説明

メッセージ受信方法、メール端末装置およびメールクライアントプログラム

【課題】 バックグラウンド受信中の意図しない異常終了または強制終了によるデータ破壊のリスクが低減されたメッセージ受信方法、メール端末装置およびメールクライアントプログラムを提供すること。
【解決手段】メールクライアントプログラムを搭載したメール端末装置で電子メールを受信する方法において、受信したトリガー信号に応じて新着メッセージをバックグラウンドで取得してファイルに保存し、メールクライアントプログラムが起動された際にファイルに保存されたメッセージのデータをメールボックスに登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッセージ受信方法、メール端末装置およびメールクライアントプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータネットワークを利用してメッセージを交換する方法として、電子メールは広く利用されている。また携帯電話端末ではSMS(Short Message Service)、MMS(Multimedia Messaging Service)といったメッセージを交換するサービスが同じ通信事業者の契約端末間で提供されており、さらに携帯電話端末とインターネットに接続されたコンピュータまたは他通信事業者の契約端末との間では電子メールを交換することも広く行われている。
【0003】
個々のローカルネットワーク内で独自の通信方式(プロトコル)によって運用されていた電子メールは、インターネットが普及することにより、TCP/IPネットワーク上でSMTP(Send Mail Transfer Protocol)、POP(Post Office Protocol)、IMAP(Internet Message Access Protocol)、MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)等のRFCで定められた共通のプロトコルによって運用されている。
【0004】
携帯電話端末の電子メールも基本的には同様のプロトコルに沿って運用されているが、移動体通信事業者が提供しているネットワークやサービスに対応するため独自の拡張および修正が加えられている場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1997−261344公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
携帯電話端末でメッセージの作成、送受信、閲覧および管理を実現するためには、携帯電話端末上でMUA(Mail User Agent)のプログラム(以下、メーラー、メールクライアントと称する場合がある)を実行する必要がある。しかしながら、携帯電話端末で提供されている電子メールサービスには、一般の電子メールサービスでは提供されていない機能もある。
【0007】
例えば、携帯電話端末で提供されている電子メールサービスには、ユーザのメールサーバにメールが到着すると携帯電話端末に所定フォーマットのSMSメッセージを送信し、当該SMSメッセージを受信した携帯電話端末を自動的にメールサーバに接続させることによって擬似的にメールのプッシュ配信を行うサービスが知られている。
【0008】
このようなメールのプッシュ配信サービスに対応するため、携帯電話端末で利用されるメールクライアントプログラムでは、別のアプリケーションプログラムをユーザが実行している間でもバックグラウンドでSMSをトリガーとしたメール受信を行う機能が実装されている。バックグラウンドでメールを受信する機能は、例えば携帯電話端末が搭載しているOS(Operating System)プラットフォームのマルチタスク機能を利用して実装される。
【0009】
しかしながら、このバックグラウンド受信機能においては、受信したメッセージの処理中に同時並行的に実行されているアプリケーションによりシステムが不安定となってメールクライアントプログラムが異常終了させられたり、メッセージ処理中に電源が切られること等により強制終了させられたりする場合がある。そのような異常終了または強制終了がメールボックスの更新中に発生すると、メールボックスが破壊されデータが失われてしまうという問題が生じる。
【0010】
そこで本発明は、バックグラウンド受信中の意図しない異常終了または強制終了によるデータ破壊のリスクが低減されたメッセージ受信方法、メール端末装置およびメールクライアントプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点は、メールクライアントプログラムを搭載したメール端末装置でメッセージを受信する方法において、
受信したトリガー信号に応じて新着メッセージをバックグラウンドで取得してファイルに保存し、メールクライアントプログラムが起動された際にファイルに保存されたメッセージのデータをメールボックスに登録することを特徴とするメッセージ受信方法を提供する。
【0012】
また、本発明の第2の観点は、メールクライアントプログラムを搭載したメール端末装置において、
トリガー信号を受信するトリガー受信部と、
メッセージを格納したメールボックスおよび一時記憶領域を備えたストレージ部と、
前記トリガー受信部の受信したトリガー信号に応じてメールサーバから新着メッセージをバックグラウンドで取得し、前記一時記憶領域にファイルとして保存するバックグラウンド受信部と、
前記メールクライアントプログラムが起動された際に、前記ファイルとして保存されたメッセージのデータを前記メールボックスに登録するメールボックス登録部とを有することを特徴とするメール端末装置を提供する。
【0013】
さらに、本発明の第3の観点は、メール端末装置の処理装置で実行することにより、
受信したトリガー信号に応じて、メールサーバから新着メッセージをバックグラウンドで取得してファイルとして保存するバックグラウンド受信機能と、
フォアグラウンドで起動された際に前記ファイルとして保存されたメッセージのデータをメールボックスに登録するメールボックス登録機能と
を実現することを特徴とするメールクライアントプログラムを提供する。
【0014】
以上のような本発明の第1、第2および第3の観点においては、新着メッセージを1件ずつ取得して、それぞれ別のファイルに保存することが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のメッセージ受信方法、メール端末装置およびメールクライアントプログラムによれば、受信したトリガー信号に応じてバックグランドでメールサーバから取得された新着メッセージはファイルとして保存され、メールクライアントプログラムが(フォアグラウンドで)起動された際に前記ファイルとして保存されたメッセージのデータをメールボックスに登録することが行われる。したがって、新着メッセージをバックグラウンドで受信する処理の間にプログラムの異常終了または強制終了が発生しても、メールボックスのデータは破壊されることはない。
【0016】
さらに、新着メッセージを1件ずつ取得して、それぞれ別のファイルに保存する構成とすることにより、新着メッセージのバックグラウンド受信中に異常終了または強制終了が発生した場合に失われるデータを、多くとも取得中またはファイルに書き込み中のメッセージ1件分に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】 本発明の一実施形態にかかる通信端末装置のハードウェアブロック図である。
【図2】 本発明の一実施形態にかかる通信端末装置のソフトウェアブロック図である。
【図3】 本発明の一実施形態にかかるメールクライアントプログラムのプロック図である。
【図4】 (a)は電子メールメッセージのデータ構造例を示す図面であり、(b)は別のデータ構造例を示す図面である。
【図5】 バックグラウンド受信動作のフローチャートである。
【図6】 メールクライアントプログラムの起動時にメールボックスにメッセージを追加する動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明にかかるメッセージ受信方法、メール端末装置およびメールクライアントプログラムの実施の形態について説明する。図1は本発明にかかるメール端末装置の一実施形態である通信端末装置100のハードウェアブロック図である。この図では、標準的なハードウェア構成について示しており、機能ブロックの一部には本発明と関係ないものも併せて示されている。図1に示すように、この通信端末装置100は、主として、処理装置であるアプリケーションプロセッサ101およびベースバンドプロセッサ102と、アプリケーションプロセッサ101に接続されたバッテリー103、揮発性メモリであるRAM104、書き込み可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ105、メモリーカード端子106、GPSトランシーバ108、WiFi/Bluetoothトランシーバ109、キーパッド/ボタン110、LCD/タッチパネル111、マイク112、スピーカ113、USB端子114およびカメラ115と、ベースバンドプロセッサ102に接続されたトランシーバ/USIM107とから構成されている。以下、これらの構成について説明する。
【0019】
アプリケーションプロセッサ101はMPUないしCPUであり、バッテリー103から電力の供給を受けて後述するフラッシュメモリ105に格納されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現する部である。ベースバンドプロセッサ102は、無線通信の基本的な機能を実現するための信号処理を行うプロセッサである。これらアプリケーションプロセッサ101およびベースバンドプロセッサ102は一つのチップセットとして構成してもよいし、両者の機能を一つのプロセッサに統合したものであっても構わない。
【0020】
バッテリー103は、各機能ブロックに電力を供給する部であり、必要に応じてバッテリーを制御するコントローラチップが併用される。
【0021】
RAM104は、揮発性メモリでありSRAMやPSRAM、各種DRAM等の半導体記憶装置が採用される。フラッシュメモリ105は、書き換え可能な不揮発性メモリであって、NAND型であってもNOR型であってもよいし他の形式であっても構わない。RAM104とフラッシュメモリ105とを比較すると、その読み出し時間および書き込み時間はいずれもRAM104がより高速である。また、通信端末装置100にはメモリーカード端子106が設けられており、小型のフラッシュメモリモジュールを外部メモリとして接続することが可能である。
【0022】
フラッシュメモリ105には、アプリケーションプロセッサ101およびベースバンドプロセッサ102で実行することにより通信端末装置100で所定の機能を実現するための種々のプログラムおよびデータが格納されている。これらのプログラムおよび/またはデータは必要に応じてRAM104にロードされ、RAM104上に確保されたヒープメモリを利用して実行される。
【0023】
トランシーバ/USIM107はベースバンドプロセッサ102と接続されており、装着されたUSIM(Universal Subscriber Identity Module)すなわち汎用加入者識別モジュールの情報に基づいて、ベースバンドプロセッサ102の制御により所定電波帯域で電波を送受信して通信を行う回路である。本実施形態における通信端末装置100は、ベースバンドプロセッサ102とトランシーバ/USIM107により移動体通信網に接続して通信を行う構成となっている。
【0024】
GPSトランシーバ108は、通信端末装置100の位置情報を取得するGPS信号を受信するための部であり、WiFi/Bluetoothトランシーバ109はIEEE802.11a,IEEE802,11b,IEEE802.11g,IEEE802.11n等で規定されたWiFi(無線LAN)技術を利用した通信およびIEEE802.15.1およびBluetooth規格で規定されたBluetooth技術を利用した通信を行う回路である。これらの回路は互いに独立したチップとして実装しても良いし、双方の回路を一つのチップに実装した構成であっても構わない。
【0025】
キーパッド/ボタン110は、通信端末装置100の筐体に設けられた入力装置であって、後述するLCD/タッチパネル111とともにユーザが通信端末装置100を操作するための入力を受け付ける。
【0026】
LCD/タッチパネル111は、タッチパネル機能を備えた液晶ディスプレイ装置であって、通信端末装置100はLCD/タッチパネル111の画面にアプリケーションの情報を表示するとともにGUI(Graphical User Interface)を表示してユーザの操作に供する。
【0027】
さらに、マイク112およびスピーカ113は通信端末装置100で音声の入出力を実現し、USB114は通信端末装置100を別の機器に接続してデータを送受信したり機能を制御したりするために使用される。また、カメラ115は、通信端末装置100で写真撮影する機能を提供する。
【0028】
次に、以上のように構成された通信端末装置100のフラッシュメモリ105に格納されたプログラムの構成について概略を説明する。図2は、通信端末装置100の全体的なプログラム構成を示す図面である。
図2に示すように通信端末装置100のプログラム構成は、主として、オペレーティングシステム200、ミドルウェア202およびアプリケーション207の3層からなっている。これらのプログラムはフラッシュメモリ105に格納されており、実行時には必要に応じてRAM104を使用してアプリケーションプロセッサ101および/またはベースバンドプロセッサ102により実行されることにより各種機能を実現するものである。
【0029】
オペレーティングシステム200は、ハードウェアを制御するためのデバイスドライバ201を内蔵しており、ミドルウェア202およびアプリケーション207に入出力の制御、メモリ管理、プロセス管理等といったコンピュータシステムとしての基本的な機能を提供する。
【0030】
ミドルウェア202は、例えばグラフィック処理を行うグラフィックライブラリ203、HTMLファイルのレンダリング処理を行うHTMLレンダリングエンジン204、データベースを管理するためのデータベースAPIを提供するデータベース管理システム205、Unix系OSにおけるlibcに代表される標準ライブラリ206を含み、アプリケーション207が利用する汎用的な機能を提供する。ここで、通信端末100でJava(登録商標)アプリケーションのように実行環境を必要とするプログラムを実行する場合には、ミドルウェア202として当該実行環境を実装する。
【0031】
アプリケーション207は、SMSメッセージの送受信および閲覧管理を行うSMSクライアントプログラム208、後述するメールクライアントプログラム209、電話機能を提供する電話アプリケーション210等を含み、通信端末装置100のユーザに各種機能を提供するものである。
【0032】
以下、アプリケーション207のうちSMSクライアントプログラム208およびメールクライアントプログラム209について説明する。
SMSクライアントプログラム208は、シグナリングチャネルを利用して同じ通信事業者の契約端末および携帯電話網の間で短いメッセージの送受信を行い、またメッセージの閲覧管理を行う。このうちメッセージの受信については、通信端末装置100が携帯電話網の通信可能圏内にあって電源が入れてあれば、別のアプリケーションを実行中でも携帯電話網から送信される信号に応じてバックグラウンドで実行される。また本実施形態のSMSクライアントプログラム208は、通信端末装置100宛に新着メールが到着したことを示すSMSメッセージ(SMSトリガー)を受信し、それに応じてメールクライアントプログラム209のバックグラウンド受信部233を呼び出す機能を実現する。このような機能は、例えばヘッダ部分に所定のパラメータを設定したSMSメッセージをSMSトリガーとして定義し、受信したメッセージのヘッダ部分に当該パラメータが記述されている場合にSMSクライアントプログラム208がバックグラウンド受信部233を呼び出して通知する構成とすることにより実現することができる。SMSクライアントプログラム208がバックグラウンド受信部233を呼び出す動作は、アプリケーション乃至ミドルウェアのフレームワークを介在させて行うようにしても構わない。
【0033】
図3はメールクライアントプログラム209のソフトウェアブロック図および各種データ等と、SMSクライアントプログラム208とを併せて示した図面である。図3に示すようにメールクライアントプログラム209は、主としてメニュー表示部221、アカウント設定管理部222、アドレス管理部223、メッセージ管理部227およびバックグラウンド受信部233からから構成される。また、各種データ等は、データベース管理システム205で管理されたアカウント情報241、アドレスデータ部242、メールボックスA243およびTEMP領域244を含んでいる。
【0034】
フォルダ一覧表示部221は、起動後に表示される画面をなすブロックであり、デフォルトに設定されているアカウントのメールボックスについて、設定されているフォルダの一覧を表示してユーザの選択に供する。また、アカウント切り替え、設定、メール作成、アドレス帳表示の各機能を呼び出すためのUIを併せて画面に表示する。
【0035】
アカウント設定管理部222は、フォルダ一覧表示部表示部221のなす画面からアカウントの切り替えのUIまたは設定のUIを操作することで呼び出され、アカウント一覧を表示してユーザの選択したものにアカウントを切り替える機能、アカウントの設定を行う機能を提供する。アカウント管理部222が設定管理するユーザのアカウント情報は、データベース管理システム205によって管理されたアカウント情報部241に保存される。
【0036】
アドレス管理部223は、フォルダ一覧表示部表示部221のなす画面からアドレス帳表示のUIを操作することで呼び出され、登録されたアドレスの一覧を表示するアドレス一覧表示部224、登録されたアドレスを個別に画面に表示するアドレス個別表示部225、アドレスの追加および登録されたアドレスの修正を行うアドレス追加修正部226を備え、アドレス帳に登録されたデータの利用および管理する処理を行う。アドレス管理部223が管理するアドレス帳のデータは、データベース管理システム205によって管理されたアドレスデータ部242に保存される。
【0037】
メッセージ管理部227は、メッセージ(メールクライアントプログラム209が作成ないし送受信した個々のメールをいう)を表示してユーザに閲覧させるメッセージ表示部228、新規メッセージの作成編集を行うメッセージ作成編集部229、メールサーバに接続してメッセージの送信を行うメッセージ送信部230、メールサーバに接続してメッセージの受信を行うメッセージ受信部231を備え、これらにより新規メールを作成して送信し、新規メールを受信して管理し、また画面に表示する処理を行う。また、メッセージ管理部227は、メッセージ送信部230およびメッセージ受信部231の送受信したメッセージをメールボックス243に保存するメールボックス登録部232を有している。さらに、メールボックス登録部232は、バックグラウンド受信部233が受信してTEMP領域233に保存したメッセージを後述する動作によりメールボックス243に登録し、登録したメッセージのデータをTEMP領域233から削除する処理を行う。
【0038】
以下、メッセージ管理部227が管理するメッセージおよびメールボックスのデータ形式について説明する。メールクライアントプログラム209が送受信するメッセージは電子メールとして標準的なデータ形式をとるものであり、その構造は図4(a)および(b)に示す通りである。図4(a)は添付ファイルが無いテキストメールのデータ構造を示しており、この場合のメッセージはヘッダ情報と、本文からなるボディ情報とが空行により分離された構造となっている。これに対して図4(b)はファイルの添付されたマルチパートメールのデータ構造を示しており、この場合のメッセージはヘッダ情報と、本文のパートと添付ファイルのパートからなるボディ情報とが空行により分離された構造となっている。
【0039】
メッセージ管理部227は、このようなメッセージから、受信した形態が(TO,CC,BCC)のいずれかであるかを示す受信タイプ、Uid、タイトル、受信日、送信日、送信元、返信先、ボディ情報、コンテンツ形式およびMIMEタイプ等を抽出ないし判断し、さらにメッセージを格納するデータベース名、データベースのプライマリーキーとして使用するID、ユーティリティフラグ、フォルダ名、既読フラグ等を付与したメッセージオブジェクトをなし、当該メッセージオブジェクトの管理を行う。また、データベース管理システム205を利用してメールボックス243にメッセージオブジェクトを格納し、データベースとして管理する。
【0040】
バックグラウンド受信部233は、SMSトリガーを受信したSMSクライアントプログラム208から呼び出されてバックグラウンドで実行され、メールサーバにログインし、新着メッセージを取得してTEMP領域244にファイルとして保存する処理を行う。バックグラウンド受信部233は、例えばオペレーティングシステム200またはミドルウェア202のマルチタスク機能を利用して、バックグラウンドで処理を行う構成とすることができる。
【0041】
以下、メールクライアントプログラム209が使用する各種データ等について説明する。アカウント情報部241は、メッセージの送受信に使用するメールサーバにログインするためのアカウント情報を格納したデータベースであり、フラッシュメモリ105上に設けられている。アカウント情報にはメールの送受信に使用するメールアドレスが含まれており、さらに後述するメールボックスの一つが関連付けられている。
【0042】
アドレスデータ部242は、メッセージを送受信する相手の情報を格納したデータベースであり、フラッシュメモリ105上に設けられている。アドレスデータ部242には、相手の名前、メールアドレス等が含まれている。
【0043】
メールボックス243は、送受信および作成したメッセージをアカウント毎に格納したデータベースであり、フラッシュメモリ105上に設けられている。メールボックス243はメッセージ管理部227のメッセージ表示部228およびメッセージ作成編集部229よって読み出され、また、メールボックス登録部232によってメッセージ受信部231およびバックグラウンド受信部233が受信したメッセージが追加登録される。
【0044】
TEMP領域244は、フラッシュメモリ105上に、バックグラウンド受信部209が受信したメッセージのデータをメッセージ毎のファイルとして格納するための領域である。したがって、TEMP領域にはバックグラウンド受信部209が受信したメッセージの数だけのファイルが格納されることになる。
【0045】
以下、このようなメールクライアントプログラム209の動作について、図面を参照しながら説明する。図5はSMSトリガーに応じてメッセージをバックグラウンドで受信する動作のシーケンス図であり、図6は図5のバックグラウンド受信されたメッセージをメールボックスに登録する動作を示すフローチャートである。
【0046】
図5に示すように、SMSトリガーに応じてメールをバックグラウンド受信するシーケンスは、通信端末装置100のメールアドレスが登録されたメールサーバに新着メッセージが到着することにより開始される(ST101)。新着メッセージの到着を検出したメールサーバは、通信端末100に対するSMSトリガーの送信をSMSセンターに要求する(ST102)。この要求に応じてSMSセンターは、通信端末装置100に対して所定のフォーマットで構成されたSMSトリガーを送信する(ST103)。
【0047】
SMSセンターから送信されたSMSトリガーは通信端末装置100のSMSクライアントプログラム208によって受信され、バックグラウンド受信部233が呼び出されてSMSトリガーの受信が通知される(ST104)。ここで呼び出されたバックグラウンド受信部223は、LCD/タッチパネル111の画面を占有することなくバックグラウンドで起動され、以下ST110までのシーケンスを実行する。
【0048】
まずバックグラウンド受信部233は、アカウント情報部241からアカウント情報を取得してメールサーバにログインする(ST105)。続いてバックグラウンド受信部233がメールサーバに新着メール1件を要求し(ST106)、メールサーバが新着メール1件分のデータを送信する(ST107)。続いてバックグラウンド受信部233が受信したメッセージをTEMP領域244にファイルとして格納して(ST108)、格納の終了を確認する(ST109)。以降、ST108からST111までの処理を新着メッセージの数だけ繰り返すことにより、メールサーバ上の全ての新着メッセージが取得され、それぞれTEMP領域244にファイルとして格納される。最後にメールサーバからログオフして(ST10)、バックグラウンド受信のシーケンスを終了する。
【0049】
上記バックグラウンド受信の動作によりファイルに格納されたメッセージは、メールクライアントプログラム209の起動時に、図6に示したフローチャートの動作によってメールボックス243に登録される。この動作はユーザが通信端末装置100のUIを操作すること等によりメーラーの起動を指示し(ST201)、メールクライアントプログラム209が起動される(ST202)ことにを経て開始される。まず、バックグラウンド受信したメッセージがあるかが判断され(ST203)、ここで受信したメッセージがあると判断された場合には続いてTEMP領域のファイルからメッセージのデータが読み出され(ST204)、読み出されたメッセージがメールボックスに登録され(ST205)、TEMP領域244のファイルが消去される(ST206)。その後、通常の起動処理が行われ、メールクライアントプログラム209の初期画面が表示され(ST207)、ユーザの操作に応じてメッセージの閲覧、編集作成、送受信といったメーラーの標準的な機能が実行される(図示略)。一方、ST203でバックグラウンド受信したメッセージが無いと判断された場合にはそのままST207以降の処理が実行される。
【0050】
以上のような動作ではバックグラウンド受信中にメールボックス243にメッセージを追加登録する処理を行わないので、バックグラウンド受信中に異常終了または強制終了があってもメールボックス243のデータが破壊されることはない。また、バックグラウンド受信は新着メール1件ずつ行われ、それぞれ別ファイルに格納されるので、異常終了または強制終了によりデータが失われたとしても被害を新着メール1件分に抑えることができる。
【0051】
また、バックグラウンド受信されてファイルに格納されたメッセージは、メールクライアントプログラム209の起動時に検出されて自動的にメールボックス243に登録されるので、他のメッセージと同様にメールクライアントプログラム209で閲覧することが可能である。
【0052】
以上詳細に説明した通り、本発明によればバックグラウンド受信中にはメッセージをメールボックス243に追加登録せず、その後メールクライアントプログラム209を起動した時点でメールボックス243に追加登録するので、意図しない異常終了または強制終了によるデータ破壊のリスクが低減されたメッセージ受信方法、メール端末装置およびメールクライアントプログラムを提供することができる。
【0053】
本発明は上記実施の形態に限られるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記ではSMSトリガーを利用した擬似的なメッセージのプッシュ配信に本発明を適用した場合を示したが、メッセージをバックグラウンド受信する電子メッセージ受信方法、メール端末装置およびメールクライアントプログラムであれば幅広く本発明を適用することができ、これにより意図しない異常終了または強制終了によるデータ破壊のリスクを低減することが可能である。
【0054】
また、本発明のメール端末装置およびメールクライアントプログラムの構成は上記実施形態で示したブロック図の構成に限られるものではなく、本発明のメッセージ受信方法についても上記実施形態で示したシーケンス図およびフローチャートに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0055】
104 RAM
105 フラッシュメモリ
205 データベース管理システム
221 フォルダ一覧表示部
223 アドレス管理部
224 アドレス一覧表示部
225 アドレス個別表示部
226 アドレス追加修正部
227 メッセージ管理部
228 メッセージ表示部
229 メッセージ作成編集部
230 メッセージ送信部
231 メッセージ受信部
232 メールボックス登録部
233 バックグラウンド受信部
241 アカウント情報部
242 アドレスデータ部
243 メールボックス
244 TEMP領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メールクライアントプログラムを搭載したメール端末装置でメッセージを受信する方法において、
受信したトリガー信号に応じて新着メッセージをバックグラウンドで取得してファイルに保存し、メールクライアントプログラムが起動された際にファイルに保存されたメッセージのデータをメールボックスに登録することを特徴とするメッセージ受信方法。
【請求項2】
新着メッセージを1件ずつ取得して、それぞれ別のファイルに保存することを特徴とする請求項1に記載のメッセージ受信方法。
【請求項3】
メールクライアントプログラムを搭載したメール端末装置において、
トリガー信号を受信するトリガー受信部と、
メッセージを格納したメールボックスおよび一時記憶領域を備えたストレージ部と、
前記トリガー受信部の受信したトリガー信号に応じてメールサーバから新着メッセージをバックグラウンドで取得し、前記一時記憶領域にファイルとして保存するバックグラウンド受信部と、
前記メールクライアントプログラムが起動された際に、前記ファイルとして保存されたメッセージのデータを前記メールボックスに登録するメールボックス登録部とを有することを特徴とするメール端末装置。
【請求項4】
前記バックグラウンド受信部は、新着メッセージを1件ずつ取得してそれぞれ別のファイルに保存することを特徴とする請求項3に記載のメール端末装置。
【請求項5】
メール端末装置の処理装置で実行することにより、
受信したトリガー信号に応じて、メールサーバから新着メッセージをバックグラウンドで取得してファイルとして保存するバックグラウンド受信機能と、
フォアグラウンドで起動された際に前記ファイルとして保存されたメッセージのデータをメールボックスに登録するメールボックス登録機能と
を実現することを特徴とするメールクライアントプログラム。
【請求項6】
前記バックグラウンド受信機能は、新着メッセージを1件ずつ取得して、それぞれ別のファイルに保存することを特徴とする請求項5に記載のメールクライアントプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−160154(P2012−160154A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32576(P2011−32576)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.UNIX
【出願人】(394020376)ガイアホールディングス株式会社 (51)
【Fターム(参考)】