説明

メモリモジュール、モジュール及びその制御方法

【課題】モジュールの機能を識別するための識別情報を不揮発性半導体メモリに記録する作業を軽減させることを課題とする。
【解決手段】モジュール10の複数種類に対応した識別情報DA1を記録した不揮発性半導体メモリ31と、中央処理装置32と、前記複数種類のいずれかの種類に対応した信号を入力する入力端子35と、モジュールの信号端子24から出力するための識別情報DA3を出力する出力端子36と、を少なくとも有する集積回路30と、前記複数種類のいずれかの種類に対応した信号を入力端子35へ入力する種類対応信号供給部40とを備え、入力端子34に入力される信号に対応した識別情報DA3を集積回路30が不揮発性半導体メモリ31から読み出して出力端子36から出力することにより、モジュール10の種類に対応した識別情報DA3を信号端子24から出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュールの機能を識別するための識別情報を信号端子から出力可能なメモリモジュール、モジュール及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリモジュールには様々な種類があるため、SPD(Serial Presence Detect)という規格に従って情報をシリアル通信する不揮発性半導体メモリをメモリモジュールに実装することが行われている。この不揮発性半導体メモリには、SIMM(Single Inline Memory Module)やDIMM(Dual Inline Memory Module)といったメモリモジュールのタイプ、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)やDRAMといったメモリチップの種別、メモリ容量、バンク構成、サイクルタイム、SDRAMのクロック周波数、ECCメモリ(Error Check and Correct memory)やパリティビットの有無、リフレッシュの間隔、等のメモリモジュールの機能の識別情報が記録される。これらの情報は、メモリモジュールのエッジコネクタ端子に設けられたSCL端子(シリアルクロック端子)及びSDA端子(シリアルデータ端子)を経由してマザーボードのメモリコントローラへ伝達される。メモリモジュールを装着したマザーボードは、メモリコントローラが入手したこれらの情報に基づいてメモリモジュールに対してアクセスすることができる。
【0003】
特開平10−150143号公報には、不揮発性メモリのライトプロテクト(Write Protect)端子をプルアップし、該ライトプロテクト端子に導電性端子を電気的に接続したメモリモジュールが開示されている。メモリモジュールのプリント基板に不揮発性メモリが実装された後、導電性端子から不揮発性メモリにデータが書き込まれる。
【特許文献1】特開平10−150143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、メモリモジュールの種類毎にメモリモジュールの機能の識別情報が異なるため、メモリモジュールの種類毎に異なる識別情報を不揮発性半導体メモリに書き込む作業が必要である。特開平10−150143号公報記載のメモリモジュールでも、不揮発性メモリをプリント基板に実装した後にメモリモジュールの種類毎に異なる識別情報を不揮発性メモリに書き込む必要がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、メモリモジュールのようなモジュールの機能を識別するための識別情報を不揮発性半導体メモリに記録する作業を軽減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、モジュールの機能を識別するための識別情報を信号端子から出力可能なモジュールであって、
モジュールの複数種類に対応した前記識別情報を記録した不揮発性半導体メモリと、中央処理装置と、前記複数種類のいずれかの種類に対応した信号を入力する入力端子と、前記信号端子から出力するための前記識別情報を出力する出力端子と、を少なくとも有する集積回路と、
前記複数種類のいずれかの種類に対応した信号を前記入力端子に供給する種類対応信号供給部とを備え、
前記入力端子に入力される信号に対応した前記識別情報を前記集積回路が前記不揮発性半導体メモリから読み出して前記出力端子から出力することにより、モジュールの種類に対応した前記識別情報を前記信号端子から出力することを特徴とする。
【0007】
すなわち、モジュールの種類に対応した信号が入力端子に入力されると、該信号に対応した識別情報が不揮発性半導体メモリから読み出されて出力端子から出力される。これにより、モジュールの機能を識別するための識別情報であってモジュールの種類に対応した識別情報がモジュールの信号端子から出力される。
以上より、モジュールの種類毎に異なる識別情報を不揮発性半導体メモリに書き込む必要が無くなるので、識別情報を不揮発性半導体メモリに記録する作業を軽減させることができる。
【0008】
上記モジュールには、メモリモジュールの他、LANモジュール、ハードディスクドライブモジュール、等も含まれる。
上記不揮発性半導体メモリは、データを書き込み可能なメモリでもよいし、ROMなどデータを書き込み不可能なメモリでもよい。前記不揮発性半導体メモリには、上記識別情報以外の情報が記録されてもよい。
上記集積回路の出力端子は、メモリモジュールの上記信号端子に直接接続されてもよいし、該信号端子との間に設けられる電子部品に接続されてもよい。
上記種類対応信号供給部は、電子部品を含む電気回路で構成されてもよいし、導体パターンのみで構成されてもよい。
【0009】
なお、請求項1〜請求項3に対応したモジュールの制御方法にも発明が存在し、該発明も上述した作用、効果を奏する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、メモリモジュールの機能を識別するための識別情報を不揮発性半導体メモリに記録する作業を軽減させることが可能になる。
請求項2に係る発明では、ジャンパを接続するだけという簡易な回路構成で、識別情報を不揮発性半導体メモリに記録する作業を軽減させることが可能になる。
【0011】
請求項3に係る発明では、集積回路の入力端子に入力される信号が揮発性メモリのメモリ用端子の信号に基づいた信号とされるので、該入力端子に供給する信号をモジュールの種類に対応させる作業が不要になり、識別情報を不揮発性半導体メモリに記録する作業をさらに軽減させることが可能になる。
請求項4、請求項5に係る発明では、モジュールの機能を識別するための識別情報を不揮発性半導体メモリに記録する作業を軽減させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(1)モジュールの構成:
図1は本発明の一実施形態に係るモジュール10とソケット60との接続構造を正面から見て示す分解図、図2はモジュール10の半田面12b側を示す斜視図、図3はソケット60の外観を一部破断して示す斜視図、図4はモジュール装着システム100の回路構成の概略を示すブロック図、図5は不揮発性半導体メモリ31のデータ構造を模式的に示す図、図6は集積回路30で行われる動作を説明するためのフローチャートである。
【0013】
本発明を適用可能なモジュールは、モジュールの機能を識別するための識別情報を信号端子から出力可能であればよい。通常、プリント配線板にエッジコネクタ端子が形成され、プリント配線板に電子部品が実装されてモジュールが形成され、このモジュールがソケットを介してマザーボードに対して電気的に接続される。このようなモジュールには、例えば、SPDに対応した不揮発性半導体メモリを有するメモリモジュールがある。モジュールを装着可能なソケットには、通常、エッジコネクタ端子を差し込んで嵌合させるエッジ形ソケットコネクタ(エッジコネクタ)が用いられる。
モジュール装着システム100は、メモリモジュール(モジュール)10とマザーボード50とを少なくとも備える。むろん、モジュールとマザーボード以外にも、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、キーボード等の入力装置、等がモジュール装着システムに設けられてもよい。マザーボードには、パーソナルコンピュータに設けられたマザーボードの他、特定の機能のみを実現させる専用機械に設けられたマザーボード等も含まれる。
【0014】
本モジュール10は、集積回路30と種類対応信号供給回路(種類対応信号供給部)40とを備え、モジュールの機能を識別するための機能識別情報DA3を信号端子24から出力可能である。図示のモジュール10は、メモリモジュールであるため、集積回路30とともにDRAM16等の電子部品がプリント配線板12に実装されている。
【0015】
集積回路30は、不揮発性半導体メモリ31、CPU(中央処理装置;Central Processing Unit)32、入力端子35、出力端子36、を少なくとも備え、SCL信号(シリアルクロック信号)を入力して動作するワンチップマイクロコンピュータ(One-chip microcomputer)とされている。マイコン30のピン数は、8ピン、18ピン、28ピン、等、特に限定されない。マイコン30には、米国マイクロチップテクノロジー社のPIC16シリーズ等、種々のワンチップマイコンを用いることができる。
本マイコン30は、図4に示すように、不揮発性メモリ31、CPU32、RAM(Random Access Memory)33、I/Oインターフェイス(入出力インターフェイス)34、等がシステムバス30aに接続され、これらがバス30aを介してデータを入出力するようにされている。不揮発性メモリ31には、メモリモジュールの複数種類に対応した機能識別情報を記録されるととともに、図6に示す処理を行うための制御プログラムDA2が記録されている。本実施形態の不揮発性メモリ31には、メモリモジュールの種類毎に機能識別情報が書き込まれている。CPU32は、不揮発性メモリ31に書き込まれたプログラムに従って、適宜RAM33をワークエリアとして使用しながらプログラムDA2を実行する処理を行い、マイコン30全体の動作を制御する。
【0016】
不揮発性半導体メモリ31には、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash memory)、等のデータを書き込み可能な半導体メモリ、ROM等のデータを書き込み不可能な半導体メモリ、を用いることができる。メモリ31がデータを書き込み可能であると、メモリ31の機能識別情報DA1を後から書き換えることができるので好適である。
入力端子35は、入力インターフェイスとして使用されるI/Oインターフェイス34に接続され、メモリモジュールの複数種類のいずれかの種類に対応した信号を種類対応信号供給回路40から入力する。出力端子36は、例えば、シリアル通信用のSDA端子(シリアルデータ端子)とされ、メモリモジュールのSDA端子(信号端子)24から出力するための機能識別情報DA3を出力する。
種類対応信号供給回路40は、メモリモジュールの複数種類のいずれかの種類に対応した信号を入力端子35に供給する。
【0017】
マイコン30は、入力端子35に入力される信号に対応した機能識別情報DA3を不揮発性メモリ31から読み出し、該機能識別情報DA3を出力端子36から出力する。すると、メモリモジュール10は、自らの種類に対応した機能識別情報DA3をSDA端子24から出力する。
以上より、メモリモジュールの種類毎に異なる機能識別情報を不揮発性半導体メモリに書き込む必要が無くなるので、機能識別情報を不揮発性半導体メモリに記録する作業が軽減される。
【0018】
メモリモジュール10は、図1に示すように、プリント配線板12にDRAM(揮発性メモリ)16やマイコン30等の各種電子部品が実装されたプリント回路板(プリント回路実装品)とされている。DRAM16には、例えば、SDRAMが用いられる。モジュール10は、DRAM16やマイコン30等を含むプリント回路15が基板部14に形成され、ソケット60に差し込まれる縁部にエッジコネクタ端子20が形成されている。モジュールの導体部分の設計外の電気的接触を防ぐため、端面12c,12d,12e,12fに導体が露出しないようにプリント配線板12が形成されている。本実施形態のモジュール10は、DIMMであり、エッジコネクタ端子20の実装面12a及び半田面12bに端子22が複数形成されている。端子22には、グランド用端子、電源用端子、信号用端子、が含まれるとともに、マザーボード50からSCL信号を入力するためのSCL端子26や、マザーボード50へ機能識別情報DA3を出力するためのSDA端子24が含まれている。SDA端子24はマイコンの出力端子36に直接接続され、SCL端子26はマイコンのSCL端子37に直接接続されている。むろん、バッファゲートの入力側にマイコンの出力端子36が接続されて該バッファゲートの出力側にSDA端子24が接続されてもよいし、バッファゲートの入力側にSCL端子26が接続されて該バッファゲートの出力側にマイコンのSCL端子37が接続されてもよい。
【0019】
エッジコネクタ端子20は、端面12cからソケット60のスロット63に差し込み可能であり、該ソケットに差し込まれて各端子22がソケットの各コンタクト72に接触し、マザーボード50と電気的に接続される。
プリント配線板12の相対向する側端面12d,12eには、それぞれソケット60に係止するための凹部13,13が形成されている。
【0020】
本実施形態の種類対応信号供給回路40は、ジャンパ接続部42を有するとともに、必要に応じてジャンパ44を有する。ジャンパは、プリント配線板上に後から個別に形成する導体パターンであって、ワイヤや導電ペースト等によって二点間を接続する導体パターンである。従って、ジャンパ44は、メモリモジュールの種類に対応させながら入力端子35に供給する信号の状態を変えるための電子部品とされている。
【0021】
本実施形態のジャンパ接続部42は、図4に示すように、ジャンパ44の両端をそれぞれ取り付けるための一対のランド(land)42a,42bが複数組設けられ、各組のランド42a,42bにジャンパ44が電気的に接続されるか否かにより各入力端子35に入力される信号の状態が変わるようにされている。ここで、各入力端子35に入力される信号の状態(HighレベルであるかLowレベルであるか)の組み合わせがメモリモジュールの種類に対応しているため、各組のランド42a,42bに対するジャンパ44の接続の有無の組み合わせがメモリモジュールの種類に対応することになる。
むろん、一対のランド42a,42bが一組しかなくても、ランド42a,42bにジャンパ44が接続されるか否かにより二種類のメモリモジュールに対応させることができる。
【0022】
本実施形態の各出力側ランド42aは、入力端子35に接続されるとともに、第一の抵抗R1の一端に接続されている。この抵抗R1の他端は、グランドに接続されている。一方、各入力側ランド42bは、第二の抵抗R2の一端に接続されている。この抵抗R2の他端は、電源ラインに接続されている。第一の抵抗R1は高抵抗とされ、第二の抵抗R2の抵抗値は第一の抵抗R1の抵抗値よりもかなり小さくされている。なお、第二の抵抗R2を用いずに入力側ランド42bを直接電源ラインに接続してもよい。
以上により、ランド42a,42bにジャンパ44が取り付けられていない場合には入力端子35にL(Low)レベルの信号が入力され、ランド42a,42bにジャンパ44が取り付けられている場合には入力端子35にH(High)レベルの信号が入力される。むろん、第一の抵抗R1の他端を電源ラインに接続し、第二の抵抗R2の他端を接地すれば、入力端子35に入力される信号は、ジャンパ非接続時にHとなり、ジャンパ接続時にLとなる。
【0023】
メモリモジュールの種類に対応した信号を入力するマイコン30は、入力信号に対応した機能識別情報DA3を不揮発性半導体メモリ31から読み出す処理を行う。図5は、不揮発性メモリ31に記録された機能識別情報DA1のデータ構造を模式的に示している。図に示すように、不揮発性メモリ31には、メモリモジュールの種類毎に機能識別情報が書き込まれている。機能識別情報DA1には、例えば、モジュールの品番DA11、モジュールのタイプDA12、メモリチップの種別DA13、メモリチップの動作クロック周波数DA14、メモリ容量DA15、バンク構成、サイクルタイム、ECCメモリやパリティビットの有無、リフレッシュの間隔、等、主にSPDに従った情報が含まれる。むろん、機能識別情報以外の情報も不揮発性メモリ31に対してメモリモジュールの種類毎に記録されていてもよい。
【0024】
各入力端子35に入力される信号は各I/Oインターフェイス34に入力されるため、CPU32は各I/Oインターフェイス34に対応した入力ポートの情報を読むことにより各入力端子35の入力信号の状態を知ることができる。各入力端子35に入力される信号がそれぞれH,Lであるときの入力ポートの値が1,0であるとすると、メモリモジュールの各種類を2進数で例えば”0000”〜”1111”に対応させることができる。入力ポートの数をn(nは1以上の整数)とすると、2のn乗の種類のメモリモジュールを機能識別情報に対応させることができる。
【0025】
メモリモジュール10を装着するためのソケット60は、図1や図3に示すように、エッジコネクタ端子20を差し込むためのスロット63を有する基部62と、該基部の長手方向D1の両端部から突出してモジュール10の相対向する端面12d,12eを挟む第一及び第二の側部64,66とを有している。側部64,66には、相対向する側部66,64に向かって突出した係止部64a,66aがそれぞれ設けられている。係止部64a,66aは、モジュール10を固定するため側部64,66に設けられたラッチ部分であり、側部66,54内に設けられたばねにより相対向する側部66,64に向かって付勢されている。従って、ソケット60にモジュール10が取り付けられる時には係止部64a,66aが互いに離反する方向へ退避した後に凹部13,13に挿入してモジュール10を係止し、ソケット60からモジュール10が取り外される時には係止部64a,66aが互いに離反する方向へ退避してモジュール10を解放する。
【0026】
基部62には、エッジコネクタ端子20と電気的に接続されるコンタクト群70がスロット63の内側面に設けられている。コンタクト群70を構成する各コンタクト72は、エッジコネクタ端子の各端子22に対応して設けられ、各端子22に接触して該端子と電気的に接続される。コンタクト72には、グランド用コンタクト、電源用コンタクト、信号用コンタクト、SCL信号出力用コンタクト、SDA信号(シリアルデータ信号)入力用コンタクト、が含まれている。
【0027】
マイコン30から出力される機能識別情報DA3は、図4に示すように、SDA端子24を経由して制御部80へ伝達される。制御部80には、例えば、CPU81、ROM82、メモリコントローラ83、DRAM84、が設けられる。DRAM84は、例えばSDRAMが用いられ、マザーボード50に最初から実装されるRAMとされる。メモリコントローラ83は、CPU81とDRAM84,16とを中継し、DRAM84,16に対するアクセスのインターフェイスを統括するLSIとされている。メモリコントローラ83は、メモリモジュール10から機能識別情報DA3を入手し、CPU81の制御に従ってDRAM84,16に対してデータの読み書きやリフレッシュ等を行う。CPU81は、ROM82に書き込まれた制御プログラムに従って、適宜DRAM84,16をワークエリアとして使用しながらマザーボード50全体の動作を制御する。これにより、制御部80は、機能識別情報DA3に基づいてモジュール10の動作を制御する。
【0028】
メモリモジュール10を製造するとき、例えば、プリント配線板12を形成し、DRAM16やマイコン30等の電子部品を実装して半田付けする。ここで、マイコン30は、不揮発性メモリ31に機能識別情報DA1が記録された後にプリント配線板12へ実装されてもよいし、プリント配線板12へ実装された後に機能識別情報DA1が不揮発性メモリ31に書き込まれてもよい。そして、メモリモジュールの種類に応じて適宜ジャンパ44をジャンパ接続部42に接続すれば、メモリモジュール10が形成される。その後、モジュール10をマザーボード50上のソケット60へ装着すると、モジュール装着システム100が構成される。
【0029】
(2)モジュールの動作並びに作用及び効果:
次に、メモリモジュール10の動作の一例を説明する。
図6は、マイコン30で行われる機能識別情報出力処理をフローチャートにより示している。マザーボード50の電源がオンになると、モジュール10に電力が供給され、処理が開始される。このとき、マイコンの入力端子35には、各ランド42a,42bに対するジャンパ44の接続の有無に対応した信号が入力される。まず、マイコン30は、各入力端子35に対応する入力ポートの情報を読み込む(ステップS102)。次に、マイコン30は、読み込んだ情報、すなわち、入力信号の状態に対応した機能識別情報を不揮発性メモリ31から順次読み出す(ステップS104)。さらに、マイコン30は、出力端子36に対応した出力ポートに前記機能識別情報を順次書き込む(ステップS106)。これにより、不揮発性メモリ31から読み出された機能識別情報に対応する信号が出力端子36から出力され、該信号がSDA端子24を介してメモリコントローラ83へ伝えられる。
【0030】
そして、マイコン30は、メモリモジュールの種類に対応した機能識別情報DA3を全て出力したか否かを判断し(ステップS108)、条件不成立時にはステップS104〜S108の処理を繰り返し、条件成立時には処理を終了する。
例えば、図5に示す”AAA−112”のメモリモジュールを製造する場合、入力ポートの情報が”0001”となるように、情報”1”に対応するランド42a,42bにのみジャンパ44を取り付けてメモリモジュールを完成させる。このメモリモジュールをマザーボード上のソケット60に装着し、マザーボード50の電源をオンにすると、入力ポートの情報”0001”が読み込まれ、”0001”に対応した機能識別情報DA3が不揮発性メモリ31から読み出され、該機能識別情報DA3が出力端子36から出力される。これにより、”AAA−112”のメモリモジュールに対応する機能識別情報DA3がSDA端子24からマザーボード50へ送信され、メモリコントローラ83へ伝達される。
【0031】
以上説明したように、入力端子35への入力信号がモジュール10の種類に対応した信号とされ、該入力信号に対応した機能識別情報DA3が不揮発性半導体メモリ31から読み出されてSDA端子24から出力されるので、モジュールの種類毎に異なる機能識別情報を不揮発性メモリ31に書き込む必要がなくなる。また、モジュールの種類に対応させて適宜ジャンパを接続するだけという簡易な回路構成で、モジュールの種類に対応した機能識別情報がモジュールからマザーボードへ伝達される。従って、本モジュール10によると、機能識別情報を不揮発性半導体メモリに記録する作業を軽減させることが可能になる。また、異なるモジュール同士で機能識別情報を記録した電子部品を共通化させることができるので、モジュールの管理費用を削減することができる。
【0032】
(3)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、集積回路にRAMが設けられていなくても、該集積回路で上述した処理を行うことが可能である。また、集積回路自体が不揮発性半導体メモリにデータを書き込む機能を有する場合、該不揮発性半導体メモリがワークエリアとして使用されてもよい。
【0033】
さらに、集積回路30自体がSDA端子やSCL端子を有していなくても、図7に示すように、I/Oインターフェイスを用いて外部とSDA信号やSCL信号を送受することができる。マイコン30がSDA信号を出力する場合、バス30aに接続された出力インターフェイス38に繋がる端子を出力端子36として使用すればよい。この場合、マイコン30は、出力インターフェイス38に対応する出力ポートに機能識別情報を書き込むことにより、出力端子36から機能識別情報を出力してメモリコントローラ83へ伝達することができる。また、マイコン30がSCL信号を入力する場合、バス30aに接続された入力インターフェイス39に繋がる端子を入力端子37として使用すればよい。この場合、マイコン30は、入力インターフェイス39に対応する入力ポートの情報を読むことにより、入力端子37からSCL信号を入力して該SCL信号に動作タイミングを合わせることができる。
【0034】
さらに、入力端子35から入力される信号に基づいて機能識別情報DA3を生成してもよい。例えば、モジュールの各機能を各入力端子35に割り当て、図8に示すような情報テーブルDA4を参照して入力信号の状態に対応した情報を集めることにより、機能識別情報DA3を生成することができる。ここで、情報テーブルDA4は、各入力ポートの情報とモジュールの各機能とを対応付けた情報テーブルとされ、不揮発性半導体メモリ31に記録されている。モジュールの各機能とは、モジュールのタイプ、メモリチップの種別、メモリチップの動作クロック周波数、メモリ容量、等をいう。例えば、ピン1の入力ポートの情報をモジュールのタイプに割り当てることにして、ピン1の情報”0”を”DIMM”に割り当て、ピン1の情報”1”を”SIMM”に割り当てる。このように対応付けた情報テーブルDA4から各入力ポートの情報に対応する個別情報を読み出して繋げると、モジュールの複数種類のいずれかの種類に対応した機能識別情報DA3が生成される。この機能識別情報DA3をマイコン30が出力端子36から出力すると、機能識別情報DA3がSDA端子24を経由してマザーボード50へ送信される。
本変形例では、不揮発性半導体メモリに記録する機能識別情報のデータ量が少なくなることが期待される。
【0035】
さらに、種類対応信号供給部は、メモリモジュールに実装されるDRAM(揮発性メモリ)のメモリ用端子から信号を集積回路の入力端子に供給する回路又は導体パターンでもよい。
例えば、図9に示すメモリモジュール210のように、種類対応信号供給部240は、DRAM16のメモリ用端子211〜213に接続され、前記メモリ用端子211〜213の信号に基づいた信号であってメモリモジュールの種類に対応した信号をマイコン30の入力端子234〜236に供給してもよい。本変形例の種類対応信号供給部240は、バッファゲート241〜243を有し、該バッファゲート241〜243の入力側がメモリ用端子211〜213に接続され、該バッファゲート241〜243の出力側が入力端子234〜236に接続されている。各入力端子234〜236は、マイコン内の入力インターフェイス231〜233に接続されている。
【0036】
むろん、DRAMの動作に支障が無ければ、バッファゲート241〜243を設けずに、各メモリ用端子211〜213を各入力端子234〜236に接続してもよい。この場合、種類対応信号供給部は、導体パターンのみで構成されることになる。
【0037】
ここで、メモリ用端子211〜213は、図10に示すように、DRAMの種類に応じて異なる電圧レベルとなる端子を選択すればよい。同図は、DRAMの各端子の信号の状態とDRAM及びメモリモジュールの種類との対応関係を模式的に示している。例えば、端子211〜213が全てLとなるDRAMの種類は”XXX0”であり、該”XXX0”のDRAMに対応するメモリモジュールの種類は”BBB−111”である。むろん、端子211〜213の信号の状態が異なれば、DRAM及びメモリモジュールの種類が異なることになる。そこで、各端子211〜213の信号の状態(HであるかLであるか)の組み合わせ毎に機能識別情報DA3を不揮発性半導体メモリ31に記録しておき、入力端子234〜236に入力される信号に対応した機能識別情報DA3をマイコン30が不揮発性半導体メモリ31から読み出して出力端子36から出力することにより、メモリモジュールの種類に対応した機能識別情報DA3がSDA端子24からマザーボード50へ出力される。
【0038】
マイコン30は、図6で示した処理を行えばよい。すなわち、マザーボード50から電力が供給されると、マイコン30は、各入力端子234〜236に対応する入力ポートの情報を読み込み、該情報に対応した機能識別情報を不揮発性メモリ31から順次読み出し、出力端子36に対応した出力ポートに前記機能識別情報を順次書き込む。これにより、不揮発性メモリ31から読み出された機能識別情報に対応する信号が出力端子36から出力され、該信号がSDA端子24を介してメモリコントローラ83へ伝えられる。
本変形例では、マイコンの入力端子に入力される信号がDRAMのメモリ用端子の信号に基づいた信号とされるので、該入力端子に供給する信号をモジュールの種類に対応させる作業が不要になる。従って、機能識別情報を不揮発性半導体メモリに記録する作業をさらに軽減させることが可能になる。
【0039】
また、異なるDRAMに同じ周波数特性の信号を入力しても、DRAMの種類に応じて異なる周波数特性の信号が出力される。同じ動作速度、メモリ容量のDRAMでも、メーカーが異なれば異なる周波数特性の信号が出力される。そこで、DRAMから出力される信号の周波数特性を集積回路で解析してDRAMの種類を判別すれば、モジュールの種類を判別することができ、判別結果に基づいてモジュールの種類に対応する機能識別情報を集積回路から出力してマザーボードへ伝達することができる。
【0040】
なお、上述した効果は、モジュールの制御方法の発明についても得られる。
また、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】モジュールとソケットとの接続構造の例を正面から見て示す分解図。
【図2】図1に示すモジュールの半田面側を示す斜視図。
【図3】図1に示すソケットの外観を一部破断して示す斜視図。
【図4】図1に示すモジュール装着システムの回路構成の概略を示すブロック図。
【図5】不揮発性半導体メモリのデータ構造の例を模式的に示す図。
【図6】集積回路で行われる動作の例を説明するためのフローチャート。
【図7】変形例に係るモジュール装着システムの回路構成の概略を示すブロック図。
【図8】機能識別情報を生成する一例を模式的に示す図。
【図9】変形例に係るモジュールの回路構成の概略を示すブロック図。
【図10】変形例においてDRAMの各端子の信号の状態とDRAM及びメモリモジュールの種類との対応関係を示す図。
【符号の説明】
【0042】
10,210…メモリモジュール(モジュール)、
12…プリント配線板、16…DRAM(揮発性メモリ)、
20…エッジコネクタ端子、22…端子、
24…シリアルデータ端子(信号端子)、26…シリアルクロック端子、
30…ワンチップマイクロコンピュータ(集積回路)、
31…不揮発性半導体メモリ、32…CPU(中央処理装置)、
33…RAM、34,231〜233…入力インターフェイス、
35,234〜236…入力端子、36…出力端子、
40,240…種類対応信号供給回路(種類対応信号供給部)、
42…ジャンパ接続部、44…ジャンパ、
50…マザーボード、
60…ソケット、62…基部、64,66…側部、70…コンタクト群、
100,200…モジュール装着システム、
211〜213…メモリ用端子、
DA1…機能識別情報、DA3…種類に対応した機能識別情報、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリモジュールの機能を識別するための識別情報を信号端子から出力可能なメモリモジュールであって、
メモリモジュールの複数種類に対応した前記識別情報を記録した不揮発性半導体メモリと、中央処理装置と、前記複数種類のいずれかの種類に対応した信号を入力する入力端子と、前記信号端子から出力するための前記識別情報を出力する出力端子と、を少なくとも有する集積回路と、
前記複数種類のいずれかの種類に対応した信号を前記入力端子に供給する種類対応信号供給部とを備え、
前記入力端子に入力される信号に対応した前記識別情報を前記集積回路が前記不揮発性半導体メモリから読み出して前記出力端子から出力することにより、メモリモジュールの種類に対応した前記識別情報を前記信号端子から出力することを特徴とするメモリモジュール。
【請求項2】
前記種類対応信号供給部は、メモリモジュールの種類に対応させながら前記入力端子に供給する信号の状態を変えるためのジャンパを接続するジャンパ接続部を有し、
前記ジャンパ接続部に前記ジャンパが接続されるか否かにより前記入力端子に入力される信号の状態が変わるようにされた、請求項1に記載のメモリモジュール。
【請求項3】
本メモリモジュールにメモリ用端子を複数有する揮発性メモリが実装され、
前記種類対応信号供給部は、前記メモリ用端子に接続され、前記メモリ用端子の信号に基づいた信号であってメモリモジュールの種類に対応した信号を前記入力端子に供給することを特徴とする請求項1に記載のメモリモジュール。
【請求項4】
モジュールの機能を識別するための識別情報を信号端子から出力可能なモジュールであって、
モジュールの複数種類に対応した前記識別情報を記録した不揮発性半導体メモリと、中央処理装置と、前記複数種類のいずれかの種類に対応した信号を入力する入力端子と、前記信号端子から出力するための前記識別情報を出力する出力端子と、を少なくとも有する集積回路と、
前記複数種類のいずれかの種類に対応した信号を前記入力端子に供給する種類対応信号供給部とを備え、
前記入力端子に入力される信号に対応した前記識別情報を前記集積回路が前記不揮発性半導体メモリから読み出して前記出力端子から出力することにより、モジュールの種類に対応した前記識別情報を前記信号端子から出力することを特徴とするモジュール。
【請求項5】
モジュールの機能を識別するための識別情報を信号端子から出力可能なモジュールの制御方法であって、
モジュールの複数種類に対応した前記識別情報を記録した不揮発性半導体メモリと、中央処理装置と、前記複数種類のいずれかの種類に対応した信号を入力する入力端子と、前記信号端子から出力するための前記識別情報を出力する出力端子と、を少なくとも有する集積回路と、
前記複数種類のいずれかの種類に対応した信号を前記入力端子に供給する種類対応信号供給部と、を前記モジュールに設け、
前記入力端子に入力される信号に対応した前記識別情報を前記不揮発性半導体メモリから読み出して前記出力端子から出力する処理を前記集積回路で行い、モジュールの種類に対応した前記識別情報を前記信号端子から出力することを特徴とするモジュールの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−276305(P2008−276305A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115859(P2007−115859)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】