説明

メニューを用いた一方向通信装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電話回線を利用した複数チャンネルを有する一方向通信システムにおいて、1つのチャンネルで他のチャンネルが提供する情報のメニューを表示するための情報を端末装置に伝送する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に電話による通信システムは、電話局の交換機を電話回線を介して利用者宅の電話機に接続した構成であり、受話器を取り上げてオフフックにすると上記交換機と電話回線との間でループが形成され、このループを介して伝送される信号によって通話するものである。ところで、この電話回線の空き時間を利用して利用者宅に一方向通信によって音楽信号などを送信するオフトーク通信システムが知られている。このオフトーク通信システムは、局外に設置したオフトークセンタに音声や音楽など各種の情報信号を送る送信手段を設け、電話局に設けた局内装置により、電話回線を交換機または送信手段に選択的に切り換えて接続できるように構成している。そして、利用者宅においてスピーカを有する受信手段を電話回線に接続して設け、受話器のオフフック時には局内装置を交換機側に切り換えて通話可能にする一方、受話器を置いたオンフック時などには局内装置を送信手段側に切り換えて送信手段からの伝送信号を電話回線を介して各受信手段に送るというものである。その場合、実際には複数の送信手段を一つの局内装置に接続しておき、各受信手段からの遠隔操作によって局内装置のオン・オフ、送信手段の選択(チャンネルの変更)を行うことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、現在実際に採用されているオフトーク通信システムではチャンネル数は4チャンネルであり、それぞれが独立した並列の関係にある。利用者は4つのチャンネルのうちから任意のチャンネルを選択し、情報の提供を受けるのである。たとえばそれぞれのチャンネルで音楽、ニュース、演芸、教育情報が提供されている場合に、好みのチャンネルを選択すれば電話を使用していない間はその種の情報が絶えず流される。あるいは1つのチャンネルで時間帯によって情報の種類を変更することも自由である。何れにしても情報の種類は提供者が決定することであり、利用者は4チャンネルのどのチャンネルを選択するかを決定できるにすぎない。
【0004】このようなシステムにおいて、1つのチャンネルでは同一種類の情報だけしか提供されないような場合には、利用者はそのチャンネルに固定しておけば特定種類の情報だけの提供を受けることができる。このような条件は、利用者がこのシステムをBGMとして意図する場合には好都合である。しかし、チャンネルごとに特定の情報しか提供しないとすれば情報の種類が限られてしまい、汎用的な情報を目的とした放送を行うことができない。また、チャンネルごとに独自性を持たせた場合には利用者が予め番組を知ることができるように番組表を配布する手段が考えられるが、この用の手段を採用しようとすれば提供者側では相当前から詳細な計画を建てなければならず、簡易な放送システムという利点が阻却されることになる。
【0005】本発明ではこのような不都合を解消しようとするもので、1つのチャンネルに他のチャンネルの番組情報提供機能を持たせることとし、提供される情報の内容を利用者がディスプレイなどに表示されるメニューで確認することができるようにし、利用性の高いオフトーク通信とすることを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明では、電話局に設置した局内装置と、N個のチャンネルにそれぞれ設けられた情報提供装置と、上記局内装置と電話回線で接続され、電話の不使用時に上記N個のチャンネルから選択された1つのチャンネルから提供される放送を受信する端末装置とからなる一方向通信装置において、上記N個のチャンネルの第1チャンネルには他のチャンネルの番組表をテキストデータとして保有し、上記端末装置の電源オン時および上記放送の復旧時には第1チャンネルの上記テキストデータを放送し、端末装置に接続されたメニュー表示装置に上記番組表をメニュー画面として表示するという手段を用いた。番組表とメニューの関係であるが、番組表とは、ある番組を概念的に表現したものであり、メニュー画面にはこの番組表が視覚的に表示されるというものであり、実質的には同様のものを示している。
【0007】
【作用】番組表のテキストデータを第1チャンネルに保有することによって、既知の通信システムをそのまま利用して、電源をオンしたときおよび通話の終了によって通信が復旧したときに、必ずメニュー表示されるという作用を有する。この作用によって、端末利用者が本通信システムを有効に活用する手段を提供しているものである。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を添付した図面に従って説明する。図1は本装置の基本的な構成を示すブロック図であって、1は各電話局の局内装置、2はメニュー表示用の情報提供装置、3A・3B・3Cはそれぞれが独立した情報提供装置であって、情報提供者が計画した情報を局内装置1に対して伝送するものである。そして、情報提供装置2および3A〜3Cによって4チャンネルのオフトーク通信を構成している。局内装置1とそれぞれの情報提供装置2および3A〜3Cとの接続は、電話回線であっても通常のケーブル接続であっても機能的には同様である。4は電話局の局内装置1と利用者宅の間を接続する電話回線、5は端末装置、6は通常機能を有する電話機、7はメニュー表示装置、8A〜8Cは情報提供装置3A〜3Cに対応した情報出力端子である。本実施例では説明上でメニュー表示装置7はCRTなどのディスプレイであるとする。なお、情報出力端子は8A〜8Cとして3出力を並列出力としているが、提供される情報の種類が全て異なる場合を想定した構成であって、3チャンネルともに音声情報の場合にはこれらの出力を1台の音声再生装置に入力すればよい。従って、この間の接続には3出力1入力ケーブルを利用する。
【0009】なお、公知の構成としてオフトーク通信では電話機を使用してオフトーク通信が一旦中断し、その後受話器のオンフックによって通信が復旧した場合には必ず第1チャンネルを選択するようにしているので、これをそのまま採用するためにメニュー表示用の情報提供装置2は必ず第1チャンネルに設定し、メニュー表示装置7も第1チャンネルの出力端子に接続する。そして、情報提供装置2では他のチャンネルが提供する情報の内容、時間帯などを予めテキスト情報として作成し、局内装置1に対して伝送している。
【0010】次に図2は端末装置5の詳細を説明したブロック図であって、10はオフトーク制御部、11はCPUを中心とする情報処理装置、12は記憶装置、13は入力装置である。14はモデムである。なお、各出力端子8A〜8Cやメニュー表示装置7などと情報処理装置11は入出力インタフェイスを介して接続されているが、これらは公知の構成であるので説明を省略している。
【0011】これらの構成において全体の動作を説明すると、端末装置5の電源(図示せず)をオンすればオフトーク制御部10が動作し、先ずオフトーク通信の第1チャンネルを選択する。すると、情報提供装置2から伝送される情報が選択され、情報処理装置11において処理された後にディスプレイ7にメニュー画面として表示される。利用者はこの画面によって自分が提供を受けたいチャンネルを選択するのである。チャンネルの選択は入力装置13を操作して行うが、具体的には、例えば3チャンネル分のプッシュボタンで選択したり、あるいはロータリスイッチによって行う。また、端末装置5が管理する電話機6に対して発呼信号があったり、受話器をオフフックすると本来の電話機能を確保するためにオフトーク機能が中断されるが、会話の終了などによってオフトーク機能が復旧した場合には再度第1チャンネルを選択するので、ディスプレイ7にメニュー画面が表示される。
【0012】しかし、オフトーク機能が復旧した場合に必ずメニュー画面が表示され、利用者がチャンネルをその都度選択することは中断前のチャンネルを続行したい場合には面倒である。従って、メニュー画面が表示されて一定時間を経過すると第1チャンネルの選択を解除し、中断前のチャンネルを強制的に選択するようにしてもよい。具体的には、電源オン時や復旧時には第1チャンネルが選択されるものの、チャンネルの操作がされずに一定時間経過すれば残り3チャンネルの選択にスイッチングを切り換える。入力装置13がロータリスイッチで構成されている場合には現在のスイッチ位置が直前のチャンネルに該当し、プッシュスイッチの場合にはロックスイッチを利用すれば選択したチャンネルが保持されることになる。時間管理については情報処理装置11の内部CPUのクロック管理を用いることが可能である。
【0013】次に、入力装置13によって、選択するチャンネルの時間管理を行う実施例について説明する。この場合の入力装置13としては、上述した3チャンネルの切り換えスイッチではなく、チャンネル指定を行うための入力スイッチと、時間指定を行うための入力スイッチを設ける。そして利用者がメニュー画面を見ながら時間およびチャンネルを指定すれば、記憶装置12がこれらを制御データとして記憶し、これに従ってプログラムが実行されるのである。このように構成すれば、メニュー画面を非常に有効に活用することができる。
【0014】なお、本実施例ではメニューの表示はディスプレイ7で行うこととしたが、ディスプレイ7に代えてプリンタを採用すれば、紙出力を行うことができることはもちろんである。また、上述した例では第1チャンネルはメニューの表示のみであるが、トラヒックには十分余裕があるので、余裕分で端末側の各種制御を行うことも可能であり、様々な付加価値提供の余地がある。
【0015】
【発明の効果】本発明では、利用者に提供される複数のチャンネルのうち、第1チャンネルを他のチャンネルの番組メニューとして活用することとし、通信の復旧時などでは必ずメニューを表示することとしたので、利用者はどのチャンネルにおいて好みの情報を提供しているか即座に確認することができ、この通信システムを有効に活用することが可能となった。また、番組のバラエティを豊かにした場合には利用者は好みでない番組が放送された場合にはその度にチャンネルを変更したり、電源をオフする必要があった。従って、必然的に1つのチャンネルでは共通した種類の番組を提供していたが、本発明を採用すれば利用者が複数チャンネルの番組を知ることができ、便利である。さらに、時間プログラムも行うようにすれば、利用者は時間によって自由にチャンネルを自動選択することができ、チャンネル選択の煩わしさから解放されることとなった。
【0016】さらにまた、番組メニューを放送によって利用者に提供することができるので、番組の変更も比較的制約がなく、情報提供者にとっても利用性が高いなど、有効な装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図、
【図2】端末装置の詳細を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 局内装置
2 情報提供装置
3A・3B・3C 情報提供装置
4 電話回線
5 端末装置
6 電話機
7 メニュー表示装置
8A〜8C 情報出力端子
10 オフトーク制御部
11 情報処理装置
12 記憶装置
13 入力装置
14 モデム

【特許請求の範囲】
【請求項1】電話局に設置した局内装置と、N個のチャンネルにそれぞれ設けられた情報提供装置と、上記局内装置と電話回線で接続され、電話の不使用時に上記N個のチャンネルから選択された1つのチャンネルから提供される放送を受信する端末装置とからなる一方向通信装置において、上記N個のチャンネルの第1チャンネルには他のチャンネルの番組表をテキストデータとして保有し、上記端末装置の電源オン時および上記放送の復旧時には第1チャンネルの上記テキストデータを放送し、端末装置に接続されたメニュー表示装置に上記番組表をメニュー画面として表示することを特徴としたメニューを用いた一方向通信装置。

【図1】
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【図2】
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【特許番号】特許第3255300号(P3255300)
【登録日】平成13年11月30日(2001.11.30)
【発行日】平成14年2月12日(2002.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−197874
【出願日】平成4年6月30日(1992.6.30)
【公開番号】特開平6−22056
【公開日】平成6年1月28日(1994.1.28)
【審査請求日】平成11年6月21日(1999.6.21)
【出願人】(500450174)株式会社リコス (3)