応する。TおよびRはその後、近隣ノードの各々から受信された個々のTとRのペアからの情報で埋められる。T、R、T、およびRはそれぞれ、値、ベクトル、またはマトリクスを表す。
【0026】
例えば、ノード120は、近隣ノードの各々のビーコンをモニタすることができる。ノード120は、ノード117からT17とR17のペアを、ノード119からT19とR19のペアを、ノード121からT21とR21のペアを、ノード122からT22とR22のペアを受信することができる。ノード120は、TX20とRX20とのマトリクスを埋めるために、受信したTとRのペアを解析することができる。TX20とRX20の各ローおよびカラムは、メッシュ・ネットワーク100のノードと少なくとも部分的に対応することができる。例えば、TX20のロー17、カラム16は、TSがノード117からノード116へ送信される時間長さで埋めることができる。この時間情報はまた、ノード117の送信ベクトルT17と、ノード116の受信ベクトルR16においても利用可能である。同様に、RX20のロー21、カラム22は、ノード121がノード122からTSを受信する時間長さで埋められる。この時間情報はまた、ノード121の受信ベクトルR21とノード122の送信ベクトルT22においても利用可能である。
【0027】
ノード120の周囲のトラフィック負荷は、TX20およびRX20の各送信受信ペアについて最大値を合計することによって、TX20およびRX20から判定することができる。例えば、TSがノード121からノード122へ送信されるのに要する時間長さを表すTX20のロー21、カラム22は、ノード122がノード121からTSを受信するのに要する時間長さを表すRX20のロー22、カラム21と比較されうる。TX20とRX20からなる各送信受信ペアの最大値は、ノード120における新たなTSについて、送信媒体が利用できないために、利用不可能な時間長さを表す。例えば、ロー21、カラム22の最大値は、送信媒体が利用できない時間長さをノード120に示すことができる。なぜなら、TSは、ノード121とノード122との間で送信されるからである。TX20とRX20のペアにわたる最大値の合計は、ノード120におけるローカル・トラフィック負荷を判定するために、少なくとも部分的に使用されうる。メッシュ・ネットワーク100内の任意のノードにおけるトラフィック負荷は、以下の式を用いることによって少なくとも部分的に判定することができる。
【数1】

【0028】
その後、トラフィック負荷は、新たなTSを許可するために、ノード120の周囲で利用可能な適切なチャネル帯域幅が存在するかを判定するために、ノード120によって使用することができる。ノード120は、ノード120または近隣ノードにおいて送受信される他のTSと干渉することなく新たなTSが収容されることを保証することができる。ノード120がTS許可要求を受信する場合、ノード120は、この許可要求を、ノード120におけるトラフィック負荷と比較し、ノード120またはノード120の近傍において、他のTSと干渉することなくTSを受信し、TSをルート内の次のノードに送信することができるかを判定することができる。ノード120が新たなTSを収容することができる場合、ノード120はTSを許可することができる。ノード120が新たなTSを収容することができない場合、ノード120はTSを拒否することができる。そして、前のノードは、宛先ノードへの次の最も適切なルートおよび/または他の適切なルートを決定するために、ルーティング・アルゴリズムを起動することができる。これによって、ノード120を効果的にバイパスする。
【0029】
図4は、典型的なノード120と、この典型的なノード120の近傍ノード117、119、121、122のそれぞれのトラフィック・フロー情報を示す図1のメッシュ・ネットワークの部分図である。ノード117、119、121および122の近傍も示されている。ノード120は、合計ベクトルS20を、近傍ノードのおのおのに送信することができる。また、各近隣ノードは、S17を送信するノード117、S19を送信するノード119、S21を送信するノード121、S22を送信するノード122のように、それぞれの合計ベクトルSを送信することもできる。Sの各要素は、ノードとその近隣ノードのそれぞれとの間の送信時間および受信時間の集合を含むことができる。実施形態では、ノード120のS20ベクトルは、4つの要素を含む。ここで、各要素は、ノード120の、近隣ノードのそれぞれとの送信時間と受信時間との合計を表す。第1の要素は、ノード117との送信時間と受信時間との合計であり、第2の要素は、ノード119との送信時間と受信時間との合計であり、第3の要素は、ノード121との送信時間と受信時間との合計であり、第4の要素は、ノード122との送信時間と受信時間との合計である。
【0030】
実施形態において、TとRの代わりにSを送信することの1つの利点は、Sのサイズが、TおよびRのサイズのほとんど半分と、小さくなることである。これは、トラフィック負荷情報を送信するために必要な時間および帯域幅を低減することができる。特に、高次のネットワーク・グラフを有するビジーなノード(多くの近隣を有するノード)にとって、オーバヘッドは深刻である。
【0031】
ノード120は、ノード120の近隣ノードの送信をモニタし、近隣ノードの各々についてのSベクトルを格納する。ノード120のトラフィック負荷は、メッシュ・ネットワーク100内のメッシュ・ノードを表すローとカラムの各々を備えた負荷マトリクスSTを構築することによって判定されうる。負荷マトリクスSTは、ノード120の近隣ノードの各々についての送信時間と受信時間との合計で埋められうる。実施形態では、負荷マトリックスSTのロー21は、ノード121からのSベクトルを表わすS21の要素で埋められうる。負荷マトリクスSTのロー21、カラム22は、ノード121とノード122との送信時間と受信時間との合計に対応するS21の要素で埋められうる。その後、送信ロー・カラム・ペアと受信ロー・カラム・ペアとを比較し、相対的な最大値を選択することによって、ノード120の周囲のトラフィック負荷が、少なくとも部分的に判定されうる。例えばSTのロー21、カラム22は、STのロー22、カラム21と比較され、相対的な最大値が、負荷判定のために使用されうる。その後、全てのロー・カラム・ペア比較の合計が、ノード120の周囲のトラフィック負荷を判定するために少なくとも部分的に使用される。メッシュ・ネットワーク100内の任意のノードの周囲のトラフィック負荷は、以下の式によって少なくとも部分的に判定される。
【数2】

【0032】
計算されたトラフィック負荷情報は、新たなTSが許可されるかを判定するために、ノード120によって使用されうる。ノード120がTS許可要求を受信した場合、ノード120は、この許可要求をトラフィック負荷と比較し、ノード120がTSを受信できるかを判定し、ノード120またはその近隣における他のノードにおいて他のTSを危険にさらすことなく、このTSをルート内の次のノードに転送する。ノード120が、TSを受信し、転送することができるのであれば、ノード120は、TSを許可することができる。ノード120が、TSを受信することも、転送することもできないのであれば、ノード120は、TSを拒否し、前のノードが、ノード120をバイパスするルーティング・アルゴリズムを起動することができる。従って、実施形態では、メッシュ・ネットワーク100のノードは、近隣におけるトラフィック負荷を測定または計算し、そして、許可制御を実行するために、トラフィック負荷情報を用いることができる。
【0033】
図5は、実施形態に従った、典型的なノード120と、典型的なノードの近隣のノード117、119、121、122の各々とのトラフィック・フロー情報を示す図1のメッシュ・ネットワーク100の部分図である。メッシュ・ネットワーク100の各ノードの周囲のトラフィック負荷は、スカラ・パラメータの近隣ノードの測定およびモニタリングによって判定することができる。ノード117、119、121および122の近隣も図5で示される。実施形態では、これらノードの各々は、例えばビジー時間のようなパラメータをブロードキャストすることができる。これらノードの各々は、各PHYによって検出されたようなチャネル・ビジー時間を測定することができる。その後、チャネル・ビジー時間は、これらノードの各々によってブロードキャストされる。
【0034】
ノード120は、1または複数のビーコン間隔にわたるビジー表示のために、PHYをモニタすることができる。ノード120のPHYが、チャネルがビジーであることをレポートする時間長さTであるT20がブロードキャストされうる。同様に、ノード120の近隣ノードは、チャネルがビジーであるとそれぞれのPHYが示す時間長さを決定するために、それぞれのPHYをモニタすることができる。これら近隣ノードはまた、測定されたビジー時間をブロードキャストすることができる。T20は、その近隣ノード117、119、121、122によって使用することができる。ノード120は、それぞれの近隣ノードから、T17、T19、T21、T22を受信することができる。ノード120は、平均的な静寂ネットワーク・アクセス・ベクトル(tqnav)時間もモニタすることができる。その後、ノード120は、T、T、TおよびTを総和することにより、少なくとも部分的にノード120の周囲のトラフィック負荷を計算することができる。メッシュ・ネットワーク100内の任意のノードにおけるトラフィック負荷は、以下の式を用いて、少なくとも部分的に計算することができる。
【数3】

【0035】
その後、トラフィック負荷は、新たなTSを許可する能力を判定するために、ノード120によって利用されうる。ノード120は、新たなTSが、近隣ノードにおいて現在送信され受信されているTSを危険にさらさないことを保証することができる。ノード120がTS許可要求を受信する場合、ノード120は、この許可要求をトラフィック負荷と比較し、ノード120がTSを受信できるかを判定し、このTSを、他のTSを危険にさらすことなく次のノードへ転送することができる。ノード120が新たなTSを許可することができると判定された場合、ノード120はTSを許可することができる。ノード120が新たなTSを許可できないと判定された場合、ノード120は、TSを拒否し、前のノードは、ノード120をバイパスするルーティング・アルゴリズムを実施することができる。
【0036】
図6は、実施形態に従って、可能なTSルートに沿った第1のノード116におけるTSの許可制御を例示するTSフロー図である。実施形態では、始点局Mであるノード108は、宛先局Mであるノード113への可能なルートを決定するために、ルート・アルゴリズムを利用することができる。ノード108は、上述した方法のうちの1つに従って、トラフィック負荷を評価または判定することができる(904)。ノード108は、アプリケーションに特有な適切なルートを選択することができる。例えば、このルートは、次のホップへの距離、次のホップ・ノードにおけるトラフィック負荷、次のホップ・ノードの程度、および/またはその他の判定基準、および/またはこれらの組み合わせに基づいて選択することができる。
【0037】
実施形態では、Hのスケジュール・サービス間隔(SSI)中に転送されるメディア・アクセス制御(MAC)サービス・データ・ユニット(MSDU)パケットの平均数が
計算される。パケット(N)の平均数は、公称パケット・サイズ(L)で除されたSSIと保証データ・レート(G)との積でありうる。パケットの平均数は、下記式を用いることによって、少なくとも部分的に計算することができる。
【数4】

【0038】
ダウンストリームTXOPでは、Hに必要とされるデータ送信のためにSSI毎にスケジュールされた時間部分も計算することができる。この場合、我々は、簡単な表記TXOPを用いて期間tTXOPを示す。その計算は、Hに沿った既存のトラフィックに少なくとも部分的に依存する。既存のトラフィックが、Mと同じクラスのTSを含んでおり、より短いSSIを必要としない場合、Mからのデータ・パケットは、追加オーバヘッドに対する必要なしで、既存のTSとともに集められる。実施形態では、HのTXOPは、物理的送信レート(R)によって除された許容可能な最大MSDU(2304バイト)と、物理的送信レートによって除された公称パケット・サイズとデータ・パケットの平均数(N)との積とのうちの最大でありうる。TXOPは、以下の式に少なくとも部分的に基づいて計算することができる。
【数5】

【0039】
同じクラスのノード108とノード116との間に既存のTSがない場合、または、新たなデータ・ストリームがより小さなSSIしか必要としない場合、TXOPは、追加のクラスまたはより小さなSSIを取り扱うための追加オーバヘッドを含みうる。より小さなSSIは、データ・ビット毎のオーバヘッドが増加することを意味する。従って、より小さな数のホップを持つパスを選択することが望ましい。これによって、ネットワーク伝送能力全体を改善するのみならず、その効率をも高めることができる。この場合、TXOPは、以下の式によって少なくとも部分的に決定することができる。
【数6】

【0040】
ノード108における計画された全ダウンストリーム・トラフィック負荷は、HのSSIによって除されたHのTXOPに、送信されるようにスケジュールされたその他全てのTSについて、各SSIによって除されたTXOPの総和を加えることによって少なくとも部分的に計算される。Hによるトラフィック負荷は、ノード108を出発するTSによる他の既存のトラフィック負荷とともに加えられる。ダウンストリーム・トラフィック負荷は、下記式によって少なくとも部分的に表すことができる。
【数7】

【0041】
ノード108におけるアップストリーム・トラフィック負荷は変わらない。始点ではないノードについてのアップストリーム計算を以下に説明する。
【0042】
ノード108は、Mが収容されるかを判定するために、アップストリーム・トラフィック負荷と、ダウンストリーム・トラフィック負荷との合計を、予め定めた負荷しきい値と比較する。Mが収容されると判定された場合、ノード108はTXOPを予約し、ビーコン信号内の負荷情報を更新し、ノード116へ許可要求を送る。Mが収容されると判定されなかった場合、アクセスが拒否される。
【0043】
実施形態では、TXOP計算およびしきい値は、QoSによって区分される。例えば、ノードは、トラフィックの30%をVOIPタイプのQoSに割り当て、10%をリアルタイム・インタラクティブ・ゲーム・タイプのQoSに割り当て、60%をウェブ・ブラウジング・タイプのQoSに割り当てる。その後、トラフィック負荷判定およびしきい値比較は、QoS特有となりうる。データ・ストリームをサポートするのに十分な帯域幅がない場合、動的なQoS割り当てが行われうる。ノードは、別のQoSのために区分された帯域幅の一部を、新たなデータ・ストリームのために再び割り当てることができる。
【0044】
ノード108は、ダウンストリーム・ノードから許可の拒否を受け取るまで、TXOP予約を保持することができる。許可の拒否を受け取ると、始点局は、TXOP予約をキャンセルし、宛先局113への別のルートを決定するルーティング・アルゴリズムを起動することができる。適切なルートが見つかった場合、ノード108は、上述した許可処理を再開することができる。
【0045】
図7は、実施形態に従って、可能なTSルートに従ったTSおよびMの典型的なホップHを示す。ノード120がノード117から許可要求を受け取ると、ノード120は、アップストリーム(第4のホップ)およびダウンストリーム(第3のホップ)のTXOPと、計画されたトラフィック負荷とを計算することができる。ノード120における許可制御の記述を簡略化および一般化するために、アップストリーム・ホップが、Hとして記述され、ダウンストリーム・ホップがHi−1として記述される。ノード120の許可制御は、メッシュ・ネットワーク100中の任意のTSの任意のノードまたはホップに適用されうる。
【0046】
実施形態では、HのSSI中に転送されるMSDUパケットの平均数が計算される。パケットの平均数(N)は、保証されたデータ・レート(G)とSSIとの積が、公称パケット・サイズ(L)で除されたものとなることができる。パケットの平均数は、以下の式によって少なくとも部分的に記述される。
【数8】

【0047】
のダウンストリームTXOPもまた計算することができる。この計算は、Hに沿った既存のトラフィックに少なくとも部分的に依存しうる。既存のトラフィックがMと同じクラスのTSを含んでおり、より小さなSSIを必要としないのであれば、Mからのデータ・パケットは、追加オーバヘッドに対する必要なしで、既存のTSとともに集められる。HのTXOPは、物理的送信レート(R)によって除された許容可能な相対的に最大のMSDU(2304バイト)(Lmax)と、データ・パケットの平均数(N)と公称パケット・サイズとの積を物理的送信レートで除したものとのうちの最大値でありうる。TXOPは、下記式に少なくとも部分的に基づいて記述することができる。
【数9】

【0048】
TXOPは、追加クラスまたはより小さなSSIを取り扱うための追加オーバヘッドを含むことができる。この状態では、TXOPは、下記式に少なくとも部分的に基づいて記述することができる。
【数10】

【0049】
ノード120において計画されたダウンストリーム・トラフィック負荷の合計は、Hについて、SSIによって除されたTXOPに、それぞれのノード120を出発するようにスケジュールされ、SSIによって除されたその他全てのトラフィック・ストリームのTXOPの総和を加えることによって少なくとも部分的に計算される。特に、Hによるトラフィック負荷は、近隣ノードkのそれぞれ、すなわちノード117、ノード119、ノード121、およびノード122について、ノード120を出発するTSによるその他の既存のトラフィック負荷で合計される。ダウンストリーム・トラフィック負荷は、下記式に少なくとも部分的に基づいて記述される。
【数11】

【0050】
ノード120はまた、Hi−1のアップストリームTXOPを計算する。その計算は、リンクHi−1に沿った既存のトラフィックに少なくとも部分的に基づくことができる。既存のトラフィックが、Mと同じクラスのTSを含んでおり、より小さなSSIを必要としないのであれば、Mからのデータ・パケットは、追加のオーバヘッドのための必要性なく、既存のTSとともに集めることができる。Hi−1のTXOPは、物理的送信レート(R)によって除された最大許容可能なMSDU(2304バイト)と、物理的送信レートによって除されたデータ・パケット平均数(N)と公称パケット・サイズとの積とのうちの最大値でありうる。TXOPは、少なくとも部分的に以下の式に基づいて記述されうる。
【数12】

【0051】
TXOPが、追加のクラスまたはより小さなSSIを取り扱う追加オーバヘッドを含んでいるのであれば、TXOPは、少なくとも部分的に以下の式に基づいて記述されうる。
【数13】

【0052】
ノード120における計画された全アップストリーム・トラフィック負荷は、Hi−1についてSSIによって除されたTXOPに、ノード120に到着すると計画されたその他全てのトラフィック・ストリームの、各SSIによって除されたアップストリームTXOPの総和を加えることによって計算される。Hによるトラフィック負荷は、ノード120の近隣kの各々であるノード117、ノード119、ノード121、およびノード122からノード120に到着するTSによるその他の既存のトラフィック負荷と加算される。アップストリーム・トラフィック負荷は、少なくとも部分的に下記式に基づいて記載される。
【数14】

【0053】
ノード120は、上記計算を行った後に、アップストリーム・トラフィック負荷とダウンストリーム・トラフィック負荷との合計を、予め定めたしきい値と比較して、Mが収容可能であるかを少なくとも部分的に判定することができる。Mが収容可能であると判定された場合、ノード120は、TXOPを予約し、そのビーコンにおける負荷情報を更新し、許可要求をノード119へ送る。Mが収容可能ではないと判定された場合、アクセスが拒否され、ノード120は、TS Mの許可を拒否するメッセージをノード117へ送る。
【0054】
実施形態では、TXOP計算およびアクセスしきい値は、QoSによって区分されうる。トラフィック負荷判定およびしきい値比較は、QoS特有でありうる。
【0055】
図8は、宛先局であるノード113への最終ホップHを示す。Hのためのノード113における許可制御は、ダウンストリームTXOP計算が省略されるという点を除いてホップHのものと同じでありうる。次のホップ局への許可要求の発行も省略されうる。
【0056】
M個のルートに沿ったノードの各々は、ダウンストリーム・ノードから許可の拒否を受け取るまで、それぞれのTXOP予約を維持することができる。許可の拒否を受信すると、始点局は、TXOP予約をキャンセルし、宛先局であるノード113への別のルートを決定するためにルーティング・アルゴリズムを起動することができる。ルートに沿った各ノードの許可処理は、再度起動することができる。
【0057】
メッシュ・ネットワーク100またはノードのうちの何れかは、QoS要求によってアクセスを区分することができる。QoS許可制御の1つの方法は、TSクラスを、例えば高優先度クラスや低優先度クラスのような多数のクラスへ分割するものである。高優先度クラスのTSは、ルートに沿ったそれぞれのノードにおいて、1つのSSI内でサービスされうる。最悪ケース遅延は、ホップ数にSSIを掛けることにより計算されうる。例えば、音声アプリケーションでは、高々約50ミリ秒の遅延時間しか許可されない。従って、高優先度のストリームは、約10ミリ秒のSSIを持つ高々5つのノードを介してルーティングされる。
【0058】
図9は、実施形態に従って、可能なTSルートに沿った典型的なノードにおけるTSの許可制御の方法を例示するフロー図である。ノードは、TS許可要求を受信する(902)。TS許可要求は、別のノードから送信されうる。あるいは、この許可要求は、ノード自体から出発するTSのためのものでありうる。このノードは、ノードの近隣のトラフィック負荷を判定することができる。ノードは、ノードにおける負荷を測定することによって、あるいはロードの近隣によって送信された情報からの負荷を判定することによって、トラフィック負荷を少なくとも部分的に判定することができる。トラフィック負荷計算および測定は、限定される訳ではないが、本明細書に記載した方法および/またはその均等物を含む様々な方法によって実施することができる。トラフィック負荷は、ノードの近隣から送信された測定値と結合されたノード自体における測定値から判定することができる。典型的なハイブリッド・トラフィック負荷計算も上述される。これもまた、トラフィック負荷を判定するために利用することができる。
【0059】
ノードは、TXOPを決定する(906)。ノードが始点ノードである場合、ダウンストリームTXOPを計算することができる。ノードが宛先ノードである場合、アップストリームTXOPを計算することができる。ノードが中間ノードである場合、アップストリームTXOPおよびダウンストリームTXOPを計算することができる。ノードは、TXOPを、利用可能なTXOPと比較することができる(908)。利用可能な適切なTXOPが存在しないと判定された場合、ノードは、要求元のノードへ、TSの許可が拒否されたことを通知する(910)。利用可能なTXOPが存在すると判定された場合、ノードはTXOPを予約し(912)、次のノードへTS許可要求を送る(914)。
【0060】
図10は、実施形態に従った許可制御装置のための典型的な構成要素および手段を例示するブロック図である。装置1000は、TS許可要求を処理するように構成された許可要求処理モジュール1002と、ノードのトラフィック負荷を判定するように構成されたトラフィック負荷判定モジュール1004と、アップストリームTXOPおよび/またはダウンストリームTXOPを決定するように構成されたTXOP決定モジュール1006と、アップストリームTXOPおよび/またはダウンストリームTXOPを予約するように構成されたTXOP予約モジュール1008とを含む。
【0061】
当業者であれば、更に、本明細書で開示された実施形態に関連して記載された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズム・ステップが、電子工学ハードウェア、コンピュータ・ソフトウェア、あるいはこれらの組み合わせとして実現されることを理解するであろう。ハードウェアとソフトウェアとの相互置換性を明確に説明するために、様々な例示的な部品、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、それらの機能に関して一般的に記述された。それら機能がハードウェアとしてまたはソフトウェアとして実現されるかは、特定のアプリケーション及びシステム全体に課せられている設計制約に依存する。当業者であれば、各特定のアプリケーションに応じて変化する方法で上述した機能を実現することができる。しかしながら、この適用判断は、本開示の範囲からの逸脱をもたらすものと解釈されるべきではない。
【0062】
本明細書で開示された実施形態に関連して記述された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)あるいはその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリート・ゲートあるいはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア部品、または上述された機能を実現するために設計された上記何れかの組み合わせを用いて実現または実行されうる。汎用プロセッサとしてマイクロプロセッサを用いることが可能であるが、代わりに、従来技術によるプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、あるいは状態機器を用いることも可能である。プロセッサは、例えばDSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに接続された1または複数のマイクロプロセッサ、またはその他任意のこのような構成である計算デバイスの組み合わせとして実現することも可能である。
【0063】
本明細書で開示された実施形態に関して記載された装置、方法あるいはアルゴリズムは、ハードウェア、ソフトウェア、これらの組み合わせによって直接的に具体化することができる。ソフトウェアでは、方法またはアルゴリズムが、処理デバイスによって読み取られたり、実行されることが可能なコンピュータ・プログラム製品の一部であるコンピュータ読取可能媒体上に格納された1または複数の命令で具体化される。これら命令は、RAMメモリ、フラッシュ・メモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブル・ディスク、CD−ROM、あるいは当該技術分野で知られているその他の型式の記憶媒体に収納されうる。典型的な記憶媒体は、プロセッサがそこから情報を読み取り、またそこに情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合される。または、記憶媒体はプロセッサに統合されることができる。このプロセッサと記憶媒体とは、ASIC内に存在することができる。ASICは、ユーザ端末内に存在することもできる。あるいはこのプロセッサと記憶媒体とは、ユーザ端末内のディスクリート部品として存在することができる。
【0064】
本明細書で開示された実施形態に関して記載された装置、方法あるいはアルゴリズムは、ハードウェア、ソフトウェア、これらの組み合わせによって直接的に具体化することができる。ソフトウェアでは、方法またはアルゴリズムが、処理デバイスによって実行される1または複数の命令で具体化される。これら命令は、RAMメモリ、フラッシュ・メモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブル・ディスク、CD−ROM、あるいは当該技術分野で知られているその他の型式の記憶媒体に収納されうる。典型的な記憶媒体は、処理デバイスが記憶媒体から情報を読み取り、またこの記憶媒体に情報を書き込むことができるように処理デバイスに結合される。または、記憶媒体は処理デバイスに統合されることができる。この処理デバイスと記憶媒体とは、ASIC内に存在することができる。ASICは、ユーザ端末内に存在することもできる。あるいは、この処理デバイスと記憶媒体とは、ユーザ端末内のディスクリート部品として存在することができる。
【0065】
開示された実施形態における上述の記載は、当業者をして、本開示の活用または利用を可能とするように提供される。これらの実施形態への様々な変形例もまた、当業者には明らかであって、本明細書で定義された一般的な原理は、本発明の主旨または範囲から逸脱することなく他の実施形態にも適用されうる。このように、本開示は、本明細書で示された実施形態に限定されるものではなく、本明細書に記載された原理および新規な特徴に一致した最も広い範囲に相当することが意図されている。
【0066】
本開示は、その精神または本質的特質から逸脱することなく、その他の具体的な形式でも具体化することができる。記載された実施形態は、全ての点において、例示的としてのみ考慮され、限定的とは考慮されない。従って、本開示の範囲は、先の説明ではなく特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味およびその均等物の範囲内にある全ての変更は、これら範囲内に含まれるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュ・ネットワーク内のトラフィック・ストリームを制御する方法であって、
第1のノードからのトラフィック・ストリームを許可するためのトラフィック・ストリーム許可要求を、第2のノードにおいて受信することと、
前記第2のノードのトラフィック負荷を判定することと、
前記トラフィック負荷を用いて、前記第1のノードからのトラフィック・ストリームを許可するか拒否するかを決定することと
を備える方法。
【請求項2】
サービス間隔と呼ばれる期間を確立することと、
前記トラフィック・ストリームの送信機会のための、前記サービス間隔の時間割合を判定することと
を更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記送信機会は、保証レート、物理的な最小伝送レート、フレーム・サイズ、スケジュールされたサービス間隔、遅延間期間、およびビーコン間隔から成るグループから選択される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記トラフィック・ストリーム許可要求が拒否されたのであれば、前記第2のノードの代替ノードを選択することを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
サービス間隔と呼ばれる期間を確立することと、
近隣ノードから、送信時間割合および受信時間割合を受信することと
を更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
近隣ノードから、送信時間割合と受信時間割合との合計を受信することを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のノードを前記第2のノードに接続しているチャネルのチャネル・ビジー時間割合を測定することを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記トラフィック・ストリーム許可要求は、前記トラフィック・ストリームを許可または拒否するかを決定するために使用されるトラフィック・ストリーム・クラスを含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
平均静寂ネットワーク・アクセス・ベクトル時間をモニタすることを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項10】
コンピュータ読取可能媒体を備えるコンピュータ・プログラム製品であって、前記コンピュータ読取可能媒体は、
第1のノードからのトラフィック・ストリームを許可するためのトラフィック・ストリーム許可要求を、第2のノードにおいて受信する命令と、
前記第2のノードのトラフィック負荷を判定する命令と、
前記トラフィック負荷を用いて、前記第1のノードからのトラフィック・ストリームを許可するか拒否するかを決定する命令と
を備えるコンピュータ・プログラム製品。
【請求項11】
メッシュ・ネットワーク内のトラフィック・ストリームを制御する装置であって、
第1のノードから、トラフィック・ストリームを許可するためのトラフィック・ストリーム許可要求を受信するように構成された受信モジュールと、
前記トラフィック・ストリーム許可要求を受信する前記第2のノードのトラフィック負荷を判定し、前記トラフィック負荷を用いて、前記第1のノードからの要求に関するトラフィック・ストリームを許可するか拒否するかを決定するように構成された決定モジュールと
を備える装置。
【請求項12】
サービス間隔と呼ばれる期間を確立するように構成されたサービス間隔モジュールと、
前記トラフィック・ストリームの送信機会のための、前記サービス間隔の時間割合を判定するように構成された時間モジュールと
を更に備える請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記送信機会は、保証レート、物理的な最小伝送レート、フレーム・サイズ、スケジュールされたサービス間隔、遅延間期間、およびビーコン間隔から成るグループから選択される請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記トラフィック・ストリーム許可要求が拒否されたのであれば、前記第2のノードの代替ノードを選択するように構成された選択モジュールを更に備える請求項11に記載の装置。
【請求項15】
サービス間隔と呼ばれる期間を確立するように構成されたサービス間隔モジュールと、
近隣ノードから、送信時間割合および受信時間割合を受信するように構成された時間モジュールと
を更に備える請求項11に記載の装置。
【請求項16】
近隣ノードから、送信時間割合と受信時間割合との合計を受信するように構成された時間モジュールを更に備える請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記第1のノードを前記第2のノードに接続しているチャネルのチャネル・ビジー時間割合を測定するように構成された測定モジュールを更に備える請求項11に記載の装置。
【請求項18】
前記トラフィック・ストリーム許可要求は、前記トラフィック・ストリームを許可または拒否するかを決定するために使用されるトラフィック・ストリーム・クラスを含む請求項11に記載の装置。
【請求項19】
平均静寂ネットワーク・アクセス・ベクトル時間をモニタするように構成されたモニタリング・モジュールを更に備える請求項11に記載の装置。
【請求項20】
メッシュ・ネットワーク内のトラフィック・ストリームを制御する装置であって、
第1のノードからのトラフィック・ストリームを許可するためのトラフィック・ストリーム許可要求を、第2のノードにおいて受信する手段と、
前記第2のノードのトラフィック負荷を判定し、前記トラフィック負荷を用いて、前記第1のノードからのトラフィック・ストリームを許可するか拒否するかを決定するように構成された手段と
を備える装置。
【請求項21】
トラフィック・ストリーム許可要求を許可または拒否する手段を更に備える請求項20に記載の装置。
【請求項22】
サービス間隔と呼ばれる期間を確立する手段と、
前記トラフィック・ストリームの送信機会のための、前記サービス間隔の時間割合を判定する手段と
を更に備える請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記送信機会は、保証レート、物理的な最小伝送レート、フレーム・サイズ、スケジュールされたサービス間隔、遅延間期間、およびビーコン間隔から成るグループから選択される請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記トラフィック・ストリーム許可要求が拒否されたのであれば、前記第2のノードの代替ノードを選択する手段を更に備える請求項20に記載の装置。
【請求項25】
サービス間隔と呼ばれる期間を確立する手段と、
近隣ノードから、送信時間割合および受信時間割合を受信する手段と
を更に備える請求項20に記載の装置。
【請求項26】
近隣ノードから、送信時間割合と受信時間割合との合計を受信する手段を更に備える請求項20に記載の装置。
【請求項27】
前記第1のノードを前記第2のノードに接続しているチャネルのチャネル・ビジー時間割合を測定する手段を更に備える請求項20に記載の装置。
【請求項28】
前記トラフィック・ストリーム許可要求は、前記トラフィック・ストリームを許可または拒否するかを決定するために使用されるトラフィック・ストリーム・クラスを含む請求項20に記載の装置。
【請求項29】
平均静寂ネットワーク・アクセス・ベクトル時間をモニタする手段を更に備える請求項20に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−54956(P2012−54956A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−216609(P2011−216609)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【分割の表示】特願2008−536778(P2008−536778)の分割
【原出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】