メモリ装置および電子機器
【課題】センスアンプ回路の回路規模を小さくできるメモリ装置の提供。
【解決手段】この発明は、センスアンプ回路140を、キャパシタアレイ110、112のビット線毎に配置される電位検出部150−0〜150−mと、この電位検出部150−0〜150−mに共通に使用するデータ判別部160とに独立させた。また、この発明では、キャパシタアレイ110の強誘電体キャパシタに保持される任意のデータを読み出すときには、それに対応するキャパシタアレイ112の2つのダミーキャパシタに保持される所定のデータをそれぞれ読み出して参照データとして使用し、一方、キャパシタアレイ112の強誘電体キャパシタに保持される任意のデータを読み出すときには、それに対応するキャパシタアレイ110の2つのダミーキャパシタに保持される所定のデータをそれぞれ読み出して参照データとして使用するようにした。
【解決手段】この発明は、センスアンプ回路140を、キャパシタアレイ110、112のビット線毎に配置される電位検出部150−0〜150−mと、この電位検出部150−0〜150−mに共通に使用するデータ判別部160とに独立させた。また、この発明では、キャパシタアレイ110の強誘電体キャパシタに保持される任意のデータを読み出すときには、それに対応するキャパシタアレイ112の2つのダミーキャパシタに保持される所定のデータをそれぞれ読み出して参照データとして使用し、一方、キャパシタアレイ112の強誘電体キャパシタに保持される任意のデータを読み出すときには、それに対応するキャパシタアレイ110の2つのダミーキャパシタに保持される所定のデータをそれぞれ読み出して参照データとして使用するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメモリ装置及び電子機器に関し、特にセンスアンプ回路の面積が小さくできるメモリ装置及び当該メモリ装置を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のメモリ装置として、例えば、非特許文献1に開示されたものが知られている。
そして、同文献の図2に開示されたメモリ装置では、ビット線毎にp型トランジスタ及びn型トランジスタにより構成されたセンスアンプが設けられている。
【非特許文献1】“IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS, VOL.35, NO.5, MAY 2002, A 3.3-V, 4-Mb Nonvolatile Ferroelectric RAM with Selectively Driven Double-Pulsed Plate Read/Write-Back Scheme”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記非特許文献1に開示された従来のメモリ装置では、ビット線毎にセンスアンプ回路を設ける必要があったため、回路規模が大きくなるという不具合が生じていた。特に、上記非特許文献1に開示された従来のメモリ装置では、センスアンプ回路がp型トランジスタ及びn型トランジスタにより構成されているため、各ビット線の周辺にダブルウエル構造を設ける必要があったため、回路規模が莫大に大きくなっていた。
【0004】
そこで、本発明の目的は、上記の点に鑑み、センスアンプ回路の回路規模を小さくできるメモリ装置、およびそのメモリ装置を用いた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決し本発明の目的を達成するために、各発明は、以下のような構成からなる。
すなわち、第1の発明は、少なくとも1つの第1のビット線と、この第1のビット線に電気的に接続され任意のデータを保持する第1の強誘電体キャパシタと、前記第1のビット線に電気的に接続され所定のデータをそれぞれ保持する第1および第2のダミーキャパシタとを含む第1のキャパシタアレイと、少なくとも1つの第2のビット線と、この第2のビット線に電気的に接続され任意のデータを保持する第2の強誘電体キャパシタと、前記第2のビット線に電気的に接続され所定のデータをそれぞれ保持する第3および第4のダミーキャパシタを含む第2のキャパシタアレイと、前記第1のビット線の電位と前記第2ビット線の電位とをそれぞれ検出し、その各検出に応じて第1の検出信号および第2の検出信号それぞれ生成する少なくとも1つの電位検出部と、前記電位検出部で生成される第1の検出信号および前記第2の検出信号に基づき、前記第1の強誘電体キャパシタまたは前記第2の強誘電体キャパシタに保持されたデータを判別するデータ判別部と、を備えている。
【0006】
第2の発明は、複数の第1のビット線と、この複数の第1のビット線に電気的にそれぞれ接続され任意のデータを保持する第1の強誘電体キャパシタと、前記複数の第1のビット線に電気的にそれぞれ接続され所定のデータをそれぞれ保持する第1および第2のダミーキャパシタとを含む第1のキャパシタアレイと、複数の第2のビット線と、この複数の第2のビット線に電気的にそれぞれ接続され任意のデータを保持する第2の強誘電体キャパシタと、前記複数の第2のビット線に電気的にそれぞれ接続され所定のデータをそれぞれ保持する第3および第4のダミーキャパシタを含む第2のキャパシタアレイと、前記複数の第1のビット線の各電位と、この各電位に対応する前記複数の第2ビット線の各電位とをそれぞれ検出し、その各検出に応じて第1の検出信号および第2の検出信号をそれぞれ生成する複数の電位検出部と、この複数の各電位検出部で生成される第1の検出信号および前記第2の検出信号に基づき、前記第1の強誘電体キャパシタまたは前記第2の強誘電体キャパシタに保持されたデータを判別するデータ判別部と、を備えている。
【0007】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記第1のキャパシタアレイの前記第1の強誘電体キャパシタおよび前記第2のキャパシタアレイの前記第2の強誘電体キャパシタにそれぞれ保持される各データの読み出しを制御する制御部をさらに備え、前記制御部は、前記第1のキャパシタアレイの前記第1の強誘電体キャパシタに保持されるデータを前記第1のビット線に読み出すときには、前記第2のキャパシタアレイの前記第3および第4のダミーキャパシタに保持されるデータを前記第2のビット線にそれぞれ読み出し、他方、前記第2のキャパシタアレイの前記第2の強誘電体キャパシタに保持されるデータを前記第2のビット線に読み出すときには、前記第1のキャパシタアレイの前記第1および第2のダミーキャパシタに保持されるデータを前記第1のビット線にそれぞれ読み出すように制御するようになっている。
【0008】
第4の発明は、第1、第2または第3の発明において、前記データ判別部は、前記電位検出部と接続自在な第1のデータ判別部と、前記電位検出部と接続自在な第2のデータ判別部とを備え、前記両データ判別部は、前記第1のキャパシタアレイの前記第1の強誘電体キャパシタに保持されるデータの読み出し、または前記第2のキャパシタアレイの前記第2の強誘電体キャパシタに保持されるデータの読み出しに応じて、選択的に使用するようになっている。
【0009】
第5の発明は、第2、第3または第4の発明において、前記複数の電位検出部は、そのうちの1つを選択的に使用するようになっている。
第6の発明は、第1乃至第5のうちのいずれかの発明において、前記電位検出部は、前記第1のビット線の電位を、この電位の大きさに応じた電流に変換するn型の第1のMOSトランジスタと、前記第2のビット線の電位を、この電位の大きさに応じた電流に変換するn型の第2のMOSトランジスタと、前記第1および第2のMOSトランジスタの動作のオンオフ制御を行うn型の第3のMOSトランジスタとからなる。
【0010】
第7の発明は、第4、第5または第6の発明において、前記第1のデータ判別部は、カレントミラー回路からなる第1の定電流源と、この第1の定電流源と前記電位検出部との接続を行う第1のスイッチとを備え、前記第2のデータ判別部は、カレントミラー回路からなる前記第2の定電流源と、この第2の定電流源と前記電位検出部との接続を行う第2のスイッチとを備えている。
【0011】
第8の発明は、第7の発明において、前記第1の定電流源は、前記電位検出部の第1のMOSトランジスタと接続するp型の第4のMOSトランジスタおよび前記電位検出部の第2のMOSトランジスタと接続するp型の第5のMOSトランジスタでカレントミラー回路を構成し、かつ、前記第5のMOSトランジスタのサイズが前記第4のMOSトランジスタのサイズの2倍になっており、前記第2の定電流源は、前記電位検出部の第1のMOSトランジスタと接続するp型の第6のMOSトランジスタおよび前記電位検出部の第2のMOSトランジスタと接続するp型の第7のMOSトランジスタでカレントミラー回路を構成し、かつ、前記第6のMOSトランジスタのサイズが前記第7のMOSトランジスタのサイズの2倍になっている。
【0012】
第9の発明は、メモリを備えている電子機器であって、前記メモリは、前記第1乃至第8のうちのいずれかのメモリ装置としたものである。
以上のような構成からなる本発明によれば、センスアンプ回路を、キャパシタアレイのビット線毎に配置される1つ以上の電位検出部と、この1つ以上の電位検出部に共通に使用するデータ判別部とにより独立に設けるようにしたので、センスアンプ回路の回路規模を小さくでき、もって、全体として小型化できる。
【0013】
また、本発明では、第1のキャパシタアレイと第2のキャパシタアレイとを左右対称に形成できるので、それらの各キャパシタは左右において均一化を図ることができ、その経年による劣化も左右において同等となる。
しかも、本発明では、第1のキャパシタアレイの第1の強誘電体キャパシタに保持される任意のデータを読み出すときには、第2のキャパシタアレイの第3および第4のダミーキャパシタに保持される所定のデータをそれぞれ読み出して基準データとして使用し、一方、第2のキャパシタアレイの第2の強誘電体キャパシタに保持される任意のデータを読み出すときには、第1のキャパシタアレイの第1および第2のダミーキャパシタに保持される所定のデータをそれぞれ読み出して参照データとして使用するようにした。
【0014】
従って、本発明によれば、第1または第2の強誘電体キャパシタに保持されるデータを読み出して判定する際に、その判定精度が向上する上に、経年によってもその判定精度の安定化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(メモリ装置の実施形態)
本発明のメモリ装置の実施形態は、図1に示すように、第1のキャパシタアレイ110と、第2のキャパシタアレイ112と、第1のビット線制御部120と、第2のビット線制御部122と、第1のワード線制御部130と、第2のワード線制御部132と、センスアンプ回路140とを備えている。
【0016】
第1のキャパシタアレイ110は、図1に示すように、所定のデータを保持する強誘電体キャパシタC00〜Cmnが縦横方向に配置され、その各強誘電体キャパシタC00〜Cmnは、ビット線BL0L〜BLmLおよびワード線WL0L〜WLnLがそれぞれ電気的に接続されている。そして、ビット線BL0L〜BLmLおよびワード線WL0L〜WLnLの電位を変化させることにより、所定の強誘電体キャパシタに対して所定の2値データ(「0」または「1」)を書き込み、または所定の強誘電体キャパシタに書き込まれた所定のデータの読み出しができるようになっている。
【0017】
また、第1のキャパシタアレイ110は、図1に示すように、例えば強誘電体キャパシタC00〜Cmnの左右の両隣に、強誘電体キャパシタからなるダミーキャパシタD00〜Dm0およびダミーキャパシタD01〜Dm1をそれぞれ備えている。ダミーキャパシタD00〜Dm0は、リファレンスデータとして使用されるデータ「0」を記憶しておく。ダミーキャパシタD01〜Dm1は、リファレンスデータとして使用されるデータ「1」を記憶しておく。
【0018】
ダミーキャパシタD00〜Dm0は、ビット線BL0L〜BLmLおよびワード線WLD0Lがそれぞれ電気的に接続され、そのビット線BL0L〜BLmLおよびワード線WLD0Lの電位を変えることにより、データ「0」の読み書きができるようになっている。さらに、ダミーキャパシタD01〜Dm1は、ビット線BL0L〜BLmLおよびワード線WLD1Lがそれぞれ電気的に接続され、ビット線BL0L〜BLmLおよびワード線WLD1Lの電位を変えることにより、データ「1」の読み書きができるようになっている。
【0019】
このようにダミーキャパシタD00〜Dm0に書き込まれたデータ「0」と、ダミーキャパシタD01〜Dm1に書き込まれたデータ「1」とは、後述のように、強誘電体キャパシタC00〜Cmnに書き込まれているデータが「0」または「1」であるかを判別する際に使用される。
第2のキャパシタアレイ112は、図1に示すように、所定のデータを保持する強誘電体キャパシタC00〜Cmnが配置され、その各強誘電体キャパシタC00〜Cmnは、ビット線BL0R〜BLmRおよびワード線WL0R〜WLnRがそれぞれ電気的に接続されている。ビット線BL0R〜BLmRおよびワード線WL0R〜WLnRの電位を変化させることにより、所定の強誘電体キャパシタに対して所定の2値データの読み書きができるようになっている。
【0020】
また、第2のキャパシタアレイ112は、図1に示すように、例えば強誘電体キャパシタC00〜Cmnの左右の両隣に、第1のキャパシタアレイ110と同様に、強誘電体キャパシタからなるダミーキャパシタD00〜Dm0およびダミーキャパシタD01〜Dm1を備えている。ダミーキャパシタD00〜Dm0は、ビット線BL0R〜BLmRおよびワード線WLD0Rがそれぞれ電気的に接続されている。また、ダミーキャパシタD01〜Dm1は、ビット線BL0R〜BLmRおよびワード線WLD1Rがそれぞれ電気的に接続されている。
【0021】
ここで、キャパシタアレイ110、112を形成する、強誘電体キャパシタC00〜CmnおよびダミーキャパシタD00〜Dm0、D01〜Dm1は、一方の電極がビット線により構成され、他方の電極がワード線に構成される、いわゆるクロスポイント型の構造を採用している。
また、第1のキャパシタアレイ110は、センスアンプ回路140を挟んで第2のキャパシタアレイ112と対向するように配置されており、第1のキャパシタアレイ110に設けられた強誘電体キャパシタに電気的に接続されるビット線BL0L〜BLmLと、第2のキャパシタアレイ112に設けられた強誘電体キャパシタに電気的に接続されるビット線BL0R〜BLmRとは、いわゆるオープンビット線構造を有するように配置されている。
【0022】
以上の説明からわかるように、第1のキャパシタアレイ110は、複数のビット線BL0L〜BLmLを有し、例えばビット線BL0Lには複数の強誘電体キャパシタC00〜C0n、および2つのダミーキャパシタD00、D01がそれぞれ接続されている。また、同様に、第1のキャパシタアレイ112は、複数のビット線BL0R〜BLmRを有し、例えばビット線BL0Rには複数の強誘電体キャパシタC00〜C0n、および2つのダミーキャパシタD00、D01がそれぞれ接続されている。
【0023】
ビット線制御部120は、各ビット線BL0L〜BLmLの電位を制御するようになっている。すなわち、ビット線制御部120は、各ビット線BL0L〜BLmLが、1/4VDD、1/2VDD、3/4VDD若しくはVDD、または浮遊状態(ハイインピーダンス)になるように制御する。
ここで、1/4VDD、1/2VDD、および3/4VDDは、(1/4)×VDD、(1/2)×VDD、および(3/4)×VDDをそれぞれ意味し、本明細書では以下同様である。
【0024】
ビット線制御部122は、各ビット線BL0R〜BLmRの電位を制御するようになっている。すなわち、ビット線制御部122は、各ビット線BL0R〜BLmRが、1/4VDD、1/2VDD、3/4VDD若しくはVDD、または浮遊状態になるように制御する。
ワード線制御部130は、ワード線WL0L〜WLnLおよびワード線WLD0L〜WLD0L、WLD1Lの各電位を制御するようになっている。すなわち、ワード線制御部130は、その各ワード線が、1/4VDD、1/2VDD、3/4VDDまたはVDDになるように制御する。
【0025】
ワード線制御部132は、ワード線WL0R〜WLnRおよびワード線WLD0R〜WLD0R、WLD1Rの各電位を制御するようになっている。すなわち、ワード線制御部130は、その各ワード線が、1/4VDD、1/2VDD、3/4VDDまたはVDDになるように制御する。
センスアンプ回路140は、図1に示すように、ビット線BL0L〜BLmLのうちの1つの電位と、それに対応するビット線BL0R〜BLmRのうちの1つの電位とをそれぞれ検出するセンス部150と、このセンス部150が検出した両電位に基づいて、ビット線BL0L〜BLmLまたはビット線BL0R〜BLmRに接続された強誘電体キャパシタC00〜C0nのうちの1つに保持されたデータが「1」または「0」かを判別するデータ判別部160とからなる。
【0026】
センス部150とデータ判別部160は、接続線170および接続線180により電気的に接続され、この接続線170、180が、それぞれデータを読み出すためのデータ線または参照データを読み出すための参照線として機能する。
すなわち、第1のキャパシタアレイ110の強誘電体キャパシタC00〜Cmnに書き込まれたデータを読み出し、その際に、第2のキャパシタアレイ112に設けられたダミーキャパシタD00〜Dm0、D01〜Dm1に書き込まれた参照データを読み出す場合には、接続線170はデータ線、接続線180は参照線としてそれぞれ機能する。一方、第2のキャパシタアレイ112の強誘電体キャパシタC00〜Cmnに書き込まれたデータを読み出し、その際に、第1のキャパシタアレイ110に設けられたダミーキャパシタD00〜Dm0、D01〜Dm1に書き込まれた参照データを読み出す場合には、接続線180はデータ線、接続線170は参照線としてそれぞれ機能する。
【0027】
センス部150は、図1に示すように、複数の電位検出部150−0〜150−mからなり、これらのうちの1つを選択的に使用するようになっている。すなわち、各電位検出部150−0〜150−mは、同じ特性からなる一対のn型のMOSトランジスタ(DT0,DT0)、(DT1,DT1)・・・(DTm,DTm)と、これらに対応するn型のMOSトランジスタST30、ST31・・・ST3mとからなる。
【0028】
電位検出部150−0〜150−mの各構成は基本的に同一であるので、電位検出部150−0の構成について以下に説明する。
電位検出部150−0を構成する一方のMOSトランジスタDT0は、ビット線BL0Lの電位を検出し、この検出電位に応じた検出電流に変換するようになっている。また、他方のMOSトランジスタDT0は、ビット線BL0Lに対応するビット線BL0Rの電位を検出し、この検出電位に応じた検出電流に変換するようになっている。さらに、MOSトランジスタST30は、オンオフ制御されスイッチ素子であり、オンのときに、その一対のMOSトランジスタDT0、DT0を動作させるようになっている。
【0029】
さらに詳述すると、一方のMOSトランジスタDT0のゲートはビットラインBL0Lに接続され、そのドレインは接続線170に接続されている。また、他方のMOSトランジスタDT0のゲートはビットラインBL0Rに接続され、そのドレインは接続線180に接続されている。さらに、一対のMOSトランジスタDT0、DT0の各ソースは共通接続され、その各共通接続部がMOSトランジスタST30を介してグランドに接続されている。MOSトランジスタST30のゲートには、オンオフ信号が印加され、これによりMOSトランジスタのオンオフ制御されるようになっている。
【0030】
データ判別部160は、図1に示すように、第1の定電流源162および第2の定電流源164と、第1の定電流源162または第2の定電流源164の使用を選択的に行うためのMOSトランジスタST11〜13およびMOSトランジスタST21〜ST23とからなる。
第1の定電流源162は、p型のMOSトランジスタCT1、CT2から構成されるカレントミラー回路からなり、MOSトランジスタST11〜ST13がオンのときに、接続線170、180を介してセンス部150に定電流を供給するようになっている。
【0031】
ここで、MOSトランジスタCT1、CT2のサイズの関係は、後述のようにMOSトランジスタCT2のサイズがMOSトランジスタCT1のサイズの2倍になっている。
この第1の定電流源162は、第1のキャパシタアレイ110の強誘電体キャパシタC00〜Cmnに書き込まれたデータを読み出し、その際に、第2のキャパシタアレイ112に設けられたダミーキャパシタD00〜Dm0およびダミーキャパシタD01〜Dm1に書き込まれた参照データを読み出す場合に使用される。
【0032】
さらに具体的に説明すると、MOSトランジスタCT1は、ゲートが自己のドレインに接続されるとともにMOSトランジスタCT2のゲートに接続され、ソースがMOSトランジスタST13介して正の電源VDDに接続され、ドレインがMOSトランジスタST11を介して接続線170に接続されている。また、MOSトランジスタCT2は、ゲートがMOSトランジスタCT1のゲートに接続され、ソースがMOSトランジスタST13介して正の電源VDDに接続され、ドレインがMOSトランジスタST12を介して接続線180に接続されている。さらに、MOSトランジスタST11〜ST13の各ゲートには、オンオフ信号BLK1が供給され、これによりMOSトランジスタST11〜ST13のオンオフ制御が行われるようになっている。
【0033】
第2の定電流源164は、p型のMOSトランジスタCT3、CT4から構成されるカレントミラー回路からなり、MOSトランジスタST21〜ST23がオンのときに、接続線170、180を介してセンス部150に定電流を供給するようになっている。
ここで、MOSトランジスタCT3、CT4のサイズの関係は、後述のようにMOSトランジスタCT4のサイズがMOSトランジスタCT3のサイズの2倍になっている。
【0034】
この第2の定電流源164は、第2のキャパシタアレイ112の強誘電体キャパシタC00〜Cmnに書き込まれたデータを読み出し、その際に、第1のキャパシタアレイ110に設けられたダミーキャパシタD00〜Dm0、D01〜Dm1に書き込まれた参照データを読み出す場合に使用される。
さらに具体的に説明すると、MOSトランジスタCT3は、ゲートが自己のドレインに接続されるとともにMOSトランジスタCT4のゲートに接続され、ソースがMOSトランジスタST23介して正の電源VDDに接続され、ドレインがMOSトランジスタST21を介して接続線180に接続されている。また、MOSトランジスタCT4は、ゲートがMOSトランジスタCT3のゲートに接続され、ソースがMOSトランジスタST23介して正の電源VDDに接続され、ドレインがMOSトランジスタST22を介して接続線170に接続されている。さらに、MOSトランジスタST21〜ST23の各ゲートには、オンオフ信号BLK1が供給され、これによりMOSトランジスタST21〜ST23のオンオフ制御が行われるようになっている。
【0035】
次に、このような構成からなる実施形態の動作の一例について、図面を参照して説明する。
この例では、図1に示す第1のキャパシタアレイ110の強誘電体キャパシタC00に格納されたデータの読み出しを行う場合の動作について説明する。
この場合には、MOSトランジスタST11〜ST13の各ゲートに印加するオンオフ信号BLK1を「L」レベルにし、MOSトランジスタST11〜ST13をオンの状態にする。また、MOSトランジスタST21〜ST23の各ゲートに印加するオンオフ信号BLK2を「H」レベルにし、MOSトランジスタST21〜ST23をオフの状態にする。
【0036】
さらに、誘電体キャパシタC00のデータを読み出すために、電位検出部150−0を構成する一対のMOSトランジスタDT0、DT0のみを動作状態にする。このため、MOSトランジスタST30のゲートに印加するオンオフ信号を「H」レベルとし、MOSトランジスタST30をオンにする。また、MOSトランジスタST30以外のMOSトランジスタST31・・・ST3mは、オフにする。
【0037】
このときの等価回路は、図2(a)に示すようになる。図2(a)では、説明をわかり易くするために、データを読み出すために選択された強誘電体キャパシタC00と、それに対応して参照データが読み出されるダミーキャパシタD00、D01のみを図示している。
ビット線BL0L、BL0Rは、いずれも1/4VDDの電位を保った浮遊状態になっている。また、ワード線WL0L、WLD0R、WLD1Rは、1/2VDDの電圧がそれぞれ印加されている。
【0038】
図2(b)に示すように、ワード線WL0L、WLD0R、WLD1Rに、1/2VDD、VDD、および1/2VDDの各電圧を順に印加すると、ビット線BL0Lの電位はその格納されたデータに応じた電圧になり、ビットラインBL0Rの電位はΔV3になる。
すなわち、ビット線BL0Lの電位は、図2(b)に示すように、強誘電体キャパシタC00の2値データが「1」のときにはΔV1となり、その2値データが「0」のときにはΔV0となる。
【0039】
ここで、上記の電圧ΔV1、ΔV0、およびΔV3に応じてMOSトランジスタDT0に流れる電流を、それぞれId(ΔV1)、Id(ΔV0)、Ir(ΔV3)とする。
データ判別部162では、Id(ΔV1)またはId(ΔV0)を、Ir(ΔV3)と比較することで、後述のように強誘電体キャパシタC00から読み出した2値データが「1」または「0」であるかを判定する。
【0040】
すなわち、データ判定部162は、ダミーキャパシタD01の格納データ「1」とダミーキャパシタD00の格納データ「0」とを同時に読み出し、一方のMOSトランジスタDT0で電流Irに変換してリファレンスとして使用する。また、このとき、強誘電体キャパシタC00の格納データを読み出し、他方のMOSトランジスタDT0で電流Idに変換する。そして、その両電流Ir,IdNI基づいて、強誘電体キャパシタC00から読み出したデータが「1」または「0」であるかを判定する。
【0041】
次に、上記の電圧ΔV1、ΔV0、およびΔV3について、図3を参照しながら説明する。
図3(a)は、キャパシタC1とキャパシタC0とを直列に接続した回路であり、その一端側がグランドGNDに接続され、その他端側に入力電圧Vinが印加され、その中点から出力電圧Voutを取り出すようになっている。
【0042】
いま、入力電圧Vinとして1/2VDDが保持され、出力電圧Voutとして1/4VDDが保持された状態になっているものとする。この状態から、図3(a)に示すように、入力電圧Vinを1/2VDD、VDD、および1/2VDDの順序で変化させたときの出力電圧Voutは、図3(a)に示すように、いったん電圧変化したあと、1/4VDDに戻ることは明らかである。
【0043】
次に、以上のことを踏まえて、図3(b)に示す回路を考える。
図3(b)の回路は、図3(a)の回路に強誘電体キャパシタC00を、キャパシタC1に並列に接続したものである。この回路において、入力電圧Vinの入力ラインをワード線WL0L、出力電圧Voutの出力ラインをビット線BL0Lにそれぞれ対応させると、図2(a)に示す第1のキャパシタアレイ110の強誘電体キャパシタC00からデータ読み出す場合の回路に等価になる。
【0044】
この結果、キャパシタC1は、ワード線WL0Lとビット線BL0Lとの間に存在する浮遊容量、キャパシタC0は、ビット線BL0LとグランドGNDとの間に存在する浮遊容量(MOSトランジスタDT0による容量、非選択になっている他の強誘電体キャパシタによる容量、パターンによる容量等)である。
図3(b)に示すように、ワード線WL0Lの電圧を、1/2VDD、VDD、1/2VDDの順序で変化させたときには、ビット線BL0L上には、同図に示すようなΔVの電圧変化が得られる。図3(a)により、キャパシタC1による電圧の変化はないので、強誘電体キャパシタC00より出力された電荷による電圧の変化であることがわかる。
【0045】
電圧変化ΔVの大きさ(「H」レベルと「L」レベルの差ではない。)は、出力された電荷と浮遊容量C0によって決まる。よって、データ側とリファレンス側で、同じ浮遊容量にしておく必要がある。
この実施形態では、図1に示すように、左側の第1のキャパシタアレイ110と右側の第2のキャパシタアレイ112とは、レイアウト時に鏡面対象になるようにしている。これは、左側と右側(データ側とリファレンス側)でビットラインの浮遊容量が等しくなるようにするためである。等しくないと、同じデータの出力でも変化量が違ってくるのでリファレンスが正しくなくなる。
【0046】
次に、図2(b)に示す電圧ΔV0、ΔV1、およびΔV3の関係を説明する。
上記の説明により、ダミーキャパシタD01、D00から出力される電荷は、それぞれデータ「1」とデータ「0」に対応する各電荷であり、ビットラインBL0L、BL0Rの各浮遊容量は等しいので、ΔV3=ΔV1+ΔV0となる。
ワード線WL0L、WLD0R、WLD1Rの各電圧を1/2VDD、VDD、および1/2VDDの順序で変化させることにより、強誘電体キャパシタC00から出力された電荷のみの変化を取り出している。また、その変化量(同じデータでの変化量)は、ビット線BL0L、BL0Rの浮遊容量に影響されるので、その浮遊容量の管理が必要となる。そこで、その管理を行えば、図2の各電圧変化量の関係は、ΔV3=ΔV1+ΔV0となる。
【0047】
次に、図2(a)に示すId(データのセンスによる電流)とIr(レファレンスのセンスによる電流)の関係について、図4を参照して説明する。
図4において、(a)は図2(a)のデータを検出する側のみの回路を示し、(b)はMOSトランジスタDT0の入力電圧Vinとその出力電流Ioutの関係を示す。
この回路では、MOSトランジスタDT0がオンして(入力電圧Vinが1/4VDD以上)から、入力電圧Vinと出力電流Ioutとの関係は、図4(a)に示すように、比例関係(リニア)になる。
【0048】
ここで、図2(b)に示す電圧ΔV0、ΔV1、ΔV3の基準となる電圧は、1/4VDDであるので、各電圧変化量による電流の関係は、次式のようになる。
Ir(ΔV3)=Id(ΔV1)+Id(ΔV0)・・・(1)
次に、センスアンプ回路140の動作について、図面を参照して説明する。
データ判別部160において、第1の定電流源162を構成するMOSトランジスタCT1とMOSトランジスタCT2のサイズの関係は、MOSトランジスタCT1のゲート幅をW1、MOSトランジスタCT2のゲート幅をW2とすると、次式のようになっている。
【0049】
W2=2×W1・・・(2)
ここで、両MOSトランジスタCT1,CT2のゲート長を同じにすると、MOSトランジスタCT2は、図5(a)に示すようにMOSトランジスタCT1を並列接続にした回路に等価となる。すなわち、MOSトランジスタCT2のサイズは、MOSトランジスタCT1のサイズの2倍になる。よって、図5(a)に示すように、MOSトランジスタCT1に流れる電流I1をIdとすれば、MOSトランジスタCT2に流れる電流I2は2×Idになる。
【0050】
このように、第1の定電流源162のMOSトランジスタCT1,CT2のトランジスタサイズが上記の関係にあることを踏まえて、次に図5(a)に示す回路の動作を説明する。
まず、図5(a)において、強誘電体キャパシタC00からデータ「1」が読み出された場合について説明する。
【0051】
この場合には、ビット線BL0Lの電位がΔV1変化し(図2(b)参照)、MOSトランジスタCT1に流れる電流I1は、次式のようになる。
I1=Id(ΔV1)・・・(3)
よって、MOSトランジスタCT2に流れる電流I2は、次式のようになる。
I2=2×Id(ΔV1)・・・(4)
また、ビット線BL0Rには、ダミーキャパシタD00,D01の各参照データが読み出されるので、その電位がΔV3変化し(図2(b)参照)、MOSトランジスタCT2に流れる電流I2は次式のようになる。
【0052】
I2=Ir(ΔV3)・・・(5)
また、次式のような関係がある。
Ir(ΔV3)=Id(ΔV1)+Id(ΔV0)・・・(6)
Id(ΔV1)>Id(ΔV0) ・・・(7)
これにより、次式が成立する。
【0053】
Ir(ΔV3)=Id(ΔV1)+Id(ΔV0)<2×Id(V1)・・・(8)
この結果、MOSトランジスタCT2が流そうとする電流2×Id(ΔV1)のほうが、MOSトランジスタDT0が流そうとする電流Ir(ΔV3)よりも大きくなるので、出力電圧Voutは「H」レベルとなる。
次に、強誘電体キャパシタC00から、データ「0」が読み出された場合について説明する。
【0054】
この場合には、ビット線BL0Lの電位がΔV0変化し(図2(b)参照)、MOSトランジスタCT1に流れる電流I1は、次式のようになる。
I1=Id(ΔV0)・・・(9)
よって、MOSトランジスタCT2に流れる電流I2は、次式のようになる。
I2=2×Id(ΔV0)・・・(10)
また、ビット線BL0Rの電位はΔV3変化し、MOSトランジスタCT2に流れる電流I2は次式のようになる。
【0055】
I2=Ir(ΔV3)・・・(11)
さらに、次のような関係がある。
Ir(ΔV3)=Id(ΔV1)+Id(ΔV0)・・・(12)
Id(ΔV1)>Id(ΔV0) ・・・(13)
これにより、次式が成立する。
【0056】
Ir(ΔV3)=Id(ΔV1)+Id(ΔV0)>2×Id(V0)・・(14)
この結果、MOSトランジスタCT2が流そうとする電流2×Id(ΔV0)のほうが、MOSトランジスタDT0が流そうとする電流Ir(ΔV3)よりも小さくなるので、出力電圧Voutは「L」レベルになる。
次に、図1に示す第2のキャパシタアレイ112の強誘電体キャパシタC00に格納されたデータの読み出しを行う場合の動作について説明する。
【0057】
この場合には、図1の回路において、MOSトランジスタST11〜ST13の各ゲートに印加するオンオフ信号BLK1を「H」レベルにし、MOSトランジスタST11〜ST13をオフの状態にする。また、MOSトランジスタST21〜ST23の各ゲートに印加するオンオフ信号BLK2を「L」レベルにし、MOSトランジスタST21〜ST23をオンの状態にする。
【0058】
さらに、誘電体キャパシタC00のデータを読み出すために、電位検出部150−0を構成する一対のMOSトランジスタDT0、DT0のみを動作状態にする。このため、MOSトランジスタST30のゲートに印加するオンオフ信号を「H」レベルとし、MOSトランジスタST30をオンにする。また、MOSトランジスタST30以外のMOSトランジスタST31・・・ST3mは、オフにする。
【0059】
このときの等価回路は、図5(b)に示すようになる。図5(b)では、説明をわかり易くするために、データを読み出すために選択された強誘電体キャパシタC00と、それに対応して参照データが読み出されるダミーキャパシタD00、D01のみを図示している。
ここで、図5(b)に示す回路では、第2のキャパシタアレイ112の強誘電体キャパシタC00に格納されたデータを読み出し、第1のキャパシタアレイ110のダミーキャパシタD00,D01の各参照データを読み出すようにしているが、この各データの読み出し動作は、図5(a)回路と基本的に同じであるので、その説明は省略する。
【0060】
ただし、この場合には、データ判別部160では第2の定電流源164が使用されるので、それに使用されるMOSトランジスタCT3,CT4のサイズの関係について説明する。
MOSトランジスタCT4、CT3のトランジスタサイズは、MOSトランジスタCT3のゲート幅をW3、MOSトランジスタCT4のゲート幅をW4とすると、次式の関係にある。
【0061】
W4=2×W3・・・(15)
ここで、両MOSトランジスタCT3,CT4のゲート長を同じにすると、MOSトランジスタCT4は、図5(b)に示すようにMOSトランジスタCT3を並列接続にした回路に等価となる。すなわち、MOSトランジスタCT4のサイズは、MOSトランジスタCT3のサイズの2倍になる。
【0062】
また、MOSトランジスタCT4のゲート幅W4とMOSトランジスタCT2のゲート幅W2との関係、およびMOSトランジスタCT1のゲート幅W1とMOSトランジスタCT3のゲート幅W3との関係は、次式の関係にある。
W4=W2・・・(16)
W1=W3・・・(17)
ここで、次の関係が得られる。
【0063】
2×Id(ΔV1)>Ir(ΔV3)=Id(ΔV1)+Id(ΔV0)>2×Id(V0)・・・(18)
これにより、次の関係が得られる。
Id(ΔV1)>(Id(ΔV1)+Id(ΔV0))/2>Id(V0)・・・(19)
これによれば、データ判別部160では、Id(ΔV1)とId(V0)の判定に、その中点の電圧レベルを使用していることになる。
【0064】
次に、キャパシタアレイ110、112における強誘電体キャパシタの選択または非選択について説明する。
図6は、この実施形態の2つのキャパシタアレイ110、112に使用される強誘電体キャパシタの印加電圧と電荷の関係を示す。
図6において、ヒステリシスループの上辺をデータ「1」側の分極、下辺をデータ「0」側の分極を示すとすると、強誘電体キャパシタに対する印加電圧が−1/4VDDから+1/4VDDまでの範囲であれば、データが変化しないことがわかる。
【0065】
そこで、この実施形態においては、非選択の強誘電体キャパシタに、|1/4VDD|以上の電圧が印加されないように制御されている。
選択されたビット線は、図2(a)の場合では、ビット線BL0Lとビット線BL0Rとになり、非選択のビット線はそれ以外のビット線になる。また、選択されたワード線は、図2(a)の場合では、ワード線WL0Lおよびワード線WLD1R、WLD0Rになり、非選択のワード線はそれ以外のワード線になる。
【0066】
さらに、選択される強誘電体キャパシタは、選択されたビット線と選択されたワード線とが交差する場所に存在するキャパシタである。図2(a)場合では、強誘電体キャパシタC00、およびダミーキャパシタD01、D00であり、非選択のキャパシタは、それ以外のキャパシタである。
次に、ビット線制御部120、122およびワード線制御部130、132による強誘電体キャパシタの選択または非選択の制御例について、図7〜図11を参照して説明する。
【0067】
まず、ビット線およびワード線の各電位は、定常状態では、その全てが1/2VDDになっている。
次に、所望の強誘電体キャパシタに保持されるデータを読み出す場合に、選択ワード線、選択ビット線、非選択ワード線、および非選択ビット線の各電位の与え方について、図7を参照して説明する。
【0068】
強誘電体キャパシタからのデータの読み出し動作は、図7に示すように期間T1〜T3からなるので、各期間について順次説明する。
まず、期間T1ではデータ読み出しの準備を行い、図7に示すように、選択ワード線(選択WL)の電位は1/2VDD、非選択ワード線(非選択WL)の電位は1/2VDDのままである。また、選択ビット線(選択BL)の電位は1/4VDDに変化し、非選択ビット線(非選択BL)の電位は3/4VDDに変化する。
【0069】
ただし、選択ビット線は、1/4VDDに設定した後に、HiZ(ハイインピーダンス)状態にしている。
期間T1における、選択ワード線、非選択ワード線、選択ビット線、および非選択ビット線の各電位の関係を、図8に示す。図8において、ビット線とワード線とが交差する位置における白い丸は非選択の強誘電体キャパシタであり、その黒い丸は選択された強誘電体キャパシタである。
【0070】
図8に示すように、強誘電体キャパシタは、選択または非選択にかかわらず、いずれも|1/4VDD|以上の電圧が印加されていないことがわかる。よって、期間T1では、いずれのキャパシタもデータの破壊は起こらない。
次に、期間T2ではデータの読み出しが行われ、図7に示すように、選択ワード線の電位はVDDに変化し、非選択ワード線の電位は1/2VDDのままである。また、選択ビット線の電位は1/4VDDからのHiZ(ハイインピーダンス)状態に変化し、非選択ビット線の電位は3/4VDDのままである。
【0071】
期間T2における、選択ワード線、非選択ワード線、選択ビット線、および非選択ビット線の各電位の関係を、図9に示す。図9は、選択ワード線の電位を、1/2VDDからVDDに変化させた瞬間の関係を示している。
図9によれば、非選択の強誘電体キャパシタには、|1/4VDD|以上の電圧が印加されていないことがわかる。よって、期間T2では、非選択の強誘電体キャパシタにおけるデータの破壊は起こらない。
【0072】
一方、図9によれば、選択キャパシタには、−3/4VDDが印加されている。このとき、選択キャパシタが、データ「1」を保持していた場合には、図6に示すヒステリシスの上辺から、矢印1側のヒステリシス上をA点に移動したことになる。これに対して、選択キャパシタが、データ「0」を保持していた場合には、図6に示すヒステリシスの下辺から、矢印2側のヒステリシス上をA点に移動したことになる。
【0073】
したがって、選択キャパシタは、保持するデータの内容にかかわらず、その変化に応じた電荷を選択ビット線上に出力する(図7参照)。このとき、選択ビット線はHiZ(ハイインピーダンス)状態であるので、その電荷量に応じた電圧になる(図3(b)の説明を参照)。
ここで、期間T2において、図7の選択ビット線(選択BL)の電位の変化は、選択キャパシタの保持データが「1」のときには実線となり、その保持データが「0」のときには点線となる。
【0074】
次に、期間T3ではデータの読み出し(確定)が行われ、図3で説明した様に、強誘電体キャパシタの電荷のみの抽出を行うために、期間T2における設定に対して、選択ワード線の電位のみを1/2VDDに変更している。
この制御により、選択ビット線の電位は、図7に示すように、選択キャパシタの保持データが「1」のときは実線のように変化し、その保持データが「0」のときは点線のように変化する。そして、期間T3で、その選択ビット線の電位に基づき、図1に示すデータ判別部160は読み出したデータの判別を行い、この判別結果を出力電圧Voutとして出力する。
【0075】
期間T3における選択ワード線、非選択ワード線、選択ビット線、および非選択ビット線の各電位の関係を、図8に示す。
期間T2および期間3では、選択ビット線の電位の変化は、いずれも1/2VDDから3/4VDDの範囲内であるので、選択ビット線上にある非選択キャパシタのデータは破壊されない。また、他の非選択キャパシタにも、|1/4VDD|以上の電圧が印加されていないことがわかる。よって、期間T2、T3では、非選択キャパシタのデータの破壊は起こらない。
【0076】
選択キャパシタの保持データの読み出した後は、ビット線およびワード線の各電位を定常状態である1/2VDDにすべて変更する(図7参照)。
ここで、選択キャパシタからデータを読み出したことにより、データ「1」は破壊されるので、データの再書き込みを行う必要があるので、これについて以下に説明する。
図7に示すように、強誘電体キャパシタに対するデータの(再)書き込み動作は、期間T4〜T6からなるので、各期間について順次説明する。
【0077】
まず、期間T4ではデータの書き込みの準備を行い、図7に示すように、選択ワード線(選択WL)の電位は1/4VDDに変化し、非選択ワード線(非選択WL)の電位は3/4VDDに変化する。また、選択ビット線(選択BL)の電位は1/2VDDのままとし、非選択ビット線(非選択BL)の電位は1/2VDDのままとする。
期間T4における選択ワード線、非選択ワード線、選択ビット線、および非選択ビット線の各電位の関係を、図10に示す。図10によれば、各キャパシタは、いずれも|1/4VDD|以上の電圧が印加されていないことがわかる。よって、期間T4では、その各キャパシタは、いずれもデータの破壊は起こらない。
【0078】
次に、期間T5ではデータの書き込みが行われ、図7に示すように、選択ワード線の電位は1/4VDDに変化し、非選択ワード線の電位は3/4VDDのままである。また、選択ビット線の電位は、書き込みデータが「1」のときにはVDDに変化させ、書き込みデータが「0」のときには1/2VDDのままとする。さらに、非選択ビット線の電位は、1/2VDDのままとする。
【0079】
期間T5における、選択ワード線、非選択ワード線、選択ビット線、および非選択ビット線の各電位の関係を、図10および図11にそれぞれ示す。
図10は、書き込みデータが「0」のときである。このときには、各キャパシタは、いずれも|1/4VDD|以上の電圧が印加されていないことがわかる。よって、各キャパシタは、いずれもデータの破壊は起こらない。このときには、選択キャパシタにも、データの書き込みが行われていない。よって、選択キャパシタは、ヒステリシスの下辺の「0」側に分極している(図6参照)。
【0080】
図11は、書き込みデータが「1」のときである。このときには、非選択キャパシタに、|1/4VDD|以上の電圧が印加されていないことがわかる。よって、非選択キャパシタは、データの破壊は起こらない。一方、選択キャパシタには、期間T2とは、逆向きに3/4VDDの電圧が印加されていることがわかる。よって、選択キャパシタは、図6のヒステリシスの上辺の「1」側のB点に移動している。このため、選択キャパシタは、データ「1」の側に分極したことがわかる。
【0081】
次に、期間T6では、図7に示すように、選択ワード線、非選択ワード線、選択ビット線、および非選択ビット線の各電位を、期間T4と同じ状態にしている。その後、定常状態にしている。このように、期間T4と同じ状態を経て定常状態にするのは、各キャパシタのデータを破壊しないためである。
以上説明したデータの再書き込み動作は、データの書き込み動作と同じである。従って、データの書き込みは、期間T4から期間T6の制御のみを行えばよい。
【0082】
なお、データの再書き込みとデータの書き込みとは、書き込みデータが「1」のときにのみ書き込みを行う制御にし、書き込みデータが「0」のときはその制御を省略してもかまわない。このように、書き込みデータが「1」の場合にのみ書き込みにすると、動作が速くなる利点がある。
以上の説明したように、この実施形態では、センスアンプ回路140を、キャパシタアレイのビット線毎に配置される複数の電位検出部150−0〜150mと、この電位検出部150−0〜150mに共通に使用するデータ判別部160とにより独立に設けるようにしたので、センスアンプ回路の回路規模を小さくでき、もって、全体として小型化できる。
【0083】
また、この実施形態では、第1のキャパシタアレイ110と第2のキャパシタアレイ112とを左右対称に形成するようにしたので、それらの各強誘電体キャパシタは左右において均一化を図ることができ、その経年による劣化も左右において同等となる。この結果、強誘電体の材料のロットでのばらつきに影響されず、ロットごとのパターンやMOSのばらつきに影響されず、さらに温度変化に影響されない。
【0084】
しかも、この実施形態では、第1のキャパシタアレイ110の強誘電体キャパシタに保持される任意のデータを読み出すときには、第2のキャパシタアレイ112の2つのダミーキャパシタに保持される所定のデータをそれぞれ読み出して参照データとして使用し、一方、第2のキャパシタアレイ112の強誘電体キャパシタに保持される任意のデータを読み出すときには、第1のキャパシタアレイ110の2つのダミーキャパシタに保持される所定のデータをそれぞれ読み出して参照データとして使用するようにした。
【0085】
従って、この実施形態によれば、第1または第2のキャパシタに保持されるデータを読み出して判定する際に、その判定精度が向上する上に、経年によってもその判定精度の安定化を図ることができる。
(電子機器の実施形態)
次に、本発明の電子機器の実施形態について説明する。
【0086】
この実施形態に係る電子機器としては、例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話、などが挙げられる。パーソナルコンピュータは、表示装置、CPU、メモリなどから構成される。特に、メモリとして、不揮発性メモリである図1に示すメモリ装置を利用することができる。
このような構成からなる電子機器によれば、回路規模が小さなメモリ装置を搭載した各種の電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明のメモリ装置の実施形態の構成を示す回路図である。
【図2】任意の強誘電体キャパシタからの格納データを読み出す場合の説明図であって、(a)はその際の部分的な回路図であり、(b)はその回路図の各ワード線および各ビット線の電圧波形をそれぞれ示す波形図である。
【図3】強誘電体キャパシタに関連する容量を説明する説明図であって、(a)はキャパシタの直列回路を示し、(b)はそのキャパシタを用いて強誘電体キャパシタに関連する容量を説明する図である。
【図4】図1に示すセンスアンプ回路の動作を説明する図であって、(a)はそのセンスアンプ回路の一部を抜き出した回路図であり、(b)はその回路のワード線と接続されるMOSトランジスタの入力電圧と出力電流の関係を示す図である。
【図5】図1に示すセンスアンプ回路の動作を説明する図であって、(a)はそのセンスアンプ回路が第1のキャパシタアレイの任意の強誘電体キャパシタからデータを読み出す場合の部分的は回路図、(b)はそのセンスアンプ回路が第2のキャパシタアレイの任意の強誘電体キャパシタからデータを読み出す場合の部分的は回路図である。
【図6】この実施形態に適用される強誘電体キャパシタの印加電圧と分極電荷との関係の一例を示す図である。
【図7】図1に示すビット線制御部およびワード線制御部が任意の強誘電体キャパシタにデータを読み書きする際に制御する、各ビット線と各ワード線の電圧の波形例を示す図である。
【図8】図7の期間T1の選択ワード線、非選択ワード線、選択ビット線、および非選択ビット線の各電位の関係を説明するための説明図である。
【図9】図7の期間T2における各線の各電位の関係を説明する説明図である。
【図10】図7の期間T4における各線の各電位の関係を説明する説明図である。
【図11】図7の期間T5における各線の各電位の関係を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0088】
110・・・第1のキャパシタアレイ、112・・・第2のキャパシタアレイ、120・・・第1のビット線制御部、122・・・第2のビット線制御部、130・・・第1のワード線制御部、132・・・第2のワード線制御部、140・・・センスアンプ回路、150・・・センス部、150−0〜150−m・・・電位検出部、160・・・データ判別部、162・・・第1の定電流源、164・・・第2の定電流源、170、180・・・接続線
【技術分野】
【0001】
本発明はメモリ装置及び電子機器に関し、特にセンスアンプ回路の面積が小さくできるメモリ装置及び当該メモリ装置を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のメモリ装置として、例えば、非特許文献1に開示されたものが知られている。
そして、同文献の図2に開示されたメモリ装置では、ビット線毎にp型トランジスタ及びn型トランジスタにより構成されたセンスアンプが設けられている。
【非特許文献1】“IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS, VOL.35, NO.5, MAY 2002, A 3.3-V, 4-Mb Nonvolatile Ferroelectric RAM with Selectively Driven Double-Pulsed Plate Read/Write-Back Scheme”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記非特許文献1に開示された従来のメモリ装置では、ビット線毎にセンスアンプ回路を設ける必要があったため、回路規模が大きくなるという不具合が生じていた。特に、上記非特許文献1に開示された従来のメモリ装置では、センスアンプ回路がp型トランジスタ及びn型トランジスタにより構成されているため、各ビット線の周辺にダブルウエル構造を設ける必要があったため、回路規模が莫大に大きくなっていた。
【0004】
そこで、本発明の目的は、上記の点に鑑み、センスアンプ回路の回路規模を小さくできるメモリ装置、およびそのメモリ装置を用いた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決し本発明の目的を達成するために、各発明は、以下のような構成からなる。
すなわち、第1の発明は、少なくとも1つの第1のビット線と、この第1のビット線に電気的に接続され任意のデータを保持する第1の強誘電体キャパシタと、前記第1のビット線に電気的に接続され所定のデータをそれぞれ保持する第1および第2のダミーキャパシタとを含む第1のキャパシタアレイと、少なくとも1つの第2のビット線と、この第2のビット線に電気的に接続され任意のデータを保持する第2の強誘電体キャパシタと、前記第2のビット線に電気的に接続され所定のデータをそれぞれ保持する第3および第4のダミーキャパシタを含む第2のキャパシタアレイと、前記第1のビット線の電位と前記第2ビット線の電位とをそれぞれ検出し、その各検出に応じて第1の検出信号および第2の検出信号それぞれ生成する少なくとも1つの電位検出部と、前記電位検出部で生成される第1の検出信号および前記第2の検出信号に基づき、前記第1の強誘電体キャパシタまたは前記第2の強誘電体キャパシタに保持されたデータを判別するデータ判別部と、を備えている。
【0006】
第2の発明は、複数の第1のビット線と、この複数の第1のビット線に電気的にそれぞれ接続され任意のデータを保持する第1の強誘電体キャパシタと、前記複数の第1のビット線に電気的にそれぞれ接続され所定のデータをそれぞれ保持する第1および第2のダミーキャパシタとを含む第1のキャパシタアレイと、複数の第2のビット線と、この複数の第2のビット線に電気的にそれぞれ接続され任意のデータを保持する第2の強誘電体キャパシタと、前記複数の第2のビット線に電気的にそれぞれ接続され所定のデータをそれぞれ保持する第3および第4のダミーキャパシタを含む第2のキャパシタアレイと、前記複数の第1のビット線の各電位と、この各電位に対応する前記複数の第2ビット線の各電位とをそれぞれ検出し、その各検出に応じて第1の検出信号および第2の検出信号をそれぞれ生成する複数の電位検出部と、この複数の各電位検出部で生成される第1の検出信号および前記第2の検出信号に基づき、前記第1の強誘電体キャパシタまたは前記第2の強誘電体キャパシタに保持されたデータを判別するデータ判別部と、を備えている。
【0007】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記第1のキャパシタアレイの前記第1の強誘電体キャパシタおよび前記第2のキャパシタアレイの前記第2の強誘電体キャパシタにそれぞれ保持される各データの読み出しを制御する制御部をさらに備え、前記制御部は、前記第1のキャパシタアレイの前記第1の強誘電体キャパシタに保持されるデータを前記第1のビット線に読み出すときには、前記第2のキャパシタアレイの前記第3および第4のダミーキャパシタに保持されるデータを前記第2のビット線にそれぞれ読み出し、他方、前記第2のキャパシタアレイの前記第2の強誘電体キャパシタに保持されるデータを前記第2のビット線に読み出すときには、前記第1のキャパシタアレイの前記第1および第2のダミーキャパシタに保持されるデータを前記第1のビット線にそれぞれ読み出すように制御するようになっている。
【0008】
第4の発明は、第1、第2または第3の発明において、前記データ判別部は、前記電位検出部と接続自在な第1のデータ判別部と、前記電位検出部と接続自在な第2のデータ判別部とを備え、前記両データ判別部は、前記第1のキャパシタアレイの前記第1の強誘電体キャパシタに保持されるデータの読み出し、または前記第2のキャパシタアレイの前記第2の強誘電体キャパシタに保持されるデータの読み出しに応じて、選択的に使用するようになっている。
【0009】
第5の発明は、第2、第3または第4の発明において、前記複数の電位検出部は、そのうちの1つを選択的に使用するようになっている。
第6の発明は、第1乃至第5のうちのいずれかの発明において、前記電位検出部は、前記第1のビット線の電位を、この電位の大きさに応じた電流に変換するn型の第1のMOSトランジスタと、前記第2のビット線の電位を、この電位の大きさに応じた電流に変換するn型の第2のMOSトランジスタと、前記第1および第2のMOSトランジスタの動作のオンオフ制御を行うn型の第3のMOSトランジスタとからなる。
【0010】
第7の発明は、第4、第5または第6の発明において、前記第1のデータ判別部は、カレントミラー回路からなる第1の定電流源と、この第1の定電流源と前記電位検出部との接続を行う第1のスイッチとを備え、前記第2のデータ判別部は、カレントミラー回路からなる前記第2の定電流源と、この第2の定電流源と前記電位検出部との接続を行う第2のスイッチとを備えている。
【0011】
第8の発明は、第7の発明において、前記第1の定電流源は、前記電位検出部の第1のMOSトランジスタと接続するp型の第4のMOSトランジスタおよび前記電位検出部の第2のMOSトランジスタと接続するp型の第5のMOSトランジスタでカレントミラー回路を構成し、かつ、前記第5のMOSトランジスタのサイズが前記第4のMOSトランジスタのサイズの2倍になっており、前記第2の定電流源は、前記電位検出部の第1のMOSトランジスタと接続するp型の第6のMOSトランジスタおよび前記電位検出部の第2のMOSトランジスタと接続するp型の第7のMOSトランジスタでカレントミラー回路を構成し、かつ、前記第6のMOSトランジスタのサイズが前記第7のMOSトランジスタのサイズの2倍になっている。
【0012】
第9の発明は、メモリを備えている電子機器であって、前記メモリは、前記第1乃至第8のうちのいずれかのメモリ装置としたものである。
以上のような構成からなる本発明によれば、センスアンプ回路を、キャパシタアレイのビット線毎に配置される1つ以上の電位検出部と、この1つ以上の電位検出部に共通に使用するデータ判別部とにより独立に設けるようにしたので、センスアンプ回路の回路規模を小さくでき、もって、全体として小型化できる。
【0013】
また、本発明では、第1のキャパシタアレイと第2のキャパシタアレイとを左右対称に形成できるので、それらの各キャパシタは左右において均一化を図ることができ、その経年による劣化も左右において同等となる。
しかも、本発明では、第1のキャパシタアレイの第1の強誘電体キャパシタに保持される任意のデータを読み出すときには、第2のキャパシタアレイの第3および第4のダミーキャパシタに保持される所定のデータをそれぞれ読み出して基準データとして使用し、一方、第2のキャパシタアレイの第2の強誘電体キャパシタに保持される任意のデータを読み出すときには、第1のキャパシタアレイの第1および第2のダミーキャパシタに保持される所定のデータをそれぞれ読み出して参照データとして使用するようにした。
【0014】
従って、本発明によれば、第1または第2の強誘電体キャパシタに保持されるデータを読み出して判定する際に、その判定精度が向上する上に、経年によってもその判定精度の安定化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(メモリ装置の実施形態)
本発明のメモリ装置の実施形態は、図1に示すように、第1のキャパシタアレイ110と、第2のキャパシタアレイ112と、第1のビット線制御部120と、第2のビット線制御部122と、第1のワード線制御部130と、第2のワード線制御部132と、センスアンプ回路140とを備えている。
【0016】
第1のキャパシタアレイ110は、図1に示すように、所定のデータを保持する強誘電体キャパシタC00〜Cmnが縦横方向に配置され、その各強誘電体キャパシタC00〜Cmnは、ビット線BL0L〜BLmLおよびワード線WL0L〜WLnLがそれぞれ電気的に接続されている。そして、ビット線BL0L〜BLmLおよびワード線WL0L〜WLnLの電位を変化させることにより、所定の強誘電体キャパシタに対して所定の2値データ(「0」または「1」)を書き込み、または所定の強誘電体キャパシタに書き込まれた所定のデータの読み出しができるようになっている。
【0017】
また、第1のキャパシタアレイ110は、図1に示すように、例えば強誘電体キャパシタC00〜Cmnの左右の両隣に、強誘電体キャパシタからなるダミーキャパシタD00〜Dm0およびダミーキャパシタD01〜Dm1をそれぞれ備えている。ダミーキャパシタD00〜Dm0は、リファレンスデータとして使用されるデータ「0」を記憶しておく。ダミーキャパシタD01〜Dm1は、リファレンスデータとして使用されるデータ「1」を記憶しておく。
【0018】
ダミーキャパシタD00〜Dm0は、ビット線BL0L〜BLmLおよびワード線WLD0Lがそれぞれ電気的に接続され、そのビット線BL0L〜BLmLおよびワード線WLD0Lの電位を変えることにより、データ「0」の読み書きができるようになっている。さらに、ダミーキャパシタD01〜Dm1は、ビット線BL0L〜BLmLおよびワード線WLD1Lがそれぞれ電気的に接続され、ビット線BL0L〜BLmLおよびワード線WLD1Lの電位を変えることにより、データ「1」の読み書きができるようになっている。
【0019】
このようにダミーキャパシタD00〜Dm0に書き込まれたデータ「0」と、ダミーキャパシタD01〜Dm1に書き込まれたデータ「1」とは、後述のように、強誘電体キャパシタC00〜Cmnに書き込まれているデータが「0」または「1」であるかを判別する際に使用される。
第2のキャパシタアレイ112は、図1に示すように、所定のデータを保持する強誘電体キャパシタC00〜Cmnが配置され、その各強誘電体キャパシタC00〜Cmnは、ビット線BL0R〜BLmRおよびワード線WL0R〜WLnRがそれぞれ電気的に接続されている。ビット線BL0R〜BLmRおよびワード線WL0R〜WLnRの電位を変化させることにより、所定の強誘電体キャパシタに対して所定の2値データの読み書きができるようになっている。
【0020】
また、第2のキャパシタアレイ112は、図1に示すように、例えば強誘電体キャパシタC00〜Cmnの左右の両隣に、第1のキャパシタアレイ110と同様に、強誘電体キャパシタからなるダミーキャパシタD00〜Dm0およびダミーキャパシタD01〜Dm1を備えている。ダミーキャパシタD00〜Dm0は、ビット線BL0R〜BLmRおよびワード線WLD0Rがそれぞれ電気的に接続されている。また、ダミーキャパシタD01〜Dm1は、ビット線BL0R〜BLmRおよびワード線WLD1Rがそれぞれ電気的に接続されている。
【0021】
ここで、キャパシタアレイ110、112を形成する、強誘電体キャパシタC00〜CmnおよびダミーキャパシタD00〜Dm0、D01〜Dm1は、一方の電極がビット線により構成され、他方の電極がワード線に構成される、いわゆるクロスポイント型の構造を採用している。
また、第1のキャパシタアレイ110は、センスアンプ回路140を挟んで第2のキャパシタアレイ112と対向するように配置されており、第1のキャパシタアレイ110に設けられた強誘電体キャパシタに電気的に接続されるビット線BL0L〜BLmLと、第2のキャパシタアレイ112に設けられた強誘電体キャパシタに電気的に接続されるビット線BL0R〜BLmRとは、いわゆるオープンビット線構造を有するように配置されている。
【0022】
以上の説明からわかるように、第1のキャパシタアレイ110は、複数のビット線BL0L〜BLmLを有し、例えばビット線BL0Lには複数の強誘電体キャパシタC00〜C0n、および2つのダミーキャパシタD00、D01がそれぞれ接続されている。また、同様に、第1のキャパシタアレイ112は、複数のビット線BL0R〜BLmRを有し、例えばビット線BL0Rには複数の強誘電体キャパシタC00〜C0n、および2つのダミーキャパシタD00、D01がそれぞれ接続されている。
【0023】
ビット線制御部120は、各ビット線BL0L〜BLmLの電位を制御するようになっている。すなわち、ビット線制御部120は、各ビット線BL0L〜BLmLが、1/4VDD、1/2VDD、3/4VDD若しくはVDD、または浮遊状態(ハイインピーダンス)になるように制御する。
ここで、1/4VDD、1/2VDD、および3/4VDDは、(1/4)×VDD、(1/2)×VDD、および(3/4)×VDDをそれぞれ意味し、本明細書では以下同様である。
【0024】
ビット線制御部122は、各ビット線BL0R〜BLmRの電位を制御するようになっている。すなわち、ビット線制御部122は、各ビット線BL0R〜BLmRが、1/4VDD、1/2VDD、3/4VDD若しくはVDD、または浮遊状態になるように制御する。
ワード線制御部130は、ワード線WL0L〜WLnLおよびワード線WLD0L〜WLD0L、WLD1Lの各電位を制御するようになっている。すなわち、ワード線制御部130は、その各ワード線が、1/4VDD、1/2VDD、3/4VDDまたはVDDになるように制御する。
【0025】
ワード線制御部132は、ワード線WL0R〜WLnRおよびワード線WLD0R〜WLD0R、WLD1Rの各電位を制御するようになっている。すなわち、ワード線制御部130は、その各ワード線が、1/4VDD、1/2VDD、3/4VDDまたはVDDになるように制御する。
センスアンプ回路140は、図1に示すように、ビット線BL0L〜BLmLのうちの1つの電位と、それに対応するビット線BL0R〜BLmRのうちの1つの電位とをそれぞれ検出するセンス部150と、このセンス部150が検出した両電位に基づいて、ビット線BL0L〜BLmLまたはビット線BL0R〜BLmRに接続された強誘電体キャパシタC00〜C0nのうちの1つに保持されたデータが「1」または「0」かを判別するデータ判別部160とからなる。
【0026】
センス部150とデータ判別部160は、接続線170および接続線180により電気的に接続され、この接続線170、180が、それぞれデータを読み出すためのデータ線または参照データを読み出すための参照線として機能する。
すなわち、第1のキャパシタアレイ110の強誘電体キャパシタC00〜Cmnに書き込まれたデータを読み出し、その際に、第2のキャパシタアレイ112に設けられたダミーキャパシタD00〜Dm0、D01〜Dm1に書き込まれた参照データを読み出す場合には、接続線170はデータ線、接続線180は参照線としてそれぞれ機能する。一方、第2のキャパシタアレイ112の強誘電体キャパシタC00〜Cmnに書き込まれたデータを読み出し、その際に、第1のキャパシタアレイ110に設けられたダミーキャパシタD00〜Dm0、D01〜Dm1に書き込まれた参照データを読み出す場合には、接続線180はデータ線、接続線170は参照線としてそれぞれ機能する。
【0027】
センス部150は、図1に示すように、複数の電位検出部150−0〜150−mからなり、これらのうちの1つを選択的に使用するようになっている。すなわち、各電位検出部150−0〜150−mは、同じ特性からなる一対のn型のMOSトランジスタ(DT0,DT0)、(DT1,DT1)・・・(DTm,DTm)と、これらに対応するn型のMOSトランジスタST30、ST31・・・ST3mとからなる。
【0028】
電位検出部150−0〜150−mの各構成は基本的に同一であるので、電位検出部150−0の構成について以下に説明する。
電位検出部150−0を構成する一方のMOSトランジスタDT0は、ビット線BL0Lの電位を検出し、この検出電位に応じた検出電流に変換するようになっている。また、他方のMOSトランジスタDT0は、ビット線BL0Lに対応するビット線BL0Rの電位を検出し、この検出電位に応じた検出電流に変換するようになっている。さらに、MOSトランジスタST30は、オンオフ制御されスイッチ素子であり、オンのときに、その一対のMOSトランジスタDT0、DT0を動作させるようになっている。
【0029】
さらに詳述すると、一方のMOSトランジスタDT0のゲートはビットラインBL0Lに接続され、そのドレインは接続線170に接続されている。また、他方のMOSトランジスタDT0のゲートはビットラインBL0Rに接続され、そのドレインは接続線180に接続されている。さらに、一対のMOSトランジスタDT0、DT0の各ソースは共通接続され、その各共通接続部がMOSトランジスタST30を介してグランドに接続されている。MOSトランジスタST30のゲートには、オンオフ信号が印加され、これによりMOSトランジスタのオンオフ制御されるようになっている。
【0030】
データ判別部160は、図1に示すように、第1の定電流源162および第2の定電流源164と、第1の定電流源162または第2の定電流源164の使用を選択的に行うためのMOSトランジスタST11〜13およびMOSトランジスタST21〜ST23とからなる。
第1の定電流源162は、p型のMOSトランジスタCT1、CT2から構成されるカレントミラー回路からなり、MOSトランジスタST11〜ST13がオンのときに、接続線170、180を介してセンス部150に定電流を供給するようになっている。
【0031】
ここで、MOSトランジスタCT1、CT2のサイズの関係は、後述のようにMOSトランジスタCT2のサイズがMOSトランジスタCT1のサイズの2倍になっている。
この第1の定電流源162は、第1のキャパシタアレイ110の強誘電体キャパシタC00〜Cmnに書き込まれたデータを読み出し、その際に、第2のキャパシタアレイ112に設けられたダミーキャパシタD00〜Dm0およびダミーキャパシタD01〜Dm1に書き込まれた参照データを読み出す場合に使用される。
【0032】
さらに具体的に説明すると、MOSトランジスタCT1は、ゲートが自己のドレインに接続されるとともにMOSトランジスタCT2のゲートに接続され、ソースがMOSトランジスタST13介して正の電源VDDに接続され、ドレインがMOSトランジスタST11を介して接続線170に接続されている。また、MOSトランジスタCT2は、ゲートがMOSトランジスタCT1のゲートに接続され、ソースがMOSトランジスタST13介して正の電源VDDに接続され、ドレインがMOSトランジスタST12を介して接続線180に接続されている。さらに、MOSトランジスタST11〜ST13の各ゲートには、オンオフ信号BLK1が供給され、これによりMOSトランジスタST11〜ST13のオンオフ制御が行われるようになっている。
【0033】
第2の定電流源164は、p型のMOSトランジスタCT3、CT4から構成されるカレントミラー回路からなり、MOSトランジスタST21〜ST23がオンのときに、接続線170、180を介してセンス部150に定電流を供給するようになっている。
ここで、MOSトランジスタCT3、CT4のサイズの関係は、後述のようにMOSトランジスタCT4のサイズがMOSトランジスタCT3のサイズの2倍になっている。
【0034】
この第2の定電流源164は、第2のキャパシタアレイ112の強誘電体キャパシタC00〜Cmnに書き込まれたデータを読み出し、その際に、第1のキャパシタアレイ110に設けられたダミーキャパシタD00〜Dm0、D01〜Dm1に書き込まれた参照データを読み出す場合に使用される。
さらに具体的に説明すると、MOSトランジスタCT3は、ゲートが自己のドレインに接続されるとともにMOSトランジスタCT4のゲートに接続され、ソースがMOSトランジスタST23介して正の電源VDDに接続され、ドレインがMOSトランジスタST21を介して接続線180に接続されている。また、MOSトランジスタCT4は、ゲートがMOSトランジスタCT3のゲートに接続され、ソースがMOSトランジスタST23介して正の電源VDDに接続され、ドレインがMOSトランジスタST22を介して接続線170に接続されている。さらに、MOSトランジスタST21〜ST23の各ゲートには、オンオフ信号BLK1が供給され、これによりMOSトランジスタST21〜ST23のオンオフ制御が行われるようになっている。
【0035】
次に、このような構成からなる実施形態の動作の一例について、図面を参照して説明する。
この例では、図1に示す第1のキャパシタアレイ110の強誘電体キャパシタC00に格納されたデータの読み出しを行う場合の動作について説明する。
この場合には、MOSトランジスタST11〜ST13の各ゲートに印加するオンオフ信号BLK1を「L」レベルにし、MOSトランジスタST11〜ST13をオンの状態にする。また、MOSトランジスタST21〜ST23の各ゲートに印加するオンオフ信号BLK2を「H」レベルにし、MOSトランジスタST21〜ST23をオフの状態にする。
【0036】
さらに、誘電体キャパシタC00のデータを読み出すために、電位検出部150−0を構成する一対のMOSトランジスタDT0、DT0のみを動作状態にする。このため、MOSトランジスタST30のゲートに印加するオンオフ信号を「H」レベルとし、MOSトランジスタST30をオンにする。また、MOSトランジスタST30以外のMOSトランジスタST31・・・ST3mは、オフにする。
【0037】
このときの等価回路は、図2(a)に示すようになる。図2(a)では、説明をわかり易くするために、データを読み出すために選択された強誘電体キャパシタC00と、それに対応して参照データが読み出されるダミーキャパシタD00、D01のみを図示している。
ビット線BL0L、BL0Rは、いずれも1/4VDDの電位を保った浮遊状態になっている。また、ワード線WL0L、WLD0R、WLD1Rは、1/2VDDの電圧がそれぞれ印加されている。
【0038】
図2(b)に示すように、ワード線WL0L、WLD0R、WLD1Rに、1/2VDD、VDD、および1/2VDDの各電圧を順に印加すると、ビット線BL0Lの電位はその格納されたデータに応じた電圧になり、ビットラインBL0Rの電位はΔV3になる。
すなわち、ビット線BL0Lの電位は、図2(b)に示すように、強誘電体キャパシタC00の2値データが「1」のときにはΔV1となり、その2値データが「0」のときにはΔV0となる。
【0039】
ここで、上記の電圧ΔV1、ΔV0、およびΔV3に応じてMOSトランジスタDT0に流れる電流を、それぞれId(ΔV1)、Id(ΔV0)、Ir(ΔV3)とする。
データ判別部162では、Id(ΔV1)またはId(ΔV0)を、Ir(ΔV3)と比較することで、後述のように強誘電体キャパシタC00から読み出した2値データが「1」または「0」であるかを判定する。
【0040】
すなわち、データ判定部162は、ダミーキャパシタD01の格納データ「1」とダミーキャパシタD00の格納データ「0」とを同時に読み出し、一方のMOSトランジスタDT0で電流Irに変換してリファレンスとして使用する。また、このとき、強誘電体キャパシタC00の格納データを読み出し、他方のMOSトランジスタDT0で電流Idに変換する。そして、その両電流Ir,IdNI基づいて、強誘電体キャパシタC00から読み出したデータが「1」または「0」であるかを判定する。
【0041】
次に、上記の電圧ΔV1、ΔV0、およびΔV3について、図3を参照しながら説明する。
図3(a)は、キャパシタC1とキャパシタC0とを直列に接続した回路であり、その一端側がグランドGNDに接続され、その他端側に入力電圧Vinが印加され、その中点から出力電圧Voutを取り出すようになっている。
【0042】
いま、入力電圧Vinとして1/2VDDが保持され、出力電圧Voutとして1/4VDDが保持された状態になっているものとする。この状態から、図3(a)に示すように、入力電圧Vinを1/2VDD、VDD、および1/2VDDの順序で変化させたときの出力電圧Voutは、図3(a)に示すように、いったん電圧変化したあと、1/4VDDに戻ることは明らかである。
【0043】
次に、以上のことを踏まえて、図3(b)に示す回路を考える。
図3(b)の回路は、図3(a)の回路に強誘電体キャパシタC00を、キャパシタC1に並列に接続したものである。この回路において、入力電圧Vinの入力ラインをワード線WL0L、出力電圧Voutの出力ラインをビット線BL0Lにそれぞれ対応させると、図2(a)に示す第1のキャパシタアレイ110の強誘電体キャパシタC00からデータ読み出す場合の回路に等価になる。
【0044】
この結果、キャパシタC1は、ワード線WL0Lとビット線BL0Lとの間に存在する浮遊容量、キャパシタC0は、ビット線BL0LとグランドGNDとの間に存在する浮遊容量(MOSトランジスタDT0による容量、非選択になっている他の強誘電体キャパシタによる容量、パターンによる容量等)である。
図3(b)に示すように、ワード線WL0Lの電圧を、1/2VDD、VDD、1/2VDDの順序で変化させたときには、ビット線BL0L上には、同図に示すようなΔVの電圧変化が得られる。図3(a)により、キャパシタC1による電圧の変化はないので、強誘電体キャパシタC00より出力された電荷による電圧の変化であることがわかる。
【0045】
電圧変化ΔVの大きさ(「H」レベルと「L」レベルの差ではない。)は、出力された電荷と浮遊容量C0によって決まる。よって、データ側とリファレンス側で、同じ浮遊容量にしておく必要がある。
この実施形態では、図1に示すように、左側の第1のキャパシタアレイ110と右側の第2のキャパシタアレイ112とは、レイアウト時に鏡面対象になるようにしている。これは、左側と右側(データ側とリファレンス側)でビットラインの浮遊容量が等しくなるようにするためである。等しくないと、同じデータの出力でも変化量が違ってくるのでリファレンスが正しくなくなる。
【0046】
次に、図2(b)に示す電圧ΔV0、ΔV1、およびΔV3の関係を説明する。
上記の説明により、ダミーキャパシタD01、D00から出力される電荷は、それぞれデータ「1」とデータ「0」に対応する各電荷であり、ビットラインBL0L、BL0Rの各浮遊容量は等しいので、ΔV3=ΔV1+ΔV0となる。
ワード線WL0L、WLD0R、WLD1Rの各電圧を1/2VDD、VDD、および1/2VDDの順序で変化させることにより、強誘電体キャパシタC00から出力された電荷のみの変化を取り出している。また、その変化量(同じデータでの変化量)は、ビット線BL0L、BL0Rの浮遊容量に影響されるので、その浮遊容量の管理が必要となる。そこで、その管理を行えば、図2の各電圧変化量の関係は、ΔV3=ΔV1+ΔV0となる。
【0047】
次に、図2(a)に示すId(データのセンスによる電流)とIr(レファレンスのセンスによる電流)の関係について、図4を参照して説明する。
図4において、(a)は図2(a)のデータを検出する側のみの回路を示し、(b)はMOSトランジスタDT0の入力電圧Vinとその出力電流Ioutの関係を示す。
この回路では、MOSトランジスタDT0がオンして(入力電圧Vinが1/4VDD以上)から、入力電圧Vinと出力電流Ioutとの関係は、図4(a)に示すように、比例関係(リニア)になる。
【0048】
ここで、図2(b)に示す電圧ΔV0、ΔV1、ΔV3の基準となる電圧は、1/4VDDであるので、各電圧変化量による電流の関係は、次式のようになる。
Ir(ΔV3)=Id(ΔV1)+Id(ΔV0)・・・(1)
次に、センスアンプ回路140の動作について、図面を参照して説明する。
データ判別部160において、第1の定電流源162を構成するMOSトランジスタCT1とMOSトランジスタCT2のサイズの関係は、MOSトランジスタCT1のゲート幅をW1、MOSトランジスタCT2のゲート幅をW2とすると、次式のようになっている。
【0049】
W2=2×W1・・・(2)
ここで、両MOSトランジスタCT1,CT2のゲート長を同じにすると、MOSトランジスタCT2は、図5(a)に示すようにMOSトランジスタCT1を並列接続にした回路に等価となる。すなわち、MOSトランジスタCT2のサイズは、MOSトランジスタCT1のサイズの2倍になる。よって、図5(a)に示すように、MOSトランジスタCT1に流れる電流I1をIdとすれば、MOSトランジスタCT2に流れる電流I2は2×Idになる。
【0050】
このように、第1の定電流源162のMOSトランジスタCT1,CT2のトランジスタサイズが上記の関係にあることを踏まえて、次に図5(a)に示す回路の動作を説明する。
まず、図5(a)において、強誘電体キャパシタC00からデータ「1」が読み出された場合について説明する。
【0051】
この場合には、ビット線BL0Lの電位がΔV1変化し(図2(b)参照)、MOSトランジスタCT1に流れる電流I1は、次式のようになる。
I1=Id(ΔV1)・・・(3)
よって、MOSトランジスタCT2に流れる電流I2は、次式のようになる。
I2=2×Id(ΔV1)・・・(4)
また、ビット線BL0Rには、ダミーキャパシタD00,D01の各参照データが読み出されるので、その電位がΔV3変化し(図2(b)参照)、MOSトランジスタCT2に流れる電流I2は次式のようになる。
【0052】
I2=Ir(ΔV3)・・・(5)
また、次式のような関係がある。
Ir(ΔV3)=Id(ΔV1)+Id(ΔV0)・・・(6)
Id(ΔV1)>Id(ΔV0) ・・・(7)
これにより、次式が成立する。
【0053】
Ir(ΔV3)=Id(ΔV1)+Id(ΔV0)<2×Id(V1)・・・(8)
この結果、MOSトランジスタCT2が流そうとする電流2×Id(ΔV1)のほうが、MOSトランジスタDT0が流そうとする電流Ir(ΔV3)よりも大きくなるので、出力電圧Voutは「H」レベルとなる。
次に、強誘電体キャパシタC00から、データ「0」が読み出された場合について説明する。
【0054】
この場合には、ビット線BL0Lの電位がΔV0変化し(図2(b)参照)、MOSトランジスタCT1に流れる電流I1は、次式のようになる。
I1=Id(ΔV0)・・・(9)
よって、MOSトランジスタCT2に流れる電流I2は、次式のようになる。
I2=2×Id(ΔV0)・・・(10)
また、ビット線BL0Rの電位はΔV3変化し、MOSトランジスタCT2に流れる電流I2は次式のようになる。
【0055】
I2=Ir(ΔV3)・・・(11)
さらに、次のような関係がある。
Ir(ΔV3)=Id(ΔV1)+Id(ΔV0)・・・(12)
Id(ΔV1)>Id(ΔV0) ・・・(13)
これにより、次式が成立する。
【0056】
Ir(ΔV3)=Id(ΔV1)+Id(ΔV0)>2×Id(V0)・・(14)
この結果、MOSトランジスタCT2が流そうとする電流2×Id(ΔV0)のほうが、MOSトランジスタDT0が流そうとする電流Ir(ΔV3)よりも小さくなるので、出力電圧Voutは「L」レベルになる。
次に、図1に示す第2のキャパシタアレイ112の強誘電体キャパシタC00に格納されたデータの読み出しを行う場合の動作について説明する。
【0057】
この場合には、図1の回路において、MOSトランジスタST11〜ST13の各ゲートに印加するオンオフ信号BLK1を「H」レベルにし、MOSトランジスタST11〜ST13をオフの状態にする。また、MOSトランジスタST21〜ST23の各ゲートに印加するオンオフ信号BLK2を「L」レベルにし、MOSトランジスタST21〜ST23をオンの状態にする。
【0058】
さらに、誘電体キャパシタC00のデータを読み出すために、電位検出部150−0を構成する一対のMOSトランジスタDT0、DT0のみを動作状態にする。このため、MOSトランジスタST30のゲートに印加するオンオフ信号を「H」レベルとし、MOSトランジスタST30をオンにする。また、MOSトランジスタST30以外のMOSトランジスタST31・・・ST3mは、オフにする。
【0059】
このときの等価回路は、図5(b)に示すようになる。図5(b)では、説明をわかり易くするために、データを読み出すために選択された強誘電体キャパシタC00と、それに対応して参照データが読み出されるダミーキャパシタD00、D01のみを図示している。
ここで、図5(b)に示す回路では、第2のキャパシタアレイ112の強誘電体キャパシタC00に格納されたデータを読み出し、第1のキャパシタアレイ110のダミーキャパシタD00,D01の各参照データを読み出すようにしているが、この各データの読み出し動作は、図5(a)回路と基本的に同じであるので、その説明は省略する。
【0060】
ただし、この場合には、データ判別部160では第2の定電流源164が使用されるので、それに使用されるMOSトランジスタCT3,CT4のサイズの関係について説明する。
MOSトランジスタCT4、CT3のトランジスタサイズは、MOSトランジスタCT3のゲート幅をW3、MOSトランジスタCT4のゲート幅をW4とすると、次式の関係にある。
【0061】
W4=2×W3・・・(15)
ここで、両MOSトランジスタCT3,CT4のゲート長を同じにすると、MOSトランジスタCT4は、図5(b)に示すようにMOSトランジスタCT3を並列接続にした回路に等価となる。すなわち、MOSトランジスタCT4のサイズは、MOSトランジスタCT3のサイズの2倍になる。
【0062】
また、MOSトランジスタCT4のゲート幅W4とMOSトランジスタCT2のゲート幅W2との関係、およびMOSトランジスタCT1のゲート幅W1とMOSトランジスタCT3のゲート幅W3との関係は、次式の関係にある。
W4=W2・・・(16)
W1=W3・・・(17)
ここで、次の関係が得られる。
【0063】
2×Id(ΔV1)>Ir(ΔV3)=Id(ΔV1)+Id(ΔV0)>2×Id(V0)・・・(18)
これにより、次の関係が得られる。
Id(ΔV1)>(Id(ΔV1)+Id(ΔV0))/2>Id(V0)・・・(19)
これによれば、データ判別部160では、Id(ΔV1)とId(V0)の判定に、その中点の電圧レベルを使用していることになる。
【0064】
次に、キャパシタアレイ110、112における強誘電体キャパシタの選択または非選択について説明する。
図6は、この実施形態の2つのキャパシタアレイ110、112に使用される強誘電体キャパシタの印加電圧と電荷の関係を示す。
図6において、ヒステリシスループの上辺をデータ「1」側の分極、下辺をデータ「0」側の分極を示すとすると、強誘電体キャパシタに対する印加電圧が−1/4VDDから+1/4VDDまでの範囲であれば、データが変化しないことがわかる。
【0065】
そこで、この実施形態においては、非選択の強誘電体キャパシタに、|1/4VDD|以上の電圧が印加されないように制御されている。
選択されたビット線は、図2(a)の場合では、ビット線BL0Lとビット線BL0Rとになり、非選択のビット線はそれ以外のビット線になる。また、選択されたワード線は、図2(a)の場合では、ワード線WL0Lおよびワード線WLD1R、WLD0Rになり、非選択のワード線はそれ以外のワード線になる。
【0066】
さらに、選択される強誘電体キャパシタは、選択されたビット線と選択されたワード線とが交差する場所に存在するキャパシタである。図2(a)場合では、強誘電体キャパシタC00、およびダミーキャパシタD01、D00であり、非選択のキャパシタは、それ以外のキャパシタである。
次に、ビット線制御部120、122およびワード線制御部130、132による強誘電体キャパシタの選択または非選択の制御例について、図7〜図11を参照して説明する。
【0067】
まず、ビット線およびワード線の各電位は、定常状態では、その全てが1/2VDDになっている。
次に、所望の強誘電体キャパシタに保持されるデータを読み出す場合に、選択ワード線、選択ビット線、非選択ワード線、および非選択ビット線の各電位の与え方について、図7を参照して説明する。
【0068】
強誘電体キャパシタからのデータの読み出し動作は、図7に示すように期間T1〜T3からなるので、各期間について順次説明する。
まず、期間T1ではデータ読み出しの準備を行い、図7に示すように、選択ワード線(選択WL)の電位は1/2VDD、非選択ワード線(非選択WL)の電位は1/2VDDのままである。また、選択ビット線(選択BL)の電位は1/4VDDに変化し、非選択ビット線(非選択BL)の電位は3/4VDDに変化する。
【0069】
ただし、選択ビット線は、1/4VDDに設定した後に、HiZ(ハイインピーダンス)状態にしている。
期間T1における、選択ワード線、非選択ワード線、選択ビット線、および非選択ビット線の各電位の関係を、図8に示す。図8において、ビット線とワード線とが交差する位置における白い丸は非選択の強誘電体キャパシタであり、その黒い丸は選択された強誘電体キャパシタである。
【0070】
図8に示すように、強誘電体キャパシタは、選択または非選択にかかわらず、いずれも|1/4VDD|以上の電圧が印加されていないことがわかる。よって、期間T1では、いずれのキャパシタもデータの破壊は起こらない。
次に、期間T2ではデータの読み出しが行われ、図7に示すように、選択ワード線の電位はVDDに変化し、非選択ワード線の電位は1/2VDDのままである。また、選択ビット線の電位は1/4VDDからのHiZ(ハイインピーダンス)状態に変化し、非選択ビット線の電位は3/4VDDのままである。
【0071】
期間T2における、選択ワード線、非選択ワード線、選択ビット線、および非選択ビット線の各電位の関係を、図9に示す。図9は、選択ワード線の電位を、1/2VDDからVDDに変化させた瞬間の関係を示している。
図9によれば、非選択の強誘電体キャパシタには、|1/4VDD|以上の電圧が印加されていないことがわかる。よって、期間T2では、非選択の強誘電体キャパシタにおけるデータの破壊は起こらない。
【0072】
一方、図9によれば、選択キャパシタには、−3/4VDDが印加されている。このとき、選択キャパシタが、データ「1」を保持していた場合には、図6に示すヒステリシスの上辺から、矢印1側のヒステリシス上をA点に移動したことになる。これに対して、選択キャパシタが、データ「0」を保持していた場合には、図6に示すヒステリシスの下辺から、矢印2側のヒステリシス上をA点に移動したことになる。
【0073】
したがって、選択キャパシタは、保持するデータの内容にかかわらず、その変化に応じた電荷を選択ビット線上に出力する(図7参照)。このとき、選択ビット線はHiZ(ハイインピーダンス)状態であるので、その電荷量に応じた電圧になる(図3(b)の説明を参照)。
ここで、期間T2において、図7の選択ビット線(選択BL)の電位の変化は、選択キャパシタの保持データが「1」のときには実線となり、その保持データが「0」のときには点線となる。
【0074】
次に、期間T3ではデータの読み出し(確定)が行われ、図3で説明した様に、強誘電体キャパシタの電荷のみの抽出を行うために、期間T2における設定に対して、選択ワード線の電位のみを1/2VDDに変更している。
この制御により、選択ビット線の電位は、図7に示すように、選択キャパシタの保持データが「1」のときは実線のように変化し、その保持データが「0」のときは点線のように変化する。そして、期間T3で、その選択ビット線の電位に基づき、図1に示すデータ判別部160は読み出したデータの判別を行い、この判別結果を出力電圧Voutとして出力する。
【0075】
期間T3における選択ワード線、非選択ワード線、選択ビット線、および非選択ビット線の各電位の関係を、図8に示す。
期間T2および期間3では、選択ビット線の電位の変化は、いずれも1/2VDDから3/4VDDの範囲内であるので、選択ビット線上にある非選択キャパシタのデータは破壊されない。また、他の非選択キャパシタにも、|1/4VDD|以上の電圧が印加されていないことがわかる。よって、期間T2、T3では、非選択キャパシタのデータの破壊は起こらない。
【0076】
選択キャパシタの保持データの読み出した後は、ビット線およびワード線の各電位を定常状態である1/2VDDにすべて変更する(図7参照)。
ここで、選択キャパシタからデータを読み出したことにより、データ「1」は破壊されるので、データの再書き込みを行う必要があるので、これについて以下に説明する。
図7に示すように、強誘電体キャパシタに対するデータの(再)書き込み動作は、期間T4〜T6からなるので、各期間について順次説明する。
【0077】
まず、期間T4ではデータの書き込みの準備を行い、図7に示すように、選択ワード線(選択WL)の電位は1/4VDDに変化し、非選択ワード線(非選択WL)の電位は3/4VDDに変化する。また、選択ビット線(選択BL)の電位は1/2VDDのままとし、非選択ビット線(非選択BL)の電位は1/2VDDのままとする。
期間T4における選択ワード線、非選択ワード線、選択ビット線、および非選択ビット線の各電位の関係を、図10に示す。図10によれば、各キャパシタは、いずれも|1/4VDD|以上の電圧が印加されていないことがわかる。よって、期間T4では、その各キャパシタは、いずれもデータの破壊は起こらない。
【0078】
次に、期間T5ではデータの書き込みが行われ、図7に示すように、選択ワード線の電位は1/4VDDに変化し、非選択ワード線の電位は3/4VDDのままである。また、選択ビット線の電位は、書き込みデータが「1」のときにはVDDに変化させ、書き込みデータが「0」のときには1/2VDDのままとする。さらに、非選択ビット線の電位は、1/2VDDのままとする。
【0079】
期間T5における、選択ワード線、非選択ワード線、選択ビット線、および非選択ビット線の各電位の関係を、図10および図11にそれぞれ示す。
図10は、書き込みデータが「0」のときである。このときには、各キャパシタは、いずれも|1/4VDD|以上の電圧が印加されていないことがわかる。よって、各キャパシタは、いずれもデータの破壊は起こらない。このときには、選択キャパシタにも、データの書き込みが行われていない。よって、選択キャパシタは、ヒステリシスの下辺の「0」側に分極している(図6参照)。
【0080】
図11は、書き込みデータが「1」のときである。このときには、非選択キャパシタに、|1/4VDD|以上の電圧が印加されていないことがわかる。よって、非選択キャパシタは、データの破壊は起こらない。一方、選択キャパシタには、期間T2とは、逆向きに3/4VDDの電圧が印加されていることがわかる。よって、選択キャパシタは、図6のヒステリシスの上辺の「1」側のB点に移動している。このため、選択キャパシタは、データ「1」の側に分極したことがわかる。
【0081】
次に、期間T6では、図7に示すように、選択ワード線、非選択ワード線、選択ビット線、および非選択ビット線の各電位を、期間T4と同じ状態にしている。その後、定常状態にしている。このように、期間T4と同じ状態を経て定常状態にするのは、各キャパシタのデータを破壊しないためである。
以上説明したデータの再書き込み動作は、データの書き込み動作と同じである。従って、データの書き込みは、期間T4から期間T6の制御のみを行えばよい。
【0082】
なお、データの再書き込みとデータの書き込みとは、書き込みデータが「1」のときにのみ書き込みを行う制御にし、書き込みデータが「0」のときはその制御を省略してもかまわない。このように、書き込みデータが「1」の場合にのみ書き込みにすると、動作が速くなる利点がある。
以上の説明したように、この実施形態では、センスアンプ回路140を、キャパシタアレイのビット線毎に配置される複数の電位検出部150−0〜150mと、この電位検出部150−0〜150mに共通に使用するデータ判別部160とにより独立に設けるようにしたので、センスアンプ回路の回路規模を小さくでき、もって、全体として小型化できる。
【0083】
また、この実施形態では、第1のキャパシタアレイ110と第2のキャパシタアレイ112とを左右対称に形成するようにしたので、それらの各強誘電体キャパシタは左右において均一化を図ることができ、その経年による劣化も左右において同等となる。この結果、強誘電体の材料のロットでのばらつきに影響されず、ロットごとのパターンやMOSのばらつきに影響されず、さらに温度変化に影響されない。
【0084】
しかも、この実施形態では、第1のキャパシタアレイ110の強誘電体キャパシタに保持される任意のデータを読み出すときには、第2のキャパシタアレイ112の2つのダミーキャパシタに保持される所定のデータをそれぞれ読み出して参照データとして使用し、一方、第2のキャパシタアレイ112の強誘電体キャパシタに保持される任意のデータを読み出すときには、第1のキャパシタアレイ110の2つのダミーキャパシタに保持される所定のデータをそれぞれ読み出して参照データとして使用するようにした。
【0085】
従って、この実施形態によれば、第1または第2のキャパシタに保持されるデータを読み出して判定する際に、その判定精度が向上する上に、経年によってもその判定精度の安定化を図ることができる。
(電子機器の実施形態)
次に、本発明の電子機器の実施形態について説明する。
【0086】
この実施形態に係る電子機器としては、例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話、などが挙げられる。パーソナルコンピュータは、表示装置、CPU、メモリなどから構成される。特に、メモリとして、不揮発性メモリである図1に示すメモリ装置を利用することができる。
このような構成からなる電子機器によれば、回路規模が小さなメモリ装置を搭載した各種の電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明のメモリ装置の実施形態の構成を示す回路図である。
【図2】任意の強誘電体キャパシタからの格納データを読み出す場合の説明図であって、(a)はその際の部分的な回路図であり、(b)はその回路図の各ワード線および各ビット線の電圧波形をそれぞれ示す波形図である。
【図3】強誘電体キャパシタに関連する容量を説明する説明図であって、(a)はキャパシタの直列回路を示し、(b)はそのキャパシタを用いて強誘電体キャパシタに関連する容量を説明する図である。
【図4】図1に示すセンスアンプ回路の動作を説明する図であって、(a)はそのセンスアンプ回路の一部を抜き出した回路図であり、(b)はその回路のワード線と接続されるMOSトランジスタの入力電圧と出力電流の関係を示す図である。
【図5】図1に示すセンスアンプ回路の動作を説明する図であって、(a)はそのセンスアンプ回路が第1のキャパシタアレイの任意の強誘電体キャパシタからデータを読み出す場合の部分的は回路図、(b)はそのセンスアンプ回路が第2のキャパシタアレイの任意の強誘電体キャパシタからデータを読み出す場合の部分的は回路図である。
【図6】この実施形態に適用される強誘電体キャパシタの印加電圧と分極電荷との関係の一例を示す図である。
【図7】図1に示すビット線制御部およびワード線制御部が任意の強誘電体キャパシタにデータを読み書きする際に制御する、各ビット線と各ワード線の電圧の波形例を示す図である。
【図8】図7の期間T1の選択ワード線、非選択ワード線、選択ビット線、および非選択ビット線の各電位の関係を説明するための説明図である。
【図9】図7の期間T2における各線の各電位の関係を説明する説明図である。
【図10】図7の期間T4における各線の各電位の関係を説明する説明図である。
【図11】図7の期間T5における各線の各電位の関係を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0088】
110・・・第1のキャパシタアレイ、112・・・第2のキャパシタアレイ、120・・・第1のビット線制御部、122・・・第2のビット線制御部、130・・・第1のワード線制御部、132・・・第2のワード線制御部、140・・・センスアンプ回路、150・・・センス部、150−0〜150−m・・・電位検出部、160・・・データ判別部、162・・・第1の定電流源、164・・・第2の定電流源、170、180・・・接続線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1のビット線と、この第1のビット線に電気的に接続され任意のデータを保持する第1の強誘電体キャパシタと、前記第1のビット線に電気的に接続され所定のデータをそれぞれ保持する第1および第2のダミーキャパシタとを含む第1のキャパシタアレイと、
少なくとも1つの第2のビット線と、この第2のビット線に電気的に接続され任意のデータを保持する第2の強誘電体キャパシタと、前記第2のビット線に電気的に接続され所定のデータをそれぞれ保持する第3および第4のダミーキャパシタとを含む第2のキャパシタアレイと、
前記第1のビット線の電位と前記第2ビット線の電位とをそれぞれ検出し、その各検出に応じて第1の検出信号および第2の検出信号それぞれ生成する少なくとも1つの電位検出部と、
前記電位検出部で生成される第1の検出信号および前記第2の検出信号に基づき、前記第1の強誘電体キャパシタまたは前記第2の強誘電体キャパシタに保持されたデータを判別するデータ判別部と、
を備えたことを特徴とするメモリ装置。
【請求項2】
複数の第1のビット線と、この複数の第1のビット線に電気的にそれぞれ接続され任意のデータを保持する第1の強誘電体キャパシタと、前記複数の第1のビット線に電気的にそれぞれ接続され所定のデータをそれぞれ保持する第1および第2のダミーキャパシタとを含む第1のキャパシタアレイと、
複数の第2のビット線と、この複数の第2のビット線に電気的にそれぞれ接続され任意のデータを保持する第2の強誘電体キャパシタと、前記複数の第2のビット線に電気的にそれぞれ接続され所定のデータをそれぞれ保持する第3および第4のダミーキャパシタとを含む第2のキャパシタアレイと、
前記複数の第1のビット線の各電位と、この各電位に対応する前記複数の第2ビット線の各電位とをそれぞれ検出し、その各検出に応じて第1の検出信号および第2の検出信号をそれぞれ生成する複数の電位検出部と、
この複数の各電位検出部で生成される第1の検出信号および前記第2の検出信号に基づき、前記第1の強誘電体キャパシタまたは前記第2の強誘電体キャパシタに保持されたデータを判別するデータ判別部と、
を備えたことを特徴とするメモリ装置。
【請求項3】
前記第1のキャパシタアレイの前記第1の強誘電体キャパシタおよび前記第2のキャパシタアレイの前記第2の強誘電体キャパシタにそれぞれ保持される各データの読み出しを制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1のキャパシタアレイの前記第1の強誘電体キャパシタに保持されるデータを前記第1のビット線に読み出すときには、前記第2のキャパシタアレイの前記第3および第4のダミーキャパシタに保持されるデータを前記第2のビット線にそれぞれ読み出し、
他方、前記第2のキャパシタアレイの前記第2の強誘電体キャパシタに保持されるデータを前記第2のビット線に読み出すときには、前記第1のキャパシタアレイの前記第1および第2のダミーキャパシタに保持されるデータを前記第1のビット線にそれぞれ読み出すように制御するようになっている特徴とする請求項1または請求項2に記載のメモリ装置。
【請求項4】
前記データ判別部は、前記電位検出部と接続自在な第1のデータ判別部と、前記電位検出部と接続自在な第2のデータ判別部とを備え、
前記両データ判別部は、前記第1のキャパシタアレイの前記第1の強誘電体キャパシタに保持されるデータの読み出し、または前記第2のキャパシタアレイの前記第2の強誘電体キャパシタに保持されるデータの読み出しに応じて、選択的に使用するようになっていることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載のメモリ装置。
【請求項5】
前記複数の電位検出部は、そのうちの1つを選択的に使用するようになっていることを特徴とする請求項2、請求項3または請求項4に記載のメモリ装置。
【請求項6】
前記電位検出部は、
前記第1のビット線の電位を、この電位の大きさに応じた電流に変換するn型の第1のMOSトランジスタと、
前記第2のビット線の電位を、この電位の大きさに応じた電流に変換するn型の第2のMOSトランジスタと、
前記第1および第2のMOSトランジスタの動作のオンオフ制御を行うn型の第3のMOSトランジスタとからなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちのいずれか1の請求項に記載のメモリ装置。
【請求項7】
前記第1のデータ判別部は、カレントミラー回路からなる第1の定電流源と、この第1の定電流源と前記電位検出部との接続を行う第1のスイッチとを備え、
前記第2のデータ判別部は、カレントミラー回路からなる前記第2の定電流源と、この第2の定電流源と前記電位検出部との接続を行う第2のスイッチとを備えていることを特徴とする請求項4、請求項5または請求項6に記載のメモリ装置。
【請求項8】
前記第1の定電流源は、
前記電位検出部の第1のMOSトランジスタと接続するp型の第4のMOSトランジスタおよび前記電位検出部の第2のMOSトランジスタと接続するp型の第5のMOSトランジスタでカレントミラー回路を構成し、かつ、前記第5のMOSトランジスタのサイズが前記第4のMOSトランジスタのサイズの2倍になっており、
前記第2の定電流源は、
前記電位検出部の第1のMOSトランジスタと接続するp型の第6のMOSトランジスタおよび前記電位検出部の第2のMOSトランジスタと接続するp型の第7のMOSトランジスタでカレントミラー回路を構成し、かつ、前記第6のMOSトランジスタのサイズが前記第7のMOSトランジスタのサイズの2倍になっていることを特徴とする請求項7に記載のメモリ装置。
【請求項9】
少なくともメモリを備えている電子機器であって、
前記メモリは、前記請求項1乃至前記請求項8のうちのいずれか1の請求項に記載のメモリ装置であることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
少なくとも1つの第1のビット線と、この第1のビット線に電気的に接続され任意のデータを保持する第1の強誘電体キャパシタと、前記第1のビット線に電気的に接続され所定のデータをそれぞれ保持する第1および第2のダミーキャパシタとを含む第1のキャパシタアレイと、
少なくとも1つの第2のビット線と、この第2のビット線に電気的に接続され任意のデータを保持する第2の強誘電体キャパシタと、前記第2のビット線に電気的に接続され所定のデータをそれぞれ保持する第3および第4のダミーキャパシタとを含む第2のキャパシタアレイと、
前記第1のビット線の電位と前記第2ビット線の電位とをそれぞれ検出し、その各検出に応じて第1の検出信号および第2の検出信号それぞれ生成する少なくとも1つの電位検出部と、
前記電位検出部で生成される第1の検出信号および前記第2の検出信号に基づき、前記第1の強誘電体キャパシタまたは前記第2の強誘電体キャパシタに保持されたデータを判別するデータ判別部と、
を備えたことを特徴とするメモリ装置。
【請求項2】
複数の第1のビット線と、この複数の第1のビット線に電気的にそれぞれ接続され任意のデータを保持する第1の強誘電体キャパシタと、前記複数の第1のビット線に電気的にそれぞれ接続され所定のデータをそれぞれ保持する第1および第2のダミーキャパシタとを含む第1のキャパシタアレイと、
複数の第2のビット線と、この複数の第2のビット線に電気的にそれぞれ接続され任意のデータを保持する第2の強誘電体キャパシタと、前記複数の第2のビット線に電気的にそれぞれ接続され所定のデータをそれぞれ保持する第3および第4のダミーキャパシタとを含む第2のキャパシタアレイと、
前記複数の第1のビット線の各電位と、この各電位に対応する前記複数の第2ビット線の各電位とをそれぞれ検出し、その各検出に応じて第1の検出信号および第2の検出信号をそれぞれ生成する複数の電位検出部と、
この複数の各電位検出部で生成される第1の検出信号および前記第2の検出信号に基づき、前記第1の強誘電体キャパシタまたは前記第2の強誘電体キャパシタに保持されたデータを判別するデータ判別部と、
を備えたことを特徴とするメモリ装置。
【請求項3】
前記第1のキャパシタアレイの前記第1の強誘電体キャパシタおよび前記第2のキャパシタアレイの前記第2の強誘電体キャパシタにそれぞれ保持される各データの読み出しを制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1のキャパシタアレイの前記第1の強誘電体キャパシタに保持されるデータを前記第1のビット線に読み出すときには、前記第2のキャパシタアレイの前記第3および第4のダミーキャパシタに保持されるデータを前記第2のビット線にそれぞれ読み出し、
他方、前記第2のキャパシタアレイの前記第2の強誘電体キャパシタに保持されるデータを前記第2のビット線に読み出すときには、前記第1のキャパシタアレイの前記第1および第2のダミーキャパシタに保持されるデータを前記第1のビット線にそれぞれ読み出すように制御するようになっている特徴とする請求項1または請求項2に記載のメモリ装置。
【請求項4】
前記データ判別部は、前記電位検出部と接続自在な第1のデータ判別部と、前記電位検出部と接続自在な第2のデータ判別部とを備え、
前記両データ判別部は、前記第1のキャパシタアレイの前記第1の強誘電体キャパシタに保持されるデータの読み出し、または前記第2のキャパシタアレイの前記第2の強誘電体キャパシタに保持されるデータの読み出しに応じて、選択的に使用するようになっていることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載のメモリ装置。
【請求項5】
前記複数の電位検出部は、そのうちの1つを選択的に使用するようになっていることを特徴とする請求項2、請求項3または請求項4に記載のメモリ装置。
【請求項6】
前記電位検出部は、
前記第1のビット線の電位を、この電位の大きさに応じた電流に変換するn型の第1のMOSトランジスタと、
前記第2のビット線の電位を、この電位の大きさに応じた電流に変換するn型の第2のMOSトランジスタと、
前記第1および第2のMOSトランジスタの動作のオンオフ制御を行うn型の第3のMOSトランジスタとからなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちのいずれか1の請求項に記載のメモリ装置。
【請求項7】
前記第1のデータ判別部は、カレントミラー回路からなる第1の定電流源と、この第1の定電流源と前記電位検出部との接続を行う第1のスイッチとを備え、
前記第2のデータ判別部は、カレントミラー回路からなる前記第2の定電流源と、この第2の定電流源と前記電位検出部との接続を行う第2のスイッチとを備えていることを特徴とする請求項4、請求項5または請求項6に記載のメモリ装置。
【請求項8】
前記第1の定電流源は、
前記電位検出部の第1のMOSトランジスタと接続するp型の第4のMOSトランジスタおよび前記電位検出部の第2のMOSトランジスタと接続するp型の第5のMOSトランジスタでカレントミラー回路を構成し、かつ、前記第5のMOSトランジスタのサイズが前記第4のMOSトランジスタのサイズの2倍になっており、
前記第2の定電流源は、
前記電位検出部の第1のMOSトランジスタと接続するp型の第6のMOSトランジスタおよび前記電位検出部の第2のMOSトランジスタと接続するp型の第7のMOSトランジスタでカレントミラー回路を構成し、かつ、前記第6のMOSトランジスタのサイズが前記第7のMOSトランジスタのサイズの2倍になっていることを特徴とする請求項7に記載のメモリ装置。
【請求項9】
少なくともメモリを備えている電子機器であって、
前記メモリは、前記請求項1乃至前記請求項8のうちのいずれか1の請求項に記載のメモリ装置であることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−40406(P2006−40406A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218594(P2004−218594)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
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